平成29年3月22日知事会見記録

ID番号 N53836

平成29年3月22日10時30分から10時55分

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。最初に、知事から発表があります。それでは、知事お願いいたします。

知事
 まず、「いわて産業人材奨学金返還支援基金」への寄附についてです。
 県内ものづくり企業等の技術力・開発力の向上等を担う産業人材を確保し、地域産業の高度化、持続的な発展を推進していくため、今年度から県と産業界の出捐により、いわて産業振興センターに「いわて産業人材奨学金返還支援基金」を造成し、奨学金返還の一部を助成することにより、大学生等の県内への還流・定着を図っていくこととしています。今般、産業界からの最初の寄附として、同制度の趣旨にご賛同いただいた東北電力会社岩手支店とグループ会社の株式会社ユアテック岩手支社から、同基金への寄附の申し出がありましたので、3月29日に県庁で寄附目録の贈呈を受けます。
 この贈呈式を契機とし、広く県内産業界から寄附が寄せられ、県内ものづくり企業等の産業人材の確保と産業振興が図られ、本県の喫緊の課題であります人口減少対策にもつながっていくことを強く期待します。
 発表事項の2つ目は、「いわて震災津波アーカイブ~希望~」の公開についてです。「いわて震災津波アーカイブ~希望~」を30日に公開します。このアーカイブには、東日本大震災津波から得られた経験・教訓が後世に生かされる「希望」など、さまざまな希望を託し、「希望」という通称を付けました。公開にあたっては、県内の市町村や防災関係機関をはじめ、多くの皆様にご協力をいただき、全体で20万点を超える震災津波関連資料を収集し、公開することとしています。このアーカイブはまた、「そなえ」、「結いの力」をはじめとする6つのテーマを設定し、単なる保存機能にとどまらない情報発信機能も持っていることがその大きな特徴です。自治体等における防災活動や教育現場での防災・復興教育のほか、復興ツーリズム・震災学習など、さまざまな場面でご活用いただきたいと思います。
 以上です。

広聴広報課
 以上で知事からの発表を終わります。

幹事社
 ただいまの発表事項2件について、各社から質問があればよろしくお願いします。

記者
 支援基金の方でお尋ねします。今回、2社から申し出が(あった)ということでしたが、先般、県議会でのやりとりであったと思うのですけれども、大体、目標としている部分の申し出は内々に出ていて、かなりこの支援基金に関する関心が高いやに聞いておりますが、改めて知事の方から、今回を機にということでしたが、加えて何か期待等言っていただければと思います。

知事
 今、ものづくり企業さんとか、あとソフトウエア開発分野の企業さんにおいても出捐を検討いただいているというふうに聞いていまして、具体的に出捐の動きも出てきているところであります。県としては、民間からの出捐金を確保するため、引き続き働きかけていきたいと思います。

記者
 特に企業さんからの申し出がというのは当然のこととして、あとはやっぱり奨学金を返還しなければいけない方へのアピールも必要なのではないかなと思うのですが、その点はいかがでしょうか。

知事
 そうですね。月が明け、年度が明け、4月には募集を開始して、50名程度の支援候補者を認定する予定です。そして、1年後の来年の4月以降、県内ものづくり企業への就職、また、県内居住が確認でき次第、助成金の支給開始ということで、その辺もどんどん知っていただきたいと思います。

記者
 震災津波アーカイブの方なのですが、活用方法として防災活動ですとか、教育現場での復興教育とか呼びかけておられますが、もうちょっと具体的に、例えばこういうシーンで活用してほしいですとか、自治体での避難訓練とかで中身の向上につなげてほしいとか、ちょっと具体的なイメージがありましたら教えていただけますでしょうか。

知事
 まず、約20万点の資料を検索機能を使ってフルに生かしていただきたいなと思っています。また、「そなえ」でありますとか、「結いの力」でありますとか、テーマを選んで、そしてあたかもドキュメンタリー、本を読んだりテレビを見たりのような形で、つまり検索し、これこれ、こういう情報を取るのだという、どういう情報を取っていいのかわからないようなところからスタートしても、いろいろ参考になる情報がどんどん出てくるような仕掛けがしてありますので、東日本大震災やその後の復興について詳しくない人でも、最初から入っていくことができるというのも利用してほしいと思います。
 あとは、ピックアップコンテンツというのがありまして、これは教育現場用でありますとか、自治体の防災活動用でありますとか、活用シーンに合わせたピックアップコンテンツというのも整理してありますので、それも活用してほしいと思います。

幹事社
 それでは、発表事項以外について、本日は記者クラブを代表しての幹事社質問はありません。各社から質問があればお願いいたします。

記者
 昨日、テロ等準備罪いわゆる共謀罪の法案について閣議決定がされました。知事、これに関して報道等でしか中身の方はわからないと思うのですが、どのような受け止めをされていらっしゃいますか。

