平成29年2月9日知事会見記録

ID番号 N52607

平成29年2月9日15時30分から16時24分

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。最初に、知事から発表があります。それでは、知事お願いいたします。

知事
 まず、平成29年度当初予算案についてです。A4横の「平成29年度岩手県一般会計当初予算のポイント」の1ページからいきます。平成29年度当初予算案一般会計の状況です。
 まず、平成29年度当初予算は、「未来につなげる復興ふるさと振興予算」です。第3期復興実施計画に基づく東日本大震災津波からの復興や台風第10号災害からの復旧・復興を最優先に実施するとともに、ラグビーワールドカップ2019™釜石開催の成功に向けた取組や世界文化遺産の価値や理念の発信・普及など文化・スポーツ振興施策の取組、海外への岩手ブランドの発信などの国際関連施策に戦略的に取り組むほか、若者・女性の活躍を一層支援する取組、ILCなどの科学技術振興の取組に引き続き力を入れ、「ふるさと振興」を推進し、未来につなげる予算として編成しました。中期財政見通しや公債費負担適正化計画を踏まえて財政健全化にも配慮したところです。
 予算の規模は9,797億円、これは平成28年度当初予算に比較して約864億円、率にして8.1%の減となります。復旧復興事業が進捗したことによって、東日本大震災津波発災以降に編成した当初予算として、初めて1兆円を下回る予算規模です。
 具体的な歳入・歳出の状況については、2ページ目をご覧ください。まず、歳入の状況ですが、震災分については、復旧復興事業の進捗に伴い、国庫支出金や震災復興特別交付税が減少しています。通常分については、県税収入の増加を見込んでおり、また、県債については、療育センター整備事業や台風第10号対応の河川改修事業の実施により増加となっています。
 次に、歳出の状況についてですが、震災分については、災害復旧事業や港湾の整備などの進捗により、前年度と比較して約962億円、率にして24.0%の減となります。通常分においては、国体開催経費が減額となった一方で、台風第10号災害の復旧復興事業に要する経費の増などにより、前年度と比較して約98億円、率にして1.5%の増となっています。
 次に、3ページ、「未来につなげる復興ふるさと振興予算」における取組の概要ですが、平成29年度は、第3期復興実施計画の初年度として「参画」、「交流」、「連携」の3つの視点を重視し、復興事業の総仕上げを視野に復興の先も見据えた地域振興にも取り組みながら復興を推進します。
 まず、「安全の確保」では、被災した河川、海岸等の公共土木施設や、災害に強く信頼性の高い復興道路等の早期復旧・整備を推進します。
 「暮らしの再建」では、内陸部に避難されている方々も含め、被災者の方々が一日も早く安定した生活を取り戻すことができるよう、災害公営住宅の早期整備を推進します。また、被災者のこころのケアや新たな居住環境におけるコミュニティの形成を支援します。さらに、質の高い保健・医療・福祉の提供に向けて、県立高田病院を再建し、安定した医療体制の提供を図っていきます。
 「なりわいの再生」では、地域漁業の再生と資源回復に向けた支援や、県産農林水産物の商品開発や販路開拓に向けた取組を推進します。
 また、商業機能の再生・復興に向けた仮設店舗から本設店舗への移行支援や、若者や女性をはじめとした被災地で起業等を行おうとする方々への支援を実施します。さらに、長期的な視点に立ち、津波復興祈念公園や震災津波伝承施設の整備、ILCの実現をはじめとする科学技術振興の取組など、将来にわたって持続可能な新しい三陸地域の創造を目指す「三陸創造プロジェクト」を進めます。
 次に、4ページをご覧ください。復興計画と軌を一にした「いわて県民計画」の着実な推進における主な取組です。
 まず、「仕事」の分野では自動車・半導体など本県の中核産業の一層の集積促進や競争力強化、地域資源を生かした食産業や観光産業などの振興に取り組みます。また、「いわてで働こう推進協議会」を中心に、若者・女性の県内就業の一層の促進や長時間労働の是正など、働き方改革の取組を進めます。さらに、ICT等を活用した収益性の高い農業経営の推進や、県産新品種米「金色(こんじき)の風」、「銀河のしずく」のブランド化に向けた取組など、農林水産物の高付加価値化を図ります。
 「暮らし」の分野では、医師確保対策やドクターヘリのヘリポート整備を進めるなど、地域の保健医療体制の充実を図ります。また、障がい児への支援の充実を図るため、平成29年10月の完成を目指して、「県立療育センター」と「盛岡となん支援学校」の一体的な整備を推進するとともに、医療的ケアを必要とする在宅の超重症児や超重症者の方々を介助する家族の負担軽減を図ります。さらに、若者の主体的な活動を促進するための支援や女性の活躍支援に取り組みます。
 「学び・こころ」の分野では、児童生徒の学力向上の推進や地域の未来を担うグローバル人材の育成に取り組みます。また、「平泉の文化遺産」の拡張登録に向けた取組やガイダンス施設の整備着手、「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界遺産登録に向けた取組を推進します。さらに、スポーツの振興による地域活性化を促進します。
 「環境」の分野では、県民総参加による地球温暖化対策の推進や次期産業廃棄物最終処分場の整備に向けた取組を進めます。
 「社会資本等」の分野では、地域間の交流・連携、産業振興を支える道路の整備など、日常生活を支える安全な道づくりを進めます。
