平成29年6月13日知事会見記録

ID番号 N56169

平成29年6月13日14時30分から15時00分

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。最初に、知事から発表があります。それでは、知事、お願いします。

知事
 平成30年度政府予算提言・要望についてです。県では例年、翌年度の政府予算編成に向けた提言・要望活動を行っていますが、今般、平成30年度政府予算の概算要求に向けて、「東日本大震災津波等からの復興と地方創生の推進に当たっての提言・要望、復興・創生分」と、「県政課題全般に関する提言・要望、いわゆる通常分」を取りまとめました。明日、6月14日に私が各省庁を訪問して提言・要望活動を行います。項目数は、復興・創生分として57項目、うち、復興分30項目、創生分が27項目、通常分が31項目というふうになっています。新規項目は、復興・創生分で2項目、通常分で3項目です。
 東日本大震災津波からの復興について、被災地の今直面している課題や復興の進展に伴って顕在化してきた新たな課題を説明し、必要な措置の継続・充実を求めながら、台風第10号災害からの復旧・復興に必要な措置についても要望をしていきます。
 また、創生分については、「岩手県ふるさと振興総合戦略」に掲げる「岩手で働く」、「岩手で育てる」、「岩手で暮らす」の3つの柱に沿って要望項目を取りまとめています。東日本大震災津波からの復興及び台風第10号からの復旧・復興、そして、ふるさと振興の推進に向けて、関係省庁に対して提言・要望活動を行いたいと思います。

広聴広報課
 以上で知事からの発表を終わります。

幹事社
 それでは、ただいまの発表事項1件について各社から質問があれば、よろしくお願いします。

記者
 復興分、創生分、通常分とそれぞれあるわけですが、項目が多い中で特にもこれを強く省庁に訴えていきたいという部分、教えてください。

知事
 まず、復興分について、今被災地が直面している課題として、「移転元地の利活用に向けた措置等」、項目3ですね、そして項目16、「被災者の生活再建に対する支援」、この2つについては特に強調したいところでありますし、また、項目22、これは「被災事業者への支援策の継続」なのですけれども、これについてもニーズが今あるところですので、しっかり伝えていきたいなというふうに思います。
 また、台風第10号災害からの復旧・復興については、台風第10号災害というのも東日本大震災津波を除けば被害額で最大規模の、岩手(県)の災害史史上最大規模の災害だったわけでありまして、これについてもしっかり改めてその被害状況を伝えて、項目番号でいうと29、30、この台風第10号災害からの復旧・復興関係についても訴えていきたいと思います。

記者
 復興と台風、特にも強調してということだと思うのですが、項目の中にもあるのですが、ILCの実現というのも入っていまして、例年どおりだとは思うのですが、特にも今年は勝負の年、大事な年だと言われていますが、このILCについてはいかがでしょうか。

知事
 ILCについては、去年LCWS(リニアコライダー・ワークショップ)2016の開催があって、かなり話も具体的になっていますので、そういった地元としての受け止めとか感じ方、考え方とか、そして準備状況とか、そういったところを伝えていくのが大事かなというふうに思っています。

記者
 最重要事項のところにラグビーワールドカップの開催に係る支援で一部新規となっていますけれども、この件については特に訴えたいことというのは、どのような感じですか。

知事
 これも重点的に説明、提案、要望していくようにしたいと思っています。

記者
 具体的にこういったことをやってほしいというようなこと、訴えたいことありましたらお願いします。

知事
 項目番号でいうと4になるわけでありますけれども、スタジアムの整備等に向けた財政支援、これをやはり伝えていかなければならないと思います。そして、沿岸被災地の観光復興に向けた財政支援、復興道路と復興支援道路の着実な整備、これも関連しますので、要望、提案していきたいと思います。

幹事社
 それでは、発表事項以外について、本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はありませんので、各社から質問があればよろしくお願いします。

記者
 先ほど6月(県)議会の議案の説明がありましたが、補正(予算)は実質ゼロですけれども、復興祈念公園の造成工事などの請負契約もあるなど、いろいろ盛り込まれていたので、今回の狙いというものを知事からお話しいただければと思います。

