平成20年3月7日の記者会見記録

ID番号 N11886 更新日 平成26年1月16日

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開催日時: 平成20年3月7日10時30分~11時11分 

広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
本日は知事からの発表事項はございませんので、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
それでは、幹事社さん、よろしくお願いいたします。

幹事社
本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がありませんので、各社から質問があればお願いいたします。

記者
ユネスコの近藤大使が平泉の文化遺産を2日間で視察されました。知事も2日には一関で大使にお会いしたということですけれども、そのときにお話しされたこと、そして近藤大使がどのように平泉を見たかということ、あと世界遺産登録への感触などをどのように感じたかお伺いします。

知事
まず、平泉の世界遺産登録に向けて近藤大使の意気込みの強さを感じました。そして、きちんと本物を見て勉強をして、ユネスコの各政府代表ですとか色々な関係者に自分からきちんと説明できるようになろうとして非常に意欲を持って視察されていったと思います。私と懇談する機会があったときには、私がどのように平泉を説明しているかという話をしまして、自立と共生とか、共生について言うと平和、人と人との共生、環境、人と自然との共生、そういう今日的な理念、ユネスコの精神にもかなう理念を平泉は守ってきて、今も持っているのだという話をしたら、それは大変すばらしい、自分もその辺を説明するときに特に強調しようという話をしていました。

記者
それと一緒なのですけれども、近藤大使もユネスコの理念と共通するということを現地で取材したときにおっしゃっていました。これまで平泉の価値というと浄土というところを基調としているということをずっと言ってきた中で、今度はプレゼンをするということが近藤大使においては側面としてあると思います。そういう観点からユネスコの理念とか、新しい考え方が出てきたことについてどう思われるのかということを伺います。
あともう一点は、今回近藤大使が現地を見たことで、平泉の世界遺産登録がぐっと近づいたとか知事がどのように思われたのか、その点についてもお伺いします。

知事
これはある1つの偏った物の見方なのですけれども、選挙に似ているところがあるのではないかと思っています。正式には浄土思想を基調とする文化的景観として推薦書を提出しているわけですけれども、プラスアルファで色々な魅力とか、メリットとか、そういうものを側面から伝えて、そして最終的には、信任投票を行うようなものだと思うのです。ほかとの争いの選挙ではなくて、それぞれの信任投票みたいな選挙だと思うのです。やはりきちんと信任の投票をしてもらえるように色々な工夫のもとに運動して最終的に選んでいただくというところがあると思うので、そういう意味では非常に強力な運動員を得ることができたと思っています。

記者
道路特定財源問題についてお伺いします。
先の記者会見でも答弁がありましたし、県議会でも色々議論がなされていますけれども、改めて道路特定財源の一般財源化と暫定税率の廃止について知事のご所見をお伺いします。

知事
これは岩手県内でもそうですが、また国会、そして全国的にも議論の段階に入ってきているという感じがします。当初は暫定税率廃止について、マルかバツかというような単純なものとして取り扱われていたところが強かったと思うのですけれども、だんだん岩手県内においても本格的な論説が地元紙に掲載されるようになったりとか、議会においてもかなり突っ込んだ色々な場合分けをして適切な代替措置がとられる場合、そうでない場合とか、そういう場合分けをした議論も行われるようになってきています。国会でも与野党で議論しましょうという中で、与党側から修正の可能性も示唆してきているということで、政府案をそのまま可決することでマルかバツかというような感じではなくなってきていると思っています。
これは大変結構なことだと思っていまして、直面する経済低迷の中での原油高騰がガソリン高にもつながっている中で、いかに庶民の暮らしを守るか、経済を守っていくかという観点でありますとか、そういう時代だからこそ地方に道路が必要であるという地方の暮らしや仕事をよくしていく一環としての道路整備の問題、そしてその財源をどう負担していくかという税制にかかわる財源の問題、そしてそれを一つの枠にはまった制度で固定化するのがよいのか、それともできるだけ自由に、特に地方において自由に使い道を決められるような仕組みにしたほうがよいのかとか、多元連立方程式の全貌が見えてきたことは大変よいことだと思っていまして、これをどう解いていくかが、国民的な知恵の出しどころだと思っています。

記者
その連立方程式をどう解いていくかということなのですが、知事ご自身のこの一般財源化と暫定税率の廃止についてのお考えを改めてお聞きします。

知事
まず、岩手のような地方に道路はまだまだ必要なので財源を確保したいというのが1つ、そして今岩手のような地方の経済や生活の実情を考えると、減税や財政出動のような景気対策が必要な局面にあるのではないかと考えているところが1つ、あとは地方分権の論理からいって、できるだけ地方が自由に物を決められるようにしていったほうがよいという、そういう方向性で議論して物を決めていけばよいのだと思います。

