平成19年7月30日の記者会見記録
ID番号 N11906 更新日 平成26年1月16日
開催日時:平成19年7月30日10時31分~11時16分
広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
本日は知事からの発表事項はございませんので、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
それでは、幹事社さん、よろしくお願いいたします。
幹事社
本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がありませんので、各社から質問があればお願いいたします。
記者
今回の参院選の結果を受けての感想を教えていただけますか。
知事
県民所得でありますとか、県民経済、県民生活、そうしたところの危機を克服して、暮らしや仕事を少しでも良くしていくことに、今力を入れてやらなければならないと訴えて大きな支持をいただいた私といたしましては、そのような主張に対して歴史的な大きな民意が示されたということは、やはり全国的にもそういうことが大事なのだということを思ったのが感想であります。
記者
例えば年金の問題とか、格差の問題など、色々な争点があったと思いますが、どの辺について具体的にそのように感じられたのか教えていただけますか。
知事
洋の東西を問わず、現状に対する不満、特に経済情勢が悪いときというのは政権党にとって厳しい結果が出るという大原則があるわけです。今の生活や仕事に不満を持っている人が多いことと、不安が大きいわけでありまして、いわゆる負け組に今はなっていないとしても、いつなるかわからないという不安、勝ち組と思われていた人達があっという間に負け組的な方になること等に対して、このままではだめだという具体的なことについてこういう結果が出たというよりは、総合的な流れがこのような歴史的な結果に結びついたと思います。
記者
これまで県内に応援に来られた閣僚からは、民主党に過半数をとられてしまうと株価が下がるというような話もあり、実際に今日の今現在200円ぐらい下がっている状況ですが、そういういわゆる経済の面で今回の与党大敗がかなり影響していくということが、イコール岩手県の経済、所得向上にマイナスに働くのではないかなと思いますがいかがでしょうか。
知事
ここ十数年の株価とか経済の動きは丹念に見ている方だと思うのですけれども、森内閣から小泉内閣にかけて株価はどんどん下落して、小泉内閣の初年度ですか、7,000円まで落ちてしまったわけです。そこから少しずつ回復し、五、六年かけて今の水準まで来ているのですけれども、ここ五、六年というのは株価の低迷期であり、景気の低迷期だったわけであります。ここ十数年で一番株価が高かったのは、小渕内閣の自自連立の頃に、小沢一郎自由党党首がこうすれば日本は良くなると唱えていた政策を小渕総理が丸のみしたときに日経平均株価が2万円を超えて、この十数年で最大になっているわけです。そういう意味では、今回の小沢民主党のマニフェストを衆参で力を合わせて実現していこうという機運になってくれば、株価は上がっていくと思います。
記者
今回の選挙結果で安倍総理、安倍内閣に対して、過半数以上の方がノーと言い退陣を求めているというようなことがあり、それでも安倍首相は今日の2時頃の記者会見で続投を正式表明するのですが、退陣すべきと思うのか、それとも続投を認めるのか、そうだとすればその理由は何かお聞かせ願います。
知事
前の記者会見でも述べましたけれども、安倍首相ご本人が、自分と小沢一郎さんとどちらが首相にふさわしいか国民に選んでもらう選挙ですと言って、こういう結果が出ているわけです。小沢一郎総理の方がよいと国民が選択したというこの事実をもとにすると、内閣総辞職をして、どうぞ小沢内閣をおつくりくださいと言って身を引く、そういうことをおっしゃっていたのではないですかと私の方から質問をしたいと思います。
記者
選挙関連のことで伺いますが、達増さんが後継と言っていた階さんが、ご自身の前回選挙得票数の9万5,000票を上回る10万票を獲得しましたけれども、これについて後継といった立場から、どう思っていらっしゃいますか。
知事
個人的には大変ほっといたしまして、まずは当選してよかったと思っています。また10万票を超える支持を得たということは、これは本当にすばらしいことですし、また同時に、非常に責任も重大なので、その責任にきちんと応えていっていただきたいと思います。
