平成30年1月5日知事会見記録

ID番号 N61139

平成30年1月5日10時30分から11時05分

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。本日は知事からの発表はございません。

幹事社
 それでは、幹事社から県政記者クラブを代表して質問します。
 震災から間もなく7年が経とうとしていますが、今年1年、どのように県政運営を行っていきたいか、意気込みをお聞かせください。

知事
 やはり今年も東日本大震災津波からの復興ということに全力を注いでいきたいと思います。合わせて、平成28年台風第10号災害からの復旧・復興も引き続き力強く進めていきたいと思います。
 安全の確保、生活の再建、なりわいの再生という3本柱があるわけですけれども、安全の確保については、昨日、久慈川の堤防工事の事業、合わせて橋の工事もやっているところを視察しましたけれども、工事を始めて地盤の軟弱さというのが予想以上だったということで、時間もかかってはいるのですけれども、その地盤の軟弱さゆえに、今までできなかったような大規模な安全のための工事を今行っているところであり、こういった安全の確保のための事業は岩手の沿岸各地で今行われているわけですけれども、やはりこれをきちんと進めていくことが大事だなと改めて感じたところであります。
 生活の再建に関しては、災害公営住宅の建設が完成に向かって進む1年でありますし、持ち家再建のための造成も各市町村頑張っているところをしっかり支援していきたいと思います。一方で、8年目に入る復興の長期化の中で、体と心のケア、コミュニティ支援、そういったところをしっかり取り組んでいきたいと思います。
 なりわいの再生に関連しては、昨日、水産加工工場をやっている会社を2件視察しました。今、サケやイカなどの漁獲量の低下という問題に直面している岩手の浜でありますけれども、昨日訪問したところは東日本大震災津波で大きな被害を受け、また、台風第10号でも被害を受けたところもあったのですけれども、そうしたところ、さまざまな復興事業のスキームで工場の再建など果たし、ハードがきちっと整備されていると、サケやイカが不漁であっても他の魚種に重心を移したり、あるいは商品を転換したりなど、ソフト面の工夫をすることで、何とか販売量の確保、収入の確保ということをやることができるということで、ハードの復旧・復興事業というのはやはり大事だということを改めて感じましたし、プラス、ソフト面の臨機応変、原材料入手の変更でありますとか、また、販路の確保、拡大、そしてさまざまな商品開発、こういったところ、県の支援もやはり力を入れていきたいと思います。
 復興と並んでふるさと振興、人口減少対策も今年の大きなテーマになります。働き方改革や就業支援、また、若者の出会いや結婚支援、子育て支援といった人口減少対策固有の政策を進めていくことに加えまして、農林水産業振興、商工振興、また特に観光振興といった、そういう産業振興もふるさと振興との関連の中で位置付けて、さらに強化していきたいと思います。
 観光の関係では、台湾との航空便、タイガーエア台湾のチャーター便の運航が花巻空港における史上最多のチャーター便運航数というところまで増えていて、かつて中華航空との間でチャーター便の充実から定期便化ということに取り組んでいた、その定期便化までもう一息というところまで追いついてきたと感じています。チャーター便の充実から定期便化を目指すということを今年力を入れていきたいと思います。
 そして、ILCの実現、今年は大事な年でありますので、岩手県としてもしっかり取り組んでいきたいと思います。
 また、昨年、移転新築した岩手県立療育センターと岩手県立盛岡となん支援学校がそれぞれ今日と昨日から開所、開校したわけですけれども、これでまず必要な、こちらの方もハードの整備ということをしっかり行いつつ、ソフトの面でも障がい者の文化芸術活動の展開や、また、農福連携なども取り入れて、障がい者の就労の場を確保する取組など、共生社会の取組にも今年力を入れていきたいと思います。
 最後に、次期総合計画の策定というのが10年に1度の今年の岩手の大事なミッションでありますので、平成30年も振り返り、また、明治維新、戊辰戦争150年、原敬首相就任100年も振り返りながら、この岩手の今後10年のあるべき姿を県民の皆さんとともに描いていきたいと思います。
 以上です。

幹事社
 ありがとうございます。ただいまの質問に関連して、各社から質問があればお願いします。

記者
 復興に関してなのですが、来年度、県復興計画の最終年度ということになるわけですが、そういった年に入るということですが、今さまざまおっしゃったのですが、震災復興の中でも特に力を入れていきたい分野、今年はこういったところを目指したいというか、そういったものがあれば教えてください。

