平成20年6月3日知事会見記録

ID番号 N11930 更新日 平成26年1月16日

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(平成20年6月3日 10時30分から11時21分)

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。最初に、知事から発表があります。それでは、知事お願いいたします。

知事
2つ発表事項があります。
1つは、広域振興局体制の整備の基本的考え方の素案の公表についてです。県では、地方分権が大きな流れとなる中、県と市町村との適切な役割分担のもと、地域として直面するさまざまな課題に対応していくため、地域としての自立を高める最適な枠組みとして、平成18年3月に設定した4広域振興圏において、平成22年4月から1広域振興圏1広域振興局体制に移行することとして、本日、その移行に向けた基本的考え方の素案を公表します。
移行の時期については、広域振興圏の設定時、「おおむね10年後を目安に広域振興局体制による完結性の高い広域行政の実現を目指す」こととしていましたが、広域振興圏の設定後の人口減少傾向が顕著であること、県北・沿岸圏域においては市町村民所得が伸び悩み、企業集積が一層進展する県央、県南圏域との格差の拡大が懸念されること、いわて希望創造プランの重点目標を実現していくことから、広域的、専門的な観点から産業振興施策などを展開できる体制の構築が待ったなしの状況にあると考え、また平成17年12月の県議会での「県南広域振興局以外の広域振興局についても可能な限り早期に設置されたい」旨の附帯意見なども踏まえ、平成22年4月から移行することと判断したところです。
なお、本日の公表内容は、今後の具体的な組織のあり方を検討していくための素案であり、今後具体的な組織体制や機能などについては県民の皆さんや市町村などからのご意見もいただきながら検討を進めていきたいと思います。
今日から1カ月間、パブリックコメントを行うことといたしました。また、県民の皆様から直接ご意見をお伺いする機会として地域説明会を6月11日から17日まで県内12カ所で開催します。多くの県民の皆さんにこれからの広域振興局のあり方について関心を持っていただき、県民の力となれる広域振興局に作り上げるため、数多くのご意見を期待しています。
次に、2番目の発表事項、いわて公共サービス・マッチングシステムについてです。これは企業の地域貢献活動支援でありまして、県では近年活発化している民間企業が地域貢献活動として実施しているさまざまな公共的活動と県の行う行政サービスとのタイアップを進め、県と民間企業との一層の連携による県民サービスの向上を図るため、いわて公共サービス・マッチングシステムを今日から稼働することといたしました。これまでにも官民協働の取り組みについてはNPOとの協働をはじめ庁内各部局と民間企業とのさまざまな取り組みが行われてきましたが、県からの委託費や補助金などの特段の事業費の支出を伴わない民間企業の地域貢献活動、いわゆるCSRについても岩手県集中改革プログラムに掲げる民間力、地域力が最大限に発揮される仕組みづくりの一環としてこれまで以上に多くの企業が県とのさまざまな連携を進めやすいように環境を整備するものであります。
具体的な仕組みについては、お手元に配付した資料のとおりですが、主な内容としては、県のホームページに専用のページを立ち上げ、民間企業と連携可能な事業の情報を一覧表示するとともに、民間企業からの提案の受け付けや調整を行う窓口を総合政策部に一元化し、これまで事業ごとにばらばらに行われていた情報提供や事業連携の調整について集約し、見える化することで企業の地域貢献活動の連携の利便性向上と機会の公平性や透明性の確保を図るものです。この取り組みにより、これまでのNPOやコミュニティーとの協働に加え、民間企業も含めた多様な主体との協働が活発化するものと期待しています。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
それでは、先ほどの知事からの発表事項について、各社から質問があればお願いいたします。

記者
先行している県南広域振興局の課題が示されていますけれども、平成22年度の全体の移行を前に課題として出ている部分の改善を先行して進めるという考え方はありますでしょうか。

知事
今県南広域振興局で行われていることをそのまま他の広域振興局でもやるということではありません。県南広域振興局についてもよりよいやり方というのを追求していくわけですし、また他のところもそうでありますので、ある意味県南広域振興局も含めて平成22年に4広域振興局体制の新しいスタートという感覚で取り組んでいくとよいのではないかと考えています。

