平成21年12月28日知事会見記録

ID番号 N11642 更新日 平成26年1月16日

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(平成21年12月28日 10時31分から11時3分)

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
初めに、知事から発表がございます。
それでは、知事お願いします。

知事
今日の発表事項は、「いわて三陸海洋産業振興指針」の策定についてです。私が知事に就任して以来、県北・沿岸圏域における地域振興の方向性を地域の方々と共有するために「移動県庁」を実施してきています。今回の指針の策定は、去年の沿岸における海洋関連の大学・研究機関の皆さんとの意見交換が契機になりまして、三陸沿岸の海の資源を生かした産業振興に重点的に取り組むとしたところです。ちなみに、国では平成19年7月に海洋基本法というのができており、海洋に関する施策の策定を地方公共団体の責務としているのですけれども、この指針はこの法律を受け、全国に先駆けて策定したものです。
この指針の策定に当たり、今年6月に指針策定委員会を設置し、そこからご提言をいただき、また、有識者の方々へのインタビュー、パブリックコメント、地域説明会などで原案を練り、随時修正を重ね、取りまとめたものです。
三陸の海の多様な資源を活用した海洋産業の振興というものは、岩手県政の最重要課題である県北・沿岸振興に資するのみならず、岩手全体の産業の発展を期す上でも大きな可能性を秘めていると考えています。
この指針では、三陸の潜在可能性を生かす内発性を重視しながら、沿岸地域に集積している海洋関連の大学・研究機関、企業、関係団体などのネットワークを構築して、海の資源を活用した新たな産業の創造や海洋研究の国際的拠点の形成などを目指して取り組むとしています。
今後、この指針に掲げるビジョンの実現に向け、海洋産業に携わる方々はもちろん、関係団体や広く県民の皆さんと一緒になって推進していきたいと考えています。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
ただいまの知事の発表事項について、各社から質問があればお願いします。

記者
いわて三陸海洋産業振興指針に関連して、その中で地質遺産、ジオパークの取組も新たに検討されていくようなのですが、これについてはどういったあたりから始めたいと考えていらっしゃるかと、そのねらいについて教えてください。

知事
岩手の三陸海岸は、国立公園にもなっている海岸線はもちろんですけれども、北上高地全体が大変古い地層で、また、鍾乳洞などいろいろな変化に富んだ地質構造でもあり、このジオパークが趣旨としている方向性には大変よい条件を備えていると思います。
一方、ジオパークというものは、地学というか、地質学というか、そういう研究的価値を生かしながら、その地域において生活とか、経済とか、そういう活用を地域主導でやっていく、そういう運動のネットワークですので、そこにどう岩手、三陸が関与していくかということについては、地元の皆さんの議論を待たなければならないと思っています。一方で、県としては世界的な動向、全国的な動向、そういったものについて調べながら地元の皆さん方と随時情報交換や意見交換を行っていけばよいと思っています。

