平成20年5月7日知事会見記録

ID番号 N11936 更新日 平成26年1月16日

印刷

(平成20年5月7日 10時31分から11時6分)

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
最初に、知事から発表があります。
それでは、知事お願いします。

知事
今日の発表事項は、南米訪問についてです。6月8日から6月18日までブラジル連邦共和国及びパラグアイ共和国を訪問します。今年はブラジル岩手県人会が創立50周年を迎え、6月15日、サンパウロ市において記念式典が行われる予定ですので、これに出席し、祝意を表するとともに激励することを主な目的としています。
また、パラグアイには岩手県人会が3団体ありますので、この機会にこれらの県人会も訪問し、懇談し、激励することとしています。さらに、リオデジャネイロにある駐ブラジル第3代公使、盛岡市出身であります杉村濬公使のお墓参りも行う予定です。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
幹事社さんよろしくお願いいたします。

幹事社
ただいまの発表事項について、各社から質問があればお願いします。

記者
ブラジルの入植者は、半世紀という長い年月の歴史があると思います。この入植者の方々に対しての知事の思い、南米訪問についての意義を一言聞かせてください。

知事
私は、今現在、岩手県に住民票がある人だけが岩手県民というわけではないと思っていまして、岩手出身で今岩手以外のところで働いたり、生活したりしている人たち、また、ご先祖が岩手出身だとか、そういう岩手にゆかりがある人、またこれから岩手に行こうとしている人も含めて岩手県民あるいは岩手県人と見てよいのではないかと思っています。そういう中で南米に渡って、そして開拓をして苦労して、そこで新しい生活をつくっていった皆さんは、やはり同胞として、今どういうふうになっているかということを岩手の側でも確認したいと思いますし、また、岩手が今どうなっているかということをぜひ直接お伝えして、遠く離れてはいるけれども、同じ岩手人として心を通わせることができればよいと思っています。

記者
ちょっと細かい点なのですけれども、恐らく知事が出張する日程の時期に6月定例県議会が招集されて開会するころだと思いますが、議会対応をどうされるのでしょうか。
また、出張中に職務代理者を置くのかどうかという点もお伺いします。

知事
議会については、議会議長さんも一緒に行きますので、そこは議会運営に差し障りないような形に調整していけると思っています。
出張期間中の体制等については、まだ詰めていませんけれども、過去も同種の長期出張、長期海外出張があったと思いますので、それを参考にしながら適切に対応したいと思います。

記者
杉村濬さんについて、知事がどのような方だと思っていらっしゃるのか。今回墓参をすると決めたのはどういう理由からか教えてください。

知事
地球全体をフィールドとして、その中で岩手人がどう自己実現していくのかという発想でブラジル移民の推進ということに力を入れて行って、その結果、大勢の移民の皆さんが経済的にも、また社会的にも成功して広い地球を舞台に活躍する礎となられた方なのだと思います。そういう岩手というところから出発して地球全体を視野に入れて行動し、そして岩手人の自己実現を目指していったという思いをしっかり受け継いでいきたいという思いでお墓参りをさせていただこうと思っています。

幹事社
本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がありませんので、各社から質問があればお願いします。

記者
前に何度も聞いていますが、平泉の世界遺産登録について改めてお伺いします。間もなくイコモスの勧告ですが、それに対して県の準備の状況をお聞かせ願います。

知事
今日の庁議でも、平泉の文化遺産の確実な保存と、理念の確認の作業、地域振興的な作業、観光産業振興的な作業が、それぞればらばらにならないようにきちんと連携をとり、お互いの進捗状況を確認しながらオール県庁、オール岩手県として進めていこうということを確認したところです。

記者
まず登録を前提に動いていると思うのですが、登録という勧告になった場合、具体的に県としてどのようなことを進めていくのかお伺いします。

知事
世界遺産登録から1年間を「いわて平泉年」とするというところから始まりまして、知事本人が移動県庁的なことを平泉で行うとか、県民挙げて平泉の理念、価値を確認し、共有するという作業、これは教育委員会の色々な取り組みも含めて行っていきます。そして7、8、9の3カ月間はJR東日本さんとも連携した観光キャンペーンが予定されていますし、そうした観光振興的なことも一気に展開していくというようなことが大体の全貌になっています。