 次に、5ページをご覧ください。「ふるさと振興」の推進における主な取組です。来年度は、計画期間5年間の中間年に当たりますので、各施策の効果検証により必要な見直しを行いながら、「岩手で働く」、「岩手で育てる」、「岩手で暮らす」の3つの柱に沿った事業を推進します。
 まず、「岩手で働く」では、三次元造形技術や情報通信技術の活用による高付加価値製品の開発や生産性向上の支援、農林水産物の輸出拡大を図るためのプロモーション活動の強化を図ります。また、首都圏の移住相談窓口の充実や、首都圏の大学生等を対象としたインターンシップの実施など、U・Iターン対策を強化します。
 「岩手で育てる」では、“いきいき”岩手結婚サポートセンター、i―サポを県南地域に増設し、利便性のさらなる向上を図ります。また、分娩取扱診療所の整備支援、地域の開業助産師や潜在助産師等を活用した地域で妊産婦を支える体制の構築を進めます。
 「岩手で暮らす」では、若者や女性が働きやすい建設企業の環境整備をはじめとする若者・女性の活躍支援や、ふるさとの未来を担う人づくりなど、岩手の魅力を高める取組を進めます。
 次に、6ページをご覧ください。いわて国体・いわて大会のレガシーを生かした文化スポーツ施策の戦略的な展開における主な取組です。「希望郷いわて国体・希望郷いわて大会」のレガシーを次世代に継承していくため、3月に「岩手県文化・スポーツ振興戦略」を策定し、3つの戦略に基づいた文化・スポーツ施策の一層の推進を図っていきます。
 まず、「戦略1 国体・大会のレガシーの継承と従来の枠を超えた文化・スポーツへの取組」では、ワールドカップ2019™釜石開催や東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けた機運醸成を図ります。また、ポップカルチャーやアール・ブリュットの振興など従来の文化の枠を超えた取組を推進します。
 「戦略2 県民の心を豊かにする文化芸術の振興」では、伝統文化の魅力の国際的な発信や海外との文化交流など、県民が優れた文化芸術に触れる機会を創出します。また、障がい者芸術作品の評価や作者の権利擁護など、障がい者の芸術活動の振興を図ります。
 「戦略3 県民が元気になるスポーツの振興」では、より身近にスポーツを楽しむことができる環境の整備、トップアスリートや指導者の育成など、スポーツの魅力を実感し、県民の心と体が元気になるスポーツの振興を進めます。また、プロスポーツ等との連携による地域活性化を推進します。
 これらの文化・スポーツの振興については、観光施策など政策間の連携や市町村との連携など、相乗効果を高めるような文化・スポーツ施策の展開に意を用います。
 次に、7ページをご覧ください。「国際戦略」の展開における主な取組です。今年度末に世界とのつながりを深め、海外展開を促進していくため、「いわて国際戦略ビジョン」を策定し、3つの戦略に基づいた国際戦略の推進を図っていきます。
 まず、「海外市場への展開の推進」については、県産品の販路拡大を図るための戦略的・総合的な対外売り込み活動の実施や、海外展開に取り組む事業者を支援します。
 「外国人観光客の誘客の拡大」については、外国人観光客の誘客促進と受入環境の整備、国際航空定期便や外航クルーズ船の誘致を進めます。
 「人材ネットワークの強化と多文化共生の推進」については、世界と岩手をつなぐ人材の育成やネットワークの構築・強化、国際交流・多文化共生の推進を図ります。
 次に、台風第10号災害への対応について、平成28年度9月補正に引き続き、被災した河川や道路の復旧・改良、被災した事業者の方々の事業再開を支援するため、商工会・商工会議所の経営指導体制の強化などに取り組みます。
 最後に、広域振興圏への取組について、地域の特性や資源を生かした地域づくりを推進するための特色ある取組を展開します。
 これらの取組を通して、「希望郷いわて国体・希望郷いわて大会」の成功によって名実ともに全国に認知された「希望郷いわて」として、復興とふるさと振興の取組を強力に推進していきます。
 次に、平成29年度の組織・職員体制の概要についてですが、東日本大震災津波からの復興や平成28年台風第10号災害に係る復旧復興事業の着実な推進に向け体制を整備するとともに、いわて県民計画を推進するための体制強化を図りました。
 まず、東日本大震災津波からの復興に係る体制整備については、復興事業の進捗状況等に応じ、合計で383人の職員定数を配置するとともに、復興事業に係る組織や職は、平成28年度の体制を維持します。また、平成28年台風第10号災害に係る復旧復興事業の推進体制を強化するため、岩泉土木センターに副所長を配置し、小本川や安家川の大規模復旧・改良工事を推進するため、河川復旧課を設置します。
 次に、いわて県民計画の推進等に向けた体制整備として、国際関連事務の推進体制を強化するため、政策地域部に国際室を設置します。また、全県的な地域振興施策の企画や総合調整機能を強化するため、地域振興室に地域振興監を配置します。また、会計事務の執行体制を強化するため、各広域振興局に審査指導監を配置します。その他、ILCの実現に向けた体制強化や、児童虐待相談体制の強化を図るため職員を増員します。
 次に、職員体制について、平成29年度当初における知事部局の職員数は、本年度より20人程度多い4,470人程度となる見込みです。マンパワーの確保に向けて、任期付職員の採用や全国の都道府県等に対する職員の派遣要請を進めているところであり、引き続き、復旧復興事業やさまざまな県政課題に適切に対応できる体制を構築していきます。
 以上です。

