平成28年8月1日知事会見記録

ID番号 N47701

平成28年8月1日10時30分から11時14分

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。本日は知事からの発表はございません。

幹事社
 質問の前に、記者クラブへの転入者を紹介します。転入者から一言挨拶をお願いします。

 (記者紹介)

幹事社
 では、本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はありませんので、各社から質問があればお願いします。

記者
 先月27日、神奈川県相模原市の障がい者施設で19人が亡くなる事件がありました。この事件について、知事のお考えと、あと、翌日に通知を出されたと思うのですけども、そこから一歩踏み込んで、県として何か対策を考えられていることがあればお伺いしたいと思います。

知事
 まず、亡くなられた方々に心からご冥福をお祈りいたします。また、負傷された方々、一日も早く回復することを祈ります。そして、ご家族、関係の方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。
 今回犠牲になった方々、被害を受けた方々、その関係者の皆さんが一日も早く心の安らぎを取り戻せることをお祈りいたしますけれども、この事件は同時に日本社会全体として大切な価値観を傷つけられたところがあると思います。犯人といいますか、容疑者といいますか、犯行に及んだ理由として、障がいのある人たちというのはいなくなってもいいというような趣旨のことを言っているわけで、それが既に報道もされていますけれども、決してそんなことはないのだということを日本社会として反論をしていかなければならないと思います。改めて、日本という国は、全体として障がいのある人も障がいのない人もともに生きる、そういう社会でなければならないということを私からも強調したいと思いますし、これは日本だけではなく世界全体もそうなわけでありまして、またその中で岩手県としても平成22年に障がいのある人もない人も共に学び共に生きる岩手県づくり条例というものを策定していますし、制定していますし、また、県の復興計画やいわて県民計画にも社会的包摂、ソーシャル・インクルージョンという考え方を盛り込んで、県政全般について取り組んでいるところであります。
 私が知事になってからも、平成25年にやさわの園を整備しましたし、また、来年度を目途に県立療育センターを整備します。私が知事になる前には、平成6年度ふれあいランド岩手の整備ということがありましたし、また県以外でも盛岡市での(市民)福祉バンクの活動でありますとか、花巻市でのルンビニー苑のアール・ブリュットの取組でありますとか、岩手の人たちは昔から障がいのある人もない人も共に生きるのだということをしっかり決意し、また、多くの取組をしてきていると思います。
 そして、今年は全国障害者スポーツ大会を岩手で開催する、そういう年でもありますので、この全国障害者スポーツ大会というものも契機として、改めて日本全体として障がいのある人もない人も共に生きるのだということを確認できればいいなというふうに思います。
 国体と全国障害者スポーツ大会、それに国体・大会プラスも視野に入れて、「人間讃歌」というテーマで、ある著名な方に絵を描いていただくことを今、お願いしているところもあって、スポーツ、文化、そして福祉、そういったことを統一するテーマとして「人間讃歌」ということがあると思っています。個人の尊厳ということを原点にして、お互い人間として、個人として尊重し合うような社会にしていくのだということを改めて岩手から発信したいと思います。
 そういう考え方、県としての方針については、知事談話のような形で文書としてまとめた方がいいなと思っておりまして、今日には間に合わなかったのですけれども、ちゃんと県として組織的に内容を吟味しながら来週の記者会見とか、あるいは障害者スポーツ大会、希望郷いわて大会まであと何日とかというどこかのタイミングで今回の事件を踏まえた岩手県としての基本的な考え方、知事談話のような形でまとめたいと思っています。
 そして、厚生労働省からの通知も踏まえまして、岩手県として事件発生を受けて、県内の障がい者支援施設52施設に対して、夜間の警備体制等について緊急に実態調査を実施しました。その結果、全ての施設で夜間勤務する職員を配置するなど安全対策をしており、今回の事件を受け、施錠確認を徹底するなどの対策を行うということであります。また、県内の市町村と社会福祉施設等約4,700事業所に対して、県から文書を発出し、入所者等の安全の確保に努めるよう注意喚起をしています。施設の防犯対策について、県としても必要な助言等行ってまいります。
 以上です。

