平成29年11月17日知事会見記録

ID番号 N60340

平成29年11月17日16時00分から16時31分

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。最初に、知事から発表があります。それでは、知事お願いいたします。

知事
 第1に、被災地福祉灯油事業の実施についてです。県では、被災地の復興の状況や沿岸市町村の意向等を踏まえ、本年度も被災地福祉灯油事業を実施することといたしまして、その事業費を12月補正予算に計上することとしました。
 事業内容は、昨年度と同様の内容で、対象市町村は沿岸12市町村のうち福祉灯油事業を実施する市町村としています。助成対象世帯は、高齢者世帯、障がい者世帯、もしくはひとり親世帯であって市町村民税の非課税世帯、または生活保護世帯の計約2万1千世帯を見込んでおりまして、1世帯当たりの県からの助成金額は、市町村補助対象経費の上限額5千円の2分の1とし、5,300万円余の予算を計上しました。
 被災地福祉灯油事業は、財政事情が極めて厳しいにもかかわらず応急仮設住宅等での不自由な生活が長期化する中、生活再建や経済面の負担を抱える被災地の低所得世帯に寄り添ったきめ細かな支援を行うために、福祉灯油を実施しようとする沿岸部の市町村を重点的に支援するものであります。沿岸の全12市町村が当該事業を実施する意向を示しているところであります。
 第2に、岩手県立療育センターと岩手県立盛岡となん支援学校の開所・開校についてです。矢巾町の岩手医科大学附属病院の移転敷地内に整備を進めてきました岩手県立療育センターと岩手県立盛岡となん支援学校は、10月19日に建設工事が竣工し、1月から新施設で業務を開始します。今月29日に地元矢巾町や岩手医科大学、保護者会などの関係者をお招きし、療育センターと特別支援学校の落成式を現地で開催します。
 療育センターは、1月5日に入所者が移動して開所となります。盛岡となん支援学校は、冬休み中に引っ越しを終えて、1月4日から新校舎での業務をスタートし、冬休みの明ける1月17日から新校舎での学習を始める予定です。
 新しい療育センターは、障がい児の受診が療育センター内で完結できるように外来診療科3科を増設します。また、重症心身障がい児病床等への人工呼吸器に対応した酸素ガス供給設備の整備、一般病床に新生児特定集中治療室、NICUからの後方病床としての機能を新たに追加します。重症心身障がい児等の診療体制を充実強化します。
 特に障がい児にとって負担が少ない、静音性に最も優れ、かつ、高画質による診断が可能な1.5テスラのMRIを障がい児用としては県内で初めて導入します。消化器の働き等を確認できるエックス線透視装置など、障がい児に対応した医療機器を整備しています。
 隣接する岩手医科大学附属病院と療育センターとの高度小児医療提供体制を構築し、盛岡となん支援学校と連携して、医療、福祉、教育が一体となった障がい児の総合的な支援体制の強化を図ってまいります。
 以上です。

広聴広報課
 以上で知事からの発表を終わります。

幹事社
 それでは、ただいまの発表事項2件について、各社から質問があればよろしくお願いします。

記者
 福祉灯油について伺います。7年連続、震災以降7年目の実施ということになりますけれども、改めて本年度も続けることとした理由をお聞かせください。

知事
 やはり応急仮設住宅等での不自由な生活が長期化する中で、生活再建や経済面の負担を抱える被災地の低所得者世帯へのきめ細かな支援が引き続き必要という考え方であります。沿岸の全12市町村が県の支援があれば福祉灯油事業を実施したいという意向もありますので、今年度も補助事業を実施しようとするものであります。

記者
 被災地で、まだ仮設で暮らす方も1万人を切ったとはいえ、たくさんいる状況であるのですけれども、こういった事業を続けることでの期待というか、意義というか、知事はどのようにお考えでしょうか。

知事
 なしで済むなら、それに越したことはないわけですが、ただやはり必要性があるので、行うということでありまして、東日本大震災からの復興というのは、被災者イコール復興者一人一人がきちんと復興していくことができるかどうか、きめ細かに対応するということでありますので、今年度も行うということです。

幹事社
 ほかございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、発表事項以外について、本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はありませんので、各社から質問があればお願いします。

記者
 まず、今日、東京オリンピック・パラリンピックの(復興「ありがとう」)ホストタウンに岩手県から釜石市や陸前高田市など選ばれました。まず、この受け止めについて、知事の所感をお願いします。