知事
 東日本大震災津波からの復興関係で議案がたくさんあります。また、それとの関連で一般質問もありますから、そういった中で県民の皆さんにこの復興の現状についても理解を深めていただければなというふうに期待します。

記者
 先日、IGRいわて銀河鉄道の方で、決算発表の際に減価償却費の計上漏れがあったということで、3月発表の決算見込みの段階から、その時点では黒字だったわけですが、赤字になるという決算の発表がありました。事務手続上のミスということで会社側は説明しています。制度そのものの思い違いがあったということで会社側から説明がありましたが、改めてこのことについての知事の所感を一言お願いしたいのですが。

知事
 減価償却費にリース関係の資産を入れていなかったということで、そういうリース関係の資産があるということ自体は把握はしていたわけですけれども、それを計上するべきところに計上しないでしまったということなわけですけれども、全体として当初計画では黒字としていたものが赤字になったのは残念でありますし、また、監査法人によって指摘を受けて気が付いたということですけれども、やはりこれは監査法人の指摘を待つことなく、きちっとルールとして定められているわけですから、減価償却費の中に入れておくべきだったわけであって、IGRの方でも再発防止のための業務改善チームの設置を行うとしていますけれども、そこをしっかり進めてほしいというふうに思います。

記者
 それから、3月末、公表は4月だったわけですが、社員による売上金の着服という問題もありまして、いわゆる不祥事だったりミスがこの間相次いでいるわけですけれども、相次いだということについての知事の受け止めはいかがでしょうか。

知事
 それぞれにそれぞれの理由があるわけでありますけれども、続いたことによって県民の皆さんや、また、利用者の皆さんに不安を抱かせるようなことがあったとすれば、それは残念なことだなというふうに思います。

記者
 それから、先ほども監査法人の指摘があって計上漏れの方は気付いたということで、内部の管理体制がどうなのかという疑問は着服が発覚した時点でもあったわけですけれども、県の方も逐次報告を求めるなど、管理体制を強化するというお話もありましたが、今後県としての対応は何か改めて強化するとかというお考えは今のところありますでしょうか。

知事
 県としても、まず不正事案に関連して、県としての指導、監督の一層の強化を図っていきたいと思いますし、そして赤字決算の関係については、IGRにおける業務改善チームの設置なども踏まえて、一層のサービス向上と健全経営の推進が図られるような支援を県としても行っていきたいと思います。

記者
 それから、この間相次いだということで、その責任の所在、あるいは責任問題ということについて伺いたいのですが、着服の件については当該社員の処分であったりとか、あと上司の方の戒告、それぞれの懲戒処分というのがありましたけれども、特に会社のトップとしての管理体制、管理監督責任というのがどうなのかというのが、それは今後話としては出てくると思うのですが、トップに対する責任の明確化といいますか、その点についてはいかがお考えになられますか。

知事
 まず、これらのことが起きないようにする責任が常にあるわけでありますし、また、これらのようなことが起こった場合には、適切にその事後対応を行って、そして再発防止や経営の改善に努めるということで、そういったことを期待したいと思います。

記者
 それから、今回、短期間、短い間に2件の問題が発覚したわけですけれども、会社側の説明では、根本的に2つの問題は原因が異なるということの説明があったのですけれども、こういうことが相次ぐことの背景的なものといいますか、内部管理の体制に問題があったのかどうかというところで、知事ご自身、会長という立場でご覧になっていて、どういうところに問題が相次いだことの背景があるというふうにお考えになられますか。

知事
 それぞれ、魔が差して会社のお金に手をつけるということがどのようにしてそういう事態に立ち至ったのかということと、また、担当がそういう魔が差してやってはいけないことをやった場合でも、それをチェックできる体制をどう構築していかなければならないかということについては、きちっと反省すべきところを反省し、善後策をとってもらわなければなりませんし、また、会計処理の問題についても、こちらも改めて担当のレベル、また経理の担当と、そして会計をまとめていくそれぞれの担当のあり方について、きちんと善後策をとっていってもらわなければならないというふうに思います。

