平成29年9月12日知事会見記録

ID番号 N58657

平成29年9月12日15時30分から16時05分

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。最初に知事から発表があります。それでは、知事お願いします。

知事
 まず、平成29年度一般会計9月補正予算(第2号)についてです。9月22日招集の県議会9月定例会に提案する平成29年度一般会計補正予算(第2号)の内容を発表します。
 補正予算の規模は240億円であり、補正後の現計予算額は1兆37億円となります。
 今回の予算編成は、通常分としては、平成28年台風第10号災害により被害を受けた道路・河川等の復旧に向けた経費を措置したほか、ふるさと振興の推進に要する経費などの予算を計上しました。
 また、震災分としては、港湾・河川等の復旧、内陸部への災害公営住宅の整備や釜石市林野火災に対応する経費など、復旧・復興を進めるための予算を計上しています。
 補正予算の主な内容は、通常分では、台風第10号災害対応については、道路維持修繕、河川災害復旧等に要する経費として、総額10億7000万円余を増額しました。また、ふるさと振興を推進するための経費として、スポーツクライミング・スピード競技施設の拡充整備やいわてスポーツコミッションの取組の推進、三陸地域の産業人材育成支援やスマート園芸の取組を進めるために農業研究センター等に高規格園芸ハウスを整備する予算などを盛り込みました。
 震災分では、盛岡市をはじめ北上市、奥州市、一関市に災害公営住宅を整備することにより、暮らしの再建を進めます。また、森林の再生に向けて釜石市が行う被害木の伐採整理などの林野火災の復旧事業に要する経費への補助などについて計上しています。
 引き続き、東日本大震災津波と台風第10号災害からの復旧・復興とふるさと振興の推進に取り組んでまいります。
 発表事項の2つ目は、次期総合計画の策定についてです。今般、現在のいわて県民計画の後継となる次期総合計画の策定に着手することとし、県民の皆様から幅広くご意見をいただくために必要な経費などを9月補正予算案として計上しました。2019年度から2028年度までの10年間を計画期間とする次期総合計画では、幸福指標の行政への導入に関する研究成果を活用し、「幸福」をキーワードに、岩手が持つ多様な豊かさやつながりなどにも着目し、岩手の将来像を描いていきたいと考えています。その上で、本県を取り巻く社会経済情勢や復興の状況、県内各地域、各分野からのご意見などを踏まえ、今後10年の岩手のあるべき姿を展望し、そのために何をすべきかを示すこととしています。
 また、東日本大震災からの復興基本計画の計画期間が平成30年度までであることを踏まえて、次期総合計画においても復興に向けた基本方針に掲げた原則を引き継ぎながら、復興の取組を明確に定め、切れ目のない取組を進めていきます。
 次期総合計画の策定に当たりましては、総合計画審議会に諮問後、多様な主体とのさまざまな意見交換の場を設定し、本日公開した次期総合計画専用のFacebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)などの情報媒体を通じた発信も行いながら、幅広くご意見を伺ってまいります。今後、平成30年度中の策定に向けて、オール岩手で計画づくりを進めていきます。
 3番目の発表事項は、釜石港ガントリークレーン供用開始式の開催についてです。大阪府から譲り受けた釜石港のガントリークレーンですが、現在、釜石港で行っている設備更新工事や試運転等の完了にめどが立ちました。そこで、平成29年9月23日に供用開始します。
 供用開始に当たっては、県内に初めて設置されるガントリークレーンの供用を県民の皆さんや港湾利用者の皆さんとともに祝うため、県と釜石市、釜石港湾振興協議会の共催で供用開始式を開催します。また、大阪府からの無償譲渡に対して感謝の意を表するために、式には大阪府もご招待しておりまして、竹内(たけうち)大阪副知事にご出席いただく予定です。
 大阪府のご厚意に報いるためにも、ガントリークレーンを復興のシンボルとして大いに活用させていただき、地域振興やなりわいの再生に取り組みながら、復興をさらに進めたいと思います。
 以上です。

広聴広報課
 以上で知事からの発表を終わります。 

幹事社
 それでは、ただいまの発表事項3件について各社から質問があればお願いいたします。

記者
 補正予算についてお伺いします。予算編成の考え方という説明もあったわけですが、今回の補正予算全体として、どういった補正予算になっていると知事としてはお考えなのでしょうか。また、新規もさまざまあるわけですが、特にこだわった分野であるとか、注目している事業があれば、合わせてお伺いできればと思います。

