平成19年5月28日の記者会見記録
ID番号 N11913 更新日 平成26年1月16日
開催日時:平成19年5月28日9時11分~9時38分
広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
本日は知事からの発表事項はございませんので、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
それでは、幹事社さん、よろしくお願いいたします。
幹事社
本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がありませんので、各社から質問があればお願いいたします。
記者
大連市を訪問するにあたり、特に課題と位置づけた県産品の輸出に向けての成果や手ごたえについて伺います。
次に、米の輸出に向けて米どころといわれる各県が中国への輸出をねらっている中で、岩手県の有利な点、不利な点も含めて今後どのような課題をクリアして輸出に向けて進めていきたいと考えているのか伺います。
知事
大変大きな手ごたえがありました。大連市の幹部、そして大連市民の懐に飛び込んでいくような訪問にしようと思って行ったのですけれども、うまく飛び込めたと思います。
岩手からの農林水産物の輸出について事前に県庁内で色々打ち合わせした時には、最初の訪問だからぎらついてもどうかなということも議論して、そこは雰囲気を見てからという感じで大連に行ったのですけれども、非常によい雰囲気だったので、最初から強くお米のことも具体的にアピールをし、お願いをしてきました。
そして、岩手のお米は、特に県南産ひとめぼれという県南を中心に生産されているひとめぼれは、食味検査で新潟の魚沼産コシヒカリと同じ食味、そして魚沼産以外の新潟産コシヒカリよりは高い食味といういう数値を出しているわけです。ただ、そのことがあまり知られていないので、値段は魚沼産以外の新潟産コシヒカリより県南中心に生産されたひとめぼれが安いという現状ですので、その知名度の低さは課題なのですが、逆にそのことで安くなっていることを会う人ごとにアピールをしてきました。ちょうど大連に行く日の農業新聞の記事に出たのですけれども、新潟産コシヒカリ、宮城産ひとめぼれが中国の輸入第1号になるのではないかという話もあったので、新潟産コシヒカリよりもうまい、宮城産ひとめぼれと同じくらい、あるいはそれよりうまいと、でもそれぞれより安いので、岩手のお米を買うとお得ですよということをアピールしてきました。これは、みんなそういうメリット、デメリットということについては、なるほど、なるほどというように先方は言って、大連市幹部の中には大連が日本から米を輸入するなら、まず岩手の米にしたいと言う幹部もいました。
記者
今日から予算要求の知事説明が始まり、6月補正予算の編成も大詰めに近づいていきますが、改めて予算規模の考え方など編成の方針と、予算に反映させたい重点施策を教えてください。
知事
これから県南、県央の市町村長さんたちにも会って話をすることとしており、金額など具体的な話はもう少し先にならないと決められないと思っています。選挙のマニフェストの中で訴えた新地域主義、岩手四分の計の考え方やソフトパワー戦略、岩手の文化や心を力にしていくという方向性をどのように現実の県政の中で予算として具体化していくかということを、市町村長さんはじめ地域の声、現場の声を聞きながら具体化していきたいと思いますので、まだこれからスタートというところです。
記者
先ほどの米の輸出について、現地でのさまざまなアピールをしてきたというお話でしたが、今後輸出に向けてどのように具体的に取り組んでいくのか伺います。
知事
今後は、中国側の色々な許認可とか、貿易関係部局との調整も必要なようですし、そういったところがどのように進んでいくのかとか、あるいは日本側、岩手県側としての輸出の体制をどのようにつくっていくかとか、事務的に詰めていく作業だと思います。
記者
知事に就任して間もなく1カ月を迎えます。これまでに各部局の業務説明や、県北・沿岸地域の市町村長と意見交換したり、あるいは中国に出かけたりしています。大体の県政全般を把握なさったと思いますが、6月補正予算に向けて一番取り組みたいところというのは具体的にどういう部分なのでしょうか。
知事
選挙の時にも訴えていた新しい地域主義で地域の活性化ということと、岩手の心、岩手の文化を力に変えるソフトパワー戦略という2大戦略をどのように具体化していくかだと思っています。
記者
自分としてはこういう部分を進めたいのだという、もう少し具体的なお考えはありませんか。
知事
そこは個人的な好き嫌いでやる話ではなく、地域の実情を踏まえて決めていくことだと思うので、もう少し現場の声を聞いたり、担当の意見を聞いたりしながら決めていきたいと思います。
記者
知事の掲げる2大戦略の一つの地域の活性化について伺います。色々な地域コミュニティーなどを重視されるようなことを選挙中もお話ししていたように記憶しているのですが、これまで県が行ってきた市町村への権限移譲と、そういった県がある意味直接関わるような地域活性化とどのようにバランスをとっていくのでしょうか。ある意味、県が活性化策をまた改めて取り組むとなると、市町村が行うべき仕事を県が行うというふうにとられかねないと思います。その点についてはどのようにお考えですか。
知事
