平成21年2月19日知事会見記録

ID番号 N11783 更新日 平成26年1月16日

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(平成21年2月19日 10時30分から11時22分)

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
最初に、知事から発表があります。
それでは、知事お願いいたします。

知事
今日の発表事項は、「いわて子ども希望基金(仮称)」の創設についてです。岩手県の少子化対策を一層推進するために、財団法人岩手県長寿社会振興財団の協力を得て、その財団の中に「いわて子ども希望基金(仮称)」を創設して、県と財団が一体となって若い世代への結婚支援や子育てにやさしい職場環境づくりに取り組む企業、団体への支援、地域の多様な子育て活動への支援等を充実することにしました。
基金の創設趣旨は、いわて希望創造プランの重要な政策の一つである子育て環境の整備です。行政施策だけではプランに掲げる目標に対して十分な成果が上げられていない現状であり、また合計特殊出生率は全国平均を上回ってはいますが、出生数の減少や未婚率の上昇は続いておりまして、少子化の進行に歯どめがかからない状況です。このため「いわて子ども希望基金(仮称)」を創設し、従来の国、県、市町村の施策、事業と一体となりながら、補完的かつ柔軟に取り組むことができる事業を新たに加えて社会全体での子育て支援策を充実しようとするものです。
事業の中身は、若い世代への支援、企業、団体への支援、地域活動への支援となっています。結婚を希望する未婚男女が広域的に交流する出会いの場の提供や、子育てにやさしい職場環境づくりの取り組みを促進するための経営者セミナーの開催、男性の育児休業取得者を輩出した企業に対する助成を予定しています。
また、振興局単位に地域子育て支援推進協議会を設置して、関係者のネットワークを構築、親子の交流イベントや料理教室、子育て支援に関する企業など地域関係者の協働した取り組みを促進するとともにこうした事業への支援を企画していきたいと思います。
財団法人岩手県長寿社会振興財団が管理しているいわて保健福祉基金の33億円のうちの10億円を分割して「いわて子ども希望基金(仮称)」を創設し、今後、企業、団体等の賛同を得て、更なる基金の造成を図ります。
基金設立の時期は、平成21年10月1日として、この3月の理事会などでご承認をいただくこととしています。本格的な事業実施は平成22年度からになりますが、平成21年度中に結婚支援等の一部事業を実施していきたいと思います。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
ただいまの知事からの発表事項について、各社から質問があればお願いします。
質問がないようなので、それでは幹事社から県政記者クラブを代表して質問させていただきます。
平泉の世界遺産登録についてでありますが、世界遺産登録推薦書作成に向けた国際専門家との打合会が21日から予定されています。主題設定や顕著な普遍的価値など根幹にかかわる部分がメーンとなりそうですが、県としての対応を伺います。
また、構成資産見直しに関する協議は改めて行われるようですが、協議に臨むうえでの県としての基本的な考え方について伺います。

知事
今回の国際専門家との打ち合わせでは、これまでの推薦書作成委員会での議論を踏まえて、平泉の主題設定、顕著な普遍的価値、評価基準の適用など資産の価値づけの根幹にかかわる内容についての意見交換を行うこととされています。個々の構成資産を推薦資産に含めることが適当か否かについて直接的に議論することは予定していないと聞いています。
これは、まずは世界遺産にふさわしい平泉の価値をきちんと確立することが重要という考え方のもとに、国、県、関係市町と合意したうえで進めているものでありまして、県としても国や関係市町と連携を図りながら平泉の価値を確実に国際専門家に伝えられるよう最大限努力していきたいと思います。
構成資産の見直しに関する基本的な考え方ですが、去年12月の第3回推薦書作成委員会で、構成資産の見直しが必要という意見が示されたところでありますけれども、これは時代的同一性でありますとか、仏教思想との関連性でありますとか、色々な観点から構成資産にふさわしいかどうか再検討を求めているものであって、現時点で構成資産を縮小すると決定したものではないと理解しています。
今後、この検証をしっかり行うとともに、改めて国際専門家や推薦書作成委員会の意見を確認したうえで方向性を固めていくことになると考えています。

