平成21年1月13日知事会見記録

ID番号 N11800 更新日 平成26年1月16日

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(平成21年1月13日 10時31分から11時15分)

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
最初に、知事から発表があります。
それでは、知事お願いいたします。

知事
今日の発表事項は、「買うなら岩手のもの」運動の実施についてです。県では、県民の皆様の生活を守っていくために、国や市町村、関係団体等と連携し雇用対策や中小企業支援策に全力で取り組んでいるところでありますが、県内での生産、流通、販売、消費の循環を少しでも大きくして県内経済の活性化につなげていくために「買うなら岩手のもの」運動を実施することとしました。
この運動の具体的な取り組みとしては、職員が率先して積極的に本県産の農林水産物や加工食品、工業製品を含む地場産品等の岩手のものを地域で購入すること、庁舎内の売店スペースを使い、この岩手のものの販売会等を開催することなどです。
また、現在の急激な不況で大きな打撃を受けている県内のものづくり産業についても、県のホームページや県民室で企業や製品を紹介することなどによって、県内外に広くPRをしていきます。そのほかにも色々と検討を進めながら、実行に移せるものから次々に取り組みを進めていきたいと考えています。全庁を挙げてこの運動に取り組んでいきますが、今後はいわて未来づくり機構などの関係団体にも広く呼びかけて運動を広げていきます。
県民の皆様にも運動の趣旨をご理解いただいて、岩手のものを購入していただくため緊急アピールを行いたいと思います。このアピール文は手元の資料にもありますので、参考にしてください。
買うならいわてのもの緊急アピール。世界金融危機の発生に伴って、日本国内の経済が悪化し、県内の経済、雇用に大きな影響を与えています。
県では、国や市町村、関係団体等と連携し、雇用対策や中小企業支援に全力で取り組んでいるところですが、今私たちが直面しているこの危機を希望に変えていくためには、県内で生産、流通、販売、消費が循環し、県内経済の活性化を図るようにすることも重要です。
このため、私をははじめ県職員が率先して、本県産の安全安心な農林水産物や加工食品、工業製品を含む地場産品等の岩手のものを幅広く地域で購入する「買うなら岩手のもの」運動に取り組みます。
この運動を広く関係団体などに呼びかけていきますが、県民の皆様も身近な地域で岩手のものの購入を心がけていただきますよう、お願いいたします。平成21年1月13日、岩手県知事、達増拓也。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
ただいまの発表事項について、各社から質問があれば願いします。

記者
知事は、この運動に関して、今のところ具体的に何か購入したいと思って考えてらっしゃるものございますか。

知事
そうですね、家で使うものとか色々とあります。私は就任以来、ネクタイとか、なるべく身につけるものも地場産品のもの、食べるものでもなるべく地場のものと心がけてきたのですけれども、今回は工業製品関係で何ぼか買い物をしたいと思っています。

記者
フードマイレージという概念があるのですけれども、ここの資料にも書いてあるのですが、例えば牛肉などの場合もなかなかその概念が消費者に伝わっていなくて、結局安い輸入牛肉を買ってしまったりとか、そういう消費者も多いと思います。県産牛肉とか豚肉というのはCO2の排出は極力抑えられていると思うのですが、そのフードマイレージの概念をいかに県民に周知していくかという部分も大事になってくると思います。その辺の運動はどのように考えていますか。

知事
今回は、やはり知る事が大事だと思います。私は日ごろ、知事の仕事は知る事と言っているのですけれども、これは知事の仕事だけではなく、県民がそれぞれ自己実現を図っていくにおいても知る事が大事で、ともすれば県産品というのはあまりその存在自体が意外に県民に知られていなかったりとか、まして良さが知られてない、そういうきらいがあるのだと思います。
ですから、今回の「買うなら岩手のもの」運動の中で、まず、岩手にはこういうものもあるのだということを知るところから始まって、その価値として、自然に優しいエコな形で生産されている、しかもそれがフードマイレージで地球に優しい形ですぐ手に入るというようなこともどんどんこの機会にみんなに知ってほしいと思っています。
ともすると自由市場経済と言いつつ、本当は自由市場経済というのは財やサービスに関するすべての情報を受け手が持っているという前提でモデルがつくられているのですけれども、実際には全然そういうふうにはなっていないということがひとつ市場のゆがみをもたらすものだとも思っていまして、そういう意味では地元のものに関する情報をお互いどんどん共有していくということが本来のあるべき資本主義のあり方、岩手から変えていく真のグローバル化ということにもつながっていくと考えています。