将来的には、市町村が取り組むことに県は口もお金も出さないということになってくるのだと思います。ですから、市町村として取り組まなければならないことについては市町村が行う。そして、その取り組まなければならない範囲がどんどん拡大していくということが方向性だと思います。県としては、個々の市町村民を対象とするのではなくて、あくまで県民を対象とするわけで、そういう県民の格差の是正、生活の向上、そして県民経済の活性化という視点から取り組んでいく。その場合、市町村に細かくは立ち入らないのですが、そうかといってオール岩手で「ばさっと」何でも考えるというのも大まか過ぎる話なので、岩手を四つに分けた地域ごとに推進していくことが一番効果的なのではないかなと思っているわけです。
記者
四つに分けた地域再編について伺いますが、振興局の再編については何か時間軸というのを決めて、例えば県南はあるわけですが、県北、沿岸、県央についてスピードアップをして振興局の再編を進めるというお考えはありますか。
知事
もう少し地域の声も聞きながら進めていきたいと思っています。制度の枠組みありきというよりは、どのような方法が一番効果的かというのを見極めながら進めていきたいと思います。
記者
岩手競馬は今日で1期目が終わると思いますが、現状についての認識と、売り上げが計画に比し少し厳しい状況であり、知事は再三コスト削減をお話しており、売り上げ増も当然必要だと思いますけれども、1カ月競馬ごらんになってそれぞれコスト削減と売り上げ増に向けて具体的に何をすればよいとお考えなのか伺います。
知事
具体的に何をするかは、関係者それぞれが共に考え、共に悩み、共に決めていくことであり、そういう枠組みは運営協議会が既にできているわけです。経営改善部会で、まず売上増について非常に前向きなアイデアも専門家の方から出していただき、ルネッサンス計画のような形で、これはすぐにでも組合の方でも取り組んでいこうという話になっているので、その方向で進めていけばよいと思います。
コスト削減の必要性については、大分関係者の間で共通の理解に達していると思います。まさに、具体的にどのようにして削減していくかということをまずコスト調整部会で協議し、最終的には運営協議会で決めるわけですけれども、もうスケジュールも決まっていますからそのとおりに実行していけばよいと思っています。
記者
再建計画で示している売り上げ見通しの数値の修正などについて、具体的なスケジュールを考えているのでしょうか。
知事
売り上げ見通し数値の見直しというより、もう既に何%下回っているという現実はあるので、それに合わせたコスト削減をしていかなければならないということだと思います。ですから、下方修正云々という議論もありますけれども、そこをどうする、こうするという議論はもうそんなに要らないのではないかと思います。計画から何%を下回っているという実績を前提にコスト削減を検討することと、同時に売り上げ増の努力もしていくわけで、これは今週、土曜日の盛岡競馬のオープニングには、開幕宣言に私も出て、そういう売り上げ増の努力は私も先頭に立ってやります。ただ、何をどれくらい行えばどの程度売り上げが増加するというのは読めないところがありますので、黒字化を確実に達成しようと思えば、やはりコスト削減を主眼にしていくということであり、そこについての認識は既に共有されていると思います。
記者
岩手競馬について補足してお聞きしますが、コスト削減に取り組む中で、必ずしも関係する全団体がそれに賛同してくれるかどうか疑問であり、その調整が必要だと思われるのですが、それについてどのような姿勢で臨まれるのでしょうか。次に、経営改善部会で出たルネッサンス計画は、6月からというよりも4月から既に実行していなければいけなかったのではないかと思います。それら運営について、これからどのようなスタンスで臨まれていくのか教えてください。
知事
もっと先にということは、それは3月時点で聞いておいてほしかった質問です。
これから臨むことについてですが、基本的な考え方としては、それこそ3月やさらにそれ以前にさかのぼりますけれども、存続か廃止かという議論設定になってしまい、県民世論も二つに引き裂かれるような形で、県民が分断されるような議論になってしまったというのは、私はすごく残念だったと思っているのです。というのも、廃止、廃止と言う皆様も黒字であれば存続でよいという人がほとんどですので、実は黒字で存続させるためにはどうすればよいのかということが、県民共通の課題だったはずなのです。ですから、県民全てがそこに集中して、県民世論が統合される形で県民全体の問題として取り組んでいけば、おかしな結論は出ないと思っていますので、まして関係者の中でそういう意思統一、共通の課題に共同で取り組むという思いが共有されている限り、そんなにおかしなことにはならないと思います。
記者
岩手競馬に関してお聞きしますが、運営監視委員会で高額な美術品購入などについて手続上の違法性はないという意見などが出されました。知事は選挙の公約で競馬問題について失敗を繰り返さないよう徹底した検証を行うとお話していましたが、この監視委員会の検証で十分かどうかというご所見を伺います。次に、政府与党の医師不足対策で、臨床研修制度、研修医が集中する大都市の定員を削減して、地方のへき地に若手を誘導するという案などが出されましたが、それについてどう評価されているか伺います。
知事
まず、競馬問題の監視委員会のことについては、知事は監視委員会の助言を受けて、それに従って構成団体で検討するというような決まりになっていますので、そういう助言を待つ立場ですから、まだ結論が出ない段階で監視委員会の議論の中身についてああだこうだということは言えないと思っております。
