平成22年2月8日知事会見記録

ID番号 N5030 更新日 平成26年1月16日

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平成22年2月8日 15時30分から16時25分

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
初めに、知事から発表がございます。
それでは、知事お願いします。

知事
今日の発表事項は、5つあります。平成22年度当初予算について、行財政改革の取組状況について、平成22年度の組織職員体制の概要について、そして第6回岩手県経済・雇用対策本部について、最後にみちのく岩手観光立県基本計画案についてです。順に発表していきます。
一つ目は平成22年度当初予算についてです。お手元の資料を参考にしてください。まず、A4横の「平成22年度岩手県一般会計当初予算のポイント」の1ページ、平成22年度当初予算案の一般会計の状況ですが、予算の呼称は「希望維新、希望郷いわて元年予算」です。大変な経済情勢の中、依然として厳しい県財政の状況の中でも、県民一人ひとりが勇気と希望を持ち、未来に向け力強く歩み出すことができるような積極的な予算です。
予算の基本的な考え方ですが、厳しい経済・雇用情勢、深刻さを増す地域医療などの諸課題への対応や、今、岩手が直面している様々な困難に立ち向かっている県民一人ひとりが勇気と希望を持って力強く前に向かっていき、いわて県民計画に基づく希望郷いわての実現に向け、着実な推進の第一歩となる予算として編成したところであり、併せていわて県民計画アクションプランの最終年度として、これまでの取組の総仕上げを意識して編成されています。
また、現下の経済・雇用情勢を勘案し、21年度2月補正予算においても数十億円規模の事業を追加する予定であり、平成22年度当初予算とあわせて地域経済の下支えを行うことを検討しています。
予算の規模は6,988億円です。この予算規模は、平成21年度当初予算と比較して約400億円、率にしてプラス6.1%の大幅増となっています。経済・雇用対策、産業振興、地域医療の確保、人づくりなど、県民の暮らしや仕事を守るため、やるべきことを積極的に盛り込んだ結果、大幅な増額となりました。
具体的な歳入歳出の状況を見ますと、まず3ページの歳入の状況についてですが、県税収入は一定の減収が想定されますが、地方消費税清算金や地方譲与税と合わせると横ばいと見込んでいます。一方、国の地方財政対策によって、地方交付税と臨時財政対策債を合わせた実質的な地方交付税は大幅な増額を見込んでいます。
3ページの右下にありますように、プライマリーバランスについては、やむを得ず2年連続して赤字になりますが、赤字幅は縮小させつつ、県民の暮らしや仕事を守るために積極的に事業を展開することとしたものです。
4ページの歳出の状況ですが、人件費は職員体制のスリム化、給与の見直しなどにより、27億円程度のマイナス1.5%の減となっています。普通建設事業費は、国の公共事業予算が大幅な減となる中で、地域の経済の下支えのため、前年度当初予算と比較しておおむね同じ水準を確保しています。
次に、2ページ、重点的に取り組む政策の概要についてですが、1つ目の柱として、直面する課題を克服して希望へつなぐ取組を掲げ、県民の仕事と暮らしを守るため、緊急かつ重大な課題に対応します。
1、雇用の創出と就業の支援について、緊急雇用創出事業、ふるさと雇用再生特別基金事業などによる雇用の創出に向けた取組を進めます。また、新卒者等の就業支援をはじめとした就業支援に全力で取り組みます。
2、地域経済の活性化に向けて、高度技術者の育成や地場企業の技術力向上支援等によるものづくり産業基盤の強化や、中小企業者の経営安定や前向きな取組への円滑な資金供給などに取り組みます。
3、地域の保健医療体制の確立に向けて、医療を担う人材の養成や病院勤務医の勤務環境の改善等による医師等の確保に向けた取組を進めます。また、ドクターヘリ導入支援や地域医療を支える緊急搬送ルートの道路改善など、質の高い医療を提供する体制の整備を進めます。
4、人口の社会減に歯止めをかけるために、産業振興によるいきいきと働く場の確保、創出や、定住、交流の促進、子育て環境の整備などによるセーフティーネットの充実などの取組を進めます。
2つ目の柱として、希望郷いわての実現に向けたスタートを掲げ、ゆたかさ、つながり、ひとの基盤形成を進めるとともに、来年度から本格的にスタートする4広域振興局体制のもとで明確な顔を持った広域振興圏の確立に向けた取組を進めます。また、いわて県民計画の岩手の未来をつくる7つの政策に基づく取組や、岩手の未来を切り開く先駆的、横断的な6つの構想の推進を着実に進めます。さらに、希望郷いわての実現に向けて、県と県職員が県民の皆さんと一緒にクリエイティブに活動する取組として、平成22年度における県の取組全体にわたって、岩手県I援隊運動を展開していきます。
