平成20年5月26日知事会見記録

ID番号 N11932 更新日 平成26年1月16日

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(平成20年5月26日 9時17分から9時46分)

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
本日は知事からの発表事項はございませんので、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
それでは、幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はありませんので、各社から質問があればお願いします。

記者
イコモスの勧告が先週なされて数日たったわけですけれども、この間に奥州市、一関市、平泉町との協議などがあったかと思います。また、土日の期間に文化庁等との対応もあったかと思います。今後どのような具体的な対応を考えているのかお聞かせください。参考までに、島根の場合ですと、例えばパリに県職員を派遣して働きかけに関与したり、文化庁の担当者が改めて石見銀山を視察したりとかがありました。
また、近藤大使は事前に平泉に来ていますけれども、石見銀山の場合は勧告後に入っています。そのような日程等があるか否かについても含めてお聞かせください。

知事
今日、文化庁で政府の担当と、地元側の県と市町の担当で作戦会議のようなことを行いますので、そこで具体的に何をやるかという話が決まってくるのではないかと思います。その場合に、石見銀山の場合にとられたようなことが一つ参考になってくると思います。

記者
関連で伺いますけれども、作戦会議のようなことというのは具体的な名称はありますか。あと石見銀山の登録の際にとられたようなそういう一連のプロセスが参考になるということですが、島根県の担当者とか、文化庁の担当者の方々の先例を色々聞いてどういう作戦を練るかということもお考えになっていくおつもりでしょうか。

知事
具体的な名称というのは、特にありません。
石見銀山のケースについては既に色々なルートを通じて、石見銀山が実際登録されるまで、また登録された後、色々な情報を聞いていましたので、その中から特に今回必要なものについては今日の会議などで整理されると思います。
 

記者
勧告後に、巻き返しの先頭となるユネスコ大使と連絡を取り合っているかと思うのですが、今後の対応についてどういったお話をされているか教えてください。

知事
まず、勧告の中身の分析が第一なので、それをきちんとやって、どういった対応が必要なのか、またどういった対応ができるのか、それを関係者間で打ち合わせをして、そして働きかけを行っていこうということを確認しました。

記者
働きかけの具体的なところまでは話し合っていませんか。

知事
そこは内容の分析によります。

記者
今の平泉世界遺産登録に関連してなのですが、今朝、庁議が開かれたと思います。この庁議の場ではどういう報告があって、知事からどういう指示をされたのか、そのご説明をお願いします。

知事
教育長から、金曜日午前中の記者会見で報告した事実関係について報告があり、そして今日、東京の文化庁で打ち合わせをするという報告がありました。
私からは、平泉の価値そのものが否定されているわけでは全然なく、また平泉に今の世界が必要としている平和や環境のそういう価値、理念というものがあるのは確かなので、平泉の文化遺産は岩手県民のためというよりも世界の人々のために世界遺産登録されるにふさわしいこと、また、それぞれ今世界のあちらこちらで平和や環境に関して悩んでいる人たちが、800年前、900年前に平和や環境の理念を地方に実現していたということがわかり、自分なりの答えを見つけるのに平泉の文化遺産は貢献できると思うので、そのためにも登録を目指して頑張りたいということを言いました。

記者
平泉の関係でもう一点、世界遺産委員会まで6週間ないわけですけれども、その期間というのは、巻き返しをするのに十分な時間だと思うのか、あるいは短いと考えるのか、その認識を教えてください。

知事
これは与えられた時間しかありませんから、良いも悪いもないので、それをどう使っていくかということを関係者と相談しながら決めていきたいと思います。

記者
関連してお伺いします。知事が自らこの件に関して、文化庁なり、外務省なり、あるいはフランス、パリとか、そういうところまで行って働きかけとか、平泉の良さをアピールするようなお考えはありますか。

知事
そこは今日の打ち合わせの中である程度議論されるかもしれませんけれども、まずは勧告の内容の分析が先決です。

記者
知事自身はそういう考えはないですか。

知事
これは関係者できちんと調整しながら進めていくことが大事だと思っていますので、一種先走るというか、政府の意向と離れて勝手に何かやるというのは好ましくないと思っています。

記者
今の点について、政府の意向云々というのはあるとして、知事ご自身として、やはりパリで直接アピールしたいという意欲があるかないかという点についてお聞かせください。

知事
意向というよりは現状分析が先です。やりたい、やりたくないという次元で動いてよい話ではないので、何をやることが効果的か、また何をやることはかえって逆効果かということをきちんと分析した上でないと無責任だと思うので、そういう意味でまず今は分析の段階だと思っています。

記者
改めて、近藤大使と勧告が出た後にお話しになったことについてお聞かせください。

知事
まず登録延期という勧告の内容について改めて確認し、そして勧告の内容についてきちんと分析をして、そしてどこにどういうふうに働きかけていけばよいかということを国の担当と、そして地元の関係者との間ですり合わせてきちんと対応していこうということを確認しました。

