平成29年9月4日知事会見記録

ID番号 N58340

平成29年9月4日10時30分から11時02分

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。本日は知事からの発表はございません。

幹事社
 本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はございませんので、各社から質問がございましたらお願いいたします。

記者
 北朝鮮が先週、日本上空を通過するミサイルを発射したのに続き、昨日、水爆実験をしました。これについての知事の所見をお伺いしたいと思います。

知事
 国際社会の思いに反する暴挙と言っていいと思います。また、核兵器の実験ということで核兵器をなくしていこうという日本国民の思い、また世界の人々の思いにも反することであり、強く抗議をしたいと思います。

記者
 国際社会は対話、経済制裁という動きを見せているわけですが、知事としてこういった状況を打開するにはどういうふうなことが求められると思いますか。

知事
 それぞれ外交を担当している関係者は外交による局面打開、そして防衛関係者はさまざまな事態を想定しながら防衛関係の手を打っていくということをしなければならないのだと思うのですけれども、全体としては改めて朝鮮半島が分断されるに至った経緯とか、南北が対立してきた背景、冷戦ということがあったのだと思うのですけれども。冷戦が終わって、冷戦の最中は北朝鮮、韓国、どちらも国連加盟が認められず、韓国はじめ西側諸国は北朝鮮を北朝鮮と言って国としては認めず、北朝鮮と、そして東側諸国は韓国のことを南朝鮮と言って、北朝鮮のことは昔は北韓と言っていたのですよね。それがそれぞれ国連加盟が認められ、国際社会のもとで共存していくような仕組みになっているわけですから、そういった大きな流れの中で、まずは北朝鮮の人たちが国際社会の中での一定の地位を占めていくということを真剣に考えてもらわなければならないわけですけれども、そういう北朝鮮を受け入れると国連として決めたという経緯もあるわけですから、周辺諸国もですけれども、国際社会として北朝鮮問題ということにやはり真摯に対応していかなければならない、そういう時なのだと思います。

記者
 ありがとうございました。別の質問になりますが、先週末に民進党の新代表に前原さんが選ばれました。また、本県選出国会議員の階猛さんが政調会長に起用される見通しとなっています。これについての所感をお聞きしたいと思います。

知事
 野党の務めは、時の与党がやっている政策よりも良い政策をパッケージとして練り上げて、そしていつでも交代して実行することができるという体制を取ることだと思います。前原さんが代表選挙の時に訴えていたオール・フォー・オール、生活保障という政策の体系は今の日本よりもいい日本をつくっていくための方向性としてはいい線いっているのではないかなと思っておりますので、階さんが政調会長になられるのであれば、その中身を充実させて、広く国民と共有できるようにしていってもらえればいいのではないかなと思います。

記者
 9月の10日で(知事の任期)3期目のちょうど折り返しを迎えられるわけですけれども、前半の部分の2年の県政運営等を振り返って、知事の自己評価もしくは所感をお願いいたします。

知事
 東日本大震災からの復興、本格的な事業のピークをやるべき事業をしっかりやって、復興の長期化に伴う心と体のケアなどもしっかりやっていくということが大きなテーマとしてあったわけですけれども、そこに台風10号被害も加わって大変だったわけでありますが、まず県当局はもちろんですけれども、市町村、また団体や企業などみんなで力を合わせて県外の支援もたくさんいただいて、対応してきているかなというふうに思っております。
 そして、前半2年間のハイライトとして、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会がありましたが、大成功と言っていい形になりましたので、これも関係者の皆さんに感謝したいなというふうに思います。
 それから、(3期目任期)最初の2年間の特徴としては、東北の知事がみんなでそろって台湾に行ったり、香港に行ったりというように東北の観光振興、特にインバウンド振興ということに力を入れて、岩手県としては震災前を上回る(過去最高の)外国人観光客数(※正しくは「外国人宿泊者数」)に達しており、どんどん増えているところですので、この調子で頑張っていきたいと思います。
 それから、「銀河のしずく」と「金色(こんじき)の風」のデビューというのも大きいことだったと思いますが、このお米の2大ブランドを中心にしながら岩手の農林水産物全体のイメージアップにもつなげることができているのではないかなと思います。
 また、自動車産業集積促進でつい先ごろもデンソー(岩手)さんの新工場の建設安全祈願祭が行われましたが、かなり本格的なそのような新工場でありますとか、また、工場増設、新しい立地企業も増えているところで、そちらの方もこの調子で進めていきたいなと思います。