記者
 すみません、少し県政から離れて国政の話題になってしまうのですが、いわゆる加計(かけ)学園問題と申しますか、総理のご友人が理事長を務める加計学園で、獣医学部の新設をめぐって総理の意向が働いたのではないかという一連の疑惑についてですけれども、まずこれについてどのようなご所感を持っているかということと、もう一点、これについて1度はないとしたものを文(部)科(学)省内でもう一度再調査することが決まりました。これに当たって、知事が望まれることは何かというのをお聞かせください。

知事
 国家戦略特区として岩盤規制にドリルでどうのこうのということなのですけれども、今までできなかったようなことをやるというのはいいのですけれども、ただそこには政府として整合性のある説明が必要なわけで、政府の中でこの省は反対、この省はだんまり、そういう中で内閣府が頑張って実現したというのは、いわばこれは内閣不統一でありまして、内閣として連帯して国会や国民に責任を取るという体制にはなっていないわけなのですけれども、獣医師が足りているのか足りていないのかという、そこを政府としてはっきりさせないまま、160人の定員の獣医学部を新設するというのは、やはりおかしいのではないかと思いますし、一方、岩手県は公務員としての獣医師職員は足りていない状態にあり、地方の、特に畜産現場を抱えるところにもっと獣医師が来てくれるようになってほしいと思っているのですが、加計学園は、今までの岩手大学にあったり、北海道大学にあったり、そういうような獣医学部、獣医学科がやっているようなこととは違うことをやるから国家戦略特区ということになっているから、今の獣医師制度の中で直面している問題を解決するための特区ではどうもなさそうなのです。何かライフサイエンスがどうのこうのとか、全然違うことをやるみたいな建前だから。今必要とされているのは、むしろ今も毎年毎年獣医師さんが巣立っている、そこをもっと公務の現場、畜産業の現場に人が来るようにしていく改革なわけでありまして、どうもそうなっていない(ことが)加計学園問題なのかなと思っています。
 あとは、文書の問題とか、何かそういう話でしたっけ。いずれ例えばそのように政策論的に整合性が取れない中で、一部政治家、そこに総理大臣も含まれるのかどうかなのですけれども、一部政治家の意思、指示でそういうふうに決まったという、そういう真実を明らかにするに当たっては、仮に関連文書が全くなかったとしても、事実がそうであれば、それは良くないことなわけで、口頭での発言ベース、人と人が対面してやりとりする場合には表情とか雰囲気とかだって、それは判断材料にもなる。司法裁判になれば、文書による証拠が一切なくても口頭でのやりとりがあったということが証言などで立証されれば、それはもうそこで真実、正義が明らかにされるわけですから、書類の有無とかそういった形式面にこだわるのではなくて、まず第一に政策としての整合性が追及され、そして政策として整合性が取れていないということあれば、ではなぜそう決めたのかということを、そこは紙がなくても明らかにしていく努めが政府にもあるし、またそれを追及する場として国会にも期待されるところだと思います。

記者
 すみません。今のに関連してなのですけれども、今まさに国会も政府も、そういう書類がなくても口頭ベースでも真相解明が求められているというお話でしたが、そうしますと文書の存在を告発された前文(部)科(学事務)次官の前川氏ですけれども、前川氏の証人喚問等はご必要だと思われますか。

知事
 やった方がより事実が明らかになり、正義を実現しやすくなると思います。

記者
 すみません、保育士修学資金貸付事業についてお尋ねしたいと思います。先ほど(6月県議会)議案(等)説明会の中でありましたけれども、保育士さんの団体ですとか保護者からの要望が上がる一方で、制度の、要するに奨学金、修学資金の援助の効果とかについて今までも議論があったところですけれども、今回、実際にこの事業に踏み切るという点で、知事のこの政策を導入するに当たっての期待とか、なぜいろいろ議論がある中で今踏み切ったかということをお知らせいただきたいと思います。

知事
 子育て支援というのがやはり非常に大事な政策分野であり、そしてそのための保育というのをより確かなものにしていくために、保育士確保が喫緊の課題であるということで、今回踏み切ったというところです。