記者
確認ですけれども、その22年度にスタートするまで県南広域振興局では、本局以外にある総合支局と行政センターは変えないということでよろしいですか。

知事
そこは色々と県南広域振興局のあり方についてもご意見伺いながら進めていきたいと思います。

記者
広域振興局体制に関しては4つの広域振興局の本局をどこに設置するのかというのが一つの焦点になってくると思うのですけれども、今後どこに設置するのかという部分はいつごろ、どのような形で県民に示していくのかお考えをお聞かせください。

知事
まず、県として素案という形で基本的考え方をお示しするのは初めてですので、こうした基本的考え方についての理解が県全体に浸透すること、そういう中で色々な地域からの意見が寄せられること、そうしたことを踏まえて具体的な場所やあり方については決めていけばよいと考えています。

記者
そうしますと、今のところ示す時期とかは未定ということなのでしょうか。

知事
平成22年4月に間に合うようにということですけれども、今のところ明確な締め切りを突きつけるような形で何か押しつけるということではなく、まず全体の基本的考え方について認識を共有し、そして意見を伺うというところから始めようと考えています。

記者
資料に本庁、広域振興局、行政センター、それぞれの役割分担について色々書いてあるのですが、知事ご自身の言葉でその役割分担の方向性についてのお考えをお聞かせください。

知事
議論が色々混乱しているところで、本庁からの独立性をめぐり、「振興局限りで物事が決められるように」という話があるのですけれども、地方自治の原理原則からいって、すべての行政は基本的に知事の名において行われるものでありますし、そして知事が議会に対して責任を負っているということで民主的なチェックもできますから、そういう民主的なチェックから離れて現地ですべて決めてしまうということはできないと思っています。ただ逆に「知ることこそ知事の仕事」と言っているのですけれども、知ることが一番できるのは暮らしや仕事の現場の中に入り込んでやっている現地の担当職員ですから、そこから上がってくる情報や意見というのを最大限尊重して物事を決めていく。いわば振興局の意見というものが実質的にはそのまま知事の意見というか、県の意見になっていくというような、そういう運用上の工夫をすることでトップダウンとボトムアップの適切なバランスという形で地域に根差した適切な行政を県民に責任ある形で進めていくということが可能になると考えています。

記者
現時点での基本的な考え方として、県南広域振興局の総合支局は廃止して4つの広域振興局の本局、プラス8つの行政センターということでよろしいのでしょうか。

知事
そこはちょっと素案の文書を読んでいただきたいところでありまして、素案5ページ(3)組織体制、「1 各広域振興局の体制については、これまでの課題を踏まえた見直し後の県南広域振興局の体制を基本としながらも産業構造などの地域特性に応じたものとします。」そして、「2 各広域振興局の業務については、できるだけ本局集約の方法としますが、サービスの受け手に近いところで実施することが効果的なものは行政センターで行います。」ということです。

記者
今のところでは振興局の本局、プラス行政センターの体制ということですか。

知事
県南広域振興局の体制というのは、これまでの課題を踏まえて見直しをしていくということですので、そこは色々ご意見を伺いながら決めていきたいと思います。

記者
関連で伺いますが、今ある振興局と総合支局や、遠野と千厩にそれぞれある2つの行政センターも、これらをすべて行政センターに移行させるのでしょうか。それとも今ある2つの行政センターの見直しも考えているのかどうかお聞かせください。

知事
まず、ここに文章で書いていること以外については、これから決めるというベースで色々なご意見をこの機会に積極的にどんどん出していただきたいと思っています。

記者
今の総合支局や地方振興局には一定の権限があると思うのですけれども、それを本局集約することになると思われます。今現在、総合支局、あるいは地方振興局、行政センターがある市町村からは、色々な反発等々も考えられるかと思うのですけれども、そのように理解を得ていくおつもりでしょうか。

知事
個別具体的には改良していきますので、全体に対して確定的には言えないのですけれども、基本的な考え方としては、今以上に現場から権限を奪うということは考えていません。県の行政ですから最終的に知事が議会に対して責任を負える形で進めていかなければならないというのは今までもそうですし、これからもそうなのですけれども、そういう中で現場の声をより重視していきたいという気持ちは私は強く持っています。そういう意味では現場の担当を飛び越えて私に直接陳情を要望にきても、まずきちんと現場でそこはすり合わせてくださいということがより強まるのではないかと考えています。

記者
広域体制に移行することによって、県と市町村の自治、役割分担というものがより明確になってくると思います。その前提として、今、県が進めている市町村への権限移譲について加速しなければならないと思うのですが、そのことについての考え方を教えてください。