記者
ということは、地元の情報をみんなで共有していくという体制などもあわせて進めていくということになるのでしょうか。

知事
そうですね。既に色々な紹介の場はあるのですけれども、その機会を増やすとか、ホームページの工夫をするとかをして、やはり決め手は分かることだと思うので、分かってその気になってどんどん買う、そして消費が増えるというふうに持っていきたいと思っています。

記者
今の知る事にも関連するのですが、工業製品で県産というもののイメージがちょっと湧きにくい部分があります。南部鉄器とかだったらわかるのですけれども、それ以外に日常的に買えるものの中で色々あるとは思うのですが、例えばどういうのがあるのか把握しているところで教えてください。

知事
県職員が既に買っている例から今思い出して挙げると、関東自動車工業で生産しているブレイドや、東芝の半導体を使ったレグザという東芝のテレビなどがあります。そういった製品を既に県職員は意識して買って使っているので、そういうものも含めて今回「買うなら岩手のもの」運動ということで広めていきたいと思います。

記者
県産品の情報をホームページで紹介というのもわかるのですけれども、例えばヤマダ電機に行って大型テレビに岩手県産とか書いてあるとか、そういうのだと非常にわかりやすいのですけれども、そういったことをやるお考えはありませんか。

知事
先週1週間、岩手の経済団体の新年会にも呼ばれてお邪魔していたのですけれども、地元経済界としてもこの岩手の中で財、サービスとお金をどんどん回していこうということに経済団体を挙げて取り組もうということで非常に意欲的です。ですから、色々な工夫の仕方、お店での並べ方とかもどんどん相談していければよいと思います。

幹事社
それでは、幹事社から質問させていただきます。2つありまして、1つ目は岩手県立病院等の新しい経営計画案についてです。医療局の新しい経営計画案に係る地域説明会が9日から始まりました。県立病院再編に関して、改めて知事の考えをお伺いしたい。
2つ目が農林水産業への就業誘導について。失業者や団塊の世代を農林水産業へ誘導する政策についての知事の考えとあわせて今後の具体的な取り組みについて伺いたいと思います。

知事
まず、県立病院等の新しい経営計画案についてですが、地域説明会も始まりまして、医療局のほうから岩手の地域医療の事情と、それぞれの地域での病院のあり方について説明が始まり、地元の皆さんとのやりとりも始まったということで、大変よいことだと思っています。今の岩手が直面している地域医療の危機というのを克服して県民の命や健康を守っていくためには、県民一人一人も医療力を高めると言いますか、県全体としても医療力を高めなければならないのですけれども、そこには県民一人一人が自分で自分の健康、命を守る、家族など周りの人の健康、命も守る、そういう力を県民一人一人が高めていくことが不可欠だと私は考えています。
県民と県立病院ネットワークというのは、病気とか、けがとか、そういう共通の敵と戦う同士であり、今、敵との戦いがどういう状況になっているのか、これからどういうふうに一緒に戦っていかなければならないのかという共通認識を持っていくことが大変大事だと思っています。今、病気、けが、高度化する社会において地域医療が非常に押されぎみになっていて、あちこちで病院というとりでが危機に瀕している。そういう中で体制を立て直していかなければならないということでありますけれども、是非、説明会を通じてそういうことに関する共通理解が高まって、岩手全体の医療力の向上にもつながっていけばよいと思っています。
次に、農林水産業への就業誘導についてですが、まず、農林水産業に携わるそれぞれ就業者の減少、高齢化という問題を抱え、農業で言うと耕作放棄地が出てきており、漁業では空き漁場の増加、林業では間伐など森林整備需要が増えています。こうしたことから、担い手の確保育成が農林水それぞれ喫緊の課題となっているわけです。その一方で、仕事を探している人たちがたくさんいるということですから、是非このマッチングが進んでいけばという思いです。
先週の1月9日に農林水産業の関係団体に食産業、木材産業等の関連産業の団体にも参画をいただいて、岩手県農林水産業等雇用促進連絡会議を立ち上げました。県としては、既に就農希望者等を対象とした相談会の開催や農地や住居のあっせん、技術研修費用への助成、無利子資金の貸し付けなどに取り組んでいますけれども、今後は先週設立された連絡会議も活用して、農業法人等における雇用の受け皿の拡大に努めるとともに、国の2次補正予算や来年度当初予算で議論されていますアグリビジネスへの費用の助成や農家、農業法人に対する研修費用の助成といった、そういう国の仕組みも活用しながら農林水産業、そして関連産業への誘導を図っていきたいと思います。

