平成19年9月18日の記者会見記録

ID番号 N11901 更新日 平成26年1月16日

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開催日時:平成19年9月18日10時40分~11時23分

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
最初に知事から発表があります。
それでは、知事、お願いします。

知事
今日は、新しい地域経営の計画について、そして平成17年度岩手県県民経済計算の概要について発表します。
まず、新しい地域経営の計画(素案)について発表します。記者発表資料1ページをお開きください。今、岩手県では平成11年度から22年度までを計画期間とする岩手県総合計画に沿った政策推進を行っています。この総合計画の基本構想は、「自立、参画、創造による持続的な地域づくり」といった理念のもと、基本目標や将来像、地域デザインなどで構成されています。基本計画では、基本構想を実現するための様々な施策の取り組みの基本方法などが定められています。この基本構想、そして基本計画については、私がマニフェストに掲げた「公正、自立、そして共生」という理念や、政策の方向性と重なり合う部分が多くあると考えています。
一方、グローバル化が急速に進展し、地域経済や県民経済を取り巻く環境も大きく変化していることから、現計画の基本構想、基本計画を尊重しつつ、総合計画の後期実施計画として、私のマニフェストも盛り込んだ新しい地域経営の計画を策定しようとするものです。
計画の構成ですが、市町村合併など地方分権が進展する中、4広域振興圏の確立を視野に入れた取り組みが重要であるとともに、財政状況が厳しさを増す中、行財政改革の徹底した推進が不可欠であり、こうした取り組みが本県の道義的信頼を高め、ソフトパワーの強化にもつながっていくものと考えています。
今般の計画は、全県的な政策推進の方向性を示す「政策編」、4広域振興圏の確立に向けた取り組み等を明らかにした「地域編」、そして県民本位の分権改革と行財政改革についての「改革編」を一体的に策定することで、より実効性を高めようとするものです。
次に、2ページの全体概要について説明します。これまでの取り組みと本県を取り巻く社会経済情勢の変化を踏まえ、地域の自立を実現していくためにはものづくり産業の集積促進、農林水産業や食産業、観光産業の振興による力強い産業経済基盤の構築、そして医療資源の地域偏在の解消、子育て環境や高齢者介護、防犯、防災などの県民の安全安心な暮らしを支えるセーフティネットの充実、さらには地域の視点に立脚した県北・沿岸圏域の振興が今後の大きな課題であると認識しています。
このような課題の解決に向けては、行政のみならず県民や企業などオール県民力の発揮が重要であり、今般の計画においては県民、企業、NPO、行政など地域社会を構成するすべての主体の総力を結集し、歴史的、文化的、経済的、人権的資源など地域資源を最大限に活用しながら地域の個性や特色を生かした取り組みを展開することにより、地域の価値を高めていくといった地域経営の考え方を重視したいと考えています。そうした考えのもと、「県民所得の向上」、「雇用環境の改善」、「人口転出への歯止め」、「地域医療の確保」といった「県民の所得と雇用、安心な暮らしを守る」ということを重点目標に掲げ、県民一人一人が確かな希望を抱く県土づくりを進めていくものです。
次に、3ページの「政策編」の概要について説明します。「政策編」は全県的な政策推進の方向性を示すものであり、6月議会の知事演述で申し上げた政策の6本の柱に沿って今後4年間で重点的、優先的に取り組むべき31の政策項目を抽出し、その取り組みを推進することで重点目標を実現しようとするものです。具体的にはものづくり産業の集積促進を初めとした「地域に根ざし世界に挑む産業の育成」、また農林水産業をリードする経営体の育成を初めとした「日本の食を守る食料供給基地岩手の確立」の取り組みを推進することによって、主に県民の所得と雇用の向上を実現していこうとするものです。