知事
広域振興局体制というのも専門性、また広域性、そうしたところから、そうした観点において強化していこうということでありますから、基礎自治体として本当に暮らしや仕事の現場に根差した自治ということについては、ますます市町村の権限を強化して、市町村が力を持っていくような方向で分権改革を進めていきたいと思います。

記者
確認なのですが、広域振興局の管轄範囲というのは以前に示された広域振興圏の範囲と同じという枠組みはよろしいのでしょうか。

知事
そうですね、基本的に枠組みについては特に変更は考えていません。

記者
沿岸広域で大船渡と宮古はちょっと遠いとか、大船渡サイドから見れば宮古は久慈と一緒になったほうがよいのではないかという考え方もあると思います。パブリックコメントを実施してそういった意見が出てきた場合に、聞く耳は持つということでよろしいでしょうか。

知事
それぞれご意見についてはきちんと対応して分析していきたいと思います。ただ、交渉術の教科書に載っている例で、図書館で勉強している2人がいます。1人は窓際に座っていて、もう1人は廊下側のドアのところに座っていて、窓際に座っているほうが窓を開ける。そうすると、外の音が入ってきてうるさい。窓際に座っているほうは涼しくするためには窓を開けなければダメなのだと言い、廊下側に座っているほうは、うるさくなるからだめだと言います。でも、席を交代して廊下側のドアを開ければ涼しい風が入ってきて、そしてうるさくならないということができるわけであって、窓を開けなければだめということにこだわると解決が見出せないのですが、実質的にどういう形で住民の暮らしや仕事をよくするかということを一緒に考えればよい方向にしか進んでいかないと思います。ですから、住民本位で改めて色々な制度を考えていくよいきっかけにもなると思っていて、そういう意味では本当に自由に思い切ってどんどん意見を出してきてほしいと思っています。

記者
広域振興局体制の整備にあわせて、県の体制の仕組みを考え直すということになるのだと思います。当然スリム化という議論の中には、地方振興局をスリム化するだけでは済まないと思うのですが、住民サイドから見れば、本庁はどうなるのだろうかと考えると思います。議会のチェックということになれば、今県南広域振興局長は議会に出ており、仮に同じように4広域振興局長が出るとすると、役職上は今の部長級のところが肥大化することになるわけです。逆に言うと本庁がスリム化するということも必要になってくると思うのですが、その辺についてはどのようにお考えでしょうか。

知事
これは、全体として県行政のスリム化というのは基本的な課題だと思っていますので、いわゆる焼け太りみたいなことがないようにしていきたいと思います。

記者
もう一点なのですけれども、昨日から総合計画の審議がスタートしている中で、こういった体制も含めて議論されると思います。かなり長いスパンで考えていきましょうということからすると、広域振興局体制というのは要するに県の体制の将来をどういうふうに見るかということになると思うのですが、この4広域振興圏の形というのは、将来的に長く続くような形とお考えなのか、あるいは道州制になるかどうかは別にして、まださらにあるべき形の方向があってその過渡的な位置づけとお考えなのか教えてください。

知事
住民力をアップして、そして県の力も高めていく、そういう方向性での施策だと考えています。今ある市町村の壁を乗り越えて住民が生活や仕事を広域で行う、その中で所得の向上とか、雇用の改善とか、色々な社会的課題の解決とか、そういうことを進めていく。そういう方向がうまくいく限りは将来にわたっても進めていくようなことであると考えます。

記者
先ほど基礎自治体の話が出ていましたけれども、広域振興局の体制の整備を県が進める一方で、市町村合併というのも避けて通れないというか、基礎自治体の行財政基盤の強化というのも必要かと思います。ただ、県北とか沿岸の地域ですと、内陸と比べて合併特例法下の中では合併がなかなか進まなかった現状があります。合併新法の期限までもう2年切っているわけなのですが、今の市町村合併の現状と今後の課題をどのように思っているのかお聞かせください。

知事
まず、これはそれぞれの住民の皆さんが決めることですから、県のほうからの押しつけになってはならないと考えています。他方で、住民の皆さんが合併したいと潜在的に思っているのにそれを表に出すきっかけがなかったとか、あるいはきっかけとなる情報の入手がなくて不本意な形になったということでは住民本位の考え方に反すると思うので、そういう情報の提供とか、あるいはそういう住民の自主的な活動に対して県として求められればお手伝いはどんどんしていかなければならないと思っています。