記者
 わかりました。あと4期目についてですが、4期目はちょうど2019年、平成31年はラグビーワールドカップ™、20年には東京五輪がありますけれども、その前に任期満了が来ますけれども、4期目についてのお考えというのは現段階ではどのような考えでしょうか。

知事
 2019年の9月以降のことについては、これからの2年間の間に何をするかという形で、その先のための準備もやるということで、ラグビーワールドカップ™もですけれども、次の総合計画の策定ということもありますし、また、復興をきちんと進めながら地方創生、ふるさと振興的な要素も加味しながら岩手沿岸を改めて全国にPRする仮称ではありますけれども三陸防災復興博などの準備をしっかり進めていかなければと思いますけれども、それはこの2年間にやるべきこととして取り組んでおりまして、負託を受けているこの任期4年間の中で、しっかり仕事をしていきたいというふうに思っています。

記者
 次の4期目について、出るかどうかという部分はいかがでしょうか。

知事
 2019年以降の身の振り方的なことについては考えないで、今仕事をしているところです。

記者
 私も今の任期の関係で関連してお伺いしたいのですが、今少しお話もありましたけれども、後半2年、これからの2年間ですね、まだ復興、人口減少対策はじめ途上の県政課題というのはさまざまあると思うのですが、特にも今後の2年間はどういったところに力を入れて取り組んでいきたいとお考えでしょうか。

知事
 東日本大震災からの復興と、そしてそこに台風10号からの復旧・復興も合わせてですけれども、まだまだやるべきことがありますし、東日本大震災からの復興については長期化する中で新たな課題というのも見えてくるので、そうしたことにきちんと対応し、県の計画は8年計画を掲げてやってきたわけですけれども、そこで岩手県の復興が全て終わるわけではありませんので、そこから先の計画についても任期中にしっかり作っていかなければならないというふうに思っています。それは大きく次期総合計画を策定する中で復興に関する計画についても作っていくわけですけれども、復興を含む大きな計画のビジョンとか、方向性とかということは広く県民の皆さんに文字通り県民的な議論をしていただきながら作っていかなければならないと思っていますので、これからの2年間はそれがかなり大きな仕事になるなというふうに思っています。

記者
 先ほど前半の2年間のお話もありましたけれども、2年間で点数をつけるとか評価するのは難しいかもしれませんが、ご自身3期目の前半2年間の評価としてはどのように考えていらっしゃるでしょうか。

知事
 県職員はじめ関係者、さらに企業、団体、個人の皆さん、オール岩手で力を合わせ、県外の皆さんの力もいただきながらさまざましっかり進めてくることができたと思います。国体と(全国)障害者スポーツ大会のあれだけの成功や、特に競技の方での好成績など、当初予想していた以上の成果も得られたなと思っております。それはなかなか数字で表現するのは難しいなと思っておりまして、というのは人によってはかけがえのない一生の財産のようなレガシーを得たなという人も競技関係者はじめいると思いますし、それは国体・大会に限らず、いろいろ復興や農林水産業振興、商工観光振興、いろんな分野であったと思います。
 ただ、先週の北海道・北東北知事サミットに出て、改めて健康増進ということについてはもっと力を入れていかなければならないなと感じたところでありまして、課題もたくさんありますので、そういったことをこれからしっかり取り組んでいきたいなというふうに思います。

記者
 今後残り任期2年間で、いずれ次期衆(議)院(議員)選(挙)も行われるわけですが、この前の参(議)院(議員)選(挙)では野党統一候補の木戸口さんを応援したという形でしたけれども、次期衆(議)院(議員)選(挙)で特定の候補を応援するかどうか、またどういったスタンスで次期衆(議)院(議員)選(挙)は臨むお考えなのでしょうか。

知事
 これはケース・バイ・ケースで、約10年一緒にやってきた政務秘書が立候補するというのは、それはそれで非常に特別なことでありますし、また、日本国憲法の下でずっと守ってきた集団的自衛権の解釈ががらっと変わって、新しい法律が提案されるなんていうのも70年に1度ぐらいのことで、そういう中でそれに反対する人たちと連携して知事選(挙)の準備が進むみたいなこともあって、そういう意味では今後の政治の動きというのはなかなか予想できないのですけれども、政治家達増としましては、今まで20年以上やってきた中で目指す方向とか、大事にしているものというのは基本的に変わってないので、今までやってきたとおりにやっていけばいいのかなというふうに思っています。

