平成29年12月25日知事会見記録

ID番号 N61000

平成29年12月25日10時30分から11時01分

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。本日は知事からの発表はございません。

幹事社
 それでは、幹事社から県政記者クラブを代表して2問質問します。
 初めに、一年を振り返っての所感をお聞かせください。

知事
 今年は去年の希望郷いわて国体・希望郷いわて大会の余韻の中で一年がスタートしました。その中で、東日本大震災津波からの復興、そして去年の台風第10号災害からの復旧・復興に力を入れて進めてきました。
 復興の関係では、今年は山田宮古道路の開通という震災後に事業化された復興道路の初めての開通がありました。そして、こうした復興道路の効果もあって、釜石(港)にガントリークレーンが設置されたということがありました。釜石港にガントリークレーンを導入するというのは、震災直後の復興計画の中にはなかった話でありまして、そのように当初想定された以上の復興が進んでいるということが目に見えてきたということが今年の大きな特徴かと思います。宮古・室蘭間のフェリーの就航というのもそうなのですけれども、そのように当初想定された以上の復興の進捗というものもあるわけですけれども、一方、復興の長期化によりまして、いまだ仮設住宅等での不自由な生活をされている方々の生活支援、コミュニティ支援というのをよりしっかりやっていかなければならないという、そういう一年でもありました。
 台風第10号災害からの復旧・復興については、龍泉洞の営業再開や、道の駅いわいずみの本格営業開始、そして岩泉ヨーグルトの販売再開といった大きな動きがあった一年でもあります。
 それから、全国知事会議を岩手で開催しまして、そこで東日本大震災と、そこからの復興に関する岩手宣言というのを発出することができました。改めてオール日本の力を結集して、復興を力強く進めようということで風化を防止し、復興後半ならではの関心の高まり、支援の盛り上がりというものにつなげていくことができる形になったのではないかと思います。
 また、今年は今まで10年ぐらい努力してきたことが実を結んだことが目立った年でもあり、「銀河のしずく」に続いて「金色(こんじき)の風」がデビューし、金銀そろって全国有数、トップクラスの評価をいただいています。それから、デンソー(岩手)の工場増設プラス東芝メモリの新工場建設決定ということで、これも長年にわたるものづくり産業振興の成果だと思います。
 あと、医療、保健の分野でも岩手県立療育センターと盛岡となん支援学校が新設移転を果たすことができまして、これも時間はかかったのですけれども、非常に大事な施設がようやくできて、大変良かったなというふうに思っています。
 あとは、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会の翌年ということで、スポーツ、文化に県にも文化スポーツ部を立ち上げて力を入れたわけですけれども、全国大会や、さらには国際的な大会での岩手の若い人たちの活躍がスポーツの分野で見られ、すばらしかったですし、文化についても若い皆さんの活躍プラス芥川賞関係など力のある大人の皆さんの活躍もあって、国体・大会のレガシーがしっかり引き継がれたなというふうに思っております。
 あと、ILCについて、去年も盛岡での会議があって、そして今年は2月に「ILC/TOHOKU」というSF小説が出たりしたのですけれども、県内的にも、それから日本全体としてもILCというものがさらに浸透した一年ではないかなと思います。政府の方の作業も着実に進んでいる、そういう一年だったのではないかなと思います。
 最後、「幸福」について、岩手の幸福に関する指標研究会の最終報告書が9月に出まして、次期総合計画との関係で幸福研究というのが一歩大きく前進した年でもありました。県民の皆さんもさまざま幸福ということについていろいろ考え始めた一年だったのではないかなと思います。
 以上です。

幹事社
 ありがとうございました。
 次に、知事が選ぶ今年の漢字をお聞かせください。

知事
 去年は「銀」だったのですけれども、今年は「金」ということで、金銀両方そろった今年であります。お米の「金」なので、「金色の風」の年という振り返りでありますが、スポーツや文化で全国1位や世界1位になる人たちがたくさん出たという意味での今年は「金」という感じがいたします。

