平成20年9月16日知事会見記録

ID番号 N11838 更新日 平成26年1月16日

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(平成20年9月16日 10時30分から11時8分)

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
最初に、知事から発表があります。
それでは、知事お願いします。

知事
今日の発表事項は、新しい長期計画の策定についてです。
お手元に配付しています資料のとおり、次期総合計画となる新しい長期計画の策定に着手することといたしました。県民意見の聴取に要する経費などを9月補正予算として計上しています。
次期総合計画については、今の総合計画が策定から約9年経過しており、この間、地域経済や県民生活を取り巻く環境が大きく変化しています。また、昨年来、次期総合計画を早期に策定すべきであるといった意見がございました。こうしたことから、2月の知事演述においても、その策定に着手していくこととしており、これまで計画期間や構成をはじめとした計画のあり方についての検討を進めていたところです。
今般、次期総合計画のあり方について一定の方向性が定まりましたので、その策定作業に本格的に着手することとし、長期的な将来像やその実現に向けた取り組みの方向性などを広く共有したうえで、県民の総力を結集した岩手づくりを進めていくこととしたものであります。
計画の策定に当たっては、今後総合計画審議会に諮問するとともに、県民の皆様の仕事や暮らしの現場の声を広くお聞きするなど、岩手県の長期的な将来像などの共有に向けた県民運動を展開していくこととしており、平成21年度中の策定を予定しています。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
幹事社さん、よろしくお願いいたします。

幹事社
それでは、ただいまの発表事項について、各社から質問があればお願いします。

記者
今年の県議会2月定例会の所信表明で新しい長期計画を策定していくというお話があったのですけれども、昨年いわて希望創造プランを策定したときもそうだったのですが、増田知事時代の現行の総合計画の見直しは特に今のところ考えていないとずっとお話しされてきたわけなのですが、ここに来てこの長期計画策定することについて、もう一度ご自身のお考えをお聞かせください。

知事
去年、いわて希望創造プランを策定する際に、県議会をはじめ、まず、議会の議決が必要な位置付けにしたほうがよいのではないか。また、これを新しい総合計画にすればよいのではないかといった意見があり、いわて希望創造プランはこの4カ年の実施計画であるということで、了解いただいた際に、そうであれば次の総合計画を早期に策定するようにという意見をいただきました。これは、議会だけではなく県民からもそういう声が聞こえてきておりますし、また、いわて希望創造プランはどちらかというと目の前の危機、課題を解決していくことに重点が置かれておりましたので、やはりこの10年くらいのスパンの計画について、私のもとで取り組まなければならないと考えまして、それで策定に着手することといたしました。

記者
資料1の中に、いわて希望創造プランの見直しと記してあるのですが、去年策定したばかりのこのプランをまた見直すというのはどういう意味合いがあるのでしょうか。

知事
新しい長期計画のもとに位置付け直すということを考えていまして、全く新しいものをつくるということではないと思っています。同じ知事のもとで策定されますので、新しい長期計画というのは今のいわて希望創造プランの方向性と全然違うものにはならないだろうと思っています。言葉の使い方とか、あとは何か長期ビジョンに特に盛り込まれたことに対応した微修正等を想定しています。

記者
今の質問に関連してなのですが、今の時点で知事が新しい長期計画に目指す方向性というか、こういうことで盛り込みたい、こういう方向でいきたいということがあれば教えてください。

知事
過去、こういう長期計画というのは何度もつくられてきたのですけれども、かつては日本経済全体が右肩上がりの中で、計画というのは立てやすかったのだと思います。経済成長率があって、その中でインフラ整備を中心にして、この年までに何をつくるとか、そういう計画は立てやすかったのだと思うのですけれども、今は日本全体について10年後どうなっているかというのは非常に先行き不透明だと思います。ただ、そういう時代だからこそ根本的な人間のあるべき姿とか地域のあるべき姿、また自治のあるべき姿、そうした根本的なところについて、ビジョンを持つことが非常に重要ではないかと思っていまして、そういう意味では色々な行政分野の計画、行政計画を集めて一つにするというよりは、激変するこの世の中にあって、岩手の地において岩手の県民、また岩手ゆかりの人たちが10年後どういう自分でいたいのか、10年後何をしたいのかという、そういう一人一人の自己実現あるいは一人一人の成長という、そういう人間本位の計画というより、ビジョンに近いものになると思うのですけれども、そういうのが根本にあって、そしてそれをサポートしていく県の役割というような内容になってくるのではないのかと思っています。
そういう意味では、県民の皆様に対して10年後に何をやりたい、どういうふうになっていたいというような意見を聞くことが非常に大事なことだと思っていまして、そういう県民一人一人が考えて、10年後の岩手を見えるようにしていくことを考えています。

