平成19年5月21日の記者会見記録
ID番号 N11914 更新日 平成26年1月16日
開催日時:平成19年5月21日10時31分~11時19分
広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
最初に知事から発表があります。
それでは、知事、お願いします。
知事
平成19年度県勢功労者の決定について発表いたします。
県勢の発展に多大な功労があり、その実績が極めて顕著であって、県民の模範となる方々を県勢功労者として昭和55年度から顕彰しております。今年度の県勢功労者については、先に県内各界の代表者の方々で構成する県勢功労者顕彰選考委員会にお諮りした上で、このほど決定をいたしました。
本年度の顕彰は、まず岩手県商工会連合会会長等として、本県商工業の振興に貢献された小野寺龍已様、そして岩手県農業共済組合連合会理事等として、本県農業の振興に貢献された小澤信吾様のお二人といたしました。詳しくはお手元の資料を参照していただきたいと思います。なお、表彰式は5月28日、月曜日、午前10時半から知事公館において行います。
広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
幹事社さん、よろしくお願いいたします。
幹事社
ただいまの発表事項について、各社から質問があればお願いいたします。
記者
選考委員会の開催日とメンバーを教えてください。
知事
選考委員会の開催は、今年の5月14日の月曜日、午後3時です。
平成19年度の県勢功労者顕彰選考委員会委員は、五十音順に言いますと、石川育成岩手県医師会会長、稲葉暉岩手県町村会会長、小笠原一行岩手県農業協同組合中央会会長、小野田冨男岩手県森林・林業会議理事長、菅三郎岩手県社会福祉協議会会長、斎藤育夫岩手県商工会議所連合会会長、谷藤裕明岩手県市長会会長、平山健一岩手大学学長、三浦宏岩手日報社社長、そして渡辺幸貫岩手県議会議長の皆様です。
幹事社
本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がありませんので、各社から質問があればお願いいたします。
記者
岩手競馬について2点伺います。
第1期の期間がまだ4日ほど残っておりますが、昨日の時点で売り上げが計画より5.4%下回っているという現状に対する認識を最初に伺います。次に、今後に向けてコスト削減などいろいろとお話がありますが、例えば目標を下方修正するといった報道もありますし、具体的にいつまでにどのような対応策を考えているのかということを伺います。
知事
売り上げが現在、計画を下回っているというのはそのとおりです。そして、単年度で赤字になる場合には、その年度限りで競馬を廃止する、競馬の存続のためには均衡ないし黒字が条件というルールが定められておりますので、競馬組合管理者、また構成団体の長の知事としては黒字を出せるように今後対応してまいりたいと思っております。
今後の対応の仕方については、こういった場合に概ね2ヶ月ごとに計画を見直していく岩手県競馬組合運営協議会が設置されていますので、そこでコストの削減、また売り上げを増やす工夫等、調整を図っていくこととなります。また、並行して岩手県競馬組合監視委員会を設け、過去のさまざまな検証も行いながら、競馬組合構成団体に対して助言を行うこととしていますので、こちらの方にもいろいろ助言をいただきながら推進していくということになります。
記者
先週の全国知事会について伺います。
いろいろなことを述べる機会があったのかなかったのか定かではないのですが、前の方々がいわゆる改革派と言われた人たちなのかよくわからないのですが、その人たちがいろいろと政府に対して申してきたところがあります。ところが、昔の知事会と違って今の知事会というのはそういう力が全く落ちたのではないかというような指摘があるのです。達増知事はそういう全国知事会に対して期待しているのか、期待していないのか。期待しているとすれば何を期待するのか、その点を教えてください。
知事
住民本位という観点からすれば必ずしも力は落ちてないと思います。と言いますのは、三位一体改革をめぐる知事会、いろいろな動き、いろいろな提言もあったわけですけれども、これは先週の全国知事会に出て、皆様の意見を伺っていてもそうだったのですが、やはりあれはうまくなかったなという反省があると思います。つまり、声は高かったのですけれども、結局住民にとってマイナスの決定を国にされてしまったのではないかという反省があると思います。その反省に立って、先週開かれた全国知事会でも住民の利益というものを真剣に考えながら地域間の対立のようなことも恐れずに、非常に率直な意見交換が行われて、今まで以上に時間を延長して、また事務局から提案された文書に対しても修正案が提出され、それを調整した最終案が出るといった非常にダイナミックなプロセスを経て意思統一が図られました。これは非常に頼もしい動きだと思いますので、私も積極的に参加していきたいと思います。
