平成20年3月25日の記者会見記録
ID番号 N11885 更新日 平成26年1月16日
開催日時:平成20年3月25日10時30分~10時59分
広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。
本日は知事からの発表事項はございませんので、幹事社さんの進行によりまして皆様方からのご質問にお答えする形で進めさせていただきます。
それでは、幹事社さん、よろしくお願いいたします。
幹事社
本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意がありませんので、各社から質問があればお願いいたします。
記者
昨日で岩手競馬の今シーズンの全レースが終了したわけですけれども、それで計画はちょっと下回ったものの黒字を達成確実ということなのですが、まずこの件についてのご所見をお伺いします。
知事
当然のことをしたまでという感じです。競馬の趣旨として赤字を出すということはあってはならないことで、黒字で運営していくということが、まず全うできてよかったと思います。
記者
特別開催の発売状況がちょっと振るわなかったようですけれども、このことについてはどのように見ていますでしょうか。
知事
平成20年度以降、持続可能な安定した経営と、そして魅力あるレースの提供が、その基本方針になるわけで、それを実現するために、色々とその理由、背景とかを研究して、参考にしていきたいと思います。
記者
4月5日からまた来期のレースが始まりますが、これについての決意をお聞かせください。
知事
ファンの期待にこたえ、そして県民の信頼にこたえるということが大事だと思っています。そのためにはまだ管理者が先頭に立ってやっていくところが必要だと思っていますので、私も水沢に出向きましてオープニングで、岩手競馬のファンへの、そして県民への思いを示していきたいと思っています。
記者
お伺いしたいのはガソリンの暫定税率のことなのですが、期限切れという予想もかなり濃厚になっていますけれども、その期限切れとなることについての感想と、仮に期限切れになった場合に、主なところで県はどのような対応を考えているのかお伺いします。
知事
良い期限切れと悪い期限切れが想定されるわけでありますけれども、きちんと議院内閣制の国会に基づく内閣としてきちんと意思決定をして覚悟を決めて、それが日本としてあるべき姿とちゃんと決めて納得した上で暫定税率廃止ということにするならよいと思うのですけれども、混乱の中で他の色々な代替措置とかをとられないでバッツリ切れてしまうというのは好ましくないと思っています。
記者
仮に切れた場合の県の対応についてはいかがですか。
知事
円満に暫定税率が廃止となるのであれば、全国共通のそれなりの措置が明らかになるでありましょうから、それに沿って粛々とやっていくことになると思います。国がそういう税制、財政についてコントロールを失うという状態は、地方公共団体としては想定していない想定外の話になってきますので、何か応仁の乱が勃発した後の地方政権がどうあるべきかを考えるみたいな感じになっていくのだと思います。
記者
切れた場合の県の対応についてはいかがですか。
知事
想定の範囲内でやる場合は法令に従って粛々とやるだけですし、想定外のことが起きれば、それはある種、地方公共団体としては法律に従って粛々とやるしかないので、法律の外の混乱的なことについては臨機応変に対応するとしか言いようがないと思います。
記者
その暫定税率の問題で、昨日、宮城県の村井知事は減収となる場合を想定して一部の事業の凍結なども含めて県庁内で対応するよう指示したという柔軟な対応をとっているわけですけれども、そういうことは想定の範囲内でできるかと思うのですが、知事は今回の期限切れが迫っている中で、県庁内もしく県の機関に対してどのような指示をこれから出していくおつもりか聞かせてください。
知事
そこは国の関係者も地方に迷惑をかけないような形を模索しているのでしょうから、県のほうから迷惑かけていただいても構いませんというような対応を今の段階でとることはちょっとできないと思っていますので、今は地方が困らないようなやり方を国のほうでするということを前提に、そういう情勢に対応できるような準備をしておくということと思っています。
記者