記者
知事室の奥に祭壇をつくって日々お祈りしていると思いますが、成就の兆しみたいなものはありますか。

知事
秘密の儀式についてはあまり細かくは語らないものですけれども、いずれにせよ日本有数、世界に通用する理念と価値があるという確信は、私の中でも日に日に深まっています。平和、そして環境の理念、またそれを本当に形にする芸術性の高い仏閣や庭園でありますとか、それを裏付ける様々な遺跡群など、これらは昔から県民の財産だったわけですし、また、国宝に指定されているものもあって、日本国民の財産でもあったのです。これらを世界人類共通の遺産とすることでテロとの戦いとか、地球環境問題とか、そういう平和や環境の問題でいま一つ何が本当かというのがよくわからないで悩んでいる人類全体に対して貢献したいという思いが募っているところです。そのためにも、ユネスコには世界遺産登録という判断をしてほしいという思いがますます募っているところです。

記者
岩手競馬について伺います。開幕から大体1カ月たったのですが、売り上げが計画額を今年も下回っているようなのですが、現状をどうお考えでしょうか。

知事
色々分析しているところです。まだ1カ月くらいですけれども、1つは入場者数はそれほど落ちていないし、むしろ日によっては去年より入場者数が増えている。しかし、売り上げは四、五%計画に届かないということで、1人当たりの購買量が減っている。その原因としては最近の諸物価の値上がりとか、岩手競馬の利用者は約45%、半分近くが60歳以上の方々なので、その方々の懐具合が厳しくなっているのではないか、そうした分析を今行っているところです。

記者
その入場者数を維持しながらも売り上げが落ちているという状況なのですが、今年も収支均衡を果たさなければいけないと思うのですが、そのために今後どうやっていくのかお伺いします。

知事
収支均衡は、これは「MUST」ですから、達成させるわけでありまして、そのためには2つ、売上増を目指して行う努力と工夫、そしてもう一つのコストの見直しについても、これは既に新計画で定められた運営協議会を既に開催しており、売上が計画に足りない場合にはコスト削減を行うという方向性は、関係者の意思確認ができているところです。東幹久さんのコマーシャルの放映とか、次の週末からは種付け権を争うスタリオンシリーズの企画もありますので、そういう潜在需要を掘り起こす工夫と努力と、あとはいざとなったらコスト調整という、その両輪で運営していくことになります。

記者
隣県で鳥インフルエンザウイルスが検出され、岩手県の対応に関してプレスリリースが出ているのですけれども、改めてこの状況についてどのように受けとめているのかお伺いします。

知事
きちんと対応しなければならないと思います。十和田湖から半径30キロ以内に岩手県の一部も入っていますから、きちんとチェックしていくということです。あとは岩手全域で一定規模以上の養鶏場のチェックもして、万全な体制を講じているところです。お隣韓国では、一斉に広がって消毒やチェックなど、かなり大変な対策になっていますので、そうならないように祈りつつ、必要な対応をきちんとしていくことだと思っています。

記者
県からのプレスリリースの中で、農林水産省が決定した消毒の概要というところに「必要と判断したところにも消毒をする」という内容の記載があるのですけれども、具体的にどういった施設に行うというお考えはあるのでしょうか。

知事
国のガイドラインは、十和田湖周辺30キロ以内のところということだったと思うのですけれども、岩手全県において1,000羽以上の規模の養鶏場については、知事の判断により全部同じようなチェック、消毒をする対象にしているところです。

記者
今後、関係部署と知事を交えて何か対策を練るような機会というのは設ける予定はあるのですか。

知事
関係部署の連絡会議については、養鶏を見ている農林水産関係の部署と、野生動物の所管をしている環境生活関係を中心に部署横断的な会議を既に開催しているところでありまして、私が出席するような会議はまだ開いていませんが、必要になればいつでも開くところです。ゴールデンウイーク中にも何かあればそれをしなければならないかなと思っていたのですけれども、幸い私が出なければならない会議を開くところまでは事態はまだ深刻化していませんので、そうならないことを引き続き祈りつつ、今やるべきことをきちんとやるというところです。