広聴広報課
 以上で知事からの発表を終わります。

幹事社
 それでは、ただいまの発表事項2件について、各社から質問あればよろしくお願いします。

記者
 文化スポーツ振興なのですけれども、いわて国体・障害者スポーツ大会が終わって最初の年ということで、しかも文化スポーツ部が新設されるということで大事なスタートの年になると思いますが、改めてどのような姿勢で文化スポーツ振興に臨んでいくのかお聞かせください。

知事
 希望郷いわて国体と希望郷いわて大会、この準備の過程から県民総参加の形で進めてきて、そして東日本大震災からの復興と並行して準備しながら、また、直前には台風第10号災害にも見舞われながら、それを乗り越えて希望郷いわて国体・希望郷いわて大会をそれぞれ成功させることができたと。イベントとしてもそうなのですけれども、競技としても予想以上の成績を収めることができたということで、そういった経験は岩手県民共通の経験として、それが全体としてレガシーになるというふうに思っています。ですから、トップアスリートも、オリンピックにも出るような選手の育成というところもあれば、一方、今まで運動習慣があまりなかったとか、スポーツに興味がなかったとか、そういう人たちも運動やスポーツをやっていく、文化も同様ですね。そういう大きな流れの中で、今、文化スポーツに関することでやっていることを強化するところもあれば、また全く新しくスタートするところもあるというような形で進めていきたいと思います。

記者
 スポーツの方なのですけれども、今おっしゃったようにオリンピック・パラリンピックに向けた取組、ラグビーの取組もありますし、あと、たしか県教委の事業の方で高体連や中体連への補助などもあって、一貫した強化体制を目指しているように思いますが、このトップアスリート育成という意味ではどうでしょうか。

知事
 国体・大会、大変良い成績を収めることができましたので、それをできるだけ維持するような取組、また、競技によっては雪辱みたいなところもあって、さらに強化していきたいというところもあり、それぞれ競技ごとに直面する課題にしっかり向き合いながら強化していくということができればと思います。