知事
 安全の確保、生活の再建、なりわいの再生の3本柱のもと、それぞれをしっかり進めていくということが大事なのですけれども、岩手県の8年間の復興計画からその次の復興の計画、次の計画は次期総合計画の中に位置付けていくわけですけれども、この転換期に当たってポイントになるのは、今年の宮古・室蘭フェリー航路の開設や去年の釜石港へのガントリークレーンの導入のような、当初計画になかったような復興が進んでいるという現実だと思っておりまして、復興道路効果、復興道路の急速な整備がもともとあった港湾の復旧・復興ということに結びついて、また地域においてそれなりに人口流出に歯止めをかけて、優れた、やる気のある人材が沿岸地域において確保できていることや、また、なりわいの再生のためのさまざまな新たな投資や経営者の人材育成といったことも実を結んでいるということで、当初想定していた以上に復興が進展している部分がありますので、想定以上に岩手沿岸地域のポテンシャルが高まっているということをうまく生かして、それを次の復興計画につなげていかなければならないと思いますし、また、そこにしっかりつながっていくようにポテンシャルを形にしていくような取組を沿岸地方において進めていきたいと思います。

記者
 安全となりわい、暮らしと、この3本柱で進めていくという、そのとおりだと思うのですが、震災から間もなく7年になって、要は復興が進んでいる人とか地域もあれば、遅れれているというか、そこまででもない地域や人もいて、そうなると遅れている人たちに向けて、丁寧にやっていくという時期に来ているのだろうと思うのですが、被災者の視点から見ると、もちろん安全も大事なのですが、やっぱりなりわいであるとか、暮らしという部分がすごく大きいのかなと思うのですが、その点遅れているというか、それほどまだ復興に至っていない人たちに対して何かありましたらお願いします。

知事
 住宅の再建というところが既に完了している市町村もあれば、まだまだこれからという市町村もあるというところが復興の現状の違いに出てきているわけでありますけれども、一つは体や心のケア、コミュニティ支援というのをしっかり、さらに力を入れていくこと、これは国の復興予算要求についても心のケアについては増額されているというふうに、時間が経てば経つほど予算を減らしていけばいいというものではないということが国の方にも伝わって、そうなっていますので、そこはよかったなと思っているのですけれども、地元においても体と心のケア、コミュニティ支援の部分については、さらに力を入れていきたいと思います。
 国の予算が要求ベースで増えたということにも見られるように、オールジャパンとしても復興事業がまだ残っているところに対し、支援を集中させていく、今まで以上の復興支援を行うと。陸前高田市での立教大学の新しいキャンパスを造る取組、あと、岩手大学も組んでいますし、また、釜石キャンパスを発展させるとか、そういう新しい復興支援の取組というのも生まれてきていますので、それをまだ復興を卒業していない地域にどんどん集中させることで、復興の力にするとともに、復興がなった暁にその地域が非常に力強く地域振興を進められるようにしていきたいと思います。

記者
 ありがとうございます。復興と人口減少対策に力を入れていくということだと思うのですが、今年の抱負を何か短い言葉であるとか、何かフレーズで表現することができれば、そういった言葉も伺えればと思うのですが、いかがでしょうか。

知事
 そうですね、いいのが思いついたら紹介したいと思います。

幹事社
 他にありますでしょうか。

記者
 ILCの関係でお伺いしたいのですが、先ほども大事な年だということでしたけれども、今年1年は政府の方の動きというのが一番注目されるところだと思うのですけれども、これまでも要望、要請などさまざま政府に働きかけというのをされているかと思いますが、今年ILCに関してはどういう1年にしたいかというのを改めてお伺いしたい。

知事
 おととしから去年にかけて、研究者の皆さんが20キロ(メートル)からスタートするステージング、段階的手法を導入して、当初の予算を大幅に削減すると、それを受けて日本政府においても検討を深めているところですので、ある意味、実現に向けて段取りが着々と進んでいるという印象は持っております。ILC関係予算の要求の増額というところにも。さっきから要求、要求と言っていたけれども、もう要求ではなくて、政府予算案においてということですね。心のケア予算も、このILC予算も、政府案としては増えているということで、そうなってきますと政府の意思決定を促すような働きかけも大事でありますけれども、それを支えるような地元の体制について、ILCが建設された暁に必要となるような地元の外国人受け入れ体制とか、そういったところをより具体的にきちんとビジョンを示し、準備をしていくということが大事になると思っております。

幹事社
 他にありますでしょうか。

記者
 岩手県の基幹産業の一つである(漁業について)、先ほど知事もおっしゃいましたけれども、記録的な不漁問題がありますけれども、生き物のことなのでなかなか難しいかもしれませんが、改めて何か対策やお考えのことがあれば教えてください。

