平成28年4月11日知事会見記録
ID番号 N44642
平成28年4月11日10時30分から11時10分
広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。最初に、知事から発表があります。それでは、知事お願いいたします。
知事
まず、第1の発表事項は、岩手県港湾利用促進プランの策定についてです。岩手県の港湾の一層の利用促進を図るために、平成32年度までの今後5年間に港湾管理者である岩手県及び港湾関係者が取り組むべき内容を盛り込んだ岩手県港湾利用促進プランを策定しました。プランでは、「世界を結び 未来を拓く 岩手のみなと」というキャッチフレーズで、「復興による新たな社会資本を生かした物流・産業拠点の形成」、「安全・安心な港湾の実現」、「海上からの観光客と地域住民の交流を通じたにぎわいの創出や豊かな環境の形成」の3つの目標を掲げています。
県内の港湾は、東日本大震災津波によって甚大な被害を受けましたが、湾口防波堤等の港湾施設の復旧が急ピッチで進められています。また、三陸沿岸地域を南北に結ぶ縦貫軸と内陸部と沿岸部を結ぶ横断軸で構成されている復興道路や復興支援道路の整備がかつてないスピードで進められています。岩手県沿岸部を中心とした社会資本は、今後5年間程度で飛躍的に充実することが期待できる状況になっています。
このような状況を受けて、宮古室蘭間を結ぶフェリー定期航路の開設でありますとか、沿岸部における企業立地でありますとか、あらたな動きが生じています。この機を逃さず一層の利用拡大を図るためにコンテナ貨物輸送の効率化、フェリー航路開設の環境整備と利用促進、クルーズ船誘致に向けた活動の推進に取り組んで、県内企業の利便性の向上や港湾を通じた観光客の集客を図り、地域経済の発展に結びつけてまいります。
発表事項の2つ目は、「新がんばろう!岩手」宣言です。この「新がんばろう!岩手」宣言は、平成23年4月11日の「がんばろう!岩手」宣言からちょうど5年が経つということで、5年前の宣言を改めて思い出し、そして5年前に誓った内容を確認する。また、被災者イコール復興者の皆さんを含む全ての県民と、県内外の支援者の皆さんなど復興に携わる人たちに改めて連携・団結を呼びかけて、未来に向け、自信と誇り、そして希望と勇気を持つことができるよう、改めて「がんばろう!岩手」宣言を行うものです。
以下、宣言文を読み上げます。「新がんばろう!岩手」宣言。平成23年3月11日の東日本大震災津波により、岩手県では4,672名もの尊い命が奪われ、1,123名の方々が行方不明となり、多くの県民が大切な家族や友人、家や街並みを失うなど甚大な被害に見舞われました。大震災津波から1か月後の4月11日、約45,000人の県民が避難所での生活を強いられている中で、私は「がんばろう!岩手」を宣言し、今回の大災害も岩手の豊かな自然のもとに育まれてきた自立と共生の心で必ず克服できること。犠牲となられた方々のふるさとへの思いをしっかり引き継いでいくこと。全国、そして世界中からいただいたお見舞いや励ましを糧に、県民みんなで力を合わせ、希望に向かって一歩ずつ復興に取り組んでいくことを誓いました。
その宣言からちょうど5年が経ちました。私たち岩手県民は多くの皆様から支援をいただきながら、本格復興を力強く進めています。今なお多くの方々が応急仮設住宅での生活を余儀なくされていますが、心と体の健康など被災者一人一人が抱える問題に寄り添った支援や、新たなコミュニティづくりの支援に取り組んでいます。引き続き、安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生を着実に進めます。また、新しい三陸地域の創造を目指し、再生可能エネルギーの導入促進や地域資源を生かした観光振興、海洋研究拠点の形成強化など、未来につながる施策も進めます。ILC国際リニアコライダーの実現は、本県の豊かな地域資源を生かして科学技術の発展に寄与するものであり、東日本全体、ひいては日本全体の希望となります。今、交通ネットワークの整備と復興まちづくりの進展によって、三陸地域を取り巻く環境は大きく変化しつつあります。三陸の未来を拓く取組を県と市町村や企業・団体をはじめ多くの主体が連携して進めます。
私たちは、この5年間に、救助活動や支援で岩手に来てくださった方々を忘れません。自衛隊、消防、警察の皆さん、アーティストやアスリートの皆さん、外国から支援に駆けつけた皆さん、全国の自治体からの応援職員の皆さん、そして大勢のボランティアの皆さん、私たちは皆さんとのつながりを岩手の永遠の財産にしていきます。県民全体の「地元の底力」と全国や海外との様々な「つながりの力」で、被災地の復興や県全体の発展を図り、課題解決先進県としての事例を全国に示していきます。
