平成29年10月23日知事会見記録

ID番号 N59831

平成29年10月23日10時30分から11時17分

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。最初に、知事から発表があります。それでは、知事お願いします。

知事
 まず、いわて☆はまらいん特使、村上弘明さんを起用したPRポスターと動画についてです。岩手県のPR特使、いわて☆はまらいん特使に就任いただいている俳優、村上弘明(むらかみ・ひろあき)さんを起用した岩手の魅力をPRするポスターと動画を新たに制作しました。PRポスターは、今ここ(バックボード)に貼ってありますけれども、岩手に息づくファンタジーな魅力をテーマに龍泉洞編と三ツ石編、計4種類を制作しました。今日から東京駅をはじめ首都圏主要19駅の大型LEDビジョンに電子広告として1週間掲出を行い、10月27日からは都営地下鉄全線で2週間中吊り広告を行います。
 また、ポスターと連動したPR動画を2本制作しまして、岩泉編の方は村上さんが冒険家に扮し、昨年の台風第10号による被災から営業を再開した岩泉町の龍泉洞を舞台に、岩手の大地に息づく神秘的な魅力を紹介しています。もう一つ、遠野編は、村上さん扮する柳田國男(やなぎだ・くにお)が佐々木喜善(ささき・きぜん)と遭遇し、人々の間に息づいている民話を通じて、岩手のさまざまな情景を伝えています。今日からこの2本のPR動画を特設サイト「いわてとあなたが、つながるページ」、そしてYouTube(ユーチューブ)「岩手県公式動画チャンネル」で公開しますので、多くの方に見てもらい、そして広めていただくようお願いをいたします。
 次に、中国・雲南省等の訪問について、10月25日から29日にかけ、中国・雲南省と上海市を私が訪問し、雲南省人民政府幹部との会見や昆明市内で開催される「雲南省・岩手県農業シンポジウム」などに出席してきます。岩手県と雲南省は、両地域の特産品である南部鉄器とプーアル茶を通じた交流から始まり、県と雲南省プーアル市が共同で上海万博に出展するなど交流が深まり、地方政府間交流へと発展しています。平成25年11月には県と雲南省との間で友好交流協力協定を締結しました。経済、観光、農林業、青少年交流などの分野で交流事業を進めています。
 平成30年度は、協定の締結から5年の節目の年であり、将来に向かってさらに交流・連携を深めていくため、今、来年4月の岩手県雲南事務所の設置に向けて検討を進めています。事務所の開設を見据えつつ、雲南省人民政府や雲南省人民対外友好協会など関係機関との連携・協力を密にしていき、県で進めている取組をステップアップさせて、県と雲南省の相互交流をさらに促進していくために今回訪中しようというものであります。
 そして、漆をテーマとしたシンポジウム「漆DAYSいわて」の開催について、こちらの方のポスターでありますが、岩手県の漆生産量は国内の約7割を占め、日本全国で工芸品の生産や文化財の修復などに使用する国産漆の需要が高まっている中、日本一の産地として漆の供給に期待されています。また、本県は秀衡塗や浄法寺塗などの伝統(的)工芸品の漆器や、漆で修復された平泉「中尊寺金色堂」など、漆文化を有しています。
 そこで、県では11月18日、19日の2日間、岩手県公会堂で漆文化の魅力を発信し、国産漆の状況について広く関心を持っていただくことを目的に、シンポジウム「漆DAYSいわて」を開催します。18日土曜日には、公会堂大ホールで重要無形文化財「蒔絵」保持者、人間国宝、室瀬和美(むろせ・かずみ)さんの講演をはじめ、今回のシンポジウムに合わせて制作した岩手の漆を使用した製品の完成発表会などを行います。そして、公会堂2階の展示スペースでは、県内外の漆製品の展示販売やトークイベント、金継ぎや漆の絵付けのワークショップなどのさまざまな催しも行います。日本全国そして世界に誇れる岩手の漆を見て、知って、学んで触れることができるイベントでありますので、ぜひ「漆DAYSいわて」へのご来場をお願いいたします。

広聴広報課
 以上で知事からの発表を終わります。

幹事社
 それでは、ただいまの発表事項3件について、各社から質問があればお願いいたします。

記者
 「漆DAYSいわて」の件でお尋ねします。県議会でも質疑がありましたけれども、改めて今、国内(生産)7割を岩手からということで、その発信力も高めていかなければいけないのですけれども、同時に資源としても、あと人材としても、このままだと危機というか、課題が多いと思うのですけれども、そういった面も含めて、知事は課題としては漆に関してはどのように捉えていらっしゃるのでしょうか。

