平成20年2月21日の記者会見記録

ID番号 N11887 更新日 平成26年1月16日

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開催日時:平成20年2月21日10時30分~11時5分

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
本日は知事からの発表事項はございませんので、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
それでは、幹事社さん、よろしくお願いいたします。

幹事社
本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がありませんので、各社から質問があればお願いいたします。

記者
今日から2月定例県議会が始まります。新年度の当初予算案とか、色々な重要な議案が提案される予定ですけれども、この議会を知事はどう位置づけるのか、それをまず1点お聞きします。

知事
平成20年度予算を審議していただく大事な議会だと思っています。年度の予算を決めるということで大変重要なのでありますけれども、今回は特に今後3年間の方向性を定める、そういう特徴があると思っています。そういう意味で、また一段と重要な議会になると思っていますので、平成20年度の予算の執行についてきちんと答弁していくのはもちろんなのですけれども、今後3年間の県政の方向性についてもきちんとご説明していきたいと思っています。

記者
今日の本会議で副知事の同意案件も提案される予定ですけれども、盛岡地方振興局長の宮舘さんを起用する理由を改めてお聞かせ願います。

知事
起用する理由は適材適所です。

記者
その一語に尽きると思うのですが、特にこういう面でという部分がありましたらお話をお聞かせ願います。

知事
総合的な判断でありまして、財務、人事、企画、それぞれ経験あるとかということもあるのですけれども、でもそういう人でなければ副知事になれないのかということでもないと思いますし、そういう意味でもやはり総合的に適材適所で判断いたしました。

記者
先日、東芝の新工場の建設が北上に決まったと発表がありまして、県にとっては吉報かと思うのですけれども、一方で周辺にどういうふうに経済効果を波及させていくかという課題もあるかと思います。とりわけ県北などとの、いわゆる南北格差もさらに進むかと思われますが、この点に関してはどのようなお考えがあるのかお聞かせください。関連して雇用効果もあると言われていますが、最新式の全自動の工場ということで、高度資本を集約したあまり人手を使わない工場になるということも言われております。正社員をなるべく地元から採用していくように働きかけをするのは、企業なので難しいかと思いますが、この点に関してどのように対応されていくかお考えをお聞かせください。

知事
まず、直接的な効果として、新工場の建設にかかわる経済効果、そして操業が始まるに当たっての雇用による効果、そして操業に当たってはビルメンテナンス的なところも含めて関連の産業も色々と受注する効果があり、働いている人は、物を食べたり暮らしたりしていくことでの地域への経済波及効果も非常に大きいものがあると思います。それだけでも本当に未曾有の非常に大きな岩手への経済効果だと思いますけれども、それが北上とその周辺だけにとどまらずに、例えば雇用の面でいえば北上の有効求人倍率は既に1を超えているわけでありまして、県北・沿岸からも雇用していただけるような働きかけを県からもしたいと思っていますし、関連の色々な経済効果も県北や沿岸にも及んでいくように県としても工夫をしていきたいと思っています。

記者
雇用の形態に関しても必ずしも正社員だけではなく、今は派遣などがあります。地元からどれぐらい採用するのか未確定な部分がありますが、この点に関して働きかけなどどのように考えていますか。

知事
これは東芝さんに限らず、従業員の雇用についてはなるべく正規雇用を県内の事業者には働きかけているところでありまして、同様の働きかけをしたいと思います。今ある岩手東芝エレクトロニクスさんの工場は、私も知事になってから見学させていただいたのですけれども、非常に効率的に最先端の機械化が進んではいるのですけれども、やはり要所要所に人間が関与していました。岩手の県民性として勤勉でまじめで誠実というところがあるのですけれども、そういう人材が要所要所に求められていると思いましたし、さらには研究開発的なところにも岩手の人材が参画できるよう、県としても後押ししていきたいと思います。

記者
今日、トヨタ自動車の子会社のセントラル自動車と宮城県が用地取得に関する立地協定を締結するということなのですけれども、この件に関するご所見と、今回の東芝進出と合わせて県内経済に与える影響についてどうお考えかお伺いします。

知事
セントラル自動車さんの宮城県北への立地は岩手にとっても非常によい影響がありますので、順調に進んでいるということは大変よいことだと思います。岩手にある関東自動車工業さんとセントラル自動車さんと合わせて50万台から、さらには100万台という組み立ての生産規模が視野に入ってくるわけでありまして、岩手の産業集積についても非常に希望が広がっていくと思います。そして、岩手はこの自動車産業と、そして昔からある電子、半導体関係への産業集積という2つの山から成る連峰型の産業集積というのをねらっているわけでありまして、セントラル自動車の新工場と、そして東芝さんの新工場の進出は、岩手の産業振興の方向性が強力に加速していくということで大変よいことだと思っています。

