平成28年11月11日知事会見記録
ID番号 N50958
平成28年11月11日10時30分から11時14分
広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。最初に、知事から発表があります。それでは、知事お願いいたします。
知事
まず、「第6回いわてマンガ大賞」コンテスト受賞作品の決定についてです。
県と学校法人盛岡情報ビジネス専門学校が共同で開催した、「第6回いわてマンガ大賞」の受賞作品が決定しました。応募総数は、一般部門56作品、スポーツ4コマ部門82作品、このうち1次審査を通過した作品について、プロの漫画家、漫画雑誌編集者など11名による厳正な最終審査を経て、各賞を決定しました。
一般部門の大賞は、仲村すひの(なかむら・すひの)さんの「僕と狐の鬼退治」。この作品は、高校生・春明という主人公が稲荷大明神の化身を名乗るキツネと鬼退治をすることになり、そこにさまざまなストーリーが展開するというお話であります。仲村さんは北上市在住で、高い画力に加え、よく練られたストーリー設定やキャラクター展開など、作品に込められたさまざまなアイデアが高い評価を得て大賞受賞となりました。
一般部門の優秀賞は次の3作品、花巻市の蓮まこと(れん・まこと)さんの「おくないさま」、花巻市のロッキーさんの「おにわらし」、東京都東久留米市のたつみやかなこさんの「珈琲ミルクと龍の水」、その他、特別賞5作品の受賞が決定しました。
また、学校に在籍している生徒・学生の方を対象とした学生部門について、金賞2作品、銀賞3作品の受賞が決定しました。
スポーツ4コマ部門の最優秀賞は、中学生以下の部で陸前高田市のあーちゃんさんの「メンをとる」、高校生・一般の部では青森県八戸市の須藤じん(すどう・じん)さんの「やじ馬」にそれぞれ決定しました。その他、スポーツ4コマ部門では、優秀賞5作品の受賞が決定しました。
一般部門の大賞と優秀賞受賞作品については、県が運営するWEBマンガサイト「コミックいわてWEB」で配信しますほか、大賞受賞作品については、来年3月発行予定のマンガ単行本にも収録します。
表彰式は、11月26日午後1時半から、「松本零士展」に合わせ、盛岡地域交流センター、マリオスで開催します。
また、同展示会場内に特設コーナーを設けて、会期中、受賞作品の複製原画を展示します。
そして、発表事項の2つ目は、「マンガ郷いわて特別賞」の創設及び表彰についてでありまして、県ではこのたび、マンガやイラスト等の企画、制作、広報等の活動を通じ、本県の魅力発信や文化芸術振興、東日本大震災津波からの復興等に貢献した個人、団体、作品等を表彰する「マンガ郷いわて特別賞」を創設しました。
マンガをはじめとする文化芸術についての知見を有する専門家及び学識経験者で構成する「マンガ郷いわて特別賞表彰選考委員会」での審議を経て、第1回受賞者として、漫画家・松本零士(まつもと・れいじ)氏を表彰することに決定しました。松本零士さんの代表作「銀河鉄道999」は、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」の世界に通じるものがあり、「銀河鉄道999」をきっかけに宮沢賢治に関心を抱く読者を生み出すなど、岩手の魅力発信に大きな貢献をしたことなどから、第1回受賞者として表彰することとしました。
松本零士さんに対する表彰式は、11月26日、こちらは午後2時から、「第6回いわてマンガ大賞」コンテスト表彰式に引き続いて、盛岡地域交流センター、マリオスで開催します。
以上です。
広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
幹事社
質問の前に、記者クラブへの転入者をご紹介いたします。転入された方から一言挨拶をお願いしたいと思います。
(記者紹介)
幹事社
それでは、ただいまの発表事項2件につきまして、各社から質問がございましたらお願いいたします。
記者
「第6回いわてマンガ大賞」についてなのですけれども、まず、第6回目を迎えたということで、作品のレベルですとか、あと、集まり具合などについて、一言いただければと思います。
知事
年々レベルアップしていると思います。集まり具合は、大体コンスタントに応募があるようになったかなという感じかなと思っています。大賞、優秀賞は、このコミックいわてWEBで配信されますので、ぜひそのキャラクターとか、ストーリーとか、あと、場面描写とか、驚くようなクオリティーの高い作品だなということがわかるので、ぜひぜひ見て確かめていただきたいと思います。
記者