幹事社
この質問に関連して、各社から質問があればよろしくお願いします。
それでは、ほかに各社から質問があればお願いします。

記者
医療局の岩手県立病院等の新しい経営計画が今日正式決定され、これに基づいて進めていくことになると思うのですが、改めて知事のご見解をお伺いします。

知事
医師不足を中心とする医療崩壊という危機を岩手が直面している中で、県立病院の体制を立て直しながらしっかり県民の命と健康を守っていくためのよい計画ができたと思っています。また、色々な地域の声、様々な地方公共団体や団体の意見をこのパブリックコメントとか説明会や懇談会を通じて取り入れまして、8項目の計画への反映事項として最終的に計画に盛り込まれたことも評価したいと思います。

記者
結果的には地域住民の反対する声もある中での決定になりましたが、今日の決定に至るまでの過程で、問題というか課題といったものはなかったでしょうか。

知事
これは、議会の議決事項ともされておらず、また医療局限りの医療局長までの決裁で決定する専門的な観点を踏まえた病院経営に関する計画ですけれども、県民の生活や、あるいは福祉等に影響もありますので、事前に公表して様々な意見を伺う機会を設けて、そしてパブリックコメントも行って、8項目の反映事項を盛り込むことができて大変よかったと思っています。特にこの8項目の反映事項の中には、診療所の病床について廃止という扱いではなく休止という扱いにして、同時に地域と協議の場を設けて民間による空きスペースの利活用など、地域の様々なイニシアチブを尊重しながらこの4月以降も調整していけるような形になり、県立病院の関係する市町村と医療局と情報交換の場も設定されて、今後岩手が直面する地域医療の現状に関する県民の理解を深めながら地域ともしっかり調整しながら、県民にとって最大限効果的な地域医療体制をつくっていけるような形になりよかったと思います。

記者
医療局の問題に関してなのですけれども、機会があれば知事ご自身が出ていって説明することはやぶさかではないということをおっしゃっていて、これまでそういう機会はなかったです。今日から始まる議会では一般質問等で病院の問題が出ることになっており、先日26人の議員からの署名で一時凍結を求める要請もあったわけなのですが、議会に対してはどういう対応をされていかれる予定なのかお伺いします。

知事
その26人の議員の皆さんの要請は、議会の意思を、請願の趣旨を反映してほしいという要請でありまして、この8項目の反映事項という形でかなり請願にも込められた地域の思いということが計画に盛り込まれたと考えています。この整理の仕方として、正式に計画の中に入らない形で事前の説明がなされたりもしましたので、それでおとといの医療制度改革推進本部会議においては、その医療局における最終決裁の前に知事部局のほうからもっとはっきり地域の声が計画に盛り込まれたという形にして最終案をまとめるべきという意見があって、それで特に重要な病床の扱いは廃止ではなく休止にするであるとか、地域との協議の場を設けるであるとか、あとは夜間、休日には看護師の当直を置くといったこともきちんとこの新しい経営計画の中に盛り込んだということで、そういう意味で議員の皆さんのご心配にもお答えしていくような形で進んでいると思っています。
それから、私の役割ですけれども、個別具体的な今入院している方々がどうなるか、また今後入院する人たちの交通の問題、お見舞いする家族の交通の問題、そういったことはやはり専門的に詰めていくべき話なので、私の役割としては県全体の地域医療の危機的状況の理解を深めていただくことや、それを2次医療圏という形で守っていくということについて、ただこれは特定地域の問題というよりも岩手全体の問題でありますので、むしろ個別の地域にお邪魔してそういう話をするというよりは、県民みんなで支える岩手の地域医療推進運動のイベントや、あるいは広報のほうでこの間、色々と訴えてきたところです。
診療所が無床化されるその周辺の皆さんは外来については今までどおりですし、また重要な入院について基幹病院のほうに行かなければならないというのも今までどおりです。そこまでに至らない入院について不自由にはなるのですが、むしろ容体が急変したとき、より手厚い体制が整っている基幹病院への入院を勧めるという形で、そういうところはむしろ手厚い体制で医療を受けていただこうということなのですが、むしろ基幹病院の関係で医師不足がどんどん進んでいます。
基幹病院が所在する市の市長さん、市議会議長さんはじめ関係者の皆さんからは、もうおととしから医師不足で診療科が廃止されてしまった、あるいは休止されている、何とかしてほしい、とにかく体制を充実してほしいという要望をいただいていました。そういった地域の皆さんの不安にもこたえていかなければならないわけであり、そういう意味では医療危機に関する不安は県民全員が等しく持っているものですので、そこにきちんと現状を説明しながら根本的にはまず医師を守る、お医者さんを守っていかないと患者を守ることができません。重要なのは患者を守ることであって、そのためには医師を守っていくことが不可欠、そしてその医師を守るためにはすべての県民が今以上の不便、不自由を何らかの形で克服していくような努力と工夫が求められるということを全県的に訴えていく、それが私の役割と考えて行動していますので、今日から始まる議会においても、質問に答えていく形ではあるのですけれども、そういったところの県民の理解が深まっていくように努めていきたいと思います。

