平成19年11月12日の記者会見記録
ID番号 N11896 更新日 平成26年1月16日
開催日時:平成19年11月12日10時35分~11時2分
広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
本日は知事からの発表事項はございませんので、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
それでは、幹事社さん、よろしくお願いいたします。
幹事社
本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がありませんので、各社から質問があればお願いいたします。
記者
人事委員会勧告についての知事の考え方について伺いますが、政府も国家公務員の人事院勧告の一部見送りの決定をし、さらにお隣の宮城県でもこの前村井知事が財政難を理由に人事委員会勧告の見送りをするような方針を明らかにされています。岩手県にも勧告がなされていますが、それについてどのように受けとめて、どのように対応していくのかお考えをお聞かせください。
知事
国の人事院勧告、地方の人事委員会勧告、それぞれ基本的に最大限尊重されなければならないと考えています。国と地方の違いは、地方は財政的に国の政策によって地方財政があるべき姿よりも切り詰められてしまう、縮小されてしまうということが起きるわけでありまして、今そういうことが起きていると思っています。したがって、国はそういう財源の問題は国の責任においてやっているわけですけれども、地方の場合は地方の責任だけで財源確保ができないところがありますので、そうでなければ人事委員会勧告100%実現ということをすべきときであっても、そうした財政上の問題からできないこともあるということが言えると思います。
記者
翻ってみれば、岩手県の場合は毎年財源不足が200から300億円という試算をされています。慢性的な財源不足がある中で、今お話しされた財政上の問題からそうできないこともあるということから考えれば、つまり見送ることもあると理解してよろしいのでしょうか。
知事
今県庁人事当局と職員労働組合で交渉しているところですけれども、県側からの提案としては、本当であれば今年度から実施しなければならない勧告の内容ですけれども、来年度からの実施ということで提案しているところです。
記者
もう一点伺いますが、いわゆる地方の財源不足の話で、北海道が公約違反だと言われながら県職員の給料を9%カットする方針を出されています。多分このことは各都道府県に共通の話だと思います。今のところ岩手県職員の給料については、まだカットされていないはずなのですけれども、それについて手をつけるつもりがあるのかないのかお聞きします。
知事
毎年200億から300億円の財源不足が今後続いていくという中で、県の予算全体についてゼロベースからの見直しを指示しています。そうしたあらゆる分野の財政の見直しという中で、給与ということも聖域にはならない、検討の対象になると考えています。
記者
聖域にならず見直しの対象になるということだと思うのですが、その場合には議会に条例改正について提案されることになると思うのですけれども、そのめどは来年の予算編成も踏まえて、2月議会になると考えてよろしいのでしょうか。
知事
12月の終わりごろに地方交付税の総額が政府予算案の形で決定します。それを見てみないと決断はできないと思っています。また、地方交付税の、これは復元とか、充実とか、増額とか色々な言葉を使っているのですけれども、先週の北海道東北知事会でもそういう増額あるいは復元、充実を国に求めていこうということを改めて確認しましたし、全国知事会でも今週また政府との会がありますけれども、そうした主張がなされると思います。そこはもう12月末まであきらめずに頑張っていきたいと思っています。
記者
以前この会見の場ではなくて、競馬組合議会の会議の中で地方交付税が十分に手当てされない場合には、県職員の給料にも手をつけざるを得ないという発言をされましたけれども、それについて今もお考えに変わりはないでしょうか。
知事
検討していかなければならないという言い方をしたと記憶していますけれども、そのとおりです。
記者
岩手競馬についてですが、先週の運営協議会のときに2億9,000万円というコスト削減ということで決まったわけですけれども、改めてこれを受けて管理者として黒字達成という見通しについてはどのようにお考えなのかお伺いします。
知事
おかげさまで、よほどのことがない限り今年度の黒字達成が現実的なものになったと思います。2億9,000万円というコスト調整は決して簡単なことではなかったのですけれども、岩手競馬を存続させなければならないという関係者の皆様の決意が実を結んだと思っています。
記者
ということは来年も存続できるということですか。
知事
はい。まず、今年度の黒字がほぼ確実になりましたので、来年の存続もほぼ確実と言ってよいと思います。
記者
話は変わりますが、マレーシアに来週訪問されるということで、改めてそれに向けての意気込みというか、ご自身としてはこんなことをやってみたいとか、そういうような点がありましたらお聞かせください。