記者
 さまざまな多分人手不足がいろいろある中で、保育士さんのところを特に重視したという、何か意図するところとかというのはございますか。

知事
 いわゆる地方創生、ふるさと振興の非常に重要な要素ですから、この子育て支援という部分は。そういう意味で、そういったところにはきちっとやるべきことは、あるいはやれることはやろうという、そういう気持ちです。

記者
 核兵器禁止条約制定に向けた第2回交渉会議が15日から国連で始まる予定ですけれども、知事は(ヒバクシャ)国際署名をすすめる会の活動にも賛同されて署名されているかと思います。交渉会議に向けた期待感などあれば、教えていただければと思います。

知事
 核兵器は、やはり廃止に向けて進めていくことが必要だと思います。核兵器削減の歴史をさかのぼると、核保有国も核軍縮交渉をやったり、そしてまた核保有国同士の核軍縮交渉をやったり、また核保有国も、そうでない国も一緒になって核廃絶への交渉を進めたりとかやってきたわけでありまして、それを少しずつでも進めていくことが大事ですし、また少しずつとは言わずに、オバマアメリカ(前)大統領がノーベル賞を取った時ぐらいの勢いで核廃絶に向かって世界全体で進んでいければなと思います。

記者
 一方で、日本政府は条約に対しては反対の姿勢を示して、交渉への参加も拒否している状況ですけれども、この日本政府の対応についてはどう評価されますか。

知事
 冷戦時代の核の傘という考え方を引きずっているのかなと思っておりまして、ソ連の脅威が相手の場合には、ソ連も大規模核攻撃の能力を持っていて、意図も持っていたかもしれないというような中で、西側あるいは日米の安保体制の中で核という選択肢を持っていなければというところがあったと思うのですけれども、今冷戦が終わって、状況は大きく変化したと思います。日本としては核の傘には頼らないということを基本にしてもいいと思っていますので、そういう意味では冷戦の時とは違う発想で日本としては臨んでいくべきだと思います。

記者
 ちょっと話が戻って恐縮なのですが、IGRの関係なのですが、先ほどIGRのトップとしての監督責任という話の中で、事後対応に期待したいということだったわけですけれども、今回、不祥事であるとかミスが相次いだことを受けて、トップが何らかの責任を取ることが必要なのかどうかと、その点について知事はどのようにお考えなのでしょうか。

知事
 会社としてのルールとか、また先例、あるいは他の同様の第三セクター等のそういった中から、やはり賞与、罰則というのですか、そういったことは公正さが必要だと思いますので、そういった公正さの中で処分というものは決められればいいと思っております。もちろん社長のような経営者には、いろいろ社員の心をつかむ、あるいは動かす、そういったことでやって良いことには幅は広いわけでありますけれども、要は効果的な組織の掌握、そして経営の推進ということを行うことができれば良いと思っています。
 IGRという会社は、2002年開業し、今年の12月で丸15年になるわけですけれども、当初はJRさんにおんぶにだっこのような状況で、運行管理システムも2010年まではJRさんのところに間借りしてやっていたような状況で、歴代の社長たちが一歩一歩会社として自立し、そして会社として独り立ちしていけるようにと進めてきたわけでありますけれども、そういう先人たち、先輩たちのやってきたことをしっかり引き継ぎながら、それを未来につなげていってほしいと思います。

記者
 知事がおっしゃるとおり、まだ若い会社で、徐々に会社として自立していく移行期というか、そういうところにあるのだとは思うのですが、取締役会長でもある知事の立場で、公正さが求められる処分というのでしょうか、処分という言葉でいいのかどうかあれですけれども、そういったことを求めていくというのは現時点ではお考えになっていないということなのでしょうか。

知事
 さっき言ったとおり、会計処理については業務改善チームの設置ということを軸にしながら対応するということなので、それがうまくいくようにということを期待しています。

広聴広報課
 以上をもちまして記者会見を終わります。

 次の定例記者会見は6月23日(金曜日)の予定です。

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