知事
 (国際)組織犯罪防止条約を批准するために必要ということなのですけれども、(国際)組織犯罪防止条約というのは1990年代に議論され、形成され、そして9.11テロの前に既に成立していて、その条約が対象にしているのは利益目的の組織犯罪であって、あとは適用範囲として国際的であること、2カ国以上にまたがるような犯罪が適用範囲と定められていて、だから本質的にテロ対策とイコールではないのです。営利目的ですから自分が損得はもちろん、命を失っても何かを破壊してやるのだとか、人々を恐怖に陥れようという目的は条約の対象になっていないですし、あと、最近のテロは国内で完結するようなものもあるけれども、それも対象になっていないということで、だからそもそも国際条約は1990年代に金融技術が発達して、マネーロンダリングがやりやすくなって、世界中でマフィアとかの組織犯罪がものすごく活発したから何とかしようということでできた条約なのです。
 その後もマネーロンダリング規制などは日本も法規制をバンバンやって、日本がそういう条約が想定しているような国際組織犯罪の温床になるような環境ではもうないのではないかと思っていまして、だから日弁連さんが言っているように、批准したければ別に今のままでも批准はできると思っております。これ以上の何か追加的な国内法措置をしなくても、条約批准しようと思えば批准できるし、いずれ条約のために必要だから今回法律をつくるというのは、論理的にあり得ないことなので、だからそういうあり得ない理由で法律の閣議決定がされるというのは、大変変なことではないかと思っております。

記者
 ありがとうございます。今おっしゃったことに尽きるのかなと思いますが、例えば、東京オリンピックがあるとか、そういう世界から多くの人が来るにあたって、つくらなければいけないというのがどうも政府の方の主張なのですが、これもやっぱり当てはまらないと知事はお考えですか。

知事
 ええ。目的にはそれに対して適切な手段を用いなければならず、具体的に想定される脅威に対して、適切な手段を講じていけば良いと思うのですけれども、それは今回の法律みたいなものをつくるというよりは、さまざまな警備の体制とか、あとは地道な治安維持というか、地方自治体が普通、普段からやっている安全・安心確保のための地道な努力というのをきちっとやっていくことが最大のテロ対策ではないかと思います。怪しい人が何か怪しいことをやっているとか、そういうのを事前に防いでいくというのは、健全な市民生活、それが都会においても、地方においてもできているというような、そういうところをきちっとやっていくことが肝心なのではないかと思います。
 あと、航空機をめぐるさまざま技術的な取り締まりの強化であるとか、何かそういうオリンピック会場周辺の地理的状況に対応した特別な規制、交通の規制とか、海からのアプローチ、そういう海におけるさまざまな規制、去年の伊勢志摩サミットでもいろいろ経験があるでしょうから、そういうきちっと過去の経験に基づきながら、これこれ、こういう規制が必要だというのであれば、そういう規制を国会で議論して、必要なら立法していくという手順を踏めば良いのだと思います。
 今回の法律は、条約上の国際組織犯罪取り締まりよりもはるかに広い対象を、取り締まりを目的とした非常に広い法が法案として出てきて、テロ対策というのもそのごく一部でしかなく、条約のため、そしてテロ対策のため以外の部分がたくさんあるわけでありますから、それは目的のための手段としては全然対応していないのです。かつ、基本的人権の侵害の可能性のあるような立法措置というのは、かなり目的、手段関係が厳密に検討されなければならないわけで、別の目的を掲げ、手段を広く広げて、それで人の人権も規制するようなものを立法していくというのは、立法の仕方として間違っていると思います。

記者
 成立による、今、後段の方におっしゃったような基本的人権の侵害というようなことを踏まえると、やっぱりそういう意味では成立した場合の懸念というものを想定されますか。

知事
 そもそもこの条約のためだ、テロ対策だというような法案ではないのですから、そこはもう昨日の閣議決定自体、全然理由が説明になっていないよというところをまず追及していかなければならないところだと思います。その辺をはっきりしない間は、国会で審議に入るべきではないと思います。

記者
 予算特別委員会の方で出たお話なのですけれども、宮城県とのドクターヘリの連携、来年度以降協定を締結して、実際に運航を進めていくというお話なのですけれども、これで北東北3県に加えて県南域もカバーできる、救命率の向上につながるというお話ありましたが、知事の所感と考えをお聞かせください。

知事
 ドクターヘリは、いざという時に非常に有効な、まさに命を守るための手段として大変有効なものなので、県境を越えた連携をすることでさらに命を救うという活動が広がっていくわけなので、そこはうまく調整しながらやっていきたいなと思います。