知事
先週の北海道東北知事会議と併せて行われたほくとうトップセミナーでも、東アジアとの交流連携の重要性が確認されまして、中国から、また東南アジアのほう、いわゆる中産階級といわれる日本人並みに消費ができる層が東南アジアで今1億人、中国には2億5,000万人いるということで、岩手の県産品を大いに売り込んできたいと思っています。本当に全国有数の世界に通用する岩手の農、林、水産品でありますし、また加工食品も非常に水準が高く、これらも持ってまいります。
大連に行ったときには中国語のスピーチをやりましたけれども、今回はマレー語と英語を交ぜたスピーチを行う予定でありますし、あとはホヤはシースクワートとか、岩手の県産品を英語で言う準備をしていまして、マレーシアの要人を大使公邸に招いてレセプションを開催する企画があるので、そこにアメリカ大使館の人にも来てもらったりとか、色々なクアラルンプールの重要人物が国際的に集まりまして、そこでアワビはアバローニとかきちんと説明して食べてもらって、輸出の拡大につなげていきたいと思います。
記者
県の職員表彰についてお伺いします。事績功労者ということで表彰もされているのですけれども、今回の表彰で林業技術センターの職員に対して、チップボイラーの開発についての事績を認めて表彰したということがありました。その事業なのですけれども、実は工業技術センターの職員も大分同じテーマに向けて開発してかなりやったのですけれども、独法化により身分が地方独立行政法人のほうになったということで除外されています。同じテーマを持って功績を認められた一方が表彰されて、一方が対象外ということについてどのように考えていらっしゃるかお伺いします。
知事
あくまで県の内部の行事でありまして、県職員という中で事績功労ということで、県職員の中でここは褒めて、ほかの県職員の励みにもしようという中で選んだ結果でありますので、今県職員ではない人がしたことを褒めなくてよいとか、その価値を認めないという趣旨では全然ありません。むしろ制度としては県職員の中でだれを褒めようかという制度の中ではあるのですけれども、チップボイラーに関する事績の大きさ、その価値の高さということは改めて今回別の形ですけれども、評価した格好になっているので、むしろそれは工業技術センターの皆さんには励みに思っていただければ幸いと思います。
記者
いわゆる法人化はしていますけれども、県の行政機構とかなり強いつながりがあるところなのですけれども、制度的に問題があれば直すというようなことは考えられませんか。
知事
県関係の法人については、どんどん民営化的にしていく、県ではなくしていくという1つの改革の方向がありますので、組織としては県から自立した独立性の高い形で民間の皆様と力を合わせてやっていけるような体制のほうがむしろよいのだとは思います。また、表彰制度というのは、あくまでもそれは県職員の中で県職員にどう働きを強めてもらうかという話の世界でありますから、それと別に独立性を高めている法人に対して県がどう関与していくかということについては別途工夫をしてまいりたいと思います。
記者
一関市と藤沢町の合併の関係で、一関市長は藤沢町の国営農地開発事業の償還のために国と県のバックアップが欠かせないということを一貫して言っておられるわけですけれども、改めて知事就任から半年たって、今後国への働きかけ方を含めて県としてどう対処していくおつもりなのかお聞かせください。
知事
この前、増田寛也総務大臣就任直後にあいさつに行き面会したときにも、藤沢町のことはよろしくお願いしますと言ってきたところでありますけれども、やはり機会あるごとに藤沢町のことは国に対して訴えていきたいと思っています。県としても、住民が望む形をできるだけ早く作っていくことに県も責任があると思っていますので、色々な努力と工夫を重ねてまいりたいと思います。
記者
現状ではなかなか前に進みにくい状況だと思うのですけれども、その中で一関市側のほうに期待することというのはございますでしょうか。
知事
やはりこれはどの市町村であれ、どういう合併のことであれ、住民本位ということが基本だと思っていますので、今の藤沢町民のこと、そして一関市民のことをそれぞれよく考えていただいて、それぞれの幸せのための対応をしてもらえればよいと思っています。
記者
これはまだ先の話になると思うのですけれども、この前の合併審議会の聞き取りに対して、平泉町側はあくまで平泉という町名にはこだわるという考えを示されているわけなのですけれども、世界遺産登録を来年に控えて、県としては平泉という町名についてはどのようにお考えでしょうか。残すべきとお考えなのか、それとも、なかなかこの辺は言いにくい立場ではあるとは思うのですけれども、個人的な見解でもあればお伺いします。
知事