記者
 もう一点、文化スポーツとは離れるのですけれども、i―サポの件なのですが、県南に増設ということなのですが、この狙いと、あと、どのような効果を期待しているかということをお聞かせください。

知事
 成婚数もどんどん増えてきていて、一定の成果があると思います。一方で、ニーズもあって県内1カ所(※実際は盛岡市と宮古市の2カ所)だけでは足りないという声もありますので、県南にも設けるということですし、あとは出張受付も行って、できるだけ出会いの場を、こういう形の出会いの場に対するニーズに応えていきたいと思います。

記者
 東日本大震災の復興予算のいわゆる震災分の方についてお伺いしたいのですが、予算規模から見てもハード整備が進んできて、新たなステージに移行してきたというような印象も受けるわけですが、今回の震災分の予算で特にこだわった点であるとか、留意した点というのを教えてください。

知事
 事業規模のピークは越えてはいるのですけれども、まだ直すべきところ、新たにつくるべきところ、できていないところをしっかりつくっていくということが一つでありますし、あとは復興の長期化に伴って、仮設住宅生活の方々等の体や心の健康の維持や、また、コミュニティ支援といったところに意を用いました。

記者
 第3期復興実施計画でも関連していると思いますが、復興の先を見据えた地域振興というか、そういうところも前面に出てきたなという印象あるのですが、そういった視点はいかがでしょうか。

知事
 そうですね、農林水産業や、あとは商工観光などのなりわい関係について、さらにこのなりわいの再生、それはそのまま未来の地域振興にもつながっていきますので、そういったところ、復興というのがそのまま未来への地域振興につながっていくような、そういうところに意を用いました。

記者
 あと、これは全体の予算の話になるかもしれませんが、未来につなげる復興ふるさと振興予算と、こう名付けられた理由について改めてお願いします。

知事
 復興事業の中に復興の総仕上げや、また復興のその先を視野に入れるような事業が入ってきているということと、あとはふるさと振興イコールまち・ひと・しごと創生関係の事業というのがまさに未来につながる事業でありますし、また、国際戦略関係でありますとか、若者・女性活躍支援でありますとか、そういったところも未来につながる感があるので、全体として未来につなげるというのを付けました。

幹事社
 では、すみません、司会の方から。今の話にも関連するのですが、地域振興の関係で主な事業の中を見ると沿岸は当然そうなのですけれども、内陸の方でも、例えば浄法寺の漆であるとか、ワインであるとか、基本的には今既にあるもの、これまで岩手でずっと続いてきたものをさらに発展させられれば、付加価値を高めるというような事業が多いのかなという印象を受けるのですけれども、その辺りは意識はされたのでしょうか、いかがでしょうか。

知事
 そうですね、まずはあるものを生かしていく、地域資源を発掘して、磨き上げて育てていくということで、これは復興の際もそれが基本的な姿勢だったのですけれども、ふるさと振興、オール岩手としても何か全くないものをどこからか持ってくるとかいうよりも、ちゃんと地元にあるものを生かしていくというようなことを軸に、復興にせよ、ふるさと振興にせよ、組み立てていくというのが基本的な考え方です。

幹事社
 今の点も当然重要だと思うのですけれども、例えば起業支援であるとか、あるいはある程度の雇用の確保という面でいうと、企業誘致であるとか、新産業の支援であるとか、そういう部分も少なくとも必要ではあると思うのですけれども、その辺りのお考えはいかがでしょうか。

知事
 そうですね、今まで全くなかったものを拒絶するわけでは全然なく、いいのですけれども、ただやはり例えば企業誘致で言えば自動車・半導体関連産業集積の実績の上にそれをさらに発展させていくというのが基本になりますし、観光振興の場合も世界遺産平泉や橋野鉄鉱山、そして縄文遺跡のような、それこそ昔からあったものを軸にしながらというところがやっぱり基本になります。

幹事社
 それから、もう一点、新年度は第3期計画の1年目であり、未来につなげる復興ふるさと振興予算と名付けられたということで、どちらかというと種をまくといいますか、未来の発展に向けた種をまくというか、そういう印象を受けたのですけれども、その辺りは意識されましたでしょうか。