記者
先ほどの東芝の件でもう少し伺いたいのですけれども、県北・沿岸に限らず、県の予算規模よりも大きな建設規模のものが来るわけですから、本当に大きな期待があると思うのです。来年着工とか色々な話は出ていますけれども、一日も早くそれが稼働して経済効果が上がってほしいと知事も考えていると思うのですけれども、そのために県としてこれからどのようなことができるか、具体例として、オプションとしてどのようなことをできるかというのと、それをどういうふうに考えていきたいかについて具体的にお聞かせ願います。

知事
土地、あるいは周辺環境的なところについては北上市で準備してきていますし、工業用水については、県の企業局で内々に準備してきていました。電力については、東北電力さんのほうで内々に準備してきたと聞いていまして、そういう意味ではもう準備万端整っていて、あとはもう着工というふうに大体なっていると思います。けれども、実は去年の建築基準法の改正があり、6カ月半くらい手続が余計にかかってしまうらしいのです。建築基準法改正というのは、岩手を含め全国の住宅着工件数を大きく下げて、経済的にいかがなものかということを及ぼしているのですけれども、それがなければ実は半年早く着工できるはずなのです。産業政策面からそこのところはどうにかならないものか少し研究したいと思っています。

記者
稼働がもう少しかかるということですけれども、色々なところに中央からではなくて、岩手の資本とか、岩手の人材とかを使ってほしいというのはもちろんあると思うのですけれども、そのための働きかけをどのようにこれからしていきたいと思いますか。

知事
北上川流域ものづくりネットワークという枠組みもあって、いざこういうことが決まったときにはという想定は関係の企業の皆様、そして大学等の研究機関、そして県や市町村、行政等々、みんな手ぐすね引いて待っていたところがありますので、もう既に動きを始めているところもあるのではないかと思います。自動車のほうでは既にできているのですけれども、県としては3月に半導体に関する産官学の産業集積推進のための会議を立ち上げる予定にしていまして、そういった場も活用しながらできるだけ今度の東芝新工場についても地域の力がそこにどんどん入っていくようにしていきたいと思います。

記者
東芝の関連なのですけれども、具体的な支援策と受け入れに当たっての補助金とかについての用意がどうなっているか教えてください。それから、先ほどの建築基準法の絡みもあると思うのですが、全体的な受け入れの窓口となるような新たなセクションの設置をお考えなのか教えてください。

知事
受け入れ態勢については、既に県の企業立地推進課が中心になって1つの窓口で大体すべての手続とかやりとりが済むような一種のワンストップサービス体制はできていまして、今回もそれが非常にうまくいったケースだと思います。助成金についてですけれども、これは県の方針として助成金ありきの企業誘致はしないという基本方針でありまして、人材の育成とか、また周辺環境の整備、そして県全体の産業基盤、インフラ整備など、そうした総合力で選んでもらうことを基本方針としていますので、幾つかの県が行っている何億円という金額を前面に出してのアピールはしないようにしています。他方で、遅れをとってもいけませんので、補助金の上限は設けずに、きめ細かく相談、打ち合わせをしながら決めていくというプロセスをとっています。最終的には県議会に予算案として提出しなければなりませんので、その段階で金額がはっきりしてきますけれども、まだ投資額等について会社側も固まっていませんので、今後固まっていく中で助成金についても正式に決定するという段取りになります。

記者
自動車関連なのですけれども、セントラル自動車と宮城県の立地協定があるわけですけれども、それだけではなくて関連のトヨタ紡織なのか、関東シートなのかわかりませんが、宮城に進出するということです。宮城県は財政事情厳しくて、かなり企業誘致に積極的に乗り出して、連携するといいながら競争の部分もあると思うのですが、さらなる自動車関連の誘致に向けての岩手県の取り組みと今後の方針とかがありましたら教えてください。

知事
まず、岩手の工場立地の環境のよさの説明については、機会をとらえて色々な会社に私が直接赴くこともありますし、担当の者は経常的に行っていることです。一方、そういったことを岩手単独でやるのではなくて、宮城県と連携しながらやっていくということも大事でありますし、東北全体での自動車関連産業集積促進会議という枠組みを去年つくりましたから、その活動を行う中で、東北全体を自動車産業の拠点、さらに半導体についても日本の中で、あるいは世界の中での一大拠点にしていくという方向性というのが大事だと思っています。その中で岩手が名誉ある地位を占めていくという考え方で進めていきたいと思います。

