平成20年12月22日知事会見記録

ID番号 N11804 更新日 平成26年1月16日

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(平成20年12月22日 10時31分から11時4分)

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
本日は知事からの発表事項はございませんので、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
それでは、幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
幹事社から質問があります。2008年を振り返って、知事の3大ニュースを挙げると何になりますでしょうか、その理由も併せてお伺いします。

知事
1番目は、「岩手・宮城内陸地震から「がんばろう!岩手」運動へ」です。やはり岩手・宮城内陸地震が今年一番インパクトのあるニュースだったと思います。その震度の大きさということ、その瞬間だけではなく、その後の様々な対策、そして「がんばろう!岩手」運動ということが県民の中から、県職員の中から盛り上がってきて、そして来年につながっていく、それがまず1番目です。
2番目は、「産業振興施策の進展と世界金融危機による雇用危機」です。今年は、東芝の新工場立地の決定に象徴されるように、半導体、また自動車、それぞれ集積促進の体制づくりが非常に進みまして、2つの峰を持つものづくり産業の山という形が岩手の中にはっきりくっきり出てきた年だったと思います。また、農林水産業関係も商工との連携で、安心安全な岩手の食をどんどん供給していこうということで盛り上がり、産業振興施策全般について大きい進展があった年だと思いますが、まさにその正面から世界金融危機による雇用危機ということがこの年の終わりになって出てきたところです。これは、雇用危機ということを正面から迎え撃つ体制は着実にできてきたと思いますので、その方向で、さらに色々な施策も加えて雇用危機を克服し、岩手の経済を向上させていくということが、2番目のニュースだと思います。
3番目は、「文化芸術をめぐる様々な動きとオリンピック等での県人選手の活躍」です。たくさんのニュースを1つの中に入れているようなまとめ方ではありますが、今年は文化とスポーツが大きかったと思います。
まず、岩手県文化芸術振興基本条例が策定されたことは非常に大きいニュースだと思いますし、またユネスコ世界遺産の関係で、平泉の文化遺産は今年は登録延期になりましたが、早池峰神楽が無形文化遺産で登録の見込みになり、また御所野遺跡が暫定リストに載るなど、様々な動きもあった年であります。
それから、アテネには県人選手が出ませんでしたので、夏のオリンピックに県人選手が出るのは8年ぶりですか、今年はオリンピックを中心に県人選手の活躍で盛り上がった1年だったと思います。

幹事社
この質問に関連して、各社から質問があれば願いします。

記者
今の質問に関連してですけれども、岩手・宮城内陸地震、雇用、文化とスポーツということを挙げられましたけれども、率直に言いましてこの1年を振り返った知事の所感と、来年はどのような年にしたいのか、その2点をお伺いします。

知事
今年は、多事多難な1年だったと思います。岩手・宮城内陸地震に象徴される危機管理的なことが多くあった年で、県の不適切事務処理問題の発覚もまた危機管理的な側面を持つことだったと思います。危機を希望に変えるというスローガンからすれば、まさにたくさんの危機に正面から取り組んで、希望に変えていくという作業を知事としては職員とともに、あるいは県民とともに強力に推し進めることができた1年だと思っており、大変なことは多かったけれども、やり遂げたと言いますか、取り組んだことは非常に多かった、密度の濃い1年だったと思います。来年は、岩手県民がこれだけ色々努力して、苦労して頑張っているので、成果が出てくるような1年になってほしい、一言で言うとよい年になってほしいという思いを強く持っています。

幹事社
それでは、ほかに各社から質問があればお願いします。

記者
20日に財務省原案の内示がありましたけれども、岩手県が現在求めている医師確保対策については盛り込まれませんでした。今検討されている無床化の案についても、改めて一緒に盛り込まれるかどうかの見通しも含めてお伺いしたいのと、無床化に関する各地域での説明会の開催は年明けになる見込みだということですが、その理由など含めてお伺いします。

