平成21年2月10日知事会見記録

ID番号 N11785 更新日 平成26年1月16日

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(平成21年2月10日 15時31分から16時19分)

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
最初に、知事から発表があります。
それでは、知事お願いいたします。

知事
それでは、発表事項のまず第1、平成21年度当初予算についてです。まずA4横の平成21年度当初予算のポイントの1ページでありますが、予算の呼称としまして、岩手を守る「逆風立ち向かい予算」という呼び名をつけました。大変な経済情勢の中で、逆風に押し戻されそうになりながらも、県民一人一人が勇気づけられ、逆風に負けず、力強く前に向かっていけるような、そういう積極的な予算であるということです。
予算の基本的な考え方ですが、いわて希望創造プランを戦略的に進めていくため、政策評価と連携した事業の重点化などにより、プランに基づく施策をしっかりと展開していこうとするものです。併せて雇用の創出、維持や地域経済の活性化など喫緊の課題に対しては迅速かつ的確に対応する必要があることから、20年度補正予算と一体的に編成し、切れ目のないようにしていくものです。
予算の規模ですが、厳しい財政環境の中、徹底した選択と集中により事業の重点化を図るとともに喫緊の課題である雇用の維持創出や、地域経済の活性化など、いわて希望創造プランを戦略的に推進するため、制度上活用できる財源を有効に活用し、予算編成を行った結果、21年度当初予算の規模は6,588億円余と前年度当初予算と比較して4億8,000万円余、0.1%の増となりました。予算が前年度当初予算と比較して増加するのは平成13年度当初予算以来8年ぶりとなるものです。
具体的な歳入歳出の状況を見てみますと、3ページ目もあわせてご覧いただきたいのですが、まず歳入については、県税収入は景気の急激な減速により大幅な減収が見込まれるものです。一方、国の地方財政対策により、地方交付税の代わり大幅に臨時財政対策債が増額されることに伴い、県債も大幅に増加することとなりました。この結果、1ページ目の右下にもありますように、プライマリーバランスについてやむを得ず赤字となるものですが、平成21年度予算は財政状況が厳しい局面にあって、後世代のみんなが生き生きと暮らせるような岩手を残すよう、今やるべきことをしっかり取り組むこととしたものです。
なお、プライマリーバランスについてはこのページに記載しておりますが、プライマリーバランスを含めた中期財政見通しの見直し版はあらましに掲載していますので、詳細はそちらをご覧ください。
次に、歳出についてですが、人件費は職員体制のスリム化などにより54億円程度、2.8%の減となっています。公共事業については28億円程度、3.1%の増となっています。なお、投資的経費のうち普通建設事業全体で見ると高校整備等の大規模事業の減少などの理由により3.8%の減となるものです。
次に、A4横の2ページの平成21年度に重点的に取り組む政策についてです。まず、雇用の維持創出について、平成20年度2月補正予算において国の交付金を財源として造成する基金を活用しながら、緊急的な就業の場の確保や安定的な雇用機会の創出に向けた取り組みを早急に推進します。また、求職者に対する総合的な就業支援、中小企業への円滑な資金供給のほか、農林水産業への就業の促進に向けた取り組みなど幅広く展開します。地域経済の活性化、物づくり産業の基盤強化を進めるとともに農商工連携による食産業や観光、さらには農林水産業の振興など地域の特性、資源を生かした取り組みのほか、新産業の創出に向けた取り組みも促進していきます。あわせて前倒し発注などを積極的に行うことで切れ目のない公共事業の執行に努めます。
また、昨年の2度にわたる地震被災からの復旧、復興対策として、被災者の住宅再建への支援や災害復旧、災害防止のための公共事業などをしっかりと進めていきます。
現在の経済危機はグローバル化に起因するものと言っていいと思います。したがって、このグローバル化へ的確に対応していくということを念頭に策定したいわて希望創造プランの推進が現在直面する経済危機の克服にもつながっていくと考えています。
こうした考えのもとで新地域主義戦略に基づく4広域振興圏の確立や県北・沿岸圏域の振興に向けた取り組みを引き続き推進するとともに、岩手ソフトパワー戦略として今年度策定した岩手文化芸術振興指針に基づく取り組みに加えまして、丑年にちなんだ「黄金の國、いわて。MOWMOWプロジェクト」といった取り組みも積極的に展開していきます。
さらに、県民がみんなで支える地域医療の体制の構築や仕事と子育ての両立支援、家庭と地域が連携した学校経営の推進や国体開催を見据えた選手育成、環境王国を目指した県民総参加による地球温暖化対策や新エネルギーの導入の支援など政策の6本柱に基づく取組みも着実に推進していきます。
発表事項の第2、岩手県集中改革プログラムの取組状況です。平成20年1月に策定した岩手県集中改革プログラムですが、平成21年2月現在の取組状況を取りまとめました。以下、配付資料A3の岩手県集中改革プログラムの取組状況(平成20年度実績等概要)に沿って説明します。表の左側のプログラムの策定ですが、岩手県集中改革プログラムについては、社会経済情勢の大きな変化や一層厳しさを増す財政状況を踏まえ、効果的に政策を展開していく仕組みづくりや行財政改革をしっかりと進め、その中で政策の選択と集中を徹底し、より効果の高い取組みを推進していくために、県民本位の分権改革と行財政基盤の強化に向けた5つの改革を推進しているところです。
