平成20年11月17日知事会見記録

ID番号 N11826 更新日 平成26年1月16日

印刷

(平成20年11月17日 10時32分から11時6分)

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
最初に、知事から発表があります。
それでは、知事お願いいたします。

知事
今日の発表事項は、岩手県観光産業振興本部の設置についてと厳しい社会経済情勢に対応した県の追加的取組についてです。
まず、岩手県観光産業振興本部についてですが、このたび本県における観光関連産業の育成を一層強力に推進するため、副知事を本部長とする部局横断的な体制による岩手県観光産業振興本部を設置することとしました。
国では、去る10月1日に観光庁を創設して、国際観光の強化や観光を通じた地域づくりなど一層強化することとしています。また、県議会においても観光振興に関する条例を提案する方向で検討が進められていると聞いています。こうした動きに呼応しまして、本県への観光関連産業の育成を一層推進するため、商工部門のみならず地域の活性化に取り組む地域振興部門や農山漁村と都市との交流促進を担う農林水産部門などを含めた横断的な体制を整備し、各部門の持つ力を合わせて県の総力を挙げて観光産業を振興する考えです。
11月20日の木曜日15時から観光課前で副知事が本部の看板を設置するとともに、引き続き第一応接室で第1回会議を開催して本年度及び来年度に向けてどのような取組みを行うか協議することとしています。
次に、発表事項の第2、厳しい社会経済情勢に対応した県の追加的取組についてですが、資料をお手元にお配りしていますけれども、今年2度にわたって発生した大きな地震、また原油、原材料価格の高騰があり、こうしたことは県民の生活にも大きな影響を及ぼしています。加えて最近の世界規模での金融不安を背景に、仕事や暮らしの現場の不安はさらに高まっているところです。
県としても、これまで災害復旧や被災者支援、風評被害対策に向けた取り組みを「がんばろう!岩手」予算として9月補正予算に計上したほか、県民生活の不安解消に向けた支援や、中小企業や農林漁業者の経営安定に向けた支援のための新たな取り組みを追加しながら全力を挙げてきたところです。
また、今般、冬期間における経済的負担軽減を図るための福祉灯油、省エネルギー型農業機械の整備に対する支援などを新たに12月補正予算案として盛り込んだところです。
今後においても、国の緊急経済対策の動向も注視しながら県民が安心できる仕事と暮らしの確保に向けて、迅速かつ適切な対応を進めていくこととしていますので、県民の皆様におかれましては、ぜひ県で用意している支援を有効に活用していただきたいと考えています。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
ただいまの発表事項について、各社から質問があればお願いします。

記者
今、発表事項が2つありましたが、この2つに関してお聞きします。
まず、観光産業振興本部の設置なのですが、今までも平泉の世界遺産登録に関係して観光振興が県政の課題になっていたと思うのですけれども、なぜ今の時期に設置するのかという部分をもう一度お聞きしたいと思います。
次に、厳しい社会経済情勢に対応した県の追加的取組についてですが、この内容を見ますと9月補正対応とか、福祉灯油も含め12月補正の知事査定で既に明らかになっている部分があるのですが、今回こうしたものを発表する意図についての合わせて2点をお伺いします。

知事
平泉の世界遺産登録関係で部局横断的な体制の試みがなされていて、かなりうまくいったと思います。今年、岩手の観光は軒並み入り込み数が減ってしまっているのですけれども、平泉に関しては減っていないと聞いています。この平泉で培われたノウハウを岩手の観光全般に広げて、特に今年の様々な試練を乗り越えて来年につなげていくためにも県として強力な体制をつくる必要がある。また、これは今目の前の危機に対応する取組みであると同時に、21世紀の主要産業の一つが観光でありますので、中長期的な観点からも岩手の観光産業を軌道に乗せていくためにも全庁的な体制をつくろうということで今回発足としました。
次に、今回の厳しい社会経済情勢に対応した県の追加的取組についての発表ですけれども、まず福祉灯油などを12月議会に諮るそういう内容を盛り込んでいるほか、9月補正予算で既に決定を見ていることについても、岩手の商工連携ファンドの活用をしていただくのはこれからですし、災害復旧関係の事業も本格的な作業はこれからです。また、既に窓口は開いている中小企業者向けの県単融資ですとか地域建設業経営強化融資制度、その関係の様々な支援策については、この12月に向かって年末の資金繰りとか、そういったところで特に活用していただきたい枠組みでありますので、この機会にそうしたメニューを一通りまとめて発表することによって、本当に一社でも多くこの危機を乗り越えてほしいと思っています。また一人でも多くの暮らしや仕事を少しでもよくなるようにという思いで発表したところです。