こうした産業振興の取り組みを進めることにより、安定的で持続的な地域経済基盤を構築したうえで、医師確保対策を含む地域医療の確保を初めとした「共に生きる岩手の実現」、防災対策の強化などの「総合的な防災対策と危機管理の徹底」を中心とした取り組みを推進することによって、主に県民の安心な暮らしを守るためのセーフティネットの充実を図っていこうとするものです。
また、産業振興やセーフティネットの充実を図っていくためには、これらを担う人づくりが極めて重要であるとの観点から、学力向上を初めとした「ふるさとづくりを担う人材の育成」の強化に向けた取り組みを強力に推進するとともに、環境の世紀であると言われる今、本県が有する豊かな自然環境を次世代へと引き継ぎ、「世界に誇れる岩手の環境の実現」に向けた取り組みをあわせて進めていく必要があると考えています。
さらに、これら6本の政策を支える社会資本を初めとした生活基盤は県民の快適、安全な日常生活や産業振興を進めていくうえで欠かすことのできないものであり、これらの基盤整備についても真に必要なものを厳選するなど重点化を図りながら、今後も着実に推進していくものです。こうした取り組みを総合的に推進することで重点目標を実現していきたいと考えています。
4ページに示すように、「政策編」の具体的な内容については、目指す姿やこれに対応する目標数値、主な取り組み内容、役割分担などを31の政策項目についてそれぞれまとめているところであり、「地域編」についても同様の内容となっています。
次に、5ページの「地域編」について説明します。これは4広域振興圏の確立に向け、広域振興圏ごとに産業振興を中心とした目標や、それに向けた具体的な取り組み等を明らかにするものです。計画期間は平成19年度から平成22年度の4カ年となっており、各圏域の現状と課題を分析した上で、広域振興圏ごとに地域住民とのワークショップ、オピニオンリーダーへのインタビュー、各種懇談会など地域との協働により緊急、重点的な課題への対策について取りまとめました。それぞれの圏域の将来像や取り組み内容ですが、まず圏央広域振興圏の目指す将来像は、都市と農山村が広域的に連携し合いながら北東北の拠点としての機能を担う地域です。その基本方向の第一は、地域の自立を支える地域経済基盤の確立、学術研究都市、学術研究機能の集積を生かしたIT産業、ものづくり産業の創出、すぐれた自然、豊富な温泉資源を生かした滞在型観光の振興などに取り組んでいくものです。
第2は、快適で安全安心な地域社会の形成、北東北の拠点都市にふさわしい都市環境、生活環境等の整備などに取り組んでいくものです。
県南広域振興圏の目指す将来像は、連携と協働により地域の資源を大切にしながら世界に誇れる岩手をリードする地域、基本方向の第1は、地域のあらゆる資源を生かしながら世界に通じる技術と個性ある地域素材が織りなす強い地域産業が躍動する社会の構築、世界に通用するものづくり基盤の構築に向けた自動車、半導体、産業用機械関連産業の集積促進、平泉の文化遺産等を生かした観光産業の振興などに取り組んでいくものです。
第2は、助け合う風土や豊かな自然を大切にしながら安全で安心して暮らせる住みよい地域社会の形成、保健福祉分野のより一層質の高いサービスの提供や自然災害等により生命や健康を脅かす健康危機の事態に備えた体制等の整備などに取り組むものです。
沿岸広域圏の目指す将来像は、三陸から世界へ羽ばたく産業が躍動し、海陸の交流拠点としての機能を担う地域。基本方向の第1は、地域の自立を支える産業の振興、世界的シェアを誇る地域中核企業を中心とした産業集積の促進や新産業の創出、すぐれた自然景観や産業遺産等、多様な地域資源を活用した沿岸ならではの観光振興などに取り組むものです。
基本方向の第2は、安全安心な暮らしができる三陸地域の形成、地震、津波等の災害に的確に対応する防災対策の推進、少子高齢化対策や保健、医療等の充実による暮らしやすい定住環境づくりなどに努めるものです。