知事
 今回の補正予算案は、平成28年台風第10号災害にしっかり対応するため、道路、河川等の復旧の進捗に伴って、必要となる経費を増額ということがまず大きい要素です。それから、ふるさと振興の着実な推進のために必要があるものの措置というところも大事なところであります。それから、震災対応、東日本大震災関連として、内陸部への災害公営住宅整備、それから釜石市の林野火災復旧事業、これらを計上しているところがポイントです。
 また、新規の中で印象的なものとしては、高度救命救急医療等提供拠点整備費補助ということで、これは額も大きいのですけれども、岩手医(科)大(学)が行う高度救命救急医療、周産期医療及び小児医療に対する高度で専門的な機能を有する拠点の整備に要する経費の補助ということで、岩手にとって医療全体大事ではあるのですけれども、高度救命救急、周産期、小児という、特にいざという時のニーズが高い分野について、強力に進めることができるということが特徴かと思います。

記者
 ありがとうございます。もう一点、次期総合計画の方についてお伺いしたいのですが、幸福をキーワードにと、計画の主な方向性があるわけですが、知事として幸福をキーワードに計画に取り入れることによって、どういった効果を期待されているのかという点、教えてください。

知事
 まず、幸福指標の行政への導入に関しては、さまざまな研究や実践が発展しておりまして、地方自治体の行政の進め方として非常にいい効果があると思っております。また、岩手県の場合、東日本大震災津波からの復興で、早い段階から難を逃れた方々の幸福を追求する権利を保障するというのを基本原則とし、そして幸福ということにこだわりながら復興を進めてきたという実績もあり、これを岩手県政全体に広げていくことで、この復興で培ってきた一人一人に寄り添うとか、県民に必要な事業をきちっと計画して、そして進めていくというようなことを押し広げられるのではないかと思っております。
 また、いわゆる地方創生、ふるさと振興の観点から、岩手で暮らす、岩手で働く、岩手で育てるということをより確かなものにしていくために、この幸福という点に着目していくということは、かなり効果的なのではないかなというふうに期待しています。

記者
 地方自治体の進め方としていい効果があるということでしたけれども、つまりそういった考え方を取り入れることで県民の幸福につながるような政策をもっと打っていけるという、そういった認識でよろしいのでしょうか。

知事
 今の県民計画を作る時というのは、4つの危機という言葉に象徴されるような県民所得の低迷、有効求人倍率が低いという意味での雇用の低迷、そして人口減少が今の倍近く、1年の人口流出数が今の倍ぐらいあったりとか、あともう一つは医療の危機でありますが、そういった危機を打開するために何が必要かという観点で、特に経済産業関係を重視しながらスタートしたという印象があります。そして、岩手・宮城内陸地震があって、東日本大震災があって、台風10号もあり、災害対策、大規模災害からの復旧・復興という中で必要なものをやっていくということで、結果としては県民にとって必要な施策を展開し、さまざま数字もよくなり、また県民の皆さんの県政に対する満足度も、数字もよくなっていくというようなことにはなっているのですけれども、改めてそれをきちんとビジョンを持って、そして県民の生活を丁寧に意識しながら、県民に必要なものは何かというのを幸福指標の観点から、経済産業が大事なのはもちろんなのですけれども、より生活面とか家族とかコミュニティとか、文化や自然みたいなところも計画の最初の段階からきちんと押さえていくことで、今までこの10年間の成果を踏まえつつも、より確かな未来を県民のものにしていくということができるし、それをやっていかなければならないのではないかなというふうに思っています。

記者
 最後にもう一点伺いますが、今回、Twitter(ツイッター)、Facebook(フェイスブック)を新たに開設すると。行政の計画を作る時に、こういったものを専用で立ち上げて活用していくというのはあまりないのかなという印象もあるのですが、このTwitter(ツイッター)、Facebook(フェイスブック)はどういった効果を期待していらっしゃるでしょうか。

知事
 大体10年前はホームページはありましたけれども、Twitter(ツイッター)もFacebook(フェイスブック)もなかったのですが、Twitter(ツイッター)、Facebook(フェイスブック)、SNSはホームページよりも双方向のやりとりをより頻繁に行ったり、あるいはやりたい時に行うとか、便利で、かつ質も量も高まることが期待できますので、かなりの部分、そういうICT的なところを活用しながら、オール岩手での計画策定ということを進められればいいなというふうに思います。

記者
 今の総合計画の関係で引き続き伺いたいのですが、前回の、今の県民計画の策定の際には経済産業関係を重視したというお話がありましたけれども、今回新たな計画を策定する上で、全て重要分野だとは思うのですけれども、あえてその方向性を定めていく中で重視したい点などがあれば伺いたいのと、それから復興に関係しても切れ目のない取組を(進める)ということでありましたが、改めて新しい計画の中で復興をどう位置付けるのか。あるいは10年間の中でも、被災者の方の状況であり、被災地の状況もさまざま変わっていくと思うのですけれども、復興からその先へというような考え方というのはやはり重視されるかどうかというところを改めて伺いたいのですけれども。