幹事社
ほかにございませんか。発表事項に関する質問はよろしいですね。
それでは、幹事社から県政記者クラブを代表して2題質問します。
1つは、県と中国大連市との交流について、中国大連市との経済交流の状況と今後の展望について伺いたい。
もう一点は、不適正な経理処理に係る全庁調査について、全庁調査の進展状況について伺いたい。
以上の2点です。

知事
大連市との経済交流等の状況についてですけれども、平成17年4月に県の大連経済事務所を開設し、また去年の5月には大連市と地域間連携の推進にかかわる協定を締結したところです。こうした中、今年は県職員の大連市政府派遣、環境分野にかかわる共同研究や海洋環境技術の交流、県内企業と中国企業とのマッチング商談会の開催、県内の大学や民間企業における製造技術の連携や販売提携などの取り組みが進んでいます。
今後の展望については、今回の大連市との定期友好協議におきまして、大きく4つの項目について更なる連携に向けた取り組みを進めていくことで合意しました。第1に、岩手県と大連市との産業プラットフォームの構築や観光分野の連携強化、第2に環境分野における幅広い科学技術や情報の交流、第3に国際化に対応する人材や青少年の交流、第4に大学間の連携促進や文化の交流ということで、この4つの合意事項をもとに今後さらに大連市との連携をどんどん具体化していき、県はもとより、県内の大学や研究機関、民間の企業など様々な分野で連携や交流がさらに進んでいくように取り組んでいきます。
2番目の質問の不適正な経理処理にかかわる全庁調査の進展状況についてですけれども、現在確認作業を進めています。12月議会の招集日を11月27日としていますので、それに間に合うよう事実関係を取りまとめて、併せてこうした不適切な事務処理が行われた原因究明や再発防止のための対策を整理して調査結果としてまとめるよう作業をしているところです。

幹事社
この質問に関しまして各社から質問があればお願いします。
幹事社質問に関する質問はよろしいでしょうか。
それでは、ほかに各社から質問があればお願いします。

記者
県の医療局で沼宮内の県立病院と5つの地域医療センターの無床化というお話をそれぞれの地域の自治体にお話しされているようですけれども、このことについて小さな反発も既に起きています。今後、どのようにしていくのかという進め方の部分についてお考えをお聞かせください。

知事
私も何人かの勤務医の方から、この有床診療所の有床であるがゆえの夜勤が非常に負担になっているということを直接聞いています。そして、今岩手全体として勤務医の負担が非常に重くなっていて、本当にもう続けられない、やめるしかないという決断をするかしないか悩んでいる勤務医さんも少なからずいる状態と聞いています。そういう中で集約化によって少しでも勤務医の負担を減らし、集約化したところから診療所にも日中働きに行って、そこでしっかり医療、診療を行うことができる体制づくりが求められていると思っています。
岩手の今の医師不足を中心とした医療の危機的状況というのは非常に猶予ならない状況で、1つの診療科目について3人の勤務医は必要ということで体制を組んでいるわけですが、そこで1人やめてしまうことで残り2人には1.5倍の負担が残っていくわけで、たちまちその2人も仕事が続けられなくなり、あっという間に1つの診療科がつぶれてしまう。そこにまた集約されたところから医師を派遣するということをやっていると、あっという間に県全体の医療体制がつぶれてしまう危険性を今の岩手の地域医療は抱えていると思っていまして、ここをどう乗り越えていくかについては県民みんなで力を合わせてやっていくしかないと思っています。
今月終わりには「県民みんなで支える岩手の地域医療推進会議」が立ち上がるのですけれども、色々な機会に関係の市町村長さんはもちろんなのですけれども、広く県民的な議論をして、まず今のこういう状況の中で岩手の地域医療を守る、これはイコール県民一人一人の健康を守るということでもあるわけですけれども、そのためにどういう体制をとっていくのがよいか、またそういう中ですべての人が自分の要望を全面的に通すことを無理にやろうとすると、それが全体の崩壊につながるという状況もみんなで理解して、患者の側も必要な医療を我慢してはいけないのですけれども、不必要な救急医療の利用、タクシーがわりに救急車を使うとか、そういったことをしないというような患者の側、ひいては県民一人一人の医療に関する意識、高い意識と強い自覚というのが必要な局面だと思うのです。ですから、市町村長さんたちとの議論というのもそういう県民的な議論の中で進めていければよいと思っています。

