平成29年9月22日知事会見記録
ID番号 N58973
平成29年9月22日10時30分から10時59分
広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。本日は、知事からの発表はございません。
幹事社
本日は、記者クラブを代表しての幹事社質問はありませんので、各社から質問があればお願いします。
記者
先週末になりますけれども、衆(議)院の解散の報道が流れました。知事はこれまでも特に都議(会議員)選(挙)の前ぐらいまでよく会見で衆(議)院の解散等の話をさせていただいた時には、そういう時期ではないというふうにおっしゃっておられました。それも踏まえて、今、急遽、今の報道ですと今月中には解散というのが首相の方から記者発表されて、来月10日公示、22日投票という日程になりそうだということなのですが、所感をお聞かせください。
知事
やはり解散総選挙はしないでほしいと思っています。これは県民の皆さん、また、ひいては日本全体、国民の皆さんそうだと思いますけれども、地方議会のシーズンですし、さまざまな秋のイベントが行われ、愛媛(県)で国体や全国障害者スポーツ大会もありますし、また、稲刈りをはじめ、農業の収穫のシーズン(であり)、漁業の方もサケやサンマもこれからという期待がかかっているところでありますし、なかなか今、解散総選挙という時ではないだろうということは広く県民の皆さん、あるいは国民の皆さん、どこかのマスコミの調査で(選挙を)今やった方がいい、今ではない方がいいという調査をしたところ、今ではない方がいいという方が多かったみたいなアンケート結果をちらっと見た記憶がありまして、県民の皆さん、国民の皆さんは今、解散総選挙をやることについては、基本的に違和感を感じているのではないかと思います。
記者
特に国内のことのお話がメーンだったと思うのです。同時に、今やるべきかどうかという中には北朝鮮との今緊迫した情勢があると思うのです。そういう中で、今解散を打とうとしているという情報が出ていることに関しては、知事ご自身はどう受け止められますか。
知事
北朝鮮問題については、外交、防衛当局者が淡々と対応していればいいという判断ならば、それについては解散総選挙をしてもいいということになるかもしれませんけれども、そこは外交、防衛の状況がどうなっているかという判断なのだと思います。
記者
あと、今言ったように、これまで安倍さんが(首相に)なってから解散が2度目になるのでしょうか、今回やれば。ほぼ3年前、2年前、5年前というふうに結構頻繁かなと思うのですけれども、一方で野党の方で公約に何か解散をあまり乱発しないような感じのものを出すというような動きもあるようなのですけれども、解散権というのですか、憲法上、そういうものは総理にはないという話もよく出ますけれども、総理が解散をするということ自体に対してはどのような考えを基本的に持っていらっしゃるか、聞かせてもらってもいいですか。
知事
解散権というか、解散の主体は内閣であって、内閣は国会に対して連帯して責任を持つ。内閣と国会との関係において、よほど解散すべき事情がない限りは解散すべきではないというのが日本国憲法の解釈だと思います。また、諸外国、議院内閣制の国々においても内閣による解散というのは抑制的にしていく方向性があると思います。
記者
今の選挙の関係で、よほど解散すべき事情がないときは抑制的になされるべきだというところがありましたけれども、知事からご覧になってよほど解散すべき事情というのは、今の段階で国政レベルをご覧になっていて、何かその必要性を感じる点というのはありますでしょうか。
知事
今はむしろ正反対でありまして、解散してはならない事情の方を感じるのですけれども、そもそも今年の通常国会というのは非常によくない通常国会だったわけです。いわゆる森友問題疑惑について、国民が満足するような説明がなかった。そして、共謀罪についても最後は非常に不自然な、今までなかったような委員会採決をすっ飛ばすというような形で議決されたりとか、それから南スーダン自衛隊派遣をめぐる情報隠しの問題、これは安全保障関連法が多くの反対の中で可決されてしまったわけですけれども、それでよかったのかというのにもつながるわけです。そうした多くの問題を抱えたまま不正常な形で終わってしまった通常国会は、やっぱり安倍首相もそれはよくなかったということでおわび反省し、内閣改造したと。ある種、内閣総辞職に準ずることが行われたのだと思います。
