平成20年11月4日知事会見記録

ID番号 N11830 更新日 平成26年1月16日

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(平成20年11月4日 10時31分から10時59分)

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
本日は知事からの発表事項はございませんので、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
それでは、幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
本日は、幹事社からの代表質問はありませんので、各社質問があればお願いします。

記者
県庁内部でのいわゆる不正経理について調査の途中経過が公表されて、ほとんどの部局で行われていたことが明らかになりました。このことについての知事の見解と、今後どのように対応していくかお考えをお聞かせください。

知事
会計検査院に指摘を受けた農林水産部、県土整備部以外にも県の組織内に会計の不適切な処理が同様にあったということは大変遺憾であり、県民の皆様に対して本当に申しわけなく思います。
まず、先週聞き取り調査として取りまとめた段階ですので、これを書類等と突き合わせながら事実関係の確認を詰めていき、同時に再発防止をきちんと考えていかなければならないと思っています。1つはきちんと相互のチェックなどできるような制度、仕組みをつくっていくこと、もう一つは一人一人がコンプライアンス、法令、条規、ルールを守って仕事をするという意識を職員一人一人が改めて持つよう意識改革を行っていくこと、そういうことが必要と考えます。

記者
改めてになるのですけれども、今まで明らかになっていた農林水産、県土整備以外でも全庁的に行われていたということについて、その職員の意識という面も含めてどのようにお感じになっていますか。

知事
会計検査院の検査対象の平成14年度以降、それ以前からも行われていたと見られるところもあり、きちんとした原因の究明はこの事実関係を明らかにした上で行っていかなければならないのですけれども、今の段階で考えられることとして、予算は年度内に使い切ってしまおうという意識が強く、そのためにはある程度のルール違反も構わないというような意識があったということと、その結果、実際ルール違反で処理をした場合にそれを相互にチェックする体制ができていなかったという2つのことが大きい問題だったと思いますので、そこをきちんと直していかなければならないと思います。

記者
今の質問に関連してなのですが、先ほど総務室から資料をいただきまして、いわゆる預けと呼ばれている手法が教育委員会も含めますと8部局ありました。この中で私的に流用していたとかといった職員からの証言の報告など現段階の状況はいかがでしょうか。

知事
今の段階での聞き取り調査から、業者側の聞き取り調査も含めて、そういう私的流用はないと聞いています。

記者
これは職員の証言ということなのですけれども、今後、例えば私的流用がないとかといった部分について、県としてどのように調査をしていくのでしょうか。

知事
農林水産部、県土整備部で既に行ったように、一つ一つの品目について県の側の支出と業者の側の納入と、それを突き合わせていくことでぴったり額が合えば使途不明金がない、イコール私的流用がないということになると思います。

記者
総務室の資料によると、当該業者からの説明聴取の状況という中に、年度越えについて、年度越えはあったと思うが、県向けの納品書には日付を記載しない慣習があると記載があるのですが、日付がないものというのがまかり通るというのはいかがなものかという気がするのですが、これについてはいかがでしょうか。

知事
どういう理由があろうとも、そういうルール違反のような処理は許されないことですから、今後ないようにしていかなければならないと思います。

記者
解散総選挙なのですけれども、当面ないという方向に動いているのですが、知事は以前から早く解散すべきではないかということもお話しされていたと思うのですが、改めてご所見をお伺いします。

知事
アメリカ大統領選挙などを見ていますと、むしろこういう危機の時代であるからこそ民意を問う、民意によって政権のあり方、そして政策の根本を新しくつくっていくというやり方は、今の日本にとっても非常に有効なのではないかと感じています。というのも今、日本を襲っている経済的な危機というのは一時的な現象なのではなくて、今世紀に入ってから一貫して地方切り捨て的な政策が続いて、地方経済が弱っているからだと思います。日本経済の足腰が弱る中でちょっと円高になればたちまち日本株が売られてしまう。欧米以上に日本株が下落するというのは、やはり日本のそういう経済、社会、構造的な問題があるからであり、そこを直していく作業が必要な局面なのだと思います。
景気の悪化、所得や資産下落等に対する、それを補うような経済対策はやらなければならないと思うのですけれども、それ以上に日本の経済社会の構造を変えていく、それは政治や行政のあり方の構造を変えるということも合わせて今やらなければならない局面なのだと思います。