記者
衆院岩手1区補選の得票数にかなりの差がついたわけですが、率直に言って、ここまでの差がつくと予想されていたのかどうか、結果についてどう見ているか伺います。
知事
自分の選挙のときもあまり数字の予想はせずに、とにかく当選すればよいということで取り組むので、階さんの当選についても、まずとにかく当選、一票差でもよいから当選してほしいという思いでずっとやってきていました。約10万票対5万票というのは、本人の努力や、小沢民主党の理念、政策をきちんと自分のものにして訴えていったということ等々、理由と根拠がある数字だと思います。そういう意味では驚きはしないのですけれども、ただ感動的な数字ではあるわけでありまして、個人的には非常にうれしい気持ちでいっぱいです。
記者
知事は選挙戦終盤からかなりご一緒に歩かれて、ご自身の支持者も相当回られたと思いますが、ご自身が回られたことによる効果もかなりあったとお考えですか。
知事
効果が全くなかったわけではないと思いたいところですが、決め手はやはり本人だったと思います。
記者
6月議会の中でもそうですし、選挙中もそうですが、対立する特に自民党の方から、知事がかなり積極的に動かれることについて色々な批判がなされたと思います。それについて改めてどのようにお答えになりますか。
知事
政治的には、色々な意見があってよいと思いますし、私は、自分と違う意見だからといって、それを理由に行政の面で差別的な扱いをするつもりはありません。行政においては不偏不党、公平中立の立場であるということについては、今までもそうですし、これからもそうなので、そこをきちんと行っていれば、政治的な議論については違った意見がある方が普通ですし、機会があればまた議論したいと思います。
記者
参院選で、4月の知事選と同じような傾向で、かなりの大差で平野さんが勝たれたわけですが、その結果についてどう見ていますか。あと知事選で達増知事がかなりの大差で勝った流れの影響を受けているのかどうか、どう見ているのかを伺います。
知事
これも決め手はやはり本人だと思います。平野達男参議院議員の6年間の実績、そして未来に向けての意欲、思い、そうしたところが大きく評価されたということだと思います。
記者
今回の民主党の大勝が岩手県の経済にとってどういうふうに影響するのか。プラスに働くのであれば、どういう理由でプラスに働くとお考えになっているのか伺います。
知事
例えば民主党が特に訴えていた年金の抜本改革と徹底した子育て支援、そして中小農家も活躍できる農業政策を速やかに実施してもらえれば、岩手のような県にとっては非常に厚いセーフティーネットを経済社会的に作ってもらう格好になりますので、希望を持って県内で仕事や生活にいそしむことができ、人口流出にも歯止めがかかるという効果があると思います。市場原理に乗らないところは自己責任という政策に対し、極端に正反対の政策が今回全国的にも大きな支持を受けたということだと思いますし、国政がそういう方向に転換をしてくれれば、県政の方もそれと相呼応しながら、すべての県民が希望を持てるような政策を展開していけると思います。そういう意味では、今回は日本全体が希望王国になったと言ってよいと思います。昨日の結果によって、日本全体が希望王国になった、特に勝ち組、負け組的な格差拡大の風潮の中で希望を失った人たちが希望を持てる、そういう結果が昨日出たのだと思います。
記者
そうすると、極端な話、来年度の県の予算編成等にも反映して、思い切った施策を打てると考えていますか。
知事
そこは、国の予算編成が具体的に大きく転換するというのを見極めながらでないとなかなか難しいのですけれども、そういうことを促せる機会があれば、どんどん促していきたいと思いますし、国の方も早目早目に今回の民意を具体的な政策、法律や予算に反映していく努力をしなければならないと思います。
記者
ただいま日本全体が希望王国になったというお話がありましたが、本当の意味で日本全体が希望王国になったと言えるのは、次期衆院選で政権交代が実現したときかと思いますが、その次期衆院選でも達増知事は民主党の勝利に貢献すべく応援していくスタンスを続けていくのでしょうか。
知事