知事
 日本文化全体の持続のためにも、岩手の漆がますます重要、必要になっているわけですけれども、原材料としての漆の量の確保、それから漆掻きから、また漆器製作に至る人材育成、その2つに今課題があるわけであります。そういう意味でも、県としても漆関連産業の振興を全県的な課題として捉えて、県が事務局となって漆関係団体プラス研究機関、そして行政で構成するいわて漆振興実務者連携会議というのを今年5月に設立したわけでありますけれども、こうしたオール岩手で関係者が一体になって、漆掻き、漆塗り職人の育成、そして漆原木の管理、育成に取り組んでいこうというふうにしているところであります。そういった最近の動きを知ってもらいつつ、また、漆が持っている昔ながらの魅力、そして将来性というのを感じていただこうということで、この「漆DAYSいわて」もやるということです。

記者
 雲南省の関係でお伺いします。雲南省事務所の設置に向けた協力要請と農業シンポジウムに出席するということで、今後の相互交流を促進していくということですけれども、雲南省の事務所を設置して、具体的にどういったことを今後目指していこうとお考えなのか、お願いします。

知事
 まず、雲南省にとって岩手県というのは唯一、友好交流協力協定という文書も締結して交流を行っている日本の自治体でありまして、非常に丁寧で、また包括的な友好交流協力(関係)というものができてきていますので、それをしっかり軌道に乗せつつ、さらに発展させていきたいということです。中高校生の交流というのが軌道に乗ってきていますし、今回も岩手からの高校生の派遣と私の訪問と同じタイミングで、現地で合流したりもするのですけれども、それから農業をめぐる連携、また、岩手の物産を雲南省で紹介し、雲南省、中国を越えて広くアジアの国々にもPRしていくということ、雲南省では中国南アジア博覧会という博覧会イベント(があり)、岩手県も参加しています。これは雲南省政府が広く南アジアに開かれた形でやっている博覧会であるとともに、中国全体の行事とも言えますので、こうした包括的かつ丁寧できめ細かい友好交流協力を雲南省と進めることで、中国全体、そしてまた南アジアの方にも岩手のことを広めていくというような拠点として、この岩手県雲南事務所に期待しています。

幹事社
 それでは、発表事項以外について、本日は記者クラブを代表しての幹事社の質問の用意はありませんので、各社から質問があればお願いいたします。

記者
 昨日、衆(議)院(議員総)選(挙)の投開票が行われ、自(民)公(明)が3分の2(の議席)を占める結果になりました。そのことと、あと小選挙区が岩手で1つ減ったにもかかわらず、比例含めて5人の当選者が出ました。この2点についてご感想をお聞きしたいと思います。

知事
 選挙の主役は有権者という視点から今回の選挙を振り返りますと、やはりなぜ今選挙なのかと、そして日本全国有権者による集団的意思決定というのを主権者である国民が行う機会が(衆議院議員)総選挙とか、参議院(議員)の通常選挙なのですけれども、一体何について検討し、何について議論し、そして何について決定したのかというのがやはりわからない選挙になってしまったのではないかと思います。ですから、選挙としてやはりいかがなものかという思いが残る選挙で、当選した皆さんには、これは日本全国、どの党も無所属もなのですけれども、いわば主権者、国民が満たされない思いというのを抱えつつ選挙が終わってしまった、そういう選挙だったと思うので、でも選挙期間中あるいは選挙の直前も含めて、さまざまな有権者の思い、例えば、東日本大震災からの復興ということを決して忘れず、しっかり進めていかなければならないとか、そういう声がさまざま出ていたと思いますし、あとは世論調査の結果など見ても憲法改正には慎重にとか、北朝鮮問題については軍事的圧力よりも外交交渉でとか、そういった民意というものに一層丁寧に寄り添うような形で国政を進めていってほしいなというふうに思います。
 岩手県としても、突然の解散総選挙によって衆議院議員の数が比例復活の方も含めて2人少なくなってしまったということは残念なことでありまして、今回当選された方々には岩手県民の声というものも、これは国民としてのさまざまな思いがあるわけで、これがしっかり国政に反映されるように頑張っていただきたいなというふうに思います。

