平成19年12月12日の記者会見記録
ID番号 N11894 更新日 平成26年1月16日
開催日時:平成19年12月12日10時31分~11時6分
広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
本日は知事からの発表事項はございませんので、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
それでは、幹事社さん、よろしくお願いいたします。
幹事社
本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がありませんので、各社から質問があればお願いいたします。
記者
道路特定財源についてお伺いします。6日の県議会の一般質問で、知事は、道路特定財源は暫定税率を維持して地方公共団体への配分割合を高める必要があるという考えを示しました。そこで、その後の政府与党の暫定税率10年間延長などの見直し案をどう評価するかということと、その理由についてお聞かせください。
知事
岩手県として、暫定税率維持を求めているのは、必要な道路が岩手にはまだ整備されないままたくさんあり、できるだけ早く整備したいという思いから、その重要な財源である道路特定財源の維持を求めているわけです。
今回決まった話の中では、一般財源化という話とまざっていて、道路整備以外に使われる部分がかなり多くなるような決定内容です。これは年度ごとに予算案としてどのぐらいきちんと出てくるかを見てみないとわからないかもしれませんけれども、岩手にとって必要な道路を毎年着実に整備していけるのかということには、少し一抹の不安は残ると思っています。
記者
民主党は、道路特定財源の一般財源化を主張していまして、暫定税率の延長に多分反対してくるのではないかと見られていますが、この民主党の考え方についてはどのように思っていらっしゃいますか。
知事
これも具体的な予算の数字を見ないと最終的に評価できないところがあります。民主党が常に言っている国から地方へのお金の流れを一括交付金の形で何十兆円という規模で地方が自由に使えるお金を増やすという中で、必要な道路を整備するのに十分な財源が確保できればよいとは思っていますけれども、今の時点ではそこの評価はまだできないと思っています。
記者
総合しますと、政府与党の10年間延長の合意というものについては、知事の今の立場とすれば支持する考え方で、民主党の一般財源化で暫定税率延長に反対しそうなものにはすこし待ってくれというような感じなのでしょうか。
知事
暫定税率を維持すればよいということではなく、暫定税率を維持しつつ、一般財源化をどんどん進めて道路整備予算を減らされたのでは、岩手にとっては困るわけでありまして、先ほど一抹の不安と言いましたけれども、そうならないかどうかというのはわからないと思います。政府与党内の議論を見ていても、道路財源確保という議論と、暫定税率も廃止したほうがよいだろうし、一般財源化もどんどん進めるべきだという議論を両方取り込んだような最終決定案になっていると思いますので、これは道路財源確保のベースにもなり得るけれども、道路整備予算を大幅削減する根拠にも使える10年計画ですから、そこは慎重に見ていかなければならないと思っています。
記者
山田湾漁協が27億円余の負債を抱えて民事再生手続を開始したのですけれども、県としての基本的な対応、対策をお聞きします。
それともう一点は、山田町内に5つの漁協がありまして、漁協合併は重要な課題になってくると思うのです。県漁連では、本来ですと本年度末に1県1漁協体制を目指していたのですけれども、なかなかそれが種々の課題で進まない状況です。知事は、この漁協合併についてはどのようにお考えでしょうか。
知事
まず、山田湾漁協が民事再生という形になったことは残念なのでありますが、漁協は存続し、事業も継続されるということで、漁業生産活動には大きな影響は出ないものと見込まれているので、農林水産部に山田湾漁協民事再生対策連絡会議を設置して漁協系統団体と連携を図りながら助言等を行っていきたいと思っています。
今後の漁協合併との関係ですけれども、これは県内の各漁協において合併の議論を真剣に行っていただいているわけでありますが、今回の民事再生という事態は、より経営基盤の強化をやっていかなければならないという強い認識につながるのではないかと思っていまして、合併に向けての取り組みを促進する流れになるのではないかと思っています。
県としても、合併を通じた経営改善が必要であると考えていますので、指導助言を積極的に進めていきたいと思います。
記者
来年、平泉の世界遺産登録を目指しているわけですが、知事は登録後にいわて平泉年という考えも打ち出していますけれども、このいわて平泉年に向けた基本的な考え方と、現段階でどのような取り組みを考えているのかお伺いします。
知事
