平成20年7月28日知事会見記録

ID番号 N11920 更新日 平成26年1月16日

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(平成20年7月28日 10時32分から10時58分)

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
最初に、知事から発表があります。
それでは、知事お願いいたします。

知事
7月24日に発生した岩手沿岸北部を震源とする地震についての対応ですが、今朝方、地震による最新の被害状況を取りまとめましたところ、人的被害や住家被害が若干増えてはいますが、新たな被害の拡大は見られませんでした。
また、震源地周辺市町村の災害対策本部については、すべて廃止若しくは災害警戒本部へ移行しています。こうした状況を踏まえ、県としまして本日午前10時をもって岩手県災害対策本部を廃止し、今後の対応については岩手・宮城内陸地震災害復旧復興推進本部の業務に新たに追加して行うこととしましたので、お知らせします。
これからは災害復旧、復興に力を入れることとし、特にも当面の課題である観光への風評被害への対応にしっかり取り組んでまいりますので、県民の皆様や関係各位のご支援、ご協力をお願いしたいと思います。
なお、現在発表されております盛岡、水沢、遠野、両磐地域の大雨洪水警報については、県災害警戒本部を設置し、対応に当たっているところです。
もう一つの発表事項ですけれども、世界遺産登録延期及び風評被害への応援「はっぴ」「たすき」についてですが、平泉の世界遺産登録及び岩手・宮城内陸地震等による風評被害への応援の一環として、県では今般、ご覧のようなこのはっぴ及び同じデザインのたすきを各30枚作成中です。1つだけできていますので、今日着てきました。これらを私も含め、さんさ踊りなどのイベントや観光キャンペーンなどで着用し、岩手が元気であることをアピールしてまいりたいと思います。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
今の発表事項について各社から質問があればよろしくお願いします。

記者
そのはっぴの着心地はいかがですか、どんなお気持ちになりますか。

知事
この色あんばいも元気が出るような色ですので、張り切って岩手の元気さをアピールし、また平泉世界遺産登録に向けた運動を進めていこうという気持ちがどんどん強くなっていきます。

記者
だれがデザインしたのでしょうか。

知事
職員のデザインです。もともとは、職員有志が作ったTシャツから来ているコピーであり、デザインです。

記者
風評被害のほうなのですが、知事のほうに色々な方から色々なお声が届いていると思うのですけれども、その中でも知事が本当にこれは対処しなければいけないと強く感じたお言葉というのはありますでしょうか。

知事
これもあまり悲惨だ、悲惨だと言うこと自体がまた風評被害につながるので、勝海舟の「氷川清和」に載っているのですけれども、資金繰りに困って年も越すのも大変だけれども、すごい威勢がよくて元気がよい料理屋さんがあり、そこへ勝海舟が来て「おまえさんの店は随分威勢がいいな。」と言ったところ、「でも、勝の殿様だから言わせていただきますが、実は資金繰りが大変できょう一日もつかどうかわかりません。でも、だからといってしょげて元気をなくしてやっていますと、おまえのところの魚まで腐っているとか言われますので、とにかくほほ笑みを絶やさないように一生懸命頑張っている次第です」との返事がありました。それを聞いて勝海舟が「偉い」と言って、「30両持っているからこれを使いな」と言って、それで料理店は年を越して、年を越したら色々歓送迎会とかもたくさん入って何百両かもうかることとなり、「30両返します。」と言ったら、勝海舟は、「それは勉強賃だと思っておさめておきねえ」とか言って、だからそういうものだと思います。そういう意味では、こういう色々な大変なときなのに、どんどん積極的に東京に行って宣伝をしたりとか、本当に皆様が普段以上に頑張っています。よくピンチのときには広告費から切り詰めるとかというのですけれども、逆に積極的に広告に打って出るとか、そういう姿勢が県内の観光関係者に見られるというのは、元気というのは出すものであって、どこからかもらってくるものではない、そういうところで岩手人の底力みたいなものが今出ているという感じがしています。

記者
今の関連です。先週金曜日に商工労働観光部が風評被害対策として「元気です!いわてキャンペーン」というのを発表したのですけれども、中身が新聞とかラジオとかフリーペーパーへの広告あるいは電車への中吊り広告というのを挙げていたのですけれども、心がないのではないかなという気はしました。知事もふだんソフトパワー戦略を掲げていらっしゃいますし、もう少し職員が知恵を絞ってもよいのではないかと感じますが、いかがでしょうか。

