平成20年8月25日知事会見記録

ID番号 N11844 更新日 平成26年1月16日

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(平成20年8月25日 10時33分から11時4分)

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
本日は、知事からの発表事項はございませんので、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
それでは、幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
本日は、記者クラブを代表しての幹事社質問はありませんので、各社から質問があればお願いします。

記者
沿岸北部地震の発生から1カ月になります。その前の岩手・宮城内陸地震とも併せてですけれども、これまでの復旧の取り組みへの評価、所感と、「がんばろう!岩手」運動もされていますけれども、今後に向けた意気込みを改めてお願いします。

知事
岩手・宮城内陸地震は、インフラの損害が大変大きく、いまだに技術的な検討を行っている段階の部分もあります。査定等はほぼ終わりに近づいているのですが、復旧に向けていよいよこれからというところだと思いますので、しっかりやっていかなければならないと思います。2度目の地震についても、これは個々の被害は最初の地震より軽いのですけれども、県内全域に広がっていて、チェックすべき箇所数も大変多く、そこもようやくチェックから対応へというところに入ってきたところだと思いますので、ますますこれからが復旧、復興の本番ということで、気を引き締めて対応していきたいと思います。
それに加えて、風評被害的なことについても、当初の予約のキャンセルということから、予約がなかなか入らないという、そういう局面に入っているようですので、またそれにきちんと対応した策を県としても講じていかなければならないと思っています。いずれにせよ、「がんばろう!岩手」というスローガンのもとに、県庁、県組織挙げて対応していきたいと思います。

記者
市町村合併についてお伺いします。先日、知事は、町村議会議長会の懇談会でオープンな議論を早急にしてほしいという発言をされていますが、どういう真意からそういうお話になったのか改めてお伺いします。

知事
県は、基礎自治体の力を強めていこうということで、合併を進める市町村に対しては、それを支援していく基本方針であり、その前段階として、まずそれぞれの市町村において住民本位の議論が進むことが前提ですので、そのことについて改めてコメントしたというところです。

記者
町村は、当面自立と掲げているところが多いと思うのですが、そういうところについてはどのように促していくか、お考えはありますか。

知事
「当面自立」という言葉なのですけれども、多分正確には「当面単独」ということなのかと思います。要は自立できる枠組み、また自立をしやすい枠組みをその住民がどう決断していくかということだと思います。先週、全国自治体政策研究交流会議での基調講演で「グローカル・ポリシーのすすめ」という話をしたのですけれども、今や自治体もそれぞれがグローバル化の世の中で、それぞれが責任を持って主体的に生き残りを図っていかなければならない時代ですし、またやりようによっては国に頼らず、それぞれの力で成功していくことができるような時代でもありますので、そういう中で自立ということの本当の意味、また自立のための具体的な戦略というものをそれぞれの住民に考えてほしいと思います。

記者
岩手県市町村合併推進審議会の答申では、勧告をするのであれば08年の秋ごろを目安にとなっていますが、今現在、知事は合併協議会設置の勧告をするお考えはあるかどうかお伺いします。

知事
今この瞬間には、特に予定はありません。

記者
岩手競馬の包括的な民間委託についてなのですけれども、日本ユニシスを交渉相手と選んでちょうど3カ月になるのですけれども、現在の交渉の進行状況はいかがですか。

知事
競馬組合として必要な段階に必要な情報を開示していくことになると思います。

記者
競馬議会、調騎会、現場の方々とかといったところへの説明が考えられますが、全体としてどういった形で最終的な結論を決めて発表されるのでしょうか。管理者副管理者会議という形での決定になるのでしょうか。