知事
 まず、当面の不漁に対する対策として、漁業者においては漁獲量が少なくなった分、魚価が上昇して、収入としてはそれほど減っていないという状況があるのですけれども、港としては船の入ってくる数が少ないということがありますので、それについては昨日訪問した久慈漁港のように、今まで来なかったような、他県の港に入っていたような船を誘致して、その漁港、地域としての漁港や、その周辺地域の収入増加を図るという取組を県も支援していきたいと思いますし、それから加工業者さんたちは漁獲量が少なくなり、しかも魚価が高くなるというような、二重に大変なわけですけれども、さっき紹介したように取り扱う魚種の重点を移したり、さらには変更したりすることで、新たな商品開発もして対応しているところを支援していきたいと思いますし、また、非常事態でありますから原材料を地元ではなくて他の地域から買い付けるというような、原材料入手先の一時的な変更などについて、そういうふうにしようという会社もあるということですので、これも県として情報提供とか、さまざまな支援をしていきたいと思います。
 あと、抜本的な対策として、やはり県の水産(技術)センターでありますとか、研究機関、そこで漁獲量減少の要因、また対策について、国の方にもそこは求めていきますけれども、国や県の試験研究機関においての研究調査、そして対策の検討ということもしっかり進めていきたいと思います。

記者
 ありがとうございます。新年1回目の定例の記者会見で、先ほど知事もおっしゃったように働き方改革ということで、いい休みはいい仕事を生むのかなと思うのですけれども、知事は年末年始どのようにお過ごしになられたのでしょうか。

知事
 この年末年始は、大きな事故とか災害もなく、かなりゆっくりさせてもらったなと思っております。大みそかには実家に集まって年越しをしたりとか、元日には家族で初詣をしたりとか、あとは家族で映画を見に行ったりとか、そういうふうにして過ごしていました。

記者
 ちなみに、何の映画をご覧になったのですか。

知事
 「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」を見に行きました。

幹事社
 他にありますでしょうか。
 それでは、幹事社質問に関連する質問以外について質問があれば、各社からお願いします。

記者
 すみません。最初の(質問)と関連があるようなのですけれども、幅広く聞きたいので、ここでお聞きします。先ほど別の記者の質問であった端的に短い言葉で表すとしたらという話で私もお聞きしたいのは、去年もそうでしたけれども、今まで本格復興邁進年とか名前をつけていたのを去年からはそれをしなくなったので、今年もその延長にあるのかなと思ったのですが、そういうことでしょうか。

知事
 いや、何かいいのがあれば、それはいつでも使っていこうとは思っているのですけれども、去年の場合、(復興)計画にある言葉をそのまま使っていく方がむしろ(復興)計画の内容を広く周知することにもつながるし、その方がいいのではないかというふうにしたわけですけれども、そうですね、今年1年、あるいは4月1日から始まる新しい年度をどういう年度にしていくかということについては、さっきしゃべったような、あるいは昨日の知事訓示でしゃべったような内容なのですけれども、ばふっと言うと温故知新、実務充実という、さまざま歴史を振り返りながら未来を決めていく1年ですし、また、大型イベントのはざまの1年でもありますので、県のさまざまな分野の政策推進を充実させる1年かなというふうに思います。

記者
 ありがとうございます。私も今、新年度ということでお聞きしたかったのが、知事の今の任期としてはフルで1年、施策を推進するのが新年度のみになりますので、2019年度は改選期になりますので、そういう意味でも今新年ですから、新年度に向けて、あるいはこれから県議会2月定例会が招集される時に施政方針があるので、その場でも今言ったようなことが改めてリライトされて出てくるのかなと思ったのですが、これから議会、あるいは新年度予算を決めるに当たっての意気込みみたいなのをちょっとお聞きしたいなと思ったのですが。

知事
 知事査定はまだ先だし、知事演述の内容もまだ作業に手をつけ始めたばかりですので、その辺は出来上がりをお楽しみにというところなのですけれども、年の初めをそのまま年度の初めというのも芸がないですから、何か年度の初めに向けてはもう一工夫、スローガンというか、目玉というか、かぶせていきたいなと思います。

記者
 楽しみに待っています。それとまた、少し政治姿勢の方も質問させてください。昨日、共産党の県委員会さんの新春の集いの方に、知事は初めてご出席されたということで、一部報道で拝見しますと、出席理由は時間の都合がついたからということだったのですけれども、今までも各党の新春の集いだけでなく、いろんな定期大会等に出席要請があれば出るというスタンスだったと思うのです。それは今も変わらなくて、そしてその延長上というか、それと同じ意味での昨日の出席だったと、そう受け取ってよろしいですか。

