平成29年1月5日知事会見記録
ID番号 N51889
平成29年1月5日10時30分から11時15分
広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。本日は知事からの発表はございません。
幹事社
今年一年よろしくお願いします。
知事
よろしくお願いします。
幹事社
それでは、幹事社から県政記者クラブを代表して質問いたします。年頭に当たっての所感をお聞かせください。
知事
改めまして、明けましておめでとうございます。今年は、県の復興計画上、さらなる展開への連結期間と位置付けられます第3期復興実施計画期間の初年度となる平成29年度を迎えるわけでありますけれども、将来を見据えた、すなわち復興事業の総仕上げから復興の先を見据えた地域振興に取り組んでいく重要な年になります。被災者イコール復興者の一人ひとりの復興を最後まで見守りながら、一日も早い復興を目指して全力で取り組んでまいります。
昨年、オール岩手で希望郷いわて国体・希望郷いわて大会を成功させたことは県民の自信、誇り、そして希望につながりました。希望郷いわて国体・希望郷いわて大会の成果をレガシーとして次世代に引き継ぎ、また、スポーツ・文化の振興をはじめ、まちづくり、経済、観光、教育、そして互いに支え合う共生社会の形成など、あらゆる県政分野で生かして、名実ともに全国に認知された希望郷いわてとして復興とふるさと振興を強力に推進する一年にしていきたいと思います。
復興については、平成29年度には、三陸沿岸道路「山田宮古道路」などの開通が予定されていまして、復興道路の整備等が進みます。被災者に寄り添い、災害公営住宅の整備など、住環境の整備をさらに進めるともに、心と体のケア、そしてコミュニティへの対応、なりわいの再生などをしっかり進めていきたいと思います。そして、新たな交通ネットワークを活用した産業振興、高田松原津波復興祈念公園や震災津波伝承施設の整備推進、地域資源を生かした三陸地域の総合的振興など、復興のさらなる展開につなげていきたいと思います。
また、昨年の台風第10号によって甚大な被害を受けた地域の生活環境や地域産業の再生など、復旧・復興事業を着実に進めていきます。
文化・スポーツ振興に関しては、県では3月に岩手県文化・スポーツ振興戦略を策定し、世界文化遺産の価値や理念の普及、ラグビーワールドカップ2019™釜石開催に向けた準備を進めるなど、文化・スポーツの一層の振興を図ります。
ふるさと振興については、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らす、そういうふるさと振興を力強く推進するために、働き方改革や若者の地元定着に向けた奨学金支援制度など産学官連携の取組、若者の出会いや結婚支援、子育て支援の充実、アパレル産業や食産業の振興など、地域の特性を生かした産業振興等を進めます。
また、地域の魅力と信頼を高めるという方向では、去年デビューした「銀河のしずく」に続き、今年デビューする県産オリジナル米の最高級品種「金色(こんじき)の風」をはじめとする農林水産物、県産品のブランド化、ものづくりの新たな潮流、メイカームーブメントへの県民参加の促進、海外市場への展開、外国人観光客の誘客拡大等を柱とする国際戦略の策定と取組の強化などを進めます。
また、ILC国際リニアコライダーをはじめとする科学技術振興に引き続き強力に取り組みます。
そして、7月に本県で開催します全国知事会議、この全国知事会議で復興の御礼、そして岩手の魅力を発信します。
共生社会というのも大事なテーマでありまして、今年の秋には医療・福祉・教育が一体となった総合的な障がい児療育の拠点となります岩手県立療育センターと岩手県立盛岡となん支援学校(仮称)が完成します。
また、アール・ブリュット等の取組も進めて、障がいのある人もない人も互いに支え合う共生社会をより確かなものにしていきます。
最後に、幸福に関する指標について、県政の推進に当たって所得などの経済的要素に加えて、岩手に根差した風土や文化、暮らし、また、復興の大きな力となっている地域や人とのつながりなどにも着目した政策の展開が必要であり、次期総合計画での導入に向けて引き続き幸福に関する指標の検討を進めていきます。
以上です。
幹事社
それでは、この質問に関連して各社から質問があればお願いします。