記者
 今までやってきたとおりにというと、どちらかというと野党、今の野党を応援してきたようなイメージもあるのですが、つまりそういう意味で今までどおりという解釈でよろしいのでしょうか。

知事
 自分と政治の関係というのは、突き詰めれば、最近はアメリカ独立宣言の原点というのがすごく大事ではないのかなという考えが自分の中で強くなっていて、生命、自由、幸福追求の権利というその3点セットが民主主義の原点であり、そして今この時代に地方自治を行うに当たっても、多分国政に当たってもこの生命、自由、幸福という3つが大事だと思うので、それを大事にしながらやっていきたいというふうに思います。

記者
 北朝鮮のミサイル(発射)の件に戻るのですが、一部自治体で情報伝達がうまくいかなかったというようなこともありましたが、県としてどういった準備ができるのかということと、各自治体にどういった準備を求めていきたいか、お考えがあれば教えてください。

知事
 Jアラートの運用については、毎年定期的に訓練をやっているのですけれども、その時見つからなかった不具合が、いざ緊急にやってみた時に出るということがあったのだと思いますけれども、やはり日ごろからちゃんと情報の伝達がきちっと行われるかということは、やはりチェックをしていく必要があると思いますので、定例の訓練を中心にしながら不具合がないかというチェックを常にきちっとやっていくということが大事だと思います。これは国・県・市町村、市町村・県・国が連携して行っていることですので、引き続きしっかりやっていきたいと思います。

記者
 昨日、秋篠宮家の長女、眞子さまの婚約内定が正式に発表になりましたけれども、それを受けて知事の感想といいますか、お気持ちを聞かせていただけますでしょうか。

知事
 大変おめでたいことでありまして、心からお喜びを申し上げたいと思いますし、末長いお幸せをお祈りしたいと思います。
 眞子さまにおかれましては、去年、希望郷いわて国体をご覧になられ、また、東日本大震災津波からの復興や台風10号の被災の様子を現地で実際にご覧になられ、県民は大きな励みをいただいたと思います。また、今年になられてブータンをご訪問されて、幸福指標の元祖、幸せの国ブータンとのつながりということについても岩手としても縁を感じるところがありまして、今回のご婚約の内定発表、心からお祝いを申し上げたいと思います。

記者
 眞子さまについてはお忍びでボランティアをやられたりとかという話もあって、被災地としての関わりも深いと思うのですが、今後皇室を離れるわけですけれども、離れた後も眞子さまの活躍に期待する部分というのは知事もありますでしょうか。

知事
 ボランティアは自ら進んでやるところがボランティアでもありますので、特定の方にそういう思いを持てというのも、これはおこがましいことだと思うわけでありますけれども、学生時代にお忍びで岩手の被災地にも入られてボランティア活動を行われたことというのは、これは岩手の歴史に永久に刻まれることだと思いますし、直接訪問いただいたところはもちろんですけれども、被災を受けた地域全体として大きな励みになると思いますので、改めて感謝申し上げたいと思います。

記者
 先週30日に(岩手の)幸福に関する指標研究会が開かれまして、報告書がまとめられて、今週でしょうか、政策地域部長の方に手交される段取りになっているようです。これに関してまとまった報告書、正式にはこれからになるとは思うのですけれども、ある程度まとまったものをご覧になっているのであれば感想等をいただければと思います。

知事
 ブータンをはじめとする国際的な動向も踏まえて、そして日本国内でも既に導入している自治体がある、そういったことも広く研究され、また、岩手ならではの幸福とはという問題意識も持っていただいて、岩手にふさわしい幸福指標というもの、今いろんな形でそういう研究成果をまとめようとした場合に、これ以上のものはできないのではないかというようないいものを作っていただいたと思います。大いに参考になるなと思っておりますので、県民の皆さんに広く知っていただきながら、今後の次期総合計画策定のプロセスにも参考にしていきたいというふうに思います。