記者
この問題に関して県議会の民主・県民会議と自由民主クラブがそれぞれ異なった全く逆の意見書の提案を予定しているのですが、このことについて知事はどう思われますか。

知事
それぞれ議員や、また会派の権限に基づいて自由に行われることですので、それについてとやかくは申しません。ただ本当に議論が本格化してきているのだという印象を持っています。

記者
先ほどのユネスコの大使の関係についてですが、近藤大使と達増知事は同じ外務省で働いていた仲間だという話を伺ったときがあるのですけれども、そういう意味でやりとりの中での今回の登録に向けてのやりやすさとかというのはあるのでしょうか。

知事
同じ課とか、同じ部署で一緒に働いたことはなく、私が外務省に入ったときには既にもう課長クラスで、書類を届けに行くとかそのくらいのおつき合いだったわけではありますけれども、世界に対して平和や環境の理念というのは非常に重要だというような中身で非常に意見が一致する、そこの背景にはやはり外務省で働いていたということがあって、それでかなり意気投合して同じ方向に向かって力を出していこうという感じになってきていて、これは非常にやりやすいと思っています。

記者
県議会の一般質問の中でも教育長に対する質問の中で出た話なのですが、あえて知事に考えをお伺いします。神奈川県が高校での日本史を必修化するという方針を打ち出しまして、それに対して賛否両論があるということは多分知事もご存じだと思うのですけれども、この日本史を必修にするということについて、知事はどういうふうな意見を持っているのか。もし必修にしたほうがよいという考えを持っているのならば、岩手県でも導入するつもりがあるのか、その点を教えてください。

知事
これは直ちにどちらがよいという結論はなかなか出せないです。学生、生徒本人の勉強したい方向性や進路の方向性、また地域としてどういう勉強をしてもらうのがよいのかという、そういう地域性の配慮、あとは大学入試、進学を考えたときに大学入試のあり方との関係ということも現実的にかなり考えなければならないでしょうから、そういう中で本当にそれぞれが決めていくことと思っています。ただ、一般論ではありますけれども、日本史というのはやはり勉強しておいたほうがよいです。これは、一方では日本史を学ぶ教材というのは教科書以外に色々な本が図書館とか、本屋さんとか、あるいはインターネットの中とか、かなり自分で勉強できる環境にはあるので、そういう意味でも必修にしたほうがよいのかどうかというのは議論が必要だと思います。

記者
今高校では、たしか世界史が必修になっていると思うのですけれども、世界史が必修であるべきかどうか、その辺はどう思われますか。

知事
これも現場に応じた議論をしていかなければならないと思います。世界史のほうがなじみがないといいますか、大河ドラマとかそういうのにならないですし、だから学校の先生からきちんと基本を習っておいたほうがその後自分で色々勉強できるようになるというところがあるという感じはいたしますが、ただ日本史と世界史とどちらのほうが大事かとかという議論はなかなかそう簡単に結論は出ないと思います。

記者
在日韓国人とか永住外国人の地方参政権の付与について知事のお考えをお聞きしたい。これは、民主党の中でも意見が分かれている話だと思うのですけれども、達増知事はどういうふうにしたほうがよいとお考えでしょうか。

知事
相互主義の中で、相手が日本人のそういう権利を認めてくれているのであれば、こちらも相手の権利を認めていくという、まず相互主義の考え方が基本なのだと思います。

記者
IGRのことで2点伺います。
1つは、寝台特急の減便で1億2,000万円の減収が見込まれているわけですが、それに今後どう取り組んでいこうとお考えなのか。
あともう一つは、指令システムもまだまだ不安定な要素がたくさんあると思うのですが、これについて知事のお考えをお聞かせください。

知事
便数を減らさないで維持してほしい、むしろ増やしてほしいという思いをJRさんに伝えていきたいとまず思います。またJR貨物のIGRの線路使用料を決めていくときに、別途JRの寝台特急の旅客運輸収入もたくさん入ってくるのだろうからということを前提に、それとセットで当初決められたということもありますので、そういう意味では線路使用料の見直しの議論ということも合わせていっていかなければならないと思っています。
そして、システム変更の費用については、まさに線路使用料というところにシステム変更の費用の金額も入れていくようにしなければならないのではないかというあり方の議論について、今国会、その周辺で議論がどんどん行われているところなので、県のほうからも色々な材料を提供して、その議論がよい方向に向かうようにしていっているところです。