記者
競馬組合の情報公開に対する姿勢について伺います。
現在の組合の再建をどのように実行していくかという道筋を細かく書いた計画が、トップページから今年度に入って外されています。過去のトピックというところからずっとたどって行けば何とかたどりつけるのですが、恐らく一般の方がトップページをご覧になってもとても目に触れるような場所にはないと思います。県のホームページにも詳しい説明は競馬組合のトップページにと書いてあるのですが、結局そこからたどっても見られない。
税金を投入して存続している団体の姿勢として、これについてどう思われるのか、管理者というお立場からお答え願います。
知事
競馬組合にはよくやってもらっていると思っています。今ご指摘のあったことは、基本的にはホームページのデザイン上の問題であって、情報公開の姿勢が後退しているということは一切ないと認識しております。
記者
競馬について伺いますが、今年度の売り上げ計画に対してその実績が伴っていないことについて、その理由と背景をどのようにとらえているのかお考えを説明願います。
知事
これは知事就任前から指摘していたことでありますけれども、売り上げ見通し計画が甘かったということがあると思います。背景としてはコスト削減への抵抗感があったことも売り上げをやや多目に見積もっていたことにつながっているかもしれませんけれども、さらに大きい背景として、今私が感じているのは、昨年度の競馬問題の議論は存廃問題という、存続か廃止かという形で県民世論を二分していくような、県民を分断していくような形で議論が進んだことだと思います。しかし、よく考えてみると、要は黒字で存続させればよいということであって、私も知事選挙の最中に多くの人から、「達増さん、競馬は廃止にしてくださいね」、「競馬は絶対廃止ですよ」という言葉をかけられていたのですが、その人に対して、「じゃ、もし黒字が可能であればどうですか」と、「黒字にした結果、そのお金を県のためにも、市のためにも使えるとしたらどうですか」と聞いたところ、黒字が出るなら存続してよいという答えでした。大概廃止した方がよいと言う人は、「赤字だから廃止せよ」、「どうせ赤字に決まっているから廃止せよ」ということであって、私が接した人たちは黒字であるなら存続した方がよいという考えでした。ですから、県民を統合していく中で、どうしたら黒字で存続できるかということを関係者はもちろんですけれども、関係者以外の県民みんなで取り組んでいくことができればより着実に前に進んでいけるのではないかと考えておりまして、県民が分断されるような中でいろいろ議論が進んだ結果として計画にも少しうまくいかないところがあったのかなと推察しています。
記者
私がお聞きしたかったのは330億税金投入して存続決まり、新しくスタートを切ったわけなのですが、それでもなお計画値に対して実績が5.4%下回っているという厳しい状況にあります。この理由と背景についていかがお考えですかということです。
知事
売り上げの額が少なかったことについては経済、社会的な事情もあると思います。もちろん売り上げを増やす工夫の余地、努力の余地はまだまだあると思いますけれども、売り上げ増の努力不足、関係者の努力不足で売り上げが下がっているというよりは経済、社会的要因の方が強いのではないかという印象をもっております。ですから、問題はコストの部分なのだと思います。売り上げに見合ったコスト削減をもう一段やっていかなければならないということだと思います。
記者
先週行われた各部局の業務説明とか、あるいは沿岸の市町村長との意見交換を通じて、喫緊の県政課題にはどのようなものがあると考えていますか。
知事
やはり県民所得の低迷というのが大きな課題です。また、医師不足問題や医療体制の問題も喫緊の課題です。その二つが大きいと思っています。
記者
岩手競馬についてお聞きしますが、先ほどホームページによる情報公開という質問もありましたが、売り上げの計画比の公開についても今年度は2週間に1回と、前年度よりも少ない回数に減っています。組合のそういう売り上げの示し方、また新たな売り上げ増加策、コスト削減策などの示し方、県民に対する情報公開を今後どのように進めていくかということを伺います。
知事
状況については問い合わせがあれば随時対応していたことから、昨年度に比べ今年度情報公開の姿勢が後退したということではないと理解しています。先ほど申し上げましたように、むしろ県民統合ということを図りながらこの問題の解決を図っていくためにも関係者のみならず、すべての県民との情報共有を図っていくことが大事なので、そのホームページのつくり方も含めて工夫の余地はまだまだあると思っています。
記者
先ほどの競馬の売り上げの話なのですけれども、運営協議会等で見直をしていくというお話がありました。1期が5月の終わりで、2期が7月の終わりだったと思いますが、それぞれその時期に運営協議会を開催するのですけれども、1期に関しては売り上げが計画を下回っています。2期以降の修正計画はいつごろまでにつくるのですか。