発表事項の第2、行財政改革(アクションプラン改革編)の取組状況です。お手元には冊子と1枚物の資料を配付していますが、以下、1枚物の「行財政改革(アクションプラン改革編)の取組状況【平成21年度実績見込】概要」によって説明します。
表の左側ですが、行財政改革については、これまで岩手県集中改革プログラムに基づいて取組を進めてきたところでありますが、いわて県民計画の策定に当たり、これらの取組を見直してアクションプラン改革編として取りまとめ、改革1「組織パフォーマンスの向上」、改革2「行財政構造の徹底した簡素・効率化」、改革3「民間力・地域力が最大限に発揮される仕組みづくり」、改革4「県と市町村の役割分担の再構築」の4つを柱に改革を進めているところです。
表の右側ですが、4つの改革に対応した取組実績の概要を示したものです。まず、改革1では、新しい広域振興局体制に対応した本庁組織の整備と権限の見直し、公共調達改革など透明性、公正性の一層の確保への取組や情報公開の一層の推進など、県民ニーズを的確にとらえながら、地域課題を県民とともに解決していくための組織力向上に取り組んだところです。
改革2では、厳しい財政状況を踏まえ、歳入確保の強化、徹底した歳出の見直し、職員体制のスリム化など、プランに基づく取組を着実に推進したところです。
改革3では、コンビニエンスストアとの包括協定の締結など、民間企業との協働拡大や官民事業比較の実施や新たな官民ネットワークの構築など、地域経営の仕組みづくりに向けた新たな手法による公共サービスの改革に着手したところです。
改革4では、広域振興局体制の整備を進めるとともに、市町村合併の支援や市町村への権限移譲の推進、市町村との役割分担のあり方を協議する場の設置など、分権型社会に対応したシステム構築の取組を推進したところです。
平成22年度におきましては、これらの改革の取組を踏まえ、新しい広域振興局体制の定着や多様な主体による公共サービスの仕組みづくり、さらに行財政の一層の簡素、効率化や組織力の向上の取組を進めていきたいと思います。
発表事項の3、平成22年度の組織、職員体制の概要です。今回の組織改正では、いっしょに育む「希望郷いわて」の実現のため、総体の職員体制のスリム化を進めながらも、いわて県民計画の着実な推進や諸課題への的確な対応を図る観点から、組織、職員体制を整備します。
まず、本庁組織の再編にかかわるものですが、再編の基本的な考え方として、今回は、いわて県民計画の策定や新たな広域振興局体制を踏まえた本庁の組織のあり方について検討を進め、最終的に総合政策部、地域振興部及び総務部について見直すこととし、さきの12月議会で議決いただいたところです。
再編の内容は大きく3つであり、まず、トップマネジメントの機動的支援と情報発信という視点から、直接補助部門に純化した秘書広報室の設置、2点目は総合政策部と地域振興部がそれぞれ所管する企画立案機能の一元化、強化を目的とした政策地域部の設置、3点目は総務部の各部への支援機能の充実と建制順の変更です。これに伴う室、課の改編ですが、総務部に法務学事課を設置し、法務事務にかかわる職員の能力強化や政策法務機能の向上を図るほか、政策地域部においては政策立案機能の一元化、強化のため政策推進室を、地域振興にかかわる企画立案、推進機能の強化のため地域振興室をそれぞれ設置します。業務移管に伴い、IT推進課は廃止します。
次に、広域振興局体制の整備ですが、広域振興局の組織体制は、昨年6月公表の基本的考え方、9月公表の実施計画をもとに、各広域振興圏の地域特性や地域課題を踏まえたものとしてあります。特に県北・沿岸地域における産業振興機能の充実強化や住民サービスの確保を考慮しています。職員配置については、スリム化の制約の中にあっても業務を円滑に推進できるものとしたほか、沿岸・県北の広域振興局においては重点的に職員を配置することとしています。
次は、いわて県民計画のアクションプランの推進にかかわるものです。産業、雇用の分野においては、産業経済交流課に地域産業担当課長を配置するほか、広域振興局においては盛岡、沿岸、県北の経営企画部に産業振興課を設置するとともに、地域課題に応じた特命課長を配置します。
農林水産業の分野においては、水産業振興の強化のため、本庁から広域振興局に地域営漁計画の実行支援等の業務を移管するとともに、沿岸広域振興局水産部に水産調整課を設置します。
医療、子育て、福祉の分野ですが、感染症対策の強化のために、感染症対策業務を保健衛生課から医療国保課に移管し、感染症担当課長を配置するとともに、組織名称を医療推進課に改めます。