知事
 県もその趣旨に賛同し、市町村をバックアップしてきたところでありますので、5つの市村が申し込んでいて、それが全部登録になったということは良かったと思います。
 なお、宮古市が新たに応募していますので、これからの登録に向けて支援していきたいと思いますし、まだ応募に至っていない市町村についても、県としても登録された市町村の取り組みを紹介するなど、さまざま情報提供や、また、助言などを行って支援していきたいと思います。

記者
 実際に(復興「ありがとう」)ホストタウンになったことへの期待感についてはどうでしょうか。

知事
 東日本大震災直後の緊急援助隊、アメリカ、イギリス、中国から岩手県内へ入っていただいたということから始まって、さまざまな支援いただいているわけですけれども、そうした海外の方々との出会いというものが、救助、救援、復旧、復興、必要に迫られてではあったのですけれども、さまざまな交流や親善の取組に発展していて、幕末の開国という言葉があるのですけれども、いわば岩手の開国というような、東日本大震災津波後、図らずも岩手が開国したような、そういう趣があると思います。
 東京オリンピック・パラリンピックが復興五輪として意義を有していくためにも、この復興「ありがとう」ホストタウンという形で、さらに岩手の、特に沿岸被災地市町村が海外との友好や交流や親善を発展させることができれば、非常に岩手全体にとっても良いことだと思っています。

記者
 実際に本番に向けて、県として、また被災地全体として、オリンピック(・パラリンピック)を、また、岩手県をどう盛り上げていきたいでしょうか。

知事
 私は、東京2020オリンピック・パラリンピックについては、地方が主役になるようなオリンピック・パラリンピックとなって、初めて成功と言えるのだと思っておりまして、その中で特に復興五輪ということで、東日本大震災の被災した地方が主役になる、そういう分野とか、そういうイベントがどんどんできていけばいいなと考えていますので、今回の復興「ありがとう」ホストタウンということも、そういった一環として大いに期待したいと思います。

記者
 地方消費税の都道府県への配分についてお聞きしたいのですが、今、政府の方で配分の基準を人口をより重視した形に見直しを進めていますが、そのことについて所感をお願いします。

知事
 端的に岩手にとって助かる話ですし、財源の偏在是正という観点からも、より地方の経済、社会を強くするような税財政の体系が望ましいと思っておりますので、好ましい方向性だと思っています。

記者
 今、県境を越えて東京とか大都市に買い物に来る人が多いという中で、こういった見直しによって大都市有利な部分が是正されるのかなというふうなところなのですが、この方向で見直しが進んだ場合は、東京とか大都市にとっては税収減ということになると思うのですが、東京ですとか大阪がこの見直しについて強く反発している状況については、どのように考えていますでしょうか。

知事
 都会はさまざまな税財源がたくさんありますので、バランスの問題だとは思うのですけれども、やはりまち・ひと・しごと創生法という法律ができて、それに基づいて日本の全ての自治体が地方創生に取り組む中、総合戦略の5年間の2年半が過ぎて、むしろ人口の流れは東京一極集中が一層悪化している状態ですから、それを反転させるような施策をどんどん取っていかなければならない局面だと思いますので、ここはやはりそういうバランスの中で、都会ではない方の地方に有利にしていくことが妥当だと思います。ということで、都会の自治体もそういったところを地方創生の推進、日本全体が消滅に向かわないようにということに貢献していただければと思います。

記者
 日本全体のことを考えれば、譲るべきところは譲るべきではないかと。

知事
 はい、貢献していただければと思います。

記者
 ILCの関係を伺います。先日、カナダ(で行われた国際将来加速器委員会(ICFA))でステージングが正式に了承されたということですけれども、これについての知事の受け止めを改めてお願いします。

知事
 20キロの長さからスタートするということによって、従来の計画と比べ最大40%のコスト削減が可能ということで、研究者の側からこれまでILC実現の課題とされてきた高額な整備費用ということについて、解決に向けて尽力された、そういう結果が出てきているというふうに考えます。これによって、日本が日本のイニシアチブによる国際プロジェクトとしてILCを時宜を得て実現すること、それをICFAが強く奨励しているわけですけれども、日本国内の議論も大きく前進するものと期待しています。
 岩手県としても、日本での実現イコール岩手、東北での実現ということでありますけれども、それを見据えて研究者の皆さんが安心して研究に専念しながら、快適に暮らすことができる環境の整備検討をさらに加速化させていきたいと思います。

