平成21年1月19日知事会見記録

ID番号 N11798 更新日 平成26年1月16日

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(平成21年1月19日 10時31分から11時12分)

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
最初に、知事から発表があります。
それでは、知事お願いいたします。

知事
今日の私からの発表事項は、「“黄金の國、いわて。”MOW MOWプロジェクト」についてです。私の頭につけたものは「愛」の前立ではなくて牛の前立ですけれども、「天地人」ならぬ「天地人牛」でありまして、「天の時」、「地の利」、「人の和」、そして「牛の質」、これがそろった県は天下をとれると言われているようでありますけれども、世界的な金融危機に伴って日本経済が悪化し、県内の経済、雇用にも多大な影響を及ぼしていますが、こうした時期にこそ県として危機を希望に変えていくことが重要であります。
ことしは丑年であり、岩手県には牛にまつわる資源や文化が数多くあります。そこで、牛をキーワードにこの逆境をはね返して一歩一歩着実に前進する取り組みを展開し、その姿を全国にも発信していこうということで、岩手はもちろん日本全体が元気になってもらいたいとの願いを込めて「MOW MOWプロジェクト」を実施することとしました。このプロジェクトは県が主体として取り組むほかに、趣旨に賛同いただける団体や企業とも連携して取り組むこととしており、今日から開始いたします。基本的に今年いっぱい続けていきます。
「MOW MOWプロジェクト」のキャッチコピーは「うし年は岩手の年!」です。そして、この金メダルに金ベコが入っているものがシンボルマークです。
このプロジェクトはブランド化、環境、観光・文化をそれぞれキーワードとする3つの産業振興戦略で構成されています。このプロジェクトの内容ですけれども、まず第1は、「う四天王プロジェクト」で、新たな商品づくりによるブランド価値の創造として、県産畜産物を活用した新商品づくり、小岩井乳業との共同事業、プレミアム短角の販売促進や各種イベントの開催、牛と触れ合う酪農出前教室等の食育などを行います。
2つ目は、「ウシコンバレープロジェクト」で、環境王国いわてを情報発信するため、堆肥ペレットの製造・利用や飼料米の供給による肉牛生産に加え、食品残渣リサイクルの推進などを行います。
3つ目は、「諸国漫牛の旅プロジェクト」で、スローな牛ツアー等の新たな旅行商品の開発や観光文化の発信、更に牛とのふれあい体験メニューを組み入れた修学旅行の誘致などを行います。
これ以外の事業についても検討を進めることとして、実行に移せるものから順次取り組みを進めていきます。なお、プロジェクトの推進に当たっては、農林水産部を中心に部局横断的なプロジェクトチームを設置し、全農県本部等の関係団体、民間企業との連携により取り組むこととしています。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
ただいまの発表事項について、各社から質問があれば願いします。

記者
プロジェクトという前の前段のところで、岩手の畜産の現状認識と可能性について知事の考えているところをお聞かせください。

知事
岩手の農業の生産高の半分は畜産、酪農です。牛の黒毛和種に関しては岩手は全国5位の飼育頭数で、酪農については全国3位であり、全国的にも岩手は重要な役割を果たしています。そうした現状を改めて県民みんなで確認しながら全国にもアピールし、この食の安心安全ということが問われている中で、日本の食のあり方について岩手が名誉ある地位を占めていければと思います。

記者
産業として見た場合に、課題もあると思うのですけれども、その辺のところはいかがでしょうか。

知事
去年、原油高、穀物高などでコストがかかるという一方、景気が低迷する中で消費の段階での価格がなかなか上がっていかない、むしろ低迷しているというところが今直面する課題でありますけれども、このコスト高については環境に優しい生産体系、耕畜連携で畜産以外の農業分野と連携していくことを進めたり、そうした構造改革の契機にもなると思っています。消費のほうは、とにかくみんなに元気を出してもらって消費も促していくようなPRをどんどん進めていきたいと思います。