知事
県の医療局の経営改革案についての関係の深い地域への説明については、議会が終わった後、関係の市町村長さんへの説明をまず一通りやったと聞いています。そして、住民の皆様への説明会をどういうふうに開くかという調整も行って、その結果、年が明けてから逐次行っていくというふうに決めていると聞いています。政治的な駆け引き、押したり引いたりとかという問題ではなくて、岩手が直面している地域医療の実態とか、医療局の経営改革案を実行した場合にその当該診療センターあるいは病院にどういうことが起きるのか、そして個別具体的な患者さんとか住民の皆さんの質問に答えていくという作業なので、ある程度そういう段取りをしっかりした上で、きちんとした形で行われることが望ましいと思っています。
それから、国のほうの医療対策、医師不足対策を中心とした医療関係については、今3,300億円の重点枠の中で議論されていると聞いていますけれども、本当はその骨格的な予算の中に盛り込まれてもよいのではないかというような構造的な問題だと思いますが、医学部定数を拡大するということは本格的に決まっているわけですけれども、これの効果が出るのは10年後ですので、本当に短期的に効果が出るような、そしてそれは単純な医師不足解消というよりも医師の偏在に対する対策ということが緊急に求められると思うので、地域的な偏在、そして診療科による偏在に対して本当に即効的に効果がある施策を国に求めたいと思います。

記者
医師確保ができる見通しになった場合に、現在示されている無床化に関しての県の考え方が変わっていく可能性があるということなのでしょうか。

知事
今の段階では当面5年間については岩手の医師が劇的にふえるという見通しはありませんので、今は現状を前提にした計画しかないと思っています。

記者
もう一点伺いたいのですけれども、雇用創出枠が2次補正予算案で盛り込まれましたけれども、奥州市や金ヶ崎町は臨時職員の採用を示しているわけですが、県としても臨時職員の採用を行う方針なのか、その場合はどこの地域で何人ぐらいの規模を想定しているのかお伺いします。

知事
市町村が臨時に職員を採用する場合、特別交付税を措置するということが国のほうで決まってきているようでありまして、それは市町村の対応を後押しするような効果はあるのかなと思っています。県は今のところ具体的にこの職でこの人数をというのはないのですけれども、今週も緊急雇用対策本部の会議を開きますので、県として即効性のある対応について、どういうことができるのかということを検討していきたいと思います。

記者
法人税の落ち込みがこの不況で非常に懸念されていますけれども、減額補正を行う方針でしょうか。

知事
今この瞬間には減額補正をするという予定はないのですけれども、この後、推移を見ながら必要かどうか議会日程との関係と合わせて、今後の検討になっていくと思います。

記者
雇用対策についてお伺いします。財務省原案にもあった内容で、先ほどもご回答いただいたのですが、知事は以前に地方の財政事情をかんがみてという話もございました。それで、1点目が今の県財政を踏まえてどれぐらいのことをできるのか、先ほど臨時職員の採用については言及ありましたけれども、例えば住宅の確保等の問題もあるかと思います。想定される例を挙げていただければと思います。

知事
職員の臨時採用を市町村がやる場合も、特別地方交付税という国からのお金の措置で何とか目鼻がつくような格好です。こういう緊急事態に対応する予算、これは災害対策もそうですが、地震等による災害対策についても、県で独自に措置するとか、基金を取り崩すとかというより、むしろ国の臨時の措置で財源を確保するということが基本になりますので、やはり地方自治体はなかなかこういう危機管理的な、緊急措置的なところで予算を使う余裕は基本的にないのだと思います。一方で、きめ細かい雇用対策については、今雇用されている人たち、これから雇用されようとする人たち、そして企業側のそういう個々の一人一人の事情を把握する力が地方側にはありますので、そういうマッチングとか、そういう意味で住宅対策も、今空いている住宅についてマッチングしていくとことについては、地方自治体が大いに力を振るえるところだと思います。しかし、今ないものについて何かつくる、増やすということについては、やはり国の措置が必要な局面だと考えます。

記者
3大ニュースの2番目で産業振興施策についても言及あったわけなのですが、世界の金融危機というですけれども、岩手県は企業誘致を大分進めてまいりまして、特にも外需依存に大きく翻弄されがちなことが、今回のそういった形になったと思います。
知事はこういった状況を踏まえ、緊急雇用対策本部会議の意見交換の場でも内需をどう増やして、そういった形で産業振興を広げていこうという話もございましたけれども、それは方針転換になるのか、それとも今進めていることに加えて何か付加価値を高めていくのか、今回のことを教訓にそういった姿勢をどのように今後進めていくのか教えていただきたいと思います。