記者
 ありがとうございます。ILCに関しては、今後夏ぐらい、半年ほどが誘致決定の勝負と言われているのですが、その中で他の関係の団体と連携してにはなると思うのですが、政府への働きかけについて、知事としてはどのように働きかけていきたいとお考えでしょうか。

知事
 東北ILC準備室、鈴木厚人岩手県立大学学長さんに司令塔役をやっていただきながら、研究者の皆さんの考え方や動き、日本政府の考え方や動き、そして各関係団体の考え方や動きを情報共有しながら、かなり高度にすり合わせながら調整していくような体制ができていますので、その中で岩手県としては遅れをとらず、ちゃんと全体の動きの中で重要な役割を果たしていくことができるようにして、日本政府における意思決定につなげていければと思います。

記者
 ちなみに、今後近々で何かそういった働きかけをするというような具体的な機会のお考えというのはおありでしょうか。

知事
 いろんなレベルでさまざまな動きはあるわけでありまして、その辺をぜひ注視していただきたいと思いますし、必要に応じていろいろ県からの発表もしていきたいと思います。

記者
 もう一点なのですが、先ほど受け入れ態勢の整備というお話もあったのですが、残り半年の中で重点的に特に取り組んでいきたいという部分は、知事、どのようにお考えでしょうか。

知事
 いろいろ役割分担しながらつくっていこうということになっていまして、ちょっと言葉遣い、正確さを欠くかもしれませんけれども、東北でILCが実現し、研究者の皆さんが生活していく、そういう絵を描いて、そしてその中で必要なものについてどう対応していくのかということがわかるようにしていくという作業を進めることが地元として大事な作業だと思っていますので、それをしっかり進めていきます。

記者
 先週、準備委員会が開かれた(仮称)(三陸)防災復興博の件でお尋ねします。復興庁岩手復興局の山下局長の方からは、財政的な支援に関してはどんどん政策提言してほしいという前向きな意見が出ていたと思うのですけれども、その点について知事も、その発言をされた後に、それはまた改めて進めていこうということでしたけれども、具体的に来年度の予算編成に向けてどのようなアクションをしていくおつもりか、今の時点で言える範囲で教えていただけますか。

知事
 復興予算については、三陸復興防災博(仮称)以外の部分でも、心と体のケア対策事業を続けるとか、あとはさまざまインフラ整備関係でも、年度ごとに要望していかなければなりませんし、そういった要望活動を県、市町村がそれぞれ行ったり、また一緒に行ったりしているわけで、そういった場がありますので、三陸復興防災博(仮称)関係の要望も、そういった場を活用しながらできますよねということを確認したつもりであります。復興庁、ひいては日本政府としても、2019年の段階で岩手県において震災を振り返って風化を防止し、得られた教訓を防災に生かし、そして地域の振興につながって、復興というのがビルド・バック・ベターな形で成就していくようにしていく、そういうイベントを行うということについては全面的に賛成だし、一緒にやっていこうという、そういう趣旨のことを言っていただいていると思っていますので、国とも綿密にやりとりしながら準備を進めていきたいと思います。
 財政面もさることながら、国の関係の方々にさまざま参加していただいたりとか、あとはいろいろオールジャパンで活躍しているような人や団体に参加してもらうとかいうところで、復興庁には大いに協力いただきたいなというふうに思っています。
 あと、国際機関なんかもそうですね。防災などに関する国際機関の参加なども日本政府に協力いただきたいところで、そういったところでも復興庁に活躍いただきたいと思っています。

記者
 ありがとうございます。さらに復興庁の方に聞くと、思い切って新しい制度というか、予算メニューみたいなものを創設してくれれば、大いにそれをというようなことが、多分今知事がおっしゃっていたこととマッチングさせると実現するのかなと思うのです。準備委員会の方として、実行委員会に移行するのが大体年度末を予定されていて、基本計画の方も策定されるということなのですけれども、それを待たずどんどん早く、固まったらどうぞというような話も(復興局主催の)報道機関との懇談の場で山下局長がおっしゃっていたのですけれども、時期としてはどうでしょうか。何か示したり、求めたりしていくタイミングみたいなものとしては。

知事
 準備委員会が立ち上がった今となれば、イベントの内容について固まってき次第、早目早目に復興庁にもお知らせするということはしていかなければならないと思っています。