記者
私も短角牛が好きで、市内とかでよく食べるのですが、最近市内のステーキ屋さんで聞いたのですけれども、生産者がすごく減っていて、色々とPRするのはよいのだけれども、需要に供給が追いつかなくて、そのお店では県産でなくて青森から一部を仕入れて供給しているというお話をされていました。また、岩泉町、山形村とかの地元の人たちがなかなか地元で短角牛を食べられないというか、売っていないという話も聞いたことがあるのですけれども、知事はこういう話を聞いたことがございますか。

知事
ええ。コストの問題も絡むのですけれども、生産者の所得の向上というところでなかなか伸び悩み、それで担い手が増えず、むしろ減ってしまっているというところがありますので、生産者の所得の向上につながるような仕掛けを考えていかなければならないと思っています。
そういう中で、地元でも食べられる機会を増やしていくというのは、今回、観光や文化のような地域起こし的なこととの連携もしていこうと取り組んでいきますので、更に工夫と努力を進めていきたいと思います。

記者
今のお話の関係なのですが、例えば生産者の支援とか育成とか、あるいはここに書いてあるプロジェクトを色々と考えているみたいなのですが、新年度予算にこういったもののプロジェクト予算を重点化して計上するようなお考えというのはあるのでしょうか。

知事
新年度予算は今調整中でありますが、一方にはできるだけお金をかけずに成果を出していきたいということがあります。というのは、レストランで短角牛をもっと欲しいとか、消費の現場でニーズのあるところはあるので、そのマッチングをうまくやっていくとか、あるいは食の評論家アドバイザーのような人に仲立ちしてもらって、そういうものをどんどん促していくなど、お金を出してでも欲しいという人たちのお金で全体がうまく回っていき、それが生産者の元にも届くという形にしていくのが基本だと思っています。しかしながら、コスト対策など構造改革的なところに県が色々と支援していく余地もあると思っていますので、その辺は今予算として調整中です。

記者
2番目の「ウシコンバレープロジェクト」についてお聞きしたいのですが、1番と3番のプロジェクトはどちらかというとPRの意味合いが強いと思ったのですが、環境分野に関してはPRというよりは県内の生産者向けという意味合いで受けとったのですけれども、これは、こういった環境型の岩手型の畜産といった手法を全国に発信していきたいというものなのか、それとも更にこういった手法を県内の畜産農家に広めていきたいという考えなのか、これどちらのほうなのでしょうか。

知事
ウシコンバレーはシリコンバレーをもじったものでありまして、まずは岩手の中でそういう研究開発がどんどん盛んになって、岩手が牛をめぐる研究開発の一つの拠点になっていくということが目標です。ですから、まず岩手の中でどんどん振興していきたいところなのですが、そこから全国に発信していけるようになるとか、あるいは岩手以外でもそういう新しい技術開発に、研究開発に関心ある人は岩手に来てやってもらうとか、そういう広がりが出てくると思います。

記者
先日の記者会見の中で、1次産業の就業誘導に関する部分の中で通年365日働けるということで畜産への就業のことを挙げていたのですけれども、畜産への就業と今回の「MOW MOWプロジェクト」をリンクさせて、何か新たな雇用を生み出すとか、新規参入等を促すというお考えはありますでしょうか。

知事
連携してやっていきたいと思います。「MOW MOWプロジェクト」は、比較的消費する側へのPRがメーンになっていくのですけれども、それで関心が高まれば生産者側で働きたいという人たちもより意欲を持ってくれると思いますので、今並行して進めている雇用対策の一環としての担い手確保とか、担い手支援といったこととも連携して進めていきたいと思います。

記者
岩手の牛を県外とか海外で、「うし年は岩手の年!」ということで広めていくのには、付加価値のつけ方が重要と思うのですけれども、ブランド化などの戦略について何かお考えがあればお伺いします。