では、幹事社からよろしいでしょうか。1つお聞きしたいのは、国際戦略の件についてです。以前から策定と取組の強化をするというお話は聞いていました。加えて、今も国際化に向けては、間もなくベトナムにもトップセールスに行かれますし、いろいろ取組はされていると思うのですが、戦略の策定によってどういう効果が期待されて、どういうふうに強化されるというふうにつながればいいというふうに知事はお考えでしょうか。
知事
まず、大きく物産と観光という分野があるのですけれども、それとともに国際交流、人的交流とか、文化交流とか、学術教育交流とか、そういったものを総合的に見て取り組んでいくという、そういう視座を持つことと、それから、インバウンドの取組強化のように、全国的にも新しい動きがあり、そしてオール東北として、また、新しい取組をしているような部分、そういう新しい動きを県の取組にもきちんと反映させていくということ、あと3つ目としては、今回、来週のベトナム行きもその一環ではあるのですけれども、広い世界の中でどの地域を重点にしていくかという、そういう地域的な重点付け、そういったところを整理することが主な意義ではないかと考えています。
幹事社
ありがとうございます。そうすると、今、雲南省とかとは学術的にも農業の分野、観光の分野でも深まっている、そういう国や地域を増やしていく、あるいは、例えばアジア圏だったり、ヨーロッパだったりというような地域でピックアップして、さらに関係を深める相手を増やしていくような、そういうイメージをしても良いのでしょうか。
知事
増やしていくというよりは、今までの実績に基づいて改めて整理するということですけれども、ベトナムの場合は、トップセールスというのは初めてなのですけれども、民間ベースでは既に企業が進出したり、あるいは民間の岩手からのミッション団が視察に行ったりということはありますので、そういったところ、今までの実績に基づきながら整理していくというところです。
幹事社
わかりました。ありがとうございます。
ほかに各社から、年頭所感に関連して。
記者
今年もよろしくお願いします。
先ほど、去年の成果としていわて国体・大会の成功というのがありましたけれども、国体が成功したというのは非常に県民挙げてそのとおり良い成果だったと思うのですが、終わった後に県内いろいろな分野で、この国体ロスというのが見られるという指摘もあります。これまでここ数年、まず大震災の復興というのがあり、いわて国体というわかりやすい目標が今まであって、それに向かって一丸となって取り組んできたと。これから県民の士気、復興はもちろんこれからも続くのですけれども、国体のロスということで士気がちょっと下がってくるという中で、士気あるいは意欲を高める新しい何か目標というのが必要だと思うのですけれども、それについては知事はどのように考えていますでしょうか。
知事
今年と来年の2年間かけて、次の県の総合計画を作っていくという、そういう時期になりますので、国体・大会への取組を通じて、県民の皆さんも改めて県というものに対する関心を高め、また、県民意識も高めていただいたと思いますので、そういう県への関心の高まり、県民意識の高揚という、そういう成果を生かして、岩手県の過去を振り返り、そして未来を思うというような取組を県全体で進めながら、総合計画を作っていくということができれば良いと思います。
幸福指標の検討というのもその一環になりますし、また、私も私なりにいろいろ考えているところもありますけれども、世界全体としてグローバル化というものに巨大な疑問符が突き付けられていたり、さればとてナショナリズムとか、民族意識とか、そういうのをただストレートに強調するだけでいいのかという、そういう懸念もありますし、そういう中で岩手の進んでいく姿というのは、今この瞬間こうだと出して、行くぞというよりは、これから2年間かけてそこをしっかりみんなで考えて、そして決めていくということができれば良いなと思っています。
あと、目標ということを言えば、さっきも希望郷いわてというのは名実ともにもう認知されたという話をしましたけれども、希望郷いわてというのが目指すべき目標というよりは、国体・(全国)障害者スポーツ大会をやる中で、この岩手というのは希望郷いわてなのだということがもう内外共通の認識となったのではないかなと思っていまして、一人ひとりが希望を持つということを目標とする段階からみんなが希望を持っていることを前提に希望が失われないようにしていくとか、ですから国体・大会の成果をまず、これを失わないようにするということが今大事なことで、まさにロスしない、ロスで終わらないということですね、ちゃんとレガシーを生かしながら、しかし次にどこに進むかについては、まず岩手県全体の大目標はこれから2年かけて決めていこうというところですし、一方、県の各部局に対しては、さっきも国体・大会のレガシーはあらゆる県政分野で生かしということを言いましたけれども、うちの部局であれば国体・大会のレガシーを生かしてこういう方向を強化していくとか、こういう方向に新たに進んでいくとか、そういうのを検討整理するようにということを言っていますので、そういうのがそれぞれの分野で今年に入ってからいろいろ出てくる、浮かび上がってくるというふうになっていくと思います。