今年の通常国会というのは、問題を深刻に受け止めれば、内閣総辞職に値するものではなかったかというような見方もできるような通常国会。(通常国会が)終わった後、安倍首相としては内閣総辞職まではしないけれどもおわび反省し、(内閣)改造をした。であれば、そのおわび反省改造(内閣)の趣旨を国会で国民に対して説明する必要があり、何秒間だかのおわびも含めた記者会見では(説明が)なされていたわけですけれども、記者の質問に答えればいいというだけではなく、やはり改めて、国会という場で国民の代表の質問にきちっと答えて、そして国民に対して内閣改造の説明をするということをしないと、やっぱり内閣総辞職が必要なのではないかという方に話は向かうのではないのかなと。それを解散総選挙というのは正反対の方向に、いわば正当化するような話ですから、よくないと思います。
記者
今の点で、昨日、今日と報じられている中には、首相は所信表明をせずに、当然質疑もなく冒頭解散をする方針のようなことが報じられていますけれども、やはりそれは今のお話だとよくないということになりますでしょうか。
知事
はい。そこは、安倍首相もおわび反省内閣改造ということで、国民の方に説明をするという方向に一旦向いたわけですから、その続きとしての臨時国会をやればいいだけという、今のフェーズだと思います。
記者
ありがとうございます。それから、まだ解散の正式表明がない中で、仮の話で恐縮なのですが、知事ご自身、衆(議)院(議員総)選(挙)になった場合の時の対応について伺いたいのですけれども、前回2014年の衆(議)院(議員総)選(挙)の時には県民党というのを掲げられて、基本的には特定候補の応援というか、特定政党のところのスタンスではないというのが前回の衆(議)院(議員総)選(挙)のお立場だったと思うのですが、その後野党共闘、昨年の参(議)院(議員)選(挙)なんかもあって、少し前回と事情が異なってくるのかなという感じはするのですが、仮に来月選挙になった場合のご自身の対応というのは、今のところどうお考えでしょうか。
知事
そこは、私はまだ解散総選挙がなしになるということに期待をしたいと思っていますので、まさに仮定の質問にはお答えできませんということなのですけれども、岩手県的にはせっかく4小選挙区時代に選ばれた小選挙区の4人の方々、そして比例で当選している方々もいて、それぞれ活躍されているわけですから、その皆さんに活躍してほしいなと思っておりまして、そういう意味でも解散総選挙(について)、さっき言ったような話は、私だけが言っているわけではなく、世論としても盛り上がってきていると思いますので、ニューヨークから帰ってこられた安倍首相がそういう世論も踏まえて、やっぱり解散総選挙ではなくて、ちゃんと臨時国会で改造内閣の説明をして、そして改造内閣としての歩みを進めていくというふうになることを諦めないでいたいと思います。
記者
ありがとうございます。それから、少し話が戻りますけれども、解散権と内閣改造あるいは総辞職というところに絡むと思うのですが、仮に今回の冒頭解散というやり方が、戦後もほとんどないような事例のようなのですけれども、これが前例としてできるというようなことになることは内閣の制度自体、あるいは国会に対する説明であるとか、そういうところがまたちょっと、知事のお話を踏まえるとよくない事例として出てきてしまうのかなというような感じがするのですが、そういう制度的な仕組み、あるいは国会と内閣の関係とか、その辺りへの影響というのはどうお考えになりますでしょうか。
知事
議院内閣制というのは、やっぱり内閣と国会がある局面では向かい合って対立的な構図にはなるけれども、ある局面では一緒になって力を合わせて日本の国のかじ取りをやっていくという、そういうものなので、取り沙汰されているような国会、衆議院の解散を内閣が行うということは、内閣と国会の関係を大きく損なうことになって、日本の民主主義の歴史から見て非常によくないと思います。そして、内閣と国会の関係が損なわれるということは、ひいては政治と国民の関係が損なわれるということでもあって、10月の解散総選挙というのは、特に突然、それ(選挙)が行われるということで、かなり国民生活や国民の経済、産業、社会活動に対して妨げるような影響を及ぼし、もし国民が今やっている仕事とか活動の方を優先させれば選挙どころではないという中での選挙になってしまうし、政治というのは国民との信頼関係の中で民意を反映し、そして民意を育てという、国民と心を通わせながら行われなければならないという観点からしても、この時期の突然の解散総選挙というのはよくないと思います。
記者