生活習慣病予防のための特定健診、特定保健指導、いわゆるメタボ健診の制度化など、近年業務の関連性が高まっている国保分野と健康増進分野の業務を円滑に推進するため、医療国保課の国保担当を保健衛生課に移管するとともに、組織名称を健康国保課に改めます。
インフルエンザ対策に関しては、業務を保健福祉企画室に移管し、新型インフルエンザ対策課長を設置するなど体制の強化を図ります。
安全、安心の分野においては、消費者行政の推進体制強化のため、県民暮らしの安全課に消費生活課長を設置し、県民生活センターの所長が兼任するなど、本庁と県民生活センターの機能の一元化を図ります。
警察本部においては、テロ対策のさらなる強化のため、警備部公安課に外事・国際テロ対策室を新設することとしています。
社会資本、公共交通、情報基盤の分野においては、花巻空港の利用促進のため、空港課の担当職員を1名増員します。
その他の体制の見直しですが、より効果的、効率的な業務遂行の観点から、農林道及び農地海岸整備等にかかわる事務の所管を県土整備部から農林水産部に移管します。
最後に、職員数についてですが、平成22年度当初における知事部局の職員数は、本年度より100人程度少ない4,060人程度と見込んでいます。
次の発表事項は、第6回岩手県経済・雇用対策本部についてです。本日、第6回岩手県経済・雇用対策本部会議を開催しました。今回の本部会議では、平成22年度の経済、雇用対策の取組方針を決定しました。まず、緊急的な取組として、失業の長期化により多くの課題を抱えている方々の生活を支援するため、労働分野と福祉分野の連携による新しいセーフティーネットをしっかり構築し、失業者等の生活就労支援にきめ細かく取り組んでいくほか、今年3月の新卒者の就職内定率が厳しい状況にあることから、就職未定のまま卒業する若者に対して、ジョブカフェ等を活用して就職相談や就業体験などの支援を行うことで、経験を積んだ即戦力としてできるだけ早く社会に出ていくことができるような取組を行います。
このほか新卒者の雇用を促進するため、事業主への奨励金制度を設ける市町村への補助を行い、市町村と連携して就職未定のまま卒業する若者への就職支援に取り組んで行くこととしました。
また、平成22年度全体の取組としては、これまで経済、雇用対策として「雇用の創出」、「就業の支援」、「経済の活性化」の3つを柱として取り組んできたところですが、今後は岩手の地域経済を安定軌道に乗せ、県民一人ひとりが希望を持って日々の仕事や生活を送ることができるよう、長期的な視点に立った取組が必要であるという観点から、「経済の活性化」を政策課題の第1にシフトすることとしました。
「経済の活性化」については、平成22年度当初予算に計上した各種事業による有効需要の創出、企業の経営に資する融資の充実、新たなものづくり産業の振興、地域資源を生かした食産業、観光産業、農林水産業の振興などにより、足腰の強い地域経済の実現に向けた取組を進めていきます。
「雇用の創出」については、産業振興施策の推進によって1,022人、雇用対策基金の活用によって3,120人の雇用創出を行うほか、農林水産業及び関連産業への就業促進アクションプランの推進などによって、新たな雇用の創出に努めていきます。
「就業の支援」については、地域における雇用対策推進協議会などに福祉分野の参加を求めるなどして、地域ごとの支援体制を強化するとともに、生活福祉資金貸し付けや住宅手当などの活用、職業訓練の実施など、失業者それぞれの実情に応じたきめ細やかなセーフティーネットの充実を図っていきます。
発表の最後は、みちのく岩手観光立県基本計画についてです。これまでパブリックコメントや地域説明会等を実施しながら、県民の皆さんからいただいたご意見を計画へ反映させてきました。また、県内外の産学官の有識者で構成する岩手観光立県推進会議や県の関係部局長で構成する岩手県観光産業振興本部における会議などを積み重ねながら、議論や提言を計画素案に反映させてきました。計画の名称については、計画の根拠がみちのく岩手観光立県基本条例でありますことから、みちのく岩手観光立県基本計画としまして、副題については県民の皆様と自然、歴史、文化などを背景としながら、岩手ならではのおもてなしが行われる地域を各地につくっていこうという意味を込め、「ひろげよう おもてなしの郷いわて」としました。本計画案につきましては、今後2月県議会に承認議案として提案するとともに、県議会承認後は広報や地域説明会を積極的に開催するなど、県民への計画の普及を進めていくこととしています。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
それでは、これまでの発表内容について質問があればお願いします。