記者
ありがとうございます。先ほど年頭所感で掲げられた目標を実現する重要な機会といいますか、手段として、新年度の予算の知事査定が今月あります。要求ベースでは平成24年以降、つまり震災以降の当初予算で初めて1兆円を切るというような規模感ではありましたけれども、限られた予算、財源の中で知事が今回、特に重点を置きたい取組、あるいはどのようなこだわりを持って査定に臨みたいかというところを教えてください。
知事
災害公営住宅でありますとか、県立病院でありますとか、また、学校施設でありますとか、そういった大きな事業が終わるイコール本格復興の段階が終わって、次のフェーズに入っていくので予算額も1兆円を下回るような規模になっていくわけですけれども、この新しい段階にふさわしいような予算をつくっていかなければならないと思っています。そこには復興の長期化に伴う仮設住宅等での生活の困難さにきちんと対応するようなところから、一方では復興の総仕上げとか、さらには復興のその先を見据えたような新しい地域振興の手を打っていくということ、また、もちろん額は全体として減りますけれども、この規模の大きな建設関係事業はまだまだありますので、それもしっかりやっていくというようなところが大事だと思っています。
幹事社
ほかに。
記者
今年もよろしくお願いします。
知事
お願いします。
記者
所感の中で、新しい復興計画の話がありましたので、その点について伺いたいのですが、今も本格復興の段階から次のフェーズに入るというお話がありましたが、改めて繰り返しになるかもしれませんが、新しい復興計画はどのような点を重視して、意識して作っていくかというところを伺いたいのと、それから、当然新しい段階に入っていくという時期に差しかかると思うのですけれども、一方でなかなか進んでない部分、分野があったりとか、その地域的な差がやはり時間が経てばそういう問題も出てくると思うのですが、その辺りのケアというのは、新しい計画の中でどういうふうに位置付けられていくのか、その点を伺いたいのですが。
知事
まずは、復興の長期化に伴って仮設住宅等での生活がきつくなりますので、仮設住宅等で生活している皆さんの体や心のケア、コミュニティ支援といったところをきちっとやっていくということがあります。住まいの面で、もう恒久住宅に移られて、そういう意味で復興というのを卒業しつつある方々や地域、市町村というのはどんどんあるわけですけれども、まだ復興の途上にある皆さんや地域、市町村ということをまず念頭に置いてやっていくということが大事であります。
そして、同時に復興道路がどんどんできていくこと、それに伴って宮古・室蘭間に新しくフェリーが就航するとか、また、JR山田線の宮古釜石間の復旧完成した暁には三陸鉄道に移管する。高田松原に津波復興祈念公園、震災津波伝承施設が東日本大震災被災地全体の中でも非常に大きいものができていくと、この東日本大震災前には想定されてなかったような、しかし震災前よりも地域振興にとって大きな力になるようなものがどんどんできていきますので、それを活用し、復興のその先の地域振興につながっていくような手を打っていくということがもう一つ、第3期復興実施計画の大変重要な要素になってきます。
あとは、第3期復興実施計画とは別に取り組まれていくのですけれども、台風10号からの復旧・復興ということも東日本大震災からの復興と密接に関連して、特に被害の大きかった地域については、台風10号からの復旧・復興ということもきちっと対応していくということが大事な要素になっていきます。
記者
それから、昨年だと本格復興の完遂年という言い方をずっとされておられましたけれども、今年はそういうネーミングといいますか、今年一年を何かそういうもので言い表すとしたら知事ご自身は何というふうにお考えになられますか。
知事