表の右側のプログラムの推進ですが、まず、県民本位の分権改革では、平成20年度においては、権限移譲の推進など市町村の行財政基盤強化の支援や、広域振興局体制整備の基本的な考え方を提示したほか、民間企業との連携など官民協働の拡大に向けた仕組みづくり、第2期目の指定管理者制度の導入とこれに伴う公の施設の点検を実施するなど、地方分権や民間力・地域力が発揮される仕組みづくりを進めてきました。
次に、行財政基盤の強化に向けた改革では、岩手県職員憲章の策定、昨年度に引き続く公共調達改革など透明性・公正性の一層の確保の取組、電子申請等の拡大など県民サービスの利便性向上に取り組みましたほか、厳しい財政状況を踏まえ、歳入確保の強化の取組みや徹底した歳出の見直し、職員体制のスリム化、県出資等法人の見直しなど、プログラムに基づく取組を着実に推進したところです。
平成21年度におきましては、合併新法の期限が平成21年度末となっていることや、現下の経済状況の急激な変化などを踏まえつつ、市町村強化の支援や広域振興局体制の整備、さらには行財政の一層の簡素・効率化や組織力向上の取組を進めて、いわて希望創造プランの推進を下支えする安定した行財政基盤の構築を図って参りたいと思います。
発表事項第3、平成21年度の組織・職員体制の概要についてです。基本的な考え方としまして、今回の組織改正は、総体の職員体制のスリム化を進めながらも、本県が直面する危機に対応しつつ、いわて希望創造プランに基づく施策の展開、その他諸課題への的確な対応を図る観点から組織体制の一部を見直したものです。
概要を説明しますと、まず、いわて希望創造プランの推進にかかわるものとしまして、産業、観光、雇用の分野においては、工業技術集積支援センターの位置づけを見直し、体制を強化するほか、ソウル事務所への職員派遣、観光課への観光振興担当課長の配置等を実施します。喫緊の課題である雇用対策については、本年1月に雇用対策・労働室を設置したところであり、その体制の一部見直しにとどめています。
次に、医療の分野では、医師確保を初めとする地域医療のあり方が大きな課題となっています。県民みんなで支える地域医療の確保に向けた取り組みなどを推進するため、保健福祉部医療国保課に地域医療推進担当課長を配置します。また、医師確保については知事部局と医療局の共管組織である医師確保対策室において取り組んできていますが、即戦力となる医師の招聘に加え、臨床研修医の受け入れや医師の定着に向けた環境整備なども併せて担当するものとし、その組織名称を医師支援推進室に改めるとともに、併せて医師支援推進監を増員します。
次に、防災、安全、安心関係では、昨年の岩手・宮城内陸地震など2度にわたる大規模な地震を踏まえ、災害時における体制を検証し、これを再構築するほか、今後発生が見込まれる宮城県沖地震の減災目標の設定など、総合的な防災体制を整備するため、総務部総合防災室に防災力強化を担当する特命課長を配置します。また、食品の偽装表示など食を取り巻くさまざまな課題を踏まえ、保健福祉部から食品衛生の事務を環境生活部へ移管し、食にかかわる一元的な対応を図るほか、消費生活、生活安全、交通安全など県民生活にかかわる課題について県民の視点に立った総合的な施策を推進するため、環境生活部に県民くらしの安全課を新設します。なお、警察本部においては迅速、的確な指揮、指令により初動に万全を期して事件、事故の早期解決を図るため、生活安全部に通信指令課を新設します。
その他体制の見直しとして、より効果的、効率的な業務遂行を図るため、部局を越えた事務の移管、一元化を行い、最適な体制を整備するものとしており、先ほど申し上げた食にかかわる事務の集約のほか、行政改革などの事務を総合政策部から総務部へ移管し、経営評価課を廃止します。また、職制については総括課長級と担当課長級の職が併存し、外部から分かりにくい担当課長の職を何々課長、何々担当課長のように区分することとします。
最後に、職員数についてでありますが、平成21年度当初における知事部局の職員数は本年度よりも110人程度少ない4,190人程度と見込んでいます。
以上でありますが、詳細は総務部のほうに問い合わせをお願いします。
発表事項の第4、特別職の職員の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例の一部改正についてです。今日、県議会のほうにも総務部から需用費にかかわる不適切な事務処理問題についての対応の全体像を説明することとしているわけでありますけれども、その中で知事と副知事の給料の減額に関する条例案については、先行して私のほうから説明をさせていただきます。
この問題については、県の最高責任者として、私の給料を減額することとし、来る2月定例県議会に特別職の職員の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例の一部改正案を提案する予定としたところです。また、副知事についてもこの条例改正によりその給料を減額したいと考えています。
具体的には、現在実施中の給料の特例減額措置、知事マイナス20%、副知事マイナス15%に加えて平成21年4月の1カ月間、知事の給料月額については、さらに30%の減額、副知事の給料月額については、さらに20%の減額措置を講じようとするものであり、これにより21年4月に支給される給料月額は、知事については条例本則に定める給料月額に対して50%の減額、副知事については35%の減額となるものです。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
ただいまの発表事項について、各社から質問があればお願いします。