まず、昨日の選挙は、やはり天下分け目の合戦だったわけでありまして、例えれば関ケ原の合戦だったわけで、これでもう天下の大勢は決まったと言ってよいのだと思います。関ケ原の合戦の後、大阪の陣というのがあって、そこで戦後処理のようなことが行われるわけですけれども、今回も民意ははっきりしたわけで、あとはこの民意に合わせて衆議院の方を調整する戦後処理が残っているということだと思います。ただ、選挙の当事者からすれば、衆院選はやはり全力で戦わなければならないわけですし、ここまで世の中が良くなろうとしているときに画竜点睛を欠くような格好になっても困るわけですから、そうならないように私もできる範囲で、自由な政治活動をしていきたいと思っています。
記者
選挙については、かねてから自由にやらせていただくというお話でした。振り返ってみて、実際に応援マイクを握ったりして、最初から言っていたとおり自由にできたと思っていますか。
それから、陣営の方から頼まれたのではなくて、自ら率先して行った気持ちでいらっしゃるのでしょうか。
知事
後の質問に対する答えは、そこは以心伝心で、陣営の方からも必ずやってくださいとか、これをしてくださいというよりは、こういうことをしてもらえるとよいかもしれないぐらいの感じで、色々なアイデアを私の方でもらって、それをもとに私の判断で街頭演説をやらせていただこうとか、選挙カーに乗せていただこうとか、赤いTシャツを着て一ボランティアとして歩き回ろうとか、その辺は自分自身の判断で行ったという格好です。
前の質問については、もっと色々やってもよかったのかなという思いもありますが、選挙の結果からは、ちょっとやり過ぎたのかなという思いもしています。
記者
安倍政権続投ということですが、衆議院の解散時期についていつ位になるとお考えでしょうか。
次に、参議院の投票率についてですが、亥年現象になるのではないかと言われていましたが、前回よりも若干アップという結果でした。この要因についてどう分析されていますでしょうか。
知事
後の質問から先に答えますと、それだけ暮らしや仕事がせっぱ詰まっているということだと思います。今大きい政策転換をしないとだめだという大きな民意が示されたということで、亥年選挙とかという12年サイクルを超えた、戦後政治の50年、60年に1度というくらいの民意の大審判が昨日下されたということだと思います。
ですから、筋からいいますと、安倍首相自身が安倍、小沢のどちらを首相にするかを選んでもらう選挙だと言っていたわけですから、一日も早く内閣総辞職をし、小沢首班で組閣をし、その小沢内閣が解散総選挙をし、本当に小沢内閣でよいですねという確認を国民にして、国民が「はい、参院選でもそういう民意でしたので、そのとおりにしてください。」という答えを出すと、衆参のねじれも解消されて、今回示された五、六十年に1度の民意をすぐに実現できる国会の体制になっていくのだと思います。
記者
知事はかねてから行政の長としての立場と、あと政治家としての立場、二つを区別して行動されていますけれども、今回民主党の公認候補を応援するために赤いTシャツを着て応援に走ったりとか、そういったことは民主党支持者以外の方から見れば行き過ぎではないか、パフォーマンスではないかと見る向きもあると思うのですが、これに対して改めて何かお考えがあればお伺いします。
知事
そういう少数意見は尊重しなければならないと思っていますので、議論する機会があればしたいと思います。どういう理由でそう考えられるのかという、その理由が重要だと思うのですけれども、例えば今の政府与党に逆らうようなことをすると県全体として損をするのではないかという理由だとすれば、それは逆でありまして、まず政治において少数意見は尊重されなければなりません。なぜそうかというと、その少数意見が実は正しくて、時間をかければそれが国全体の多数意見になるかもしれないから少数意見を尊重しなければならないのですが、今回はまさにそういう国全体の多数意見になっていった歴史的な選挙だったわけです。そういう日本全体を良くすることに参加してはいけないというのは、今のままの方がよいというような立場からすると、大きい政策転換はせず、今のままで国政をやってもらうのがよいという意見はあり得ると思うのですけれども、そこはまさに政治的な議論の世界だと思います。
記者
先ほど一日も早く解散総選挙をというお話がありましたが、それでは岩手では次なる目標を政治家としてはどうお考えですか。
知事
