平成29年4月10日知事会見記録

ID番号 N54446

平成29年4月10日10時30分から11時04分

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。本日は、知事からの発表はございません。

幹事社
 まず初めに、今年度記者クラブに入られました記者からご挨拶をお願いいたします。

 (記者紹介)

幹事社
 ありがとうございました。本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はありませんので、各社から質問があればお願いいたします。

記者
 うちの会社でも独身男性が多いのですけれども、先日、国の(国立社会保障・人口問題)研究所(の調査)で2015年の本県の男性の生涯未婚率が沖縄に次ぐ2番目という結果が出ました。以前から本県男性の未婚率については高いと言われていましたが、その要因について知事はどのように分析していらっしゃるか教えてください。

知事
 個別のケースは、それぞれいろんな事情があるのだとは思うのですけれども、いきいき岩手支援財団が平成27年度に結婚に関する意識調査というのを行っています。県内の25歳から49歳までの独身者を対象にしていまして、その中で結婚が難しい理由として、男性では自分の経済力が弱い、出会いのチャンスが少ないなど、女性では仕事と家事、育児の両立に不安がある、出会いのチャンスが少ないなどが上位となっています。ですから、やはり若者の雇用や、また、働き方の問題、女性の子育てと仕事の両立の問題、そして出会いのチャンスという辺りに課題があるのかなと改めて思いますので、県のふるさと振興総合戦略もそういったところを克服していくというのが大きな柱になっていますから、改めて力を入れていきたいと思います。

記者
 特に男性の未婚率が高いということで、何か男性を対象とした活動などをこれから検討されていたら教えてください。

知事
 i―サポの会員数は、男性の方が多いのです。女性の倍ぐらいいます。そういう意味では、男性に力を入れて出会いのチャンスづくりという意味では、このi―サポの設置運営などやっているわけでありますけれども、そういう意味ではi―サポに力を入れていけば、必然的に男性の方にウエートを置いて対策を講じていく格好になると思うので、今年度i―サポの拡充をやりますので、それをしっかりやっていきたいと思います。

記者
 先ほどのアンケート結果でも、出会いのチャンスと共に経済面で不安があるということだったのですが、そういった経済面へのアプローチというのは考えられるかなと思うのですけれども、何かできることがあったらお教えいただきたいなと思います。

知事
 いわてで働こう推進協議会も昨年度丸1年間活動を展開しながら、今年度になってからさまざま事業の展開を決めているところですので、やはり民間の企業や団体、こういったところが、特に若者の雇用プラス働く環境や条件をより良いものにしていくということが大事だなと改めて思いますので、そういったところをしっかり力を入れていきたいと思います。

記者
 私ごとですが、先月入籍しまして。

知事
 それはそれは。おめでとうございます。

記者
 生涯未婚率の抑制に歯止めをかけられたのではないかなと思います。すみません、よろしくお願いします。
 里親制度のことに関してなのですけれども、せんだって大阪市の方で同性同士のカップルへの里親の登録が認められて、全国初めてのケースということになりました。それで、特に法律上で同性同士の里親に対して認めていないということはないのですが、これに関して大阪は政令市なので、認定登録の権限を持っているのですけれども、県としては、今回の事例に対して知事はどのように受け止められますか。

知事
 よく知らないニュースなのですけれども、一般論としては婚姻といいますか、家族のつくり方というのは多様であっていいと思いますので、それと里親制度をどう組み合わせていくかということなのでしょうけれども、ちょっと里親制度特有のいろんなポイント、伝統的な一組の男女から成る両親であれば、誰でも里親になれるというわけでもなく、里親になる条件というのは多分何かかんか里親制度ならではのものもあると思うので、むしろそういった観点からきちっと、制度の趣旨は子供の成長や幸せというのを実現するにはどうすればいいかということでありましょうから、そういう観点からさまざま制度の見直しというのはされていっていいのではないかとは思います。

記者
 ありがとうございます。ちょっと私の聞き方が良くなかったので。県の方に手続的なことを教えてもらいまして、そうすると児童相談所で調査があった上で、児童審議会(※正しくは、岩手県社会福祉審議会児童福祉専門分科会)に諮られて、諮問されて、答申を受けて、認定登録されるという仕組みなのだそうで、首長の判断とかが介在するかどうかというのはないのですけれども、ただ、今回の大阪市の例で言うと、例えば虐待を受けていた人とか、LGBTとかいろいろ子供自体に抱えている悩みとかある中で、必ずしも男女のカップルのところの登録でなければいけないかということはなく、それは児童相談所だったり、児童審議(※正しくは、岩手県社会福祉審議会児童福祉専門分科会)で判断されて、結論として出ていくものだという識者の意見もありまして、そういう意味では昨年障(害者)スポ(ーツ大会)があって、相模原の事件等でも知事からメッセージが発せられたりする中で、多様性の中で一環としてそれが県としてはそういうものがあっても、流れとしては県の中でもそういう受け入れがあっても良いのかなと思ったので、そういう意味で所感としてお伺いできればなと思うのですが。