記者
 昨日、都知事選が行われ、小池氏が都知事に決まり、なることになりました。あと、県民の関心も高かったのではないかなという増田氏、あるいは野党共闘の流れで出馬した鳥越氏について、知事が好感を持たれていると言っていた鳥越氏は落選ということになりました。このことについてご所見を伺いたいと思います。

知事
 小池さん、強かったなというふうに思っています。そして、自民党をぶっ壊すという姿勢を自民党の中にいた人が唱えるということが大変効果があるのだなということを改めて思いました。かつて、小泉純一郎さんがそういう手法で小泉ブームを巻き起こし、そこから15年経つわけでありますけれども、15年経った今日でも、自民党にいた人が自民党をぶっ壊すと言って訴えることが非常に効果があるのだなと改めて思います。自民党を支持するという人も共感しているとマスコミの調査などからうかがわれるようでありますけれども、そういった変革の姿勢、小池さんの言葉では東京大改革でありましたか、そういう方向性というのは大変良いことだと思いますので、そういう方向を追求しながら、その中で地方との関係ですね、東京と地方との関係というものを、共に生きる共生的な関係を東京と地方の間で構築していっていただければ良いと思います。東京オリンピック・パラリンピックというのも日本の地方が活躍するような東京オリンピック・パラリンピックにしていただくようにお願いしたいなというふうに思います。
 それから、増田寛也さんについては、当初申し上げたように、守旧派的な、小池さんにぶっ壊される側の立場からの立候補という形になり、気の毒な展開だったなというふうに思っております。
 そして、鳥越さんについては、政治の世界でいろいろ仕事をしている人たちや、また、政治に関心のある人たちの中では、鳥越さんという人は物すごく知名度の高い有名な人ではあるのですけれども、実は東京都民にとってはそれほど知られていなくて、年齢の数字が選挙の場合、必ずついて回りますので、その数字で出馬表明、そして立候補して選挙戦スタートという最初の段階で勢いが出なかったのかなというふうに思います。
 また、全体として小池さんの前に既存の政党が敗北したという図式でもありますので、既存政党は努力をしていかなければならないのだなというふうに思いました。
 以上です。

記者
 今の都知事選の話の流れで改めてお伺いしたいのですが、増田さんの関係をまず伺いたいのですけれども、気の毒な展開になったとおっしゃられましたが、改めてどういう部分が都民に受け入れられなかったのではないかと今の段階でどう分析されますでしょうか。

知事
 そもそも猪瀬知事、舛添知事と自民党東京都連に支えられた知事が任期途中で不祥事で辞めなければならないことになったという、そのことの本質からいくと、自民党東京都連のあり方というものが問われるような選挙だったにも関わらず、自民党東京都連の要請に基づくような形で自民党東京都連の全面支援、基本的な全面支援を受けて立候補という形がそもそも東京都民の求めるものではなかったし、その経緯からいって今回の選挙で求められるような立候補の形にはなっていなかったということだと思います。

記者
 それから、鳥越さんの関係ですが、野党共闘という形で今回も臨んだわけですけれども、それがこういう結果になったと。今後の野党共闘、今回は首長選ということで国政選挙とは違うという言い方もされる場合もありますけれども、今後の野党共闘のあり方というのが今回の都知事選の結果によってどういう影響を与えていくというふうに今のところお考えでしょうか。

知事
 野党共闘という看板がありさえすればいいということではないということです。実質が伴わなければだめであって、今年の岩手での参院選を見れば、例えば、統一候補を決めるのに3週間くらい激しい議論を重ねて、その上で統一候補を決めて、そして連携の約束もするとか、そういうプロセスを踏むとか、また、去年の岩手県知事選挙の場合ですと、「希望郷いわてを実現する会」という超党派、そして無所属議員も参加するような県議会議員さんたちの枠組みができて、さらにそこに参加していない県議会議員やその候補者もさまざまな形で勝手連的に連携するなどそういう協力、連携の仕組みが多層的にきちっと構造化されていったというところが今回の都知事選挙とは違うのだなと思います。やはり野党共闘というのはその中身、きちんとした連携の体制を整えて、そしてその中で実質的にも強く連携していくということがないと結果を出せないということではないかなと思っています。