県北広域振興圏の目指す将来像は、八戸圏域等との交流、連携を深めながら培われた知恵、文化を新たな取り組みに生かす活力みなぎる地域です。基本方向の第1は、地域の自立を可能とする産業経済基盤の構築、冷涼な気候等を生かした農林水産物の生産を拡大しつつ、体験交流型観光を推進し、食を通じた産業の展開などを図っていくものです。
第2は、安全安心に暮らせる地域社会の形成、心の健康づくり、第2クリーンセンターの整備、県境産業廃棄物不法投棄事案への対応など、地域の緊急課題を解決し、安全で快適な地域を形成していくものです。
6ページの「改革編」について説明します。岩手県集中改革プログラム(仮称)骨子の概要ということで、平成22年度までの新しい地域経営の計画に掲げる政策の着実な推進を下支えするため、行財政全般にわたるさらなる改革に取り組むため策定するものです。これまでの改革の取り組みとして、平成18年度までの行財政構造改革プログラムの取り組みの総括、またさらなる改革の必要性として、社会経済情勢の変化への対応の必要性、さらには県債償還が高水準で推移することなどにより、平成20年度から平成22年度の各年度200億円から300億円程度の収支ギャップが見込まれ、この多額の収支ギャップの解消が必要となっている現状を明らかにしています。これらの状況等を踏まえ、改革の基本方針として公正、自立、共生を理念としたさらなる改革に取り組むことが必要と考えており、この改革に取り組むに当たり、一つには分権型行政システムの確立、二つ目には持続可能な行財政構造の構築、三つ目には、より質の高い県民本意のサービス提供の三つの視点を掲げています。これら三つの視点を踏まえ、県民本意の分権改革を推進する二つの改革と行財政基盤の強化に向けた改革を推進する三つの改革を合わせて五つの改革に取り組みます。
改革の1としては、県と市町村との役割分担の再構築として、市町村合併の推進や市町村への権限移譲の推進、地方振興局の広域振興局等への再編などに取り組んでまいります。
改革の2としては、民間力、地域力が最大限に発揮される仕組みづくりとして、公共サービスの役割分担の明確化の検討、総合的に協働、推進する仕組みづくり、民間力を生かした公共サービス提供の仕組みづくりなどを検討してまいります。
改革の3としては、組織パフォーマンスの向上として、行財政資源の制約が強まってきている中でも県民本位のサービスを提供することができるよう、組織力を最大限に発揮する体制の整備や県職員が蓄積している知識や経験、いわゆるナレッジをこれまで以上に活用した行政品質向上運動の推進などに取り組んでいきます。
改革の4としては、行財政構造の徹底した簡素、効率化として、事務事業の総点検などを行いながら、政策の選択と集中による行財政資源の配分に努めるとともに、簡素で効率的な組織、職員体制への移行、歳入歳出ギャップ解消など持続可能な行財政構造の構築や公営企業の一層の経営改革を推進することを推進してまいります。あわせて地域間の格差是正に資する地方交付税制度の見直しなどについても国に対し強く働きかけていくこととしています。
改革の5としては、外郭団体等の改革として、将来にわたり県の過大な財政負担が生じないよう、県出資等法人のさらなる改革や地方独立行政法人の改革に取り組んでまいります。
7ページをお開きください。この新しい地域経営計画の素案については、今後パブリックコメントなどを通じ、県民の皆様のご意見等をお聞きしながら具体的な工程表についての検討も進め、11月中旬をめどに見直しを行った上で、年内をめどにその成案をお示ししたいと考えているところです。
次に、平成17年度岩手県県民経済計算の概要について発表します。平成17年度の日本経済は、名目、実質ともにプラス成長でありますが、岩手県経済は平成17年度岩手県県民経済計算の概要要約版1ページ図1のとおり、名目では建設業や電気機械を中心とした製造業の減少などによる2年ぶりのマイナス成長、実質ではサービス業や金融・保険業などの伸びもあり、4年連続のプラス成長となっています。その結果、岩手県の経済規模を示す平成17年度の県内総生産は、名目で4兆5,954億円、実質で4兆9,760億円となり、県民所得の分配は3兆2,723億円、1人当たりの県民所得は前年度から0.3%減少の236万3,000円です。