幹事社
それでは、幹事社から知事に1つ質問させていただきます。
今年1年を振り返って、知事の印象に残る出来事3つと、その理由とともにお聞かせください。

知事
まず、花巻東高校野球部の活躍です。これは、岩手の野球の歴史のみならず岩手の歴史においても今までにない大活躍であり、またこれが県民の応援、そして県民のためにもがんばるという選手の活躍、これがどんどん相乗効果となり岩手全体で盛り上がり、経済、雇用の危機に直面する岩手のムードを非常に前向きなものにしてくれたということで、非常に強く印象に残っています。
2番目は日本の政権交代です。日本国民がついに自分たちの手で新しい政権をつくった、そういう選択をしたということで、日本の政治史上非常に大きな一歩だったと思います。また、岩手にとっても政権交代により、いろいろと岩手が自由にできることが増え、国に対してこう変えなければならないということを伝え、どんどんとさらに動かしていくことができる。そういうことで印象に残っています。
3つ目は、いろいろあってどれにしようかという感じでしたが、1つ選べば早池峰神楽のユネスコ世界無形遺産の登録です。岩手の郷土芸能、民俗芸能を代表するような早池峰神楽が国際的に認められた。これは、岩手の自然、風土、歴史、そういうものが国際的に認められたということで、岩手のあらゆる地域、あらゆる分野の励みになることと思っています。
あと特別番外編として1つ、昨日、今年1年を振り返るため、県のホームページの「インターネット知事室」の中にある「知事の動き」という、今年1年行ったことを写真も併せて掲載されているページを見たのですけれども、5月20日の金田一温泉のある金田一の公民館で地元の皆さんと交流したときの写真に、よく見たら光の玉のようなものが幾つか写っていて、神秘的というか、霊的というか、そういう写真が写ったという経験をしたことがこれまでなかったものですから、これも印象に残っています。その後、金田一温泉の緑風荘さんは大変気の毒で残念な火事になりましたが、火事のことは、全国津々浦々知らない人はいないのではないかというくらい広く知られています。出張で日本のあちこちに行ったときに、その話が出ます。全国的に岩手のそういうスピリチュアルな部分が注目されたと思っていまして、火事も、これは何かの終わりということではなく、むしろ何か新しいことが始まるそのきっかけなのではないかという感じがしています。

幹事社
これに関する質問をお願いします。
それでは、質問がないようですので、ほかに質問があればお願いします。

記者
来年度の政府予算案の補助ダムの件でお伺いします。国土交通省の会見の中で、岩手は簗川ダムと津付ダムに関して、新たに検証を要請する対象となったと決まったわけですけれども、知事の方で新たに検証する予定、もしくは見直しをする予定は今のところございますでしょうか。

知事
岩手では、やるべきことはやっていると思うのですけれども、国の趣旨としては、国として新しい基準を来年夏までにつくり、その新しい基準に基づいて検証というか、判断をしてほしいということですので、まずは新基準なるものができないと動かない話です。これについて、全国知事会の地方の社会資本整備プロジェクトチームからは、補助ダムは国の補助を受けてはいるけれども、各都道府県で主体的にやっていることなので、都道府県それぞれのやり方がある。そこに地方の声を踏まえずに統一の見直し基準を国だけで一方的に決めてしまうというのはおかしいのだから、地方とちゃんと意見交換をしながら進めるようにというアピールを出しているのですけれども、そのとおりだと思っています。

記者
今のところ、すぐに再検証することはないということでよろしいですね。

知事
来年夏ごろに決まる新基準でやってくれという話ですので。

記者
あと県の来年度予算案にどう響くかということなのですけれども、国土交通省がつくる実施計画後に予算を公表するということになったわけですが、県の来年度予算はどのように組んでいくことになるのでしょうか。

知事
数字的なことは担当に聞いてほしいと思いますけれども、それぞれ住民の要望もあり、専門家の意見も聞きながら進めていることですので、国との関係で進めて構わない部分については進めていくのが筋と思っています。

記者
例年どおり国からの補助があるという前提で予算を組んでいくという考え方でよろしいのでしょうか。

知事
その辺の数字的なことについては、担当に確認してほしいのですけれども、基本的な考え方としては、県民の民意を踏まえて対応するということと思っています。

記者
大分先の話をして恐縮なのですが、仮に夏の有識者会議で否定的な見解といいますか、万が一国からの補助がなくなる方向となったときに県単独ででも完成させるという考えはおありでしょうか。

知事
今は全然、予想がつきませんので、何とも言えません。

記者
今のダムの関係で、簗川ダムのほうは本体着工してないのですけれども、付替道路の工事などはかなり進んでいます。そういう意味で、先ほどの質問とダブるかもしれないのですが、道路事業関係の予算については、新年度に計画どおり計上するのか、あるいは凍結するのか、その辺のところを端的にお願いします。

知事
いろいろと補助金をめぐる法律とかルールがあり、それに沿って進めていくのだと思います。詳しいことは国のほうの意図、内容が確定しないとそのルールの解釈も難しいのではないかと思いますけれども、いずれ法律に従わなければならないという条件のもとで県としての予算は民意を踏まえて主体的に決めていくということだと思っています。