記者
 今後の野党共闘のあり方というのは、実質的な部分をどう深めていくのかということが課題だというような受け止めでしょうか。

知事
 二大政党制的な形で、二大勢力と言ってもいいのですけれども、それが日本政治の中で相手よりも良い、相手を上回るような政策パッケージを常に競争しながら、日本政治全体が発展していくことを期待する私からいたしますと、やはり政策面をもうちょっとすり合わせて、今の政権与党がやっているような政策を上回るような政策パッケージを力を合わせて作っていくということをしていくべきではないかなと思います。

記者
 私も都知事選のことでお伺いします。先ほど知事がおっしゃった小池さんの前に既存の政党が敗北したというところは私も同感でして、民主党政権ができた時にはすごく有権者の関心が高まって、投票率も上がって、その後に既存の政党政治みたいなものへの失望というか、落胆みたいなものがあって、当時の民主党政権のグループだけではなくて、全体的に政治不信が強まったのかなと思っている中で、一強と言われていますが、それはある報道の調査等で言うと消極的支持だという、それが自民党を選んでいる大きな理由だという、まさにそういう中で小池さんが先出しジャンケンだったわけですけれども、飛び出して勝って、全体の流れの中で野党共闘だった鳥越さんに行くのかなと思った票も多くが小池さんに流れ、さらに投票率が59%という、この前の参院選の岩手選挙区の投票率より高かったのですよね。改めて、そういう意味で既存の政党が敗北したというところをもう少し知事から見方というか、ご意見をいただければと思います。

知事
 自民党をぶっ壊すということに対する支持がとても強いということですね。これは、自民党支持層の中でもそういうことへの支持が強い。自民党の中にいた人、かつての小泉さん、今回の小池さんが自民党をぶっ壊すというスタンスを取ると、そういうスタンスを取った瞬間、その人が自民党の中にいたわけだから、その瞬間、もう自民党は壊れているわけですよね、分裂選挙ということになり。だから、説得力があるわけですよ、既に壊した、少なくても壊し始めている実績を示しながら、そして、どんどん自民党べったりの側の人との論争や競争を重ねれば重ねるほど自民党は壊れていくというのが目に見えてくるわけでありますから。そして、壊そうとする側を応援する機運もどんどん高まっていく。自民党の外にいる、つまり野党として、そういう自民党をぶっ壊し、自民党による支配を終わらせようとする側は、そういう自民党の中からそれをぶっ壊そうという人以上に説得力を持ってやっていかなければならないのですけれども、今回そういうふうにできなかったということだと思います。

記者
 そうすると、二大政党というか、二大勢力がお互いに切磋琢磨するということも大事だし、やっぱり内部で改革というか、どんどん新しくしていかないと有権者からそっぽを向かれてしまうという、そういう捉え方もできると思うのですが、その点はどうでしょうか。やっぱり内部改革が常に必要だということなのでしょうか。

知事
 政党というのは、「たゆまざる」ということが必要で、「たゆまざる改革」というのは責任ある政治と並んで新進党のスローガンだったのですけれども、「たゆまざる改革」というのがないと政党としての存在意義はないと言っていいくらいだと思います。

記者
 小池さんのことに絞って、初の女性都知事ということについていかがですか。

知事
 女性活躍支援という今の時代の流れもあって、アメリカでも女性初の大統領が誕生するかもしれないというふうになっていて、そういう流れも小池さんに追い風だったというところがあると思います。そして、日本においても女性が活躍する、それは具体的には重要なポジションに就くということは必要だと思いますので、女性活躍支援の観点から、東京都知事初の女性知事というのは良いことだと思います。