記者
この勧告内容により、これからの事業等で何か今の段階で変更をすることを検討しているものがあったら教えてください。

知事
まず勧告内容の分析が先決なのですけれども、基本的には日本側から提出しているその申請書の趣旨を関係国に、そしてユネスコとイコモスに理解してもらうということが基本でありましょうから、そういう観点からして県として準備している事業で何かを中止しなければならないというのはないと思います。

記者
岩手競馬について伺います。今日で1期目が終わるのですが、売り上げが計画値を下まわっている思います。その対応策とコスト調整をする予定が現時点であるかどうかについてお伺いします。

知事
まず、目標に達しないのは残念なことですが、そうした事態に備えて競馬の運営協議会が設置されており、この水沢シリーズが終わった段階で協議をすることになっていますから、そこでコスト調整、売り上げの拡大、そうしたあらゆる手段を組み合わせて黒字化、収支の均衡を図る協議が行われると考えています。

記者
売り上げ拡大かコスト調整のどちらかか又は両方でやっていくと思うのですが、今の状況だと何らかのコスト調整がもう避けられない状況だと思います。現時点で知事のお考えはいかがでしょうか。

知事
その点については、専門家が集まって協議することになっていますので、その中でこれだけのことができる、このくらい見通せる、しかしこのくらい足りないといった協議の中でコスト調整のあり方についても決まってくると考えています。

記者
次に民間委託のことで伺います。日本ユニシスからの提案内容はかなり厳しい内容だと思うのですが、それについての感想と、今後交渉していくうえでポイントになる点があればお伺いします。

知事
ポイントは、今のやり方より良いかどうかということです。そもそも岩手競馬を持続的に経営していくということで新しい計画、いわゆる新計画というスキームが組まれて、それで絶対赤字にしないという体制ができたわけです。それで、平成19年度に数年ぶりの黒字が実現したわけでありますが、より良い、より安定的で、持続可能で、また競馬ファンの期待にもこたえられるようなやり方がほかにないかということは検討していかなければならない。このことは、監視委員会からも指摘され、また競馬組合議会の勧告という形でも指摘されているところですので、そういったことも踏まえて競馬組合、そして構成団体としても、より良いやり方があるのではないかという可能性を追求する、その一環として民間委託の大幅拡大という募集を行い、2社の応募の中から日本ユニシスさんが最優秀企画提案として選ばれたことから、次は今のやり方と比べてどうかということです。
昨日のプレゼンテーション、質疑応答を通じて、まだ抽象的な部分が多いということでしたので、具体的な協議といいますか、交渉の中で、具体的にされていくかどうかということです。その交渉に入るかどうかの決断は今週28日の競馬組合議会の際に、管理者と副管理者が集まりますので、その場で今のやり方よりも良いかどうかということを探るための交渉に入るかどうかを決断することになるのではないかと思います。
今、色々なことを詰め込んで話しましたが、日本ユニシスさんと具体的な交渉に入るかどうか、それはまだ決まっていないわけであり、2社の企画提案の中では最優秀ということが決まったところです。具体的な交渉に入るかどうかという決断は管理者、副管理者が会議を行い、別途意思決定をする必要がありますので、28日をめどに決めたいと思っています。

記者
岩手競馬に関連して伺います。企画提案の中身について、まだ具体性がないということではありますけれども、盛岡競馬場での平日開催とか、公社の廃止とか、競馬組合が考えたのであればなかなか出てこないような発想が盛り込まれています。単純にこういった発想自体について、知事自身はどのようにお受け止めになりましたでしょうか。

知事
経営や、また競馬固有の色々なやり方については、これは私自身の判断より競馬の専門家や競馬関係の知見を有する方々の意見を参考にしながら判断をしていく必要があると思っています。構成団体の長という立場もあり、ひとつ私としても意見があり得るのは、330億円融資に関連してです。これはあくまで融資であり、したがって利子の支払い、そして基本的には元本の返還ということもあって330億円の融資が認められ、岩手競馬の存続が認められたという経緯があります。ですから、県民の民意からして、融資でなくなくなる、例えば売り上げがかなり上がっても元本返済が無いというスキームでは、岩手競馬存続の民意に反するおそれがあるので、その辺りがまだ抽象的だということについては、私は少し気になっているところです。

記者
同じような質問になってしまうのかもしれないのですけれども、そうではありつつも、なかなかこういった大胆な切り込んだ発想がないと岩手競馬の再生はなかなか容易ではないと思うのですけれども、率直にこういったこれまでタブー視されてきたようなことに切り込むことについてはどのようにお考えでしょうか。

知事
今より良い方法が無いかということで、色々な知恵を絞り、発想をどんどん広げるということは非常に大事なことであって、そういう意味では民間委託の拡大というテーマで募集をしたことにある程度こたえてもらっているという感じはします。ただ、発想とか考え方の基本については良いと思いますが、その数字や実現可能性などの点でやはり今の段階ではまだ抽象的と思っています。