幹事社
 ありがとうございました。ただいまの質問に関連して各社から質問があればお願いします。

記者
 今年の漢字の関係なのですが、日本漢字(能力検定)協会でしたか、今年の漢字は「北」だったわけですが、「北」というと北朝鮮をイメージして、暗いような印象もあるのですが、知事の漢字は「金」ということで、めでたい漢字で、全国と岩手の違いというか、その辺「北」との漢字の違い、その辺の思いあればお聞かせください。

知事
 ツイッターを見ていますと、岩手の人とか、あるいは東北、北海道の人たちが北と聞いて、東北の北だねとか、北海道の北だねとか、大谷翔平選手は北海道日本ハムファイターズだとか、そういう自分たちのことに引き寄せて「北」という言葉のいい面を「岩手県北」とか、「北東北」とか、そういう言葉をツイートしている人もいたと記憶しますが、そういう意味では岩手の皆さんは全国の雰囲気よりはポジティブに、肯定的に今年一年を捉えているのではないかなというふうに思いますし、私自身もそう感じています。
 そうですね、ミサイル関係で思い出すのは、ゴールデンウイークのころにミサイル危機というのが今年の最初の高まりを見せた一方で、某大臣の某発言の関係もあり、「♯東北でよかった」ですね、「♯東北でよかった」というハッシュタグがツイッターでものすごくはやって、ミサイルとか、あと日本全体のさまざまな通常国会の混乱とかもあったわけですけれども、東北、日本の北の方に対する全国的な行為とか、あとは地元の皆さんの頑張りとか、そういうのが目立った一年ではなかったかなと思います。

幹事社
 他に各社から質問があればお願いします。

記者
 すみません、先ほどの漢字の絡みでもあるのですけれども、「金色の風」デビュー、今年の手応えなどを改めて振り返っていただけますでしょうか。

知事
 まず、売り出しのキャンペーンの手応え、そこに集まった人たちの反応でありますとかその報道ぶり、またいろいろ新しいお米についても取り扱う専門紙、具体的には日経トレンディの米(のヒット)甲子園で「金色の風」の売り出し風景が一番大きい写真で一番大きい記事で一番トップに書いてあったとか、全国的にブランド米競争が大変激しい中で、トップグループに、「銀河のしずく」とともに「金色の風」がトップグループに入ることができて良かったなという実感を得ています。

幹事社
 他になければ、各社から質問があればお願いします。

記者
 (先週)金曜日の三陸ジオパークの日本ジオパーク委員会の条件付き再認定について伺います。課題が指摘された中での2年後に審査を受ける条件付き再認定となったわけですけれども、この点についてコメントは出ていたのですが、改めて知事の所感をお聞かせください。

知事
 やはり三陸ジオパーク、日本で一番広いジオパークで、岩手県のみならず青森県、宮城県にも広がり、16の市町村にわたっているということもあって、全体としての統一、一体的な取組という面でもっと努力しなければならないのだなというふうに認識しております。東日本大震災からの復興の途上ということもあるのですけれども、県としても復興の力、特に復興後半における取組としては、復興優先だからジオパークについて力を入れなくていいということではなく、ジオパークへの取組が復興の力にもなっていくのだという考えのもとで、さらに力を入れていきたいなというふうに考えています。

記者
 ありがとうございます。会議後の会見で、委員長だったり、委員さんから出たお話の中で、震災の教訓を後世に伝えるという意味でも、世界から三陸ジオパークは注目されているという意見がありました。
 あとそれと知事にリーダーシップを発揮して、どんどん統括的な体制を進めてもらいたいという2つの点が出たのですが、それについて今後どのようにお考えでしょうか。

知事
 いわゆる護送船団方式といいますか、震災復興の中で、なかなかジオパークの方に手間暇をかけられないというような背景のもと無理なく取り組めるような、全ての市町村や関係団体が無理なく取り組めるような形で県もともに歩んでいかなければならないなというような気持ちでいたのですけれども、さっき言ったようにもう少しジオパークに力を入れていくことが復興の力にもなる。今質問の中にもあったように、津波やその教訓の伝承という観点からも力を入れていくべきですので、全て県としてももう少し思い切って力を入れさせていただこうかなというところです。