知事
 私もいろいろ勉強してみたいと思います。

記者
 ありがとうございます。もう一点、別件で。先週、IGRいわて銀河鉄道の方で着服の問題が発生しまして、これについて、知事、どのように受け止められていらっしゃるかお願いします。

知事
 大変遺憾に感じております。IGRは、県が出資しているわけでありますし、沿線市町からも出資をいただいてやっているわけですから、適正な事業運営が求められるわけであります。そういう意味で、県としての指導監督の一層の強化を図っていきたいと思います。今、事実関係の精査と、そして処分等の検討が行われているものと理解しておりますけれども、IGRからは県に対してしっかりとした報告を行ってもらわなければなりませんし、今回の事案を踏まえて、県も株主総会や取締役会など経営参画する場もありますので、県としての役割をしっかり果たしていきたいと思います。

記者
 ありがとうございます。その中で、先月の県議会でも、予算審査の中でやりとりがあったのは、特に関連事業の分野別収支の公表の是非についてというのがありまして、今は県の情報公開条例に基づいて公表されていないというか、IGRの判断として情報の公表はないのですが、IGRが判断すれば分野別の収支の公表もできるという答弁が県の方からありましたので、特に透明性の確保ですとか、IGRの自助努力でそういうものを防止するということも踏まえて、改めて外にも分野別の収支を公表する必要があるのではないかという指摘も出ております。これに関しては、知事はいかがお考えでしょうか。

知事
 企業局とか医療局とか公営企業体としてある程度県から独立して、そして経営については自分たちの判断でやっていっている仕組みがある、第三セクターはそれ以上に経営の自主性が認められていて、企業体として、企業として株主総会とか取締役会によるガバナンスで、出資しているのは県や市町だけではなく、民間企業からの出資もあるわけですので、そういった民間企業、市場経済の論理も踏まえた上での経営判断ということがあるわけですけれども、なお公共性の要請と自由な企業経営という原則のバランスの問題だと思いますが、IGRの意思決定についてはIGRが会社としての意思決定プロセスの中で適切に決定されていけばと思います。

記者
 県として積極的に公表するということはしないということですよね。

知事
 県は県で情報公開については、それはルールに従ってしっかり公開していくということで、あとはIGRとしての判断については、それは他の取締役の皆さんとも、県は同じ取締役の一員として必要であれば議論しながら適切な意思決定がなされるようにしていけばと思います。

記者
 すみません、今のIGRの関連でまず伺いたいのですけれども、詳細は精査中ということで、改めて県の方にも報告はあると思うのですが、現時点でわかっていることの中で、少なくとも(平成)27年度から(平成)28年度にかけて年度がまたいだもの、要するに(平成)27年度分の未収金の着服もあったということは既にわかってはおります。そういう意味で、今回の件もそうなのですけれども、IGR社内のコンプライアンスであったりとか、管理監督という部分がどうだったのかというところは、今後再発防止の点も含めて課題になっていくのだとは思うのですけれども、その辺りのお考えはいかがでしょうか。

知事
 一般論としては、今回のような着服というのはあってはならないわけですし、それは当該そういうことをやった人の個人の問題だけではなく、やはり組織の問題として再発防止策は検討されるべきでありますので、IGRとしてそういった再発防止策がきちっとつくられることを期待しますし、またそうでなければならないと思います。

記者
 ありがとうございます。あと別件で、先週になりますが、今村復興大臣が福島第一原発事故に伴う、いわゆる自主避難者という立場に置かれている方に対して、戻る戻らないは自己責任だという発言をしたことをめぐってさまざま指摘もあり、最終的には大臣自身発言を撤回するという事態になるという出来事がありましたけれども、まずこの一連の先週の出来事についての知事のご所感を伺いたいのと、それから最終的に撤回ということにはなりましたけれども、政府の復興施策をつかさどる立場にある方が、少なくともそういう発言をするということについてはいかがお考えになりますでしょうか。

知事
 東京電力福島原発の事故に伴う放射線の影響に対する対策、またその中での避難の在り方というのは、日本はもちろん世界的に見ても前例、このとおりしておけば良いというような、そういう前例はないわけで、さまざま手探りで進めていかなければならないようなところがあるのだと思います。その場合に、やはり被害を受けた人たちや避難を強いられている人たち、これは国の法律に従って避難しているというだけではなくて、やはりさまざまな個別の事情で避難を選んでいる人たちに対しても、常に今のような接し方でいいのかとか、今のような対応でいいのかということを顧みながら対応していかなければならないような事態だと思うので、やはり復興大臣含め内閣全体にそういう姿勢が求められているのだと思います。今回のことは、そういう中で実際被害を受けた人や避難をしている人たちから強い批判の声が出ているということについては、やはり政府の側でも反省しなければならないと思いますし、当事者の皆さんがこれなら信頼できるとか、これなら政府と一緒に問題解決を図っていけると思えるような対応を今からでもやられるべきではないかなと思います。