記者
今週末に移動県庁が県北地域であります。県北地域は雇用とか色々課題を抱えておりますが、今回この点に着目したいとか、そういった考えを教えてください。

知事
29日、30日の木曜日と金曜日に移動県庁の県北版を行います。この間もそうだったのですけれども、明鏡止水、先入観をなしにしてまず現地に赴くことが大事と思っています。特に現地に入る意義を考えると、あらかじめこうじゃないかとか、こういう方向に持っていこうというものを持って現地入りするよりは、頭を空っぽにして真っ白な状態で現地入りした方がよいと思っています。

記者
岩手競馬について伺います。先ほどの質問でも出ましたとおり、開幕から2カ月、今日で水沢開催が一区切りつくわけなのですけれども、まずは売り上げが計画に達していないというこの状況について、原因として県内経済低迷、原油価格高騰など色々な要因があるかと思われますけれども、知事はこの辺の原因をどのように分析されていますでしょうか。

知事
絶対この原因だということは言えないのですが、今指摘のあったような県民経済の低迷や諸物価の値上がりといったことが影響しているとは思います。

記者
一方で、コスト削減の影響で去年、おととしに比べてかなり賞典費も下がって、馬が集まらなくて一種のデフレスパイラルに陥っている部分にも影響があるというふうにも言われているのですけれども、その辺については何かお感じになっている部分はございますでしょうか。

知事
馬資源については計画したレースを行うくらいは集まっていると思いますが、今いる馬をより魅力的に売り出す工夫やレースの編成の工夫の余地は多々あるし、またできることもあると思います。

記者
週末から、盛岡競馬場でのレースが開幕するわけですけれども、この辺での巻き返しに向けた決意があればお聞かせください。

知事
東幹久さんのコマーシャルもあります。わざわざ早朝の盛岡競馬場で馬の世話をするというロケを行い、テレビコマーシャルを作ってもらいました。盛岡開催ということで、また心機一転といいますか、岩手競馬の安定的な、持続可能な経営ということでファンの皆様の期待にこたえていければと思います。

記者
平泉世界遺産登録の関係についてお伺いします。登録延期という勧告がなされましたけれども、先日の移動県庁の中で、平泉は現地で盛り上がっていても沿岸、県北など、全県的に必ずしも平泉の理念とかといったものがなかなか伝わりきれていないという指摘も振興局長などから出されました。改めてこういった勧告が出たということで、県民の意識の盛り上げというものをどう醸成していくべきか、知事のご決意と併せてお聞かせください。

知事
地域振興あるいは観光振興の文脈で平泉効果とでもいうようなものを平泉以外の地域にどう波及させていくかの最大のポイントは、その場所の独自の地域資源をどれだけ発掘できるかということにかかっているのではないかと思います。つまり、平泉との関係もさることながら県北にせよ、沿岸にせよ、あるいは盛岡周辺にせよ、そこの独自のものを改めて発掘して対外的にアピールする体制をとってもらえば、あとは平泉とリンクさせることは、むしろそれは広報パンフレットをつくる側とか、会議とか、色々な場でやりますので、要は自分の足元を見ていただくことだと思っています。そして、岩手のそういう地域の農林水産物、郷土芸能、また観光関係の自然や文化、それは根っこは全部平泉と共通するところが必ずあるわけでありまして、人と人との共生、人と自然との共生、縄文以来のそういう人と自然が一緒になってはぐくんできた伝統というようなものの上に全部乗っかっている。だから、そのリンクについては、それはもう私をはじめ我々がどうにかしますから、とにかく地域資源を発掘し、その機会に売り出す覚悟を持ってもらうことが一番大事だと思っています。また、平泉にこういう勧告がイコモスから出たということは、だからこそむしろそれぞれが独自性の発揮に更に力を入れてもらって、むしろ平泉をサポートするという勢いが必要なのではないかと思っています。

記者
平泉の件で補足でお聞きします。先ほども出ていましたが、6週間という限られた時間の中で、今後、分析が重要だとは思うのですけれども、この分析から行動に移る時間的なめどは、どのようにお考えでしょうか。

知事
石見銀山のときには勧告から1週間後ぐらいに具体的な動きが始まったと聞いているので、それが一つの目安だと思います。

記者
仮の話なのですが、分析の結果、外交ルートでの交渉、働きかけが必要となった場合に、知事は外務省出身でありますけれども、ご自身の外交ルートのパイプなどを使って登録に向けた行動をすることについて、その辺はどのようにお考えでしょうか。

知事
そこは外交の専門家、外務省の担当の意見も聞きながら工夫していきたいと思います。

広聴広報課
それでは、これをもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は6月3日(火曜日)の予定です。

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