記者
予算に関して2点お伺いします。
来年度予算編成を終えて、今ご説明ありましたが、まず知事の所感をお伺いします。
それとプライマリーバランスが、昨年は、平成20年度から22年度までに38億円の黒字と見込んでいたのですが、臨時財政対策債の増発などによって、今回679億円の赤字になる見通しです。これについて、財政健全化には今後どう取り組んでいくのかお伺いします。

知事
まず、予算全体については、これでまずまず戦える予算になったという感じがしています。今の経済危機は非常に厳しく、また厳しさを更に増しつつあるところでありますけれども、そういう中で、岩手がひっくり返ってしまわないできちんと地に足をつけて踏ん張りながら前に向かっていく、そういう予算をつくることができたと思っています。調製過程で、いわて希望創造プランの推進として色々着手してきた方向性を更に進化あるいは強化するようなアイデアや事業が色々出てきて採用されていますし、またこういうときだからこそ教育関係、福祉関係、医療、保健、福祉、そして環境生活関係などなど弱い人たちとか、弱い部分が取り残されたり、どこかに吹っ飛ばされたりすることのないようにという配慮もかなりできたと思っていまして、県民みんなで手をつないでみんなで逆風に吹き飛ばされないようにするという予算になっていると思います。
プライマリーバランスの件については、国の地方財政計画で地方交付税交付金の大幅増額ということに代えて県の借金になる臨時財政対策債を大きく増額したことが影響していまして、その部分を除外すれば中期財政見通しに沿ったプライマリーバランス均衡型の予算になっています。したがって、こういう情勢の中で、無理に表面的なプライマリーバランスの均衡に固執して県民の暮らしや仕事を守るために必要な部分を刈り込むことは適当でないとして、こういう予算にしているところです。

記者
特別職の給与の条例改正案についてなのですが、配布資料には責任を明確にするためとありますけれども、これは自らの処分ととらえてよろしいのですか。

知事
定義上、知事本人に処分というのはないのですけれども、県組織の執行部のトップとしてその責任を明らかにする必要があると考えてこういう措置をとったものです。

記者
中期財政見通しの見直しをしたわけですが、先ほどプライマリーバランスの関係で、前回までの数字であれば収支均衡がとれているということが一つの目安になって、県民にとっても健全化が進んでいるかどうかというのは数字でわかりやすく提示できたと思います。今回のような特殊な臨財債の増発ということで、見かけの数字が増えて、出てくる数字が本質と合わないという状況がある中でも財政の健全化というのは進めていかなければならないわけですし、県民に対してのわかりやすい説明をしていく必要があると思うのですが、その説明という部分でのこれからの工夫ということで何かアイデアというか、考え方はありますでしょうか。