ありがとうございます。また、大賞に仲村すひのさんの作品が選ばれたということなのですけれども、ここに講評もあるのですが、達増知事が読んでみてのご感想というのを一言お願いいたします。
知事
岩手の民話、民俗、妖怪のようなテーマなのですけれども、かなりまたそういうテーマを深めてもらったなという感じがしておりまして、今までの「いわてマンガ大賞」でも、また「コミックいわて」でプロの方に書いていただく時も、民話、民俗、妖怪関係のテーマというのは多いのですけれども、そういったいろんな過去の作品と比べても、またさらにそのテーマを深めて、新しい世界を開拓してもらったなという感じがありまして、それは全国的にも岩手は「遠野物語」に象徴されるように、そういう民話、民俗、妖怪関係の文化が豊かなところなのですけれども、それを現代の若い人がマンガという手法を使って、さらに豊かにしてくれているというところが非常に頼もしく思いました。
記者
ありがとうございます。最後に、「マンガ郷いわて特別賞」についてなのですけれども、これの創設の目的というのを詳しくお願いいたします。
知事
「いわてマンガプロジェクト」というのをはじめて何年も経つのですけれども、さらにこの「いわてマンガプロジェクト」の世界をパワーアップして、全国的に活躍している方と岩手県のつながりというのを改めて確かめながら、また、それを強化していくことで、復興関係でよく使う言葉ですけれども、マンガに関しても地元の底力とさまざまなつながりの力を高めていければというふうに思っています。
記者
松本零士さんが第1回の受賞者ということなのですけれども、達増知事は松本零士さんの「宇宙戦艦ヤマト」であるとかのファンとして知られていますけれども、多分ちょっと胸が熱くなるものがあるのかなと思いまして、思い出であるとか、岩手でこういった賞で松本零士さんが第1回目(の受賞)というところの思いをちょっと聞かせていただけますか。
知事
まず最近、岩手県との関係では、釜石線全線開通50周年イベントで、銀河ドリームライン新世紀創造の物語開幕前夜祭に出演いただいたりとか、あとは大船渡市が銀河連邦の構成市町であって、そして東日本大震災津波で大きな被害を受けたということから、「銀河鉄道999」の原画を大船渡市に寄贈いただいたりとか、最近もいろいろ復興、また、地域振興的に岩手に貢献をいただいています。
私は中学生ぐらいのころに、ちょうどこの(宇宙戦艦)ヤマト、(銀河鉄道)999、また(宇宙海賊キャプテン)ハーロックという、そういう松本マンガ、アニメ化もされ、黄金時代のころ、連載をそのまま雑誌で読んだりとか、また、まとまったコミックスが出たらすぐ読むとか、そういうことをしていましたので、まさに当時、岩手の子供たちの間で非常に人気があり、一人ひとりの宇宙へのロマンとか、あとは科学技術への関心とか、そういうのをかき立ててくれたと思いますし、あとは友情ですよね、大事なポイント。また、その熱い友情に関しては、そういうマンガも1人で読むのではなくて、友達同士で回し読みをしたりとか、また、松本作品を文化祭でクラスで作品化するとか、そういうリアルの世界を充実させることにも大きな力があった松本零士さんの作品だなと思い出します。
記者
そういった科学技術であるとか、友情を描いている姿、物語の中に影響を受けたという、そういう形ですか、達増知事自身が。
知事
そうですね。それは、かなり中学生時代影響を受けましたし、それはその後もやっぱりずっと心の中に宿っています。
幹事社
それでは、発表事項以外につきまして、本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はございませんので、各社から質問がございましたらお願いいたします。
記者
TPPの採決の問題なのですけれども、アメリカ大統領選でトランプ氏が当選したということで、次期大統領になるということなのですけれども、かねてからTPPに関して反対の意思を表明されていて、この時期になって採決ということの意味というのもあるのですけれども、岩手においても農業関係であるとか影響が出てきますので、その辺どういうふうに注視していきたいか、どういうふうに分析していらっしゃるかお聞かせください。
知事
やはり、冷戦時代、西側経済の中で貿易自由化を徹底してやろうと一生懸命やっていた時代とは違って、既にもう関税率の低さなど、自由化の度合いはもうかなり高まっているのであって、お互いの国内事情に配慮しながら、うまく貿易をしていくような現実的な貿易政策が求められているのだと思います。そういう意味で、アメリカの中にそういう徹底した関税撤廃、自由貿易の徹底というのに多くの反対があるというのは理解できますし、アメリカも今後そういう方向に動いていくのだと思います。