記者
根本的な、一人一人がどういう自己実現をしたいかというビジョンを持つことが大切だというお話でしたけれども、その中であっても、やはりいわて希望創造プランとは違って総合計画の位置付けにするということで、具体的にこの部分だけは急いで政策的に進めなければいけないというものはございますか。

知事
県の役割というものが何かを与えていくというものから、自立した個人が自己実現をしていくことをサポートする役割にかわっていくのではないかと思います。行政の発展段階論のようなものを考えるのですけれども、行政は取り締まり、税、徴兵とか、そういう強制的に集めるのが行政の最初の役割だったのが、豊かな社会になって高度成長の中で、お金を集めて、与えていくという再分配的なことが行政の主な役割になってきました。
情報化社会、グローバル化社会になってきて、一人一人が自分の将来にとって必要な情報を集めて、そして決断して色々な学びや仕事をしていくということは条件的にはかなりできるようになっているのだとは思うのですけれども、ただうまくできない人とか、やっていて失敗するときのセーフティーネットが必要とか、そういうことがあるので、それを県としていかにサポートしていくかというところだと思います。だから、抽象的なのですけれども、人づくりということ、これは教育から地域振興、産業振興まで広い話なわけですけれども、あとは、セーフティーネット的な保健福祉ということもますます重要になっていくのではないかと思っていまして、そういったところで10年後を見据えて安心して、そして希望を持って岩手で暮らし、学び、そして育つ、そして働くという、そういうための基盤整備を県がやるという感じがしています。

幹事社
本日は、記者クラブを代表しての幹事社質問は用意がございませんので、各社から質問があればお願いいたします。

記者
民主党の小沢一郎代表の国替え問題についてお伺いします。かねてから小沢代表の国替えに関しては言われていたのですが、日曜日の鳩山幹事長のテレビ出演において、岩手からは出ない。関東から出るのではないかということを話されていて、それからかなりヒートアップしていますけれども、知事としてはこれに関してはどうお考えでしょうか。

知事
選挙というのは、あくまで手段であって、目的は日本を良くしていくことだと思いますので、そこには色々な戦略や戦術があり得るのだと思います。それは基本的には政党の中でそれなりの手続を経て決められることだと思うのですけれども、それだけ日本を良くしようということに対して非常に真剣なのだなという印象を持ちました。今までどおりのやり方だけではだめなのではないかとか、思い切ったことをしていかなければだめなのではないかということを本気で考えているのだと受け止めています。

記者
具体的にどういう趣旨の戦術だと思われますか。

知事
そこは全然私の考えの及ぶところではありません。

記者
ご自身の気持ちとして、岩手4区からぜひとも出てほしいか、それとも東京に行ってもよいのではないかということについてはどうでしょうか。

知事
日本を良くすることが第一ですからね。日本を良くするという大目標のために政権を交代するとか、小沢内閣を実現するとか色々な方法があり、さらにその下のレベルの戦略、戦術という位置付けなのでありましょうから、要はそういう大目標の達成ができさえすれば、あとは色々なやり方があるのだと思います。

記者
衆院の解散総選挙が早まるのではないかという取りざたもされています。知事は民主党籍をお持ちですけれども、仮に衆院選が始まって県内の4つの小選挙区の民主党候補のマイクを握ったりとかと、そういう支援はなさいますでしょうか。

知事
去年の参議院議員選挙とか、岩手1区衆議院補欠選挙のときと同じでありまして、政治家個人として、あるいは達増個人として色々工夫して世の中のためになるのではないかということを関係者と相談しながら、その中で一定の役割を果たすというか、引き受けるというか、そういうことはあるかもしれないと思っています。

記者
ということは、民主党の候補者から支援要請があれば受けるというお考えなのですね。

知事
去年の参院選や衆院1区補選のときもあらかじめこうすると決めてやっていたわけではなく、それこそ選挙の当事者や関係者の皆さんには戦略とか戦術もありますので、その辺も伺いながら自分が何をすべきかを考え、決めていきたいと思います。