記者
対象の市町村長に直接お話を聞くと、突然だったというような声ですとか、約束違反ではないかというような声もありました。こうした必要な医療を県全体で考えなければならないというお話もわかるのですが、こうした地域の不安の解消という部分についてはどのようにしていきたいとお考えですか。

知事
状況がわからない中で不安も生じてくると思うので、今県全体がどうなっているのか、地域医療の現場が今どうなっているのかをみんなで理解した上で、そしていざというときの助け合いの仕組みについてもお互い理解した上で、不安をできるだけ小さくできるようなお互いの工夫と努力によりつくっていければよいと思っています。

記者
今日、新しい経営計画案が公表されて、その後パブリックコメントになると思うのですけれども、その地域の声とか、市町村長さんなどの声はどのように吸い上げていきたいとお考えですか。

知事
今回のことは個別利害の調整というよりは、県民みんなでどういう地域医療をつくっていくかという大きい絵柄の中で考えて決めていくべきことだと思いますので、そういう姿勢で臨んでいきたいと思っています。

記者
今の質問に関連してなのですが、地元の首長さんらは突然だとか、唐突だということですが、そもそもこの計画を決める会議が具体的な部分については非公開で行われており、それがこういったような反発招く要因の一つにもなったと思うのですが、非公開で行われたのはなぜだったのかお伺いします。

知事
原案をつくる作業については、一部の関係者で原案をつくり、そしてそれを一般公開してみんなに意見を求めるというやり方は決して異常ではないし、非合理的ではないと思っています。

記者
それと今回の計画を進めていくと、ベッド数が減っていって、現在いる患者の人がどのように次の段階で配置されていくかというところも重要になってくると思うのですが、そのあたりはどのようにお考えでしょうか。

知事
要は、県民一人一人、患者一人一人がきちんと必要な医療を受けられるということを中心にして全体を決めていかなければならないと思っていますので、医療難民のような行き場を失って困るような患者さんが出ないように進めていかなければならないと思います。

記者
定額給付金なのですけれども、概要がほぼ固まりましたけれども、市町村任せで。

知事
国は固めないということが固まったわけですね。

記者
今お話しされたように市町村に任せている部分も多くて、反発の声も上がっていますけれども、まずどのように評価されますか。

知事
結構慄然とする思いがしていまして、国として英知を結集して、そして政治的な力を振るって決めていかなければいけないような話をいとも簡単に放り出して、地方に、市町村に任せるというのは非常に異常なやり方ではないかと思います。
前々回の記者会見で、追加経済対策について準備不足だということを指摘していたのですけれども、準備不足なら準備不足なりに集中して徹底して内閣の英知を結集するということをすればよいのだと思うのですけれども、逆に内閣構成の各大臣がそれぞればらばらなことを言って、内閣としてまとまらなのは本当に究極の政治空白が今日本に生じているような怖い感じがしています。

記者
市町村によって対応がばらばらなのですけれども、知事としてはどういう対応をするのが望ましいと思いますか。

知事
もし本当に地方に任せるのであれば、人口に応じた額になるのか単純に交付金的に市町村に配分して、その市町村がそれこそ医師招聘に使わなければと考えるのであれば、医師招聘にそのお金を使うとか、市独自にあるいは町村独自に有床ベッドのある医療施設を自治体としてつくらなければならないというときにはそれに使えるようにするとか、それが筋なのだと思います。

記者
定額給付金の関係なのですけれども、県として市町村の対応を今後取りまとめていくという方針はありますでしょうか。

知事
放ってはおけないという感じはしているのが、一方こういう究極の国家を捨ててしまうかのごとき決断が本当に日本の国会でなされるのかということについては、国会の審議を通じてもうちょっとまともなやり方に変わっていくのではないかということも期待しているので、今の段階で今、決まっていることを前提に県から働きかけていくということは特に考えていません。

記者
定額給付金の関係で、所得制限を設けるかどうかを市町村にゆだねることに関しては、知事はどう思いますか。

知事
本当に無責任の極みだと思います。これは、そもそも純粋に景気対策として、国民経済に流通する貨幣量を増やしたいということであれば所得制限なしのはずですし、また低所得者対策であれば所得制限付きとなるのですが、そういう政策の趣旨そのものを国として決めていないという極めて異常なことだと思います。ただ集めた税金をつかんでばらっと放り投げる、ばらまくよりも無責任な放り投げるという感じのことをしているのだと思います。