知事
岩手の場合は、企業誘致もただ単に誘致企業だけの雇用力に頼ろうということではなく、地元の地場の企業も世界の最先端に通用するような部品をつくって提供するとか、そういう企業力の底上げ、そして人材育成を通じて当該立地企業以外のところでも岩手で活躍できる人材を育成していくという中で立地企業と連携しながら色々やっていくという総合的な産業施策をとってきたし、そういう方向でさらに強化していこうとしていますので、そういう意味では方向転換ということはないと考えています。産業にはどうしても景気の波というのは必ずありますので、下り坂のときにそこをどう乗り越えるかというのは企業と地元が一緒になって協力してやっていくことで、下り坂があるからといって企業がいなくてもよい、いないほうがよいということはないと考えています。
ただ、今の下り坂というのは普通の生産と消費の論理の波ではなくて、やはり世界的な金融危機という異常事態に引き起こされているものですので、そこは国全体の金融財政政策とか、そういったところの対応が期待される局面でありまして、それがきちんと行われれば、岩手において今の方向性で危機を克服していくということは可能だと考えます。

記者
この記者会見に先立って、先ほど広域振興局体制の整備の基本的考え方が示されたのですけれども、本局の位置やその考え方について知事のご所見をお伺いします。

知事
それは中間報告にあるとおりでありまして、本局は、より地域の中心ということを基本にして考えていくということで、合理的な内容だと考えています。

記者
既に先週の時点で振興局から市町村に説明があって、例えば二戸市は明らかに反対しているようですが、そういったことを知事はどのように受けとめているのか、また、今後どのようにしていきたいか教えてください。

知事
中間報告という趣旨からいっても、今意見をどんどん伺うこと、しかも正式な報告前に中間報告を公表して、早目に意見を伺うほうがよいと考えていますので、色々な意見をいただいて、検討、研究させていただきたいと思っています。

記者
今後についてなのですけれども、4つの広域振興圏ということを早々と知事は打ち出していたわけですが、これに向けて今回中間報告がまとまったことで、ある程度、前に進んだと思っていますでしょうか。

知事
フロンティア懇談会という、それぞれ広域ごとに色々なビジネスとか社会活動で活躍されている皆さんと懇談する機会があるのですけれども、やはり広域で産業振興や地域振興をやっていくということについての県民の期待は高いと思っています。
いわば県北なら県北にいる県民の皆さんに、県北だけで一つの自分たちだけの県を持ってもらうということなのです。沿岸なら沿岸で、沿岸に住む県民の皆さんに自分たちだけの県を一つ持ってもらう。そこで、市町村の枠を越えたビジネスや色々な社会活動、福祉、教育でも、NPOを活用した活動でも、既存の市町村の枠を越えて住民がそういうことができるし、またそれによって皆さんが拠点としている場所のコミュニティ振興につながったり、また、4つの広域がそれぞれどんどん元気になっていくことで岩手全体が元気になっていく。
ですから、市町村民としての市町村の色々なことへの参加、また、岩手県民としての岩手全体のことへの参画もそれぞれお願いしたいのですけれども、それに加えて、4つの広域圏それぞれに住む人たちが自分たちの新しい県、そういう新しいフロンティアを持って色々なことを自由にできる、そのお世話を県の広域振興局がするということですから、本当に自由闊達に色々な意見を出していただけるとよいと思っています。

記者
総務省が先週、来年度の地方税収の見込みを発表したのですけれども、2008年度と比べますと地方税収は4兆円ほど減収の見込みだという内容でした。知事は本県の状況をどう現状認識されていますでしょうか。それと来年度予算への編成への影響というのをどのように思っていますでしょうか。