また、TPPには貿易問題だけでなく、全体として国際的な大企業の利益が優先されて、国民生活や、また、普通の人たちの経済というのですか、普通の人たちの国民経済というのがないがしろにされているのではないかという問題提起はずっとされていて、アメリカにおいてもそれの影響もあって、やっぱり反対の方に大きく流れていっているのだと思います。
プラス、日本においては、このTPPが日米同盟のため安全保障上も必要だという議論があったわけですけれども、オバマ大統領の間では何となくそんなやりとりが行われていた実績はあるのですけれども、トランプ新大統領との間でTPPということが、安全保障上もそれは日米関係を強化することに資するのかというのは、全然確認されていないことでありますので、少なくとも日本側として焦って急いでTPP批准するというのはおかしなことだなと思っています。日本としても、TPPには慎重姿勢で臨むことが適当だなと、臨むべきだなというふうに思います。
記者
わかりました。今、安全保障の話も出たのですけれども、トランプ(次期)大統領の太平洋における安全保障の考え方というのは、日本における米軍基地の撤退であるとか、ちょっと今までの政権とは、がらっと変わるような発言が相次いでいまして、八幡平にも自衛隊基地があって、今度、南スーダンの話もあったりするので、その辺はどのように捉えていらっしゃいますか。
知事
経済で、自由貿易というスローガンだけかざして、そのスローガンに向かって徹底してやっていけばいいみたいな単純なやり方が経済でも有効ではないのと同様、安全保障の分野でも、漠然と日米同盟とか、日米の安全保障とか、そのためにもうとにかく突っ走るというようなやり方は、やっぱりだめなのだと思います。きちっと具体的に、実質的に見て、そこをうまく調整していかなければならないのだと思います。
トランプ氏は、日本がアメリカに守ってもらっているのに、経済的な負担、駐留経費とか負担が少ない、もっと増やした方が良いのではないかというような発言をしているのですけれども、日本を守るといっても、冷戦時代の対ソ連みたいに、ソ連がちょっとでも何か動けばアメリカが大々的に反撃するというようなことは、中国や北朝鮮に対してはアメリカはやらないわけで、まず日本を守るという意味が、既に違ってきているわけでありますし、それから、日本の米軍基地はアメリカとして中国や北朝鮮ににらみを利かせるとか、アメリカとして中央アジアや中東への中継基地として活用するという、アメリカの利益のために存在しているということがかなり大きいわけですので、その辺をちゃんと新大統領に理解してもらいながら、日本として、きちっと交渉していくということが大事なのだと思います。
南スーダンとの関係で言うと、去年の安全保障関連法をめぐる議論では、そういう世界の至る所でアメリカに協力できるような体制を作ることが、アメリカに守ってもらうことに資すると、中国や北朝鮮との関係で有利になるみたいな議論があったのですけれども、実は、去年の時点でもそうではなかったはずなので、改めてそういう理屈はおかしいということをまず日本の中で確認しつつ、日本として主体的に考えれば、北朝鮮の脅威に対抗しながら、中国との関係の諸問題をうまくやっていくという中で、安全保障上、アメリカとどう協力連携していけばいいかという、地に足のついた議論を今後進めていけばいいのだと思います。
記者
わかりました。最後に1点、主体性というところなのですけれども、具体といいますか、どういったベクトルで主体性というのは発揮していけばいいというふうにお考えでしょうか。
知事
まず、日本として何を実現したいのかというのをはっきりさせ、そのためにアメリカと何をどこまでできるかという順番で考えるということです。アメリカが何を考えているのか、そしてアメリカに合わせて、何でもアメリカについていくという発想が正反対の発想ですよね。そのためには、日本にとってはまず北朝鮮の脅威の問題と中国との関係を、僕は中国との関係について、脅威という言葉は使わない方が良いと思っていて、中国との関係においてはさまざまな課題を調整したり、解決したりしていくということが日本にとって必要なことだと思うので、まずそのために必要な安全保障体制を、日本、自分自身でやれるところはきちっとやり、必要に応じてアメリカとの連携を考えていくというふうにやっていけば、沖縄の問題とか、必然的に解決の方向性というのは見えてくると思います。
記者
今の質問の関連なのですけれども、世界中が注目していた米大統領選、達増知事はこの番狂わせと言われた選挙をどのように見守られていて、この結果についてどのように受け止められているかお聞かせください。