知事
 県の「岩手の幸福に関する指標」研究会の報告書では、幸福に関(連)する12の領域というものを整理してもらったのですけれども、この12の領域に沿いながら、どういったふうになっていけば幸福度が高まるかという、そういういわば幸福の要素をたくさん作っていくことで、○○がないから不幸だとか、○○がないから幸福ではない、例えば、東京にあるようなものがないから幸福ではないとかという、そういう極論を押さえて、例えば、ディズニーランドが近くにあるというのも幸福度を高めることではありましょうけれども、豊かな自然が身近にあるというのも幸福度を高めるし、スキーをしたり、スポーツクライミングをしたり、そういう施設が近くにあるというのも幸福を高めることになり、それらは東京よりも岩手の方がより高い幸福度になっていくでしょう。幸福指標というやり方ではないのですけれども、そうやって、ないものねだりより、あるものを生かすというのは、結構地方自治においては王道みたいな感じで、市町村でもやっているし、都道府県でもやっているのですが、それをよりシステマチックに、また見える化した形で県としてやっていくことができるので、足りないもので悩むよりも、あるものを生かしながら、どんどん岩手の幸福度を高めるということがシステマチックにできるというところがみそかなというふうに思っています。そうやってみんなで探し始めれば、今私が気がついていないような幸福の要素というのもどんどん見つかってくるのではないのかなということも期待しています。

記者
 すみません。復興の関係ではいかがですか。

知事
 復興の関係は、復興はまだ継続中ですし、これは平成30年度(復興基本計画の計画期間)が終わってもまだ復興に取り組んでいる市町村もあれば、人たちもいるわけでありまして、やらなければならないことをきちっと計画を立ててやっていくということを30年度の次の年度からもしっかりやっていくように計画を立てなければならないと思っています。
 一方、復興で培ってきた取組をオール岩手に拡大し、それで総合計画の中で生かしていくということはいろいろあると思っておりますし、仮称ですが三陸防災復興博のような取組は、復興の一環であると同時に、その先の地域振興ということにつながる行事、事業ということにもなりましょうし、そういう意味で復興の時期における復興のステージにふさわしい復興の取組ということと、復興のその先の地域振興に関する取組というのは重なりながら、次期総合計画のもとで計画を立てられていけばいいなというふうに思っています。

記者
 私も次期総合計画についてお尋ねします。同じように復興の位置付けの件で、先ほど県議会で議案(等)説明会があった時にも質疑応答があったので、改めて確認する形でお尋ねします。ちょうど今の県民計画と復興計画の終了年度に合わせて、次期総合計画に復興の取組も位置付けるというのが前提だと思っていた中で、今まで会見で質疑したり、あるいは県議会でもやりとりがあったと思っていたのです。先ほどちょっと議案(等)説明会で聞いていると、仮の話で恐縮ですが、総合計画審議会に諮問して、復興の関係は分離すべきだというような答申の形で出た場合には、それはもう一度立ちどまって検討するという方向性を持っていらっしゃるようだと、今回初めて聞いたので、改めて知事にもお伺いしたいのは、今のところは県の復興計画は8年ですけれども、今後どういうふうに位置付けて復興というのは、今やりとりがあった話も当然踏まえてだと思うのですけれども、まだフラットな状態なのですか。その先の復興の位置付けを総合計画に位置付けるのか、それとも独立させるのかというのは、もう決定済みの話ではないと、そう受け取ったのですけれども、それでよかったでしょうか。

知事
 審議会でこれから話し合う内容について、あれしてはだめ、これしてはだめみたいな拘束というのは、基本的には自由に議論していただきたいということがあるわけですけれども、他方、この復興のことも含んで、これからの10年の岩手の中で、東日本大震災からの復興ということが非常に大きな要素であるという、いわば事実のようなことは前提にしてこれからの10年を描く。つまりその中には当然復興ということも入ってくるのではないかなと思います。現に沿岸市町村、東日本大震災の被害を受け、それぞれ何年かの復興計画を立てた沿岸市町村も、最初に定めた復興の期間が終わったら、次は市町村の総合計画の中で復興については計画を立ててやっていくというふうにしているところが多いので、県もそういうふうになるというのが自然な流れかなと思っております。

記者
 そうすると、今私が言ったフラットとかという、そういうふうに決めつけて捉える類いのものではないというか、どうなのですか。

知事
 審議会の議論は自由なものなのですけれども、その自由さを例えるのに、あえて復興を入れないこともあり得るなんていう、それこそ極論を言うと、かえって誤解を招くので、私としては総合計画の中で復興についても計画するものと思いますと言わせていただきます。