知事
この「元気です岩手」、「がんばろう平泉」というコピーとか、そもそもTシャツをつくろうとか、職員有志が動いて、県として正式に色々決める前から既にそういう動きがあり、むしろ県としてはそれを後追いするようにやっているところなので、そういう意味では職員がまず率先して考えて動くという格好で現状に対処していると思っています。そういう中で、商工労働観光部のところがまず先行して、そういう風評被害対策を打っていくというのは大変よいことだと思います。一方、「いわて平泉年プロジェクト」として部局横断的に、あるいは県南振興局を巻き込んで全県的な体制で色々進めていこうという枠組みも残っていますので、いわて平泉年という平泉世界遺産登録記念のプロジェクトではないわけですけれども、これを機会に岩手の心を確かめ合い、自立と共生という縄文時代以来はぐくまれ、平泉で花開いた岩手の心というものをまず県民同士確かめ合って、そして県外にもどんどん発信していこうということについては部局横断的に進めていきたいと思いますので、そういうものが商工労働観光部で企画した事業にもどんどん心がこれから入っていくと思います。

記者
あともう一点ですけれども、県民が、2度の大地震で落胆しているかと思うのですけれども、外向きの「元気ですキャンペーン」も大事だと思うのですが、県民に対して「がんばろうキャンペーン」みたいなものも一方で大事なのではないかと思うのですけれども、その辺はいかがでしょうか。

知事
私も7月24日の地震があって、しかもその地震というのが岩手全域において震度5前後の地震を経験したということで、やはりすべての岩手県民に向かって知事からのメッセージというのが必要だし、またすべての岩手県民が力を合わせ、心を一つにして目標に向かっていくような、そういう県民運動的な仕組みづくりというのが大事だと思っています。また、ふだんできないことができるような状況になっていると思いますので、「いわて平泉年」としていろいろ準備していたプロジェクトのうち、改めて「元気です岩手」、「がんばろう平泉プロジェクト」のような形に衣替えしてできるようなものはどんどん積極的に進めたいと思います。

記者
風評被害の面なのですけれども、宿泊客のキャンセルとか相次いでいるという話をよく耳にしますけれども、一部報道でもありましたけれども、県のほうで何らかのサポートするというところについてお聞かせください。

知事
思い切った割引をするに当たって、その割引分をホテル、旅館等とあと県で折半するような事業をやっていこうと考えています。広告だけではなくて、そうした現物支給的な具体的な救済策も含めて風評被害対策を進めていきたいと思います。

記者
具体的な中身というのはある程度決まってきているのでしょうか。

知事
そこは担当のほうに確認してください。

記者
当面の対策としては、先ほど言ったテレビなどを使ってのメディアへの広告と現物支給的な救済策ということでの割引に対する折半と、今のところその2点になりますか。

知事
そうですね、やれることからやっていこうという中で、まずその大きく2つをやっていくということです。

幹事社
幹事社からの質問は今日はありませんので、そのほかの事項についても質問があればお願いします。

記者
過日、日本航空から花巻空港発着便の運休の方針について正式に県のほうに示されたと思うのですが、正式な提示を受けての所感をまずお聞かせください。

知事
花巻空港から関空への便は、特に最近誘致企業の立地が増えたり、また活動が充実している中で、ビジネスのために非常に重要になってきていると思います。また、福岡まで行く乗りかえとか、あるいは外国に行ったりすることなども含めて、岩手にとって非常に重要な路線だと思いますので、明日、私は本社に行って岩手の実情を訴えながら、大阪線の便数や輸送力の確保について要望をしていきたいと思っています。
それから、沖縄の那覇線についても、やはり直接行けるのは非常に便利ですので、これは搭乗率も65%ですし、再考をお願いしていきたいと思っています。

記者
県としては運休の撤回ということを基本に求めていくのが第一義なのでしょうか。

知事
本当は拡大を求めていきたいという基本的な状況が県の側にはありまして、ビジネスについてもですし、観光についてもですし、むしろもっともっと多く、かつ便利にということを機会あるごとに訴えていきたいと思っていましたので、単なる取りやめを求めるというよりは、そういう前向きな姿勢で臨んでいきたいと思っています。

記者
明日もそういう考えで行かれるということですか。

知事
そうです。

記者
一部報道で、今回の岩手北部地震で土砂崩れがあったという衛星画像が公開されたのですが、それについて県では確認はされたのでしょうか。

知事
宇宙航空研究開発機構の衛星「だいち」の写真で茶色くなったところがあったわけでありますけれども、現地調査を実施した結果、森林の伐採跡地であって、今回の地震による新生崩壊地、新しく崩壊したところではないことが確認されておりますので、ここで申し上げたいと思います。