記者
今のお話の中で、基幹病院の医師がどんどん減っているということなのですが、今日の一部報道にもありましたし、前の報道にもありましたが、今年度はもう既に20人以上が辞めていて、さらに、今後辞める予定も含めるともっとあると思います。11月に計画案を出して、これが基幹病院とかの医師の引きとめにつながるのだということなのですが、計画案を出して以降も恐らく辞めている状況があるのだと思うのです。果たして無床化がどれだけ医師不足解消につながるのか、計画を出して以降は引きとめられましたという成果があれば説得力があると思うのですけれども、知事自身この計画によって、医師が病院を辞めるスピードが多少落ちたり、今後退職者が減りますと断言できるかどうか教えてください。

知事
この間は、とにかく医師を守るのだという主張と同時に、もう少し医師には我慢をしてもらわなければならない、もっと我慢をしてもよいのではないかという主張と、それぞれあったと思います。そういう意味では、やはり少しでも医師が余裕を持って患者に接することができる体制を県民の総意でつくるということをやらないとなかなかお医者さんにその気になってもらうということにはつながりにくいと思います。

記者
もう一点なのですけれども、議会では議決事項ではないといってもその病院事業会計の予算を可決、否決する権限があるわけで、無床化計画を一時凍結しないのであれば否決ということも選択肢としてないわけではないという声もあるのですが、こういった議会の動きに関して知事はどのようにお考えですか。

知事
どういう趣旨でどういう提案をされるのか、あるいはどういう賛否を示すのかということなのですけれども、そこはまさにこれから議論が始まるところだと思うのですが、ただ今の勤務医にもっと無理を続けろとか、あるいは診療所に関しては今の体制を維持せよ、それはイコール中核病院については人が減っていっても構わないということと同義なのですけれども、そういう中核病院に関しては医師を減らして体制を弱くすべきという議論が、あるいは今お医者さん1人がやっている以上の仕事をすればそれはカバーされるから、今以上に無理をしろということをお医者さんにやらせるような意思決定をするのか、そこは私は岩手県議会においてきちんとした議論がなされればそうそう非合理的な結論にはならないのではないかと期待しています。

記者
文部科学省と厚生労働省の協議で、臨床研修制度について都道府県ごとの枠を設けると、それから大学病院について優先的に研修先を優遇することが昨日の時点でまとまったのですけれども、これに関しては知事はどのようにお考えですか。

知事
そもそも全国的な医師不足というのは国の政策によって引き起こされたことでありまして、岩手のお医者さんの中には医療崩壊ではなくて医療破壊だと、国によって破壊されているのだということを言うお医者さんもいるくらいであります。そこは本当に国に猛省を求め、医師不足の解消、特に地域偏在、診療科偏在を解消していくことを、ありとあらゆることをやってもらわなければ困ると考えています。
他方、臨床研修制度については、現行制度の中で色々うまくやっているところもある。それは岩手の県内にもありますので、そこは現場の声を反映しながら、結果として地域偏在、診療科偏在が解消されるような方向に持っていくようにしてもらわなければと思います。

記者
医療局の新経営計画に盛り込まれる8項目なのですけれども、これは県や医療局が今できる最善のものと考えているのですか、それともまだ何か変える部分があるとお考えでしょうか。

知事
かなりの部分が地元の声を反映した内容になっていると思います。そして、基本的に個別具体的な課題については、これで解消されていると思うのですが、何について不安かという特定の対象がなく、今自分は健康だけれども、もし入院しなければならなくなったときにどうなるのだろうという漠然とした不安の解消については、今この瞬間にこうすれば絶対不安が解消されるということはありませんで、協議の場を設け、今後のやりとりの中でそうした不安を解消していけるのではないかと思います。