知事
景気、実体経済の動向が株価の動向に半年遅れて動くという法則性があるという説があり、過去にはかなり当たっています。そういう意味では、リーマンショックで日経平均株価が大きく8,000円台あるいは7,000円台に落ち込んでまだ半年たってない。それでも大分実体経済に影響が現れてきていて、来年の春ぐらいまで実体経済が悪くなる可能性は気をつけておかなければならないし、また、あれから3カ月くらいたった今現在まだ日経平均株価は回復していないわけで、一たん底に落ち込んでから3カ月くらいは回復しない可能性も視野に入れなければならない。
ただ、色々な政策によって、あるいは経済的なよいニュースによって株価が上昇し始めれば半年遅れで実体経済も上昇していくということで、来年1年間が完全に不況、不景気の1年間とは限らないという希望は持っています。ですから、今、来年を予測すればかなり厳しい数字になるのだとは思うのですけれども、あとはまさに政策が問われているところで、この年末から年始には、来年は国会も早く始まるそうですから、その辺で本当に株価上昇につながるような政策が出れば来年後半というのは、決して悲観的にならなくてもよい状況になるのではないかと思います。

記者
今、実体経済が悪くなることを警戒しているということでしたけれども、来年度の予算編成に向けた影響というのはどのようにとらえていますか。

知事
県の予算編成については、地方交付税を地方税減収分を補うくらいに増やそうという国の基本姿勢は見られますので、今は中期財政見通しの線に沿った、基本的に予定どおり、かつ横置きという、前年、前々年に比べて特に大幅に増やしたり、減らしたりしないような形の県の予算ということを念頭に置いています。

記者
以前にもお聞きしたことあるのですけれども、厳しい財政状況の中で、例えばその事業を削減していくのか、あるいは起債をさらに発行して対応していくのか、非常に難しいハンドリングが迫られると思うのですが、知事は今の経済動向とかを見て、どのような財政運営を目指していくのかお考えがあればお伺いします。

知事
中期財政見通しは、今の県が置かれた現状の中で、無理せず、また必要な施策はきちんと推進していくためにほぼ横ばいの予算を続けていくという考え方なのですけれども、これは財政におけるビルドインスタビライザーという、一定の支出を続けていった場合に景気が過熱した場合には景気を冷やす効果があり、景気が落ち込んだ場合にはその景気を上昇させる効果が一定の支出をキープすることでありますので、そういう財政学的な理屈からいっても、景気が落ち込んでいるからといって支出を下げれば、それはもう負のスパイラルに陥りますから、中期財政見通しをベースにした予算編成というのが非常に意義あることになってくるのではないかと考えています。

記者
最後にもう一点なのですが、岩手日報の県民世論調査によると、内閣の支持率が18.6%で、支持しないという率が57.9%に上ったのですけれども、このことについての感想をお聞きします。

知事
現状直面している危機、またそれに伴う不安、そうしたことで現状に満足できないという数字が出ているのだと思います。一方、現状が非常に悪くてもそれを克服していけるような政治的なメッセージ、具体的政策であれば一番ですし、具体的政策までいかなくても理念のようなものがはっきり出ていれば支持率の上昇につながるのだと思うのですけれども、その数字から判断すると国民、あるいは県民にとっても、ちょっと今のままではそういう政治的メッセージとしても足りないということなのだと思います。

記者
医療局の岩手県立病院等の新しい経営計画案の質問なのですが、知事は説明会に自ら足を運んでということについて、強い気持ちでお話されていたと思います。住民説明会及び違った形でもあると思うのですが、自ら該当する市町村に出向くことの有り無しと、説明責任を果たさなければならないということを強調していたと思ういますが、そのあたりのお考えを改めてお聞かせください。

知事
私は、必要であれば赴くこと全然やぶさかではないと考えています。一方で私自身がこの無床化に反対していたところから、やはり無床化は必要だと考えを変えるに当たっては専門家の意見、また現場をよく知っているお医者さんの話を聞いてそう思ったというところがあり、現場がよくわかっている人、また専門的な見地から2次医療圏の考え方を説明できるような人にきちんと説明してもらうのが本質的な部分だと思っています。今県と市町村の間で段取りを決めて調整しているところですから、まずはその方向で進めていきたいと思います。

広聴広報課
それでは、これをもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は1月5日(月曜日)の予定です。

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