記者
指令システムなのですが、一つ道筋がついたというお考えでよろしいのでしょうか。

知事
平成20年度の予算措置の仕方について、JR貨物さんのほうでも何もしないわけにはいかないということで、お金を出すという仕組みが決まったということは一歩前進なのですけれども、まだ一歩しか前進していないというところもあり、最終的には国の仕組みとしてJR貨物が第三セクターの線路を使うときにどういう負担料を払っていくかという国の制度を変えてもらうところがゴールですので、そのゴールを目指して進んでいきたいと思います。

記者
この前の議会で「なじょにかすんべ」と方言を使って答弁されていました。「今後なんぼか語っていきたい」というふうにもお話されていましたけれども、こういう方言を使って、今後どんどん色々な県内各地、あるいは県外へ行った際に使っていって岩手を売り込むというお考えはお持ちでしょうか。

知事
緊張すると方言が出てこない。緊張すると出るという人がいるけれど、緊張すると出てこないというところもあって、私はイントネーションとかアクセントはかなり方言が入っていると東京方面で言われているけれども、もう少し語彙の面でもアピールするような、語彙の面でもがんばりたいと思っていて、県庁職員にもよい言葉があったら教えてほしいと言って、既に色々教えてもらっているところです。しっかりやっていくということについては「ぎたっとやってぐ」とか、少しずつそういうのを習うというか、みんなで工夫しているところです。

記者
宮崎県知事は「どげんかせんといかん」で去年の流行語大賞をとりました。あえてそれを意識したわけではないのでしょうけれども、今後本当にこういった形でどんどん売り込んでいっていただきたいという声が結構職員とか議員さんから聞こえてきたので、ぜひお願いします。

知事
方言をはじめ県の特色を出していくということは、昔はNHKでしかやっていなかったようなお国自慢的なテレビ番組が最近民放テレビでもそういう番組がやられるようになったりしていて、世の中の関心が高まっているのかとは思っています。少し前には10代後半の若い人たち向けにかわいい方言の表現集みたいな本が出たりしたこともありましたし、そういう環境になっていると思うので、的確に情報発信をしていきたいと思っています。

記者
合併について伺いたいのですが、県北で財政的に厳しいと思われるところがなかなか合併に前向きではないような話をしていると思うのですが、その理由についてどういった分析をしていて、どういう対処法考えているのかお伺います。

知事
合併に消極的な理由というのは、なかなか県の側から決めつけるわけにもいかないし、決めつけられないと思っています。色々な理由があり、本当は理由ではないのだけれども、議論が深まらない中でイメージ、印象の段階で進まないということもあるかもしれません。そういう意味では、あまりネガティブなところから対策を講じるというのではなくて前向きに住民の力を発揮して、よりよい住民自治、そして本当の自立できる団体自治、単に地方公共団体でありさえすればイコール自立ということではないわけで、真の自立可能な地方公共団体を確立しないと、そこでの住民自治もあり得ないわけですから、そういう自治がきちっと進むような色々な知恵を県として出していく中で、合併についても議論が進むお手伝いをできればと思います。

記者
あともう一点伺いますが、2006年4月の合併推進構想の関係なのですが、結局これは40年、50年とはもたないのではないかという考えを持っている首長の方も結構多いとは思うのです。確かに構想どおりに合併をしても人口は長期的に厳しいと思うのですが、この構想自体が最終形というお考えを持っているのか、またさらに構想をつくる予定なのか、現時点で構わないのですが、どのようなお考えでしょうか。

知事
県として統計数字とか、地理的状況とか、過去の経緯とかから一つのガイドラインとして構想を示しているわけですけれども、もちろん住民の皆様が本当に自由に、主体的に考えていただければよいと思います。主権者として、自分たちが主権者同士、そういう住民自治でやっていくときにどういう規模のどういう団体がよいのかということは自由に決めてよいことでありまして、日本の歴史の中で、本当の住民自治、地方自治というのが可能になってきているのだと思うので、そこは本当に自由に、主体的に考えていっていただきたいと思います。
天下統一のための戦国時代というのがかつてあったのですけれども、逆に天下分割の戦国時代といいますか、どういう分け方にしていくのかというのをそれぞれの地域住民が自由に主体的に、それは昔は戦争で天下統一をやっていたわけですけれども、民主主義的なプロセスで、こういう形でやっていくというのを決めてもらえればよいと思います。