記者
 例えば予算編成の作業が、当然県の予算編成もあるので、年明けとかというようなタイミングとかというのも、一ついいタイミングなのかなと思いましたけれども、どうですか。

知事
 既存の霞が関の予算のサイクルに合わせた形で、自ら身を縛るようなイベントの準備の仕方をするのではなくて、地元本位に、被災地イコール復興地、被災者イコール復興者の地元という地域と、そしてそこで生きていこうとする人たちの、そこから必然的に出てくるこういうイベントをやろうとか、こういう取組をしようとか、そういった中で予算のことについて関係者でいろいろ工夫していくということは、その後のことだと思っております。まず、復興をビルド・バック・ベターということで、地域がどうなっていかなければならないのかという内容本位、サブスタンシャル本位であって、そのために必要であれば、いろいろあるのだと思います。民間企業に参加してもらうのがいいということもありましょうし、寄附金系の予算を使った方がいいということもありましょうし。ですから、国との制度上の議論に時間を使うよりは、地元がどうあるべきか、そこの人たちがどうあるべきかということの方に手間暇をかけていきたいと思います。

記者
 あともう一点、復興博の件で、準備委員会の時も意見があり、あと、復興委員会の専門委員会でも委員の方から意見があったのですけれども、今回は準備委員会には沿岸の市町村が入っていましたけれども、内陸も入れるべきだという意見がありました。復興委員会の専門委員会の中でも同様の意見があったのです。今は準備委員会ですけれども、準備委員会の中には当然県市長会、町村会も入っているは入っているのですけれども、やはり盛り上げるために県内全市町村も参画した実行委員会に移行すると、そういうビジョンはお持ちですか。

知事
 県が言い出しっぺでもありますので、あまり県が強権的に参加を強いるような形はどうかなという感覚は持っているのですけれども、沿岸の方々が内陸の市町村も一緒にやりましょうとかいう感じで盛り上がってくれるのであれば、そこはやっぱりさっきから言っているように地元本位、そこに生きる人たち本位に組み立てていく必要があると思います。

記者
 昨日、国やNUMO(原子力発電環境整備機構)が主催した放射性廃棄物の処理場の住民への意見交換会がありました。知事のスタンスからしていろいろと思うところはあると思うのですけれども、まずこの説明会について知事自身どう感じるのか、そして改めて県としてこの放射性廃棄物の処理施設の選定についてはどのようなスタンスで臨まれるのかお願いします。

知事
 いずれにせよ、科学的特性マップの提示の段階で候補地が絞り込まれているものではないという、そういう中で、岩手県としてはこれまで表明しているとおり高レベル放射性廃棄物最終処分施設を受ける考えはないわけでありますけれども、意見交換会というものをNUMOの責任において全国でやるということについては、適切にやってもらえばいいとは思っているのですが、意見交換会に謝金を支払って学生を動員したという問題については、国民、県民の信頼を損ないかねない行為だという指摘もあるので、そういうことはよく気を付けてもらいたいなというふうに思います。

記者
 ちょっと砕けた質問ですけれども、日本ハムの大谷翔平選手が大リーグ挑戦を表明しましたが、これについて知事の所感一言お願いします。

知事
 元気に大きく手を振って見送ってあげようかなというふうに思います。花巻東高校を卒業する時点で、大リーグという話はもうそのころからあったわけでありまして、岩手県民はかなりその時点で、もう大リーグも仕方がないかと、こういう思いも持ちつつ、でもそんなすぐにアメリカに行かれては寂しいし、また本人もさることながら、県民の方も高校を卒業していきなり大リーグというのは大丈夫かなという不安もあって、まずは日本のプロ野球界で活躍してもらいながら、タイミングを見て大リーグへという方がいいのではないかなというような共通認識を岩手県民が持っていたと思うのです。そして、日本のプロ野球で順調に活躍をして、昨年はチームのリーグ優勝と日本一に大きな貢献をして、MVPにもなったりして、日本のプロ野球界を代表するピッチャーになってしまった以上、もう大リーグということかなというのは、岩手県民としても覚悟の上で見送ろうという気持ちになっていると思うので、私もそういう気持ちで、大きく手を振って見送ってあげたいなというふうに思います。

広聴広報課
 以上をもちまして記者会見を終わります。
 

 次の定例記者会見は11月28日(火曜日)の予定です。

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