知事
海外でと今言いましたか。

記者
マーケティングの強化の項目に、いわて牛の海外輸出と記載されていますので伺いました。

知事
まず技術的なところで、一定の検査体制、衛生上の条件をクリアしないと輸入してもらえず、クリアできれば輸入するとかありますので、その条件面の整備をしっかりやっていかなければならないと思っています。
その次の段階として宣伝の仕方とか、浸透のさせ方とかがあるのだと思いますけれども、基本的には今回のこの「MOW MOWプロジェクト」がまさにそうなのですが、歴史と文化、そして自然環境、そういう背景があって岩手は牛に強い、牛といえば岩手なのだという背景を一緒に売り込んでいくことで岩手の牛の信頼性を高め、文化的魅力を高めてブランド力にしていくことができると考えます。

幹事社
そのほかはありませんね。
それでは、幹事社から2項目、代表質問させていただきます。
まず、雇用対策に係る予算についてですが、県内の雇用情勢はまだまだ厳しい状況が続いていますが、21年度予算編成の中での対応についてお伺いします。
もう一点ですが、高度技術者の地元定着に関してですが、県が実施した大学生、高専生の就職意識調査の結果を踏まえ、高度技術者の地元定着に向けた具体的な取り組みについてお伺いします。

知事
まず、雇用対策にかかわる平成21年度予算ということなのですけれども、去年の12月に岩手県緊急雇用対策本部を設置して、県民の暮らしと雇用を守るために国、市町村、関係団体等と連携しながら緊急の雇用対策や中小企業支援に全力で取り組んでいるところです。県独自の取り組みとしても雇止めに伴い住居を失う方への県営住宅の提供、中小企業経営安定化資金の融資枠の拡大、臨時的雇用職員150名程度の雇用、本県の農林水産業への就業支援を促進するための農林水産業等雇用促進連絡会議の設置、こうしたことによりまして生活の支援、雇用の維持、雇用の創出、就業の支援という4本柱に取り組んでいるところです。
平成21年度の当初予算編成に当たりましても、これらの雇用情勢に対応させた事業を盛り込んでいき、引き続き県民の暮らしと雇用を守るために全力で取り組んでいくようにしていきたいと思います。
それから、高度技術者の地元定着についてでありますが、就職意識調査を行いまして、最近の県内就職率は20%前後なのですが、アンケート結果では本県での就職を希望する人の割合がおおむね30%から40%ということで、定着に向けた取り組みを色々やっていくことによって、県内就職率が向上していく可能性があるということが見えたのだと思います。県内就職希望の学生からは、企業情報提供の充実を望む声が多く、県内ものづくり企業についてどのような企業があるのか、その就職活動の入り口の部分での情報が不足しているということがあります。県では、去年の12月に岩手大学工学部で自動車関連企業研究セミナーを開催して、県内自動車関連企業が学生に対してプレゼンテーションをするなど、県内ものづくり企業との接点を設けるよう努めてきているところですが、今後においてもこうした説明会を実施するとともに学生が企業経営者や従業員の話を聞いたり、企業見学をする機会などを増やしていくことにより、地元のものづくり企業の理解や興味を深めてもらって、就職につなげていきたいと考えています。

幹事社
この質問に関しまして、各社から質問があればお願いします。
無いようですので、このほか各社から質問があればお願いします。

記者
先日、報道で知ったのですけれども、北朝鮮による拉致被害者を救出する知事の会という組織があるそうなのですけれども、岩手県知事以外の46人の知事が参加しているということなのですが、これは事実でしょうか。それと埼玉県の知事が記者会見で岩手県の知事について若干批判的なコメントも出していたように記憶しているのですが、知事はなぜこの会に参加しないのか、理由をお聞かせ願います。