今年の東日本大震災復興の架け橋「希望郷いわて国体・希望郷いわて大会」は、そのような私たちの姿を全国の皆さんに示す大きな機会であり、本県の復興の進捗と、これまでの支援に対する感謝を伝えます。また、2019年に釜石市で開催されるラグビーワールドカップ大会、さらには2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会を、世界中からいただいた支援への感謝を伝え、復興の姿を全世界に発信する機会とします。
岩手県は、必ず復興します。県民みんなで力を合わせ、自信と誇りを持って復興のゴール、さらにはその先の未来に向かって進んでいくことができるよう、ここに改めて「がんばろう!岩手」を宣言します。平成28年4月11日、岩手県知事 達増拓也。
以上です。
広聴広報課
以上で知事からの発表を終わります。
幹事社
ここで4月に記者クラブの方に転入してきた者を1人紹介したいと思います。
(記者紹介)
幹事社
それでは、知事の発表事項について質問があれば各社、お願いいたします。
記者
宣言について伺います。宣言する狙いとして、被災者を含む全ての県民、それから県内外の支援者の皆さんと改めて連携、団結を呼びかけるということですけれども、つまりこれは県民あるいは県外に周知してこそこれが達成されるということだと思いますけれども、今日の宣言はどのようにこれから広め、活用していくという考えでしょうか。
知事
こちらにあるような体裁の1枚紙を作って、こういうふうに大きくして掲示することもやりますし、あるいはいろいろな県が関係するような集会でありますとか会議とか、そういったところでも配布するようにしていきたいと思いますし、あとはインターネットも活用して県民の皆さん、また県外の皆さんに見ていただける、読んでいただけるようにしていきたいと思います。
記者
ありがとうございます。本年度は第3期の復興実施計画の策定の時期にも当たるということで、まさにこの宣言を計画に落としていくという年だと思いますけれども、改めてこういった次期計画を作りたいというような考えをお聞かせください。
知事
今年の3月11日は丸5年経つということで、マスコミでも報道や、あるいは解説の量も多かったですし、また非常に深い分析など質的にも高いものがあったと思います。県民の東日本大震災、そしてその後の復興に関する関心が高まり、理解も深まったと思いますし、またそういう関心の高まり、理解の深まりというのは全国的にもあったと思います。
今回の宣言は、そういう丸5年経っての高い関心、深い理解というのをひとつ県としても宣言の形でまとめたいということもあって、まとめたという経緯もありますけれども、広くそういった関心の高まりと理解の深まりということを生かしながら、次の実施計画の策定に取り組んでいければと思います。
記者
宣言についてなのですが、今年、丸5年ということで全国的な関心が高まったというお話がありましたけれども、その一方でどうしても風化であるとか、5年以降の風化というのがどうしても懸念されるところではあると思うのですけれども、今回の宣言というのはその辺り風化防止の意味合いというのもあるのでしょうか、もしあるとしたらどのようにこれをその部分に生かしていきたいというふうにお考えでしょうか。
知事
せっかく今年の3月11日で高まった全国的な関心、また深まった理解というのが風化していくのはもったいないですので、できるだけその高まり、深まりを維持したいという思いも込めて、この4月11日というタイミングでこういう「がんばろう!岩手」宣言をしたということもあります。そういう意味では、県外に対してもどんどん発信をしていきながら、復興はまだ続きますので、これからも状況を伝えながら、そして県外の皆さんがまだまだ何かしたいという思いはありますので、その思いを形にしていただけるよう働きかけていきたいと思います。
記者
この宣言についてですけれども、5年前に発表された内容、一部この新宣言の冒頭にも記されていますけれども、ここで掲げたことはこの5年間、知事の目から見て達成できた、あるいは継続課題もあると思うのですが、どのように実施することができたとお考えかお聞かせください。
知事
それぞれしっかり進んできていると思います。発災直後の思い、そして頑張ろうという意思に基づいて県の復興計画も作られ、それは着実に実施されていると思いますし、また、県だけではなくて市町村ごとの計画でありますとか、また行政以外の主体のさまざまな復興への取組ということについても、自信と誇りにつながるような形で進んできていると思います。
記者
ここに記されている内容ですと、岩手の豊かな自然のもとに育まれてきた自立と共生の心で必ず克服できるというような文言がありますけれども、まさにこの5年に差しかかる手前から自立という言葉が国からも求められて、どのようにして支援を受けている立場から自らで生計を立てていくかというようなところ、この1年もすごい議論があったと思うのですけれども、そこについて被災者の思い、あるいは被災地でどのように受け止められているか、あるいは、その次にある犠牲となられた方の思いを引き継ぐということですね、この2点に関しては、現状で沿岸部はどのようになっているとお考えですか。