記者
広域振興局体制の整備と市町村合併は、両輪のような形として私は考えるのですけれども、そのことについてはいかがですか。

知事
市町村と県の役割分担をきちんとさせていく中で住民に身近なところは基礎自治体がどんどん力をつけてよりよいサービスを行っていく。一方で、市町村の境を越えた住民の活動については県がこれを支援していく、そういう中で市町村も県も力をつけて、そして住民というのは市町村民でもあり、県民でもあるわけで、その暮らしや仕事がどんどんよくなっていく方向性での取組みと考えています。

幹事社
本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がありませんので、各社から質問があればお願いいたします。

記者
平泉の世界遺産登録についてお伺いします。昨日の仙台の韓国領事訪問とか、色々逆転登録に向けた取り組みが進んでいますが、7月のカナダの世界遺産委員会に県の幹部もしくはどなたかが行くというお考えはありますか。

知事
だれかは行くようにしたほうがよいと思っています。ただ、今はパリで作戦会議をするために県から職員を派遣することを決めたばかりですから、そういう作戦会議をして色々な働きかけなどの活動があって、そういったこともにらみながら最終的に決めていきたいと思います。

記者
改めて逆転登録へ向けた意欲をお聞かせください。

知事
こういうときだからこそ、原点に立ち返ることが大事だと思っています。原点というのはユネスコ、国連教育科学文化機関というものの設立の趣旨と、そして世界遺産という制度の趣旨なのですが、これは平和を人の心からつくっていかなければならないという第二次世界大戦の反省に基づいてユネスコができて、そして世界遺産というものも、特に戦争とか飢餓とかでどんどん損なわれていく遺産が出てきたので、これは国際協力で何とかしなければならないというところがきっかけなわけです。それで、途上国の世界遺産については国際的に資金協力もして保存をするようにしようとなったわけです。そういう中で、人類共通の文化というものへの関心が高まり、先進国にある文化についても同様に国際的に守っていこうということでやっているわけです。
ですから、平泉の世界遺産についても、やはりあくまでこれは岩手のためというよりも世界人類のために、1つには自然と一体となる中であらゆる命を尊び、人と人との共生、人と自然との共生、平和と環境という価値を800年、900年前に既に実現していたというものを全人類の参考にしてほしい、全人類の誇りにしてほしいと考えています。そのためには地元の人たちがきちんと文化遺産を守って保存して保護していきますということが趣旨でありますから、そういうそもそもの思いを関係各方面に地道に伝えていくということを7月までにやっていくとよいのではないかと考えています。

記者
今の関連なのですけれども、昨日も韓国の総領事館に宮城県の副知事が同行したり、あるいは在日本大韓民国民団の岩手県あるいは宮城県の地方本部の代表の方がお見えになっていましたけれども、そういう支援の輪が県を越えて広がっていることについて一言お願いします。

知事
もともと800年、900年前から色々な人たちが守ってきた平泉ですので、そうした広がり、それが歴史を経て今もあるのだということは本当にすばらしいことだと思いますし、そういったことが目に見える形で昨日みたいにあらわれるということはよいことだと思います。

記者
県立病院や宮古市で血糖値を計測する採血器具の使い回しが明らかになっていますけれども、今後県はどのように取り組んでいかれますか。あと2006年3月に厚生労働省からの使い回しを禁止する通知が県から市町村には通知されていなかったということに対しての所見や今後の取り組みについてお伺いします。

知事
まず、過去に患者さんとして、あるいは検査を受けるような形で問題になっている器具を使われて、色々不安に思っている皆様がいると思いますので、相談窓口を医療局で設置して、そういった不安にまず答えるということがなされています。
そして、市町村に対して厚生労働省の通達を知らせていなかったことについては、医療機関に対する注意喚起という内容の通知だったということで、医療機関ではない市町村には注意喚起が行われなかったということなのですけれども、県としてはやはり趣旨は医療機関にだけ注意喚起していればよいということではなく、健康教育等の事業で検査を受ける住民本位で考えていかなければならないわけですから、そこは実態としてそういう検査を受ける住民が不安を覚えないように、ましてや被害を受けることがないように県はできるだけのことをすべきだったし、今でもそうだと考えます。