知事
おとといの午前中、東京で国の復興推進委員会があって、それに出て、その後、台風10号災害に関する要望、提案で関係省庁を回りながら、移動の際の車の中でネット情報としてアメリカ大統領選の開票状況を見ていて、どんどんトランプ氏有利になっていくのを見て、これはびっくりポンでした。
記者
わかりました。安倍総理も何か新聞の報道なんかによると、はっきり物を言う政治家が今求められているのかなというようなことを言ったそうなのですが、ちょっと異色の政治家と言われているトランプ(次期)大統領のこれまでの発言等を見て、まだ政治家ではないのですけれども、政治家としてどのような印象を持ちますでしょうか。
知事
教条主義に対する反発ですよね。自由貿易でいけばいいのだとか、そういう紋切り型のスローガンみたいなもので全て一つの方向にがあっと持っていこうとしていることに対して、いやそうじゃないだろうというふうに反論していくという姿勢については、そこは多くのアメリカの人たちの支持を受け、特にグローバル化の中で格差が拡大したり、貧困問題が悪化したりして苦しんでいる人たちにアピールしたところだと思います。そういう教条主義に陥らないように、暮らしや経済の実態というところに注目しながら問題点を指摘したり、批判すべきところを批判するというところはいいのだと思います。
一方で、少数者に対する配慮とか、特に少数者の人権を尊重する姿勢とか、そういった観点からは非常にそれに逆行するような言葉遣いや態度というのがあって、それはやっぱり良くないことだと思います。選挙戦というのを一つゲームのようなバトルと割り切って過激に攻撃し、盛り上げれば盛り上げるほど勝てるだろうという、おとなしくしていたのでは負けるだろうという作戦でやっていたのかもしれないのですけれども、あの言葉遣いを思い出しても、かなりやり過ぎだったと思います。
記者
先日、国の財政制度等審議会が開かれまして、例年のことだと思うのですが、その中で地方財政計画の歳出が非常に過大になっていると財務省の方から指摘がありまして、背景としては地方の財政が国と比べても非常に好調であるので、財政調整基金の積み上げが増えていると、そういうことだと思うのですが、このことについて見解がありましたらよろしくお願いいたします。
知事
日本の失われた10年、20年というのを考えた時に、やはり地方の経済、また、地方の暮らしが劣化していったり、あるいは伸び悩んだりしていったことが内需拡大型の成長軌道に乗れなかった。それで失われた10年、20年に結びついたと思います。それを人口の面から見ると東京一極集中がどんどん進んで、地方からの人口流出が多かったということでもありますので、やはり地方をもっと強くしていかないと日本全体のためにもならないのだと思います。とにかく自由貿易で貿易を拡大して、それで経済成長という20世紀型の路線から脱皮して、お互いの国内事情に配慮しながらあんばいよく貿易をやっていこうなんていう時代に入っていくと、ますます内需の拡大ということが大事になってきて、内需拡大の現場は地方にあるわけでありまして、常に地方の生活、地方の経済を良くしていくためには、財政支出面からも今以上に地方に手厚い財政(運営)ということが必要だと思っています。経理上、国に比べて赤字が少ないみたいな、そういう経理上の数字だけ見て地方の財政を弱くしようというのは正解ではないと思います。
あと、国というのは、国家は信用があるから国債を発行して、国債をどんどん増やしてもそうそう国家は潰れないのですけれども、地方はそうはいかないから、やっぱり地方というのはそんな借金を多くできない制度になっているので、地方財政の方が経理上赤字が少ない、そんなに借金がない、国の方に借金が多くあるというのは、これは当たり前の話でありますので、そのところを比較して財政再建のために今はもう地方に泣いてもらうというのはちょっと違うのではないかなと思います。
記者
米大統領選で私も質問させてください。先ほどトランプ氏の評価が出ていましたけれども、前段のお話を聞いていると、トランプさん自体が政治家でも軍人でもない初めての大統領というお話でした。そういう中で貧困層とか既成の政治の枠組みに捉われない彼への期待感が勝因になったという報道も聞いていました。何か聞いていると、確かに過激な発言とか選挙の進め方というのはちょっと傍若無人なところがあって、賛成できないところは私もあります。ただ、切り口を見ると、達増知事がはじめ知事選で行ったような、あるいは野党共闘のような州民党といいますか、そういう勢力が大きなうねりになって勝ったのではないかなという気もするのです。知事、その点はどうでしょう。
知事