広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
それでは、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
幹事社さん、よろしくお願いいたします。

幹事社
ただいまの発表事項について、各社から質問があればお願いいたします。

記者
新しい地域経営の計画について伺いますが、重点目標の四つの中で、県民所得の向上とか人口転出への歯止めについて数値目標が設定されていません。今日発表した17年度の県民経済計算の概要資料で見ても県民所得と国民所得との差が開いていると載っています。そういう現状を踏まえて、知事としては大体どれぐらいまで持っていきたい、引き上げたいと考えているのか伺います。

知事
県民所得が伸び悩み、またある程度マイナスになっているというのは危機的状況だと思います。また、そのことも要因になっていると思われますが、人口減、特に転出入の差、社会減による人口減が加速しているということも危機的状況でありまして、いわば火事になって火が燃え広がっているような状況なので、まずとにかく火を消す努力、つまりこれ以上悪化させないためにあらゆる手を打っていくということだと思っています。そこは、国で火に油を注ぐような地方切り捨て型の政策をさらに続けるかもしれないところもあり、そうなるとこれは油を注ぐ側と水をかける側の戦いになってくるわけで、その中で全力を出していくということです。もし国も油を注ぐのをやめ、水をかける側に回ってくれれば延焼を食い止め、そして復興、復旧作業、これも国がどれだけ地方への復興、復旧を図るかにもよってくるのですが、そういう意味で国政の方向性やその進み具合によって大分数字は変わってきます。したがって、なかなか数字をつくることはできないのですが、一般論として、世界経済全体は物すごい勢いで成長していますので、その平均ぐらいは成長させたいと思っています。

記者
2点お伺いします。1点目は、県の運営、行政の運営をするに当たって、二つの方式があると思います。それは財政再建にかじを切るのか、それとも財政出動にかじを切るのかの2つだと思います。今回の地域経営の計画は、来年度の当初予算に反映されるものだと思いますが、どちらなのか教えていただけますか。

知事
火事を消さなければならないということで、そこで水を出し惜しむということは基本的にはとり得ないことだとは思っています。ただし、規律のない財政に陥ってしまうと、さらなる将来不安等で逆に水が油と化してしまいますので、そういう意味でプライマリーバランスの均衡という一つの規律は外さないようにしながらできるだけ県民経済を活性化させていく手を講じるということです。またそれは、いわゆる総需要を増やすケインズ政策的なことなのですが、それは限界がありますので、いわゆるサプライサイド的な、そういう産業側の改革、企業の誘致ですとか、地場産業の強化ですとか、環境で色々な新しいビジネスを展開していくとか、そういうお金をたくさん出さなくてもできるような経済活性化をかなり進めていかなければならないという全体の組み立てになっています。

記者
2点目ですが、「改革編」の中で200から300億の歳入歳出ギャップがあるとされている現実があります。先ほど知事も話されましたけれども、国政の方向性によってかなり数値が変わってくるというのは重々承知していながら、このギャップというのは、この「改革編」にあるように職員削減とかコストカットとかを進めても、いずれ限界が来るのではないかと見立てているのではないかと思います。その場合、財源を増収するために、自治体には課税自主権など認められていると思いますが、現段階で法定外目的税とか、その辺の考えについて知事は今持っているのか、持っていないのか、また、その理由も教えてください。

知事
こういう県民所得の低迷というような、また名目経済のマイナス成長という状況では増税はできないと思っています。

記者
「改革編」についてお伺いします。ちょっと細かいところなのですが、行政品質向上運動の推進というところがありまして、これは今まで行革プログラムの中でも盛り込まれていまして、色々問題が指摘されていました。特定コンサルタント業者と随意契約結んで多額の委託費を投じたり、その割に効果がなかなか見えない。あるいは特定業者の著作本を大量購入したという問題点もありました。県議会からも批判が出ていたのですけれども、今後も引き続きこういった方法で推進していくのかどうか教えてください。

知事
行政品質向上運動については、学びの時期は卒業といいますか、卒業とまではいかなくてもまずは進級できるところまでは来ていると思っています。県庁内部の個人個人の発案とか、組織単位での取り組みとかといった県庁内部から起きてくるような品質向上運動というような内発型の方向に持っていこうという議論をしています。私からは抽象的な言い方ですが、教わる段階ではなく、むしろ他の組織に教えられるくらいの蓄積があるだろうから、そういう方向で品質向上運動を進めていけばよいと言っています。

記者
先ほどの県民所得の数値目標の関係なのですが、達増知事は知事選のときから県民所得の向上を第一に掲げて、言ってみれば改革の1丁目1番地みたいなものがそれだと思うのですけれども、先ほどのご説明だと国の政策に非常に左右されるので、なかなか数値目標を設定しづらいということですが、それを言い出すと、例えば雇用の関係もそうですし、あるいは医師不足の解消に関しても同じようなことが言えると思うのです。そちらのほうには数値目標が設定されているのに県民所得に関しては数値を出せないというのは少し理屈が合わないような気がするのですがいかがですか。