知事
 はい。政党の行事については、ご案内をいただいて、都合が良ければ出席させていただくということで今までもやってきましたし、今でもそうです。

記者
 そういう政党の(行事の)場に出席すると、昨日もそうでしたけれども、写真撮影なんかがあると、各政党には失礼になるかもしれませんが、政治的な利用ということが十分、知事という立場で出席されたということが、ある意味、その広報に使われることもあるわけですけれども、そういうことも当然織り込み済みでの昨日の出席だったのではないかと思いますし、他に関しても今言ったようなことで同じだと、そうとってよろしいですか。

知事
 原敬首相就任100周年を回顧すれば、やはり政党政治というのは大事ですからね。そして、政党政治においては、それぞれの政党の自由な、結社の自由に始まって、そして組織としての自治があり、また自由なさまざまな意見表明や行動、活動とかがあるわけですから、私としてはそれぞれの政党がすくすくと発展して、岩手においては岩手県政のためになり、日本全体にとっては日本全体のためになればというふうに思います。

幹事社
 他にありますでしょうか。

記者
 たびたびすみません。国政の関係でお伺いしたいのですが、憲法改正の件で、昨日、安倍首相が首相の年頭会見で、自民党総裁として憲法改正原案を今年中に出したいということ、改めて意欲を示されたということがありました。これについてのご所感を改めていただきたいのですけれども。

知事
 政党としていろんな考え方やいろんな言動があり得るということなのだとは思うのですけれども、そうですね、ちょっと一般論的な言い方になるかもしれませんけれども、形式的なところにこだわって、実質がおろそかになる嫌いというのが、自民党に限らず、日本の政治に広がっているのではないかなと危惧していて、憲法を変えさえすればいいみたいな、内容は問わないというような感じとか、野党の側もとにかく一つになるとか、あるいは逆に政策の一致を見なければ協力しないみたいな、180度違う方向ではありますけれども、形式にこだわって実質的に国民が求めているものに応えないでしまっているということが見受けられるなと思っていまして、憲法改正というのは手段だと思うのです。今国民が求めていることを実現するための手段の一つとして検討されるべきで、アンケートなどをとるとそもそも憲法改正は必要ないという人が半分以上のようでありますし、国民が求めているのは経済の問題であったり、また子育て支援、そういう社会政策であったり、それからやはり私から見て大事だなと思うのは、東京一極集中の是正ということで、毎年10万人ずつ東京に入っていっている、それが11万人に増えてしまっている東京への人の流れをどうすれば逆転させられるかという、そういう中身の方にもっとこだわってほしいと思います。これは、与野党通じてのことではあるのですけれども、特に与党は政権を掌握して、政府にさまざま実施させられる立場にあるわけですから、具体的に国民生活を向上させて日本を良くしていく、外国との付き合いも良くしていくような、そういう具体策をどんどん打っていってほしい、打たなければならないのではないかなというふうに思います。
 平昌オリンピック(・パラリンピック)を成功させるということにも、もう少し日本政府も国際社会も力を合わせてほしいなと思います。岩手からオリンピック・パラリンピックにそれぞれ出場するという選手が決まってきていますし、また、見に行こうという人たちも、応援に行こうという人たちも岩手からいますので、平和の祭典、国際社会が改めて平和の尊さとか国際協調の大切さというのを確かめ合う機会でもありましょうから、平昌オリンピック(・パラリンピック)が成功するような具体策というのが求められていると思いますね。

記者
 今の憲法改正に関してなのですが、いわゆる国民側の要請というか、必要性があって変えていくのだということかなと今聞いていて思ったのですが、ということは今時点で例えば憲法改正を発議していくとか、そういったことについては知事としてはどういったスタンスで見ていらっしゃるということになるのでしょうか。

知事
 ここもやっぱり形式からではなくて実質から考えますと、例えば、東京一極集中の是正についても、今の憲法の下ではできない、だから憲法を変えなければならないというなら変えなければならないのかもしれないのですけれども、法律で十分手は打てると思うのです。また、子育て支援とか、それから教育の機会を広く低所得の方々にも広げていくというようなことも、確かに憲法を改正して、教育を受ける権利のところにもっとしっかり書いて、教育は無償化すると憲法に書けば、それはいいのかもしれないけれども、それは次の通常国会で立法しさえすれば、速攻でできる話でもあるし、あらゆる課題について早くしなければならないし、早くした方がいいと思うので、憲法(改正)について議論している暇があるのであれば、次々と国民生活を良くする、日本を良くする立法をばんばんしていくべき時期だと思います。

広聴広報課
 以上をもちまして記者会見を終わります。
 

 次の定例記者会見は1月15日(月曜日)の予定です。

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