記者
民意というのは、これまでの知事の発言では、岩手県の県民が必要だというところで有識者も含めて事業継続で来たわけですけれども、そういうのが民意だという解釈でよろしいでしょうか。

知事
最終的には県の予算は議会で確定された時点で、民意として確定するわけですけれども、ほかにも地元の要望や専門家の意見など、そういったことを総合して民意と判断しているところです。

記者
再検討をされても、国庫補助を受けての県営ダムの事業はこれまでどおり必要と認められて、継続していけるという確信はありますか。

知事
来年の夏までに新たな基準を設けるという中で、本当に予想がつきません。洪水のときに住民の安全や財産の保全を確保する何か私が知らないようなミラクルがあるのかもしれません。10年に1度ぐらいと想定される洪水でも数億円、数十億円の被害が出るし、まして何十年に一度の洪水が起きれば100億円単位の被害が発生するのが災害の世界であり、かつ、そうなってくると人的被害も大いにあり得るわけで、それをいかになくしていくかということが治水ダムということの本質だと思っていますので、それに関して何か国のほうから抜本的な、あるいは未来的なものすごい私の知らないようなことが出てくるのであれば、それは大変結構なことなのではないでしょうか。

記者
子ども手当の件なのですけれども、来年度の政府予算案では地方自治体と企業の負担を残すということになりました。地方負担がある現行の制度を併存させた形になりましたが、この点について改めてご見解をお伺いします。

知事
子ども手当部分については国単独の財源措置ということで、ただそれが新年度はまだ小規模にとどまるといいますか、それ以外で既存のスキームで手当てしなければならないところが残るということで、財源の問題など総合的な判断の中でそういうふうになったのだと思います。一方で将来に向かっては、現行スキームを廃止して、国だけが財源手当てする子ども手当として全面的にやっていくという方向性も示されているので、早くそういうふうにしてほしいというところです。

記者
現時点で他県の知事みたいに地方負担はしないとか、そういうふうなことは今のところないということでよろしいのでしょうか。

知事
現行スキームの維持ということについては、これは総合的な国の判断として、何か物理的な抵抗でそれをとめるということはないと思っています。

記者
いわてNPOセンターは、県と関係の深いNPOではあったのですけれども、そちらで不祥事が相次いで、先日、県からの委託料をめぐってお金の管理が不適切だったという事案が明らかになりましたけれども、この件について知事はどのように受けとめになられましたでしょうか。

知事
大変残念なことだと思っています。NPOというのは、成熟してきた経済、社会にとって非常に重要なもので、そこに住んでいる住民あるいはいろいろな得意分野を持っている普通の人たちが公のために生きがいを持って働いて、そしてそれがまた世のため、人のためになるという非常によい仕組みですので、そこで不適切な経理や法令違反が起こるのは本当に残念なことだと思っています。

記者
理事長自ら辞任する意向を示していますけれども、今回の問題というのはNPOが大きくなって理事長の権限が大分増してしまった、そういった構造的な問題もあると受けとめていますでしょうか。

知事
今それぞれの担当からNPO側に経緯の説明を求めているところでありますけれども、基本的には当該NPO個別具体的な、内部的な問題があったということだと思います。

記者
今後、県として改めてNPOとのかかわりをどのようにしていきたいか、そういった意向があればお聞かせください。

知事
基本はどんどん増えていってほしいですし、それぞれのNPOの活動が充実、発展していくことを希望しています。そういう方向で県としても応援、支援していきたいと思います。

記者
ちょっと話題変わってしまうのですけれども、知事として今年1年を振り返って、来年はどういう年であってほしいとお思いですか。

知事
今年は、大きな自然災害が無かったことが非常に良かったことです。来年も引き続き自然災害がない年であってほしいと思っています。また、去年から始まった経済、雇用の危機が今年も1年、ずっと続きましたが、来年はそれが克服されていく、経済雇用が回復に向かっていく、そういう年になってほしいと思います。
あとは花巻東高校野球部の活躍と県民の「がんばろう!岩手」的な盛り上がりが岩手全体を非常に前向きにしてくれていて、そこに早池峰神楽もそうですが、いろいろな前向きな要素が岩手をよい方向に向かっていくような形に今年してくれていると思うので、この勢いに乗って、来年、岩手がどんどん良くなっていくことを希望します。