記者
 ありがとうございます。2年後の再認定審査がまた来るわけですが、そういった意味で2018年度の取組というのが一番重要な、重要性が増すと思うのですが、来年度の予算編成の考え方も含めまして、具体的な対策をお聞かせください。

知事
 審査の過程で指摘はいろいろいただいていましたので、県の各部局からの予算要求もそれを反映したような内容にはなっていると思いますけれども、その辺、知事査定に至るプロセスの中でもう一回しっかり見ていきたいと思います。

記者
 先ほどの漢字の話にもちょっと関連するのですが、「銀」、「金」と来て、来年は何になるのだろうというのが気になるところでもあるのですけれども、改めて来年の抱負というのを一言いただければと思うのですが。

知事
 お米については、「銀河のしずく」に続いて「金色の風」が出て、金と銀で一段落ではありますので、金銀シリーズは、まず今年で一段落というところですね。
 来年は、東日本大震災津波からの復興、台風第10号からの復旧・復興も含めてなのですけれども、それをさらに進めていくとともに、今年花開いたり、実を結んだりした、そのお米を先頭に立てながら、岩手の農林水産業全体のブランド力向上をアップしていくということが一定程度成功してきていますし、工場の誘致として花開いたものづくり産業振興も軌道に乗っていますし、そして医療、福祉についても高田病院が開業に至って、沿岸の方でも県立病院がそろいますし、そういったものをベースにしながら、県政全般について、さらに力強く進めていくというような年にしたいと思います。

記者
 国政について伺いたいのですけれども、今年一年振り返りますと突然の衆(議)院(議員総)選(挙)と、それに伴う民進党をはじめとする野党再編が一気に進んで、結局最後まで、今日もちょっとあるようですが、形が見えずに来年に行くというような流れになっておりますけれども、この一年というよりも後半戦ですけれども、野党再編の部分を岩手からどのように見ていて、どのように総括されるかというのをお聞かせください。

知事
 世界的には、去年、アメリカ大統領選挙の中でのサンダースブームのような国民生活に密着し、国民生活の向上というのをきちっとやっていかなければならないのだというようなものが一つの形になったり、また、フランスでのマクロン大統領の誕生、カナダのトルドー首相の活躍、政治基盤はちょっと違うのですけれども、新しい政治を力強く展開していく、そのためマクロン大統領の方は今まで全くなかった自分の政党基盤というのをあっという間に立ち上げるとか、そういう事例があって、日本もやっぱりそういうのを参考にすべきなのだと思います。
 そして、日本一新といいますか、日本の政治を大きく変えてほしい、日本の経済社会に大きな変化をもたらしてほしいという民意の流れというのはずっとあって、それが今年は東京都議(会議員)選(挙)をめぐる動きですね、東京都民の投票行動とか、それに対する日本全国からの声とか、そういった中に大きな変化を求める民意というのを見てとれるのだと思います。それに対して、衆(議)院(議員総)選(挙)がああいう結果になったのは、やはり野党の側の努力不足ということが如実に表れたところでありましょうから、今、野党関係の皆さんもこのままではだめだという思いをより深めているのではないかと思いますので、大いに勉強して、次につなげてもらえればいいのではないかなと思います。

記者
 今年の漢字ではないのですけれども、知事の今年の十大ニュースみたいなのを挙げるとすれば、先ほどの一年の振り返りの中にほぼ入っているのかなと思うのですけれども、しいて1位を挙げるとするとやっぱり「金色の風」ですか。

知事
 そうですね、気持ち的には療育センターと(盛岡)となん支援学校の新築移転がようやくできたというのが非常にうれしいですよね。だから、あえて順番をつけるとすればそれをトップに持ってきたいと思います。岩手県というのは、一番大変な状況に置かれている人たちでも希望を持つことができるのだという県でなければだめだと思うのですけれども、その象徴的であり、かつ実質的な施設が新しくできて大変良かったなと思っています。