記者
今回の平成22年度一般会計当初予算なのですけれども、プライマリーバランスで見れば赤字が続くということで、財政再建よりも暮らしとか生活を守るほうが優先されたということだと思うのですけれども、その点について改めてコメントをお願いします。

知事
財政の健全性をこれ以上悪化させないという配慮はしてあります。プライマリーバランスの悪化も臨財債、実質的な交付税が大幅に増えたことが基本的な理由であり、使うものが多くなったから赤字が増えたということではないと考えています。なお、論理的には使うものを減らして過去の借金を減らすほうに回すということがあり得るわけですけれども、今はそういったところに力を入れるよりも経済、雇用の対策を中心に県民の暮らしや仕事の現場を少しでもよくしていくことのほうに力を入れていこうという趣旨の予算になっています。

記者
特に今回、雇用対策をさらに充実されるということですけれども、この中で特にこの部分を強固に推進していくというあたりを改めて教えていただきたいということと、これまで来年度予算は本年度と横ばいぐらいとおっしゃっていたのですけれども、最終的にかなり増額になりましたが、短期間で、最後の知事査定で大きく変わったこと、その2点について教えてください。

知事
最後に来て、前年度予算額を大きく上回るような格好になったのは、やはり政権交代があって、国から地方へのお金の流れを増やし、かつての地方切り捨て型の経済財政政策の反対で、地方交付税の大幅増額などによって、地方を強くしていこう、それで日本を建て直そうという新政権の方向性が地財対策に反映されて、それが岩手の県の予算にも反映されているということが言えると思います。
それから、経済・雇用対策については、とにかく一人ひとり確実に就業を図っていく、そういう施策も充実しているのですけれども、中長期的に岩手の経済社会の足腰を強くしていくための方策、これは農林水産業から商工観光などあらゆる分野において積極的に事業が予定されているのですけれども、予算調整をしていて印象に残っているものとして挙げれば、県北・沿岸関係予算が質、量ともに充実が図られていることです。また、振興局に向けての地域振興推進予算も3億円から4億円と大幅増になっていますし、特に沿岸については海洋産業振興や海洋関係研究振興など、そうした中長期の発展につながっていくような新機軸も盛り込まれているところが印象に残っています。

記者
その経済・雇用対策本部会議でのお話についてですが、今般の雇用創出計画で常用雇用4,000人余りを生み出しますという予算を立てられたわけなのですけれども、今現実を踏まえますと求人に対して求職者が大体2万人ぐらいでしょうか、ギャップがあるわけです。それに対して4,000人という考え方、財政事情もあってという、いろいろな考え方があると思うのですが、これはターゲットとした4,000人なのでしょうか。その4,000人以上のところをどのようにカバーしていくのでしょうか。

知事
この4,000人の部分は本当に一人ひとり数え上げて4,000人と、そういう数え上げられるような形で目指していく雇用の確保が4,000人ということです。大まかな計算ですけれども、今回の当初予算は前年当初に比べて400億円の増となっていて、その400億円は200万円ずつであれば2万人を雇えるだけのお金なわけでありまして、これが直接人を雇うというところ以外に産業振興、地域振興とか、あと医療とか、環境とか、生活関係の設備や体制づくりのほうにも回るのですけれども、マクロ的にいえばそうしたものがうまくかみ合って県内を回れば、400億円という規模は論理的にはそういう2万人にもつながる数字でもありますので、まず4,000人というところを手堅く固めつつ、そういう2万人ギャップというのも視野に入るような事業展開ができればよいと思っています。

記者
今年度予算に関しては、国の地方財政対策で何とか乗り切ったと思うのですが、23年度以降は県の見通しでも大きな収支ギャップが見込まれています。地方交付税もどうなるかがまだ不透明なところで、その収支ギャップをどうするか、具体的な対応をどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