記者
岩手競馬ですが、来年度開催に向けて22開催130日間という形で農林水産省に申請されたみたいですけれども、経営計画そのものはこれからだと思うのですが、来年度に向けての意気込みというか、知事の考えをお聞かせください。

知事
基本は、地に足の着いた着実な改革、改善を積み重ねていくことが、今年かなり実を結んでいるところもあるので、さらにこれを前進させていきたいと思います。

記者
具体的に何か来年度に向けて、新たな経営刷新策として考えているようなことはありませんでしょうか。

知事
一つひとつレースの組み立てや、1日の中でどういうレースバランスにするか、重賞をどう配置するかといった、競馬経営のノウハウというか、能力というか、どんどん高まっていると思います。そうした基礎力、総合力で地に足の着いた、県民と一体感が出てくるような、そういう「みんなの岩手競馬」というスローガンがありますけれども、そういう方向で進んでいければよいと思っています。

記者
地域医療についてお伺いしたいのですが、4月に無床化を5つの地域診療センターで踏み切って、これまでの経緯を見ていると、お医者さんの数は全体的にまだ減少傾向にあると聞いています。そのあたりについて、この無床化の評価と、今後の課題について改めてお聞かせください。

知事
3月末時点で入院していた皆さんの転院等についてはスムーズにいったと思っています。4月以降、無床診療所化しての経営については、訪問診療の頻度が増えたり、そういう1次医療の担い手としての機能が高まっているようなところも出てきて、また花泉のように民間との連携の形もできてきて、基本的にはうまくいっていると思っています。なお、医師不足というトレンドは、これは基本的な流れとしてありますけれども、それが岩手の医療全体を崩壊させるという、それを防ぐための体制の立て直しとしての新しい計画だったわけでありますけれども、岩手の地域医療全体を崩壊させないという、そういう下支えの効果はきちんとあったし、今もあると思います。

記者
その上で、沼宮内病院は4月に無床化の予定なのですが、岩手町が民間への移管をするために1年間無床化の実施を延期してほしいと、町も主体的に取り組むのだというようなことを申し入れているのですけれども、この点について知事のご意見を聞かせてください。

知事
町の主体的な取り組みは、大変よいことだと思っています。今、どういうところが必要なのか、県で応援できることはどういうところがあるのか、医療局と町でいろいろとやりとりしているところですので、基本的にそのきちんとしたやりとりの中で調整していってもらえばよいと思っています。

記者
その場合、例外的に無床化の実施時期を延長するというようなことも想定しておられますでしょうか。

知事
何々ありきとか、あるいは逆に何々を絶対変えなければならないとか、そういうスローガン的な、政治闘争的な話に持っていってはだめだと思っており、地元が真に欲しているのは何かということと、あとは医療局としての県全体としての医療経営の原則と、そこをきちんとすり合わせていってもらえばそうそう変なことにはならないと思っています。

記者
鳩山総理の献金問題について、先週釈明会見がありましたけれども、そこで総理は今の職を投げ出すと責任を放棄することになるということで続投することを表明しました。各社の世論調査でも、政治献金に関連してかなり支持率が低下しているのですけれども、総理の今回の対応と進退の判断についてどう評価されるのかお聞かせください。

知事
進退は政治家本人の問題だと思いますが、ただ世論との関係では、今回の問題について、ふには落ちないけれども、総理をやめろということではないというような世論調査の結果が出ていますので、そういう意味では総理続投ということは、その流れにも沿ったことではないかと思っています。

広聴広報課
それでは、以上でもちまして記者会見を終わります。

知事
それでは、皆さんよいお年を。

次の定例記者会見は1月4日(月曜日)の予定です。

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