記者
個別具体的な話ですけれども、麻生総理が発表した中には、高速道路を休日は1,000円でどこでも行けますという項目があり、民主党のほうも高速道路の無料化について早くから言っています。これについての比較、どちらがよいかということに関してお伺いします。

知事
生活本位ということで、暮らしや仕事の現場に関係する政策の発想はよいと思うのですけれども、ETCを持っている人だけが優遇される仕組みと聞いていますし、格差拡大的なところがあるのではないかと思います。ほかの政策も弱いところを補うというより、富裕層も含めて一律に優遇されるような格好ですから、そこはもう少し考えたほうがよいと思います。

記者
一時、定額減税と言われて、それから商品券とか色々出ていますけれども、それについては所得制限をしないというお話も出ています。もし給付金方式でやるのであれば富裕層ではなくて、ある程度制限を設けるべきだとお考えですか。

知事
組み合わせですから色々あるとは思うのですけれども、去年福祉灯油を県も支援すると決めたときもそうだったのですが、低所得者層といいますか、普通の人と言ってもよいのですけれども、そういう人たちが色々な諸物価の値上がり、一方で賃金が下がり、就職もなかなかできないというところで苦しんでいるので、まずそういったところをきちんと下支えする発想が大事ではないかと思います。

記者
県の会計処理の件に関してなのですけれども、岩手だけではなくて会計検査院が検査に入った道県で、こういった預けとか年度越えという手法が行われていたことが確認されています。先ほど知事もお話しの中にありましたが、年度内に予算を使い切るという意識が強かったとかということで、いわゆる補助金をめぐる使い切りとか、あるいはひもつきと言われている制度上の問題があるのではないか、預けはもってのほかというか、納税者から見れば大変なことだと思うのですけれども、一方で国の制度の問題もあるのではないかという指摘があります。
それで、例えば北海道、東北の知事会議とか、あるいは全国知事会で、これを議題にして国のほうにも改善を求めていくというお考えはあるのでしょうか。

知事
制度に不備がある、制度を変えたほうがよいという中で、しかしながら不適切な処理というのはやはりやってはいけないので、ルールに従った処理をしつつ制度を変えていくというのが筋であって、不便な、不自由な制度があるからといって不適切なことが正当化されるということはないということをまず前提にしなければならないと思います。一方で今の会計をめぐる制度、補助金をめぐる制度については、改良すべき点は多々あると思います。そこは公然とそういう発言をしている都道府県も既にありますし、そういったところは恐らく今後の全国知事会議などでも議論されていくのではないかと思います。
岩手の場合、まず色々事実関係をきちんと確定させた上でないと責任ある発言ができないと思うところがありますので、今の段階では私から何か提案ということは考えていないのですけれども、そうした全国的な議論の中にどう参画していくかというのは、岩手の事実関係の確定の作業と並行して考えていきたいと思います。

記者
もう一点、先ほどの質問に戻るのですけれども、高速道の料金を低くするとか、あるいは生活支援のための給付金とか盛り込んだ26兆円の麻生首相の追加経済対策について、評価などどのようにお考えでしょうか。

知事
準備不足という感じがします。もともと福田首相が辞任されるというところから早期解散という基本的な戦略を政府与党側は考えていたと思うのですが、日本の経済の危機的状況を脱するための、特に構造的な改革については、全然準備していなかったのだと思います。予想以上に株価や、諸外国の経済指標が悪くなり、何かしなければならないのではないかということで各役所に出させたものを取りまとめた格好になっていますので、準備不足なところは否めず、政策の方向性として整合性がとれないところがあったり、構造的な部分に迫っていないところがあると思います。