短期的な話なのですけれども、来年平泉の世界遺産登録が見込まれる中で、断片的に漏れ聞く話では、どうも平泉が岩手県の中にあるということを知らない人が全国には多いと聞いています。私もある社会的に有力なグループと懇談する機会があったのですけれども、半分ぐらいの人が平泉は宮城県だと思っていたというのです。これはまずいと思っていまして、平泉というのは岩手県の中にあるのだということを、来年世界遺産登録が7月に見込まれているのですけれども、晴れて登録の暁には平泉というのは岩手なのだという一大キャンペーンのようなことをしなければならないのではないかと思っていまして、そのキャンペーンのことを考えますとやはり平泉という地名があると岩手の中の平泉ということの周知が図りやすいとは思っています。
記者
今の平泉関係の質問に関してなのですけれども、短期的な話とのことですが、長期的にはどうなのかということと、平泉に関しては奥州市が合併に積極的で、その場合平泉という地名も残してもよいというようなことをお考えのようです。構想では一関市との組合せとなっているのですが、県としてはやはり一関がよいとお考えなのかどうかということも併せて教えてください。
知事
先ほどの平泉が岩手にあるということを周知させるということに関して言えば、そのことが大体全国のほとんどの人がわかってくれば、そういう目的のために地名を残さなければならないという必然性は薄れてくるわけでありますけれども、あとは住民本位という原点に戻って、名前を残したいという思い、また合併の中で名前を残せるような合併とか、そういう住民の皆様の考え、これも漏れ聞くところでは平泉町の皆さんもまず来年の7月を迎えるまでは今のままという感じが強いと聞いているのですけれども、その先のことについてはまた改めて考えていただければと思っています。
記者
IGRいわて銀河鉄道の指令システムの件で伺います。県議会9月定例会で、知事は3者協議の用意があると回答を得ていると答弁されていたのですが、その後どうなったのでしょうか。現状をお聞かせください。
知事
今岩手県とJR貨物、岩手県と国土交通省、それぞれの間で協議を進めているところでありまして、3者協議の日取りがセットされているわけではないのですけれども、まず来年度予算に県としてシステム変更等盛り込んでいかなければならないので、そういう意味では今月中にある程度の方向性を関係者間で合意をとっておきたいということがありますので、もう少し鋭意力を入れてその協議の実現に向けて頑張っていきたいと思います。
記者
今月中というと1カ月あるかもしれませんが、例えば知事が直接何か行動を起こすとか、どのようにしてその方向性を見出すのかお聞かせください。
知事
既に2者間、岩手を中心にしてJR貨物との間、国土交通省との間ではかなりの意見のすり合わせは出てきているのですけれども、まだ内々ベースのところが多いので、そういう意味ではまだ私が直接出ていくというよりは、担当者間で共通認識を深めてもらうのが先決と考えています。
記者
先日、北海道東北地方知事会議で色々なテーマで話し合われて合意されましたが、知事にとって一番何が大きく、一番何が収穫だったのかということと、恐らく国に対しての要望とか提言とかという活動になると思うのですが、今後それをどのように具体的に実現していくのかという点をお聞かせください。
知事
地方交付税問題等の税財源の問題について、緊急提言という形と、それからもう一つ緊急アピールという形で2つまとめることができたこと、そして医師不足問題を中心とした医療体制の整備についても緊急アピールをまとめることができたという、この2つが特に大事だと思っていましたので、これが最大の成果だと思っています。早速先週行われた地方分権に関する全国知事会の地方分権推進特別委員会で、その北海道東北地方知事会議での緊急アピールの内容を全国レベルの会議で紹介をしておりますし、色々な機会に政府に対しても示していきたいと思います。
記者
緑資源幹線林道についてお聞きしたいのですけれども、大規模林道を整備している緑資源機構が本年度末で廃止される方針で、それによって国としては来年度以降県にその事業を移管する方針のようなのですけれども、まだ正式には決まっていないのですが、県として来年度以降、移管された場合どのようにしていくのかというのと、国の不祥事によって事業が県に移管されるということについて知事としての受け止め方を教えてください。
知事
緑資源機構の緑資源幹線林道事業というのは、国全体として戦略的に国家事業としての産業振興、山林保全、そういう国家的プロジェクトとしてやっていた話でありますから、やはり国の事業として続けることが基本ということをまず今でも国に対しては訴えているところであります。産業振興は、反面地域振興でもあり、ローカルな交通の地元の皆さんの足という機能もあるものですから、それぞれ市町村からは事業そのものは県でやることになっても続けてほしいという要望も受けているところでありまして、そういうローカルな観点からの必要性ということも視野に入れてはいるのですけれども、基本的には国の事業として続けるべきというスタンスでまず頑張っていきたいと思っています。
広聴広報課
それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。
次の定例記者会見は11月29日(木曜日)の予定です。
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