事実として、暫定税率の期限がある程度迫っていて、地方に迷惑がかかりそうだという中で、私個人的には今のお話は楽観的な見方だと思います。県庁内である程度の対応を考え備えるということは、それは国に対して迷惑かけてもよいですよと示すこととは別だと思うのですがいかがですか。
知事
時の内閣がそういう憲法秩序上期待されている内閣としての税財政に関することができない場合は、その瞬間総辞職するべきだと思います。その中で新政権ができてきて、そこがどういう措置をとるのかが大事だと思います。だから、その新政権に対応した準備を県の側から今からするというのはちょっと無理だと思っています。
記者
この問題について、ずっと知事は政治家達増拓也としての立場と首長、県知事達増拓也としての2つの立場を使い分けておられると思うのですが、それがあるからこそ逆に我々が聞いていても、すっきりとしないところが正直言ってあるのです。ご自身の中で、その2つの立場をこの問題に関してどういうふうに整理しておられるのか改めて伺います。
知事
行政の長としての立場というのは、政治家達増拓也の中にそれがあるわけでありまして、行政を執行する場合にはちゃんと法令に従って行い、例えば予算措置において差別するなどということは一切してはいけないということが行政の長として当然なことであると同時に、私の政治的な信条でもあるわけです。現に岩手県知事が個人的に特定党派への支持を明らかにすると、政府はそれを差別するのではないかという話もありますが、私は政治的にそういうことはあってはならないと思っています。この問題についても、行政の長としては当然法令に従って実行して参ります。そして、法令を超えたところについては、知事の行政の執行として行う話ではないので、政治家として発言しているわけであり、私の中では矛盾なくやっているつもりです。
記者
今お話しされた、そういうことがあってはならないというのは、首長が政党へのスタンスを明らかにするという意味ですか。
知事
日本国憲法秩序において、あってはならないというのは普遍的に言い得ることだと思っています。
記者
そうではなくて、特定の政党へのスタンスを明らかにすることがあってはならないということですか。
知事
例えば時の政府というのは、別に政府としての義務を果たさなくても、憲法が期待している役割を果たさなくても、政権にしがみついていてよいのだという、そういう政治スタンスというのはあり得るのかもしれません。私はそういう政治スタンスはとらないということです。
記者
わかりました。
全く別件なのですけれども、教育長が今回かわられるようなのですけれども、ほかの県だともう少し長くやられることが多いのですけれども、1年でかえられるのは何か意図があるのでしょうか。
知事
県立大学の理事長を相澤教育長にはやっていただくということなのですけれども、10周年を迎える県立大学を本当に県民の大学という、より県の力を県大に活用してほしいという思いから、理事長についても、1つは県の高校と県大をつなぐ役割、そしてもう一つは県が持っている産業界とのパイプですね、それを県大にも活用してもらいたいと考えました。この1年知事の仕事をやってみて、岩手は人材立県というところでやっていかなければならないという思いを強くしていまして、その中で県立大学が果たす役割というのは、この10周年を記念にさらに飛躍してもらっていく必要があると思っていまして、そのことがまず第一です。岩手全体の人づくり、人材育成という中で、県大理事長人事も、そして教育委員の人事も私の中で統一的にあるわけですけれども、そういう中で今回このタイミングで適材適所の人事をさせていただいたつもりです。
記者
道路財源の関係なのですけれども、先ほど内閣についてはコントロールを失うという事態になれば総辞職するべきという話があったのですが、議長が色々と調整に動いている中で民主党サイドも修正案は受け入れないというスタンスもとっているわけで、混乱の原因とすれば、外から見れば与党、野党ともにあるような気がするのですが、野党の対応についてどのようにお考えですか。
知事
