平成19年10月24日の記者会見記録
ID番号 N11898 更新日 平成26年1月16日
開催日時:平成19年10月24日10時34分~11時2分
広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
本日は知事からの発表事項はございませんので、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
それでは、幹事社さん、よろしくお願いいたします。
幹事社
本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がありませんので、各社から質問があればお願いいたします。
記者
昨日、トヨタの子会社が宮城県に新しい車体組立工場を建設すると発表しました。このことについてどのように思われているかお聞きします。
知事
岩手にとっても大変よいニュースだと思います。関東自動車を中心に岩手の中でも自動車産業関係の集積を目指しているわけですけれども、宮城県北とも一緒になって、そういう広がりの中で自動車産業の集積を図っていける大きな前進につながると思います。もともと自動車産業集積については、岩手だけではなく、まず宮城、山形という3県の広がりの中で集積を目指そうとやってきましたし、さらに他の3県も含め東北全体としても取り組もうとやっていました。セントラル自動車の発表の中でも、東北という言葉を使っていたように記憶しているのですけれども、移転というか、進出を図る企業の側でも宮城というだけではなく、東北を意識してのことだと思っていまして、釜石港とか活用できるのではないかと思う、岩手側のそういう施設もありますし、そういう中で岩手にとっても大変よいニュースだと思っています。
記者
一方で、宮城県は今年初めにセントラル自動車の移転計画を察知し、村井知事が自ら十数回トヨタ関係者を訪問して誘致が決まったという報道もあります。その中で、岩手県が最大のライバルだったということも報じられているのですけれども、県としてはセントラル自動車の移転について、これまでどのような取り組みをなされていたのですか。
また、結果的に宮城に持っていかれたという形になりましたが、それについてはどのように思っていますでしょうか。
知事
岩手が最大のライバルというのは、大変光栄なことです。岩手は岩手なりにトヨタ本社をはじめ関連会社と絶えず様々な形で接触をしていまして、そういう総合的な中で、さらなる既存企業の拡大や、新しい企業の進出については色々建設的な情報交換、意見交換が行われ続けていると思っています。
記者
宮城工場移転が決まったことについては、どのように思っていますか。
知事
岩手にとっても東北全体としての自動車産業集積がメリットになるという考え方でやっていますので、決してこれはマイナスではなく、プラスのことだと思っています。
記者
セントラル自動車の生産規模は12万台ということで、関東自動車が30万台と合わせて、50万台に近くなってきたというところです。今後の展開としては1次サプライヤーの誘致などについても環境面が整ってきたという姿が見えてきたと思うのですけれども、今後の集積において、岩手県としてどのように取り組んでいくというお考えでしょうか。
知事
1次サプライヤーさんにどんどん来てもらうというのは、戦略的に1つ重要なポイントでありますので、組み立て完成車50万台というのが視野に入ってくると、それは非常によい環境条件になりますから、一層しっかり取り組んでいきたいと思います。
記者
今月30日で知事就任半年を迎えますけれども、この半年を振り返って率直な感想と印象深かった点をお聞きします。
知事
まず、あっと言う間の半年でありましたけれども、その間本当に多くのことがありましたので、充実した半年でした。6月議会での知事演述や補正予算の編成、そして全県回って歩きながらのさまざまな意見交換で危機を希望に変えていく第一歩はしっかりと踏み出すことができたと思っています。
その中で、医師不足問題というのが知事就任前に比べて予想以上に深刻な問題だと実感しましたので、知事会とか大臣との面会の際など、色々な機会を利用してアピールしながら、県内的にもできることに積極的に取り組んできました。そういう中で6月の国の緊急臨時的医師派遣システムの第一陣として、全国で6病院、7人の医師派遣という中で、岩手の2病院に3人の医師が派遣されるという、いわば岩手のためにという形で国の緊急支援が行われたことが一番印象に残っています。
記者
岩手競馬について、一部報道で売り上げ低迷要因について、地域経済の低迷とか馬インフルエンザの影響などに加えて風評被害的な情報が作用している面があると知事は述べていますが、具体的には何を指してこのようなことをお話しているのかお聞きします。
知事
岩手競馬がもう終わってしまうのではないかと、そういうネガティブな情報とか、意見とかが、売り上げの減にもつながっているのではないかという指摘は、競馬組合と現場の声として聞いておりますし、また競馬ファンや馬愛好家の民間の人からも聞こえてきていまして、そういう意味で発言しました。
記者
これは報道という部分も含まれて発言していることなのでしょうか。
知事
報道もその一部と言ってよいと思います。
記者