記者
 ありがとうございます。あともう一点、先ほどの中でも触れていた「幸福」に関することで、来年度は次期総合計画を策定する年度になりますけれども、先ほど話されたように(岩手の)幸福に関する(指標)研究(会)の報告が出て、今、総合計画審議会でも諮問されて、今年度から既に策定に向けた作業に入りましたけれども、改めて幸福ということと、あと次期総合計画ということに対して知事からの抱負というか、所信というか、一言いただきたいなと思います。

知事
 10年ほど前、今の総合計画を作ろうとしていたころの岩手県は、県民所得水準や雇用の状況で全国平均から大きく遅れをとって、人口流出も悲惨な状況にあり、また、地域医療の危機というような問題にも直面していたわけですけれども、その後10年、県民の皆さんの努力と、そして東日本大震災津波への対応、そこからの復興でまた県民の皆さんが底力を発揮し、今までなかったような県外とのさまざまなつながりを得ることができたということで、経済的には全国平均に追いつきつつあるような状況と言っていいのだと思うのです。そこで、ここから先の岩手を考えた時に、さらに経済に集中して全国平均を超え、経済でどんどん日本の上に上がっていくことを目指していくのかと、こう自らに問う時に、いや、そうではないのだろうなと。東日本大震災や、そこからの復興の過程で、お金はなくてはならないものだし、経済力というのは非常に大きな力になることは、それはそれでわかったけれども、そのほかにも大事なことはたくさんあり、高めていかなければならないものがあるということが県民としてわかってきているのではないかと思うのです。そういう全体をくくる言葉として、「幸福」という言葉、また、見ていかなければならない指標としては「幸福度」という言葉を使っていくことで、この10年間に達成したこと、学んだこと、それらを生かして、より良い岩手をつくっていけるのではないかなというふうに期待します。

記者
 今おっしゃったようなところで、特に研究会の報告の中でも協調的幸福感とか、ソーシャルキャピタル(社会関係資本)というところが他の先進事例がある中でも、岩手に特筆するべきものなのかなと思っていて、今知事がおっしゃったことは、多分それも入っていると思うのです。総合計画というのは、ある程度、フォーマットというか、形式がある程度つくられているものに、それを落とし込むというか、リンクさせる難しさもやっぱりあると思っていて、そうする中でこの1年半ぐらいの中での策定作業というのはいろいろ産みの苦しみみたいなものもあるのかなと思うのです。それをどう乗り越えていくかというようなところは、知事はどういうふうにご覧になるというか、自分としてはやっていきたいと思いますか。

知事
 岩手に全然ないものをどこからか持ってこようという話ではなくて、逆にこの10年間で岩手の中に生まれ育ち、充ち満ちているものをどう整理するかの問題だと思っているので、それをより精緻に、より高めていこうと思うと大変な作業ではあるのですけれども、ただそれは努力すればするだけいいものができるような大変希望を持って取り組むことができる作業だと思っていて、大変やりがいがあり、かつ、豊かな成果が期待できるものだなというふうに思っています。

記者
 今年なのですけれども、サンマなどの記録的な不漁があり、岩手の基幹産業である漁業関係について、少なからずダメージがあったと思うのですけれども、その辺についてのお考えと、来年以降、対策、対応などのお考えがあれば教えていただけますか。

知事
 原因は今、漁業関係、海洋関係の専門家の皆さんが調査研究しているところで、そういう皆さんの考えを参考にしながら取り組んでいかなければならないと思いますけれども、やらなければならないこと、あるいはできることとして、サケなど放流事業を行っているものについては、きちんとした規模の確保と、そして回帰率が高まるような工夫をしていくことというのをやっていかなければならないと思いますし、また、さまざま変化する海や魚の状況の中で、うまく水産資源を確保できるような漁業の取組ということについて、県も指導や情報提供をしっかりやっていきたいと思います。
 加工の分野については、材料が岩手県内だけで足りない場合、県外からも求めなければならなかったりするわけですけれども、そういったことについても県としても指導、助言、支援等々やっていきたいと思います。

広聴広報課
 以上をもちまして記者会見を終わります。

知事
 それでは、良いお年を。お疲れさまでした。
 

 次の定例記者会見は1月5日(金曜日)の予定です。

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