知事
会全体がどうなっているかについてはつまびらかにはしないのですけれども、私自身の対応について言いますと、去年12月に入会の案内があったのですが、私は岩手県内において岩手県民の皆様とこの問題にしっかり取り組んでいくということについてはやっていかなければならないと思っていまして、岩手の拉致被害者を救う会の皆様の活動を応援したり、また去年は全国大会も岩手、盛岡で開かれたのですけれども、そこにはちゃんと出席をして、あいさつをして、私からも県民に対してこの問題を風化させてはならない、国民が一丸となって取り組んでいかなければならない問題だという呼びかけを県民にしているところです。
ただ、岩手の外でこの問題について奔走する余裕というか、責任ある形できちんとそういう会に参加してやっていくということについてはちょっと困難と判断したので、入会はしませんという返事をしたところです。そういう意味で、埼玉県知事さんが何か別の理由で入らなかったのではないかみたいな発言を記者会見でされているそうですけれども、そういうことは全然ないわけあります。
もし全知事が参加することに意義がある、全国知事会として取り組むということであればそこには私も当然参加しますし、こういう文書を出したいのだがよいかという検討とかの作業も、全国知事会すべての知事で何か物を決めるという体制は全国知事会で既にあるわけですから、そちらのほうでやっていただければそこに参加できると思います。
この知事の会は、あくまで有志の会だと聞いていますので、有志の会に参加しないことについてあまりとやかく批判するのはどうかという感じがしていまして、例えばブルーリボンバッジというのがあるのですけれども、私はあれをふだんから付けている人というのは大変すばらしいと思うのですけれども、ただそういうブルーリボンバッジを付けている人が付けていない人に向かって、「おい、おまえ、つけてないのはおかしい。おまえ、それでも日本人か」みたいなことを言い出したら、もうその運動の趣旨自体がおかしくなってしまいます。実際には、私はブルーリボンバッジを付けた人からそういうことを言われたことはないし、ブルーリボンバッジを付けた人がそういう心ない発言をしているということは聞いたことがありません。やはり今までずっとこの問題について運動してきている人たちは、これは国民が一致結束して戦っていかなければならない問題であって、殊さらに内輪もめしたりとか、仲間割れしているような場合ではなくて、むしろそれは相手側を利することになるというのをわきまえて運動してこられていると思うので、今度の知事有志の会もやはりそうやって苦労を重ねてこられた運動している皆さんのそういった積み重ねを生かして効果的な活動をしていただけるとよいのではないかと思います。

記者
医療局の住民説明会が今日で最後になるわけですが、各会場で知事の出席を求める声が相次いでいます。知事はまず医療局が説明した上でということで、あとは政治問題化になるということで、うまく議論に入れないということもあり出席はされていませんが、住民の側からすればまず生の地域の実情を知事に伝えたいという思いもあってそういう発言につながっていると思います。医療局長からもそのような内容について知事に報告になっていると思うのですが、そのことに関して知事の見解をお願いします。

知事
医療局からは随時報告を受けているところです。知事に来てほしいというよりも、端的にこれで困っているのだとか、そういう中身の問題をどんどん言っていただければと思います。それは本当に私が行くか行かないかという問題ではなくて、このことで困るのだとか、このことで問題になるのだとか、そういったことをどんどん発言していただければよく、それはその説明会の場に限らず、これが今回の新しい経営計画について、ここが問題だとか、これが困るのだということについては、それはもう言っていただければどこでだれが発言したことであろうと、それについて私は、それが本当に重要で、必要であれば、それは私のところに届くわけですから、逆に私が行かなければそういう中身の議論ができないみたいなことになると本末転倒なので、とにかく中身のことをお互い心配してやっていく姿勢が大事なのではないかと思います。

記者
それで、中身のことが心配で、住民もこの説明会でそれぞれ話す機会は初めてなので、それぞれ色々な意見が出ていると思うのですが、この住民の意見がどこまで県が聞いてくれるのかというところが住民が今一番気にしている部分であり、今日で終わる説明会を受けての今後の県の進め方についてお聞かせください。