記者
あともう一点なのですけれども、2003年に今の県立病院の改革実施計画が策定されるときに、当初、当時病院で今地域診療センターになっていますけれども、この5病院の無床化を計画していたのですけれども、やはり今の議論のように住民や県議会から反対が上がって19床存続という形になった経緯があります。それから5年以上がたちまして、例えば医療をめぐる議論、情報公開がなされなかったりとか、あるいは住民との情報共有がなされなかったと私は感じるのですけれども、首長として知事はいかがお考えでしょうか。

知事
医師不足の核心部分には医師の過剰負担ということがあるのですけれども、これがなかなか表に出にくいことなのだと思います。つい無理を背負い込んでやってしまい、それが当然だと思っていれば弱音をはかないというふうになるでしょうし、またそこで自分は実はふらふらでカルテもろくに読めない状況で患者さんを診ているなんていうことが仮にあっても、それはなかなか自分の働き方としてほかの人には言えないとか、あるいはそういう状態で働かされているということが外に出れば、それは上司に対する批判になるとかを考えて、ですから全国的にもお医者さんがここまで追い詰められているということは、本当に最近になるまで見えてこなかったのだと思います。
おととしの奈良県の妊婦たらい回し問題が一つのショッキングなきっかけになって、初めて厚生労働大臣がちょっとまずいのではないかということを言い出し、あれ以前には、厚生労働大臣が医師不足や医師の偏在がそういう危機的状況になっているということは認めてなかったと思います。あの事件以来認めるようになったと思います。
もちろん、おととしの事件の前あたりから新聞によっては医療崩壊という特集記事を組むようになり、まずいのではないかと表に出てきたわけでありますけれども、そういう意味ではまだまだ新しい問題なので、かといって対応が遅れてもよいという問題ではないので、行動を求められることについては、とにかく早目、早目に手を打っていかなければならず、また県民全体の意識改革にきちっと取り組んでいる都道府県というのは岩手のほかにはないのではないかと思います。
まず、岩手を守っていかなければならないのですけれども、それがまた日本を変えることにつながっていけばと思います。

記者
先ほどの議会への対応の質問に対する答えで、非合理的な結論というような表現をされたと思うのですが、もう少し説明をお願いしたいのですが、これは何を指しているのでしょうか。

知事
今はそういうものが存在していませんので、具体的にこうだというのはないのですけれども、抽象的に岩手の医療崩壊を加速するようなことでありますとか、かえって患者さんの不利益を増して、診療所周辺に住んでいる人たちにとってもいざ手術が必要なときに、基幹病院できちっと診てもらえないというのは診療所周辺に住んでいる人たちにとっても取り返しのつかない損害になってしまいますので、そういった結論は出さないであろうと期待するということを先ほど述べたわけです。

記者
先ほどの答えの中での私の印象では、病院の会計の予算案の否決ということを指しているのかなという受けとめ方だったのですが、そういうこととはまた違うのですか。

知事
今存在していない事柄についてきちんとしたコメントは出せませんが、一般論として岩手の県議会は県民の利益を大きく損なうような結論は出さないだろうということです。

記者
先ほど知事は今回の住民とかの反対については、県民への生活や福祉への影響があるので、公表してパブリックコメントとかをやったという話がありました。この計画については議決事項ではないということなのですけれども、ちょっと話を聞いてみたら、条例を改正すれば議決事項に設定することもできるということです。県民を代表する知事と議会という二元代表制という観点からも議決事項として議会に提出して、それで十分な議論をされたほうがよいと思うのですけれども、その辺についてどう思いますか。

知事
地方自治法の解釈として、議会の権限の中に書かれている議決事項というのは限定列挙でありまして、ただ条例で決めればそれを含むということが書いてはあるのですけれども、これについては法律論としてはやはり議会オールマイティー、つまり国のように議会が国会の場合は国権の最高機関とされて、そして内閣は総理大臣が議会から選ばれて、かつ内閣は連帯して国会に責任を負うという構造になっているのですけれども、それと比べますとまさに二元代表制ということで、執行部の専権事項と議会の法律上の権限というのには明らかに分担してやろうという趣旨があるわけです。
それで、医療の論理を含めて専門的な観点を重視していかなければならない病院経営ということについては、執行部の責任でやっていこう、特に公営企業体になっているわけですから、医療局長という管理者に大きく権限を譲って、そのもとで専門的知見に基づいて効率的な経営をしっかりやれという仕組みになっていますので、それは県の条例でそういう仕組みにしていることもあり、法律や条例の趣旨からいってそうした運用が基本と思います。