記者
 ありがとうございます。あと別件で、先週、今週にかけてなのですけれども、県の山岳協会さんの方から東京五輪にクライミング競技が正式競技として追加される予定だということがあって、盛岡市に対して、あと本日、県にもでしょうか、事前合宿誘致に関して要望活動を行っているのですが、県内でのそういうホストタウンとか、そういった動きを含めて、今、一番実際に表面化して動いている東京五輪に向けた関連する動きなのですが、知事はこれに対してどのような所感を持って、どのように関わっていければとお考えでしょうか。

知事
 ホストタウンというのは、市町村が主役になるのですけれども、県としてもできることは何でもやって応援していきたいなと思っていますので、盛岡市さんの取組についても応援していきたいと思います。

記者
 特にクライミングに関しては、盛岡とあと若手で国体の育成の10年間の成果が実っていることと、あと、県の施設もそれに合わせて、リードとボルダリングの施設が両方あるような県営運動公園のように充実した所があって、その国体の成果がうまく東京五輪にも花開きそうな部分があるという意味では、その点に関しては知事どうでしょう、今後。

知事
 スポーツ振興とか、競技力向上の観点からもボルダリング、リード、そういう競技が岩手のお家芸になっていけばいいなというふうに私も思っていますので、そういう観点からも応援したいなと思います。

記者
 ありがとうございます。あと一点、すみません。毎週聞いていますけれども、政務秘書に関しては進捗状況はいかがでしょうか。

知事
 そうですね、まだちょっとお知らせできるところまで進捗していません。

記者
 すみません、ちょっと戻って都知事選のことなのですけれども、鳥越さんの個人的な支援ということも知事はおっしゃっていたと思うのですけれども、一方で鳥越さんは憲法の改正反対とか、そういうことを訴えて今回出られていたのですけれども、一方で憲法改正というのは都知事選になじまないのではないかという意見もいっぱいありました。結局、鳥越さん自体は3位だったのですけれども、そのことについて鳥越さんが訴えたことによって、何か変わった部分はあるかと、知事の考えをちょっと教えていただきたいのですけれども。

知事
 去年の知事選、県議選、岩手もだし、去年は春には統一地方選があって、そこで安全保障関連法とか、それに関連して憲法の問題とか、やはり地方選挙であっても住民というのは国民でもあって、国の政策によって安全が保障されるか、逆に危険が増えるのか、そういういわば危機の現場というのは地方にあるわけですからね。そして、実際、いざという時の危機対象に関する法律とかでは、都道府県の役割というのはかなり大きいわけですよ、避難誘導でありますとかね。ですから、国の法律、さらに憲法に関わることであっても憲法の中に地方自治の項目もあるし、だから統治機構の部分も、人権の部分も憲法全体として、憲法の理念が実現されているかどうかというのは地方にそれが出てくるわけですからね。障がい者福祉は基本的に都道府県と政令指定都市の仕事ですけれども、やはりあれは憲法の人権条項をどう実現するかという話でもあるし、地方から日本を変えるというスタンスはありだと思います。日本国としての政策を地方から変更を求めたり、あるいは提言したりというのはありで、先週、福岡県で行われた全国知事会議も、国政に対する要望事項とか、意見書の決議事項とか、そういうのをあらゆる政策分野についてやったわけでありまして、地方から国にそうやって言っていくことは大いにありというよりもなくてはならないことであって、そういったことを地方選の選挙の争点とか論点とかにしていくというのも、これはありだと思います。

記者
 もう一度ちょっと都知事選で、東京五輪なのですけれども、復興五輪という側面もあるのですが、小池新都知事にどういった働きかけをしていきたいとか、改めて小池さんのキャラクターを踏まえてどういったことを期待したいかお聞かせください。