知事
最終的には、管理者副管理者会議で決定したものを来年度の予算形で競馬議会の承認をいただくという手続で決まることになると思います。

記者
結論の目途は、10月というのは変わりないと思ってよろしいのでしょうか。

知事
そこまでにはということであって、早ければ早いほうがよいのだと思いますけれども、目途としては10月ということです。

記者
先ほどの市町村合併の関係に絡んでなのですけれども、奥州市長がこの前平泉町を訪れまして、合併の共通課題研究の成果を提示して、事務レベルの研究を始めようと申し入れました。それと平泉の名前を取り入れるのにも前向きな姿勢を示されたわけなのですが、3年後の平泉の世界遺産登録再挑戦ということもあるのですけれども、今後この地域についてどういった議論を期待されていますでしょうか。

知事
色々な議論があってよいと思いますので、そうした動きについてもそれを参考にしながら住民の皆様が考えて、また判断する、そういうのに役立てばよいのではないかと思います。方向性は、住民として基礎自治体の自立ということが実現していくような、そういう枠組み、またその枠組みづくりは同時に自治体としてどういうふうにそこで人が稼ぎ、人が生活していくのかという中身とも関係するわけですから、グローバル化の時代にどういう暮らしや仕事にかかわる政策をとっていくのかという中身も同時に議論されていけばよいと思います。

記者
さらに、平泉の世界遺産登録再挑戦に当たって、平泉の名前に関しては色々なご意見があるかと思うのですけれども、残すべきなのか、そうでないべきものなのか、その辺も含めて知事はどのようにお考えでしょうか。

知事
そこは突き詰めますと、別の話であって、ちょっと前に世界遺産登録されるまでは地名としてあったほうがよいという発言をしたことがあったかと思いますけれども、ケベックの世界遺産委員会の会議の俎上に上り、知名度としてはかなり高まっていて、だから今や世界遺産登録のための知名度とかそういう理屈で、世界遺産登録を主、自治体のありようを従にするような考え方はよくないと思っています。それはそれぞれが主であって、世界遺産登録というのは文化行政プラス地域振興の観点からそれはそれでメインで検討されるべきで、また自治体のあり方、その自治体の名称も含めて、自治体のあるべき姿の議論として住民本位に決められるべきことと思います。

記者
一関市と藤沢町の合併協議がなかなか前に進んでいない状況ですけれども、これに関しては現時点で県として考えていることと両市町に対して期待することがあればお聞かせください。

知事
論点を整理して、そこをクリアしていくことで前進できるような構造になっていると思いますので、県としてもそういう論点整理とか協議の進行について、色々と側面的に応援するようなスタンスを今までもとってきましたし、これからもとっていきたいと思います。

記者
両市町に期待することを伺います。

知事
住民の思いを形にしていくということで、慎重さも求められるのかもしれませんけれども、遅滞なくやっていただくのがよいのではないかと思います。

記者
今週の金曜日に、北海道・北東北知事サミットが迫ってまいりましたが、今回のテーマは「環境とエネルギー」ということなのですけれども、これに臨むスタンス、所感を教えてください。

知事
今年は、洞爺湖サミットでも環境の問題が大きく取り上げられ、そして青森県でエネルギー大臣会合が行われたということで、また現に環境問題、そしてエネルギーの問題は世界全体で大事な問題ですけれども、地方の住民の生活、県民の生活にとっても非常に重要な課題ですから、そういったことについて、環境についてはかなり人と自然との調和というのを実現していて、自然系の世界遺産も2つある北海道、北東北というところで、やはり世の中をリードしていくような議論ができればよいと思っています。

記者
北東北と北海道の知事が一堂に会する場というのはそれほど多くはないと思うのですけれども、そこで環境エネルギー以外の何かそういった議論をしたいというテーマはありますか。

知事
世界遺産について、平泉で頑張って、そして次の縄文遺跡につなげていこうというような話はあるのではないかと思いますし、あとは去年大きく取り上げられた医師不足等の医療体制の問題についても、まだ問題が解決したわけではないので、引き続き大きなテーマになるのではないかなと思います。