知事
 そうですね、岩手最大の政策テーマは東日本大震災からの復興で、そこに台風第10号災害からの復旧・復興も重なったわけですけれども、これは過去に戻す、時間を掛けて過去に戻るのではなくて、未来に追いついていくような復興、また、復旧・復興をしていかなければならないという中で、その未来の姿が結構見えてきているようになってきたのだと思います。ですから、その見えてきた未来というのをしっかりとつかんでいくことができるように、そういう気持ちも込めて29年度予算が編成されているというところがあります。

記者
 文化スポーツの振興について伺いますけれども、新年度に新しい部をつくるということで、20億円余の予算が計上されていたと思います。国体が終わってそのレガシーを継承するということで組織をつくったということですけれども、これは国体の時に、例えばスポーツ振興あるいは芸術振興である程度事業とか予算のボリュームが大きくなったと。その翌年ということで、今回ある程度の職員体制を配置したり、あるいは予算を付けたりということで、翌年なのでだんだんある程度コンパクト化していくものなのか、あるいは体制とか事業、予算規模をある程度維持していきたいというイメージなのか、新しい部局を置くということですから、中長期の展開も見据えての設置だと思いますけれども、その辺りの方針を聞かせてください。

知事
 国体(・障がい者スポーツ大会)局というのがなくなったりとか、そして大変多くの部局に分かれていた文化スポーツ関連(の事務)を一つの部に集約させたということもあって、なかなか体制の規模とか額を比較するのは難しくて、そういう意味では規模とか額というよりは、ばらばらだったのをつないでいくところに意義があると。希望郷いわて国体・希望郷いわて大会というのも、イベントとか中核的な部分は国体・(障がい者スポーツ)大会局が担ったわけですけれども、ただ関連するものはあらゆる部局が県を挙げて取り組んだようなところもあって、国体・大会を通じて縦割りを越えたつながりというのが自然にできてきていたと思うのですが、それを文化スポーツ部という形にすることで、さらに異分野の相乗効果が文化スポーツ部の中で出てくることが期待されていて、予算はやっぱり少なくすめば、それは少なくすむにこしたことはないのだと思います。県民の体力向上とか、県民のスポーツへの関心を高めるみたいな身近なところもあれば、プロスポーツとの連携とかもあって、例えばそういう新しい組み合わせ、教育委員会がやっていたようなことと、あと、今まで担当部局がはっきりしていなかったようなプロスポーツの世界とかが組み合わさることで、例えば民間の資金がどんどん回るようになってくれば、逆に公的予算を減らすことができたりとか、そういうことができれば、それにこしたことはないなと思います。だから、予算にせよ、人員にせよ、数を増やすか減らすかという問題よりも、今までつながっていなかったところをつなげて、さらに相乗効果を高めることで、より効果的な結果が出てくる、結果を出せるようにというふうに工夫していきたいと思います。

記者
 ありがとうございます。この文化とかスポーツの分野というのは、県民生活を豊かにするとか、あるいは潜在能力を開花させるとか非常に重要な分野だと思います。ただ、これはやっぱり財源の裏づけもあってのことということだと思います。要するに、県の財政が硬直化してきて、義務的経費が増えてくるとか、あるいは景気が減速してきて税収が減ってくると、あるいは地方交付税がカットされるということになれば、やはり優先順位からするとどうしても下がってしまうという中で、やっぱり財政再建というのは非常に大事、要するに未来につなげるということですから、文化・スポーツ振興を未来につなげるため、財政健全化というのは非常に重要だと思いますけれども、それを合わせて29年度はどう思っていますか。

知事
 財政健全化については、これは今まで同様、全然それを緩くしようとか、そういう動機はありませんので、プライマリーバランスの黒字の維持でありますとか、そういったところを中心にしながら財政規律についてもきちっとした形で進めていきたいと思います。

幹事社
 財政のお話が出たので、その件についてちょっと確認をしたいのですが、県債残高も予算編成段階では減って、プライマリーバランスも黒字ということなのですが、財源対策の基金の残高が震災で一時増えましたけれども、新年度予算の編成段階だと296億円ということで、大体震災前のレベルに戻るような状態にこのまま予算の見通しの段階ではなっていますが、当然財政健全化ということで歳出の削減というのは引き続き取り組まれると思うのですけれども、やはり入ってくる歳入の部分を増やしていかないと、どうしてもなかなか難しい部分はあると思います。当然自主財源を増やすというところだと思いますが、そうするとやはり地域産業の振興と一体的に進めていかなければならないのではないかと思うのですが、その辺り、歳入確保という点でいかがお考えになられますでしょうか。