幹事社
それでは、この質問に関連して各社から質問があればお願いします。

記者
2点お伺いします。
先ほど農業に関する就業の誘導について、農業法人等への受け皿の拡大を進めていくというお話しがございましたけれども、具体的にどのようなことを想定しているのかお伺いします。
もう一点ですけれども、岩手県の農業は季節的な問題で、冬期間の仕事量がどうしても少ないという課題がございます。そのあたりについてどう課題を克服していけばよいか、知事の考えをお伺いします。

知事
国が調べた農業法人で、今新規雇用するという数の中に岩手が入ってなかったと記憶しているのですけれども、その後岩手の中でも人を雇いたいという農業法人が出てきていると聞いています。
それから、冬の問題なのですけれども、色々なパターンがあると思います。季節労働的な農業へのかかわり方もあると思いますし、また通年で働かなければならないという人にとっては冬でも、特に畜産関係はこれは365日産業でありますので、岩手の農業の目玉でもある畜産、今年は丑年でもありますので、そういったところなど色々な可能性があると思います。
なかなか農林水産業、農業だけに限っても農業という働く場は実は存在していないわけであって、それぞれ米だったり、野菜だったり、非常に個別具体的になっているので、そこはマッチングに手間暇はかかるのですが、ただ本当に色々なパターンの働きたいということを受け入れる多くの可能性があるということでもあると思いますので、そこをうまく調整していくことに県としても頑張っていきたいと思います。

記者
病院の関係で2つお伺いしたいのですが、1つは地域説明会に知事は出席するおつもりはあるのかどうか。先日、花泉であった説明会でも知事の出席を求める声が上がったと聞いています。そのあたりを教えてください。
もう一つは、この間の医師会と歯科医師会の会合で、医師会長から折衷案を検討してはどうかというようなお話があいさつの中であったということなのですが、それについてどのようなお考えをお持ちなのか教えてください。

知事
まず、私が説明会に行くかどうかということについては、必要であれば赴くことにやぶさかではないのですけれども、ただ行政のプロの方が、医療局が行う説明会に知事も来なければだめみたいな話をしていると報道等で見聞きしているのですけれども、法令上は県立病院の経営ということに関して知事は権限がなく、医療の論理に基づいて病院経営のあり方をきちんと議論したいのであれば、そこは医療局とやってもらうのが筋なのです。ですから、行政の仕組みがわからない人が言うならよいのですけれども、行政の仕組みがわかった上で知事が出てこなければだめだというのは、医療の論理を無視して、病院経営のあり方を議論することをやめて一気に政治問題化してということで、かえって岩手の地域医療を守ることからするとよくない考え方と思っています。
また、医療局からの提案が唐突だという批判がいまだにあるみたいなのですけれども、提案を見たり、聞いたりした直後に唐突というならわかるのですけれども、それから1カ月以上たった中で唐突ということで中身の議論に入ろうとしない、そういったおよそあらゆる提案というのは、最初はだれでも初めて見聞きするものだと思うのです。ですから、それをどれだけ強く驚きを持って受け止めるかというのは人それぞれだと思うのですけれども、そういう驚いた、これはよくないと強く思ったという感想次元のことを理由にして中身の議論にいつまでも入らないというのはかえって理も非もなく聞く耳持たない問答無用というスタンスだと思います。とにかく知事来いというのも中身の議論に入らないで、聞く耳持たない問答無用的な趣旨であれば、それにこたえるのはかえって地域医療を守るためによくないと考えています。
医師会長のお話の件については、関係者が納得の上でよい方向に改革が進んでほしいという趣旨の気持ちは、医師会を代表する方としてそういう気持ちでいるというのは本当に理解できると思います。ただ、具体的な案として中身は提示されていないので、中身的なコメントは今日のところは差し控えます。