医師不足問題について、政府が真剣にいろいろ考え出したのは遅きに失するとは思いますが、これは増田知事の時代から機会あるごとに岩手としても医師不足問題の深刻さ、特に地方の問題をアピールし続けてきた成果としてようやく国も重い腰を上げつつあるのかなという感じですが、とにかく抜本的に制度を変えていかないといけないので、研修制度の改革、地方での研修を義務付けるとか、あとは医療の中に総合科のようなものを設けて、大人数ではないと診療が成り立たないような細分化したやり方を変えていくような改革とか、できることは全て行っていかなければならないと思います。ただ、国がまだ踏み込んでいないのは、日本全体として医師は足りている、日本全体として医師不足はないという閣議決定をまだ尊重しているので、そこを変えないと抜本的な解決にはならないと思っています。
記者
それは、医師は足りているという国の方針以外は基本的には賛成するということですか。まだ判断できないという段階ということですか。
知事
そういう問題意識は好ましいと思っています。
記者
知事が中国大連市を訪問中に、一部県の幹部が休暇をとっていたようなのですが、県政運営とか危機管理には問題がなかったかどうか伺います。
知事
問題なかったと思っています。
記者
中国大連市の訪問は、大分手ごたえがあったということでしたけれども、大連を初めて訪問してみて、自分で期待したものと実際行ってみて驚いたものなどを含めての感想と、今後、お米以外にも色々な交流をもっと広げていかなければならないと思いますが、何か可能性的なものをお感じになったでしょうか。今後の取り組みも含めてお話し願いたいと思います。
知事
まず、予想していた以上に進んでいたことに驚きました。まち、都会として非常に発展していましたし、色々と物流とかサービスとかそのようなことについても先進国水準に達しているという印象ですし、ソフトウエアですとか、産業誘致ですとか、分野によっては岩手よりもはるかに進んでいます。岩手は日本のふるさとということで売っているところがある訳ですけれども、大連にとっての田舎といいますか、大連にとっても温泉、スキー等、癒しとして岩手を活用するみたいな、そういう関係になっていくような方向になっているのではないかなというようなことも感じました。それはそれで田舎であることは非常によいことでもありますので、大連市民にとっても心のふるさと、そして癒しの里として岩手をどんどん活用して欲しいと思ったのです。けれども、一方では大連の非常に勤勉な市民、向上心あふれる若い人たち、どんどん勉強して外国語もぺらぺらしゃべる人たちが大勢いまして、市の幹部もそうだったのですけれども、そういう人たちを見て、負けられないなという印象も受けました。ですから、岩手県としてはそういう田舎の良さ、花巻市長も一緒に行って、鹿踊り人形を先方にプレゼントするシーンなどもあったのですけれども、動物の格好をして太鼓をたたきながら踊るというのは、実は先進国でそういう古代の文化をきちんと守って、そして普通の生活の中にとけ込んでいるというのは世界でも珍しいのです。古代農耕文明以前のそういう古代のアニミズム、シャーマニズム的な自然と一体になって生きている人たちの生活様式を今に伝えているということでは、岩手は日本の中で一番そういう郷土芸能が残っているところですし、世界の中でもそこは自慢できると思っているので、心のふるさと、癒しのふるさととしての岩手というのは、それはそれで守り育てていかなければならないと思っているのですが、同時に先端産業とかそういうIT、ソフトウエア、また1次産業や2次産業に絡んだ先端産業的なものとかも岩手ももっと頑張らなければならないと思いましたし、また、教育面についてももっともっと岩手の子供たちが勉強して自分の希望する仕事に就く、自分の可能性をどんどん切り開いていく、そういうことを促していかなければならないということも強く感じた今回の大連訪問でした。
記者
今のお話では、結構若い方は英語でお話をされてきたということですか。
知事
そうですね、英語を普通に話しています。それに加えて日本語を話す通訳の人とかいました。また、大連市幹部、特に若い世代の市長さんとか、新しく市の局長になったような人たちというのは、アメリカ留学から帰ってきて英語はぺらぺらみたいな人ばかりだったりしまして、その辺は「おっ」という感じでしたね。
記者
今後もっと交流を進めていきたいという点は何かありますか。
知事
先ほども少し話しましたが、大連はできて100年ぐらいの若い都市です。ロシアの進出、ダリーニという都市ができたところからスタートしていますので、特に岩手の古いもの、農耕文明以前のそういう感覚がずっと残っているということを多くの大連の人たちに見て欲しいと思いました。平泉のことをピンチュエと中国語では言うのですけれども、ピンチュエ、ピンチュエと盛んに平泉についても宣伝してきまして、そのような歴史があるものは大連市民にとってはすごくあこがれの的のようなところがあるようですし、大連市民の人生にも大変役に立つと思うので、そういうところを貢献していきたいと思いました。
広聴広報課
それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。
次の定例記者会見は6月4日(月曜日)の予定です。
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