記者
 私も衆(議)院(議員総)選(挙)について関連でお伺いしたいのですが、県内の状況を見ますと、希望の党ができたことによって、他の野党の方々は野党共闘は破棄されたものだと考えているということで、今回は昨年の参(議)院(議員)選(挙)のような目に見える形での共闘というものはなかったわけですけれども、そういう選挙戦になったということ、知事ご自身はどう受け止められているかということと、今後県内の野党勢力の再構築というものが恐らく必要になるかと思いますが、どういう方向に進んでいってもらいたいというふうにお考えでしょうか。

知事
 岩手県の選挙結果を見ていて、一つ特徴的なのは、立憲民主党という岩手県内には実質的に存在しない政党に対して(比例代表選出議員選挙において)たくさんの票が投じられていると。いわば幻の野党共闘に対して投票が行われたような感じなのかなと思っておりまして、また、他の実際に存在する野党に投票された分も含めて、岩手においては比例(代表選出議員選挙では)自民党得票数よりも野党の方を合わせた得票数の方がずっと多いというところを見ると、やはり幻の野党共闘ということへの思いが岩手には強くあるのだなというふうに感じます。

記者
 やはりそういう部分では、これまでの関係性を生かして、何かしら継続してもらいたいという、知事ご自身そういうお考えありますでしょうか。

知事
 ここは、やはり今ある政党の立場から、それをどうまた何かをくっつけるとか、くっつけないとかという議論に入る前に、さっき選挙直前から選挙中にかけてさまざまな民意が示されてはいたという、そういう民意を代表し得るような、そして大きく過半数を超えていくような、そういう幻の受け皿というのでしょうか、そういう幻の受け皿、民意を国政において形にしていくための形という受け皿、幻の受け皿をどうつくり上げていくかということをそもそものところから考えて、そして関係者がいろいろと話し合ったりしながらつくっていくのかなと。つくっていくに当たっては、やはり要所要所で民の声に耳を傾け、また、民に声を出してもらうという、議員だけ、さらには議員の一部だけが「えいっ」と決めてしまうのではなくて、ちゃんと草の根の声を実際に反映させながら、そういう大きな民意を実現していく枠組みをつくっていけばいいのではないかと思います。

記者
 すみません、あと

知事
 あとは、これは自民党、公明党、与党側は与党側で、与党の主張というか、与党は与党で突然の解散で、今回の選挙に向けた新しい公約というのをつくっている時間はなかったと思うのです。だから、与党は与党で、きちんと問いかけるものがないまま、唯一消費税の使い方を教育に回していいのかということぐらいしか正式には問いかけていない中、民意としてはもっといろんな民意が、憲法改正に慎重にとか、北朝鮮問題についても軍事より外交でというような、そしてまた復興についてもきちっとやるようにというのに向けて、与党は与党で自分たちを変えていかなければだめだと思います。それは、野党の側が先に民意のど真ん中とともに歩む形をつくれるのか、与党の側が民意のど真ん中とともに歩むようなふうに自ら変わっていくのかという、これからはその競争になるのだと思います。

記者
 わかりました。あと2点ほどお伺いしたいのですけれども、まず全国的に見てのところで、希望の党が当初の勢いがなくなり、失速したというふうに結果的に見ても言われておりますけれども、まず一連の動きを見て、知事ご自身どういうところに失速の要因があったというふうに見られているのかということを伺いたいのが1つと、あと今後、立憲民主党と希望の党という野党、あと民進党から無所属で出られた方も今回いらっしゃって当選された方もいて、その辺りで野党再編が恐らく進んでいくのであろうと思われますけれども、どういう方向に進んでいってもらいたいと思うか、その2点お伺いしたいです。

知事
 希望の党は、やはり民意のど真ん中から外れる方向性というのを大きく示してしまったことが敗因だったと思います。逆に立憲民主党の方は、民意のど真ん中に向かっているような方向性というふうに受け止められたがゆえの躍進だったと思います。ただ、立憲民主党の主張というのは、まだ中身がきちんとそろっていない、固まっていない、立候補者によってニュアンスが違うこととかがありますので、一方、希望の党の方も、本当は民意のど真ん中に沿うように活動してきた実績のある議員さんもそうではない主張をさせられる羽目になったり、あるいはそういう主張をするのが嫌で、もごもごと言いながら選挙戦を展開したりみたいな。だから、いずれにせよ民意のど真ん中というところを、きちっとそっちの方を見て、そっちに向かって行きさえすれば、そうそう悪いようにはならないのだと思います。ただ、今現在そういう民意のど真ん中を代表するような政治の形が国政の場にないというのは、今回の選挙で明らかになって、それは日本政治にとっては非常に不幸なことだと思いますね。