知事
 岩手県は、宮城県、福島県とともに東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の顧問会議のメンバーにもうなっていまして、東京都もなっていて、一緒に議論する場もありますし、また、今度リオデジャネイロオリンピックを盛り上げようというイベントが8月6日にもりおか歴史文化館前で行われる、それは基本的に東京都の行事で、岩手県もいろいろ復興関係の展示とか、物販とかを一緒にやるというふうにしていて、そういう連携は今やっていく仕組みがいろいろありますから、そういうルートを通じて連携を深めていきたいと思っています。
 今度のいわて国体・大会は、ひとつ東京オリンピック・パラリンピックのモデルになるようにということで国体・大会プラスの部分にも力を入れたりしていますし、開会式、閉会式は開会式、閉会式場以外の所でもパブリックビューイングなどでみんなで盛り上がりながら見ることができるという、そういう仕掛けもしますので、東京オリンピック・パラリンピックの際にも、例えば、岩手にいても東京の開会式場にいるのと同じような盛り上がりが得られるような工夫をしてもらうとか、そういったセンスは小池百合子さんにはかなりあると思うので、大いに期待したいと思います。

記者
 わかりました。それから、落選した増田さんなのですけれども、選挙戦の途中から達増知事は「らしくない」というお話をされていましたけれども、それは守旧派的な立候補になってしまったこと自体で、それがずっと投票日まで引きずったということなのかということが一つと、それから増田さんなのですけれども、今回は落選しましたけれども、これまで地方創生の話だとか、人口減少の話であるとか、講演会活動もずっと続けられてきていて、岩手との関わりが消えるわけではないのですけれども、今後の増田氏への期待をお聞かせください。

知事
 小池百合子さんにぶっ壊される古い自民党東京都連支配、それを継続させていこうとする旗頭として選挙戦に臨んでいたというのは増田寛也さんらしくないなと思います。これからもそういう立場を続けるのかどうかということが問われるのだと思いますけれども、そういう立場は続けない方が良く、今回の都知事選が全くなかったかのような昔に戻ることができればいいのではないかなと思います。

記者
 全くなかった。

知事
 今回の都知事選の前は、地方分権とか、地方消滅を防ぐ、そしてILC国際リニアコライダーも実現する、そういうことも先頭に立つ人として活躍されていたわけですから、そういう時代に戻ればいいのではないかなと思います。

記者
 一旦忘れてくれということですか、それは。

知事
 ただ、世の中全体として、今回のことをなかったことにするために一体どういうことをしなければならないのかというのはいろいろ工夫しなければならないのだと思います。東京都連との関係とかですね。

記者
 それから、先ほど鳥越さんのところで、政治をやっている側からすると知られていたけれども、東京都民からどうだったのか疑問だというのは、鳥越さんの場合、知名度は圧倒的だったかと思うのですけれども、その辺ちょっと。

知事
 ただ、やっぱり世の中のニュースはもちろん、情報番組とかテレビを見ない人という方が多いのではないかと思います。まして文筆でどういう発言をしていたかなんていうことについては、鳥越さんの文章を読んだことない人の方が多いのではないのでしょうか。名前を聞いたことぐらいはあったかもしれなくても、どういう人かというイメージが湧かず、年齢の数字の多さだけが印象付けられて、そして、選挙中も年齢の高さにまつわる大丈夫なのかみたいな情報もマスコミ、またネットでも流れていて、そういう方向に誘導されていくと、そもそも選択肢から早い段階で外れていってしまう、そういう流れがあったのではないかなと思います。ですから、知名度の問題というのはマスコミの皆さんも、そしてマスコミによく取材される我々もですけれども、我々の情報空間と一般の皆さんの情報空間の違いというのは、やっぱり想像以上にあるというふうに気を付けていかなければならないと思います。

記者
 わかりました。ちょっと別件なのですけれども、最後に一点、知事の方で昨日、「いわて希望塾」をやられていたかと思うのですけれども、あれはずっと続けられているのですけれども、どういった思いであれ継続されていて、昨年から沿岸地域での開催ということだったのですけれども、そういったところの思いを一言聞かせていただけますか。