知事
奨学金を受けて勉強している生徒たちの例がわかりやすいと思うのですけれども、支援を受けることが自立ということもあります。だから、自立というのが支援が要らなくなることとは限らないわけでありまして、特に支援が必要なフェーズ、国の予算による強力な復興ということが必要なフェーズにあっては、それをしっかり確保していくことが自立の取組と言っていいわけで、ある意味、自立と共生というのは同じことの裏表というところがあります。共生なくして自立なしというところがあるし、ただ、様々な支援をいただいたり、国の予算で復興を進めているということは決して依存という形になってはならないわけでありまして、あくまで自立の一環としてそういう支援や国の予算を受けてやっているということですので、基本的にはそういう趣旨は失われていないと思います。
記者
2つ目の点、その犠牲になられた方の思い、現地で引き継がれているかという点についてはどうでしょうか。
知事
岩手の場合、東日本大震災によって県外に移られた方というのは1,600人くらいで、多くが岩手県内に残られましたし、また、沿岸被災地においても震災直後においては果たして復興ということができるのかというふうに疑われた地域もあったかと思いますけれども、基本的に全ての地域において力強い復興の事業が進んでいるということで、そこには難を逃れた方々の幸福の追求ということだけではなく、犠牲になった方々がふるさとをよくしよう、地域振興や経済活動等々豊かなふるさとづくりのために頑張ろうと思っていたようなことをしっかり引き継いでいる、そういうことがあって進んでいると思っていますので、そういう意味では引き継がれていると思います。特に高校卒業者の地元就職率が高くなっているとか、20代前半の人口が回復しているところがあるとか、そういったことは、そういう若い人たちの地元志向の高まりなどというのは、この犠牲になられた方々へのふるさとを思うのをしっかり引き継いでいることだとも思います。
記者
宣言に関してですけれども、5年前に発表されたときと5年経って現在というところでフェーズも変わってきていると思うのですが、改めてこの「がんばろう!岩手」という言葉をスローガンといいますか、旗印に選んだ理由といいますか、思いをお聞かせください。
知事
もともと岩手・宮城内陸地震のときに「がんばろう!岩手」という言葉が県職員の中から自然発生的に出てきて、県職員の中から自発的にそういうTシャツを作って、着て仕事をしたということがありましたし、観光関係中心に経済界の中にもやはり自発的、自然発生的にそういう「がんばろう!岩手」という言葉が出てきて、それで夏の観光シーズンに向け、風評被害を払拭して岩手を盛り上げようという県民運動的なものにつながっていったという、そういう経験を積みながらリーマンショックによる経済危機も乗り越え、新型インフルエンザの発生とか、様々な危機を乗り越えてくる中で東日本大震災に直面し、あのときやはりここは「がんばろう!岩手」だというようなある種のコンセンサスが岩手にはあったと思います。そのことを今、改めて思い返し、そして「がんばろう!岩手」ということでこの5年間しっかりやってきたと、そういう自信と誇りも重ねながら、ここから先、さらに「がんばろう!岩手」ということで復興のゴールに向かって進んでいこうという、そういう県民の思いを一つにしていくのにちょうどいい時期であり、「がんばろう!岩手」という言葉がそれに適していると思いますし、また、それを対外的に見てもらうのにもいい時期であり、いい言葉であると思います。
記者
5年前にがんばろう宣言を出したときは、日本中、世界中が三陸の津波のことを心配し、思いを寄せていたときでした。5年が経ちまして、いろいろ状況は変化してきています。こと岩手県内で見ても、例えば、内陸にお住まいの方々から言える復興への関心度とか、そういった部分で先ほど知事も3月11日に大いに高まりを感じたとおっしゃっていますが、今、この岩手県内全体での復興というものに対する連帯感とか、あるいは一体感というものはどのように感じていらっしゃいますか。
知事
発災直後とは違う形で高い志や、また深い思いというものがしっかりあるなと思います。それは国体と障害者スポーツ大会の開催に向けても東日本大震災復興の架け橋という、やはり復興をテーマにした国体・大会として準備していくのだというような志や思いを感じますし、それは国体・大会準備以外のいろいろな分野でも、今の質問にもあったような5年たった今、岩手県民がきちんと復興のことを考えているだろうか、取り組んでいるだろうかという問題意識を持っている人が多いということもあると思います。ですから、のんべんだらりと自然に忘れられていくというような感じはなくて、そういえば発災直後の頃に比べると思い出すことが少なくなっているなとか、あの頃ほど頻繁に沿岸に行かなくなっているなとかと思いながら、では今どうすればいいのか、これからどうすればいいのかということをちゃんと県民の皆さんが考えながらやってくれているなという、そういう手応えも感じておりまして、そういう意味で5年たった今なりの高い志、深い思いというものをあとは、これをどう形にしていくかという工夫の問題だと思っています。
