平成21年12月22日知事会見記録

ID番号 N11645 更新日 平成26年1月16日

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(平成21年12月22日 10時30分から10時56分)

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
本日は知事からの発表事項はございませんので、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
それでは、幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
本日は、記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がありませんので、各社から質問があればお願いします。

記者
鳩山総理が昨日、ガソリン税などの暫定税率を実質的に維持し、子ども手当については所得制限を設けないとする決断を下しました。マニフェストの修正という決断になったわけですけれども、この総理の決断に対して知事はどういうふうな感想を持たれていますか。

知事
私は、どちらかというと財政に関しては積極的に出た方がよいと思っているので、党の要望よりも、更に積極的な内容で決断されたのは良かったのではないかと思っています。
マニフェストの修正については、選挙直後から「マニフェストどおりにやらなくてもよい」、「マニフェストどおりにやらない方がよい」という声が各地、各分野からあったので、そういう国民の声も踏まえてマニフェストを修正していくことは大変結構なことだと思います。

記者
決断に至る過程で小沢幹事長が中心となって出した民主党の重点要望があり、昨日も小沢さんとお会いして話す中で決断になって、小沢さんの支配が強まっているという報道もあるわけですけれども、今回の小沢幹事長のかかわり方についてどういうふうに思っていらっしゃいますか。

知事
幹事長が内閣の中に入って、そして総合調整大臣みたいな格好で、その大臣と総理とのやりとりということであれば、閣内での意思決定プロセスということでわかりやすかったのだと思うのですけれども、国会議員さん一人ひとりの日常の活動において、草の根の暮らしや仕事の現場の中で今どういうことで困っているとか、この制度をどうしたらよいかとか、政策形成というのはむしろそういう暮らしや仕事の現場の中で政策が形成されていくものですから、そういった民の声というものを政党が吸収し、それを政府与党で取りまとめて内閣が実行していくというのがよい形だと思いますので、そういう意味では小沢幹事長の指導の下、党が吸い上げ、そして取りまとめた民の声を内閣としての意思決定にきちんと反映させる形になっていてよいのではないかと思います。

記者
そうした一方で、マニフェストを掲げて政権交代を果たして、知事も「民意に向かいて言うことなし」と、民意という言葉をお使いになっていると思うのですけれども、小沢さんは全国民からの要望だと、全国民の民意だということで要望したわけですけれども、改めて民意というもののとらえ方、整合性をもう少しお話しいただけますか。

知事
個々の国民の希望とか要望を機械的に足し合わせたものが国の意思、日本国民全体の意思になるわけではなくて、要望、希望を吸い上げていきながらそれを統合していくプロセスが必要なのです。それを都道府県連段階で統合し、幹事長室の段階で統合し、最終的には内閣の決定の中で統合されていくわけでありますけれども、交渉術の教科書に出てくる事例なのですが、図書館で勉強している人たちで、どうも暑い、風通しが悪いから窓を開けたい人がいる。だが、窓を開けると外の音が入ってうるさくなり、窓を開けるなと言う人がいる。窓を開けるという希望と窓を開けないという希望と両方あるのですけれども、実は廊下側のドアを開けると涼しい風が入ってきて、外の騒音が入ってこない。そうした最初はどちらも要望していなかったような解決法を取りまとめの中で出すことで、それぞれの民意を実現できるということがあり、政党や内閣にはそういう当初だれも思いつかなかったけれども、これをやればそれぞれの希望を実現できるということをクリエイトして実行していくということも期待されると思うのです。そういう意味で、マニフェストの修正という作業は民意をきちんと統合していくプロセスの中で必要であればどんどんやっていくべきことだと思います。

記者
税制改正の関連なのですが、たばこ税の増税方針が示されています。総理は健康のためということ、税収確保というメリットがあるということですが、その反面、本県の葉たばこ農家への影響が懸念されます。たばこ税の増税の評価についてお聞かせください。

知事
これは、最後は総合的な判断の中で決められていくことで、葉たばこ生産振興という理由だけで決められないことだと思います。ですから、結論自体については総合的な判断の中で決まったものと受けとめたいと思っていますけれども、一方葉たばこ生産農家はいろいろ努力と工夫をしながら商品作物生産して稼いでいるので、そういう皆さんが将来に向かって希望を持てるような政策は政策としてきちんととられていかなければならないと思います。