民意がそのまま結果となって出ればよいわけでありまして、そういう中で中長期的に見ますと、今回の全国民が下した審判は、岩手においては大分前からこういう方向性の理念、政策が訴えられていて、岩手ではそれが大きな支持を得ていたということですから、更に全国を引っ張っていく歴史的な役割を岩手が果たしていくような結果が出るとよいのではないかという感じがします。
記者
今回の選挙にあたって、民主党の小沢代表から何か言われていたことはありますか。あるいは選挙期間中に言葉を交わされたことはありましたでしょうか。
知事
選挙期間中は、参院選が始まってすぐ位に、青森に行く途中で盛岡の選挙事務所に寄ったときに、「岩手県知事によろしく」と言い残して行かれたそうで、それだけです。直接のやりとりとか、人を介してのやりとりとかは、ほかにはありません。
記者
小沢さんが内閣総理大臣になればよいというご希望を今披瀝されていましたけれども、小沢さんにはどうしても健康不安説がつきまとっています。今回もまた静養に入られたということで、党内では自民党の総総分離論みたいな形の、小沢さんが総理にならないで後ろに隠れてというようなこともあり得るのではないかというのがささやかれています。こういったあり方に関してどのようにお考えですか。
知事
夕べから今日にかけては、何か謝罪しなければならないこととか、発表しなければならないことというのが無かったので、休んでいたのではないかと思います。今までもめり張りをつけて、休むときには休む、そのかわり日本を良くするために張り切って動き回らなければならないときにはそうするということでやってきていたのではないかと思います。あとは野党党首の方が総理大臣よりはるかに疲れる仕事が多い、総理大臣の方が仕事量は少ないというようなことを言っていたようですし、健康問題というのは基本的にはないと思います。
また、日ごろの節制、朝早く起きて早足の散歩をするということから始まって、国会議員の中であれだけ節制して、世のため、人のために必要なことを必要なときにきちんとできるような体を維持することを強い意志を持ってしている政治家というのはなかなかいないと思っています。端から見ていますと、あれは何年間か総理大臣をきちんと務められるだけの身体をつくり、維持しておくために、強い意志を持って節制や運動などをしているのではないかと思うので、総理大臣をすることについては全然問題はないと思います。
記者
ご本人自身が、いやいや、僕はちょっとと言う可能性もなきにしもあらずですが、やはり小沢代表自身が総理になるべきだとお考えですか。
知事
本当は、だれが総理大臣になってもうまくいくことが民主主義の理想ではあるのですけれども、今の局面からすれば、特に安倍晋三首相が自分か小沢一郎さんか、どちらかを国民が選ぶ選挙だと、時の総理大臣がはっきりそう言って、そして1億人の有権者が動いて、何億円、何百億円もの税金を投入して実施した選挙の結果がこう出ているわけですから、ここはやはり小沢首相をというのが自然なのではないかと思います。
記者
先ほどから歴史的な結果であるとか、50年に1度の結果と何度もお話されているのですが、わずか2年前の総選挙では今回と全く逆のものすごい結果が出たわけです。それから2年たってこれだけのことになっている変化の理由と、それについてどのようにお考えなのでしょうか。
知事
政治家個人や、あるいは政党がここ十数年色々右往左往したり、あるいは紆余曲折があったりして、細川連立政権が誕生してから改革の政治の時代が幕を開けたのですけれども、あれから14年間、幕末、黒船が来てから明治維新まで15年なのですけれども、ちょうどその期間みたいな激動の時代が続いてきたと思うのです。ただ、本当の改革をしてほしいという民意が一貫してものすごい強い流れとしてあって、その民意にきちんと応えられる体制を作った政党が大きく躍進したり、またその民意にきちんと応える個人が当選をしたりという傾向は一貫して変わっていないのだと思っています。
郵政解散総選挙のときは、民主党の側でそういう体制をきちんと作れなかったことと、あとはあの解散については憲法違反ではないかという指摘もありました。本当は衆議院の議決、衆議院が賛成したことに参議院が反対した、そこで衆議院を解散したわけですけれども、本当は衆参で両院協議会をつくって、そこで修正をして衆参両方が賛成できる案に変えるということが憲法で想定されていたわけで、憲法に想定されている手続をしないで衆議院を解散しました。また、民主党の方でも勝ちにいける体制を当時つくれなかったわけですが、自民党は自民党で実は分裂選挙だったわけです。抵抗勢力がいて、刺客が放たれて、そういう混乱の中でああいう結果が出たのだと思います。