知事
確かに今回の国の予算は、非常に例外的な環境の中で例外的なプロセスを経てできた例外的な予算なので、このペースがそのまま続くのかどうかというのは不透明だと思います。一方、全国知事会でも言っているように、今回の地方交付税アップは大変よかったことではあるのですけれども、過去に失われた分の復元ということにはまだなっていないので、そういう意味では、さらなる国から地方への財源移譲ということは求めていかなければならないと思っています。やはりそちらのほうがうまくいきませんと、既に発表しているような600億円とか700億円という数百億円のギャップが毎年続くという予測がありますので、そこはゆめゆめ油断することなく対応していかなければならないと思っています。

記者
それは国からの財源移譲というお話でしたけれども、県内部での財源の確保はもう限界に来ているというような見通しですか。

知事
何もしないというか、予算編成をしないわけにはいきませんので、600億円とか700億円という規模を埋めることを自治体としてやらなければならなくなるのですが、なかなかそれは自治体として期待される役割をきちんと果たしていくという任務との両立が極めて難しくなってくるということです。

記者
予算総額は7,000億円にぎりぎり足りないという状況なのですが、予算を査定するに当たって7,000億円という数字を意識されたのかどうか教えてください。

知事
ここは全然意識していなくて、それぞれ必要性、また厳しい査定を積み重ねてこういう数字になっているというのが実態です。

記者
知事がマニフェストにも掲げていらっしゃったと思うのですけれども、予算の額面だけ見ますと、市街地の活性化が昨年より下がったりですとか少ないという印象を受けたのですが、何かそれについてのお考えをお伺いします。

知事
TMO(タウンマネージメント機関)とか、そういう商店街関係に直接的には今回の予算ではそういう数字になっていますけれども、ほかに雇用対策によって買い物をできるような人の就職、所得の確保といったような間接的なところも入れると、まちのにぎわいのためにいろいろな手を打っているということが言えるのではないかと思います。

記者
今お話を伺って、この予算案を見ながら、私は98年ごろのことを思い出していたのです。小渕内閣のころです。あのころも景気が急速に悪化してヘドロに杭(くい)を打ち込むようなと言われながら、公共事業をどんと入れた。その結果、岩手県においても8,000億円から9,000億円オーダーの予算になり、どうなったかというとその後、それが国及び各自治体の大幅な赤字となってはね返ってきて、この2年前までの厳しい緊縮財政が続いたわけです。となると、今年この予算は、積極財政を打つこと自体の是非は別として、この後のぶり返しがかなり来るのではないかという気がして仕方がないのですけれども、そこら辺のご意見を伺います。

知事
あの時代は、そういうこともあって人口減少が1年1,000人を切ったりとか、そういう効果はあったと思うのですけれども、一方その後の財政悪化につながったというのはそのとおりだと思います。今回は、県債の発行についても臨財債以外は増やさないように厳しいコントロールを県でやっていますし、あとは臨財債を国がこの後、交付税措置をしなくなったら大変なのでしょうが、そこはルールに基づいて必ず臨財債は地方交付税に切りかえるということをきちんと決められたとおりにやってもらいさえすれば悪化していくことはないと考えます。

記者
それともう一点は、あのころの公共事業増加による景気刺激策と今回も基本的に構図は同じですよね。その面において、いわゆる自民党から民主党への政権交代したことによる大きな変化というのはあまり見えないような気もするのですがいかがですか。

知事
先ほど県においては、かつてのような心配はないという話をしたのですが、それは国から地方へのお金の流れをきちんと確保するからということです。では、そうすると国の借金はどうなるのかというのが残るのだと思います。ただ、国の借金がどんどん増えている最大の理由は、今年度もそうなのですが、税収の落ち込みなのです。だから、地方が力をつけて、そして地方経済が安定的に、高度成長でなくてよいので、地方経済がマイナスにならない程度の、そういう足腰の強い地方経済を実現させることで日本全体もマイナス成長に陥らない、順調に経済成長し、税収が伸びるということを確保していくことは中長期的に日本の財政を健全化させていくことに資すると思うのです。調べてみると、公共事業と財政を大盤振る舞いしたことで直接赤字が増えているというよりは、その直後に非常に緊縮財政を行った結果、税収が激しく落ち込んで財政が悪化しているという、そういう急アクセルと急ブレーキの繰り返しによって赤字がどんどん増えていっているということなので、きちんとコンピューターを組み込んだようなブレーキとアクセルをうまく使ってスムーズにやっていけば赤字を増やさないで地方経済を強くして、日本全体の経済、財政の健全化を達成するということはできるのだと思います。そういうことを政治主導でやりましょうということは緒についているのだと思います。