記者
コメントというよりは、知事あるいは県、医療局として現状の案から住民の理解を得るために何らかの変更するお考えはあるのでしょうか。

知事
より県民の命を守る、そして健康を守るためにより良い案であればよいと思うのですけれども、他の何か政治的配慮みたいなところで県民の命や健康を犠牲にするというのはちょっとまずいのではないかと思います。

記者
先週の医師会、歯科医師会の会合の中で、知事が鬼手仏心という言葉を使っていたと報道で見たのですけれども、この言葉の知事が思うところという部分をもう少し詳しくお聞かせください。

知事
新年会のあいさつの中で、丑年で、牛が岩手の象徴でということの流れで、そういえば鬼の手というのも、鬼の手形が岩手の名前の由来ですから岩手の象徴であり、ちょうど鬼の手に仏の心で鬼手仏心という言葉を思い出しました。もともと外科のお医者さんが刃物を人の体に入れたり、鬼のようなことをするけれども、それはその人を助けたいという仏の心に基づいているのだという話も紹介しながら、やはり岩手において県民の命や健康を守っていくためには、ちょっと抵抗感あるような思い切ったことも必要であればしなければならないのではないかという意味で申し上げました。
ただ、それはたとえ話です。鬼でも仏でもなく、やっているのは人間なわけですから、それを鬼のようなことをするというのはちょっと極端な言い方であって、人間性を捨ててしまえということを私は全然言うつもりはなく、あくまで人間としてです。鬼の手というのは碁や将棋の分野では驚くような思い切った手という肯定的な意味でも使われているので、そういう意味で県民を守るために思い切った手を必要なときには打っていく、そういう意味であれば岩手の県政の指針としても使えるのと思います。

記者
あともう一点なのですが、折衷案というお話が出たようですけれども、例えば地域にある開業医というのは一つの医療資源だと思います。我々もインタビューとかで、例えばどの開業医がどういう専門分野であるという情報のネットワークとかを構築したらどうかという提案とかが出ているのですけれども、今後説明会の中で具体的な何か提案があった場合に計画自体は医療局のものではありますが、計画に修正案的な盛り込み方というのは柔軟に考えているのでしょうか。

知事
最初から言っていることですけれども、より良くしていくという方向での修正は、そういう案があればどんどんしていくべきだと思っています。そして、今話されたような開業医の皆さんの協力というのは、これは折衷案というよりは結集案というのでしょうか、そういう県民の力をどんどん結集させていくために、あれもある、これもある、そういうどんどん原案を良くしていくような修正というのは大歓迎です。

記者
病院の関係なのですけれども、これまで知事は説明会等の話の中で専門分野の方が話すことはよいこととよくおっしゃられるのですが、まさにそのとおりと思うのですけれども、医療局長は医師ではない県庁の職員から行っています。歴代そういう形が続いているとは思うのですけれども、これから先の話になるのですが、専門的というのであれば現場の医師が医療局長に就いてもよいのではないかと思います。たまたま取材した中では、全国的には埼玉県では医師のトップが事業管理者になることで県立病院の経営が随分変わったということです。それは多分、現場の医師の信頼感もあるでしょうし、住民との折衝をする場合に、医師としての現場の現実というのを正確にきちっと伝えることに説得力をもって伝えられることが可能だからなのだと思うのですけれども、これから4月以降の人事で、そういった現場の医師をトップにするようなお考えというのはありませんでしょうか。