それに比べて今回は、政権交代可能な2大政党制の形がよりクリアに出る中で、また安倍首相は自分と小沢さんとどちらが首相にふさわしいかという一騎打ちみたいな、有権者としても選びやすい、わかりやすい、そういう中で小沢民主党の方がこれこそ本物の改革というのをきちんと出したがゆえの結果だったと思います。ですから、今回の選挙結果の方がより民意を反映した結果だったと思います。
記者
先ほどお答えの中で戦後処理というお言葉がありましたが、これは今後来るべき解散総選挙が戦後処理であるという理解でよろしいですか。
知事
色々なやり方があると思います。要は、今回示された民意に沿って格差拡大型ではない、そういう経済、社会をきちんとつくっていきさえすればよいわけです。ただ、安倍首相自身が総理を選ぶ選挙だと言ったのであれば総理を替えて、そして替わった総理が解散総選挙を行うというのが一番筋の通ったやり方だと思うのですけれども、そういう一度口にしたことをひっくり返し今後色々混乱が続く中で、心ある人達が昨日示された民意を一日も早く実現するにはどうすればよいかという工夫と努力をしなければならないし、またするのだろうと思います。それはどういう形をとろうとも、昨日の決着、片がついた戦についてのフォローアップということであって、これから起こることは、いずれにせよ天下分け目の戦いのフォローアップであり、解散総選挙も含めてそういうことだと思っています。
記者
先ほどの知事の政治活動についてのお答えで、少数意見は尊重するとお話していましたが、補選に関して言うと参院選とはまた別で、達増知事が転出されて、事実上その後継であると、階さんの出馬会見のときはそうおっしゃっていて、後継者を選ぶ選挙だったと思います。県内では知事も民主党ですし、県議会も民主党が多く、国会議員も民主党が多い状況で、いわゆる民主党は与党的な立場にいるわけでして、そういう中で民主党候補の応援に激しく動くことについてどうかという意見があるのではないかと私は思います。それについて全国的な動きとちょっとまた違うことがあったのではないかと思いますけれども、いわゆる中立性という観点からそれについてどのようにお考えなのか改めて伺います。
知事
それは、負けそうな方に配慮すべきだという主張ですか。
記者
全然そういう意味ではなくて、あくまでも選挙なので、外部環境的に民主党が非常に力強い中で、中立の立場で見守るとかということはお考えにならなかったのかどうかということです。
知事
選挙が始まる前とか投票の前の段階で、こちらが負けそうだからこちらに配慮するというのは失礼なことだと思います。投票箱のふたを開けてみるまではわからないというのが選挙の本質でありまして、選挙というのはどちらが勝つか常にわからない、そういうものですから、そこはやはりなかなかそういうバランス的な配慮というのは難しいと思います。
記者
要するにどの候補にも何もしないということは考えられないということですか。
知事
熊本の全国知事会に行ったとき、あの日は参議院選挙の公示日で、事務所開き、出陣式、第一声などが全国で行われていて、色々知事さんの話を聞くと、熊本に来ているから副知事を代理で出していたよとか、何か全国的にはかなり行政と政治が混然一体というか、癒着というか、それはそういう中で何もしないで中立の立場でいると、結局そういう方向を利することになってしまうような全国的な環境があったので、だからやはり政治の世界で中立というのは難しいのです。国際政治でもスイスみたいに中立というのをやろうとすると、例えば中立国をドイツから通過してイタリアに行くというのは、中立国は排除する義務があって、ドイツがスイスに入ってきたら、スイスは攻撃してドイツを排除する、そういう攻撃をしなければならないのです。だから、よほどすごい武力を持っていないと中立という義務を国際法上果たすことはできないのですけれども、そういう意味で政治において中立というのは、敵の敵は味方という中に容易に入ってしまって、純粋な中立というのはなかなかあり得ないのだと思います。だから、一見中立というのは、それは世の中を変えない方の味方をするというパターンになりがちですから、そういう意味ではバランス論的な配慮で、ここは現状維持だ、中立とか、そういう信念に基づいて中立するなら別だけれども、そこは素直に、自由にやった方が政治というのはうまくいくことが多いのではないかと思います。