記者
平泉の話に戻るのですが、昨日韓国の総領事館に行かれて、改めて手ごたえ、感触を一言お願いします。

知事
私が1つ気をつけていることなのですが、むき出しの地域エゴをぶつけるような形になってはならないと考えていまして、要望というか、お願いというか、そういう形でいくのは筋違いだと思っています。これは、国際関係上も外国に対して地方自治体などが何か要望、お願い事があるのであれば、それは自分の国の政府を通じて相手国に要望、お願いするのが筋であって、それを自国の政府を通さず自治体が直接お願いするというのは、時と場合にもよるのですが、基本的には国際秩序を乱すようなことでもあり、極めて失礼、無礼なこととみなされることでもあるので、またそもそも先ほど言ったように、岩手県として平泉の世界遺産登録を目指すのは私利私欲とか、地元エゴとかということが理由でやっているわけではなく、むしろ逆に「利己」の反対の「利他」であって、岩手としてそういう遺産を抱えていないような地域よりはより苦労して、苦しい思いをしながらも世界の人類に文化的な貢献をしようというところにその原点があるわけなので、そういう思いや姿勢をこの機会にふだんからお付き合いがある総領事館とか、大使館から伝えて歩こうということなので、登録への手ごたえとか、一種邪心というか、そういうことを持たないようにと思って回って歩いているので、その辺をご理解いただきたいと思います。

記者
相手方の反応はいかがでしたでしょうか。

知事
非常に同情的といいますか、岩手の人たちの思いを理解した上でそれを本国に伝えたいというような対応だったので、そこは非常にありがたいと思って感謝するところです。

記者
明日以降も大使館等の訪問が続きますけれども、例えばこういう点を訴えるとやはり即共感が広がるのではないかという点というのはありましたか。

知事
自然体で、私として平泉について思うことや、また私が見聞きした色々な関係者の平泉に対する思い、平泉を守ってきた努力、そういったことを普通に伝えていくことがよいのではないかと考えています。

記者
先ほどいわて平泉年プロジェクトチームのプレスリリースでユネスコ日本政府代表部との協議のための職員の派遣について発表になりましたけれども、改めてこのねらいとどういうことを期待しているのかお伺いします。

知事
先ほど正式には政府に対して要望が伝えられ、また交渉が行われるという話をしましたが、主な舞台はパリになると思います。パリにおける日本のユネスコ代表部の近藤大使が先頭になって、パリには同様に主要国のユネスコ代表部がありますから、そこの政府代表の間で色々やりとりが行われるのが基本になると思います。そのお手伝いとして、県と市町からも職員が派遣されて、基本的には中身の理論をきちんと詰めていくことになります。それぞれの資産の故事来歴とか、今の保存状態とか、そういった特に現地でないとわからない、また現地のほうに詳しい知見情報があることについてしっかり政府の側を支えていくということが基本任務になります。

記者
先ほどの話にちょっと関連するのですけれども、近藤大使と打ち合わせということなので、石見の場合は自然との共生ということでキーワードを決めて、短いフレーズで近藤大使は説明して、それが理解を得られて登録ということだったのですけれども、今回の協議の中でキーワードみたいなものを決めてくることを期待しているということでしょうか。

知事
キーワードというか、近藤大使のレベルは近藤大使のレベルでユネスコの理念とか、世界遺産制度の趣旨とかに沿った形で色々話を持っていくのだと思いますが、ユネスコの設立趣旨からいって平和というテーマについては真剣にユネスコ活動に参加していこうという国の政府代表であればだれもがそこは関心を示すところだと思います。環境ということについても21世紀の国際社会の最大の課題の一つでありますから、やはり各国政府代表の皆様にとってはそういったところが関心が高いのだと思います。

記者
釜石港のクレーンの関係なのですが、市のほうはガントリークレーンを要望して、県のほうは自走式のジブクレーンを設置ですよね。ジブクレーンにする理由と、将来的に車の輸送に関してもポートセールス面でガントリークレーンが岩手には一本もないとなると、それだけで中身を見ずに港湾機能はほとんどないと思われても仕方ないとは思うのですが、そのことについての見解をお伺いします。

知事
これは高度に専門的、技術的な問題なので、そういったところを詰めていく中で、先ほどの例のように窓を開けたい人と窓を開けさせたくない人の議論のような形でそれぞれがそもそも何を求めているのかというところをすり合わせて、それで双方合意できるところで決めてやっていくということは可能だと思っていますので、そういう方向で指導しているところです。

記者
個人的にはですけれども、やはりジブクレーンだとポートセールス面ではかなり厳しいと思います。実際宮城では色々工場も進出しているみたいです。今大船渡にジブクレーンが1本ありますけれども、ほかの県だと1本、2本の話ではないと思います。そもそも県で将来的にどのように考えていますか。