知事
今回の資料も工夫の一環ではあるのですけれども、そもそも国から地方への財源の大幅な移譲等の地方分権抜本改革がなされていればもう少しわかりやすい説明になると思うのですが、地方交付税、臨時財政対策債という同じ性質のものが一方では借金にならず、もう一方では借金になるというところが分かりづらいので、そういう制度のところは丁寧に説明しなければならないと思っています。

記者
今回示されているような、臨財債を取り除いた部分の県独自の財政健全化への努力が、数値的にわかるようななものを今後独自に示す出すことからすれば、その経年比較で県民にもわかりやすいと思うのですが、そのような考えはできますでしょうか。

知事
色々と工夫してみたいと思います。

記者
先ほどの給与の減額に絡んでなのですが、不適切な事務処理問題について、この後に説明があるということなのですが、今日の一部報道によれば、県職員等で一部負担するといった案も出ているようです。県のOBについてどこまでその協力を要請するのか、端的に言うと前知事も含めて協力を要請するという県の方針があるのかどうか教えてください。

知事
協力を要請する方針はあります。

記者
総務部長が1月中に既に前知事に対してご説明に上がっているという話もちょっと耳に入ってくるのですが、既に前知事からは積極的に協力しますという快諾はいただいているのでしょうか。

知事
基本的に、今いる私以下県職員がこの問題にきちんと対応していかなければならないので、県OBの特別職、知事、副知事も含めて、あとは協力要請という形であり、それぞれのご判断で対応ということになると思います。

記者
教えていただきたいのですけれども、義務的経費の中で扶助費の割合がマイナス4.5%とほかに比べて一番多いのですけれども、この部分を一番大きくカットしたという何か理由はあるのでしょうか。

知事
そこは具体的な中身の費目の説明も必要なので、総務部に照会をお願いします。

幹事社
そのほか質問があればお願いします。

記者
医療局から新しい経営計画案の最終案が今日公表されました。昨年11月の公表時からこれまで住民から見直しを求める声などが多々ありましたが、大もとの部分は変わってなく、最終的に計画どおりで進めるという、その根拠について知事のお考えをお伺いします。

知事
この案に係る地域説明会、懇談会、またパブリックコメントなども経まして、寄せられた意見を取り入れて、主な部分については計画に追加されたり、また計画と別な対応が決定されたと思っています。入院が必要な患者の受け入れ先の確保でありますとか、地域診療センターと基幹病院の間の交通手段の無料送迎の確保でありますとか、それから病床空きスペースの利活用、地元市町村やあるいは民間のそういう利活用の仕組みでありますとか、それから関係市町村と情報交換をする市町村連絡協議会というものを設置する。ほかに地域ごとに地域との協議の場を継続していく、そういう協議の場をそれぞれの診療所、診療センターについて確保していく。それから夜間、休日、だれもいない状態にするのではなくて、看護師が当直をするようにするでありますとか、それから特に空きスペースの活用などまだしばらく色々な調整が続く地域もありますことから、病床は廃止ということではなくて、休止という扱いにするなどかなり地域の要望や、また個別の患者さんあるいは患者さんになるかもしれない住民の要望を取り入れた形になっていると思っていまして、そうしたパブリックコメント、地域説明会、懇談会等の成果があったと思っています。

記者
この期間の間の議論で地域の医師が宿直当番を肩がわりするとか、住民の側からも少しずつではありますが、力になろうという話も出てきています。その中で、まだ十分にこれからの地域の医療をどうするかということについて、議論の時間がまだ足りないのではないかという声も地域からあります。そのような意味で、この4月から計画を実行するのは時期尚早ではないかという部分もあるのですが、そのことについてはどうでしょうか。