知事
例えば、移動の手段で困るということについてはジャンボタクシーなどを用意するとか、そういう話は既にどんどん進んでいるのだと思います。今入院している人が、どうすればよいのかということについては、これは病院の担当のお医者さんとの間で協議して詰めていくことだと思います。そうしたことは、既にどんどんもう進んでいる段階だと思います。そういう意味で、病院の経営に関して何の権限もない私のレベルで何か対応しなければならないとか、時間をとって協議しなければならないとかということは基本的にはないわけでありまして、本当に一人一人の患者さん、また患者になるかもしれない人たちの問題を具体的に解決していくようなことがどんどん進んでいくことを期待します。

記者
先ほどの質問に関連してなのですけれども、15日に岩手町で行われた説明会の中で、地元の開業医が当直を肩がわりするので、入院のベッドの廃止はなくしてほしいといった発言をされたようですが、こういった具体的な地元からの申し出についてどのように受けとめていられますでしょうか。

知事
そこは今、沼宮内の病院関係者、そして医療局のほうでもその意見については受けとめて、全体的な検討作業の中で参考にしていると思います。

記者
取り入れられる可能性というのは今のところはどうなのでしょうか。

知事
まさに具体的な詰めの話であって、どういう条件で、どういう環境のもと、どれだけの協力ができるのかという話を詰めていくということと思います。

記者
詰めるとなりますと、医療局と地元の開業医なり、地元の医師会なりということになるのでしょうか。

知事
どういう契約の仕組みになっているのかは、ちょっと今の段階ではわかりません。
わからないと言ったのは私が個人的にわからないということで、医療局ではわかって作業を進めていると思います。

記者
病院の関係なのですけれども、紫波の町民集会を取材した中で出てきたのですが、恐らくどこも同じ感覚を持っていると思うのですけれども、今回の無床化をのめばこれまでの前回の有床診療所化の流れを見ても、今後無床化の先に廃院とか廃止とかということがあるのではないかということを危惧されるという声があります。今回無床化の先に廃止とかということはない、無床化はあくまでも存続のためであって、その後の廃止ということはあり得ないということを断言できるかどうかお伺いします。

知事
今回の計画は、まず当面の5年間というスパンの計画と理解しています。将来の地域医療のあり方については、本当に県民が総力を挙げてみんなでつくっていくという姿勢で臨んでいかなければならないと思いますし、また日本全体としての医療のあり方の政策の方向性というのも大きいと思っています。医学が進歩し、昔であればとても助からないような人でも今は助けられるようになっています。これは生まれてくる赤ちゃんから高齢のお年寄りまでそうなのですけれども、ただ一方、その医療技術の進歩に伴って、そうした高度な医療にものすごくお金がかかるようになってきており、プラス人手もかかるようになってきています。そうした中で、どういう医療体制をつくっていくのかということが中長期的には問われているのだと思います。ですから、拠点病院的なところにものすごい高度な医療が充実していくということと、暮らしや、また仕事の現場に近いところにいつでもアクセスできる医療の受け皿があるということの完全な両立というのは、人的、予算的に不可能でありますから、そこをどういうバランスでデザインしていくのか。県が問われれば命が最優先ですから、命にかかわるということで高度医療的な分野に軸足をおかなければならない。そうしたところを犠牲にして身近な受け皿部分に軸足を置くというのはなかなか難しいと思うのです。一方、市町村という基礎自治体あるいはNPOや地域の団体、それから民間のお医者さんもそうでしょうけれども、高度医療のほうではなくて、暮らしや仕事の現場に近いところで最初の受け皿になっていくところに軸足を置き得る主体というのは世の中にはたくさんあり得ると思うのです。そういう意味では、県だけで地域医療をつくることはできません。国民医療をつくることもできません。県とそういう様々な主体がどう連携していくのか、この連携ということが地域医療を守っていくかぎになっていくと思います。

記者
端的にお伺いしますけれども、今お話をお伺いしていると、地域診療センターに関しては将来的には県単独で今やっている運営方式は見直して、市町村と一体ないしはNPO、それから民間などと連携してやっていく方向性というのも選択肢としてあるのではないかというふうにお考えのように聞こえるのですが、そういう理解でよろしいでしょうか。