知事
危機の象徴的な数字として県民所得を選挙のときから訴えてきました。そして、今日発表した平成17年の数字でもそういう危機的状況というのは変わってない、むしろ深刻化していると言ってもよいと思います。けれども数字を上げるということが危機の突破というだけではないので、まずそういう低い数字が具体的にどう県民生活、県民経済を悪化させているかという中で、雇用の悪化であるとか、生活保護世帯が増えるとか、1次産業、2次産業、3次産業それぞれの売り上げが伸び悩むとか、そこをやはり直していくということが行政としては目標になるので、所得の数字そのものではなくて、そこから具体的に生じている諸困難に関しての目標を設定しているという構造になっています。
また、考え方としては県民所得という数字がなかなか上がらないとしても、それを補うような、お金で計れないようなNPO活動、ボランティア活動、そういったもので本当の意味での豊かな生活ということが岩手の中で確保されていけばよいので、数字を上げることだけにこだわって、かえってそういう数字に出てこないところがおろそかになってもいけないので、県民所得については数値目標を今回は示していないところです。

記者
今のお話ですと、県民所得というよりも生活の豊かさみたいなものにもう少し比重を置いて表現されたほうが知事の真意にかなっているという気はするのですけれども、指標として県民所得の向上の数値目標を掲げないと、それが達成できなかったときに、その政治責任みたいなものを問われかねないので逃げているのではないかというふうに映るのですけれどもいかがですか。

知事
まず、目標の設定の仕方、また言葉の使い方については、パブリックコメントを実施しますので、今の意見も含めて色々な意見をどんどんいただきたいと思っています。

幹事社
本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がありませんので、各社から質問があればお願いいたします。

記者
大連との交流の関係で伺いますが、岩手県でも熱心に水産物をはじめ、これから農産物もと考えていると思いますが、同じように他の自治体も競争していると思います。例えば、先週訪中した時もたまたまですが、青森県知事も自ら来られてトップセールスをされていたということがありました。これからが競争だということになった時に、岩手県が生き残っていけるという自信があるのかどうか、それに対してどのような戦略で進めていくのかということについて知事のお考えを教えてください。

知事
大連市は人口600万人くらいありますので、日本側の幾つかの県が束になってもちょうどよいくらいの可能性は大連市側にあると思います。また、岩手の色々な農林水産物ですとか、観光資源ですとか、そういう岩手にしかないようなもの、岩手が傑出しているものというのはたくさんあると思います。あとは県と市の間での連携協定や、それにまつわる人事交流とか、定期協議の場とか、それこそソフトパワー的なところで一歩リードしているのではないかと思っていますので、そういう色々な行政間の意思疎通、制度のすり合わせみたいなところは大分進めていけて、先行できるのではないかと思っています。

記者
今度は日本の国政の話になって恐縮ですが、自民党総裁選が23日に投開票されるということで、福田さんと麻生さんが立候補を届け出られています。そこで2点お伺いしたいのですが、1点目は達増知事から見てどちらが総裁にふさわしいかということと、その理由も教えてください。

知事
そうですね、どちらが総裁にふさわしいかというのは、ちょっと見えてこないですね。

記者
その理由は何でしょうか。

知事
見えてこない理由はよくわかりません。ひょっとしたらどちらも総裁にふさわしくないからなのかもしれないのですが、ふさわしくないなどとは言っておられず、誰か一人は総裁として選ばなければならないのでしょうから、そこは自民党の中で決めていただければよいと思います。また、これは安倍総理総裁辞任に至る経緯からの一つの教訓だと思いますが、その人一人の能力、資質というよりもきちんと支える体制が必要であり、政府の中できちんと多数党が内閣をつくって国全体に責任を負う体制をつくれれば、また全然違うと思います。そういう体制がないところで誰が総裁になってもうまくいかないのではないかと思うので、どちらが総裁にふさわしいか見えてこないのだと思います。

記者
2点目なのですが、どちらが総裁、首相になられても、3週間前に改造したばかりで、内閣の改造はあまり考えてないような発言をされていますけれども、先週増田総務相と会われたと思いますが、知事は増田総務相の残留を望むかどうかと、その理由を教えてください。