そうですね。どっちもあるのだと思います。格差問題とか貧困問題とか、経済上、生活上の実態として困っている人たちの思いとか、変えなければならないという意思がトランプ票になったところもあると思いますし、一方では、マイノリティーに対する乱暴な口の利き方というところがエンターテイメント的な面白おかしさで、それも票につながったところがあって、そこは良くないところだと思います。エンターテイメント的なところで票になったというのは、ヒラリー・クリントンさん陣営の努力不足というところもあって、やっぱり甘く見ていたところがあるのだと思います。そういう真面目な、困っているのだという票と、そういうエンターテイメント的なところが合わされば向こうが勝つということを真剣に予測しないで、何かオバマ政権の流れに乗って、今までどおりやっていれば勝てるみたいな感覚がヒラリー・クリントン陣営の方にあったのではないかなと思います。言っている内容を総合的に見れば、ヒラリー・クリントン陣営が言っていることの方が良いことを言っていたと思い、そっちが多くの票を得られるのではないかと思っていたので、びっくりポンだったわけですけれども、やはり理屈で正しいから勝てると甘く見てはだめで、理屈で正しい方はむしろ勝たなければならないわけなので、その分もっと草の根に入っていき、有権者の感情にも訴えるような工夫とかをもっともっとしなければならなかったのだなと思います。
記者
ありがとうございます。その上で、さっきも出たとは思うのですけれども、改めてトランプさんが大統領になることで、日米関係というのは危惧されますか。それとも、やりようによっては良い方向に行くと思いますか、いかがでしょうか。
知事
不確実性が高くなっているという意味では、危惧するところがあります。何を言い出すかわからない、何をしてくるかわからないというような心配はしています。であるからこそ、日本の方から日米関係のあるべき姿、ひいては国際秩序のあるべき姿とか、きちっと主体的に、日本としてのそれをきちんと持って、それをアメリカにぶつけていくような姿勢が望まれ、それをきちんとやっていけば何とかなるのではないかと思います。
その場合、大事なのは、日本もやっぱり教条主義的になってはだめということで、自由貿易なのだからそれに従え、グローバル化が必要なのだからそうしなければだめだみたいなスローガンで押しつけ、それに従えみたいな論調ではだめで、もっと具体的に、実質的に、個別課題ごとにこうすることがより安全を確保する、こうすることがより住民のためになる、お互いの国民のためになるみたいに、きちんと良い結果を出していくために、お互いこういうことをしましょうというやりとりをしていかなければならないのだと思います。
記者
引き続き大統領選挙について伺いたいのですけれども、世界的にはイギリスのEUの離脱に続いて、また驚くような結果になったということです。これまで世界はグローバル化路線をひた走ってきたという中で、世界各国でナショナリズムがちょっと高まってきているというような状況もあるのだと思います。これは、もしかしたら日本の政権にとっても言えると思いますが、これは今までずっとグローバル化を進めてきたという中で、揺り戻すのがある程度自然な流れと見るのか、あるいはナショナリズムが高まってくるということが危険な流れと見るのか、これは知事どのようにお感じですか。
知事
ナショナリズムの高まりの背景には、格差社会化とか貧困問題の深刻化という実質的な背景があって、そこで苦しんでいる人とか、希望を持てなくなった人がその怒りを外国にぶつけたり、外国人にぶつけたりとかというそういうメカニズムだと思いますので、経済的な実質について、それを変えなければという方向にそのエネルギーを使って、実質的に格差の縮小、貧困問題の解決ということをそれぞれの国の中でやれるようになっていけばいいのだと思います。それは、自分の国だけそうすればいいという問題ではなく、アメリカの中で実質的に格差が解消され、貧困問題が解決されていくように日本も知恵を出したり、日本とアメリカが同時にそういう方向に改革していけるよう協力して具体的に行動していかなければならないと思います。それは、ヨーロッパについてもそうだし、さらに言えば中東・中央アジア、あそこもやっぱりそういう格差の拡大、貧困の深刻化というのがISISの跳梁ばっことかにもつながっているわけなので、そこを教条主義的に経済をグローバル化しさえすればいいとか、あと、安全保障面でもとにかくテロとの戦いだと、悪者をとにかく軍事的に制圧すればいいみたいな教条主義で対応せずに、それぞれの国民の暮らしや経済を実質的に良くしていくということにみんなで知恵と力を合わせていけばいいのだと思います。