記者
 来年度以降というお話あったのですけれども、具体的な協定の時期等はまだ決まっていないという感じですか。

知事
 今ぱっと思い出せないのですけれども、技術的な詰めの作業が終われば速やかに実行に移すというふうに考えています。

記者
 いわゆる森友学園の払い下げ問題の関連でお伺いしたいのですが、前回お聞きした時から、結果的には取り下げ等をして落ちついた感はございますが、また明日、一方で籠池理事長が証人喚問されるということで、知事として一連の問題を見て、どこにまず問題があるかというところと、あとどうしてもやっぱり一国のトップである総理のお名前が出てくるということで、総理はどのように対応して疑念を晴らすべきだとお考えでしょう。

知事
 改めて憲法89条を読み返してみて、いわゆる私学助成を禁止すると、公の支配に属さない教育とか、慈善とか、そういう活動に国費を投入してはならないみたいなことが書いてあって、でも、私学全般については公の役に立っているから、私学助成はしていいし、ただ私学助成する以上、そこは公の支配という言葉に当たるようなチェックをちゃんと国なり自治体なりが私学に対してもしていかなければならないと。そこで求められているのは、健全な私学の発展ということと、あとはもし私学に何か不健全なところがありそうであれば、そういったところに公費を投入してはならないと、そういう会計、国費の使い方の章のところに書かれている条項ですから、だから私学相手の公費の使い方については、特に慎重でなければならない、それが憲法に規定されていると言っていいと思います。
 だから、その責任は内閣にあるわけであって、内閣としては、変な私学に普通以上に公費が投入されるようなことをしてはならないということは、内閣の責任があるわけですから、そこが問題なのだと思います。だから、追及されるべきは、内閣として今回ちょっとおかしかったのではないかということで、内閣としては正当性を証明しなければならないのでしょうが、森友学園ですか、国有地の安価な売却とか、そして小学校の設立に関する安易な認可、そこは大阪府も関与しているのですけれども、公全体としてそういう失敗はしていて、そういう失敗を認めて、今、さまざま、土地は返却してもらわなければならないとか、そして小学校の設立(認可)申請は取り下げみたいな方向になっているわけですから、何でそういう失敗をしたのかということをちゃんと内閣が説明するということを国民に対してしなければならない局面なのだと思います。

記者
 その点で関連してなのですけれども、明日の証人喚問に期待されることなどはありますでしょうか。

知事
 内閣が、大阪府も一緒なのですけれども、公として当初かなり優遇的に土地の取得とか、小学校の(設立)認可とかを認めそうになったその理由がある程度当事者の証言の中で明らかになることが期待されていると思うのです。何でそういうふうに甘く、憲法の趣旨に反するそういう行政が行われてしまったかということが当事者の証言から明らかになってくることが期待されているのだと思います。

幹事社
 県政課題について若干伺います。2019年ラグビーワールドカップについてですが、釜石にスタジアムが建設されますけれども、地元の市議会で、そのスタジアムについて県に維持管理をお願いしたいというような趣旨のやりとりが市議会であったようです。そのような協議を県と市との間で現在行われているのかどうかお聞かせください。

知事
 維持管理については、これは市が行うものだという前提でラグビーワールドカップ開催に関するさまざまな協力、調整について、県と市の間でやりとりしているわけでありますし、またそういうことは今議会、2月定例会においても執行部側から答弁されているとおりです。

幹事社
 市町村の財産であるわけですけれども、それを県費で維持管理するということになりますと、仮にですね、そうすると受益と負担という意味で非常に私は問題があるのではないかと、もしそうなるとなればですね、と思います。また、市町村の負担を別団体に転嫁するとなると、これはモラルハザードを招くのではないかというような懸念も、私はちょっと個人的には感じるのですが、今後それについて、仮に市からの提案があった時に、協議に応じる余地はあるのかと。また、市町村からそのような声が出ていることそのものについてはどう受け止めますか。

知事
 いずれ盛岡市とか北上市にも同規模の競技場、スタジアムはあるわけで、ラグビーとかサッカーとかに使える、それぞれ市が維持管理していますし、盛岡市や北上市は規模も大きく、財政の規模も大きいわけですけれども、一方、盛岡や北上はラグビー、サッカーの競技ができる競技場やスタジアム以外にも、さまざまなテニスコートとか運動場施設を自前でやっぱり維持管理しているわけでありますので、そこはそういうふうにやってほしいなと思います。

幹事社
 そうしますと、基本的にはやっぱり協議に応じるのはなかなか困難だというような認識でよろしいですか。

知事
 そもそもそういう話は存在しないと思っております。

広聴広報課
 以上をもちまして記者会見を終わります。
 

 次の定例記者会見は4月3日(月曜日)の予定です。

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