記者
 そういう現状だと勢力が分散している状況であることは間違いないわけで、やはり民意に沿う形である程度勢力の集約というのが図られていくのが望ましいというふうに考えられますか。

知事
 やはり、民意のど真ん中を代表するような勢力が国政選挙で過半数をとって、政権を担うということが望ましいと思います。

記者
 すみません、選挙とは別の話になるのですが、先週、県議会の決算特別委員会で2016年度の一般会計決算が3年連続で全会一致の認定となりましたけれども、午後の本会議でも認定となる見通しですが、これについて知事の所感をお願いします。

知事
 (平成)28年度決算は、東日本大震災津波からの本格復興期間の最終年度で、復興関係で大きな前進を見た、そして多くの関係者の皆さんにご尽力いただいた決算でありますし、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会を成功させた決算でもあります。また、台風10号災害にも緊急的に対応した決算でもありますし、そういった県民の皆さんが計画どおりに、あるいは突然の災害に一生懸命岩手の総力を結集し、また、さまざまな県外とのつながりの力も発展させた、そういう決算に対して県議会から認定をいただいたというのは、まさに県民を代表して大変うれしく思います。
 附帯決議があるということで、本会議で正式に成立して(※正しくは、承認されて)からではあるのですけれども、その附帯決議もしっかり踏まえながら、今後の執行部側の活動に役立てていきたいと思います。

記者
 私も今の県議会の関連なのですけれども、先ほど知事がおっしゃったように附帯意見なのですけれども、県が出資する法人のIGRについても情報公開を求めるような附帯意見がつきましたけれども、あと、決算特別委員会の中でも再三情報開示するようなやりとりがありましたが、その件については今後どのように対応されていくおつもりでしょうか。

知事
 県議会の決算をめぐる議論は、会派ごとに、あるいは議員個人ごとにさまざまな意見があって、ある一つのテーマについても非常に幅広い意見がさまざまある中、附帯決議の形に文章がまとめられたと理解しておりますので、そういう意味ではこの附帯決議というものを議会の総意として受け止めて、その文言をきちっと踏まえながら議会の総意に応えていくようにしたいと思います。

記者
 ありがとうございます。あと、先ほどの衆(議)院(議員総)選(挙)の関係なのですが、民意を大事にするため、与党、野党含めて再編が必要だということなのでしょうか、捉え方としては。

知事
 再編というのはあくまで手段であって、極端に言えば政党というのをなしで無所属の議員たちの連合体みたいな、アメリカの議会なんていうのは実質的にそういう個人商店主である議員たちが政党の縛りから離れて、大統領選挙とか以外は結構個人の考えで動いて、民意のど真ん中に応えようと努力をしているわけですけれども、そうですね、むしろ今の日本が直面している問題は、政党の枠組みにこだわり過ぎて民意から離れていっているというところに問題があって、さかのぼれば民主党政権というのが与党民主党の枠組みというのにこだわり過ぎて、民主党のマニフェストになかったような、あるいはそれに反するような政策を政府というのはこういうものだという感じで次々に打ち出して、国民の支持を失っていったということがありますし、いわゆる安倍一強体制ということも自民党という組織を守ることを優先させて、民意としては憲法改正に慎重な人が多いし、北朝鮮問題にしても軍事より対話という方が多いのだけれども、実際やっていることはその民意と反対の方向をやっている。もうちょい個々の議員がきちんと民意に寄り添うという、国民の方を見ながら国政をやるのだということをまずは一人一人の議員がしっかり心掛ける中から、そのためには誰と協力しようとか、どういう人と人とのつながりをつくっていこうとかという中で政党活動もきちっと動いていけばいいのだと思います。

記者
 既にお話しいただいた中に答えはあるのかもしれませんが、今回の投票率、前回よりは伸びましたが、50%台にとどまりました。その要因についてどうお考えか教えていただけますでしょうか。

