平成21年3月25日知事会見記録

ID番号 N11779 更新日 平成26年1月16日

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(平成21年3月25日 10時31分から11時26分)

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
本日は知事からの発表事項はございませんので、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
それでは、幹事社さん、よろしくお願いします。

幹事社
それでは、幹事社から記者クラブを代表して質問いたします。地域診療センターの無床化に関連してなのですが、知事は予算特別委員会のときに議会終了後に各地を回って説明されるとおっしゃっていました。今後どのように説明をして回られるのか、予定も含めてお伺いいたします。

知事
今回の議会での議論も踏まえまして、地域診療センターの病床休止について最大の理由である医師不足の危機的状況について理解を深めることや、そして不安や課題について伺うために直接出向くことにしたところです。
県民の命を守るためには2次保健医療圏を基本としながら地域全体として貴重な医療を提供する体制づくりを進めて県民一人一人がみずからできることに取り組んでいくことが必要であるということについて、県民の皆さんのご理解とご協力をお願いしたいと考えています。
時期についてはできるだけ早く行きたいと考えていますけれども、市町村の意向も聞かなければなりませんので、まず医療局長が市町村に趣旨を説明しながら実施方法について協議することとしています。

幹事社
この質問に関連して各社から質問があればお願いします。

記者
県議会2月定例会は今日が最終日ですけれども、県政史上初めての事態が幾つかあり、県政史上最も紛糾、混乱した議会とも言えると思います。最終本会議は午後ですけれども、ここまで混乱した一つの理由に無床化についての達増知事をはじめ医療局の県政運営というか、行政手法の拙速さという点がかなり指摘されています。その点も踏まえて、今時点で振り返って、今回の県議会の紛糾についてどう総括されますでしょうか。

知事
まだ最終本会議がございますので、完全に終わったわけではないのですけれども、平成21年度の予算案については、予算特別委員会のほうでは既に賛成多数でご了承いただいていまして、その中には医療局の新しい経営計画を前提にした医療局予算も入っています。そういう意味では最終的に議員の皆さんのほとんどに了解していただけるような提案をさせていただき、そして質問にはきちんと答弁をして、そして議論の場ですから色々な議論はあってもよいと思いますし、その議論のための色々な段取りについては、それは議会のほうで決めてやっていく、それでよいと思っていますし、その結果執行部側で提案したことが議会で了承されたということで県民にとってよい結果が出た、そういう議会だったと思っています。

記者
6地域の住民組織を中心につくられた県全体での住民組織連絡会の方々の集会が今日予定されています。県議会は一応病床休止を容認した形となっていますが、地元の住民団体の方は恐らくまだ凍結を求めていると思います。県民全体とは言わないですけれども、その住民組織とは対立がまだ残ったままという状況だと思いますが、どういうふうな説明で理解を求めていこうと思っていらっしゃいますか。

知事
敵というものがあるとすれば、それは病気、けがとかが県民共通の敵であり、その共通の敵と戦うためにお医者さんたちとも同じ側に立って、県民、お医者さん方、そして行政組織や色々な住民団体も、それは共通の敵に向かって戦っていく同志だと思っています。もちろんこれは何かと戦うときには常に戦い方について色々意見が分かれたり、そういった意味での対立というのは起きるわけですけれども、県民の命を守るためにみんなで力を合わせてやっていかなければならない。特に今医師不足という非常に厳しい現実を前にして、まずはそこを乗り越えていくような新体制をつくりながらやっていくしかないということについては、県民的には広い理解が得られていると思いますけれども、そういう意味では4月1日からは実際にもう戦っていく局面に入るわけであり、そういう中で反対の組織をつくってこられた皆さんともともにそういう病気やけがと戦って県民、住民の命と健康を守っていくための色々な協議でありますとか、協力をしていきたいと思っています。