知事
 おかげさまで税収増のトレンドはありますので、引き続き税収が増えるように県内経済を一定の成長をするような形にしていかなければならないと思いますし、またいろいろ税や手数料やいただけていないのをしっかりいただくというところについても、引き続き工夫を重ねていかなければならないと思っています。
 あとは、国との関係では、大きく地方財源の充実、地方の一般財源の充実ということを地方交付税交付金の強化といったことを中心に、これは引き続き求めていきたいと思います。

幹事社
 それから、特に沿岸の方だと復興事業がある程度、この段階でもピークを過ぎているという状況ですけれども、ある程度落ちついてくれば、やはり地域産業への影響を懸念する声も聞こえるわけですけれども、新年度だけではなくて、ある程度中長期的に見た復興事業終了後、減速後の地域経済のてこ入れみたいなものというのはどのようにお考えでしょうか。

知事
 半面人手不足状態とか、特に建設、土木関係などは過熱気味で、もう少し鎮静化した方が、地域経済としてのバランスがとれるのではないかというところもあると思います。そういう中で、建設、土木の事業量が減っていったとしても、ほかに人手不足で困っている分野の方で人を確保して、そちらの事業を拡大していくことができれば良いと思いますし、今、沿岸の市町村がそれぞれ進めている新しいまちづくりですとか、産業政策ですとか、基本的に方向性は良く、ただ人手不足がそれぞれネックになっていますので、うまく復興経済構造から平時の地域振興型の経済構造にスムーズに移行できれば良いのではないかなというふうに思います。

記者
 先ほどの税収増のトレンドがあるというお言葉がありましたけれども、国際情勢の流動化に伴って、輸出関連企業をはじめとした企業収益は読みづらい年になるかと思いますけれども、その辺りは予算編成するに当たって、歳入増を見込んでいるということですけれども、歳入の不確実性に対する懸念というのはなかったのでしょうか。

知事
 実際、税収としてなってくるのは、28年度の経済を踏まえた額が入ってくるところもありますので、29年度に税収が大きく悪化するということは想定しないでやっているところです。そこは、アメリカとの関税引き上げ競争みたいなことが始まらなければいいわけでありまして、ぜひそういうふうにしないように政府や、また関係者には求めたいなと思います。

記者
 伺いたいのは、いわゆる復興道路であるとか、フェリーであるとか、今復興事業を進めていく中でできてきた新しい復興インフラとも言うべきものが、現在も継続中でつくっていますけれども、そういうのがだんだん整ってくると、それを生かして地域振興をしていくというのは、当たり前と言えば当たり前なのですけれども、今回の予算の中でそういったところを、さっき種付けという話もありましたけれども、意識された部分というのはどういったところがありますか。

知事
 そうですね、その辺も非常に未来を感じさせる部分でもあるのですけれども、宮古・室蘭を結ぶフェリー開通に対応する準備でありますとか、あとは既に話が決まっているのはカーフェリーの話がありますけれども、大型クルーズ船の入港ですよね。これは、まだ誘致の段階ですけれども、そういった誘致もしていきますし、復興道路関係はまず着実に復興道路の整備を進めていくことと、あとは関連の復興支援、復興関連道路の方の整備も進めていくというところをきちきちとやっていく、今思い出せるのはそんなところです。

記者
 今回大きくざっくり分けてしまうと、文化スポーツという部分と国際戦略という部分が2つ柱になっているのかなと。そういったハードの部分、フェリーはハードというかどうかわからないですけれども、ハード部分と、今回それにのせるソフト部分という意味で、未来という言い方もされているのかなと感じていたのですけれども、そういった部分のジョイントする部分というのはどういうふうに考えていらっしゃいますか。

知事
 相乗効果で、インフラ整備が進むがゆえに、観光関係の誘致もより力を入れていくことができるようになるというところがありますし、またそうやって外国と人の行き来が盛んになってくると、そこに物産のPRをのせていくのも、また効果的にできるようになってきますから、そういうふうにハード整備の条件と、それからソフトでのさまざまなソフトパワー戦略的なものを合わせてやることで、さらに相乗効果があるようなふうに仕上がっていると思います。