実は、そういう発想ややり方というのは、地方自治の中にあるのですよね。地方自治というのは、そんな教条主義でばっさばっさとグローバル化についてこれない住民、企業は市場から退出しろなんていうことは地方自治の中ではあり得ないことであって、グローバル化に向かないような人や産業というのも生きていけるような工夫をしていかなければならない。だから、日本のことを考えれば、そういう実践は、結構、地方自治の中で行われていて、岩手も頑張っていると思うのですが、そういう感覚をちゃんと、国政でもそういう発想や行動ができるようにし、国際関係でもそういう発想や行動様式ができるようにしていけばいいと思います。
記者
ありがとうございます。話題を変えますけれども、端的に2点だけ。県議会で今、復興をめぐる議論の中で、知事の背中にもありますけれども、本格復興完遂というのがありますけれども、この完遂というのが適切だったのかというのが今議論になっています。ロードマップでも完成時期が延長しているような事業もたくさん出ているという中で、本格復興完遂年を掲げたのが適切だったのかどうかというのが議論になっていますけれども、知事、これについてはどのように答えますでしょうか。
知事
どんなことについても批判というのはあり得るし、また、どんなことについてもそれより良いやり方というのは考えつくと思うので、例えば、今年1年を別のこういう言葉で位置付けた方が良いという、そういう別の言葉というのはあり得ると思います。それと比較すればこっちの言葉ではない方が良いということになるのだと思いますけれども、ただ一方、では具体的にどういう言葉でいけば良かったかというのは見えてきていないというところもあって、そういう意味で議会でも答弁していますけれども、本格復興期間というのをきちっとやり切らない限り、復興はゴールにたどり着けない、県の復興計画全体がもう破綻してしまう。その中で本格復興期間の最終年の今年は本格復興を完遂させるのだという、そういう頭で最初から頑張ってきたということは悪くなかったと思いますし、まだ半分近く年度はあるわけですから、そこを本格復興完遂に向けて頑張っていくということは、それほど間違った方向性ではないと思っています。
記者
そうしますと、今年、本格復興を完遂すると、これは多分、県の決意を示したというところもあるのでしょうけれども、これを掲げたというのはそういう意味では結局、目標としては適切だったということでよろしいですか。
知事
まだ年度にすれば5カ月も残っていますので、年度末にならないと確かな評価というのはできないのではないかと思っていますけれども、繰り返しますが、今まさに本格復興完遂というところに県として全力を挙げていかなければならない局面ですし、そうしていこうということを県民の皆さんに呼びかけたいという気持ちです。
記者
答えがかぶってしまうかもしれないですけれども、トランプ氏が大統領になって岩手県へ与える影響というのは、知事としてはどのように分析されていますか。
知事
不確実性が高いので、そこは何か客観情勢の予想というよりも、どう働きかけていけば岩手にとって良いようになるかという発想で考えていかなければならないと思います。TPPの締結とか、いろいろ関税をいじるとかいうのを待たずして、岩手はどんどんアメリカに肉も輸出できるようになりましたし、お酒も評判が良いですし、岩手の物産を輸出できていますし、東日本大震災とそこからの復興ということを通じて非常に草の根レベルのつながりというものが深まっていますので、それを生かしながらトランプ体制の下でもアメリカとの関係を発展させながら、岩手の利益にもなるようにしていくということはできるのではないかなと思っています。
記者
政務秘書についてですけれども、その後いかがでしょうか。
知事
まだ発表できる段階にはありません。
記者
それで知事として就任以来、政務秘書がいらっしゃった状態から今5、6、7、8、9、かなりになりますけれども、不便等はお感じになりませんか。
知事
いろいろ不便を感じています。だから、早く次の人をという気持ちもあるのですが、一方で、誰でもいいというわけでもないので、今のような状態にあるというところです。
記者
年内、年度内とかそういう見通しみたいなものも、そういう話はないですか。
知事
見通しも含め、今、発表できる段階にはありません。
記者
わかりました。ありがとうございます。
広聴広報課
以上をもちまして記者会見を終わります。
次の定例記者会見は11月25日(金曜日)の予定です。
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