幹事社
それでは、発表事項以外について、今日は、記者クラブからの幹事社代表質問はございませんので、各社質問ありましたら、お願いいたします。
記者
参院選の野党共闘統一候補を決定するに向けての実務者協議が県内の野党4党で進んでいるようです。今月にかけて、特に協議が詰まっていくようなのですが、そうした中で一部話が出ていることで、いわて市民ネットさんの方では早く統一候補を決定してほしいと。そのためには野党の幾つかは、まず現職のご本人が出馬表明をしてほしいと、そうすれば話が進むのではないかという意見が出ています。それは、有権者もどうしていつまでも動きがないのだろうというような疑念につながるので、ぜひともというような流れが、意見があります。他方、現職側の方の所属政党の方としては、まず候補者ありきというよりは、まず重要な政策の合意の一致を見て、それが一致したのを経て、初めてそういった表明とか、どういう統一候補になるのかという形が決まっていくという考え方があるようです。直接の関係ということはともかく、一般有権者あるいは政治家のお立場として、こういった議論に対してはどのようなご見解をお持ちでしょうか。
知事
そこはいろいろなやり方があって、またいろいろな考え方があるのだと思います。新潟県の場合、森裕子(もり・ゆうこ)さんに一本化されるに当たっては、まず最初に、市民団体的なグループが森裕子さんを野党統一候補にすべきだということを決めて、森裕子さんにそれを要請し、森裕子さんがそれを受けて立つというようなこともあって、新潟はほかの野党は幾つか候補を立てる予定だったのを徐々にやめていって、森裕子さんに一本化したという経緯がありますよね。いろいろな考え方ややり方があるのだと思います。
記者
ありがとうございます。あとちょっと関連して、話が飛びますけれども、維新の党が現職に対して推薦を出していたのですけれども、新しく民進党ができて結党したと。民進党の考え方としては、維新の党が事実上なくなったので、この推薦うんぬんの話は無効であるというような考え方を持っているようなのですけれども、公党間の協議とか推薦のやりとりの中でこういうことというのはあることなのでしょうか、いかがお考えでしょうか。
知事
それは民進党の公式見解なのかどうかというのはよくわからないですし、民進党の中でのものの決め方なのでしょうね。
記者
すみません、ちょっと突飛な質問で。あともう一つ、4月23日に安保法の廃止を求める全国2,000万署名の岩手県団体の方で県民集会があります。これに知事はご出席等、招待等ご案内があった場合は出席等をされるお考えはありますか。
知事
日本国憲法がしっかり守られていかなければならないとか、特に9条の関係で違憲な法律状態というのが日本にあってはならないという、そういう思いは私も強いです。ただ、そういう中でどういう行動が適当なのかどうかということについては、一つの方針とか行動計画を持っているわけではありませんので、そこは自分の良心に従って行動したいなと思っています。
記者
ありがとうございます。あともう一点、すみません、参院選の件に戻って恐縮なのですけれども、参院の統一候補づくりに関しては、今、申し上げた4月23日の集会にお披露目できればいいなというのが市民ネットさんの考えとしてあるようです。同時に、野党の方たちの協議の過程では、5月1日のメーデーに期限を切って協議をしていきたいというようなお話があるようです。参院選は今のところ、7月10日か17日執行という予定で動いているようですけれども、そうすると残り100日を切っていまして、このタイミングで決めないとなかなか県民、有権者の理解を踏まえた野党共闘による参院選の戦いというのはうまくいかない。うまくいかせるためには、やはりこの辺りが期限という考え方というのは、知事はどのように認識されますか。
知事
まず1つ、選挙に絶対というのはないということがありますので、戦略的に、あるいは戦術的にはいろいろなやり方があるのだと思います。
一方で、理念の問題としては、選挙というのは、有権者、国民の側が主役であって、国民、有権者が選挙を通じて、単に人を選ぶということではなく、日本を創っていく、主権者として国を動かすという、そういう参画の仕方ができればできるほどいいのだと思うので、今度の参院選で野党統一候補を立てるというのであれば、その人に投票することで、投票した人は、日本に何をしたのかということがはっきりわかるような形をより高めるということにエネルギーを注ぐというのは理解できることかなと思います。
記者
あまり期限とかそういうことではないと、設けてどうのということではないということですね。