知事
関係者との協議の中で決まっていきます。この競馬組合運営協議会は競馬組合、そして県と2市以外にも競馬事業にかかわる関係団体の皆様にも参加していただいて協議していく仕組みになっていますので、まずは目標に対してこれだけのパーセント売り上げが下回っているという事実を共有するところから始まります。押しつけていく形ではなく、関係者、さらには県民と共に悩み、考え、そしてその中で、例えば早い段階で思い切った変更をしていこうとか、あるいは今の段階では売り上げに達しない数字に合わせた対応で、さらなる削減については様子を見ながらとか、そこは最終的に黒字を出すやり方というのはいろいろな方法があるのだと思います。それをできるだけ関係者合意の上で、県民も納得できる形で進めていくということになると思います。
記者
5月の終わりの協議会で、県なり、管理者として修正計画を出すということはないのですか。
知事
修正計画の具体的な出し方については、競馬組合議会に最終的には諮られるわけですけれども、その手続的な段取りについてはルールに従って行うことになります。競馬組合議会の決定が必要なことについては、競馬組合議会の決定で対応し、関係者の努力や工夫で対応できるところについては随時実行していくことになると思います。
記者
確認ですが、先ほどのお答えで、思い切って修正をするか、売り上げ減収に見合ったコスト削減を行うとか、いろいろな方法があるとおっしゃったのですが、そうすると修正ありきではなくて、コスト削減で対応するということもあり得るということですか。
知事
計画を修正しただけでは黒字にならないわけでありまして、黒字を実現するには売り上げを伸ばすか、コストを削減するか、あるいはその両方を進めるかということだと思います。ですから、決断を迫られているのはその部分でありまして、売り上げを伸ばすということについては、こういうことをすれば幾ら伸びるというのは不確定なわけです。経済、社会事情あるいはミクロに見れば投票する人一人一人のその瞬間の行動によって売り上げというのは決まるわけなので、絶対黒字にするのだ、廃止にしないという趣旨からすれば、より確実に数字を動かせるコスト削減という対応である程度しっかりしたものをつくらないとうまくいかないという認識のもとで作業が進むと思います。
記者
追加でコスト削減をしていかなければいけないと思いますが、例えば6月中とか、早い段階でまとめられるのですか。
知事
そこを関係者で話し合いながら、また県民の皆さんにも考えていただきながら多くの関係者が納得した上で、そして着実に進めていく形で進めていくということです。
記者
先週の沿岸の市町村長との会合について伺いますが、知事が公約に掲げていた広域地域振興について沿岸南部と北部で地域性が違うとかいろんな意見が出たようなのですが、その首長さんのご意見についてどのようにお考えですか。
知事
それぞれ住民の皆様の思いを反映させながら真剣なご意見、また前向きなご意見をいただくことができたと思います。沿岸広域振興のあり方というのは、実は県の方でもかちっとした制度としてはまだ検討段階でありまして、これもまた先ほどの競馬問題と同様に、どちらかが提案者として一方的に提案して、提案を受けた側と何か交渉事で進めていくというよりは、対等なパートナーとして一緒に悩み、一緒に考え、一緒につくっていくという姿勢で進んでいくのが筋と思っています。その第一歩としては成功だったと思います。
記者
大連市訪問について2点伺いますが、1点目は訪問によってどのような成果を上げたいかということと、もう一点は人事面で交流する協定を結ばれる予定だと思いますが、人事交流の効果というのはどういったところを期待されているのかお願いします。
知事
大連は、今回は県民が草の根的に大連を訪問することと知事がトップセールス的に、あるいは地方外交のような形で訪問するというのがセットでありまして、そういう県民的な広がりを背景としながら、県として大連との関係発展に強くコミットするのだという、そういう意思をはっきり示し、相手に伝えることが大事だと思っております。人事交流については、やはりグローバル化の中で岩手県民の所得を一定引き上げていくためには、世界と直接つながっていくところをつくっていかなければならないと思っています。世界と直接つながっていく中でも、やはり日本に近接する東アジア諸国との関係というのは大きなチャンスだと思っていますし、大連がいわゆるゲートウエーとして中国全体への入り口、東アジア全体への入り口、大連という市はそういう役割を果たせるところだとも思っていますので、そういうところから岩手が、これは中長期的にもそうですけれども、今、目の前の危機を突破していくためにも、そういうところから世界に出ていける、世界を見れる人材というのを岩手として増やしていく、また当該人事交流のその人だけではなく、その人の影響といいますか、県庁全体にそうしたマインド(意識)とかビヘイビア(行動)とかが広がっていくことを期待しています。