知事
これは総理大臣の考えで、大所高所から決めることなので、そこについてはとやかく言いません。想像がつかないようなよい形でほかの人にするという決断もあるでしょうし、また、良い形で残留という決断もあるでしょうから、そこは多数党が内閣を組織して国会、国、国民に責任を取るという体制の中で決めてもらえばよいと思っています。

記者
経営計画の中の「改革編」で市町村合併の推進が記載されています。相手もあることなのでなかなか難しいことと思いますが、大体どれぐらいまで市町村合併は進めるべきとお考えですか。

知事
分権というのはパワーを分けるということであり、そういうパワーの主体として自立できる手ごたえのある体制ということが目安なのだと思います。そこは合併新法の中で知事の勧告という制度が盛り込まれていて、そのあり方も含めて市町村合併推進審議会の中で議論してもらうことになっているので、具体的な数字は今申し上げられませんけれども、やはり自立できるパワーをつくっていくということがポイントなのだと思っています。

記者
先ほどの県民所得の目標数値の話とも重なってしまう部分はあると思うのですが、なかなか数字を出すのは難しいという部分も当然あるとは思うのですが、市町村や県民からしてみれば、こういうところが結構知りたいところだと思います。それでまだ素案の段階なので、例えばある程度ざっくりしたところだけでも知事としてのゴールを目指したみたいなものを提示して、パブリックコメントや地域での説明会とか市町村との相談とかに臨むというような形というのは考えなかったのでしょうか。

知事
県民所得は多ければ多いほどよいのですけれども、国がさらなる地方切り捨て、第2次5カ年計画という感じで、地方切り捨て5カ年計画、格差拡大5カ年計画みたいなことを本気で、既にこの1年もうやっているわけです。さらにこの後も続けるとしたら、数字として県民所得が上がらなくても生活が守られるような、本当に緊急避難的な対策を即打っていかなければならないというところがあり、安定的な右肩上がりの中での計画、何年後にはどのくらいといった計画の時代というよりは、今は戦略の時代となっていると思っていまして、この局面からすると国の出方を見ながら、とにかく県民の生活を守るというところを目標にしなければならないと思っています。

記者
国とかの動きもあると思うのですが、成案になるまでにパブリックコメントとか、色々な方のお話を聞く機会がこれからたくさんあると思うのですけれども、その結果次第ではそれがもう少し具体的になったりすることもあり得るという理解でよいのでしょうか。

知事
こうすれば確実に県民所得が上がるという策があればよいのですが、基本的に今、世の中で知られているのは財政出動しかないと思います。何兆円の財政出動をすればGNPがこのくらい上がるというケインズ政策的なノウハウしかないと思うので、それが使えない中で、所得を引き上げていくのは、まさに知恵の絞りどころでして、そこはそういうやり方が見つかれば具体的な目標を定められるかもしれません。

記者
地域経営の計画の前提にかかわってきてしまうのですが、「改革編」のところで職員の削減と、なおかつ県債の発行を制度上可能な額まで行うというところが触れられていたのですが、これは制度上可能な額まで発行するという前提なのでしょうか。

知事
そうですね、その意味するところは無理に借金減らしを進めて県民生活、県民経済を圧迫するようなことはしないということです。

記者
自動車関連についてお聞きします。トヨタ自動車が新しい車両工場の選定に入っていて年内にも決まる見通しで、宮城が有力ですが、本県も候補に入っているということなのですが、その新しい工場についての設置見通しと、仮に東北に設置された場合、本県産業に対する波及効果はどのようなものを期待されているか教えてください。

知事
具体的な交渉というような関係には岩手は、県としてはないので、ちょっと第三者的な言い方になりますが、岩手に工場ができれば、これは非常によいことと思います。岩手ではなくて宮城県北であったとしても、自動車産業の集積づくりとしては非常によい影響があると思います。組み立て自動車台数が50万に迫り、それを超えるような勢いになっていくと部品工場とかの関連工場がどんどん進出してきますので、それがまた岩手のほうに来てもらえる可能性も高まっていきますので、岩手を含んだ東北の自動車集積という意味で非常によい効果があると思います。

広聴広報課
それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は9月27日(木曜日)の予定です。

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