記者
 今回の一連の動きの中で指摘があったのは原発事故に、要するに福島(県)の問題に限らず、津波被災地の宮城(県)、岩手(県)も含めて、政府と被災地の現場の距離ですとか、現状の捉え方が、やはり時間の経過とともに少しずつ乖離ができてきているのではないかという指摘も、そういう指摘をする方もいましたけれども、その辺りのお考えは、知事はどう捉えられますでしょうか。

知事
 例えば私でも岩手県で被災者、被災者という言葉についても、被災者と呼ばれることを好まない人たちがいるということを踏まえて、被災者イコール復興者、ただ被害を受けているというだけではなく、復興の主体でもあるという意味で、被災者イコール復興者という言い方をしますと、今度は逆にまだまだ復興していないのに被災者イコール復興者というと、あたかももう復興は済んだ人のような扱いで、それは被災者の思いに応えていないのではないかという批判もあります。
 やはり行政の側は、どちらの考え方にも寄り添っていくような丁寧さが必要だと思いますし、またそれはいろいろ言ってみて、やってみて、批判を受けて初めて、ああそうなのだなとわかるところもあると思いましょうから、だから政府に対して過ちを犯すなというふうに言うのは難しい、さっき言ったように前例がない中で手探りでやっていることですから、さまざま批判を受ける場面もあり、しくじりも多いような案件だと思うのですけれども、だからそういったことに対してやはり誠実に対応して、改めてそこからより寄り添っていくような姿勢に転換していくというような努力が求められるようなことだと思うのです。
 ですから、言葉の使い方や態度などについて絶対誤るなと、絶対間違いを犯すなとは言えないなとは思うのですけれども、まずい、まずかったなと思ったら、その都度、より被災者イコール復興者の皆さんに寄り添っていくような、時間が経てば経つほどさまざま思いや行動を弱くしていく、薄くしていけばいいというものではなく、改めて7年目に入って、いまだにまだ仮設住宅生活をしているとか、避難生活をしている人たちに対しては、今まで以上にもっと思いを熱くしていかなければならないみたいな発想を政府が持っていけばうまくいくのだと思いますけれども、その辺はちょっと政府としても手探りしているなという感じはあります。

記者
 今の関連、復興大臣の関係でお伺いしますけれども、野党は資質に欠けるとして辞任を求めているわけですが、今村大臣は岩手(県)にも来られて、働きぶりというのは知事の目にどう映っているかあれですけれども、わかっていらっしゃるかなと思うので、今の大臣のそういう働きぶりというのも含めて辞任が必要かどうかというのを被災県の知事としてどうお考えかお願いします。

知事
 被災3県知事、岩手、宮城、福島3県知事との直接意見交換する場を新たに設けようとか、今まで以上に被災地、復興地に寄り添っていこうという姿勢も示していただいていますし、また、今まで直接復興を担当していなくていろいろ知らなかったこととかについても学んで、それには謙虚に耳を傾けていこうという姿勢も感じております。ただ、事は内閣としての在り方でありますので、内閣として現状を深く反省してもっと寄り添い、効果的な復興施策を打っていくのだという、そのための内閣改造というのは常にあり得ることだとは思うのですけれども、私としては今村大臣個人に対しては直ちに辞めるべきとは思いません。

記者
 直ちに辞めるべきではないというお話です

知事
 一方、内閣としてもっといい体制で復興を進めるという判断は常にあり得るのだから、内閣改造ということで新しい復興大臣にするということはあり得るのだと思います。だから絶対に代えないでくれという趣旨でもありません。

記者
 より良くする交代というのはいつでもあり得るだろうという趣旨なのだと思います。ちょっと歴代の話をすると竹下大臣は被災地の反発を招くような反発もありましたし、高木大臣も不祥事と言われるような報道、スキャンダルもあったわけですが、そうしたことが歴代の大臣に続くと復興へのマイナスの要因、プラスでは決してないと思うのです。そういう意味で、こういった大臣が続いていることでの復興への影響、心理的なものかもしれませんし、直接的な影響もあるかもしれません。その点についてはどうお考えでしょうか。