記者
今回、医療局の計画発表から4月1日の実施までのすごいタイトなスケジュールの中で、最終的に無床化するか、凍結かという1点に議論が集約されてしまっています。本来であれば無床化は、無床化される地域の人だけではなくて、診療センターに医師を派遣する基幹病院が崩壊するとか、県全体の医療体制が危機だという、そこを議論しなければいけなかったと思うのですけれども、なかなかそこには至らず、結局地元の住民の不安の声と県議会での無床化するかしないかという議論に集約されてしまい、本来の知事が思っていらっしゃるような県全体の医療を県民みんなで支えるという議論の理解までいったのかもしれませんけれども、議論はまだ始まってないと思うのです。その点で今回の病床休止に至るまでの県の進め方をどう思われますか、よかったでしょうか。

知事
まず、県はとにかく県民の命と健康を守るのが務めでありますので、その務めを果たす新体制を構築できたということは、これは務めを果たしていると思っています。
それから、議論については今回テレビ、新聞をはじめ様々なメディアも今岩手の置かれた医療の現状について取材し、報道し、また解説的な報道等も非常に広く行われ、そして県民からの様々な投書や県に寄せられる意見もそうですし、そういう意味で県民的な議論の盛り上がり、これは5年前にも同様な県病院体制の見直しという作業が行われたわけですけれども、その5年前に比べると、比べものにならないくらい県民の意識は高まり、議論が行われ、それを踏まえながらちゃんと執行部と議会とで決定が行われたと考えていますので、5年前に比べても大きな前進ですし、ほかの色々な都道府県と比べても岩手県民はかなり今の医療情勢に対して深い認識を持って考え、行動できていると言ってよいと思います。

記者
先ほどの、今度各地域に説明に行くということなのですが、どうしても最後まで納得できなかったのは、当初、地域に出向くことについてやぶさかでないとおっしゃっていた知事がこの間になぜ行かなかったのか。行かなかったということについてご自身として、それは正しい判断だったのか、正しくなかったのか、その辺をお伺いします。

知事
不安や心配を解決していくにあたっては、かなり現場の情勢について詳しい人が当たったほうがよいという判断からであります。私も、例えば診療所における夜間救急ですが、それが3日で2人ぐらいで、そのほとんどが便秘などの軽い症状だということについては知らなかったわけで、そういう知らない私が夜の救急をどうするのだと、こう聞かれたときに的確に答えられないわけです。それよりはちゃんと現場の事情や、さらには医療の仕組みに詳しい者が説明をし、またそういった疑問にも答えていく。そして、これは確かに計画を修正したほうがよいと思うようなことについてはきちんと持ち帰るということをやり、それは基本的にうまくいったと思っています。

記者
ただ、知事が地域に出向くときには、専門家も一緒に行かれるはずなので説明できるはずだと。むしろ専門家の言葉を住民の目線でわかりやすく説明したり、当初知らなかった知事自身が知ったということを伝えることのほうが意味があったのではないかと思うのです。
それから、もう一つは知事がずっとおっしゃっている草の根のコミュニティーの再生という問題に関してなのですけれども、こういう生命あるいは安全とか安心とかという直接的な目の前の課題について向き合って、その中で初めて地域の再生とかコミュニティーの再生というのが出てくるような気がして、今回は非常によい機会だったのではないかなと思うのですが、もう一方で地域医療、県民で支える地域医療のシンポジウムがありましたが、そこで知事はこの無床化の問題については触れなかったと思うのです。ただ、この実際に起きている課題について正面で向き合わないで、住民と向き合って話さないで、果たしてそれが本当に実現できるのだろうかというのが取材していた率直な感想なのですけれども、それについてはいかがでしょうか。

知事
そういう批判があることについてはきちんと受けとめて、今後の県政に生かしていきたいと思います。

記者
前にも記者会見で私は聞いたことがあったと思うのですけれども、医療に関する計画あるいは国体に関する計画の政策形成過程の部分が全く県民に示されずに、計画の決定したという部分だけが公表されるというのは、やはり知事が掲げる県民との協働とか、あるいは情報公開とか、情報提供という部分で非常に大きな県政運営に関する課題を残したのではないかと思っているわけですが、今回の県議会2月定例会でもそのような意見も多々議論がありました。改めて知事にこの点についてどのように受けとめているのか、お聞きします。