本格復興期間3年間、それぞれ推進、邁進、完遂というように言ってきたのに倣えば、今年はさらなる展開への連結期間の1年目、来年は2年目ということになります。さらなる展開への連結期間ということについては、1年目と2年目の違いということが本格復興期間の各年の違いに比べるとあまり違わないので、今のところ特に1年目、2年目を区別するフェーズは考えていないというところです。ただ、区別してはならないと思っているわけでもないので、何かわかりやすい言葉があれば、随時そういうのは使っていきたいと思っています。
記者
今年もよろしくお願いします。今年一年の目標を、年末にもやりましたが、漢字一字で表すとしたら知事はどういったものを挙げるでしょうか。
知事
そうですね、去年の「銀」に対応し、今年は「金」というふうにしていきたいと思います。
記者
その心は。
知事
「金色の風」に象徴されるように黄金、金色に光り輝くような良い年にしたいということです。
幹事社
よろしいですか。ほかに各社から質問があればお願いします。
記者
今年もよろしくお願いします。昨日、安倍首相も年頭の記者会見をして、今年一年は世界各国でもリーダーが代わり、また、日本と世界が対峙する上で新たな枠組みなども必要になってくるという趣旨の発言をしていました。達増知事におかれましてはこの一年、激動するであろう世界情勢についてどのように所感を持たれ、その世界情勢に岩手県としてどのように対応していこうとお考えなのか、所感をお聞かせください。
知事
アメリカの政権交代によって、アメリカの新政権がどういうことをしていくのかというのが極めて不確実であるということが非常に大きな特徴だと思います。アメリカが何をするのかわからないという世界情勢は、基本的に戦後なかったようなわけでありまして、唯一キューバ危機の時にアメリカがついに核のスイッチを押すかみたいな、アメリカが何するかわからない状態になって、世界中がもうすさまじい危機になり、それ以来の危機感が世界に広がっているのだと思います。これは始まってみなければわからないので、トランプ政権が始まってからそれを見ていくしかないのだと思うのですけれども、改めてこの機会に戦後の国際社会のトレンド、民主化、第二次大戦が終わった後の民主化の流れ、植民地は独立して民族自決、そういう自立、自治という流れ、そういう中で諸民族、そして諸国家が協調して平和にやっていくのだというような流れ、そういう流れというのをアメリカがリードしてくれて、それについていけばいいみたいなイメージがあったかと思うのですけれども、そこをやはりアメリカ頼りになるのではなくて自分たちで、日本なら日本、そして岩手は岩手としてどういう国際社会が望ましいのかということを自分たちなりに考えて、そしてそのために自分たちに何ができるか、何をすべきかというのを考えていく、そういうことが今必要なのだと思います。さっき言ったように、ちょうど岩手県が来し方行く末に思いをいたして新しい総合計画を作るということで、まさに岩手なりの価値観とか、岩手なりの生き方みたいなものを話し合いながら決めていく段階にあるので、そういう意味ではちょうどいいタイミングかなというふうに思っています。
幹事社
ほかいかがでしょうか。
記者
先ほどの台風10号の復旧・復興の話にちょっと関連してなのですけれども、今月中にも(県防災会議幹事会議の)防災分科会の方であらゆる側面から、いわゆる検証ですね、検証とその対策というのをまとめられて、県の方としてはもう既にかなり矢継ぎ早にハード面であるとか、今回の台風10号を踏まえた対策というのはなされているかと思うのですけれども、ちょっと気になっておりまして、知事のお考えを聞かせてほしいのですけれども、当事者の自治体側の自己検証みたいなところというのはまだ正直進んでないところがありまして、確かに県の方で防災分科会で、これで十分だと言われたらそこまでなのかもしれませんが、自己検証みたいなところの必要性というのはどう考えていらっしゃいますか。
知事
被災市町村それぞれの検証作業ということについては、それぞれ被災市町村においてその必要性とか、必要であればどのくらいのことをやらなければいけないのかというのをそれぞれ考えて決めてやる、あるいはやらないということなのだと思います。また、介護施設のような分野ごとに個々の事業者あるいは事業者団体における検証、そして新しい指針の策定のようなことも行われていますし、自治体に限らずそういうことがそれぞれの主体において、まさに主体的に行われていく、あるいは行わないと決めるなら行わないと決めるということでいいのだと思います。
記者