いわて平泉年というのは、来年度予算、来年度の事業として県庁内部で検討している段階のものではありますけれども、この平泉の価値というものを本当に県民全体のものにして、そして県民だれもが対外的にその価値を説明できるようになる、そのくらいに県民が平泉の価値を自分のものにしていくということが大事だと思っています。そのため、知事が自ら先頭に立って、県民が平泉というものについて考え、そしてその価値を自分たちのものにしていくという取り組み、どういうことができるのかを今色々検討しているところです。
記者
大きく2点お伺いします。まず1点目なのですが、県の新しい地域経営の計画についてなのですけれども、昨日も県議会議員の方を対象に詳しい説明をされていたと思います。その中で何人かの県議の方から、色々な異論が出ています。平成15年の10月に公布された、県行政に関する基本的な計画の議決に関する条例の第3条に、知事その他執行機関は、基本計画策定、変更又は廃止をするに当たっては、議会の議決による承認を経なければならないとなっていて、多分それを根拠にされての話だと思います。そこで、知事のお考えを聞きたいのですが、県議への説明の中で県の幹部の方は、今回は実施計画であって、議決の対象にならないというような答弁をされたということなのですけれども、そこに対して違和感があり、前の計画というのは9の圏域を対象にしたものであって、今回は4つに分けて、改めてつくり直したものと認識していると思うのです。その場合に、やはりルールとして条例があるとすれば、きちんと議会へ議決を求めるべきではないかと、それが県民を代表している議会の役割でもあるし、そこに問いかけるのが執行部の役目ではないかと思うのです。まずその点について知事のお考えをお聞きします。
知事
その条例をめぐる執行部と議会との間での了解事項として私が聞いていたところでは、そこで言う基本的な計画というのは夢県土いわての総合計画やその総合計画を実施するための基本計画というレベルの計画についてであって、その前期実施計画、後期実施計画とか、あるいは増田知事時代のマニフェストサイクルを意識してご自分の知事選に出した公約をほぼそのまま政策に取り入れた40の政策という4カ年計画といったものについては対象にならないという説明を今まで執行部として議会側にしていたと聞いていまして、そういう意味で私も今回の新しい地域経営の計画は議会の議決の対象にはならないものと考えていました。
夢県土いわての12カ年計画は、策定の段階から県民を巻き込んで色々な団体、企業、個人の意見、市町村の意見をたくさん集めて、最終的には電話帳ぐらいの厚さの3分冊としてセットされ、そういうプロセスの中で県議会がしかるべく役割を果たすという趣旨でそういう条例ができたと理解しています。今回の私の新しい地域経営の計画というのは、いわゆるマニフェストサイクルという選挙戦で訴えたマニフェストを政策にしていくという性質も持っておりまして、選挙による県民からの負託、承認を得た形になっているマニフェストについて、新たに県議会としての議決が必要かどうかというのは、従来のマニフェストサイクルの議論の中では必要とは議論されていなかったとは思います。ただ、今、県議会としても関与する必要があるのではないかというお話が出てきたことについては、詳しい中身は私はまだ承知していないので、傾聴に値するものがあれば伺っていきたいと思っています。
記者
県の執行部側も丁寧な説明をされていて、パブリックコメントを実施したり、各地域で説明会を開かれているので、皆さん概ね理解されていると思うので、これが否決されるものではないと私自身は思うのですけれども、県議会の議員も県民の代表ですから、その辺のことを聞いて対応していただきたいと思います。
もう一点なのですが、昨日決着した税制改正の関係で、東京都、大阪、愛知、それから神奈川から計3,600億円の税源移譲で、交付税にして地方に配分するという話なのですけれども、その決定過程について知事の考えを教えてください。
知事
自民党税調の決定ですから、党の中でどういうプロセスで決めるかというのは党の自主性、自律性にかかわる問題とは思いますけれども、ただ与党でありますし、かつ決定段階で総務省や財務省も関与して決めているというのはわかるわけでありますから、もう少し地方団体、特に全国知事会など、地方との対話というプロセスを経て決められるのがよいのではないかという気もしています。
記者
昨日、宮崎の知事も受け取る側としてうれしいのか、どうなのかよくわからないのですけれども、国のやり方がおかしい、石原知事も全くおかしいのではないかという話をしています。つまり地方のものを一回国が管理して、また地方に再配分するということ自体についてはどう思いますか。
知事
税源移譲ということを目指して全国知事会でも取り組んでいたわけでありますので、2兆数千億円規模の地方税を国税化するというのは、そういう改革には逆行するものだと思っています。
記者
もしその手法により交付税を減らすという話が出てきたら、宮崎の知事は絶対そういうことはやめてほしいということを言っていますけれども、その考えについてはどう考えますか。