記者
先ほどお話しがありました先週の全国自治体政策研究交流会議でのパネルディスカッションを熱心に聞き入っていたと思うのですけれども、あのパネルディスカッションの中で、教育委員会のあり方ですとか、議会とのなれ合いをやめましょうとか、そういった変革を求めるような意見が特に北川さんを中心に出てきたのですけれども、そういったことについて知事のお考えを教えてください。

知事
教育委員会との関係については、私もどういう工夫ができるかということで、去年就任早々、教育委員との懇談というのを定例化するとか、教育の現場に私自身が入って授業をしてみるとかというあたりから着手しているところなのですけれども、教育委員会をこの際もうなくしてしまえということを北川先生がおっしゃっていたかと思うのですけれども、改めてよく考えてみなければと思っています。
議会の改革については、岩手県議会はかなり先進的なほうだと思っています。さらに議会基本条例を検討中ということで、県民の暮らしや仕事を向上させるということに直結していくような議論、そういう機能を県議会が大いに果たすということが大変大事だと思います。ヨーロッパ、特に北欧とか、国によっては、地方議会の代表が地方行政を仕切る、日本のような知事というのは存在せず、議会の代表が県庁のトップになって県政を切り盛りするという国もあるわけでありまして、やはり議会から色々な県のあるべき姿とか、政策論とかがどんどん出てくることが地方から民主主義を日本で成熟させていく大きなポイントではないかと思います。

記者
先ほど、県教委についてはよく考えねばというお話がありましたが、必ずしも直接すぐ廃止とかそういうのではなくて、色々な選択肢を考えていくということでよろしいのでしょうか。

知事
法律が変わって、教育委員会ではなく知事直轄のような形にすると決まれば、すぐ色々な対応ができるような感触は私の頭の中にはあるのですけれども、一方、今の法律を前提として全然何もできないかというとそうでもないので、今の法律を前提としたよりよい教育行政のあり方、また知事部局と教育委員会との関係のあり方について、色々工夫の余地があると思うので、その辺を考えたいと思っています。

記者
お盆も過ぎまして、いよいよ秋冬に向けて、来年度予算編成とか、そういう作業もこれから本格化すると思います。今年の前半を振り返ってみますと、平泉対応とか、あるいは地震の災害対応とか色々とあったわけなのですが、知事は本年度の後半に向けて、県政課題の中でもどういう部分に力を入れていきたいと思っていますか。

知事
9月県議会には、いわて希望創造プランのもとでの県政についての報告書が出る予定でありまして、県政の評価の最初のサイクルですので、ここできちんと今やっていることの評価をしながら、来年度予算に結びつけて、いわて希望創造プランの推進というのが更によりよい形で来年度、再来年度へと進んでいくような、そういう非常に重要な検証、検討の時期が今年度後半だと思います。そこのところを県職員一同、改めて県民の生活、仕事の向上ということについて思いを新たにしながらそういう作業をきちんとやって、さらにプラスして地域経営としては行政だけでやるのではなくて、民間やNPOあるいは個人との連携といったみんなでつくる岩手県政ということですから、そうした連携の広がりということも加速していきたいと思っています。

記者
地域経営というお話ありましたけれども、今年の前半に県北、沿岸地方を回る移動県庁も行いましたが、また再度回りたいというお気持ちとかはありますでしょうか。

知事
そこについても、スケジュールを見ながら検討していきたいと思います。

記者
話が変わりますが、民主党の代表選挙の告示は9月8日ですけれども、小沢代表が再選される見通しになりました。このことについては期待、あるいは注文等、何かご所見がありますでしょうか。