記者
高速道路の関係なのですけれども、全部無料化にしようが、1,000円にしようが、利用者にとっては朗報だと思うし、民主党のほうであれば経済活動として使うところにも影響はあると思うのですが、これはマイカーの利用を含めてモータリゼーションを加速させることにつながると思うのです。地球温暖化の問題もありますけれども、もう一つは地方で苦しんでいる中には第三セクター含めたローカル線の利用者減、経営難というのがあって、岩手県もかかわっている2つの鉄道があるわけですけれども、それがもし実現すればますます利用者減につながって経営を圧迫するのではないかという見方もできると思います。そういう意味で、単純に高速道路の無料化あるいは1,000円とかというのは喜べないのではないかと感じるのですが、その点はいかがでしょうか。

知事
目的に応じた政策をきちんと考えた上で、複合的にポリシーミックスするのが基本だと思います。高速道路の無料化という政策は地域の活性化と、低所得者を含む普通の人たちを中心に、例えば働くところが県北の中にはなくて盛岡や県南に出て働かなければならないが、週末は自分のうちに戻りたいとか、盛岡の医者や病院に県北や県南から通わなければならない人たちが高速道路が無料になると非常に助かると思います。産業面でも新しい農林水産の物産を離れた町にもどんどん出荷したいという人たちが自由に動き回れるというために高速道路無料化はあると思います。
それと別に環境対策的な政策は自動車そのものとか、何か別のところで対策を考えればよいのではないかと思います。
環境税、炭素税などとの組み合わせを使って地域の活性化、また低所得を含む普通の人たちが色々なハンディを乗り越えられるというのを促しつつ、しかし高所得者とか、あるいは大企業といったところは車の使用を抑制するとか、そういう組み合わせを政策的に考えればよいのだと思います。

記者
もし高速道路の料金引き下げなどが実現した場合のローカル線への影響というのは、あまり懸念されていないでしょうか。

知事
そこのパーク・アンド・ライドとか、近距離の通勤、通学などには高速道路との競合というのはあまりないと思いますし、あとは距離が長くても通学に関しては大人と違う割引を設けるとか、色々な目的別の政策を組み合わせることで、そこは克服できると思います。

記者
今日は原敬の命日、逸山忌なのですけれども、原敬に対する達増知事の人物観などがありましたらお聞きします。

知事
近づけば近づくほどますます仰ぎ見るというような非常に高い山のような存在です。色々外交の仕事をやったり、また衆議院議員をやったりとか、私もそういうところで見習わなければならない先人として常に意識してきています。最近も原敬日記をベースにした評伝、新しい本が地元で出版されたりしていますけれども、ああいうのを読んでも読むたびにすごいなというふうに思います。生徒、学生だったころに読んで知った原敬という存在、自分が外交の仕事をしたり、国会の仕事をしたり、そういう仕事を重ねるに従って、改めて実はこんなにすごかったのだという新しい発見が常にある、そういう先人です。

記者
具体的に政治家達増拓也に特に影響を与えたというものがあれば教えてもらえますか。

知事
やはり政党政治の確立こそ日本にとって必要だと、特に薩長藩閥政治から脱して、日本に真のデモクラシーを根づかせるために政党政治の確立ということを目指し、かつやり遂げたというところが今私にとっては一番参考になるというか、仰ぎ見ているところです。

記者
岩手・宮城内陸地震の関係ですが、落橋した祭畤大橋を地震を伝えるメモリアルという意味で保存したいという声が地元中心に上がっています。一関の市長も先週ですか、会見でできれば保存したいという意向を示しているのですが、知事はこの件に関してどのように考えているのかお聞かせください。

知事
安全性の面とか、安全な形で維持し一種の記念公園のような形で管理していくということにはかなりのコストがかかるのではないかと思うのですけれども、岩手が初めて経験する震度6強の地震で、全く未曾有の大きな災害だったわけでありますので、私自身もそれを全体としてどう評価して、どう今後に残していくかということについてはまだ全貌をそしゃくしきれていないところがあります。何らかの形できちんと後世に伝えていかなければならないという気持ちは私も共有するところであり、そのあり方については、まだ避難生活されている方々もありますし、復旧、復興の事業はこれから本格的になっていくところではあるのですが、そういった作業をしっかり進めながら後世への伝え方についても考えたいと思います。

広聴広報課
それでは、これをもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は11月10日(月曜日)の予定です。

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