知事
 まず、今回、大きな台風が接近してきた中にもかかわらず、岩手においても前回を上回る投票率だったということ、これは岩手の有権者の皆さんに、私からも投票してくれた皆さんには御礼を申し上げたいと思いますし、トラブルなく投開票を行った市町村、そして県の選挙管理体制スタッフの皆さんにも敬意を表したいと思います。
 前回の総選挙の投票率が低過ぎたというのがあると思いますね。やはりクリスマス選挙、年末選挙ですか、特に突然解散して12月に選挙というのは、本当に投票率を低めることになるのだなというふうに前回の選挙の時に思いました。
 今回は、やはり12月ほどは選挙以外の方に注意を引っ張られるということがなかったのかなというふうに思いますし、いろいろ稲刈りとか、そういう農林水産業をはじめさまざま仕事で忙しいという時期ではあるし、文化、スポーツ関係の、あるいは伝統的な地域のイベントが重なり合う、ひしめき合うようなシーズンではあったのですけれども、事前投票(※正しくは、期日前投票)の制度が浸透したというのが大きかったですね。あれがなかったら、前回並みか、あるいは前回よりは低い投票率だったのではないのでしょうか。事前投票(※正しくは、期日前投票)の制度を活用して投票に行かれた方が多かったので、前回を上回った、プラス12月の突然の解散総選挙というのは最悪だということだと思います。

記者
 でしたら、知事のお考えとしては、投票率は伸びた方だなというようなお考えなのでしょうか。

知事
 雨やら風やら台風が近づいてきて大変だった中で、それでもやっぱり投票はしなければという、そういう有権者の皆さんの思いと行動というのはすごかったと思います。そこは選挙全体そもそもこの時期の解散総選挙ということに反対する人が事前の調査でも多かった選挙ではあるのですけれども、反対だけれども、しかし選挙が法律に基づいて行われるのであれば国民として投票に行くという、そういう方々が多かったということで、そこに日本の政治の救いがあるのではないかと思います。そういう意味でも、やっぱり民意を大切にする国民の方を向いた政治というのが日本に求められていると思います。

記者
 台風についてお聞きしたいのですけれども、今現在も降り続いておりますけれども、朝の時点で数件物的被害もありまして、それで今後、農作物の収穫期でもありますし、県内で懸念される影響というのはどのように考えておりますでしょうか。

知事
 まず、風が強いのであちこちで物が壊れたりしていますから、強風には本当によくよく注意され、プラス大雨、洪水にも注意して、それぞれの地域ごとに出ている警報、注意報、また、市町村から出ている避難関係の情報を踏まえて安全の確保をしていただきたいと思います。

記者
 あと今回、夜間に警報等が発令されたと思うのですけれども、特に対策として留意された点というのはございますか。

知事
 やはり昨日のうちにある程度方向性を県としても示しておかなければということで、昨日の午前11時に風水害対策支援チームを招集し、有識者の皆さんや岩手河川国道事務所の代表の方、気象台の代表の方などに集まっていただいて、そして昨日のうちに市町村ごとにも避難関係の情報を必要なところは出していただくようにした方がいいというようなことを市町村の方にも伝えることができ、市町村の方も昨日のうちから早目、早目にさまざま手を打ったということが良かったと思います。

記者
 衆(議)院(議員総)選(挙)の話に戻りますが、先ほど民意のど真ん中というお話がありましたけれども、今回、自民党が全国的には快勝して多くの議席を取ったというわけですが、自民党は民意のど真ん中にはいないというふうに知事はお考えでしょうか。

知事
 基本的には安倍首相の作戦勝ちということだと思います。このタイミングでの解散総選挙というものが功を奏してこうなったということだと思います。

記者
 すると結果的に議席は作戦勝ちでたくさん取ったけれども、必ずしも民意という意味では安倍政権を多くが支持しているわけではないということになるのでしょうか。

知事
 自民党の議員の皆さんですら虚を突かれた格好になった選挙で、さっき言った消費税の使い方(について)、教育にも使えるようにという話は自民党の税制調査会ですか、税に関する党の政策担当のところでは、いや、それは選挙が終わった後に党のそういう税を議論するところで議論して決めるのだみたいなことが発言され、報道されたりもしていて、そういう意味では有権者に何を検討し、何を議論し、何を選んでもらうのかというような選挙には全然なっていなかったと思うのです。野党側の準備が全然できなかったというのはもう見てのとおりでありますし、そういう中、勝負事の次元、作戦の次元の選挙として仕掛けられ、受ける野党側も野党のど真ん中の辺りが負けずに、作戦の次元で応じて、その作戦が大失敗して、仕掛けた方が作戦勝ちしたということだと思います。