構造上の問題が大きいと思います。いわゆるねじれ国会という、参議院では民主党が多数を得ているという状態です。そういう中で自民党と民主党が新しいやり方を工夫してやっていけば、かえって民主主義が発展するのではないかという指摘もあり、その新しいやり方がうまくできないでいるということだと思います。ただ、この新しいやり方というのは、何か協調的に協力してやるという話になると、それは限りなく、いわゆる大連立の話に近いことになるのだと思います。というのは、私も野党議員をしていて感じたのですが、オポジションとしての、英語で野党はオポジション、反対党という言葉を使うわけですが、基本はやはり何でも反対なわけです。疑ってかかることが大事であって、一見良さそうな法案でも、実はこの法案に欠陥があるのではないか、これで困る人たちが出てくるのではないか、泣かされる人が出てくるのではないかという、そういう健全な懐疑心を持って基本的に疑ってかかるのが、チェック機能ということからの野党本来の姿なのです。ですから、それを全開にしてやるのが普通のオポジションパーティーのあり方なのですが、そうではなく協調的に、協力的にやれという話になると、なかなか中途半端は難しいと思うのです。政治学の教科書や経済学の教科書にもゲームの理論という、数学的に信頼関係にない者同士が交渉して物を決めるときのパターンというのを論理的に解き明かしたものがあるのですけれども、大概失敗するわけです。疑心暗鬼になって失敗する。しかも、最初協調的にやっていて、土壇場で裏切るとそれだけ得るものが大きいということが論理的に証明されているので、非常に不安定な関係になるわけです。そういう不安定さを無くすために二大政党が協調関係を結ぶ一つの工夫として、ドイツがやっているような連立を組む、つまり内閣を共同で組織するということです。選挙は戦うでよいのです。選挙協力までは連立の定義には入っていないわけで、選挙のときは戦うけれども、共同で内閣を組織するというのが協力の一つのパターンとしてはあるわけです。だから、基本的にはそうやって共同で内閣をつくるか、あるいは徹底してガチンコでオポジションとしてやるかのどっちかが基本なわけで、今その中間の何かがあるのではないかと思いつつ色々やっているようなのですけれども、その中間形態というのは、実は無いのではないかと私は思っています。そこが色々な混乱の原因になっているのではないかと思います。
記者
混乱になって内閣総辞職して、その後は連立政権を組むのも一つの道として考えてもよいのではないかというお考えだと理解してよろしいですか。
知事
今の日本の経済情勢や国際的な経済情勢をみますと、地方が豊かになり、内需が拡大していくような本当の構造改革に本気で乗り出していくためには、短期的に次の衆院選までの間、そういう連立政権を組閣するということは一種至極当然、理由のあることだと考えます。そういう大胆な改革に向けた試みというだけではなく、税制を決めたり、日銀総裁を決めたりとか、基本的に政府としてやらなければならない当然のことがもう今はできなくなっているという現状があります。それを是正するためにも、第一党がそれができないのであれば、民主党単独政権ということがあり得るのです。そして、それに自民党が全面協力しますというスタンスをとるということもあり得るのですが、ただそれはそれで不自然なので、連立を組むというのが現実的なのかなと思います。
記者
さらに、今混乱をもたらしている議長の責任、役割というか、期待されるものはどういうものだとお考えになっていますか。
知事
議長の役割は議事の運営なわけです。手続的な段取りに関する責任者であって、そういうことについては強い権限を持っていると言ってよいと思うのですが、今求められているのは中身の調整なので、政策の中身の調整に関してはむしろ議長というのは身を引いて中立的でいなければならない。だから、中身がある程度固まっていて、あとはいつ採決するかという日程の問題だけであれば、議長裁定とか議長による調整というのはあり得ます。過去の議長あっせん、議長調停というのはそういうものだったと思います。中身の修正協議などをしなければならないような話については、なかなか議長は力を振るいにくいと思います。
記者
やはり党首会談を早急にやってもらいたいということでよろしいでしょうか。
知事
そうですね。ただ、党首会談もただ会えばよいというものではないので、それぞれ日本のかじ取りということに対して覚悟を持った上での党首会談でないと意味がないと思います。
記者
別の話題ですが、トヨタ自動車がエンジン製造を宮城県でやるという報道がうちも含めてしているのですが、それが決まったことについてどのようなご感想をお持ちかお聞かせください。
知事