記者
先週新潟県知事が、国の直轄事業負担について物議を醸すような発言あったのですけれども、知事は国直轄事業負担金制度についてはどのようにお考えでしょうか。

知事
直轄事業の地方負担金は、原則として廃止が望ましいと考えています。全国知事会も何度も廃止を求めて国に申し入れをしています。最近も麻生知事会会長から改めて政府にそういう趣旨の申し入れをしているところでありまして、これについては私も知事会と足並みをそろえて国に対してしっかり申し入れていきたいと思います。

記者
知事会と足並みをそろえてということなのですけれども、全国的には新潟の知事ほか大阪の知事と、突出した人もいるわけなのですけれども、そちらには足並みはそろえないのですか。

知事
知事は都道府県における最高責任者であって、地方自治法では自己の判断と責任において事務を執行するとなっていますので、知事同士が連携しながら何か行動することは、いざ都道府県固有の事情で単独で行動しなければならないときに足かせになる可能性もあると思っていまして、まずは岩手の事情、岩手の利益を最大限考えてフリーにやれるようなスタンスでいきたいと思っています。全国知事会は共通事項や原理原則的なところで一緒に行動しようということを決めているので、それらについては一緒に取り組んでいこうということです。

記者
岩手県の不正経理問題に関してちょっとお聞きしたいと思います。
先日のぶら下がりでも知事はおっしゃっておりましたが、不正経理に関する国への返還額は、加算金も含めて2億円ということで、県職員が3,000万円、OBが2,000万円、合わせて5,000万円を目標に負担を求め、返還に充てるということですけれども、残る1億5,000万円が県費から投入される予定です。このことについてはやはり県民からもなぜ県の不正経理について税金投入しなければならないのだという声も根強くあります。このことについて知事はどう受けとめていますか。

知事
やはり信頼を裏切ったということで、今回の不適切事務処理問題に関しては厳しい批判があってしかるべきだと思っています。本当に県職員全体として襟を正して再発防止をきちんとやっていかなければならないと思っています。
職員負担のあり方については、飲食や個人的な遊興、娯楽に使ってしまったとかの場合には全額の返還を当事者に求めていくのが筋なのですけれども、今回の件は本来県独自の予算で賄うべきものを国の予算で賄ったということに起因する不適切事例でありますから、もともと県費で負担すべき、県民の税金で負担すべき物資の調達でありますとか、出張、研修等の事務などに使われたお金でありますので、そこは県民の暮らしや仕事をよくするために使われたということでご理解をお願いしたいと思います。

記者
この件に関しては、今日から始まる2月県議会でも議論があると思うのですけれども、例えば議論の結果、職員負担を変える可能性というのはあるでしょうか。

知事
今回の職員負担というのは自主的な協力であって、人事上の処罰によって負担をさせるというものではないのです。逆に言うと人事上の処罰の部分では、何かそういう罰金みたいなことにはしていないわけです。ですからもし議会で議論になるとすればもっと厳しい罰を与えるべきではないかというような話になるのだと思うのですけれども、知事、副知事の給与減額についてはまさに条例として審議をお願いしていますので、そこについては色々な議論をいただいくことなると思いますけれども、職員に対する人事上の罰を与えるということについては執行部にお任せいただきたいと思います。

記者
負担を増やす可能性についてはいかがですか。

知事
具体的にどういうことが起こるのかわからないので、その可能性についてもわかりません。

記者
不正経理の問題で、職員負担は自主的な協力というお話でしたけれども、今のところ負担額は5,000万円ぐらいで、加算金が約6,100万円ぐらいあり、その差の1,100万円とちょっとを県民が負担するのはおかしいのではないかと思うのですけれども、それに関しては知事はどうお考えでしょうか。