記者
そうすると、構想自体があるにしても、もちろん勧告とか将来的にあるのかもしれないのですけれども、そこまでこだわらなくてもよいというメッセージということでよろしいのでしょうか。

知事
かなりよくできた構想だと思いますので、悩んだり、迷ったりしたときには是非参考にしてほしいと思います。

記者
方言について1点お伺いします。
方言というのは、その地域の固有の文化であると私は思うのですけれども、長らく中央からべっ視の対象になったりとか、あるいは笑いの対象になったりとか、そういった歴史があったと思います。知事は、方言についてどのような認識をお持ちなのかお伺いします。

知事
本当の母国語ということだと思います。英語でマザータンという母親の言葉みたいな表現がありますけれども、自分自身のアイデンティティーの核になる部分だと思います。だから、主権者として自由な個人であろうとするときに、やはり自分の言葉を侵されない、奪われないということはすごく大事なことだと思っています。あとはほかの人とつき合っていくときに共通の言葉を話していったほうが都合がよいのであればそういう言葉を覚え、身につけていけばよいのであって、その延長上に英語をやる人もいればエスペラント語をやる人もいる。その途中に日本語の標準語があるのだと思います。だから、そういうのを絶対視して、方言をおろそかにしたりするということはよくないと思います。

記者
先ほどの合併の件に関連してお伺いします。
住民の側が考える際の基本的な材料として、今ある国、都道府県、そして市町村という3層構造が今後どういうふうになっていくかということがあると思います。知事のお考えで岩手四分の計というのはわかるのですが、それを軸にして上と下は一体どういうふうにあるべきかということをどのように考えているのか伺います。

知事
県というものは歴史上は国の出先としてつくられているわけです。これはそれこそ日本の歴史を振り返っても中央集権化する中で、最初は国府という多賀城国府とかそういうものでできてきて、明治維新のときにフランス郡県制とか、そういう中央集権の形に学んで県というものが置かれ、そして中央から派遣された県令、県知事がトップに据えられる。ですから、中央による地方の管理というのが弱くなって、地方の分権が強くなればなるほど県のそういう機能はどんどん弱くなっていくと思います。中央からの押しつけとか圧力とかが弱まり、地方分権、地方主権が高まっていくときの主役は、やはり一番住民に身近な基礎的自治体ということで、市町村なのだと思います。そして、市町村が力をつければつけるほど、また県の役割というのも薄くなっていくということで、そういう意味で、県は方向的にはどんどん小さくなっていくといいますか、機能が少なくなっていくというのが基本にあると思うのです。ただ、県というのは危機管理のかなめでありまして、もともと中央集権政府でなぜ県というのが必要かというと、それはやはり危機管理なわけです。きちんと反乱を抑えるとか、あるいは戦に備えるとかということから始まって、それが防災とかに対しても県が地方におけるかなめになりますし、今のような経済や社会が不安定になってきていて、市町村限りでは産業振興とか、地域振興とかがうまくできないような危機的な状況においては県の役割というのは強まらざるを得ないものだと思います。私は、今の地方の状況は岩手に限らず危機的な状況になっているので、こういうときだからこそ県の役割というのは強くしていかざるを得ないと考えています。本当に世の中が平和になって3%くらいの経済成長が順調に進んで、そして科学技術が発達して、防災とか、災害対策についてもそんな大仕掛けが必要でなくなってくるような理想的な状態になっていけば県というのはなくなっていくのだと思いますけれども、なかなかそういう状態には今は向かっていないと感じています。

記者
そうしますと、力の割合というのは将来的に国や県が小さくなるとはいえ、外形的には国があって、県があって、その下に四分の計である広域振興局があって、その下に市町村があるという層になるということですか。

知事
広域振興局というのは、あくまで県の機関でありまして、それは県として危機管理だと思っています。今のような経済社会情勢の中で、少しでも所得を高めるとか、何か経済がよくなっていくための材料を花開かせるための調整をしていくとか、そのための県の機構のあり方としてそういう4つの広域振興圏というのを考えていますし、また県の地域振興の戦略として4つの大きい広域に分けてエリアで地域振興していくということが危機突破の一つの戦略ということでやっているところです。

記者
国会のほうで、特に民主党の議員先生方に伺ったりすると、例えば国、それと道州があってその下に300の基礎自治体を置くというようなお考えの方もいらっしゃいますが、こういう考え方についてはいかがですか。