知事
前にも申し上げたのですけれども、資源配分の時代から我慢配分の時代になってきている。特に地方行政というのは、岩手の場合は1兆円に届こうとしていた予算が今では7,000億円を割り込むような、お金も人も少なくなっていっている中で、サービスの中身はなるべく下げないように、むしろ新しい時代に対応したサービスの展開をしていくものです。このため、ただ昔あった施設をそのまま残していくとか、あるいは新しい施設をつくっていくということについてはその逆の方向というか、施設を減らす、縮小させる、あるいは今ある施設で我慢するというようなことを決めていかなければならない。こういうことは、かつてなかったような形のことが、これからは増えていく時代に入っていて、また、実はそのような状況になって結構久しいのかなとも思います。
新しいものをつくる場合には早目に、まだそれが素案、たたき台あるいは思いつき、アイデア程度の段階からも関係者に相談して、もしあなたがこれに興味を持ち、あなたもお金を出してくれるのであればよいけど、この話はほかにも持っていき相談するという中で、よい返事をしてくれるところとやるようなこと。そういう早い段階からの下ごしらえをしながら物をつくる準備というのは進めていけるわけですが、つくらないという決断、あるいは縮小するという決断については、そもそもあまり早い段階で対外的に言えるところまでいかないわけです。やはり何とかそうしないで済む方法はないのか、残すあるいは増やす、そういうことはできないのかということを内部で、しかも専門的な議論を戦わせながら詰めて、やむを得ない、これしかないという段階で初めて外に出すというような意思決定パターンにならざるを得ないということは、構造的にそうなってしまうのだと思います。
ただ一方、今、国とか地方には、自治体にはお金がないですが、お金があるところにはある時代であり、民間とか、あるいは個人ですとか、そういうお金あるいは問題解決能力は国や自治体以外のところにかなりある時代ですから、何かつくる、増やすというときにそのような「公」以外の主体が、「我々でこれはつくる」とか、「我々でこういうことをしていく」ということは自由に、どんどんできるわけです。そのような「公」以外の主体によるイニシアチブというのが日本では、まだなかなか進んでいないということ、あと行政はそういうお金を使って何かをばらまくものだみたいなイメージが関係者の間に深く残っているということ。そういう中でスムーズな意思決定がなかなかできないということが起きているという構造なのだと思います。

記者
私が聞きたいのは、例えば医療の現状が今どうなっているのかといった部分を県民に説明がないままに計画が公表されますと、ハレーションを起こしてしまって、要らぬ対立構造を生んでしまうのではないかと思うのです。その辺の情報提供あるいは情報公開というのが今まで十分になされていなかったのではないかと思うのですけれども、その辺はいかがかということを今お聞きしたのです。

知事
資源配分の時代は、地域の個別利害のガッチャンコで、大体県全体の形を決めることができたわけです。ここにもこういう施設が欲しい、ここにもこういう施設が欲しいということをあるところは足して2で割るとか、あるところは今回はこっちでやらせてくれ、そのかわり次はそちらにやるからというような個別利害の調整で全体をセットできた。地域、地域とか、分野、分野はそれぞれの個別利害に集中してぜひうちにとか、絶対ここはというような、その集合体として県の意思決定ができていたと思いますが、我慢分配の時代は、今回の病院の仕組みがまさにそうだったわけですが、本当に県全体のことがわかって、そして県全体の視点に立ってじゃないとどこからどこに応援を回そうとか、2次医療圏を越えた応援派遣しようとかの意思決定は本当にオール岩手を視野に入れ、岩手県民としての意思決定でないとそれができない。個別利害のガッチャンコでは全体の意思決定ができない。そういう意思決定の構造が決定的に違うわけです。体育施設についてもそうだと思います。ライフルの競技場が全然なくて困るとか、そういうこともわかった上で、ではここをどうしようかというオール岩手県民としての意思決定をしていかなければならないというところで、そういう意味では今までそういうオール岩手がわかった上で岩手県民としての意思決定をしてもらうというような、それにふさわしい情報の提供ということを県ができないでいたというのはそのとおりだと思います。
ですから、私は知事の仕事は知る事、そしてすべての県民が知事になったつもりで岩手が今どうなっているのか、どこでどういう人が困っているのか、どうすればそれを解決できるのかということを県民みんなが知ることが岩手としてやっていくためのこれからの一番大事なことだと思いますので、その点はこれから反省してしっかりやっていかなければならないと思います。