今日の売り上げ低迷を迎えたのは、そもそも組合自身の経営に問題があったからで、それを報道というか、風評被害のせいにするのは責任転嫁なのではないかと思うのですけれども、そのことについてはいかがでしょうか。
知事
大前提として、私は行政側、特に知事の立場から報道に対してこのように書けとか、こういうふうに書くなということは、言ってはならないと思っています。例えば私の資産が本当は1,000万円ちょっとなのに1億円と書かれた場合でも、それについてこう書くな、こう書けということは私からは言ってはいけないと思っています。ですから、憲法が定めるプレスの自由というのは、民主主義にとっては本当に大事なものでありますから、そういう考え方を前提にして言うのでありますけれども、やはり報道で岩手競馬はもう終わってしまうと、もう競馬に行ってもしようがないというようなイメージが広がり、売り上げの減につながるということはあると思います。
記者
岩手競馬の売り上げが減るのがどっちのせいだという話は、はっきり言って建設的ではないと思います。330億円を融資して事業継続することとしたことからすれば、よりよい存続のための道を模索するのが筋であって、どちらかの足をどちらかが引っ張り合うようなことはやめたほうがよいのではないかというのが率直な感想です。その点についてお伺いします。
知事
私は、今まで競馬の売り上げ減が報道が原因だと一度も言ったことがありません。ただ聞かれれば、今も答えたように答えますけれども、私のほうから言ったことはありませんし、それはこっちから言うべき話ではないと思っていたからです。そういう意味で、競馬の収支均衡、黒字をきちんと達成して、競馬の開催を続けていくというのは、これは法令上の管理者の責務であり、また設置団体の長、知事の任務でもありますから、最終的な責任は管理者である知事にあるわけなので、人のせいにはできないし、すべきではないと思います。
記者
競馬に関連してもう一点なのですけれども、前回の知事会見で「どんど晴れ」を引き合いに出されて、各支援が増えているという話をされてました。確かに15日には吉田兄弟の社台スタリオンステーションから配合権利を提供されたように、すごい大きな話題があったと思います。ダンスインザダークとか、ネオユニバースとかの子供が2年後か3年後に岩手競馬で走るかもしれないということだとすれば、競馬を知っている人だったらすごく喜ぶ話なのです。これは競馬組合の広報体制の話だと思うのですけれども、お知らせが記者クラブに投げ込まれて、記者会見をしないというようなことではなくて、会見を開くなりして大々的にPRするべきだったのではないかと思うのですが、その点についてお聞きします。
知事
そうですね、物すごいことですから、その物すごさがちゃんと伝わるような工夫をしていかなければならないと思います。
記者
そういうことを踏まえ、風評被害だというようなことを言わずに、ある意味報道もうまく活用してもらって、岩手競馬が続いていけるようにしていただければということはこちらからのお願いなのですが、それについてはいかがですか。
知事
まず、プレスの自由は民主主義の根幹でありますから、自由な取材、そして自由な報道ということで、それぞれ報道の皆さんには活躍してもらえばよいと思っています。そして、そういう仕事をしやすくするための行政側の工夫は、競馬組合も含めてしていかなければならないことだと思っていますので、そこはどんどん努力と工夫を重ねていかなければならないと思います。
記者
昨日、関東地方知事会が地方の税源拡充のために消費税の引き上げを含めた検討に入るように国に緊急提案書を出すことで一致したのですが、多分知事会から消費税の引き上げを求めるというのはかなり珍しい話であって、こういう対応をしたことについて、知事の所感を教えていただけますか。
知事
私の個人的な意見としては、消費税引き上げはよほど慎重にやらなければいけないと思っています。戦後日本で経済の大幅な落ち込み、マイナス成長を記録したのはたしか3回しかないと記憶しているのですけれども、1つはオイルショック、もう一つが消費税を3%から5%に上げたとき。そして、最後の1つが小泉内閣成立後の一連の政策によるものでありまして、だから経済的な条件が整っていないと、あるいは何か経済政策できちんと景気が落ち込まないように補った上でないと消費税の引き上げは、特に地方経済に大きな打撃を与え、失業とか、倒産とか、そういう悲惨な事態を引き起こす危険性があると思います。日本で消費税の引き上げというのは歴史上1回しかやっていないけれども、そのときにマイナス成長になったというのは歴史の反省として踏まえておかないとだめだと思っています。
記者
となると、これは関東地方知事会の話でしたけれども、東北知事会とかあると思うのですが、同じようなことがあった場合に、達増知事はそういう話には乗らない、反対するという理解でよろしいのでしょうか。
知事
先ほどお話した条件が整えば1つの可能性としてはあり得るのかもしれないのですけれども、そこは慎重に対応したいと思います。
記者
セントラル自動車の誘致の件に戻りますけれども、岩手としても誘致活動をやっていたと思いますが、岩手の誘致条件というのは、例えば補助金額が青天井という表現をしているかと思うのですが、全国有数の条件を持っているということですが、今回誘致の結果として、敗れてしまったのは、その誘致の条件面で至らなかったところがあるのか、要因はどこにあるとお考えになっていますか。