知事
それは、戦略論的なことからもそうだし、理念からいってもそうです。
記者
参院選についてですが、先ほどもお話がありましたけれども、基本的には現職を野党統一候補というのが前提で動かれていると思うのですが、知事が、例えば支援できる条件であるとか、状況の想定があれば教えてください。
知事
それも最終的には良心に従って行動判断することになりますので、まして私のほうから私に応援してほしければ、ああせよこうせよといった条件を付ける立場にはないと思っています。
記者
どういうものでしょうか。
知事
それは自分の中にあるでしょうから、それを見てもらえば大体ほかの人の中にある良心についてはわかると思います。
記者
わかりました。あともう一つ、衆議院の議席の定数の関係なのですけれども、岩手でも1減の見通しとなりましたけれども、受け止めを教えてください。
知事
残念だと思っています。特に憲法解釈の問題として、今、人口割の一票の価値というのを数字で厳密化していくような憲法解釈が何か主流になっているようで、全国知事会でもそうでなくしていくには憲法を変えなければみたいな議論も行われているのですが、私は、学者でも若手の東大の金井(かない)教授とか、あるいはベテランでは京都大学名誉教授の行政学の神様みたいな村松岐夫(むらまつ・みちお)先生とか、今の憲法の解釈の問題としても地方代表的な要素というのも加味して、純粋に人口比の数字だけで一票の格差というのを議論すべきではないと言われていて、私もそうだと思っています。一票の価値を純粋に等しくするには全国1選挙区にするしかないわけですしね、論理的に。特に今、地方創生、そして人口についても東京一極集中を是正して、毎年東京に10万人ずつ人口が集中しているのをゼロにしようと。そのゼロの中には、東京に流れる、大体大ざっぱに言って5万人分をゼロにするのと、あと東京から毎年5万人ずつ地方に出していくというようなことを政府が正式にビジョンと総合戦略で政府の意思として出しているわけですから、地方、特に田舎の人口が将来増えていくということであるならば、一種、激変緩和措置といいますか、今の人口をベースに計算するのではなくて、増える人口を前提に計算するという考え方もあると思いますし、地方、特に田舎の方でそういう人口を東京との格差を是正させていくということに取り組んでいく、国を挙げてそうしようと言っているわけですから、地方の人口が相対的に東京よりも増えた状態を前提にして考えていくということがあってもいいと思いますので、今の人口の数字をベースに焦って定数の見直しをしなくてもいいと私は思います。
記者
関連してですけれども、i―サポが好調だそうですけれども、受け止めを教えてください。
知事
目標数をはるかに上回る会員数ということで、やはりそういうのが求められていたのだなというふうに思っています。潜在的ニーズがあると思って始めて、実際にニーズがあったわけですので、そのニーズにうまく応えていくような運用が進むようにしていければと思います。
記者
このまま好調が続いた場合に拠点を増やすとか、そういったことも視野に入れますか。
知事
利用のされ方とか、あとその中のニーズを見ながら、そこはさまざま検討していくことになります。
記者
明日、台湾のチャイナエアラインの孫(そん)会長が来られますけれども、来年の定期便化に向けて大事な場になってくると思うのですが、改めてそちらに関しての知事の所感をお聞かせください。
知事
今年で3年目の定期チャーター便ということで、これがうまくいけば来年からの定期便のスタートという、そういう流れの中で孫会長にも岩手のほうに来ていただき、先週には東京にある台湾の観光局の所長さんが岩手に来てくださったということで、台湾側も今年の定期チャーター便も成功するように、そして来年、定期便化できるようにということで尽力していただいていますので、こちら(岩手)側の努力と合わせて、力を合わせて定期便化が実現するように進めていきたいと思います。
記者
定期便化の話が具体化してから、孫会長が来られるのは明日が初めてだと思いますけれども、明日の会談の意味合いとしてはどういったものになるのでしょうか。
知事
さっき言ったような流れ、定期便に向かう流れの中に我々はあるのだということを確認することに意義があると思いますし、あとはいわて花巻空港が国際線の利用に関してスペースを広くしたり、あと蛇腹の通路を1つ増やしたりなどして国際定期便の利用がよりスムーズにできるようになったというのを実際見ていただくということにも意義があると思っています。そういうふうに定期便化に向かうさまざまなステップを一つ一つ確認していくということが今回来ていただくことの意義かなというふうに思っています。
広聴広報課
以上をもちまして記者会見を終わります。
次の定例記者会見は4月18日(月曜日)の予定です。
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