知事
そこはこれからみんなで考えていくところです。今の段階は、医療局の経営計画も今のこの目の前の一定期間をどういうふうにやっていくかということであり、中長期的トレンドを決めることではありません。

記者
今週、臨時の県議会が開かれると思うのですけれども、その際に提出される補正予算案は、どれぐらいの規模を今の段階で想定していらっしゃいますでしょうか。

知事
今週末の補正予算ですね。不正確な数字を発表するのもよくないことから、きちんとしたタイミングで数字を公表するようセットすることにいたしましょう。

記者
もう一つ別件で、地方振興局の再編については、現在、中間報告案の段階ですけれども、二戸市での説明会の中では、県北の振興を図る意味で久慈と二戸の両方に広域振興局を置いてほしいという意見も出ました。知事としてもマニフェストの中で県北・沿岸振興というのを掲げていらっしゃると思うのですけれども、なかなか難しい判断だと思うのですが、そういった意見に関してどういった見解をお持ちでしょうか。

知事
県北において、2つの拠点のバランスをとっていく必要がある、両方とも振興させていかなければならないというのは本当にそのとおりで、今回、県の出した中間報告も基本的にそういう方向性の案になっていると思います。県北は二都物語といいますか、二戸と久慈と両方あって県北広域でありますし、どっちかの犠牲においてもう片一方を成長させるということはあり得ない、あってはならない。県北のパイをどんどん大きくしていく中で両方とも成長していくということしかないと思うのですけれども、県の案である中間報告は基本的にそういう方向性での案になっていると思うので、建設的な議論が展開していくことを期待いたします。

記者
そういった意味では、広域振興局が1つ、2つあるということにとらわれることはなく、振興を図れるというふうに現在お考えでしょうか。

知事
広域振興局の体制、行政上の機構とか制度とかというのはあくまで手段でありまして、目的は広域としての新しいフロンティアを成長させていくという広域振興が目的であって、そういう目的については二戸地域の皆さんも県も同じ目標なのだと思います。同じ目標であるからこそ、手段の部分については色々議論があってもよいと思いますし、議論をするために中間報告という形で早く案を出していますから、そういう方向で議論が進めばよいと思います。

記者
今の質問に関連してなのですが、振興局の本局の位置を見直すという考えは今のところないとも聞こえたのですが、どうなのかお伺いします。

知事
今は色々意見を伺いながら議論をしている段階で、最終的にどこに本局を置くかを含めどういう体制でやっていくかということは、来年4月のスタートに間に合うように決めればよいと思っています。

記者
今時点では見直す考えがないのかということと、反対している二戸地域や大船渡地域でどのように理解を深めていくかという点についてお伺いします。

知事
見直すというとあたかも既に結論が出ていて、それを見直さないのかという感じなのですけれども、中間報告はこれは案であって、それで決定するのはまだ先のことであるので、そういう意味ではまだ見直すという話ではないわけです。

記者
無床化の話に戻るのですけれども、今日で予定されている説明会が一通り終わりますが、今後地元の要望等があれば追加で説明会を開く可能性はあるのでしょうか。

知事
医療局のほうでは、更に具体的な話も進めることができる第2段階の説明会を計画していると聞いていますので、あとは地域と医療局の意見交換の場を常設化していくということも今医療局から提案していると聞いていますので、そういう意味では一段落した説明会というのは入り口のところであって、これで終わりということではないと理解しています。

記者
今後の説明会は、更に具体的な個別の経営の話ということで、より知事の出席の可能性は遠ざかっていく説明会になっていくのでしょうか。

知事
そこはそれぞれ地域事情とか話の展開も違ってくるでしょうから、今の段階で絶対出ないとは決めていません。

広聴広報課
それでは、これをもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は1月26日(月曜日)の予定です。

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