恐らく強制するようなものではないという趣旨だと思うのですけれども、全国の事例を見てみますと、いわゆる第三者委員会を設けて今回の岩泉の台風ぐらいひどくない場合であっても死者が出た場合、なぜ死者が出たかというその経緯を全部第三者委員会を設けてまでまとめて報告書にして、それを全国に共有するみたいな、そういう流れもあります、水害において。例えば常総市の話なのですけれども、それから新潟県の話であるとか、そういったトレンドみたいなものがある中で、検証しないのはどうなのかなというふうにありまして、岩手だけで終わらせるのではなくて、水害というのは全国どこでも起きるので、震災復興も同じなのですけれども、そういった全国への貢献といったらあれですけれども、いわゆる復興検証対応発信みたいなところということでもやっぱり検証は必要なのではないかなと思います。
知事
県がやっている作業は、介護施設における防災のあり方というテーマも検討していますし、あと、市町村における対応、これは県からどういうふうに緊急的な気象情報を市町村と共有していくか、そして市町村の決定に役立つようにしていくかというようなことも県において検討していますので、今言ったような問題意識については県の防災会議の分科会の作業や防災会議の検討においてかなりのところ、全国に対しても教訓になるような成果をまとめることができると思っています。
記者
そういった部分も県のそういった会議の中で担える部分だというふうなご認識なのでしょうか。
知事
今言ったような人の生き死にの部分に関するところは、県の方でもそれに関するテーマを検討しているところだということです。
記者
今の災害との関係なのですけれども、台風の話があり、常総(市)の話もありました。近年特にスーパー台風みたいなのが来たり、あるいは大震災があり、これから西日本の方でも大きな津波災害が想定されているという中で、例えば税負担についてなのですけれども、大震災については特別税が設けられたという経緯はありますけれども、基本的に自治体が被災した時に激甚指定されれば補助率がかさ上げされる。自治体の負担は軽くなるのですけれども、結局、それは国民の税負担で返ってくる。これだけ大きな災害がある時に、今の税制度の中で国家の財政がどうなるのかという懸念があると思うのですけれども、これだけ大きな災害が多発している中で、災害と税負担みたいなもので知事の問題意識みたいなものはありますか。
知事
言いかえると災害、防災、そして復興というところにどれだけ国としての公共性を見ていくかということだと思うのですけれども、日本の歴史は大規模な自然災害に何度も何度も襲われ、しかしそれを克服して復興してきた歴史だと思うのです。もうこれは古代からもそうだし、平家物語とか、そういう時代の話にも災害のことが書かれて、方丈記とかそうですよね。そして、江戸時代もまたいろんな自然災害が多かったわけですけれども、それらに対してきちっと対応し、そして復興する中で、さらに地域が発展し、また、国全体も発展してきたと。特に近代以降、関東大震災もそうでしたし、阪神・淡路大震災もそうで、東日本大震災もそうだと思うのですが、そういったことを地方固有の問題であって、国は地方の要望に対応してさえいればいいという発想ではないと思うのです。やはり国は国で主体的に、大きな災害があった時には国民の税金も使って、その地域の復旧・復興をきちっと実現して、そして災害前よりもその地域がより良い地域になるようにしていくということに国も責任を負っていく、そこに当然、財源の負担も国も積極的にやるということが出てくると思います。
記者
ありがとうございます。結局、財源の調達する手段とすれば、さっき言った大震災のような何かが起こった時に特別税で徴収するということもありましょうし、あるいは、災害に備えて恒常的な制度で税負担を求めるというのもあるかもしれません。あるいはそのたびに起債をして中長期で負担を平準化する。ただ、日本は人口が減ってきて、GDPが縮小してくると、結局、税負担の能力が減ってくるわけです。そうすると、恐らくあまり起債には頼れないという中で、どのような財源の調達の方法が良いと思いますか。
知事
結論から言うと、一般財源で対応し、そしてその時のマネーフローがなければ国債を発行するということだと思います。東日本大震災からの復興に関して特別な税を設けるということには私は反対でありましたし、それは当然、借金をしてでも国として普通に対応すべきことだと考えていました。基本的に建設関係の事業がメーンになるわけですから、建設国債が認められている中、また赤字国債というのも特例的に認められている中、復興財源というのを国債でファイナンスするというのは当然のことだと思います。
幹事社
ほかいかがでしょうか。ないですか。