知事
まず地方交付税で地方団体ごとの歳入バランスの差を埋めるというのが地方財政の趣旨でありますから、今回の偏在是正措置で地方交付税はもう減らしてよいということについては本末転倒だと思います。
記者
今の法人2税の移譲についてに関連して伺いますが、全国知事会の緊急声明とは真逆と言ってもよいような結論が最終的に出ていると思います。今回の決定自体は暫定ということなのですが、今後国に対してどういうことを求めていくか、どういう形が一番望ましいと考えているのかということについて、知事会の声明でも出ているとは思うのですが、改めてこの時点でお伺いします。もう一点は、県財政の県債残高も1兆4,000億円以上になっていると思うのですが、こういった事情を踏まえて現状認識について改めてお伺いします。
知事
自民党税調の資料によれば、地方消費税の充実を図るとか、偏在性が少なく、税収が安定的な地方税体系を構築することを基本に改革を進めるとか、消費税を含む税体系の抜本改革とか、知事会として訴えていたことを総論部分ではそのまま書いているので、そういう方向で本当の抜本改革が進んでいかなければならないと思います。暫定ということではあるのですけれども、おっしゃるとおり総論で言っていることとは正反対の措置になっていますので、そこのところはやはり問題だと感じています。
地方財政の厳しさを克服していくためには、筋の通った抜本改革を一日も早くやることが重要なので、そこは先送りせずにしっかり取り組んでもらわなければならないと思います。
県財政については、200億から300億の財源不足が今後3年間続いていくという状況でありますので、そこを根本解決するような国の税財政体系の抜本改革というものを求めたいと思っています。
記者
昨日、政府で原油高に伴う灯油などの補助とか、そういった多方面に渡る基本方針対応というのが決まったと思うのですが、まず基本方針が示されたことについての知事の所管をお伺いします。
知事
オイルショック以来の危機管理でありますから、エネルギー政策というのは国の所掌なので、そこでまずこれだけ問題になっている中で、そういう方向性が示されたことは評価できると思いますので、地方の暮らしや仕事の現場、そこの実態を踏まえて効果的な施策をとってほしいと思います。
記者
今月下旬にも具体案が示されるようなのですけれども、財政厳しい折ではあるのですけれども、県として独自の取組、対策というのは考えていらっしゃるのかどうかを教えてください。
知事
財政が厳しいということがあるのと、あと業界秩序的なものが絡んできて、コストが高くなってきているけれども、それを製品価格に転嫁できないゆえの問題とか、昨日も奥州市で青年の方々との県政懇談会の中で飼料、えさ代が高くなって畜産が非常に厳しいというお話がありました。これは肉の生産の話でしたが、今朝のニュースによると牛乳は価格転嫁をするみたいです。大手が販売に絡んでいるようなところは、価格転嫁とかがやりやすいみたいですけれども、そうでないところはどうしても生産者がかぶってしまう傾向にあります。
また、価格転嫁できればよいというものでもなく、灯油などの生活必需品は、今度は消費者に対して非常に大きい影響が及びますので、まずしっかりその辺の現状を把握しながら暮らしの現場のほうでも、仕事の現場のほうでも大きく困ることがないようにしていかなければならないと思っています。
記者
具体案の策定まで、県としては政府の情報収集という対応になるのでしょうか。
知事
政府はいざとなったら備蓄している原油を使うという手段まで持っていますので、まずはエネルギー政策として国のほうにきちんとした対応をしてほしいと思っています。
記者
消えた年金、宙に浮いた年金というのが、非常に照合作業が難航しているといったことが言われていますけれども、このことについて政府に対して約束違反ではないかという声もあるのですが、知事としてはどのような認識をお持ちですか。
知事
選挙のときの公約というのは、本当に大事なわけでありまして、特にマニフェスト選挙ということで、政策本意のきちんとした選挙にしていこうという大きい流れがある中で、選挙だから縮めて言ってしまったとか、そういう感覚で公約をつくったり、また選挙を戦ったりということは信じられない感じがしています。やると言った以上、約束した以上は本当にその約束は果たさなければならないし、果たせなかった場合にはそれなりの責任の取り方があるのだと思います。もともと事の発端が事実関係のごまかしということから年金の問題は深刻化しているわけですから、ごまかさないというスタンスが必要なのだと思います。
記者
税制改正に関して追加でお聞きします。ふるさと納税制度が当初言われていた形とは違うやり方ではありますが、導入が決まりました。これに関する評価をお伺いします。
知事