記者
4大広域振興圏の件について伺います。
先ほどのお答えの中で、今後市町村と共に一緒に悩み、進めていくというお考えを示されていました。つまり、基本的には今まで訴えられてきたことを進めていくというお考えだと思いますが、ただ一方で反対意見が根強い場合にはこれを見直す、あるいは撤回するというお考えはあるのでしょうか。
知事
対外的に外から見たときに、岩手沿岸は一つというところがあると思います。四つの広域振興圏をビジネスチャンスの拡大や、また県民経済、県民生活の新しい可能性を広げていくためのフロンティアとして位置づけるということについては変える必要はないと思っています。
記者
これから1期目4年間で4大広域振興圏づくりを進めていくにあたり、どういったタイムスパンで何を進めていくのかという部分がまだ具体的に語られていないと思うのですが、その辺を県民にわかりやすく説明してください。
知事
平成22年の私の任期が終わるころまでの基本計画が今進行しているわけです。その中で、過去4年間増田知事の40の政策というスローガンのもと、その基本計画を推進していくための4年間の集中的な政策プランがつくられたわけでありますけれども、その今後4年間のプランについて、秋の県議会には出せるように作業をスタートしたところであります。したがって、任期4年の中でまとまった成果を出したいと思っていますし、それが今県で持っている長期計画を推進していくことにも資すると思っていますので、まず具体的なプランのレベルとして示していけるのは、今年の秋の議会と思っています。
記者
3月の様々な議論の末に存続が決まって、そこから1カ月と経たないうちに、達成度、計画比を公表する間隔が長くなってしまうとか、その大もとになるグランドデザインの再建計画の部分がホームページのトップページから外されてしまうというのは、前進ではないことに間違いないと思います。知事は先ほど競馬組合はよく頑張っている、後退しているとは一切思わないというお話をしていましたが、どういう根拠で、どういうふうに努力している部分をもって後退していないと判断されているのか伺います。
知事
まず、県議会の半分が反対し一時は廃止と決まり、そして修正案が議員提案となって、それも過半数ぎりぎりで成立しました。そのプロセスは、県民意思の統合というところから見て、うまくいかなかったのではないかなと私は思っています。ですから、そういう中で今の新しい改革計画というのはあるわけですけれども、それが3月から4月、5月とたった時点で、その売り上げ計画に現実として達していないということは、もっと県民の意思を統合していく、そういう中で物を決めたり、進めたりしなければならないということであり、これは一つの大きな教訓だと思います。
私は、知事に就任して3週間たちまして、5月1日の初登庁の日から常勤の副管理者、事務局長に会って競馬の問題についてやりとりをし、そこから管理者として私も仕事を始め、そして昨日も水沢競馬場に赴きまして、管理者としての訓示をしたところであります。そして、昨日の訓示の中でも申し上げましたとおり、知事に就任してから今日まで私は一日たりとも競馬問題のことを考えなかった日はありません。そういう私の覚悟を競馬組合の人たちはしっかり受けとめています。そういう実感から、先ほどのお答えを申し上げたところです。
記者
売り上げ等については、今の状況とかもありますし、地方競馬の厳しい状況もあると思うので、それについてどうこうと言うつもりはないのですが、組合の気持ちを受け取ったということなのですけれども、例えばこういう部分では積極的に情報を出そうという姿勢を示しているとか、例えば今後こういうふうにして、県民の人がホームページ等を見たときに計画の状況がわかるようなアイデアを考えているとか、そういう具体案の部分で何かありませんでしょうか。
知事
そこは管理者が一々言うよりも実際見ていていただきたいと思います。
記者
それでは、具体案の説明を受けたから情報公開が進んでいるというよりも、熱意とか気持ちの部分で知事の気持ちをよくわかってくれているという部分で後退していないとお考えになっているという理解でよいのでしょうか。
知事
管理者に対する質問に対し、管理者としてお答えして、そういう答えになりました。
記者
先ほど知事は喫緊の課題として医師不足問題を挙げていたのですけれども、今、胆沢病院の産婦人科医の問題とか、大船渡病院、宮古病院での循環器の医師不足の問題などありますけれども、県内での医師不足が深刻化する中で、医師不足問題と地域医療確保に対しての改めてのご所見と、昨年9月に医師確保対策室を設置して、医師確保に県は取り組んでいますが、新たに取り組もうとしている具体策などあれば教えてください。
知事