解散のタイミングという点で、また別な観点から伺いたいのですけれども、民進党では代表選(挙)が終わったばかりですけれども、離党の動きなどでばたばたしており、小池都知事の新党をめぐる準備というのもまだなかなか進まない中での解散の表明が見通されるということで、政権延命のための選挙だというふうにも批判されているわけですけれども、そういう点から見て、知事はこのタイミングでの解散というのをどのように見られていますか。
知事
今、延命のための選挙、いわゆる党利党略で解散総選挙にするのではないかというふうにも言われているけれどもどうかという趣旨の質問だと思うのですけれども、党利党略での解散総選挙というのはやはりあってはならないことでありまして、そういうことが起きないことを強く希望します。
記者
すみません、またもう一点なのですけれども、まだ正式に解散となったわけではないですけれども、選挙の争点というところは今回なかなかはっきりしたものが見えていないようにも感じるのですけれども、今回の選挙、知事自身はどういったものが問われるべき選挙だというふうに思われますか。
知事
今、争点が見えてこないというふうにおっしゃったのは、国民全体としてもそういう雰囲気があるのではないかと思いますが、それはまさに解散総選挙すべきではない時期だからそうなのだと思うので、もしそういう中で解散総選挙を断行することになったとすれば、そういう内閣でいいのか、ここで国会を、衆議院を解散する、そういう内閣でいいのかという内閣に対する不信任、あるいはそもそも内閣総辞職こそ必要だったのではないかというようなことが主要な争点になると思うので、そういう意味でもせっかく反省おわび内閣改造をして、その体制でやらせてくださいというふうにしているのだから、それを国民に説明すべき時期なのだと思います。
記者
(衆議院の)区割りで小選挙区が4つから3つに減りました。その中で、決まってから間もなくで急な解散とも言われていますけれども、その辺、準備期間とかも含めて、知事はどうお考えでしょうか。
知事
正式に決まったのがごくごく最近のことで、それはこの秋の解散総選挙などを想定していなかったのだと思うのです。来年の終わりに任期満了が来るという中で、法律に基づいてようやく今年の前半に区割りの変更ということが起きたというわけで、やはり周知期間というのはもうちょっとあった方がいいのだと思います。
記者
その上で、各自治体は解散があれば選挙に向けての準備を進めていかないといけないと思うのですけれども、県として支えていきたいとか、そういうお考えがあれば教えてください。
知事
繰り返しますけれども、この10月の解散総選挙ということがなしになることを強く希望します。
記者
私も解散の関係でお伺いしたいのですが、反省おわび内閣と知事はおっしゃっていますけれども、総理は仕事人内閣と言って発足したわけです。実際、国会での議論をせずに、もう解散すれば選挙ということになるわけですが、そもそも仕事人内閣と言って、国会での議論もせずに解散するということ自体について、知事はどのように受け止めていらっしゃいますか。
知事
反省おわび内閣と仕事人内閣はセットなわけで、通常国会の時のような体たらくはいたしませんと。森友、加計(かけ)問題については、質問に対してはきちんと丁寧に担当大臣を先頭に説明するし、共謀罪の問題とか、南スーダン自衛隊派遣、安全保障関連法についても新しい大臣のもとできちんと国民に説明すると。そういうことをきちんとやりながら地方創生とか、それからアベノミクスもですけれども、今地方は、岩手でやった全国知事会議でも改めて明らかになったと思いますけれども、地方創生については本当に本気で中間年のど真ん中の今必死でやっているところで、それはこの地方の景気をよくするということとも大きくつながっていて、そこをやっぱり仕事人内閣には期待しているのだと思います。
記者
そういったところを期待されて発足した内閣ですけれども、解散してしまえばなくなるわけですけれども、ちょっと繰り返しになるかもしれませんが、そういったこの時期にやると、その内閣のタイミングでやるということについてはいかがですか。
知事
やはりあってはならないことだと思うので、なしになることを強く希望します。
記者
関連して、小池都知事の関係ですけれども、若狭議員と細野議員と新党を作るというような動きも出ているわけですが、そうした新党について、知事はどのようにお考えでしょうか。
知事
国民本位に動いてほしいと思います。国会議員というのは、一人一人が全国民の代表で、そして国会は国権の最高機関なわけで、いろんな政党を新しく作るとか、そういう動きはあってもいいのですけれども、ちゃんと国民のためになることなのだということがわかるようにやってもらわないと、国会議員としてそれでいいのかということになると思います。私の勉強不足のせいかもしれないのですけれども、今のところ国民のために何をしたいのかというのはちょっと見えないなという感じがします。