知事
道州については、私は外務省で働いているころには道州制をすごく魅力に感じていました。1つは、当時日本の経済力がものすごく強かったので、日本を幾つかに分けるという一種の分社化です。多くの利益をあげて巨大化した企業はむしろ分社化してそれぞれの自由に任せたほうがさらに発展していくという環境だったということです。もう一つは国の官僚でしたから、その機会に中央政府を小さくして、中央を、国家公務員をどんどん道州に分けて、自分も外務省で働いていましたから東北州みたいな、仙台にその州都があるとしたら自分も仙台に派遣してもらう、あるいは国をやめてそちらに行って州の仕事をしていく。そこで、他省庁から来た人たちと一緒に仕事をしていくというイメージでとらえていたのですが、実際仙台には国の各役所の出先があって、それで農業とか経済産業とか、あるいは交通、インフラ、そういった分野ごとに東北全体についてわかっている人たちがいて、その人たちが協力してやっていけばよいというイメージを持っていたわけです。ただ、それは先ほど私が岩手四分の計の広域というのは、あくまで県の産業振興、県の地域振興の政策であり、また県の機関としての広域振興局と言ったように、私が当時考えていた道州制というのは、あくまで国の施策なのです。国として、そうやって国を分けて国政をやっていったほうが国としてより発展していくだろう、強くなるだろうということで、だから今はそういう国のコントロールをさらにきめ細かく地方に及ぼすというのはむしろ逆なのではないかなと思っているのです。また、国の力も今はそんなにないので、変に今国を分割するとローマ帝国にせよ、あとはチンギスハンの元帝国にせよ、弱っていったときに分割して、一気に滅びへの道を走っていくわけです。強くなっているときに分割するのはよいのですが、弱っているときに分割するというのは、滅びへの道を加速することになるという歴史の教訓があると思っていて、そういうことを考えています。

記者
福島県で公共事業の一般競争入札を一部指名競争に戻すという動きがあって委員がやめたりという騒ぎになっています。そもそも一般競争入札の全面施行については福島県が震源になったわけなのですけれども、岩手が先んじて実施したわけですが、その発信源である福島県でそういう動きが起きていることについてどのようにお考えでしょうか。

知事
透明性や公正性の観点から、一般競争入札というのがすぐれていると思っています。そういう指名入札で色々な不祥事が起きたということをどう克服するかということが担保されないとやはりまずいのではないかと思います。なかなか担保するのは難しくて、むしろ一般競争入札を原則として、そのデメリットと言われるダンピングとか、地方の企業がなかなか仕事をとれないということについては、そういったことに対してダンピング防止の策を講じたり、また地域的な優遇措置というのは、これはむしろ必要だと思っていますので、そういうやり方で是正していくほうがよいのではないかと思います。

記者
道路特定財源の問題でまた重ねて伺いたいのですけれども、先ほど議論の方向性で、財源は確保したい、減税や景気対策は必要だ、地方分権の観点も必要だという3つを挙げられていて、この3つの折り合いをつけるのは多分制度の面では非常に難しいのではないかと思うのですが、多分その議論は今後ということになるのでしょうけれども、知事の中には民主党としての立場と首長としての立場があって、その両方両立させるためにこの3つが必要なのだということなのだろうと思うのですが、知事の中でどちらの立場を優先させるというのはあるのでしょうか。

知事
この問題については、私は論理的整合性というのを最大優先すればよいのではないかと思っていまして理屈で決めればよい話だと思います。多分フランスみたいなところでは官僚が理屈で決めてサクサクやるような作業だと思います。実は、そういうかなり技術的な話です。徴税の効率と公正さの問題と、使っていくときにどういうふうに使っていくかというようなことについてあるべき姿というのは、そういう財務とか、現場の制度に詳しい役所の人が一定数知恵と力を集めればよいものができると思います。ただ、そういうふうに持っていけという引き金は政治のところで決めなければならないと思うのですけれども、要は合理性だと思います。

記者
実際には国会で一種の政局みたいにもなっている。そういう状況についてどういうふうな認識をお持ちでしょうか。

知事
本当は税制、財政が絡む高度に専門的なものは、政府与党が官僚にきちんとした案をつくらせて国会に提出して、野党を説得して、国民を説得して、国会の過半数が納得し、そして国民が納得できるような税財政の体系を示すのは義務だと思うのです。それをしっかりやらないがゆえに紛糾しているということだと思います。

広聴広報課
それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は3月25日(火曜日)の予定です。

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