記者
三陸鉄道の関係で伺いたいのですが、経営改善計画がまとまったと思うのですが、今後の見通しと、県としてどのようにかかわっていくのかお伺いします。

知事
原油高の影響もあり、かなり厳しい状況になっているので、今は我慢のしどころで、県と沿線市町村が力を合わせて支えていく状況と考えています。
それこそ日本経済全体の回復、またその中で地方経済、地域の活性化、そういったことを進めながら経営の改善となっていくことが望ましいわけですけれども、全国的な経済情勢や、また地方のありようというのが危機的状況の中で、まずは今は我慢するフェーズかなと考えています。
一方、来年25周年ということで色々なイベントを中心に盛り上げていくよい機会であるので、特に観光関係の利用はどんどん増えている状況でありますから、そういったところに活路を見出していければと思います。

記者
県と沿線市町村の財政支援は避けられないと思うのですが、負担割合はどのような方向になるのでしょうか。

知事
25年前に三陸鉄道をスタートさせるときにかかわった県OBの人に聞いた話なのですけれども、三セクとして20年はなんとかやっていけるが、人口減少とか車社会への移行とかを考えれば、やはり通勤通学利用者はどんどん減っていくだろうという見通しが最初からあり、20年過ぎたら、あとは沿線市町村で支えるしかないというようなことは当初から念頭にあったということを聞いていますので、まさにそういう選択、決断を沿線市町村は迫られているというところなのだろうと思いますけれども、県としてそこを100%沿線市町村にというわけにはいかないと思うので、そこはそれぞれ応分の負担をしていくということを調整してやっていければと思っています。

記者
医療局の新しい経営計画についてなのですけれども、現行の医療サービスを維持していくための一つの計画というか方策だとは思うのですが、仮に地域の理解が得られない場合は、例えば増税とか、あるいはそのほかの行政サービスを削ってこういう医療資源に充てていくとか、そういうことも視野には入っているのでしょうか。

知事
県民みんなで支える地域医療ということを県民みんなで考えて決めていこうという中では、医療以外の地域のあり方とか、県政全般のあり方とかも一緒に考えていくというのは当然含まれますけれども、ただ一方で経済情勢も非常に危機的状況なので、なかなか増税のようなことを県民として決断するのは難しい情勢だと思っています。そういう農林水産業の下支えとか、ものづくり産業関係の、これは下支えというよりも引っ張り上げていくような施策とか、観光振興とかもそうですけれども、今の県の予算の枠組みを大きく変えて医療部分にすべてを注ぎ込むというような感じは難しい局面と思うのですけれども、ただこれは県民的な議論を経て最終的には決定していくことだと思います。

記者
それと先ほど質問にも出ました三陸鉄道の計画のほうなのですけれども、今までも累積債務があって、赤字が出るたびに行政が財政の支援をしてきたということなのですが、今後もそういった今までのようなやり方というのは恐らく続くと見られているのですけれども、こういった第三セクターの赤字分を行政が補てんするというこのシステムというのは知事はどのように考えていますか。未来永ごう続くと思っていますか。

知事
今の仕組みは、かなり地元に負担を強いるような仕組みになっていて、本来、日本国有鉄道がやっていたことを国鉄民営化の中で地方にどんどん落としていったというようなところがあり、IGRいわて銀河鉄道もそうなのですけれども、鉄道については本当はもう少し国が責任を持って見ていく必要があるのではないかと思っています。

記者
あともう一件なのですが、知事は19日から香港にトップセールスに出かけ、政府要人とかと会談あるいは現地のイオン店舗を訪れたり、イベントにも参加するとのことですが、その抱負をお伺いします。

知事
香港は岩手からの輸入も多いですし、また岩手への観光客も多いですし、岩手がグローバルに色々と展開していく上で非常に重要な地域であり、またパートナーだと思いますので、岩手を強力にアピールして印象づけて、日本の中にも色々あるけれども、香港の皆さんが求めているものが岩手にあるし、また香港から全中国、アジアへとどんどんつなげていくにふさわしいだけのものが岩手にあるということをしっかり印象づけていきたいと思います。

広聴広報課
それでは、これをもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は11月27日(木曜日)の予定です。

このページに関するお問い合わせ

政策企画部 広聴広報課 報道担当
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
電話番号:019-629-5285 ファクス番号:019-651-4865
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。