記者
4月の末には1期目の折り返しを迎えるわけですが、その点で県民との協働というか、情報共有というか、その点はまさに今おっしゃったとおりだと思うのですが、もう一度折り返しに向けて一言お願いしたいと思います。

知事
多事多難な1年を経験し、特に2度目の大きな地震では岩手全体が震度4とか5とかぐらい揺れて、この地震やその後の被害の克服を契機として、県民としての一体感もものすごく高まったと思っています。「がんばろう!岩手」運動やその後の「買うなら岩手のもの」運動でありますとか、また医療問題に関する取り組みですとか、県民運動を強力に展開できる、そういう県民意識の高まりというもの、そして意欲の高まりというものがあるので、それにきちんとこたえられるような情報提供を県もしっかりやって、今、全国都道府県は、その存在意義が問われている時代でもあると思いますが、住民に身近なところは基礎自治体がやり、国益に関するところは国がやるという中で、そういう広域的な情報、方向性、ビジョンを共有しながら、それぞれの主体が自由に、自主的に色々な物事に取り組んでいく。県は、そのセンターの役割を果たさなければならないし、果たしていけると思うので、そういう今の時代にあるべき県の姿というのを岩手できちっとつくって発信できていければよいと思います。

記者
先ほど医療に関して知事は、県民は深い認識を持つようになったというお話をされておりますが、私はまだまだ足りないのではないかと思います。4月から岩手県立病院等の新しい経営計画が始まるわけですが、その辺でいかに県民に、先ほども言った情報提供しながら医療の認識を高めていくかという部分が非常に大きな課題だと思うのですが、4月から計画が始まるということについて、その点含めて一言お願いします。

知事
例えば、勤務医の肉声を聞くというのは本当に難しく、そうそうできることではなかったのです。私もアポなしで行って、忙しい勤務医の人に会えずに帰ってくるとかがありました。そういうときに、勤務医の肉声というのが報道を通じて県民に伝えられて、それはかなりすごいこと、なかなか他の都道府県にはないようなことが岩手で起きていると思っています。
ただ、これは予算特別委員会でも私は申し上げましたけれども、県民一人一人自分に関する危機感はあるわけです。自分の子供が急に熱出したらどうしようとか、若い夫婦、子供が生まれるとき、近くに産婦人科がいない、どうしようとか。そういう危機意識はそれぞれは持っているけれども、共有というものの広がりはこれからの課題なのだと思います。もちろん共有の種はあちこちにあって、地域の皆さんがボランティア的に病院をサポートするという組織や子育て、出産のためのそういう住民の動きがあったりとかはしているのですけれども、それを全県的なものにしていくということが今後の課題だと思っていまして、県民みんなで支える岩手の地域医療推進運動などを通じてそういう体制をきちんとつくっていきたいと思います。

記者
地域説明会について改めてお聞きしたいのですが、知事が議会が終わったらすぐにでもとおっしゃっていたことについて、私はお言葉どおり県議会で決定したらすぐにでもといったイメージを持っていたのですが、先ほどのご説明では医療局長がまず調整してからということで、それだと結局今までいつ行かれるのですかという質問がこの会見でもたびたび出ていると思うのですが、県民の私も含めて見ると、知事が直接地域に出向いて説明することを先送りにしていらっしゃるのではないかというイメージ、地元の住民とひざを詰めて課題を知りたいという姿勢がないのではないかというイメージ与えているような気もするのですが、知事は一刻も早く住民と直接話す、この問題について話し合いたいというお気持ちはあるのでしょうか。