記者
県の総合計画について何点かお聞きします。
2月定例県議会の所信表明の際に、知事は次の総合計画について、県民とともにつくっていきたいというお考えを示されましたけれども、現行の総合計画というのは2010年度までの計画期間になっています。2010年度といいますと、知事の1期目の任期最終年度になると思いますが、今の現行の計画を前倒しして、次の計画をつくるお考えなのでしょうか、それとも2010年度以降に次の計画をつくるお考えでしょうか。

知事
どういう段取りで次の総合計画を決めていくか、また何年をスタートにするかということについては、まだ本格的な協議には入っていなくて、まずそういったことが論点だというようなことは既に総合政策部と私との協議の中で、そこを早く決めなければならないということは確認しているけれども、まだ決めてはいないところです。これはオール岩手でやっていく作業ですから、総合政策部だけではなく、他の部の色々な考え方とか意見も参考にしながら決めていくことになりますけれども、中身にもよると思います。今の総合計画から大きく変更が無いような内容であれば今の総合計画をきちんと終わらせてからという感じでありましょうが、新機軸というか、新しい方向性みたいなものを早目に出したほうが良いということであれば前倒しもあり得ることだと思います。

記者
知事は、現行の総合計画を基にして後期実施計画に位置付ける「いわて希望創造プラン」をつくったのですけれども、次期総合計画をつくる場合にどういう計画にしたいのか今の段階で何かお考えがあるのでしょうか。

知事
当たり前の答えで恐縮ではありますが、長期的な計画ということです。これは色々なところから達増県政としてもっと長期的視野で色々取り組むべきではないかという意見が県庁の外から聞こえてきています。いわて希望創造プランは、私の知事選のときのマニフェストを大きく反映しているのですけれども、これはこの4年間で直面している危機的状況の中でも特に大事なことをまず4年間で、火事にたとえれば鎮圧、消火するというようなものでありますので、かなり緊急対応的なもので、そういう中でやはり先立つものがしっかりしないとということで所得の問題ですとか、人口流出との関係で雇用や人口の社会減対応、そして医療破壊の問題というのが非常に大きな課題としてあるので、まずそこをきちんと対応するというのを中心とした4ケ年計画になっているわけです。岩手とはそもそもどういう県なのかとか、この21世紀の情報化、グローバル化の時代にあって、県というものはどういう役割を果たすべきなのかとか、あとは岩手人、岩手県民というものは今後10年、20年あるいは100年というスパンの中でどのようになっていけば良いのかというようなことを踏まえた長期計画をつくらなければならないと思っています。そういう長期的な視点というのは、希望創造プランにはあまり出ていないわけでありまして、そこが大きな違いになると思います。

記者
ゴールデンウイーク期間中、お休みとられたかと思うのですけれども、改めてどんな休みだったかということと、どのように過ごされたのか、簡単に教えてください。

知事
盛岡市内を散策したり、沿岸に日帰りで行き、遊覧船に家族で乗ってウミネコにパンをやったり、山のほうにも行って牛とか羊とかを見たりして帰ってきました。あとは、県職員の岩手競馬ファンクラブの人たちと一緒にオーロパークに行って視察したり、遠野の馬の里に行って見物したりして過ごしました。
改めて岩手の海、山、街が持っている潜在力の高さを感じました。また、それぞれのところで働いている人、生活している人たちが非常にセンスよくやっていると思いました。最近、新聞に載ったりし、話題になっている葛巻の森と風のがっこうにも行ってお茶を飲んで帰ってきました。非常に泥くさい、土くさいようなことをやると同時に、ヨーロッパの洒落たおもちゃを輸入し、それを販売するなど、循環型生活ということを実践を通じて子供にもわかるように、むしろ子供からわかるようにしていくという趣旨のNPO団体で、非常にセンスが良いと思いました。
岩手の風土の成せる業というところもあると思いますが、本当に美しい自然とか、本当においしい食べ物とか、そういう本物に囲まれて暮らしてきていて、また、宮澤賢治や石川啄木といった本当にセンスの良い先人にも恵まれて、そういう中で、ファッショナブルというようなセンスの良さではないのですが、筋の通ったセンスの良さというのでしょうか、本物を見極めて、それをきちんと伝えられるようなセンスの良さというのが岩手にはあるということを感じました。是非それを内部的に確かめ合いながら、対外的に発信していきたいと改めて思いました。