記者
 やっぱり今知事がおっしゃったように岩手に特に特徴的なものとしてソーシャルキャピタル(社会関係資本)とか、そのつながりとかというものを新たに、比較的まだなじみのないような言葉ですけれども、説明されれば、ああ、そういうことかというような県民にもしっくり来るようなものであったと思うので、今おっしゃったように次期総合計画の策定の中では県民に開かれた形でというふうに以前からおっしゃっていたので、特に何か進め方として今おっしゃった以上に何か加えてこういうふうなのができたらなというのがもしあったら教えていただけますか。

知事
 昨日の「いわてとワタシゴト展」で、ホップスの工藤社長とベアレン醸造所の嶌田専務と対談をしたのですけれども、岩手を代表する経営者のお二人と話をしていて全然市場原理万能主義ではないのですよね。人と人との出会い、つながり、その中での自分の地域への思い、そういったものを原動力にして経営者として成功している、岩手でのビジネスが成功しているという、そういうお話を聞くにつけても岩手ならではの幸福度の高め方イコール成功の道ということでもあると思うのですけれども、どんどん県内のいろんな方々の考えていることとか、やっていることとか、そういうのを出してもらいながら県民全体でそういうのを共有しながら総合計画の策定ということを進めていけば、かなりいいものができるのではないかなというふうに思っています。

記者
 ありがとうございます。あともう一点別件で。今、北朝鮮の緊張が高まっている中で、最悪の事態を想定してということを考えた場合に、今憲法改正の議論が一部で自民党等で出ていますけれども、その中で緊急事態条項を盛り込むとかというような、憲法に関する意見が出ていることが今の緊張状態が高まっていることで話が中央の方で進んでいくのではないかという見方もあるようなのですけれども、有事が起きないことが一番ベストだと思いますけれども、知事はそういうことの備えとして新たな憲法改正とか法整備が必要とかという議論が出てくるのではないかということに対して、知事はどのような認識というか、お考えがあるか教えていただければと。

知事
 先週のミサイル通過の時も、そして昨日の核兵器実験の時も官房長官記者発表の一番最後の結びは、「国民の皆様におかれましては、冷静に平常どおり行動してください」ということで、外交や防衛に携わるそういう役割の人たちは平常どおりというわけにはいかないのでしょうけれども、国民全体としてはやはり冷静さ、そしてその中で日本というのは、あるいは日本国民というのはいかなる価値を持ち、そしていかなる方向に進んでいくのかという自分らしさ、自分ならではの言動というのを磨いていくことが大事で、それはさっきの岩手なりの幸福ということを追求し、それを計画にして実行に移していくということもその一環なのだと思っております。
 ですから、そういう冷静で平常どおりの行動をする中で、日本国憲法はこう変えた方がいいという、そういう考えを持つに至った人がそれを議論したいということで議論する、そういうのはあり得ると思いますけれども、キューバ危機のころとか、あとはソ連の中距離核(兵器)が極東にも配備されて、やはり日本がソ連からの核攻撃というのを大々的に受けるリスクもあったような、そういった時期も日本国は日本国憲法の集団的自衛権に関する解釈の下での自衛隊の運用を行いつつ、その冷戦にいわば勝利して、今に至っているわけですから、そういった過去のことも参考にしながら主体性を持ってしっかり進んでいけばいいのではないかなと思います。

記者
 民進党の関係で1点だけお伺いしたかったのですが、世論調査の政党支持率を見ると新代表選出前とあまり数字的には変わっていないわけですね、支持率が。それを考えますと前原新代表の民進党と現政権の違いというのは十分国民、県民にも伝わってないのかなと思うのですが、先ほど知事は前原(新)代表のオール・フォー・オール、生活保障、今よりもいい日本をつくる方策としてはいい線いっているというお話でしたけれども、知事としてはどの辺がいい線いっていると見ていらっしゃるのか、その点を教えてください。

知事
 生活保障というのは北ヨーロッパで発展した社会保障福祉政策と雇用、産業振興政策を組み合わせた市場経済という仕組みを活用しながらも国民一人一人こぼれ落ちる人がいないようにきちんと生活を保障する、働いて稼いで、そして暮らしていくことができるということを保障するという左右の対立、そういう冷戦時代の思考枠組みを越えた21世紀にふさわしい政策の方向性でありまして、その辺の理解が進むと、それはやっぱり日本にとって一番いいやり方ではないかという理解は広がるのではないかと思います。

広聴広報課
 以上をもちまして記者会見を終わります。
 

 次の定例記者会見は9月12日(火曜日)の予定です。

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