一般論としては、税金の使い道について払う側が色々自分なりの思いをそこに乗せられるというのは好ましいと思います。NPOに対する寄附についても、もっと控除など優遇すべきという議論を衆議院議員時代していましたし、そうやって納税者が税金の使い道を自分でも選べるようにしていくということは、一般論としてはよいことと思います。ただし、地方財政の危機を解決するための措置という位置付けで、そういうことをやっているのだからよいのだという免罪符みたいに使われるのは本末転倒だと思います。先ほど言ったような抜本的な税財政改革をきちっとやることが求められているのだと思います。
記者
導入が決まってしまうと、今度は各都道府県で寄附を受ける側の団体をどの範囲にするかということで、知恵比べというか、そこに任意性があって、地方の独自のアイデアでやってくださいという話になるのですけれども、岩手県としてはどの程度までというようなアイデアみたいなものが今の時点ではありますでしょうか。
知事
今の時点では白紙と言ってよい状況ですけれども、ソフトパワー戦略ということで、岩手全体を対外的にどんどんアピールしていこうということは既に着手しておりまして、買うなら岩手の物、雇うのなら岩手の人、行くなら岩手県というような、岩手のアピールの中で、納税するなら岩手県ということも取り組んでいくことになると思っています。
記者
増田総務大臣はこの議論の過程で、消費税1%分を地方にあてがうという形のほうがよいのではないかということを主張されていました。結果的にそれが今回は通らずに税制大綱の中で将来的にそういったことも検討していくというようなことが明記されることになったわけですけれども、税制大綱に明記して今後やっていく姿勢を打ち出したということに関してはどのように評価されていますでしょうか。
知事
やらなければならない抜本改革の方向だと思いますので、求められているのは実行だと思います。ですから、さすがにそれと正反対の暫定措置をする中で、そういう総論的なところに書かないわけにはいかなかったという事情もあるのだとは思いますけれども、先ほどの公約の話と同じで、書いた以上はきちんとやってほしいと思います。
記者
先ほどのいわて平泉年の話なのですけれども、予算編成が進む中で、今現時点で知事が思い描いている事業があれば教えてください。次に、世界に向けて平泉の理念というものをどのように発信していくのかお聞かせください。
知事
具体的に何をするかというのは、まさに検討中でありまして、今の段階ではまだ抽象的にすべての岩手県民が平泉の価値を理解して、そして対外的にも説明できるくらいにするというようなことに資する事業をしたいと思っています。簡単に言うと平泉の価値というのは、まず、蝦夷も源氏も関係なく敵も味方も関係なくすべての戦争犠牲者を弔うという、人と人との共生ということだと思います。あとは、インド、中国では浄土のイメージは人工庭園みたいな四角いプールのような池があって、そこにハスの花があるようなイメージだったのが、日本に渡ってきて自然景観をそのまま浄土のイメージにしていくという、それが平泉にもあらわれているわけで、そういう人と自然との共生ということ。そして、そういう2つの意味での共生ということに加えて、地方政権の中心地ということで、自立という価値を代表するものでもあります。自立と共生というと、今の総理大臣がスローガンにしている価値でもあるのですけれども、そういう21世紀の日本はもちろん世界にとって大事な価値を11世紀、12世紀に先取りしていたということ、またそれが突然変異的に平泉として誕生したのではなく、それ以前から岩手の地に自立と共生のこの理念が脈々と生きていたということ、そこを岩手県民の共通認識として対外的にもアピールしていければよいと思っています。
記者
平泉に関しては、来年は仙台、宮城の観光キャンペーンがあり、また仙台方面からのお客さんが平泉を見た後に宮城のほうに戻ったりとか、遠方からの観光客が仙台空港におりて、平泉を見てそのまま帰るとか、観光面で恐らく宮城方面と競合する部分も出てくるかと思います。全県的にその効果を波及させていくに当たり、今考えていることは何かありますか。
知事
仙台空港がなかったら平泉に来ないような人が、仙台空港があるがゆえに仙台空港に来てくれるというプラス効果は大いに歓迎したいと思いまして、そういう意味では宮城や仙台との共存、共生を図っていきたいと思っています。一方、せっかく平泉までいらしてくださるのであれば、岩手のほかのところも見てほしい、岩手のほかのところにも滞在してほしいと県としては考えますので、岩手としての平泉を含んだ色々な観光のパッケージの提案でありますとか、また平泉をきっかけにして岩手に関心が高まった機会を利用して、平泉以外の岩手の色々なところ、特に県北・沿岸も含めて強くアピールをしていきたいと思います。
広聴広報課
それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。
次の定例記者会見は12月25日(火曜日)の予定です。
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