記者
以前、民進党の代表選(挙)の関係の時に、前原代表の政策について期待感を示されていたと思いますが、ただその後いろいろごたごたあって、なかなか支持率も上がらないという状況かと思いますが、選挙になると仮定して、民進党について何か期待感というか、どういった印象をお持ちでしょうか。
知事
選挙にならないことをまだ諦めていませんので、選挙になったらという話は今はしないでおきたいのですけれども、生活保障のオール・フォー・オールの政策ビジョンは、国際的にも今の大きなトレンドだと思いますし、日本に必要な方向性だと思うので、その内容をどんどん豊かにしていってほしいなと思います。
記者
解散権について確認させていただきたいのですけれども、先ほどよほどの事情がない限りすべきではないというのが日本の制度ということで、諸外国も抑制の方向で動いているということで、その上で今は解散してはならない時期だというふうなお考えを述べていましたけれども、ただ現実には実際に解散する可能性、仕方とかタイミングへの批判がある中で、実際にそうなりそうになっているわけなのですけれども、実際に今後憲法改正も含めて、解散権のあり方、抑制とか、規制とか、そういった議論を進めるべきなのかどうなのかというお考えをお聞かせください。
知事
昔からある議論ではあるので、素直に普通に憲法に向き合って、また、国民の方を見ていれば、変な解散というのはおのずとなくなって、あまりそのことに手間暇かけなくてもいいのだとは思うのですけれども、ただあまりにも現内閣とか内閣周辺の辺りに解散権について理解が乏しいなというような感じであるとすれば、そこは国民的な議論で補っていかなければならないのかなとは思います。
記者
今日から(県議会)9月定例会が招集されて、本会議が開かれます。特にこれまでも知事が就任されて10年が経った、そして決算の認定も今回ご自身が就任されてからとしては10回目の決算認定になると思うのですけれども、その他の議案も含めて、どのように9月定例会に臨みたいか、教えてください。
知事
決算の特別委員会もありますので、今まで県がやってきたこと、そして今やろうとしていることについて、本会議での一般質問や常任委員会での質問も合わせて、それに対する答弁の形で県として県民の皆さんに丁寧に説明していくことができればいいなというふうに思っています。
記者
ありがとうございます。それで、知事と県議の皆さんも任期の折り返しを迎えまして、各種委員、あるいは昨日、正副議長が辞職願を提出されて、これから議長選(挙)になります。その点でお聞きしたいのは、議会も自治があるので、執行部である知事から何か言うことというのはなかなか難しいかもしれませんが、特に議長、副議長というもののポストについて、やはり会派の勢力に応じて第1会派から議長が出るというのは慣例というか、自然なことか、どういうふうに認識されているか教えていただけますか。
知事
これは、もう高度に議会の自治に関することでありますので、私からはコメントは控えたいと思います。
記者
ちょっと話は変わるのですけれども、(県オリジナル水稲新品種)「金色(こんじき)の風」についてなのですが、先月、(全農県本部の)買い取り価格などもわかりまして、本日からその刈り取りなども始まってくると思うのですけれども、知事の方からの期待感といいますか、これからの意気込みなどを伺わせてください。
知事
8月、日照時間が少なくてやきもきしたわけでありますけれども、9月に入って天気のいい日が多く、また、天気予報で曇りや雨と言われていても日が差したりとか、そういう日もあって、稲刈りに向けて、稲刈りできる状態になってきているというような話は私の耳にも届いてきていて、よかったなと安心する部分があると同時に、これは岩手県としての最高級米として、そして岩手オリジナル品種として売り出していこうとするものでありますので、緊張感の方も高まってきているところです。味の方は、口の中に入れると、あっという間にふわっと溶けるように口の中に広がって、すっと吸収されていく、まさに風が口の中を吹き抜けていくような、今まで食べたことないようなおいしいお米でありますので、それだけのお金を払っていただいて、利用していただけるように売り出していきたいなというふうに思います。
広聴広報課
以上をもちまして記者会見を終わります。
次の定例記者会見は10月10日(火曜日)の予定です。
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