記者
報道各社の世論調査で内閣支持率が急落していますが、その一つに鳩山首相の指導力不足があるという指摘もあります。知事は、この点についてはどうお考えでしょうか。

知事
いろいろな人たちの意見をどんどん出してもらい、またその意見を戦わせながら意思決定をしていくという、それは一つのスタイルなのですけれども、それが効果的なやり方なのだというふうに思ってもらえるような工夫が今一つで、そういう手続に関する丁寧さとか慎重さというのが優柔不断であったり弱さのようにも受けとめられる。最終的には年度内に国会において予算が議決されればよいわけですので、そこに向けてきちんとプロセスが踏まれているということをもっと国民に分かりやすく説明していけばこういう下がり方はしないではないかと思います。

記者
先ほどの政府予算案の関係なのですが、25日にも決定するかもしれないという話が持ち上がってきています。改めて知事がこれまで要望してきた項目の中で、注目して見ている項目を3つほど教えていただけますか。

知事
地方交付税が地方税の減収分を補って、かつ今までの、いわゆる三位一体改革の中でどんどん削られていった分をきちんと復元させるところまで積み増していくような、そういう地方交付税になるかということがまず大きいところです。
あとは地域医療再生につながっていくような予算がきちんと確保されること、そして昨日、景気対策的なことを2兆円くらい積み増すべきと鳩山総理が発言されているのですけれども、そういう経済、雇用の危機を克服していくための予算がどういうあんばいに付いていくかというあたりに関心があります。

記者
ダム事業の関連で、簗川ダムですとか、補助が減らされるのではないかという話もあるのですけれども、そういったことに対してはどのように思われていますか。

知事
政府の中での議論が正にゆっくり進んでいるところなので、そこを見守りたいとは思っています。

記者
先ほどのたばこ税の話に戻るのですけれども、過去の引き上げは大体1円程度ずつ引き上げられてきて、今回5円という引き上げ幅になるのですが、今までたばこ税の中には国税と地方税があって、引き上げられるのはいつも国税の部分だけ引き上げられる。そうすると、引き上げられた部分の需要が落ちて、本数が減った場合に影響を受けるのは地方税の部分になることが多かったと思うのですが、今回5円という引き上げ幅で、それは国税の部分なのか、地方税の部分なのかということまでの確定はできていないのですけれども、税収に対する影響をお聞かせください。
あともう一つは、子ども手当の所得制限の関係なのですけれども、最終的に所得制限をしないと、総理が決断した判断についていかがお考えでしょうか。

知事
たばこ税の地方税分は、地方の非常に大事な収入でありますから、これは全国知事会で私が所属する地方環境税・地方税制プロジェクトチームの中でも議論になっていて、引き上げるのであれば当然地方分もその中で国税と見合う分だけ引き上げられるようにしていかないとだめだという議論をしておりまして、ちゃんと地方分も上がることを政府には望みたいと思います。
もう一つ、子ども手当は、これはすべての人に所得制限なしで出せれば出すにこしたことはないわけで、財政への配慮から党の方から所得制限を行うという案が出たわけですけれども、そこを積極的に思い切って皆さんに支給するということであれば、それは結構なことだと思います。

記者
最初の暫定税率の話に戻るのですけれども、何らかの形で暫定税率分は維持するということで、地方にとっては税収に穴があかないということに結果的にはなると思うのですが、それについて地方の立場としての受けとめを教えてください。

知事
これも私が所属する全国知事会の税制プロジェクトチームの中で、いろいろな議論をしていて、とにかく地方分がなくなってしまうとかなり大きな額なので、地方環境税という新しい税をつくって、今までと同じ額が地方に来るようにするとよいのではないかなど、いろいろなアイデアを検討していましたので、そういう意味で今回の額として維持されるという方向性は知事会としてもこれは歓迎する考えの結論です。