知事
関東自動車の生産規模が30万台体制になって、さらに36万台とか、関東自動車だけでも50万を視野に入れながら、また関連の集積ということにもつなげていこうという動きの中で、セントラル自動車が宮城県北に移転してくるということは、決して敗北とは思っていません。そうした総合的な中で、岩手にメリットのある東北における自動車産業集積ができていけばよいと思っております。
記者
例えば今回の教訓に誘致条件の見直し、上積みということを今後考えていくおつもりはありますでしょうか。
知事
たくさんの物をたくさん売る、そういう商売とは違って相手もあることですし、値段を幾らにしたから売れる、売れないとか、こういう条件にしたから必ず買ってもらえるとか、そういう話ではないと思っています。県の財政ということで県民という納税者に対しても変に過熱していくことはかえってデメリットになるのではないかと思っていますけれども、岩手の誘致条件が全国有数の好条件だということは言えることでありまして、基本的に今の条件で対応していくことで問題はないと思っています。あとはアピールの仕方とか、話のつなぎ方とかに工夫をしていけばよいと思っています。
記者
国民年金健康保険センター「はなまき」を運営している協会に県も100万円出資をしていて、これが最大の出資になると思うのですが、その点に関して、常務理事は、協会は機能していなかったという話をしていますけれども、その所感というか、どういう考えをお持ちでしょうか。
知事
国の社会保険事務局が所管をしており、一義的な監督責任は国にあるわけですが、出資者として、他人ごとではないので、相談にあずかったりとか、またこちらから適正な運営を求めてきたし、求めなければならないとに思っています。ただ直接監督できないので、そこが悩みです。
記者
今回の問題で、センター長という立場と協会の中の常務理事という重職を兼ねていたというところで、外部からの指摘が難しかった点はあると思うのですが、例えば県の所管のものでもそういうものは探せばあるのではないかという気はしますけれども、そういった面の対策というか、今後どのように考えるとか、そういったものはありますか。
知事
県出資等法人のあり方については、常にチェックしていくような取り組みをしておりますけれども、今回のことを他山の石として一層気をつけていきたいと思います。
記者
県が県産米をマレーシアに輸出するという方針を決めていると発表したことに関して知事のお言葉でどのような見通しをお持ちなのかということをお聞きします。
知事
私が知事に就任した後、中国大連市で岩手の米の輸入の話があったわけでありますけれども、中国あるいは韓国も含めた東アジアというのだけではなく、東南アジアのほうにもビジネスチャンスを広げたいと思っていて、それで今回マレーシアを1つの突破口にして輸出を図ろうとしており、実際に米の輸出ができますので、これは大きい前進だと思います。そして、マレーシアは、あれは観光局のコマーシャルだと思うのですけれども、マレーシア・トゥーリー・アジアというコマーシャルをやっているのですけれども、アジアの典型なのですね。マレー民族の、東南アジアを代表する文化、生活と、あと華僑といいますか、中国系の国民もあそこは非常に多く、シンガポールとかのようなところも、そういう生活や経済もありまして、マレーシアで受け入れられれば、本当に広く東南アジア、あと華僑経済圏のほうにどんどん広がっていく、そういう可能性のある入り口ですので、大いに期待しています。
記者
県教委が来年度に生徒の募集を停止するとしています宮古高校の川井校なのですけれども、これについて川井村長とか6,000人弱の署名を集めて存続の要望に来たりとか、今県議会でも色々異論が出ていたみたいなのですけれども、この高校再編の中の川井校をどう位置づけていますか。
知事
色々な経緯を踏まえ、そしてまた最近のそういう議論も踏まえた上で、正式には教育委員会で決定をしていただくことになっていますけれども、地元の要望、地元として高校を持ちたいという思いと、また高校が就職や進学、進路上高度な知識や専門性を身につけていく場でなければならないというバランス、兼ね合いの問題だと思っています。そういう中で、地元の意見を尊重しながら、最終的には教育の論理に従って教育委員会が決定するということでありますので、単に手続ではなく、内容的にも適正な判断が行われればと思っています。
記者
人事委員会から給与勧告がありました。ボーナスが0.05アップという微々たる幅であり、これだけ不景気の中、微々たるものが上がって、やっかみを受けるよりも、それだったら上げないほうがよいのではないかという声も一部聞かれます。この人事委員会の勧告についてはどのようにお考えですか。
知事
勧告の内容について吟味しながら、色々専門的な数字の取り扱いもありますので、担当部局のほうで基礎データの整理とか、他県の動きについての情報の収集とかをしてもらっている段階です。
広聴広報課
それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。
次の定例記者会見は11月5日(月曜日)の予定です。
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