知事
財政の論理もありますでしょうから、専門的な議論という中にはそういう行政特有の話も入ってくるわけで、そういったことを全体を見ながら適切なところで協力して進めていくことができればと考えています。

記者
港湾利用の状況を考えるとジブクレーンということになるのでしょうか。

知事
知事としては、これは平泉のことではないのですけれども、そもそもの原点ということで釜石の港湾施設が最大限活用されていくような、かつ技術的、行政的に現実的なやり方でやるということに私の責任があると思いますので、そういう方向でやるように指導しているところです。

記者
平泉の世界遺産登録に向けて色々活動されているわけですけれども、近く予定されています海外に行かれる日程については、変更がないということでよろしいのでしょうか。

知事
ブラジル、パラグアイの関係の日程については、出発日、そして帰ってくる日については変更ありません。

記者
現地での平泉の世界遺産登録に向けた活動は予定されているのですか。

知事
今は特に予定はありません。

記者
出張している間は、こちらでの指揮はどなたがとる形になるのでしょうか。

知事
そこは私に連絡がつくようになってますので、随時報告を受けながら指示を私のほうから出すようにします。

記者
今も出ましたけれども、南米出張が近づいていますが、現地でこういうところを伝えていきたいとか、こういうところを吸収してきたいとか、そういったような意気込みとかを直前の今の段階でお聞かせください。

知事
岩手に今住民票がある人だけが県民、県人ではない、岩手人ではないと。岩手にゆかりあるすべての人を岩手人と見て、そういう皆様とのパイプを維持、発展させながら岩手県政を進めていきたいと考えていますので、そういう思いを持ちながら岩手の近況をそれぞれの県人会の皆さんにお知らせし、またそれぞれの県人会の、これは単なる近況だけではなく過去の歴史の積み重ねというのが特に今回50周年記念とかありますので、そういう過去からの積み重ね、そして今の姿というものをしっかり受けとめて、そして地球のどちらが表でどちらが裏かはわからないのですけれども、ちょうど地球の反対側に位置するところにはあるのですけれども、1万2,000マイルしか離れていないといえば1万2,000マイルしか離れていないわけで、気持ちを一つにしていくということを目標に行ってきたいと思います。

記者
今日、とうほく自動車産業集積連携会議が行われますけれども、これにかける意気込みと今後の展望を知事自身のお言葉でお願いします。

知事
去年オール東北に拡大した自動車集積の会議でありますけれども、今年はこの岩手で総会を開催するということで、トヨタ本社からも高橋常務という本当に自動車の技術的なことから、また将来のことまで第一人者と言ってよい方に講演をしていただくことにもなっていて、岩手から東北全体が新しい自動車産業の集積基地になっていくということを全国に、世界に発信していく記念すべき日にしたいと考えています。

記者
今、国会でサマータイムについて色々議論があります。このサマータイムについては、一自治体で取り組むというのはなかなか難しい部分もあると思うのですけれども、一方で日の長い時間に仕事を早目に終わらせて、趣味とかスポーツを楽しむというのはすごく意義のあることと個人的には思うのですけれども、知事はサマータイムについてはどう思われますか。あと岩手でサマータイムを導入のお考えとかありますでしょうか。

知事
その趣旨は、その志やよしといいますか、省エネルギーでありますとか、余暇の拡充でありますとか、そしてそれが経済、社会の活性化にもなっていくということで、そういう思いは大事だと思います。
一方、ちょっと懸念されるのが、日本は枕草子の冒頭にあるとおり、「夏は夜」ですから、夏は夜が最高だというか、夜こそ大事だという、そういう伝統文化があるもので、それで花火大会があったり、蛍狩りがあったり、夕涼みがあったりします。サマータイムというのは夜を遅らせてしまって、夜の8時、9時まで明るいようにしておいてむしろテニスをやろうとかという話なので、日本の文化ということからすると、「夏は夜」なのだけれどもなという思いがするわけです。
そういうところからすると、省エネとか余暇の拡大とか、そういったのを別の形でできればそちらのほうがよいというか、それでよいというか、朝野球とか、そういう習慣もありますし、ですからまだ今のところ県としてサマータイム導入とかということは考えていません。

広聴広報課
それでは、これをもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は6月24日(火曜日)の予定です。

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