記者
花巻空港の関係なのですけれども、運休というか、拡大を求めていくということでいうと、単にお願いしますということなのか、それとも県のほうでこういったことを考えていますので、運休どころか拡大をお願いしますというような、具体的な県側からの何か提案というのがあるのかないのか伺います。
それから、拡大ということなのでそのままだとは思うのですけれども、仮に便数に関して海外の路線のためには関空が必要だとは思うのですけれども、妥協点として関空はよいけれども、大阪線ということであれば伊丹については国内便が便利なものですから、そちらのほうに振りかえてくれとか、そちらを増やして関空はなくてもよいですよというような提案をするのか。そこはないとは思うのですが、そこの確認も含めてお伺いします。

知事
まず、県としては「いわて希望創造プラン」のそういう方向性も改めて確認しながら花巻空港の役割がますます大事になるし、ニーズも出てくるはずだということをこの機会に改めてしっかり伝えたいということです。あとは航空会社の場合は、やはり個別の会社の経営の理由というだけではなく、公共交通機関として地域に対する役割ということも大事だと思いますので、そのことを改めて伝えたいというところが私としては目標です。

記者
利用率のアップのための具体的な県からの提案というのは特になされない予定ということでしょうか。

知事
私としては、個別具体的な交渉をしに行くというよりは基本的な考え方とか、方向性について県の考え方を伝えに行くということだと思っています。

記者
先日の知事会をめぐって秋田の寺田知事が「闘わぬ知事会」という発言をしたのですけれども、知事自身は出席されてみていかがでしたでしょうか。

知事
寺田知事の発言は、最終日に朝御飯を隣同士で一緒に食べていて、そういう趣旨のことをおっしゃっていたので、このことを記者会見で言ってしまったのだなと思っていました。幕末に江戸幕府がそれまで外様大名の意見なんて全然聞いたことがなかったのに黒船が来たということで、さあ、日本としてどうすればよいでしょうかということを外様大名にも意見を聞くのです。それまでは譜代大名と旗本でしか国政を回していなかったのに、初めて外様大名にも意見を聞くわけです。それでわっと意見が出てきて、それが幕藩体制の動揺にもつながっていくのですが、ただ初めの段階はそれぞれ薩摩にせよ、土佐にせよ、長州だけはちょっと距離を置くのですけれども、ほかの雄藩はあくまで幕藩体制の中で、幕藩体制の枠組みの中でああしたほうがよい、こうしたほうがよいという議論をするわけです。ここ数年の全国知事会というのは幕末みたいな格好になっていて、本来国がびしっと決めればよいわけです。地方分権だって、特に分権を進める話であれば国で決めてどんどん進めればよいだけであって、一々地方に意見を求めて、そのことでかえってああでもない、こうでもないと時間がたつというのは幕藩体制維持のアリバイづくりに利用される危険性というのがあって、「闘う知事会」と言われていた時代も結局は体制の仕組みは大きく変えない中でああでもない、こうでもないとやらせられていたようなところがあったのだと思います。
だから、寺田知事はそういう一種幕藩体制自体をぶっ壊そうみたいな発想から色々発言されているのではないかと思っていて、むしろ知事会としてはそういう方向でどんどん今の日本と全然違う日本というのを視野に入れた議論とか、そういうもっと大ぶろしきな話をやってもよいかなという感じはしています。ただ一方、岩手も含めて地方財政はものすごく危機的な状況にあり、それは都道府県民生活の危機としてあらわれているわけです。そこを守るための必死の闘いというのは今現在色々な形でそれぞれの知事さんがやられているのだと思います。だから、一見細かい文書の詰めの作業みたいに思えることでも、やっぱり国との関係で1円でも多く都道府県民のために予算を確保しようとか、そういう闘いというのは今それぞれの知事さんが悪戦苦闘してやられているのではないかと思います。

記者
一方で、寺田知事のほうは官僚出身の知事が増えたこと、これが議論の形態につながっているのではないかという見解を示したわけなのですけれども、そのことについてはどのようにお考えですか。

知事
議論が行き詰まるのは、結局地方としてはこうだ、こうしないなら政権交代だと言えば済むのに、政権交代という言葉を知事会では言わないように、使わないようにしているのかなというところがあって、だから今の体制を前提にしてやるから色々行き詰まるのだと思いますが、ただ何となく知事会とはそういうものだと、「闘う知事会」の時代ですら政権交代という話は一種タブーだったわけだし、そこが問題の本質ではないかと思います。

広聴広報課
それでは、これをもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は8月4日(月曜日)の予定です。

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