知事
 さっき言ったように東日本大震災からの復興というのは、放射能問題を中心にしくじりというものも出るような、そういう手探りで進めていくようなものだと思うので、そういう何か滑った、転んだみたいな話については、それを克服して、さらにより良い行政ができればいいのだとは思っております。より本質的な問題は内閣全体として、これは政権交代があっても発災直後から既存の制度の枠組みで復旧・復興を進めようというところが強いのと、あとは財政の制約について増税をしないと対応できないとか、あと財政の論理で見て、これ以上はできないみたいな考え方が時々出てくることとか、そういった内閣としての姿勢がまだまだ関東大震災以来、日本として最悪、最大の自然災害を受けたというにしては弱いなと思っていますので、そこは内閣としてもっと踏み込んで、今までやったことないようなことを思い切ってどんどんやる復興というのを今からでも求めたいと思います。

記者
 先週、知事も出席されて、臨床研修医の合同オリエンテーションが岩手県主催でありました。医師不足問題、医師の偏在は、震災以前は県政最重要課題、県北・沿岸振興と並んでだったかと思います。今もそうだと思いますが、震災復興という柱の中では、大きくこの問題を取り上げられる機会も少なくなっているのかなという現状もあると思います。この医師確保、偏在問題についての現状認識と、改めて対策についてお伺いしたいと思います。

知事
 あと何年かすれば厚生労働省基準で見て、岩手県の病院、勤務医がもう不足状態ではないというふうになるという、そういう見通しがありますので、そういう意味では希望が持てる状況ではあるのですけれども、ただそこに至るには医学部を修了して臨床研修に入った人たちがしっかり臨床研修を成功させて、そして岩手県で地域医療の現場で活躍していくというのがスムーズに年度ごとにうまくいかなければなりませんし、また今はいわば医師不足、医師数が回復に向かっていき始めた底の段階に当たっていますので、今の岩手全体としての地域医療体制が崩壊にならないようにというところは今一番気を付けなければならないところですので、そういったところは油断なく取り組んでいきたいと思います。

記者
 先日、教育勅語について、政府の答弁書が閣議決定されました。憲法に反しないような形であれば教材として利用することは否定しないという内容でしたが、これについての所感をお願いいたします。

知事
 何か言い方が変ですよね。今問題になっているのは、教育勅語は教育の理念とか、原則とかにして使っていいのかということが疑問として出ているわけだから、それに対して明確にノーを言って、過去の衆議院や参議院の決議もあって教育勅語というのは教育の原理原則としては既に廃止されていますということがまずあって、戦後は教育基本法の下、人格の完成が教育の目的ですからね。その人格の完成というのは、憲法の個人の尊厳の理念と対応しているわけですから、まず個人の尊厳、そして人格の完成、それが日本の教育の原理原則だということを言い、最後の最後に、ただ社会科資料集とかで昔はこんなこともあったという参考資料として教育勅語を取り上げるのは構わないというか、逆に言うと教育勅語というものを何かそれに言及したり、その文章を明らかにしたら、それは罪だとかということでもないので、そういう研究資料というのでしょうか、としては自由に使っていいという、そういう順番で政府が説明すればいいのではないかと思います。

記者
 これは岩手県として、教育勅語の学校現場での取り扱いについて教育委員会ですとか、学校現場に要請をした、またするお考えはありますでしょうか。

知事
 岩手の教育現場は、教育基本法の人格の完成という原理原則をよくわかった上で知育、体育、徳育ですか、知、徳、体、それがバランスよく身に付くような教育をしていこうとしているので、特に今の状態で問題はないのかなと思っています。

記者
 昨日投開票が行われた秋田県知事選についてお聞きしたいのですけれども、現職の佐竹氏が、前知事と現知事というちょっと珍しいケースの対決となりましたが、三選を果たされました。隣県として、まず選挙についてどのような印象というか、分析をされたのかということと、三選されました佐竹知事に期待されることをそれぞれお願いいたします。

知事
 秋田県も岩手県と同様、また北東北3県似た傾向があるのですが、少子高齢化が日本全体よりも先んじて進んで深刻化していると、それに何とか歯止めをかけようと、そのため豊かな自然とか、農林水産業の力で地域振興といったところ、秋田県として佐竹知事、今まで積んできた実績があり、また北東北3県として、あるいは秋田(県)と岩手(県)の間のさまざまな連携としていろいろいいことをやってきた実績もあると思っておりまして、そういうことが有権者の皆さんにも評価されてのご当選になったのではないかと思います。ぜひ引き続き2県での連携や北東北、また、東北全体での連携の中で力を合わせてさまざまな問題を解決し、地域振興を図っていきたいなと思います。

広聴広報課
 以上をもちまして記者会見を終わります。

次の定例記者会見は4月17日(月曜日)の予定です。

このページに関するお問い合わせ

政策企画部 広聴広報課 報道担当
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
電話番号:019-629-5285 ファクス番号:019-651-4865
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。