記者
今日の議会で副知事人事の同意が得られればという前提なのですが、宮舘さんに期待するものとして意識改革、内部改革など色々あるかと思うのですけれども、今後どういった部分を期待するのか教えてください。

知事
危機を希望に変える、希望王国岩手の実現ということで、いわて希望創造プランの着実な実施について私と一緒に、そして県職員と一緒に進めていくということを期待しています。

記者
この前、合併推進審議会で知事の勧告のあり方について、議会が望んでいる場合とか、極めて限定的、抑制的にすべきだということでまとまりそうな雰囲気なのですけれども、これは知事の考えに近いものなのかどうか教えていただけますか。

知事
まず、審議会の議論を尊重しなければならないと思っています。その中で非常によい議論をしていただいていると思っていますし、議論の方向性については、私もよい方向性だと思っています。

記者
その中で、勧告をやるのであれば今年秋までにという話なのですけれども、もしそういう環境が整えばやるということもあり得ると、現時点で考えていますか。

知事
国の法律や、また色々な行財政改革の観点から見たタイムスケジュールとしては、今年の秋までにそれぞれ一定の結論を出すことが望ましいという一般的な状況はあると思います。住民自治という自治の原点に立ち返って、住民の生活の向上のために住民がどういう枠組みで自治をしていくのかという選択をしていく際に、市町村合併というのは極めて有効な手段の一つだと思っていますので、そうした前向きな取り組みについて、今年の秋を一つのめどにして取り組んでいくということは非常に望ましいことだと思っています。ただし、個々の地域、市町村の主体的な議論のペースというものもあると思いますので、一概にそこまでにやらなければだめだということは言えないと思っています。まず、その辺のニュアンスを合併推進審議会のほうで今最終的に調整していると思いますので、そこを見守りたいと思います。

記者
「せんたく」という超党派の組織に関して伺いたいのですが、昨日、議員連合もできまして、その前に民間の組織ができていまして、その民間の組織には現職の知事さんも名前を連ねていらっしゃいます。民主党出身の松沢さんも入っているわけですけれども、まずこういう組織自体についての知事の評価をお聞きします。

知事
政治活動の自由というのは憲法が保障する自由の中でも基本的なものでありまして、デモクラシーの発展のためには政党活動など政治的な自由な行動が盛んに行われるとよいと思います。政党活動と同じように、そういう非政党的な政治活動が行われることも、それはそれでよいのだと思います。

記者
発起人代表の北川さんは、どんどん色々な形でウイングを広げていきたいとおっしゃっているのですけれども、知事はこの組織に参画するお考えというのはありますか。

知事
一つは、県行政の一環として参画するにはふさわしくない政治的な団体だと思っています。そこに私が参加するとすれば、政治家達増拓也の個人としての活動になると思うのですが、私は政党政治の確立こそ日本にとって必要だと思っていますので、政治家個人の政治活動をする余裕があれば、政党の発展のため、私としてできること、何か効果があることに取り組んでいきたいと思っています。あの団体は主として二大政党である民主党と自民党の政策を比較したり、あるいは政策の提出を促すことが基本みたいなのですが、むしろ私は直接民主党に対してこういう政策でやるべきだと言うべきであり、民主党の政策をつくる仕事をしていた私が中立的な立場で二大政党のそれぞれに働きかけるというのは少しおかしいと思っています。
先ほど、一般論で中立的な活動というのも自由だとは言いましたが、日本における政党政治の確立を目指すある特定の政治的立場からいいますと、あまりそういう中立、中間的な非政党的なものが日本政治の中でどんどん巨大化していくことは政党を弱くする、せっかく二大政党で政権交代みたいな流れがある中で、そういう第三者的な立場が大きくなると、かえって日本の政党政治の成熟を遅らせる危険性があるのではないかということを懸念します。

記者
向こう側から参加を呼びかけられたということはありますか。

知事
はい、参加申込書は送られてきました。

記者
道路特定財源の件なのですけれども、民主党の菅代表代行と、知事会を代表して東国原知事、それと麻生知事がこの間公開討論会をやりました。あの場面の発言等をご覧になりましたですか。