記者
 予算案の関係で、スポーツクライミングのスピード施設を拡充整備されるということで、ふるさと振興の推進とおっしゃいましたが、より具体的な狙いや、これができることによって期待されることがあれば教えてください。

知事
 東京オリンピックへの出場も視野に入れた岩手の地元アスリートのトレーニングに活用ということがまずありますし、また、東京オリンピックでやってくる外国選手の練習にも使える、そういうオリンピッククラスの施設を岩手にも持つことで、スポーツ振興を通じた地域振興、そしてその地域振興というのは岩手で暮らす、岩手で育てる、岩手で働くというのにも関係するかもしれませんが、いずれふるさと振興にもつながっていくというふうに考えています。

記者
 外国選手の練習にも使えるということですが、事前キャンプとか国際大会の誘致など、そういったことも期待されているのでしょうか。

知事
 そうですね。今回の補正予算措置に当たっては、カナダの選手団が実際現場に行ってみて、今ある施設を使ってみたりして、さまざま意見を述べていったのも参考にして、スピード競技でもこういうふうに造ろうということで、そういう意味で海外からのオリンピック級の選手による活用というのも意識しながら整備するものであります。

幹事社
 それでは、発表事項以外について、本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はありませんので、各社から質問があればお願いいたします。

記者
 たびたびすみません。東芝(メモリ)の半導体新工場が北上市に決定ということで、発表当日の知事のコメントを談話としていただきましたけれども、改めてさまざま期待されるところは幅広い分野であると思うのですけれども、具体的なところでどういう部分を期待されるか。あるいは人材の確保であるとか、インフラの整備であるとか、今後具体的な準備というのをあまり時間もない中で進めていかなければならないと思いますが、今のところ早急にやらなければならないことでお考えのこととかがあれば伺いたいのですけれども。

知事
 ある意味、いつでも決まり次第ぱっとスタートできる準備をし、待ちに待っていた今までの約10年ですか、なので、やらなければならないことは大体わかっていますので、東芝(メモリ)さんの工場建設のペースに合わせてやらなければならないことは、岩手県なり、北上市なり、きちんとやっていけると思っております。その辺は、もうあとは実行段階の調整みたいなことをやりとりしながら、どんどん進めていけばいいのではないかと思っています。
 いずれ数十年に1度というくらいの規模の大型誘致で、大勢の雇用、そして巨額の投資というものは、まず岩手にとって非常に県民のためになるものでありますし、岩手県がビジョンとして持っている自動車産業集積、そして半導体産業集積、そこにさらにほかの分野もという、山がたくさんあるものづくり振興の山脈をつくっていくという中で、東芝(メモリ)の新工場の関係でさまざま新しい仕事、関連のものの生産、サービスの提供というものが岩手に増えていくということを期待しています。
 そうなってくると、人手不足時代のこの日本の中で、人の確保は大丈夫かということになるわけでありますけれども、ふるさと振興、岩手で働く、岩手で暮らす、岩手で育てるを確保するには、質の高い労働環境、雇用環境、給与をはじめとするさまざまな労働条件、またやりがいとか、そういうのも含めた労働環境というのがいいほどいいことでありますので、そういう意味で人の確保ということはむしろ岩手にとっては好影響を与えてくれるものと思っております。条件の悪いところばかりになってしまいますと、人手不足でも他の都道府県に人が移ってしまう、より条件のいいところに向かって、岩手県も人手不足なのに、さらに人が外に出ていってしまうというのが今の時代でありますから、全国最高クラスの働く場というものが岩手に大きくできるということは、県のふるさと振興政策全体から見て、非常に喜ばしいことと考えています。

記者
 今の東芝(メモリ)の関係で、関連して私もお伺いしたいのですが、新工場ができることで、さまざま経済効果であるとか、大きな効果が期待されていると思います。若者の地元定着とかそういった面も含めて。そういった効果を最大限に大きくしたいというのが本来的な考え方だと思うのですが、そのために県として今後どういった取組をしていきたいとお考えでしょうか。

知事
 既に自動車産業と並んで半導体関連産業について、産、学、そして行政が連携した協議会を立ち上げて、さまざま連携して取り組んでいるところで、工場の誘致、増設の加速や、また地場企業の参入、そして関連する人材育成ですね、キャリア教育から工業高校での教育、そしてさらに高校以降の教育における人材育成ということまでやる体制はできていますので、それをベースにしながら、東芝(メモリ)新工場の建設、稼働に合わせながら、また必要な手を打っていきたいというふうに思います。

広聴広報課
 以上をもちまして記者会見を終わります。
 

 次の定例記者会見は9月22日(金曜日)の予定です。

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