記者
 関連してなのですけれども、国際戦略の部分で、いわゆる県内の県産品であるとか、県内の観光資源に対する外国人の誘客であるとか、県産品の輸出であるとか、そういったところで促進していくということなのですけれども、言ってしまえばそのコンテンツに対するブランドをどうやって高めていくかということで、何でもそうですけれども、恐らくブランド価値のイメージをつくっていくというのは一朝一夕ではなくて、継続的にずっとやっていかないと、短期的にできるものではなくて、その辺の将来的な展望であるとか、どういうふうな見通しで、今回国際戦略というふうに打ち出したのかお聞かせください。

知事
 岩手全体については、「黄金の國、いわて。」というコピーを、いわてまるごと売込み隊をつくってからいろいろ検討したのですけれども、まずそれを引き続き使っていこうということで、これも10年ぐらい使っているスローガンですけれども、やっぱりそのくらい時間を掛けたことで、だんだん浸透してきているのではないかなと思います。
 あとは、南部鉄瓶のようなキラーコンテンツというのでしょうか、それ自体がもうブランドになっていて、それと一緒にお米とか、牛肉とか、リンゴとかも持っていくことで、岩手としての総合ブランドも高まるような工夫。お米で「金色の風」と「銀河のしずく」をトップブランドにしながら、しかしながらこの間ベトナムに持っていったのは「県南ひとめぼれ」でありまして、これはやっぱり非常にクオリティー高くおいしくて、一定の値段でも売れて、これは現地の日本系大手スーパーで平時も置いてもらえるようになったので、そういうやり方が良いのではないかなと思っています。

幹事社
 それでは、発表事項以外について、本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はありませんので、各社さんから質問があればお願いいたします。

記者
 政務秘書の方が1日から就任されましたけれども、いかがでしょうか。久しぶりの政務秘書の方と一緒にお仕事をされて。

知事
 どんどんためていたものをすっと預けていくことができて、やりやすくなってきているなという感じがしています。

記者
 ありがとうございます。それで、早速いろいろそういう仕事があると思うのですが、2月12日に共産党県委員会が党会議を開催しまして、これに関して知事ご招待されて出席する予定ですけれども、これは従前から、知事としていろんな政党等から声が掛かれば出席するというものの一環なのか、あるいは、県民党的結集を知事選の時からされていたその流れ、あるいは今進められている野党共闘の中の取組として賛同して出席するのか、どちらのスタンスでしょうか。

知事
 前も何かの機会に話した記憶がありますが、いわゆる党大会とか、あとは党のパーティーについても、招待があれば、都合がつけば基本的に出席するようにしております。
 あと、出席したりする中で、それぞれの党のどういったところを評価していくかというのは、それはその時々の当該政党の動きであるとか、県内、また全国的な政治情勢の中で決まってくると思います。

記者
 そうすると、今私の聞き方がちょっとうまくなかったかもしれませんが、最初に言ったように、都合がつけば招待された場合は出席するという、それの一環だと捉えて、その一つだと捉えてよろしいですか。あまり野党共闘とか、県民党的結集が云々ということでの出席ではないという。

知事
 政党と政党が協力できるところで力を合わせて、そして国民が直面している課題に応えていこうというのは、基本的に良いことだと思っていますし、今、共産党がそういうことをやっていることについては評価しています。

記者
 わかりました。あと

知事
 何かその党大会に出席することが、そういう評価をしていないということですねと聞かれて、そうですということにはならないです。

記者
 評価していないのですねというので聞いたわけではないので、すみません。
 それで、もう一つ、前回、政務秘書の

知事
 ほかの理由で出るのですねということが、裏返すと何かそのことを評価していないかのごとくも聞こえるかもしれないから、そうではないと。

記者
 そういうことではないと。
 それで、政務秘書の方の話に戻ってしまうのですけれども、発表されてから、私の周りでもいろんな声を聞くのですけれども、人物本位で選んだという趣旨だと当日の発表の時、受け止めたのですが、小沢さんの秘書だった方を起用するということに対して、何かいろんな反響が出るのではないかなということが予想されたのか。された場合に、ちょっとそこで慎重になったりしたのか。その点は、ちょっとすみません、さかのぼってしまうのですけれども、どういう立場だったでしょうか。