知事
行けばよいとか、形式的に会えばよいとかという問題ではないと思っています。また、それぞれの市町村の協力がないとできないことですので、そこは市町村サイドときちんと場所とか時間とかを地元の皆さんによいように設定してもらってやっていくのがよいのではないかと思っています。

記者
場所や時間が設定されれば、もうすぐにでも行くおつもりだということでよろしいのでしょうか。

知事
ちゃんと段取りしてもらえばすぐ行くということです。

幹事社
ほかに各社から質問があればお願いします。

記者
昨日、民主党の小沢代表の秘書の大久保さんが起訴されました。起訴されたことについてのご所感と、夜の会見で小沢代表ご自身が今後も代表を続けていくという意思を表明されました。そのことについてのご所感をそれぞれお伺いいたします。

知事
起訴についての所感ですが、検察も異例の説明を行ったそうですけれども、そこで色々と記者から質問されて、具体的な内容については公判の中でということで明らかにされておりませんので、どういう趣旨の起訴なのかよくわからない状況です。今朝、色々な新聞、テレビ等を一通り見ましたが、かなり強い批判であるとか、検察に対する批判や疑問が出ており、政治関係の起訴について、今までこれだけの批判や疑問が呈されたケースはなかったのではないかというくらい出ているのが現実ではあるなと思っています。
私も行政の長でもありますし、よくわからないままに安易な検察批判はいたしません。ただ、今、客観的事実として目の前にあるのは、企業側の逮捕された人たちが話したことの中に小沢氏の秘書が違法なことをしたと思わせるようなものがあったので、起訴という手続をとったという事実があるだけです。それだけでは罪にならないのではないかという指摘もあり、無罪になる可能性もかなりあるのだと思います。そういうことが今起きているということです。
それから、民主党の代表を続投するということについてですが、政党の人事、代表をだれにするかということも含めて、それは政党の中で決めていくことだと思います。一方、岩手県人としては、岩手から総理大臣が誕生するというのは本当にすごいことでありますから、晴れてめでたく岩手から総理大臣が誕生するような展開になってくれるのだったらよいなという感想を持っています。

記者
代表の続投については、党内あるいは国民の側からも賛否両論あったと思うのですけれども、総理大臣誕生ということとは別に続投された小沢代表の意思を知事はどのようにお感じになりましたでしょうか。

知事
やはりそれだけ本気で日本にきちんとした近代民主主義というものを確立させなければならない、国民本位の新しい政治をつくっていかなければならないということにそれだけ本気だということ、そしてそれを支持する人たちが全国にたくさんいて、そういう人たちにこたえていかなければならないという非常に強い思い、感極まるくらいの思いを持っているのだと受けとめています。