記者
 先ほど幻の受け皿という、野党側の受け皿、民意のですね、というお話もありました。そういう民意を受け止める政党、そういった塊が必要だという趣旨だと思うのですが、今、野党の政党勢力がこういう結果になって、今後そういった塊をどういった政党が主導権を握って、受け皿づくりを進めていくべきだと知事はお考えでしょうか。

知事
 本当はそういうことが全て整った上で、選挙で国民に選んでもらわなければならないのに、今回の選挙にそれが間に合わなかったというのは、やはり政治に携わる側の失敗だったわけで、そういう失敗した人たちには猛省していただいて、しっかり立ち直ってもらわなければならないのですけれども、広く国民全体として考えていかなければならない問題なのだと思いますね。特に民意のど真ん中で多数を形成していくということ、憲法のこととか、外交、安保のこととか、そして東日本大震災からの復興のこともそうですし、あとはいわゆる地方創生、東京一極集中と地方の力がどんどん弱まっているということについても、それぞれの問題について多数派を形成するだけではなくて異なるテーマ、異なる分野を包括的に多数派を形成していくような工夫、これからの時代はこうなのだと。
 枝野さんが右と左の対立ではなく前に行く政治で行きたいと言っていたのは、私が自由党で民主党に合流したときに盛んにしゃべっていたことでありまして、21世紀はもう冷戦時代の右と左の対立ではないよと、アメリカでも、ヨーロッパでも、左派政権も市場経済は尊重するし、右派政権でも思いやりのある保守と言ってみたり、環境や教育に力を入れてみたり、そして第三の道ということも言われてみたりという、そういうもう右対左ではないような政治を日本にもということは、私は10年以上前に盛んに言っていたわけですけれども、そういう世界の政治の潮流も見据えながら、日本にどういう新しい政治の形をつくっていくのかということを国民全体で取り組んでいかなければならない局面だと思います。

記者
 今回、いわゆる保守、リベラルみたいな、そういったのが少しわかりやすく政党としては分かれたような気もするのですが、知事が考える民意のど真ん中に近い政党というのはどことお考えなのか、もしくは今はそういうのがないとお考えなのか、いかがでしょうか。

知事
 そうですね、今回の選挙に出てこなかったのですけれども、民進党というのはそういう志を持っていたのではないかと思いますし、あとは自由党というのもそうですよね。象徴的なのは、そういう民進党、自由党が今回の選挙には参加しないでしまったということがまさに民意のど真ん中というところが幻のそういう空白になった選挙ということかなと思いますね。

記者
 そういう意味では、民進党出身者という言い方になるかも知れませんが、参(議)院(議員)はいますけれども、そういった民進党とか自由党、そういった理念を持った人たちがこれから野党の塊という受け皿をつくっていくのには主導権を持ってやっていった方がいいというようなお考えなのでしょうか。

知事
 誰がやった方がいいというか、そこは今ここにいて取材をしているあなた方の中からでも、日本はこのままではだめだと、自分は今までの経験を生かして政治の世界に飛び込む、日本の新しい政治の形のこの指とまれの手を挙げ、人差し指を高く掲げるということは誰がやってもいいと思いますね。少なくても、今回の選挙では、それを誰もやれなかったということで、だから国会議員、そして国会議員になろうとした人たちの中には今、そういう人たちはいない状態だということを日本国民全体として深刻に受け止めなければならないと思いますよ。

記者
 1点だけ。先週、東京五輪・パラリンピックの選手村を造るために県産材を使用されるということが発表されました。これについて知事のご感想を聞かせてください。

知事
 東京オリンピック・パラリンピック、特に復興五輪ということで、その趣旨を形にしていくためにも、岩手からそういう木材の提供という形でも大々的に参加していくことが望ましいと思って申し込んだわけですけれども、採用されて良かったと思います。日本全体、もっと日本の国産材を活用しようという、そういう流れの中での企画でもありますので、1つには復興五輪というのをきちっとそういう形にしようという意図がありますけれども、もう一つは日本における国産材利活用促進という中で、県としては(本州)最大の森林面積を誇る岩手県が、やはりその中でも主導的な役割を果たしていきたいと、その2つの意味から申し込みが受け入れられて良かったなというふうに思います。

広聴広報課
 以上をもちまして記者会見を終わります。
 

 次の定例記者会見は10月30日(月曜日)の予定です。

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