知事
 知事になったころから、一つは岩手の教育をよくするという観点から、法律が変わって今みたいに教育委員会に対する知事の関与が強まる前から既存の法律に基づきながら教育委員の皆さんと意見交換する機会を持ったり、また、教育現場に入っていこうということで出前授業の形で教室の中にも入っていって、生徒たちと触れ合う機会を持っていたりしたのですけれども、生徒たちと直接触れ合う機会を県主催のああいう合宿のような形で全県からそれぞれ地域を代表する生徒に集まってもらってやるというのも意義があり、また、効果的ではないかなというふうに進めています。
 若者活躍支援の一環でもあって、東日本大震災発災直後、高校生ばかりでなく中学生たちも中学校が避難所になると、そこで物を運んだり、受付係をしたり、防災と復興の最前線で中学生たちも活躍してくれていましたし、若者活躍支援という視点からも中学生を応援したいなという気持ちでやっています。

記者
 また都知事選の話でちょっと恐縮なのですけれども、知事は、選挙期間中の記者会見で小池さんは新進党、自由党時代に一緒に行動したことがあるということで、非凡な意思や能力の持ち主だと評価しておりました。当選した小池氏に何か祝辞等メッセージは送られたのでしょうか。

知事
 祝電は送ります。これはどの都道府県知事選挙でも当選した方には祝電を送るようにしているので、小池さんにも祝電を送ります。

記者
 ありがとうございます。先ほど知事が今回の都知事選の構図として、自民党にいた人が党をぶっ壊すということが非常に効果があると。それは、かつて小泉純一郎元首相が用いた手法であるというお話しされていましたけれども、その小泉さんが首相の時に2005年に郵政解散総選挙を行った。あの時は自民党が290議席以上獲得して、自民一強体制になりましたけれども、その時に知事が所属していた民主党は大きく勢力が後退したと。その時は自民一強体制でしたけれども、結果的にその4年後には下野するということで、要するに自民党をぶっ壊すと言った小泉さんの時が、ある意味、自民党の終わりの始まりだったということが言えると思います。今の永田町の構図を見るとまさに官邸が強くて自民一強体制だと。選挙は違いますけれども、都知事選で自民党をぶっ壊すというような趣旨の候補が当選したと。今回の都知事選のこの結果が自民一強という永田町の今の構図に何か異変を告げるものなのか、それとも今、自民が全国的に強いということでバランスをちょっとここで取ろうかというような一過性の有権者心理なのか、その辺りどう分析されますか。

知事
 確かに自民党の強さについて大きな疑問符が出てくるような今回の結果だったと思います。本当は基盤は非常にもろいのではないか、弱いのではないかみたいな疑いが広がるような今回の結果なので、またそういう疑いが広がること自体が弱体化につながりますからね、そういう効果は今回の結果にあるのだと思います。

記者
 ありがとうございます。知事がおっしゃる自民党の基盤のもろさというのはどういうところにあるのでしょうか。

知事
 一言で言いますと、既存の企業とか、団体とか、今のままにしておいてほしいというような願いに、そこに呼応するような党の体制を取りがちになって、自己改革というのが弱くなるような構造的な体質があるというところが問題なのだと思いますね。ですから、国民は全体として、実は激動の21世紀、国際環境の激変、また、国内的にも経済、社会情勢が大きく変化していることにきちんと対応して、さまざまな困難を解決するような新しい政治を求めているのに、そこに背を向けがちな自民党の体質。自民党が下野する際に、私が見ていて思ったのは、格差というのをなかなか認めなかったのですよね。これは高齢者世帯が増えているから、世帯間の所得格差は当然広がるみたいな理屈を言って、格差という実態をなかなか認めなかったという、それが自民党の下野につながったと思っているのですけれども、そういう変化する現状に背を向けて、変えないという方向に向きがちなところが弱みではないかなと思います。

広聴広報課
 以上をもちまして記者会見を終わります。

 次の定例記者会見は8月8日(月曜日)の予定です。

このページに関するお問い合わせ

政策企画部 広聴広報課 報道担当
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
電話番号:019-629-5285 ファクス番号:019-651-4865
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。