記者
ふだんから色々と県内回られて視察などをされているかと思うのですが、また私服で行くという部分では違ったものを感じられたということですが、これから2年目に入るわけなのですけれども、それに向けて十分英気を養われたかお伺いします。

知事
休みというのは本当によいですね。私は休みが大好きで、そこは十分満喫したという感じがいたします。好きな所に好きな時に自由に行くということは物すごく好きなので、そういうことを一人で、あるいは家族で楽しむことができ、英気を養うことができました。
あと、2年目ということについては、4月30日が正式な任期の2年目のスタートなのですけれども、30日は休んでいたところへ暫定税率の国会議決が急に入ってきて、県の条例の専決処分をしなければならない、決裁をしなければならないとか、鳥インフルエンザ関係の緊急情報が入ってきたりしました。思えば去年の4月30日も、その日は休日だったのですけれども、知事公館に副知事、出納長に来てもらって面談したり、西和賀の山林火災があって、緊急連絡が入ってきたりしました。翌5月1日はメーデーで始まるわけで、同じようなスタートをもう一回やっているという印象を持ったですが、そこは2年目だからどうこうというより、やはり初心忘るべからずで、1年目と同じようにやっていこうという思いを新たにしているところです。

記者
ちょっと前の話になるのですけれども、4月末に山口の衆院2区補選があり、それで自民党候補が民主党候補に大敗しましたけれども、それに関して知事として感じるところがあればお聞かせ願います。

知事
補欠選挙で野党が勝つというのは容易なことではないので、大変なことが起きたと。しかも、2万票ぐらいの差というのは物すごいことが起きたと思っています。ですから、そこの小選挙区だけの論理からいきますと、こういう結果にはならないと思うので、やはり全国的な一つの民意の流れが反映された結果であると思っています。

記者
岩手競馬についてですけれども、今、民間委託先の選定が進んでいると思うのですが、もしも委託契約が成立して収支がマイナスになった場合でも廃止の可能性というのはあるのでしょうか。

知事
大前提として、今の運営方法より悪い方法にはしない、今の方法より良いと認定されないと民間委託の大幅拡大にはなりません。競馬組合が赤字になることが絶対に無いような仕組みとして民間委託の拡大を考えているわけでありまして、委託先から競馬事業の収益の中から一定額とか、一定割合とかが必ず競馬組合に入る、分かりにくいとすれば、岩手県に黒字が確実に入ってくるような仕組みを念頭に置いて募集をしているわけです。その場合、万一、売上よりコストが多いことになった場合の赤字は企業がかぶる。しかし、そのリスクを冒しても、もうかれば一定割合が民間企業の利益になるそういう可能性にかけようという意思や、そう簡単には赤字にならないし、しない、県も企業の側も得をするような経営計画の提案を募集しているところです。

記者
もしも、今年度赤字だった場合というのはどうなるのでしょうか。

知事
去年以降、赤字になった場合は、岩手競馬は廃止と決まっているので、そういうルールに従って、その後の運命は決まります。

記者
ガソリンの暫定税率が復活しまして、そのお金を何に使うかと色々と議論が行われていますけれども、知事はどのような使い道が適当とお考えでしょうか。

知事
端的に言えば、地方が自由に決められるようにすれば良いのだと思います。そういう中で、必要な道路をつくる財源を確保したり、あるいはそれよりも何か緊急性の高い分野があればそれに使うとかということをそれぞれ地方自治体が自由に決められるようにするというのがあるべきあり方だと思います。
ちなみに、休み中にCNNを見ていたら、ヒラリー・クリントン大統領候補予定者が「ガソリンタックスホリデーを検討します。」ということを言っていました。つまりガソリン税を一定期間だけ減税するということです。アメリカでも原油高でガソリンが高くなっていて、それで庶民は「困った、困った」と言っている。それで、ヒラリー・クリントンさんは、一定期間減税することを自分は検討するというようなことを言っていました。そういう意味で、実はゴールデンウイーク期間中だけ減税するようなことは国のかじ取りとしては十分あり得る話なのに、何か正反対のことが起きてしまっているとテレビを見ていて思いました。

広聴広報課
それでは、これをもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は5月19日(月曜日)の予定です。

このページに関するお問い合わせ

政策企画部 広聴広報課 報道担当
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
電話番号:019-629-5285 ファクス番号:019-651-4865
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。