すみません、また幹事社ですが、よろしくお願いします。先ほどの安倍総理の昨日の年頭の会見の件で私も二、三お聞きします。
安倍首相は、特にも経済の点に力を入れたいというような印象の強い会見だったと思います。その中でも、成長戦略の当初から第二次政権発足以来掲げているものの強化というようなところがあって地方創生、ふるさと振興よりも一億総活躍とかですね、基本的には従来と変わらない政策を強化するという印象を受けたのですが、知事はどうお聞き、報道等で見た範囲でしかないと思いますが、どのように受け止められますか。
知事
日本全体としての経済は低迷しているのだと思いますし、またその中で中央と地方の格差は拡大してきていると。今の日本に必要なのは、地方が強くなることで日本全体が良くなっていくという、そういう施策で、せっかく地方創生という全国全ての自治体に5カ年計画を策定させて、国を挙げ、そして地方を挙げて取り組んでいる一大事業があるわけですから、そこを政策の柱にして、結果としてちゃんと東京一極集中、人口の移動も東京凝縮集中から逆転、東京から地方に人の流れが実際に出てくるようにしていかなければならないと思いますし、それに必要な地方が経済的により強くなって、そういう人を残し、また吸収するような力を地方が持つことができるような施策をやっていかなければならないと思います。そのためには、財政の均衡ということにこだわり過ぎて節約志向になるのではなくて、将来につながるような事業、例えば、岩手の復興道路は岩手に対して毎年540億円の県民総生産アップ、岩手の県民総生産を毎年、毎年1.数%、そうですね、1~2%くらい引き上げるだけのそういう経済成長効果をもたらすわけでありますから、それは日本のどこでもやるべきことなのだと思います、そういうことは。ILC国際リニアコライダーの建設ということも、これもまさに未来への投資でありますので、財源については国債の発行ということでファイナンスしてもいい事業だと思います。これも早く決定して進めていけばいいと思います。また、今、中央と地方の格差が広がり、また、高所得者と低所得者の格差が広がっているのを逆転させていくということで、医療、保健、福祉関係については、これも財政規律にこだわって、とにかく節約、節約という視点でやるのではなくて、確実にそういったことが必要な現場は地方にあるわけですから、地方において困っている人たちが困らなくなって、かつ、消費を増やして地方経済を回転させていけるような医療、保健、福祉政策ということが望まれていると思います。
幹事社
ありがとうございます。また、昨日の会見では、衆(議)院の解散総選挙については考えたこともないという昨日までの4日間だったようですけれども、とはいいながら酉年解散にも触れて、何か伝家の宝刀をちらつかせるような発言でもあったと思うのですけれども、改めて、昨年も聞きましたが、知事としては解散についてどのように捉えていらっしゃるか、昨日の安倍総理の発言をどのように受け止められたか教えてください。
知事
僕も今年の衆議院の解散ということは考えてないから、ああ、同じだなと思いました。
あと歴史を振り返ることというのは、特に近現代の日本政治の歴史を振り返ることは良いことだと思っています。最近私が注目しているのは、岩手出身の漫画家さんが2人も連載を持っているから、時々、週刊モーニングを読むのですけれども、「疾風の勇人」という池田勇人総理大臣を主人公にしたマンガが連載されているのですけれども、所得倍増物語とかいって、ただ所得倍増というのは格差を減らすために所得を倍増するという、非常に国民生活本位の政治というのが戦後日本の政治の原点だったのだなということで、吉田茂首相の陰で、池田勇人当時大蔵大臣というのが目立ってないのですけれども、池田勇人大蔵大臣がやったこと、そして総理になってからやったことなんていうのは、まさに今、参考にするのに値するなと思うので、そういうことに思いをはせることは良いと思いますね。
幹事社
ありがとうございます。すみません、もう一点、昨年に引き続き質問させていただきます。政務秘書についてですが、その後いかがでしょうか。
知事
まだ発表できる段階にはありません。
幹事社
わかりました。引き続きさまざまな形で質問したいと思っておりますので、よろしくお願いします。
広聴広報課
以上をもちまして記者会見を終わります。
次の定例記者会見は1月16日(月曜日)の予定です。
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