記者
政府の行政刷新会議の事業仕分けの影響が県の予算編成にもあったと思うのですが、具体的にどのようなところで影響があったのか、影響があったならばそれをどのようにカバーしたのかということをお伺いします。

知事
今回の予算の調整の中にはっきりとでてきているところはないのですけれども、中長期的な課題としては産学官連携です。地域の科学技術振興について、いわて未来づくり機構の場で大学関係者や経済関係者の皆さんと議論したのですけれども、激変緩和措置みたいなものがあって、急に困るという話にはなってないのですが、科学技術というのは、岩手でも岩手大学という元国立大学がありますが、国の予算で得られた成果を地域と連携して、さらにそれぞれによいようにしていくという性質のものでありますので、事業仕分けで地域科学技術振興・産学官連携という項目を廃止とされたままで、これからもそれに対応した予算が決まっていくとするとちょっと困ると考えています。

記者
平成20年度は、足場固めの予算だった。昨年は、暴風雨による緊急予算的な、緊急避難的な色彩が強かったと考えれば、今回の予算が達増拓也という県知事のカラーが出たものであると理解してよろしいでしょうか。

知事
そうですね、危機管理的要素はまだ色濃く残ってはいるのですけれども、それと並んで、あるいはそれ以上に中長期的な岩手のあるべき姿を目指していく予算という意味では、大分、達増県政としての指向性やアイデアなどを盛り込めた予算だと思っています。

記者
先ほどの科学技術振興の関連に戻るのですけれども、JST(科学技術振興機構)のイノベーション関係の予算については、岩手で年間1億円だか2億円だかが入っているものが全部廃止ということになるのですが、そういった関連に対しての県政としてのフォローというものもないと考えてよろしいでしょうか。先日はアピールとかあって、そういったものに反対するというお話があったと思うのですが。

知事
県の科学技術関連予算としては、ほかにもコバルト合金などのいろいろ具体的なテーマや、また海洋科学とか、それから岩手ならではの伝統的な農業とか水産業のそういう関係のものなどがいろいろとあり、総体として、県として必要な科学技術予算は確保していかなければならないと思っています。JST関連のものについては、これは国の方にも働きかけながら、国による予算確保を求めていくというのが基本姿勢だと思っています。

記者
小沢幹事長の不起訴が決定し、一区切りというところで、感想を一言お願いします。

知事
当然のことかなというふうに思っています。

記者
FNNの世論調査が、昨日、おとといありまして、小沢幹事長の説明に納得できないが87%、辞任をすべきが70%という結果が出ています。知事は、小沢幹事長の進退についてどういうお考えでしょうか。

知事
幹事長続投ということで、それが当然だと思います。

記者
今の質問の関連ですが、小沢幹事長は嫌疑不十分で不起訴ということになり、嫌疑なしではなかったわけです。知事は身の潔白という意味では証明されたと考えていらっしゃいますか。

知事
結論として無罪潔白なのだと思います。

記者
一方で、元秘書とか3人は起訴ということになりましたけれども、そういった意味では、3人は疑いが強いけれども、小沢幹事長ご本人は潔白という、切り離して考えるべきだということですか。

知事
事の本質は、陸山会が土地を買おうとしたときに、買えないことはないけれども、手元のお金がゼロになると当面困るから銀行から借りようとした。銀行から借りて買うのだけれども、売買の日にちの関係で議員本人が手持ちの現金を一時的に立て替えるということをした。その一時的な立て替えというのをきちんと報告書に書いてなかったという、それは事実なのだと思います。そのとおりなのだと思いますけれども、あとはそれが犯罪になるかどうかというところであります。故意かどうかということも含めてですが。本人がそんなにたくさん現金を持っているということを公にしたくなかったというふうに、その逮捕された人が言っているという報道がなされていますけれども、その少し前には、自分も選挙に出ているので、忙しくてきちんと手続できなかったということも言っています。そういう事柄、事由が混在していたとすれば、本当は収支報告書にきちんと記載しなければならないというのは分かっているのだけれども、身内の間での一時的なお金の立て替えであり、忙しくて手続きを怠ってしまったということであれば、有罪か無罪かという意味では無罪の可能性はあるのだと思います。