記者
先ほど世の中のために良いことであればというお話がありましたけれども、自民党の政策と民主党の政策のどちらがより世の中のためになるとお考えでしょうか。

知事
今は自民党の政策というのはこの世に存在していないと思うので、民主党以外にはないと考えています。

記者
岩手・宮城内陸地震の発生から3カ月になりました。色々なインフラの整備などが進む一方で、課題もまた見えてきていると思います。所感を伺いたいと思います。

知事
体制的にも10月から県南広域振興局と一関総合支局の土木関係の人員を増やすことを準備していますし、まだまだこれからという気持ちで復旧、復興をしっかりあたっていかなければならないと思っています。また、避難所生活をされている皆様についても、軌道に乗る部分と、またそういう生活が長くなることで、かえって困難が増えていくところもありますので、そこもきちんときめ細かく対応をしていかなければならないと思っています。そして、風評被害対策に関しては、紅葉シーズン、そして冬のスキー、温泉などのシーズンに入っていくにあたって、ここからが正念場だと思っていますので、これも色々な補正予算措置も含めてきちんと対応していきたいと思っています。

記者
今の質問に関連してなのですが、風評被害はこれから正念場ということですけれども、この風評被害が解消されたと判断する基準とか期間とかの考えがあればお聞かせください。

知事
陸上競技のトラック競技のように、とにかくゴールを走り抜けるような勢いでやっていかないとだめなので、ここまで頑張ろうみたいな感じでやっていくのではなくて、本来のゴールよりも前のほうを見ながら全力で走っていかないとだめだと思っています。実は風評以外の原油高でありますとか、世界金融不安でありますとか、色々な要素もあって、そういう意味では後から振り返って、風評被害というのはあの時点で終わっていたのだなというのがそこだとわかるのであって、とにかくお客さんにたくさん来てもらう、そして観光関係売り上げを伸ばしていくということをどんどん目指して走っていくということが今必要であると思っています。

記者
先ほどの民主党の小沢代表の国替えに関連する質問なのですけれども、小沢さんがもし国替えした場合に、当然県内の次期衆院選の民主党の対応もまた大分変わってくるかと思います。本来であれば2区中心に重点的に取り組むはずだったわけですが、小沢氏が岩手を出てしまうと、また4区を含めて見直しを迫られると思います。知事自身は小沢代表が岩手を出た場合、県内の次期衆院選に与える影響というのはかなりあると思いますか。それについてお聞かせください。

知事
民主党岩手県連の内部事情というのは、今あまり直接把握してはいないので、細かいところはよくわからないのですけれども、ただ、何か選挙戦略的に思い切ったことをする場合には、日本全体にとって良い方向でというのが基本ではあるのですけれども、岩手にとっても何かプラスになるような要素が戦略、戦術的にあるのではないかという期待をいたします。

記者
重ねてなのですけれども、その場合、民主党県連としては1区から4区まですべてパーフェクトというのを目指しているわけで、若干2区を重点的にやるはずだったのが、もし小沢代表が岩手を出た場合はそれが変わる。当然、一政治家として知事自身も1区から4区までパーフェクトにとれるように応援していくということでよろしいのでしょうか。

知事
岩手県民の皆様にこの選挙は、「こういう参加の仕方をしてよかった。」とか、「こういう結果になってよかった。」とか、県民にとってよい選挙になることが望ましいと思っています。そういう意味では、私としては勝ち負けという結果の部分だけで、政治闘争の中に巻き込まれていくとか、政治闘争の中に飛び込んでいくというような関与の仕方ではなく、選挙というのはもともと民主主義にとって最もかけがえのないものであり、最も主権者の力が発揮されるすばらしい場なわけでありますから、民主主義の岩手における成長ということにお手伝いができればよいと思っています。

記者
話が戻って大変恐縮なのですが、先ほどの長期計画の点で1つ聞きたいことがあります。計画期間をおおむね10年とした理由を教えてもらえますか。

知事
県民の立場になったとき、自分の将来と考えるときに10年という単位が一つ考えやすいのではないかと思ったからでありまして、行政の側の論理でそういうのを決めていくのではなくて、あくまで県民本位でという発想の中で、10年が適当なのではないかと考えているところです。

記者
知事は当初から任期は2期という話をしていらっしゃると思うのですけれども、10年ですと知事がいなくなった後もかかってくる話になります。そういう部分に関してはどういうふうにお考えでしょうか。

知事
10年後の自分のことを考える、それが集まって10年後の岩手についてビジョンを持つということは、その10年間のために大事というより、今、この瞬間を充実して生きていくために大事だと思っていまして、そういう意味では今を充実させるためにこそ10年後のビジョンが必要だと思っていまして、そういう意味では私の任期とか、任期終了後の去就と関係なく取り組んでいきたいと思っています。