知事
今度設けられることになった診療所ごとの地域との協議との場において、今後の診療センターをめぐる様々な協力連携のあり方は、ぜひ引き続き協議をしていただいて、色々決めて、そして実行に移していただけると非常によいと思っています。
それから、4月という時期の意味づけについては、私は医師不足がひどい状況になっていて、その背景として医師の過重負担というものが累積していっている。そういう中で、今のままだと県内の勤務医の皆さんが、もうもたなくなって一気に岩手の医療体制が崩壊する危険が、今ここにあると思っています。現に私が知事に就任して以来、各県立病院からその市町村あるいは住民の皆さんからお医者さんがいなくなって産婦人科がなくなって困るとか、循環器科がなくなって困る、麻酔科がいないから救急が十分機能していない、それはもう一刻も猶予がならない状態になっていると思います。そういう中で、私あるいは県、正式には医療局ですけれども、広く県に迫られている決断というのは無理に無理を重ねている勤務医の皆さんにその我慢を更にに続けろという命令を下すかどうかということだと思います。私はその命令は出せないと思っています。

記者
今の問題に関してなのですけれども、廃止とせず休止とするというところに関してなのですが、仮にこれから協議会の中で色々な地域の支援のあり方とか考える中で、あるいはもしかしたらということですけれども、診療所のコンビニ受診を抑制したり、あるいは地域が一体となって支える診療所というモデルケースということも出てくるかもしれません。仮にそうなったときに住民と一体となった地域医療を展開したいという医師がいるとか、それからオンコールで対応できるように近くに医師住宅を市町村がつくるとかというような環境が整えばやりたいという人が出てくるのであれば、それは公設民営ではなくて、県立の体制のままで復活ということもあり得ますと解釈してもよろしいでしょうか。

知事
色々な可能性があると思います。今問われているのは、そういう可能性について半年かかるか、1年かかるか、あるいはそれ以上かかるか、その議論が終わってから今の勤務医の体制を少し楽にしましょうという決断をするのか、それともまずは勤務医の体制を少し楽にすると、勤務医がより県民のほうに向いて診療、治療ができるような体制の立て直しをまずして、今までもやっているところはあるわけですが、そこから地域との協力、連携ということを更に話し合い、またよい話ができれば、例えば宮古病院のように今回の計画案と離れたところでそういうことを決めてどんどんやっているところもあるわけですし、そういうことが続いていく、その順番が問われているということだと思います。

記者
昨年11月に医療局の計画が示されて反対運動も起きました。最近国体の運動公園の整備をめぐって市町村あるいは競技団体が県に要望活動をしています。私はこの2つのことを見ましてちょっと感じるのですけれども、県の意思決定過程というものがどうも県民によく見えないまま計画や方針が突然出てきて、それで当該の市町村なり関係者が不安を強めたり、動揺したりということが2つの問題に共通するのではないかという感じがしています。知事は、いわて希望創造プランの中で、今後県は市町村、企業、県民、NPOなどと協力し合って諸課題に対応していきたいという方針を示されているのですけれども、この県民とのコミュニケーションについては、どうお考えでしょうか、改めてお聞きしたいと思います。

知事
世論調査、県民意識調査の結果で県民の多くは国体ということで過剰な公共投資というものを望んでいないで、既存の施設の活用を望んでいるということは、既に確認されているところですし、医療の問題に関しても地域医療に不安を持っているのは診療センターのある地域だけではなく基幹病院のあるところもそうですし、盛岡のようなところの住民ですら不安は持ってます。そういうのは選挙戦のころから感じていましたし、就任直後からそうしたことを踏まえながらやっているところです。
そういう意味で民意を踏まえた県政という作業のペースと、基礎自治体である市町村と県の関係が同じスピードで動いてはいないということがあるのかもしれません。そこは県の決定をしていくときに市町村がどこまで関与すべきか、どういう段階から関与すべきかというような分権改革的な議論の対象でもあると思いますし、一方では地方自治法の解釈として、地方自治法の建前は基礎自治体と広域自治体、市町村と県はそれぞれ自分の責任で自分のやるべきことをやるというのが建前であります。ただ、運用上、色々事前の協議とか、相談とか、しながらやっているわけでありますけれども、そのやり方について色々工夫の余地はあると思います。ただ、県として民意に沿った県政運営がなされているかどうかということについては、かなりの程度民意に沿った県政運営がなされていると思っています。もちろんこのことについてもより工夫と努力はしていかなければならないと思います。