知事
テレビのニュースでちらちら見ていましたし、新聞でも読みました。

記者
双方の意見がかなりすれ違いというか、対立が鋭かったと思うのですけれども、どのように見られたでしょうか。

知事
特に申し上げることはございませんというのが結論です。知事会と民主党が共催でやった行事で、それぞれがそういう判断で組織としてやっていることなので、あまりとやかく言うことではないと思っています。道路とか、税制の問題については色々考えることはありますけれども、それはあれに絡めて発言するのではなくて、個人的な意見は言っていったほうがよいと思っています。

記者
我々の立場からすると民主党と知事会という、達増知事から見るとご自身の中の2つの要素が戦ったような形なわけです。あの2つの意見のどちらがご自身の考えに近いのか知りたいのです。

知事
あのような議論自体は大変よいものだと思っていまして、色々深まっていくと思います。私の個人的な考え方としては、岩手のようなところは道路はまだまだ必要で、今現在の仕組みでも決して予算は足りてはいないと思っていますので、道路のための予算が減らされるのは、岩手にとって好ましくないと思っています。ただ財源をどういう形で調達するかというのは、広い国家経営の中での税制のつくり方、税財政のつくり方の問題で、そこには色々な考え方があり得るのだと思います。ガソリン税は、地方の人の方が多く負担しているわけですから、より都会の人たちの負担の度合いが高い所得税や法人税から地方の道路財源が賄われるような仕組みにしたほうが格差是正的には筋が通っていると思います。それは道路財源の一般財源化の反対で、一般財源の道路財源化ということですけれども、そういう中で、そもそも一般財源を地方に一括して移譲して地方が自由に使えるようにすべきという地方分権改革の流れも合わせて考える余地もあると思います。あと、第三の要素としては、今は日本経済の地盤沈下が深刻な状態で、内閣府が編集協力しているESPという月刊誌に「日本経済の成長」という特集号で、宮崎勇元経済企画庁長官が、2%の経済成長というのは、いかにも低い。個人の能力の発現とか、日本国民の生き方の問題として、3%の経済成長がなければだめだよということを宮崎勇さんが言っていて、そういう観点からすると、榊原英資さんが言っているようにガソリン税を引き下げて、穴埋めは国債でやるというのは、景気対策としては非常に筋が通っていると思います。アメリカでは、そういう大減税ということをやっているわけで、減税と財政出動の組み合わせというのは、実は今の日本経済には必要なことでもありますので、そういうことも組み合わせて色々考えられるのかということを個人的には思います。そういう議論は、やはり行われたほうがよいと思うので、国会でもやるわけですけれども、あのような全国知事会と民主党の共催の議論が行われたということはよかったと思います。

記者
今日は県の新年度予算を提案されて、仮に2月議会で可決されたとしますと、国会の新年度予算の方が今の暫定税率の問題等で年度内の予算の成立を見なかったというようなことがあったとすれば、県の予算執行などにどういう影響があると想定していますでしょうか。

知事
国から地方に来るべきお金が来なくなると、色々不都合が起きます。

記者
具体的には、どんなことがまず先に困るとか、こういう対策を打たなければならないというようなことがあるでしょうか。

知事
これもよく考えてみると、そういう国のさじ加減で地方の財政収入が生殺与奪の権を握られているような今の税財政制度が問題の本質と思うのですけれども、そういう意味で、会期末までに、年度末までに国の予算がきちんと決まらないと、地方は基本的に地方自治法上、地方公共団体として求められている役割を果たせなくなると言ってもよいと思います。それは今のそういう税財政制度そのものの矛盾なのでしょう。その矛盾が露呈されることと言ってよいと思います。

記者
今の国会の議論とか現状をご覧になって、どういう結論に達するのがベターだと現時点で考えていますか。

知事
今の話の流れからしますと、そういう国のさじ加減で地方の生き死にが決まるような税財政制度というのを抜本的に改めることが望ましいというのが結論になると思います。

記者
ずっとこの間から気になっていたのですけれども、名札が変わりましたがそれについてご説明いただければと思います。

知事
ありがとうございます。この黒い名札は、この間東京で開催された漆フォーラムの際に漆芸家の室瀬さんからいただいたネームプレートです。ヒノキだったかの木に浄法寺漆を塗って、そこに金の蒔絵で「岩手県知事達増拓也」と書いてあるもので、ネクタイと並んで県産品の宣伝にと思って最近付けているものです。

記者
評判はいかがですか。

知事
目線をネームプレートに感じることは多いですけれども、いわれを質問をしてきたのは今が初めてです。みんな聞きたくても聞けなかったのかと思うので、質問していただいてありがとうございました。

広聴広報課
それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は3月7日(金曜日)の予定です。

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