知事
加算金は、県と国との間の公金の取り扱いの調整でありまして、いずれ公共のために使われるものでありますから、それが税金の形で調達されることについては、問題はないのだと思います。ただ、それが県の単独予算として使われるのか、それとも国のほうにいって国が使うのかということでありまして、そこは飲食、遊興に使われてしまったのと全然違うというのはもちろんなのですけれども、不適切事務処理によってもっと安く調達できたのではないかとか、預け金させて、それが県の側にあれば利息を稼げたのではないかということ以上にそこは公金として本来使われるべきものに使われているというようなお金の性質ですので、そういう理解を県民の皆さんにもしていただきたいと思います。

記者
それは、もともと国が負担すべきものであって、県民が負担するものではないという気がするのですけれどもいかがですか。

知事
そこについては県も大分軽減できないか、またゼロにできないかという議論は国としたところでありまして、ただその結論についてはそういう県と国との調整の中で、まず公に決まっていくことでありますので、ご理解をお願いしたいと思います。

記者
2点ほどお伺いしたいのがあります。
1点目は山形県の新知事が最上川の文化的景観の世界遺産登録への取組みについて、予算を削減したり、なかなか世界遺産が厳しい状況の中で見直しの雰囲気も出ていますが、山形県の動きについてどう見ていますか。また、平泉の世界遺産登録に関しては当然全力を注ぐのだと思うのですが、青森、秋田と一緒になってやっている県北の世界遺産登録の取り組みについて、今後岩手として縮小するなりなんなりという考えがないかどうかお伺いします。

知事
それぞれの都道府県知事の方々は、自己の判断と責任において行動していくものですから、特に岩手県内のことに何か直接関係ない限りは特にコメントなしです。世界遺産は、岩手にとってはまず平泉の世界遺産登録ということがあって、順番で縄文遺跡はその次ということになるのですけれども、ただ平泉の説明をしていくときにそれが突然変異的に出てきたわけではなく、縄文以来の自然との共生、人と人との共生といううえに花開いた平泉文化だというような説明の仕方も県としてはしていまして、うまく縄文につながっていくように予算をなるべく少ない予算で効果的な形になっていくようにうまく切り盛りしていきたいと思います。

記者
それから、もう一点、リニアコライダーについてなのですけれども、巨大加速器の誘致に向けて春にも東北6県と東北経済連合会などと一緒になって研究会を設立するという動きがあるようですが、岩手県としてリニアコライダー誘致ということの期待感、それからその研究会に向けての今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。

知事
東北経済連合会が東北加速器基礎科学研究会を設立するということで、国際リニアコライダーの研究内容、学術的意義、また関連する基礎科学の振興策について、調査研究と普及啓発を行うと聞いています。大変有意義な活動だと思いますので、県としても連携して協力していきたいと思っています。
一方、誘致という言葉が使われたりしますけれども、巨大な科学プロジェクトであって、研究者による国際委員会で話を進めていくものと理解をしていますので、過度な誘致合戦が国際的な研究活動の妨げになるようなことがあっては好ましくないと思っています。
そういう意味で、現段階では、いわゆる誘致活動というものは行うべきではないと考えていまして、今は地方公共団体としても勉強の段階であると考えています。必要な情報・資料の収集、研究者の皆さんが北上高地を調べたい場合の情報・資料の提供、そしてそれに関する県民理解の増進といったことで県として協力できればと考えています。

記者
海境の問題なのですけれども、宮城県との県境付近の境界線の件で、今決まっている部分を一たん白紙に戻して合意に向けて動き出したということが一部報じられています。そのことに関するご所見をお伺いしたいのと、一方で青森県境沖のなべ漁場の問題では、問題がさらに複雑化してきているように感じるのですけれども、今後知事同士での話し合いなど、知事のほうから何か動き出されるようなお考えはありますでしょうか。

知事
結論からするとノーです。話し合いで解決されていくことが望ましく、またその話し合いというのは漁業関係者同士の色々な過去の歴史、伝統、そして今のこの漁法、そういう技術的な問題でありますとか、そういう中で共存共栄でお互いの利益になるような形に決まっていくのが望ましいと思っていて、県、行政としてはそれをサポートしていくということだと思っています。

記者
宮城県境沖のほうはいかがでしょうか。

知事
それも県の基本的な考え方としては同じことです。

広聴広報課
それでは、これをもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は3月6日(金曜日)の予定です。

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