記者
北朝鮮のミサイルに対し、迎撃ミサイルPAC3の配備の話が出ています。岩手に配備されるという話も出ていますが、県の現在の受け入れの対応について伺います。

知事
こういう防衛問題、対外的な脅威から国民を守るというのは基本的に国の任務でありますので、国において適切な対処をしてもらわなければ困るというのがまず第一でありますし、そのために必要なことは県もしなければならないと思っているのですが、今は国としてどういう対応をするのか、情報収集の段階です。
3月12日に国際海事機関から日本政府に4月4日から8日の間に打ち上げがあるという連絡があったことで、岩手の上空を通るかもしれないというコースが3月12日に発表になり、政府はその日官邸に情報連絡室を設置して、そして総務省消防庁も同日に情報連絡室を設置しました。そして13日になって消防庁から各県に市町村や関係機関等との連絡体制を確保し、適切な対応を図るよう連絡があったというところです。たしか12日はテレビでもそういう発表があったと思うのですが、消防庁から岩手県に連絡が来る前に既に県の職員には、これは岩手上空を通過するし、過去も1度通過したことがあるのだから、ここはちゃんと防衛省にそれなりの対応を考えてもらわなければ困るし、また防衛省としてどういうことをするのか知っておく必要があるということで、政府と連絡とり合うようにと国から言われる前に私のから指示は出していたところでありまして、ちょうど13日に相まって連絡がとれたというところです。
自衛隊法82条の2でミサイルへの対応はされるのですけれども、1項の閣議決定をきちっとやって、わかりやすい形でPAC3を配備するというのがよいのではないかと思っています。3項で対応することもあるわけですけれども、実際にパトリオットがどういうふうに来るのか、どこに置かれるのかというのはわからないのですけれども、公開できる情報についてはできるだけ公開しながら、岩手においても県民の理解を得ながら防衛の体制はとられるべきではないかと思っています。

記者
現在、県として市町村と連絡をとり合ったりとか、具体的に指示したりとか、会議の日程を決めたりだとかということはしていますか。

知事
今は何かあればすぐ連絡とり合える体制をとっているところで、県も土日も含めて24時間危機管理警戒体制を13日から既にもうとっているところです。

記者
小沢代表の関係なのですけれども、各紙を見ても続投することに対しては批判的、一度ここで辞任してというような意見も出たりはしているようなのです。そういう中で小沢さんが代表を続けることによって次期衆院選にどのような影響が出てくるとお考えなのかというのが1点と、もう一つは、例えば今後の世論調査などで代表を辞任すべきでなかったかという意見が大勢を占めた場合には、やはり辞任すべきとお考えになるのか、その2点についてお聞かせください。

知事
事実関係がはっきりしていない中で、そういう雰囲気とかムードなどで進退を決するというのはいかがなものかなと思います。それこそ党利党略的な感じがします。そもそも今回のことは、企業側が便宜でも図ってもらえればと思って寄附したと言っているということが報道されているのですけれども、一方で、政治団体を通じて政治家の政治資金団体に、政治資金規正法上、合法な正規の寄附をしている。それは何の見返りも求めることができない、そんな便宜供与なんかしたら違法になってしまう、何の見返りもない正規の政治献金として寄附したという形をとっているわけなので、そういうことがわからないで、ただただ見返りを求めて寄附したということは考えられないのです。
例えば、県が随意契約で事業を発注するときなどは、仕事を受ける側の方は、これを機会に県と永続的な取引関係を構築したいと思うのかもしれないし、そういう発言をするのかもしれないのですけれども、でもそれは県からすれば、これはあくまで単年度の随意契約であって、来年はまた違う話だという制度ですから、たとえ企業側が色々な雑念を抱いていたとしても、それで直ちに違法とはならない。人間というのは、常に雑念みたいなものは抱く存在ですけれども、そういう中で意思を確定して安定した取引とか、色々な約束などをセットしていくに当たっては、きちんと法律に基づいた形式を踏むことによって、その契約に拘束される。もし政治団体がきちんとした規約もあって、趣旨、目的にかなうような寄附をしたという形を最終的に選んでいるのであれば、それで直ちに違法になるのかというのは疑わしいわけです。
小沢一郎さんという政治家の小沢イズムの核心は、自由を高めていくところにあるのではないかと私は思っています。若い政治家たちに特定の有力者や特定の企業に依存するような体制はつくるな。普通の個人から成る後援会組織を、草の根の政治基盤をつくって活動していけば自由な政治活動ができる。特定の有力者や企業に依存すると自由な活動ができなくなるからだめだということをかなり徹底して指導するし、本人もいざ自民党を出てしまうとか、与党の連立から離脱、与党から野党になってしまうとか、日本のためにはそれが必要という時に自由な政治活動ができるように、見返りを求められるような献金は受けないというスタンスをかなり徹底してやっていると私は見ているのです。もちろん違法なことはしないし、自分の政治活動の自由を損なうような形での献金の受け方はしないということを徹底している。それは、自由全体を伸ばそうということで改革にもつながりますけれども、寄附する側の自由も最大限認めようとすれば、来るものは拒まず的になり、そういう対応が誤解を招いたり、あるいは相手方に雑念がわいたりするのかもしれません。そういう自由な個人や企業、団体の自由な政治参加があって、政治家もしがらみなく自由に活動し、そして日本全体をより自由な、民主的な国にしていこうということを一貫して何十年もやっていて、それがもう少しで政権交代につながって日本全体が変わるというときに、安易に代表を辞めたほうがよいのではないかとはなかなか言えないという気がしています。