記者
今日の新聞に関東自動車工業がこの春にも東北での開発拠点を岩手に置くというような記事が出ていたのですが、知事は先月、関東自工の裾野の東富士総合センターを訪ねたこともあるわけですけれども、この件に関して関東自工側からの何か情報はお持ちでしょうか。

知事
開発拠点を岩手に設けることについての要請はずっとしてきたところではありますが、その情報については、後で商工労働観光部のほうに確認していただきたと思います。

記者
それは、知事ご自身は特別情報は持ち合わせてないと理解してよろしいのでしょうか。

知事
正式な発表がなされたわけではなく、相手もあることなので、ちょっと確認しなければならないので、ここではコメントすることはありません。

記者
医療の話に戻るのですけれども、先ほど知事は地域医療についてかなり危機感をお持ちのお話をされていましたけれども、医療現場で何が起きているかということが、医師とか、病院とか、あるいは行政からの発信が今までされてこなかったのではないかと思います。一般市民、県民の方は本当に何が起きているかわからずにコンビニ受診をしたりとかしている部分が多々あると思うのです。県民に対して今医療現場でこういうことが起きているのですというような説明の場とかを設けたらよいのではないかと思うのですけれども、その辺知事はどのように思っていますか。

知事
医療には安全保障と似たようなところがあって、あるいは災害対策と似ていると言ってよいかもしれません。究極的には自分の健康は自分で守らなければならない、自分の命は自分で守らなければならないということがあるのです。ですから、県民一人一人の医療リテラシーを高める、つまり医療に関する知識、情報を増やしていくということと、そしてそういう知識、情報をもとにかかりつけ医を持ったりとか、またそのお医者さんとうまくコミュニケーションとったりとか、そういう医療力というのを県民一人一人が強化して、それをあわせて地域の医療力を高め、県全体の医療力を高めていく、そういうことをしていかなければならないと思っています。
それで、去年11月から県民みんなで支える岩手の地域医療推進会議を立ち上げて、今日もシンポジウムなどの活動をしているところです。ただ、これは息の長い話です。今日、講師にお招きしたNPOの方は、1990年からそういうことに取り組んでいて、19年やってようやく国民の意識がそういうところに関心を持ってくれるようになってきたというような話をしています。もちろん岩手が直面する今の危機的状況からすると19年も時間をかけてはいられないのですけれども、1年とか2年とかそのくらいのスパンで取り組んでいかなければならないことだと思っていますが、そこは粘り強く取り組んでいきたいと思います。そして、病院の中が今どうなっているのか、病院がどういう仕組みになっているのかとか、そういうのを本当に県民が生きるための常識として知っているような、そういう県にしていくことで、まず県内の医療連携の体制は非常に強いものになりますし、また医療の世界で自己実現したいと思っている若いお医者さんが働くのだったら岩手県というようなところに持っていきたいと思っています。

記者
医療に関してもう一点お伺いします。釜石の市民の有志が地域医療を守るボランティア組織を立ち上げて、かかりつけ医を持とうとか色々と運動を始めたということですけれども、これについて知事はどう思っていますか。

知事
今日のシンポジウムでもその事例が紹介されていますけれども、大変すばらしいことだと思いますし、特に教訓になるのは住民の側が学ぼうという姿勢を持ったときにものすごく急速にそういう個人や地域の医療力が高まっていくという教訓でもあるのです。ですから、県の押しつけになってもいけないところがあり、まさに協働といいますか、住民の自発性と、そして県の側の働きかけ、また推進会議は八十数団体の参加もいただいていまして、色々な分野、色々な地域の既存の団体がそれぞれもう一工夫あるいはもう一努力ずつしていただくことで大きく動いていくと思っています。

記者
秋田県の寺田知事が本日4選不出馬を表明したということなのですけれども、そのことについて知事のご感想を聞かせてください。

知事
多選は望ましくない、3期で終わりということをご本人は前からおっしゃっていましたので、そのとおりになさるのだなと受け止めています。
寺田知事が初当選したときは、私も当時衆議院議員として応援に馳せ参じて東北から改革を、地方から改革を広げていこうということで一緒に戦った同志でもありますので、その志をしっかり岩手の方にも根づかせ、花開かせていって、また次の秋田の知事さんともそういう連携を深めていきたいと思います。

広聴広報課
それでは、これをもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は2月19日(木曜日)の予定です。

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