知事
 2年前の私の知事選挙というのは、ぎりぎりまで選挙があるものとして準備を進める、その準備の手伝いも大いにやってもらっていましたし、そして去年の参議院議員(通常)選挙で木戸口英司さんの運動を小原秘書も強力に手伝ってくれていましたし、そしてかつて民主党が全国的にも政権党であり、岩手県において全ての衆議院議員が民主党の議員だったこともあるのですけれども、そういう時代にその中で働いた経験というのは、岩手全体について目を配り、そして岩手全体のために働くという観点からは、良いことではないかと思っております。

記者
 わかりました。ありがとうございます。

記者
 私も12日の件について、ちょっと重なるかもしれないのですが、県党会議には知事の他にも、他の野党の3党の県内代表者も出席されます。それも県党会議では初めてということで、知事は昨年の参院選で、この4党と一緒に木戸口氏を応援した経緯もあると思うのですけれども、野党間の連携がこの県党会議に初出席というような形で新たに展開しているということについては、どう評価されるかお聞かせください。

知事
 日本共産党、そして岩手県の委員会のもとにおいても、県委員会のもとにおいても、まずは自分たちの理念に基づきながら、そしていろいろ自主的に決め、自由に決めている方針とか、そういうものについて、他の政党や、あるいは政党に属さないような市民、住民の、あるいは国民と連携することで合意できるところをどんどん実現していこうということは、非常に良いことなのではないかと思います。

記者
 野党なのですけれども、今、県内野党、次期衆院選に向けて共闘について協議を進めているところなのですが、菅原委員長はその県党会議への知事や他野党の招待について、野党共闘前進のためというふうにおっしゃっています。やっぱり野党の連携が示される場だと思うのですけれども、県民から見ればそこに知事が出席されるというのは、去年の参院選の流れもありますし、やっぱり野党共闘を今後も支持していくのかなというふうに取られかねないと思うのですが、次期衆院選に関してはどのようなスタンスで臨むつもりなのか、現時点でわかればお答えください。

知事
 かねて言っているように、そんなに頻繁に衆議院議員(総)選挙をやってはいけないと思っていますし、まして今、区割りというものを、岩手の場合は非常に大規模な、1議席、小選挙区が1つ減るような区割りというものを目前にしているわけで、十分な周知期間というのも必要なのではないでしょうか。ですから、私は近々に解散総選挙はすべきではないと思っているし、また、衆議院議員(総)選挙というのは全然念頭に置かないで日々過ごしております。

記者
 県議会議員でつくる議員連盟についてお伺いいたします。議員連盟のうち、大体7割以上の団体で知事部局や教育委員会の担当課が事務局を務めているということなのですけれども、そもそも議会と対等で緊張感ある関係であるべき知事部局が、議員の任意の集まりである議連の事務局を務めることに関しては、知事はどのようなお考えを持ちなのでしょうか。

知事
 日ごろから執行部側としては、いろいろ資料を求められれば資料を提供しますし、県政に関して、例えば典型的にわかりやすいのは、災害の視察など、政党なり会派なり、あるいは議員連盟が災害視察する時は同行したりとか、いろんな便宜供与はするので、いろいろお願いがあれば、できるだけそれに応えるのが基本かなと思っております。
 一方、どこまでお願いしていいのか、あまりお願いし過ぎるのは、議会としての独立性を損なうのではないかみたいなところは、議会側の方で検討してもらえればと思います。

記者
 自治体によっては、政治的な中立性を重視して、なるべくそういう議連など外部団体の事務方を受け持たないようにしようという方針を取っているところもあるようなのですけれども、現時点では岩手県では今の方針を変えるおつもりはないということでよろしいのでしょうか。

知事
 そうですね。今のところ、私のところには見直した方が良いとか、変えた方が良いみたいな話は上がってきておりませんし、また、議会の議員連盟の事務サポートを執行部側がやることで、何かこういう問題があったという話も聞いてはいないので、今のところは何か変えようという動きはありません。

広聴広報課
 以上をもちまして記者会見を終わります。

 次の定例記者会見は2月16日(木曜日)の予定です。

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