記者
先ほどから知事はこの選挙の結果は、安倍総理よりも小沢総理を国民が望んだ結果ではないかと一種決めつけていらっしゃると思うのです。この参院選で一票を投じられた方の中には、安倍内閣に少しお灸を据えてやろうと、政権交代までは望んでいないけれども、参院選だから、そういう一票の投じ方もあるのではないかというようなことで投じられた方もいるのではないかと思います。実際、世論調査の結果ですと、次期総理としてだれがふさわしいかということに関しては、まだ安倍さんの方が数字的にかなり上回っている部分もあります。そういった数字とかをご覧になっても、先ほどお話したように考えられますか。
知事
実は選挙結果に意味付けをしていくということは、政治家の重要な仕事の一つでもあります。一人一人の有権者がどういう気持ちで投票したかというのは、その一人一人に確認しなければ詰まるところはわからないですし、また実は聞いてもわからないこともありまして、色々な要因が複雑に絡み合って結局こう投票するということを個々がやるというのが実は実態だと思います。ですから、それが何千万単位で投票された結果ということにどう意義付けするかというのは、これは本当に政治家が政治責任というのですか、命をかけてやる仕事なわけですけれども、その中で安倍首相が早い段階で、この選挙は首相を選ぶ選挙だと意義付けたというのは、大きな責任があるのだと思います。それを前提として、その後の選挙戦は戦われて、こういう結果が出ているわけでありまして、そういう意味では私がどう解釈するかというのとは別に、そう言った本人が政治家として筋を通すべきではないかと思います。
記者
岩手の場合は、小沢代表の人気に支えられて民主党がずっと躍進を遂げてきたということがあると思いますが、特に政権交代等を視野に入れると、小沢さんの人気だけに頼った運営だけでは色々無理もくると思いますし、万が一小沢さんがいなくなるというようなことがあった場合に、このまま維持できるのかというような不安もあると思います。この辺をどのように展望されていらっしゃいますか。
知事
これは、小沢一郎代表本人が人気については自分はそんなにないみたいなことをよく言っていて、人気というよりは理念であり、政策であり、また政治姿勢だと思います。1人区をまず全部歩くとか、運動するときは川上の方、つまり山奥、田舎の方からやっていくとか、そういう政治姿勢や理念、政策が評価されているのだと思います。ですから、それを皆が行えば力になっていくのだと思います。小沢代表自身も早く皆が自分みたいにやれるようになればよいと思っているのではないかと思います。ただ、去年の4月に小沢代表が誕生した時点で、民主党1人区の候補者というのは岩手と三重以外はほとんど決まっていなかったわけで、それを本当に1人でぐるぐる回りながら、いろんな根回しをし、地域事情に配慮しながらどんどん候補者を決めていったという努力、そういうことは岩手県内でも昔からやっていました。ですから、そういうことがほかの人でもできるようになっていけばよいし、党派を超えて政治家というのは皆そういうふうになっていかなければならないと思います。そうすれば日本の政治の国際競争力はどんどん高まって、アメリカや中国とか、北朝鮮などを向こうに回しても全然後れをとらない堂々とした政治を日本も展開できるようになっていくと思いますが、岩手県はそういう意味では、日本全体の平均よりはるかに上を行っていると思うので、この調子で岩手県内で頑張っていけばよいのではないかと思います。
記者
藤原良信さんが国会議員に比例区で当選したことについての感想と期待することをお聞かせ願います。
知事
個人的には、私が政治の世界に入ったときからの盟友というか、同志というか、「きちんと草の根で有権者一人一人と接して歩かないとだめなんだよ」ということを外務省をやめて岩手に戻ってきてすぐ教えてもらった人でありますので、国政の場で活躍の場を得たということは、本当にうれしいことですし、岩手にとっても、日本にとってもよいことだと思います。
広聴広報課
それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。
次の定例記者会見は8月6日(月曜日)の予定です。
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