記者
代表を辞めたほうがよいと安易には言えないということですけれども、今回捜査が入ったことによって多くの国民、県民に小沢さんに対する不信感とか疑念というのが生じたと思うのです。それは次期の衆院選でどのような影響が出るとお考えでしょうか。

知事
ある元検察官だった学者の「これはもう7月前にも、すぐにも判決を出しておかなければだめなのではないか」という発言が新聞に載っていましたけれども、選挙に影響がないような形で早く決着をつけるということであれば、選挙に影響がないと思います。何が真実か、国民側がわからないまま選挙に突入するというのは、最悪なのかなという感じがします。早い段階で、特に無罪放免ということになれば、衆院選への影響というのはそういう事実を踏まえた影響になっていくのだと思います。

記者
今の関係なのですけれども、小沢民主党代表が昨日の会見で、企業献金の全廃の可能性について言及されていました。民主党以外の野党、社民党、共産党などは企業団体献金の全廃を訴えているのですけれども、知事は政治家としては企業献金あるいは企業団体献金の廃止についてはどのようにお考えでしょうか。

知事
予算特別委員会でも本会議の答弁でも申し上げたのですけれども、自由な政治参加と行政の中立をいかに確保するかという兼ね合いだと思います。そういう意味で、行政の中立、あっせん、口利きで入札が不公平になったりとか、色々な政策決定がお金で動かされるようになったりということがないようにすることを厳しく優先させれば、企業団体献金の全面廃止というのは、政策判断であり得ることだと思います。私も衆議院議員時代は、個人的にかなり積極的にそういう政治参加的な寄附もお願いして歩いたりしていたわけですけれども、行政の長になってからは、もちろん行政の中立公正のほうにウエートを置いたほうがよいということで、今は寄附をお願いする活動はしていませんし、パーティーも開いていないという状況です。そういう姿勢からすれば、政府に入っている与党には企業団体献金は全面禁止で、一方、きちんと政権交代可能な二大政党制を支えるために野党を強くしなければならないという趣旨で、野党の方には企業団体の献金を認めるとか、そういうバランスもあり得るのだと思います。

記者
重ねて率直にお伺いしますが、知事は民主党政権の誕生を望むのか、小沢政権の誕生を望むのか、選択するとすればどちらを望みますか。

知事
岩手県人としては、岩手の人が総理大臣になるということを非常に強く望むわけでありますけれども、達増個人として今までに受けた教育とか、色々学んだこととか、自分なりに考えたことから申しますと、政権交代が日本で起きたほうがよいと考えます。また、野党でもやっていける人たちにこそ本当に政権担当能力があると言えるのではないかと思っています。つまり野党でいるということは、本当にそういうあっせん、口利きなどできる権限がないけれども、しっかり選挙に受かるような人たちであり、そのような人たちが与党になって政府をつくるということを日本で一度やったほうがよいという意味で、民主党が政権をとることを期待しています。