知事
物事にミリタリーな例えをあまり使い過ぎるのは良くないのですが、防衛の分野というのは専門家と行政のプロが一緒に仕事をしていくという意味では、非常に高度に発達しているケースです。よく背広組と制服組といいますが、自衛隊でも防衛庁の事務屋さんを背広組といい、自衛隊の隊員を制服組とよく対比させるのですけれども、医療局の世界もやはり背広組と白衣組というのでしょうか、そういうのがあると思います。そして、白衣組は白衣組で非常に大事ですし、実際に県民とともに病気やけがと戦う最前線でメスを振るったり、注射器を振るったりするのはこの白衣組の皆さんですから、その人たちが本当にベストを尽くせるような体制をつくっていかないとだめだと思います。ただ、そういったところにどういうルールで、またどういう予算で、そしてあとは対外的な色々なPRみたいなところで背広組の活躍するところもあるし、そういう背広組の仕事なくしては白衣組の人たちも活躍することができないと思います。
今回新しい計画案について強い反対が出てきた背景には、医療局の今までの努力不足といいますか、県民のほうをきちんと向いて、県民とともに一緒にやっていくということについて、まさに今のこういう説明会などの局面でもより工夫と努力が求められているという感じがします。白衣組の人たちを守って、そして活躍してもらう、そういう組織のあり方ということについて、やはり背広組の人たちが一念発起して頑張っていかなければならない局面とも思っていまして、そういうバランスと構造の中で人事は決めていきたいと思います。

記者
農業についてですけれども、今、来年度の予算編成について大詰めなのだと思いますけれども、新年度の予算に雇用状況を踏まえて、農業分野について重点的にする、ちょっと厚めに予算をつけるとかといったお考えはございませんでしょうか。

知事
そろそろ来年度予算の知事を巻き込んでの会議がどんどん相次ぐスケジュールになってきているのですけれども、できればなるべくお金をかけないで農林水産業を振興したいということがまず一つ大原則としてあります。さはさりながら、それなりにお金を使わなければできないこと、またお金を使うことでその金額をはるかに上回る成果、果実が得られるような事業というのはありますので、そこは本当に知恵の絞りどころでありますから、しっかり担当の部、課と議論しながら決めていきたいと思います。

記者
これまでも質問に出ているのですが、一方で自動車産業等についてこれまで力を入れてきて、本年度は自動車関連産業振興本部も立ち上げ、東北で100万台目指すという目標を掲げているわけなのですけれども、そこについて若干ペースを落とすとか、そういったお考えはありますか。

知事
県としての自動車産業集積関係の取り組みは、高い目標に向けてまだまだこれからというところがありますので、人材育成ですとか、開発拠点の誘致ですとか、今みたいな経済情勢だから緩めるというよりは、計画どおりやっていかなければならないし、むしろ強化してもよいくらいな現状なのだと思います。
いずれ岩手県民の自己実現、県民が自分の能力、そしてこういう人生にしたいという、そういう意思、それをどう実現していくかという中で、岩手にはものづくりに向いている、ものづくりで成功していくであろう人もたくさんいますし、農林水産業に向いている人もたくさんいる。そういう中で、それぞれの県民の皆様に自己実現していけるようにということで県として色々な支援をしていく。そういう意味では、岩手県民の未来については、これは輝かしい、希望が持てる、それだけの人材というのが岩手にあると思いますので、そこを県としてしっかり支え、育てていきたいと思います。

記者
話は全然変わるのですけれども、アメリカの駐日大使にソフトパワー論の提唱者である国際政治学者のジョセフ・ナイさんが内定しました。知事は、去年の6月議会の所信表明でジョセフ・ナイさんの言葉を使いながら岩手ソフトパワー戦略を掲げていましたけれども、このジョセフ・ナイさんが駐日大使に内定したことについての感想をお聞きしたいと思います。