まだ正式な話は聞いていないのですけれども、トヨタ東北さんのところでエンジンをつくるという構想については漏れ聞いていまして、もしそれが実現するとすれば、セントラルの新工場もそうなのですけれども、東北全体として自動車産業集積を伸ばしていくために非常に大きなステップになると思います。しかも、それが東北の中でも岩手県南と仙台を結ぶ線上にそういうのができてくると、そこが東北全体の中での自動車産業の集積の中心として伸びていく、岩手にとっても大きな効果があることになっていくと思います。
記者
岩手もエンジン工場については誘致を恐らくお考えだったと思うのですけれども、そこで残念だという思いというのはございませんか。
知事
色々と働きかけてはいたのですけれども、ただエンジンだけを働きかけているわけではございませんで、自動車の部品には様々なものがありますので、多分そのすべてを岩手に工場を建てるというのはかなり難しいと思いますので、幾つかは岩手、また幾つかは他の県ということで、それも東北の中で、しかも近接していれば集積効果は高いと思いますので、岩手にとっても悪い話ではないと思っています。
記者
市町村合併のことでお伺いしたいのですけれども、審議会から答申があったと思うのですが、今の段階で知事が勧告が必要だ思って、検討していきたいと考えている地域があるかどうかお聞かせください。
知事
そこはまだ白紙の状態です。答申を受けまして、県としての対応をこれから検討していきたいと思います。
記者
いつごろまでに検討されるのでしょうか。
知事
締め切りというよりは、答申をいただいたので、まず検討をスタートするということです。そういう中で、これはすぐ勧告が必要だというところがあれば、すぐしていかなければならないと思いますし、そこは締め切りがあってそれまでに行うというよりは、答申の方向に沿った地域の実情、議論の現状に対応してやっていくことになると思うので、いつまでにという感じではないと思っています。
記者
今日、議会の本会議ですけれども、これで大体、年度1年目が終わるところになると思うのですけれども、この1年振り返ってみてどんな19年度だったかということをお聞かせください。
知事
まず、競馬の問題、森のトレーの問題、IGRのシステム変更の費用負担の問題など喫緊の課題に対しては、これ以上事態を悪化させないようにきちんと対応できたと思っています。あとは、財政が危機的状況で、20年度予算も本当に組めるかという不安が去年の秋ごろにはあったのですけれども、給与特例減額を認めてくれた職員の協力もあって、3カ年の財政中期見通しをつくることができたことが大きな成果だったと思います。そして、綱の上で勇壮な鬼剣舞を踊るといいますか、綱渡りではあるのですけれども、かなり前向きな4カ年計画、いわて希望創造プランと、そしてそれに基づく予算を組むことができたので、希望につながる、危機を希望に変えるという意味では前進することができた1年だと思います。
記者
その中で、県政の中で一番印象的なことはどういうことがありましたか。
知事
色々と印象的なものはありますが、農林水産物のクオリティーの高さを東京の市場関係者や大手スーパー、大手飲食店等の仕入れ担当の皆様と会う中で、私が思っていた以上に岩手の農林水産物が高く評価されているということが非常に印象に残っていまして、並行して日本全体として食の安心、安全に対する関心が非常に高まっていて、これは岩手にとって大きなチャンスでもあり、また責任でもあると感じています。岩手県民に対してだけではなくて、日本国民あるいは外国の人たちに対しても、安心、安全なクオリティーの高い食品をきちんと岩手が提供していくことが岩手にとって非常に大きな責任であることだということが印象に残っています。
記者
最後に、選抜高校野球大会で一関学院が負けてしまったのですけれども、一言お願いします。
知事
それはもう残念なのですけれども、でも選ばれて全国大会に出たということでも、全国に通用するそういう岩手のスポーツという意味では希望を残したと思います。一関学院には甲子園で勝つことを目指してさらにがんばってほしいと思いますし、また他の県内各高校も、我こそはということで一層がんばってほしいと思います。
広聴広報課
それでは、以上をもちまして記者会見を終わります。
次の定例記者会見は4月1日(火曜日)の予定です。
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