記者
重ねてなのですけれども、小沢代表が続投してこのまま選挙に突入して、民主党が単独政権をとれるという確信はありますか。

知事
今の政策パッケージや政治スタンスであれば、十分政権を担えると思います。
ちょっとアカデミックな解説になりますけれども、二大政党制というのは、中長期的にはどちらも政権を担えるというようにしておかないと政権選択ということがあり得なくなってしまうわけです。大きい政党が2つあるけれども、そのうち一方には政権担当能力はないという状態だと、これは政権交代可能な二大政党制ではないわけです。それはもう一党独裁を永続化させるという、民主主義が想定していない、近代憲法が想定してない体制になってしまうので、そういう意味では至極当たり前のことなのですけれども、民主主義の世の中には、政権を担える政党が複数なければだめなのです。ですから、何党に政権担当能力があるかないかということが問題になるようではまだまだ未開の国といいますか、近代民主主義国ではないのでありまして、今この瞬間はどちらがよいかということこそが問われるべきだし、日本はそこまでは成熟していると思います。自民党、民主党それぞれ政権を担える状態にはあり、この瞬間どちらがよいかを選べるような体制にはなっていると思います。

記者
県警の不正経理問題についてなのですけれども、県がいち早く全庁調査をして、現在職員からの負担を求める手続に入っていると思うのですが、その矢先に新たな国関連の費用での不正経理疑惑が明らかになりました。せっかく解決に向けて進んでいる段階での新たな問題発覚ということで、かなり県民の厳しい目があると思うのですが、知事はどういうふうにとらえてらっしゃいますか。

知事
警察本部においては不適切な事務処理に関して関係職員の処分と職員負担を年度内に行うということが困難になったということは私も聞いています。調査をさらに徹底したいということで、途中なのでなかなか県民に対して満足できるような情報開示になっていないということなのだと思いますけれども、そこは調査をしなければ情報は出てこないということだと思いますので、きちんと調査をして県民の信頼にこたえられるよう、私としてもよく見守っていきたいと思っています。

記者
3月に入ってから高レベル放射性廃棄物の最終処分について全国あるいは世界で色々な動きが出てきています。3月に入ってからアメリカで、ネバダ州で処分場の中止の動きであるとか、日本では福島で、ある自治体が手を挙げようかなということで、それに対して福島県知事が反対ですということを言っていたのですが、考えてみたら知事が就任してから2年間こういった話は岩手県内ではなかったのですけれども、もし仮に県内市町村からこういった話で名乗り出るということがあった場合は、県としてはどのような対応というか、スタンスを持つ考えなのか、県としてもこういった処分場を受け入れる考えがあるのかというのをお聞きしたいと思います。

知事
まず、高レベル放射性廃棄物の最終処分場を受け入れる考えはありませんし、それからそれに関連する調査を受け入れる考えもありません。福島県の楢葉町は、原子力発電所が既に立地している町の立場から最終処分場の受け入れに対する一般論を述べたということであって、そこは原子力発電所の立地がない岩手の市町村とは立場が違うのだと考えています。市町村の関係についてはそういうことです。

記者
繰り返しの確認になりますけれども、もし仮に岩手県内の市町村のどこかがこれから将来的に手を挙げたとしても、県としては今のところ受け入れるという考えは、調査も含めてないというようなことでよろしいのでしょうか。

知事
岩手としては最終処分場を受け入れる考えはありませんし、またこれに関連する調査を受け入れる考えもありません。

記者
昨日の民主党小沢代表の続投表明についてなのですけれども、会見の中で小沢代表が涙ぐんでいらっしゃったと思うのですが、そのことについて知事がどのように思われたか、なぜそういうことになったのか、どう考えていらっしゃるかをお聞かせください。

知事
論語に十有五にして学に志す、三十にして立つ、四十にして惑わず、五十にして天命を知る、六十にして耳従うというのがあります。六十歳ぐらいになると人の言うことに耳を傾けるようになる。小沢一郎さんは、六十歳を過ぎてからかなり周りの人たちの声に耳を傾けるようになってきていると見ていたのですけれども、論語では、七十歳は心の欲するままに行動してのりを越えずというようなことであり、そういう境地に達しつつあるのかなと見ていました。

広聴広報課
それでは、これをもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は4月1日(水曜日)の予定です。

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