全国知事会に出席するため東京に行った先週の金曜日に、菅総務大臣にも面会しまして、医師不足、医療体制の問題について、これは国としても何とかしてもらわなければならないということを伝えました。それに対して、政府与党でも今いろいろ議論しているところで、何かはするというような答えがありました。非常に危機的状況といいますか、深刻な問題だと思います。しかも、簡単に解決する問題でもないというところがありまして、定期的な人事異動みたいなことで対応できることでもないですし、急に採用を増やすみたいなことで対応できることでもありません。いろいろ調べてみれば調べてみるほど本当に具体策が立てにくい、即効性のある施策をとるのが非常に難しい問題だということを痛感しています。
そういう中で、当面の応急処置的なこととすれば県立病院の医師配置の見直しといいますか、整理を図るということをとりあえずしなければならないと思っています。根本には医療や医師問題に対する認識不足の問題というのが、これは私にも今までもあって、今もあるのだと思いますし、また国の側にも大きく、今の政府にも大きくあります。国全体として医師は不足していないという見解が今でも生きていますけれども、本来であれば面積の広い地域、人口密度の低い地域はそうでないところよりも人口当たりの医師数が多くなければならないはずなのです。急患が駆け込むということを考えれば、住んでいる場所から近いところに医療施設がないとダメなわけで、人口密度の高い都会であれば少なくて済む医師数が、人口密度の低い地方であればこそ多く必要であるということがあるはずなのですけれども、そうした理屈はいまだに国の行政のベースにはなっていないわけです。
もう一つ、私が最近気づきましたのは、岩手の医師数そのものは増えているのです。医師数そのものは増えているのですけれども、医療の現場は細分化といいますか、科目が細かく分かれてきているので、昔であれば診療所に何でも診れるお医者さんが1人いて、内科だったら何でも診るし、外科も診る、目や耳も診るとかということが昔はあったのではないかと思うのですけれども、今は同じ内科でも呼吸器と消化器は、これはもう違う人、少なくともそこに2人必要とか、同じ消化器でも食道、胃、それぞれによって専門分化が進んできている。また、医療の高度化や医療安全に対する県民意識の高まりもある。ですから、そういった時代に合わせた医療をしていくためには、本当は医師数というのはどんどん増やしていかないと対応できないはずなのに、そういったことも前提になっていないわけです。そういったところから考えていくと、医療に関する人的、物的資源、またそこに必要な予算というのは、どこまで必要なのかということも、これは真剣に考えなければならないのだと思います。本当に最先端の医療を受けるためには外国に行かなければならない、そういう外国に行かなければならないような医療を本当に津々浦々まで徹底して広げていこうとすれば莫大な人的資源、物的資源、お金がかかるのだと思います。そういった中で、医療に関する科学技術の発達という軸とはまた別なところで健康とか幸せとかを実現していく、そういう考え方を自治の現場の中からつくっていく必要があると思います。そういう意味では、抜本的な医療改革ですね、本当の医療改革、金目の足りなくなってきたのをどう調整するかとか、医師不足、人の問題、そして医療体制、施設の問題、それら全体を包み込んで、さらに先ほど言ったような健康観、幸福観とかのところまで視野を広げた抜本的で本質的な医療改革というものを、これは待っていても国からおりてくるようなことではないので、地域に根差した自治の現場からこそそういうのをつくっていかなければならないなということを今痛感しています。そしてまた、迂遠なようではありますけれども、そういう本当に抜本的で、本質的な自治の現場からの医療改革というのに見通しがついていくようでないと、今目の前の医師不足問題、産婦人科医師不足問題ということにも本質的な対応はできないので、話が戻りますが、とりあえずは応急処置的なことでやりくりしていくしかないのですけれども、安心、安全を確保するために、県としてもより本質的で、抜本的な改革への取り組みを進めていきたいと思います。
記者
先週の沿岸の首長さんとのお話し合いの中で、沿岸部についてはアジアだというふうに位置づけているというふうにおっしゃって、ASEANの話もお出しになっているのですけれども、そのアジアの意味合いというのですか、ASEANとか、そういった発想というのはなかなか住民の人たちに浸透できるかどうか微妙なところはあると思うのですが、どのようにご説明していくのかということを教えてください。
知事
一回聞いただけでは「えっ」とびっくりして、なかなかすとんと落ちないと思います。ですから、アジアに例えるというのは一つの切り口でありまして、ほかにもいろんなやり方で沿岸という広域の可能性というのを一緒に考えていきたいと思います。
広聴広報課
それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。
次の定例記者会見は5月28日(月曜日)の予定です。
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