知事
前にもこの記者会見の場で言ったと思うのですけれども、代表選挙でみんなが真剣に考えなければならないのは、だれを代表にすべきかという、「だれを」という問題でありまして、そもそも代表選をやるべきかどうかということをメインに考えていきますと、おかしなことになるとまずいなと心配していました。といいますのは、例えば小沢一郎代表が引き続き代表にふさわしいと思っているような人に対しても、「代表選をやることが大事なのだから」、「今20人推薦人が集まらないのだから、あなた推薦人になってくれ」とか言うと、だれが代表にふさわしいかという議論より、代表選をやるべきだという議論が優先されます。そうすると、小沢代表がよいと思っている人でもほかの人の推薦人にならなければならなくなったり、さらに圧倒的な差がついたのでは盛り上がらないと、接戦にならないと全然世間にアピールしないなどという理屈で、小沢代表が本当は代表によいと思っているのだけれども、そうではない人を応援したり、そっちに投票したりする人が増えたりしますと、思わぬ番狂わせが生じる危険性が選挙の論理としてあり得るので懸念していました。しかし、最終的に若手リーダー、中堅リーダーの皆さん方も含めて、だれが今代表にふさわしいかということが最優先なのであって、それは小沢一郎さんだというふうにまとまったようですし、私も小沢代表が代表を続けるのがよいと思っているので、大変よかったと思っています。

記者
9月の半ばから臨時国会が招集されますけれども、知事として、国会での議論で期待するところ、あるいは注文すべきところが何かございましたらお願いします。

知事
先週の基調講演でもお話ししたのですけれども、過去2回のグローバル化の波というのを、大航海時代であれ、帝国主義の時代であれ、当時の戦国、安土桃山の日本人とか、幕末維新のころの日本人というのは乗り越えているわけです。しかし、今回のグローバル化については全然対応できていないので、そういう抜本改革、本当の改革というのをまず国会できちんとやってもらわないと困ると思っています。地方分権などにおいても、例えば政府与党なら政府与党が決断し、野党第1党の理解を得れば、もう一発で決まることなわけでありまして、やらなければならないことについては、とにかく早くやってほしいし、もし今の政府与党の下でそういうことが断行できないのであれば、早く政権を変わってほしいと思います。

記者
知事から見て、やらなければならないことというのは、具体的にはどういうことになりますか。

知事
それは、内需拡大型の経済構造に変えるということで、地方が元気で、地方経済が活力があって、国民経済全体が成長していくという構造にすることです。そのために、まず財政については地方が自由に予算を使えるよう、国から地方へ財源となるお金を大幅に移し、それにまつわる規制とか補助金は一切廃止にする。そうすると国の内政的な仕事はかなり減るでしょうから、その分の国の機関や人員を大幅に地方に移すことを同時にやって、そういう中で経済成長しながら財政の無駄遣いもなくし、そして地方の場で国民でもある地方の住民が自由に活動して、幸せに生活していけるということを進めてほしいと思います。

記者
先ほどの岩手競馬の民間委託の関係ですけれども、現時点で収益保証率とか賞典費とか色々な考え方の違いが明らかになっています。その中でも互いの信頼関係という点でどうかなということを率直に感じているわけなのですけれども、知事は、競馬組合と日本ユニシス側できちんと信頼関係を持った話し合いが現時点でされているとお考えでしょうか。

知事
少なくとも競馬組合の側からは、信頼関係を損なうようなことはするつもりもないし、していないと思います。きちんとオープンなルールのもとで公募をし、そしてそのルールに従いながらやるべきことを進めていくという点については、こちら側としては何のやましいところもなく、むしろ岩手県民と競馬ファンのためにやるべきことをしっかりやっているし、これからもやっていくと言ってよいと思います。相手方のやり方については、今日の段階ではノーコメントです。

記者
それで、10月を目途に結論をとお話しされれましたけれども、これまでもあったかどうかわかりませんが、今後、知事が自ら交渉の場に臨んで、色々と解決の道を探っていくというお考えはございますでしょうか。

知事
スムーズに決まればそのほうがよいと思っていて、向こうの社長と私とのトップ交渉は、何かうまくいかないときにはそうなるのかもしれませんが、スムーズな形で交渉が進むことが望ましいと思っています。ただ、私がやるべきことをやらないままにしておくというつもりは全然ないので、何かしなければならないときにはきちんとしようと思っています。

広聴広報課
それでは、これをもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は9月1日(月曜日)の予定です。

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