記者
今日6時に小沢幹事長は党本部で会見されます。監督責任について、ご本人も、首相も政治的責任はあるというふうにおっしゃっていますが、民主党籍がある知事としてどういうふうに考えていらっしゃいますか。

知事
それは銀行から借りなければならないのですけれども、すぐ払わなければならないと言われ、では手元の現金を使ってよいと承諾したときに、さすがに身内でのお金のやりとりであり、何の違法性もないことだから、それをきちんと届けないというのは想定しなかったのでありましょうが、それを届けなかったことでこれだけの騒ぎになっているわけですから、これからはそういう身内の中でのお金のやりとりもきちんと報告していくというふうに事務所の会計をより厳しくする責任はあると思います。

記者
やめる以外に政治的責任の果たし方は知事はあると考えていらっしゃいますか。

知事
今でも厳しい、政治家事務所の中でも最も厳しいと言われている経理の体制ではありますが、これだけの騒ぎが起きたのだから、もっと厳しくしていくということが政治的な責任のとり方なのではないですか。

記者
馬淵澄夫国土交通相副大臣が公共事業予算の配分の関係で民主党各県連に今までのルートと違う形で配分を伝えたと。自民党は箇所づけという表現を使って非難を加えているわけですけれども、馬淵澄夫副大臣自体は仮配分というような形で、箇所付けではないというおっしゃり方をされています。県連を通じて言われた仮配分の内容について、まず把握されているかということと、あとそういうやり方、方法、手法についてどのように考えているか教えてください。

知事
各県からの陳情、要望、また提案に基づいて作っているものでありましょうから、そういう要望や提案に対する、「今こんな具合に処理していますから」とか、「こんな感じで進めていますから」という途中経過報告があるというのは何ら不自然なことではないと思いますし、また、そういう途中経過の報告にとどまるような性質のことだと思います。それで、民主党岩手県連から県の方にも情報提供がありましたが、去年の秋に、仙台の国交省の出先から、事業予算は大体こんな感じになりますという、まさにそういう途中経過報告みたいなものは来ていたので、大体その線で進んでいるみたいだと、そういう形で私のところでは聞いていました。
なお、先ほど聞いた話なのですけれども、明日には県の国交省の出先から、もう少しきちんとしたものを県に説明してくれるということなので、そういう途中経過報告というのは、県の予算を詰めていくのにも役に立ちますので、よいことだと思います。

記者
一時的には国の方で発表されることか、また民主党県連の方で発表されるかもしれませんが、県としてその内容を公表する考えはありますでしょうか。

知事
公表してよいのであれば、何ら隠しておくようなことではないと思います。

記者
小沢先生の話に戻りますが、今日か、昨日か、石川衆議院議員が離党とか辞任とかしない意向という報道がされているのですが、それについてはどのようにお感じになっていらっしゃいますか。

知事
彼がやってしまってよくないことというのは、先ほどから言っているように身内で一時的に立て替えたお金をきちんと報告していなかったということであって、今後そういうことをしないということ、また、今は秘書ではなく国会議員の立場になっているわけだから、自分のところの事務所でもそういうことはさせないし、きちんと監督するということ。そこが政治的にも、社会的にも求められている責任なのではないかと思います。民主党の衆議院議員候補として全国的にも話題になった選挙区でああいう勝ち方をしている以上、それにきちんとこたえていくという責任は、これはものすごく大きいと思うので、それを全うしてもらえればよいのではないかと思います。

記者
今回の罪名自体は認めているという形だと思うのですが、そうすると今後裁判になって、もし有罪になった場合に民主党にも迷惑をかけるということで、辞職はわからないけれども、離党という選択肢はあるのかなと思うのですが、それについてはどう思われますか。

知事
そういう身内のやりとりをきちんと報告書に書いていなかったということがどれだけの違法性で裁判所が認定するかどうかなのだと思いますけれども、私の感覚からすると無罪になってもおかしくないような性質のことだと思います。そして再発防止策等々、きちんとやらなければならないことや、深く反省しなければならない点は多々あるのですけれども、議員辞職とか離党とかという次元の話ではないと思います。

広聴広報課
以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は2月18日(木曜日)の予定です。

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