記者
岩手競馬なのですけれども、前回の会見以降に日本ユニシスとの協議の進行に進展というのはあったのでしょうか。

知事
事務レベルのやりとりは依然継続中というところですが、それに加えて、先週、私の名前で日本ユニシスに向けて、時間もだんだん残り少なくなってきているので、来年度の具体案についてお示しいただきたいという趣旨の手紙を出したところです。必要であれば直接やりとりしながら、その辺を確認できればよいと思っています。

記者
その手紙に対する返答というのは、今のところはいかがなのでしょうか。

知事
まだ、いただいていません。

記者
手紙をいただいていないということなのですけれども、もし返答がある場合は、それは具体案と一緒に返ってくるのか、それともまず来月中には何とかしますとか、そういった返答で来るのか、どちらを想定されているのですか。

知事
県民と一緒に新しい仕組みをつくっていくためには、早い段階で、しかもより具体的な提案をいただくことが大事だと思っていまして、そういう方向で促しているところです。

記者
今の岩手競馬の件に関連して、10月に委託するかどうかを判断するわけですが、具体案をもらわなければいけないタイムリミットはいつごろとお考えでしょうか。

知事
本当は4月、5月の公募時にいただいて、不足部分は説明会のときにつけ加えていただくというようなスケジュールを当初考えていたわけでありまして、そういう意味では早ければ早いほどよいということです。ただ、中身がより具体的で、またより現実的といいますか、そのとおりやればほぼ間違いなくうまくいくというような中身の練度が高ければ高いほど、ぎりぎりでも間に合うということもあるでしょうから、いずれできるだけ早く案を示してほしいという働きかけをしているところです。

記者
ぎりぎりというのは、つまり9月でなくても、例えば10月に入ってもその練度が高ければ大丈夫だということでよろしいのでしょうか。

知事
だれが見てもこれなら大丈夫、うまくいくというものをいただければ、あとはすぐ作業にかかるだけという段取りだと思います。ただ、今のやり方よりもよいのだということをある程度県民的に納得していくためには、やはり早ければ早いほどよいわけでありまして、いつまでなら間に合うというような発想は私はあまりしていません。とにかく早くということです。

記者
ちょっと話は変わるのですが、先週、熊本県の蒲島知事が国のダム計画に反対の考えを表明したのですが、これについて同じ県知事として見解があればお伺いします。あと、この表明が全国的にどういった影響を及ぼすかということについてお考えあればお願いします。

知事
たしか、就任後いついつまでの間に県民の意見を聞きながら結論を出すという知事選挙の公約で、それを果たされたのだと思います。やはりそのように専門家や住民の意見を聞きながら県民合意を形成しつつ進めていくということが何事につけよいことだと思いますので、そういう意味では非常にオーソドックスな展開だったと思います。それは、やはりそういうことがよいのだという参考、教訓になると思います。

記者
小沢代表の国替えの件ですが、率直に言って今まで岩手の民主党の勢力というとかなり小沢さんの人気に支えられてきた部分もありますし、住民の方たちもここからということで期待していた部分があって、万が一国替えということになれば、やはり裏切られたとか、それで民主党を離れるというような考えを持たれる県民の方もいらっしゃると思うのですけれども、その辺の影響は率直に言ってどのようにお考えになりますか。

知事
今の段階では、ご本人からは正式な表明がないのですけれども、そういう意味で私が思い出すのは、大連立のときに一度代表を辞めると言って、その後辞めないということになったのですけれども、ねじれ国会ということ自体の本質を国民皆が真剣に考える、そういうショック療法という学習効果があったと思います。今、いわゆる国替えという話は、選挙の本質とか、今日本が置かれた状況の緊急性とか、そういうことを岩手のみならず全国の有権者が真剣に考える教育的効果があると思っています。政治においては、100%みんなが賛成する結論は出てこないのだとは思うのですけれども、まずはそこを真剣に考えていく中で、多くの人たちが納得して、よし、力を合わせてやっていこうというような結論が出ていく方向に向かっていくのではないかと思います。

記者
知事とすれば、やはり岩手から出ることになるだろうというようなお考え、感触なのでしょうか。

知事
そこは選択肢の中の一つですからね。ただ、いずれにせよ日本全体のことを考え、ひいては国民一人一人の暮らしや仕事のことを真剣に考えているのだというメッセージは胸にずんと来ていますので、まず今知事の立場で岩手のためにもっと頑張らなければいけないと思っているところです。

広聴広報課
それでは、これをもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は9月25日(木曜日)の予定です。

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