知事
大変すばらしい方が駐日アメリカ大使に内定して、私は非常に喜ばしいと思っています。アーミテージレポートの作成にかかわったり、日米関係に詳しいということだけではなく、国際政治学者として、これはキッシンジャーさんやブレジンスキーさんの次の世代としては当代一流、世界一と言ってもよいような国際政治学者であります。日本側からパートナーとして迎えることは、日米関係のみならず世界全体のあり方を日米でつくっていくということにも本当に希望が広がる、そういう人事だったと思います。個人的には、ソフトパワーという言葉が日本でも更に広まって、岩手ソフトパワー戦略の説明もしやすくなるのではないかということを期待しています。

記者
このジョセフ・ナイさんとは今までお会いしたことはありますか。それから、もし駐日大使に就任した以降に面会したいという気持ちはありますか。

知事
留学時代に、私が留学していた大学にいらっしゃって1時間半ぐらいだったと思うのですが、講演をしてくださったのを聞いたことがあります。当時、大国の興亡のような話がはやっていました。日本がどんどん伸びて、アメリカはどんどん衰えていく、1990年ごろですから、バブル経済がまだ破裂していない時代で、日本の力が強かったころです。ジョセフ・ナイさんは、やはりアメリカの力が一番強くて、日本は大したことがない。ただアメリカ単独だとだめだからみんなと協力してやっていこうという話をしていたのですが、私は、ちょっと日本を過小評価しているのではないですかという質問をしたら、色々な論拠を挙げていなされてしまったという経験があります。そのやりとりの中でも、大変理性的で頭がよく、相手を説得するとか、何かよいことを世の中に広めるということについてはものすごい情熱を持った方でもあると思っていたので、お互いの任期中に是非直接お目にかかれればよいと思います。

記者
岩手競馬が、昨日をもって通常開催を終了して、昨日時点で計画達成率が100.9%という数字らしいのですけれども、現時点では特別開催も残っていますし、年度内末までにはまだしばらく時間があるのですけれども、現時点での収支均衡達成の確信めいたものを持っていらっしゃると思うのですが、その辺について一言。あわせて今期の通常開催を通じて見えてきた課題、あと来期への展望などありましたらお願いします。

知事
2年度連続の黒字達成ということが、ほぼ確実になっていると思っており、当然といえば当然のことではありますが、それまでの大変な苦労を思い出しますと大変よかったなと思っています。去年に比べて、1度のコスト調整で済んでいますし、何となく売上減少に下げ止まるような傾向も感じられないことはない。特に経済情勢は去年より今年のほうが悪化しているのですけれども、そういった一般の経済情勢がそのままストレートに反映されているわけではなく、競馬独自の長期傾向の中で一定の底のようなものも見えてきているのかもしれないという感じもしています。
今年の後半は、去年に比べての落ち込みがどんどん少なくなっていくような一種の尻上がり的な展開もあり、東幹久さんのコマーシャルとか、トレジャースマイルもそうですし、また色々な外部の方の協力も得ての、色々な企画イベントとか、そういう地に足の着いた、岩手競馬を理解し、支援してくださる皆さんの力を最大限活用するようなやり方というのが、かなり実を結んでいるところがあると思います。
ですから、来年度は更にこういう地に足の着いた改革、わかっている皆さんや情熱を持ってくださっている皆さんと協力しての色々な新機軸といったところで、ファンの期待にこたえ、県民の信頼にこたえる岩手競馬の経営を続けていくことができればと思います。

記者
確認なのですけれども、現時点では来年度また改めて民間委託の公募を行うとか、そういった方向を検討されているということはないという理解でよろしいのでしょうか。

知事
県、盛岡市、奥州市、競馬組合の若手、中堅で民間委託のあり方についても議論をしているところですので、そちらの議論の推移も見ながらと思っています。

広聴広報課
それでは、これをもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は1月19日(月曜日)の予定です。

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