記者
あともう一点、「新」という言葉が今年の漢字で選ばれたのですが、知事ご自身としては今年1年を振り返って漢字1字で表すとしたら何を選びますか。

知事
花巻東高校の野球部の甲子園などでの活躍が今年の岩手を象徴することだと思っていて、「がんばろう!岩手」運動的なこの経済、雇用の危機に負けずに頑張ろうという県民のムードと花巻東の活躍を応援しようというムードが相乗効果で、「愛」という漢字ですね。LOVEの「愛」、これは岩手の愛というのを花巻東高校野球部の皆さんがプレーの一つひとつににじませて発信してもらったと思いますし、そういう花巻東野球部を愛する岩手県民の心というのがすごく盛り上がり、岩手に対する愛というのがものすごく盛り上がった1年だったと思います。

記者
今年の1月の最初の会見のときだったと思うのですけれども、丑年は岩手の年ということで始まったわけです。もうすぐ丑年も終わるのですが、そのプロジェクト含めて丑年ということで岩手を発信した効果とか、内発的な県民の意識への変化みたいなものにどういうものがあったかということを振り返って聞かせてください。

知事
先週末になりますけれども、シンガポールに行って、いわて牛の宣伝をしてきまして、日本のほかの地方の○○牛よりおいしいという評判をいただきまして、それで今年の丑年は岩手の年 MOW MOWプロジェクトを締めくくることができたと思っています。そうやって岩手の牛肉を国内はもとより国外にもどんどん売り込むことができたことは、成果だと思いますし、また牛肉だけではなくて酪農も北海道・北東北知事サミットで小岩井農場を見てもらったりとか、そういう発信ができました。そういう工夫を凝らして観光にも生かすとか、金のべごっこがついたネクタイをつくるとか、いろんな創意工夫が県職員の中から出てきて、いろいろなことに挑戦しよう、何でもやってやろうという雰囲気が盛り上がったことも成果だと思います。

記者
自動車関連なのですが、先日、県の自動車関連産業振興本部が開かれて、アッパーボディー関連の企業などを誘致する方針を固めたという形になったと思います。それを受けて知事のご所見をお伺いしたいのですが、来年以降のどのような分野で自動車関連に力を入れたいか改めて確認します。

知事
去年から今年にかけて大きく落ち込んだ生産もどんどん回復し、また今までなかった新たな車種の生産ラインもでき、新しい車の組立ても始まるというような、将来に向けてのプラスの動きが出てきていると思います。そういう中で、さらに岩手の自動車分野のものづくり産業を振興していく方針がまた一歩進んだということは大変よいことだと思っており、特にそういうものづくりを支える最大の岩手の売りは人材でありますから、生産や開発に携わる人材、またそういう職に将来つきたいと勉強している皆さんにとって希望が持てるのではないかと思います。

記者
企業誘致も一つの課題だと思うのですが、現地調達率の向上も一つの大きな課題だと思います。そちらについてはどのようなご所見を持っていらっしゃるでしょうか。

知事
今年も逆風の中でトヨタ本社で地元企業の展示商談会を開きましたけれども、新しい商談がまた幾つか実を結んでいまして、ここ数年の地元企業の努力というのは大変大きいものがあるし、またそれがどんどん実を結んできていると思います。この調子で、地元企業にどんどん力をつけてもらって現地調達率が高まっていくことを希望します。

記者
先週、小沢幹事長の秘書の大久保さんの初公判がありまして、その中で様々なことが出てきたと思うのですが、改めて今回の起訴、また公判について、知事としてどのようなご所見があるかお伺いします。

知事
検察側、弁護側のそれぞれの言い分もいろいろなところで詳しく報道されているのですけれども、いわゆる天の声問題については、そういうことがあったと推測させるような関係者の供述はたくさんあるけれども、具体的にどういう働きかけがあったかという点については全く指摘されていないとか、一方、政治資金規正法上の届け出の部分については、特に新しい指摘も行われていないというようなことも書いてあって、なるほど、そうなのかなというふうに思っています。

記者
知事は、ちょっと前に起訴すること自体がおかしいのだというお話をされていたと思うのですが、そちらのほうのご意見は今も同じように考えていらっしゃいますか。

知事
新聞等の解説の中では、今言ったような検察、弁護側のそれぞれの主張の中で、政治資金規正法違反ということについてきちんと立証されてないのではないかという指摘がされていて、それはすなわち裁判になってないのではないかということでありますから、そういう疑いが持たれるような展開になっているのだと思います。

広聴広報課
それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は12月28日(月曜日)の予定です。

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