平成28年4月1日知事会見記録
ID番号 N44254
平成28年4月1日10時40分から11時13分
広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。本日は知事からの発表はございません。
幹事社
質問の前に記者クラブへの転入者を紹介します。転入者から一言挨拶をお願いします。
(記者紹介)
幹事社
本日は、記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はありませんが、幹事社から新年度を迎えたということで、震災から5年が経過しまして、国の方では復興創生期間という新たなスタートを切っておりますが、改めて知事の所感と決意などを教えてください。
知事
県の復興計画において本格復興期間の最終年度ということで、「本格復興完遂年」と位置づけているわけですけれども、本年度中にきちんとやるべきことをやれば、いよいよ復興のゴールがはっきり見えてくると。きちっとやることをやらないと、そうならないでしまうということで、本年度が岩手の復興における正念場だと思っておりますので、復興の事業の量の確保、そして体と心のケアやコミュニティー支援などの復興の質の向上ということをしっかりやっていきたいと思います。
あとは県、市町村力を合わせてふるさと振興の施策を展開する実質的な初年度ということが大きいですし、そして何より国体イヤーということで、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会を成功させる。そこに向けて県民の皆さんの岩手県というものに対する思いを膨らませ、そしてそれを実際の行動に移していく、そういう力を高め、さまざまな成果を出していく1年だと思っています。
あと、先ほど新採用任用式でも話したのですけれども、今日から女性活躍促進法に基づく大規模事業者の事業計画を実行に移していくのが始まり、今日から岩手県においても始まりますので、岩手全体に対して女性活躍支援ということに県として取り組んでいるわけですけれども、組織の中においてもしっかりやっていくと。これは、人として、人間として当たり前のことを普通にやっていればいいということでもあるのですが、ただなかなか日本社会、そういうふうになっていないというところもあるので、法律をつくったり、計画を立てたりして取り組むわけで、それにきちんと取り組んでいくことが一つ組織としての先進性、先に進んでいるということを示すことにもなるので、県職員、みんなで頑張って取り組んでいきたいと思います。
幹事社
ありがとうございます。もう一点、先ほど知事訓示をお聞きしました。その中で、4月11日に新「がんばろう!岩手」宣言をするというお話がありましたが、よろしければ今お話しできる段階でどのような内容なのか、どのような発信をしたいのか、改めて教えていただけますか。
知事
その日(4月11日)に定例記者会見がある予定ですから、定例記者会見の場を利用して、ここで宣言ということになると思いますけれども、5年前の4月11日の「がんばろう!岩手」宣言を思い出しながら、当時まだ復興の全貌、そして復興の先にある岩手のありようというのがまだはっきり、くっきり見えてなかったところもあると思うんですけれども、5年たった今、5年前よりもそこがかなり見えてきているので、これからどういうことをやって、そしてどういう岩手を目指すということを改めて宣言したいなというふうに思っています。
幹事社
ありがとうございます。それでは、各社から質問があればお願いします。
記者
先ほど「本格復興完遂年」ということでお話がありましたけれども、もう少し具体的に、今もまだ1万人が仮設住宅で暮らしているような状況でもありますけれども、特にこの完遂年に当たって、今年度の問題意識、課題というのは県としてどういったところに強く感じていらっしゃるのか、あるいはそれに対する取り組み、特にここがというところがあれば具体的にお願いします。
知事
被災者イコール復興者の皆さんにとって重要な住宅の関係で、災害公営住宅が今年度内にかなりできて、年度が終わるころにはもう完成に近づいていくと。並行して市町村のまちづくり、土地の造成も今年度大きく進みます。また、県の関係ですと、県立病院の再開と、被害を受けた県立病院の新しい建物での再開ということが今年度大槌、山田とあって、高田病院についても来年度の開業に向けて工事を大きく進めるのが今年度ということ、そういったことを、あと防潮堤の関係もそうですね、そういったことを今年度きちっとやり切ることが1年後には復興のゴールが見えてきて、その中で新しい復興実施計画に基づくスタート、1年後に切ることができるようにしていくというふうにすることがポイントです。
あとは、そういう事業量の確保ということと並行して、被災者の皆さんの生活支援関係の部分も復興の長期化に伴って、先に行けば行くほど大変になっていくわけですから、そこをしっかりサポートしていくということがポイントになります。
記者
復興の関連で、今ハード整備について1つ重点に挙げましたけれども、今日は訓示でも目に見える復興というのを強調されておりました。そのハード整備をめぐっては、平成27年度は最終予算ベースで震災対応分予算としては過去最大の1,600億円の繰越というのもありましたけれども、つまり繰越があるということは事業が想定より遅れているということになりますけれども、その辺りスピードアップをどのように図っていくかというところを教えてください。
知事
これは、やるべきことをまずきちんとやっていくということで、その中で当初想定されていなかったような他の事業との調整の話し合いをやるとか、あとやっぱり当初想定されていなかったような地盤の難しさ、大槌のあたりの地下水量の豊富さなんていうのは、工事を始めてみなければわからないというところもあって遅れたりするわけですが、ただそこはそういった事情を無視して拙速に進めて、変なものをつくるわけにはいきませんから、そこはしっかり対応していかなければならないと思っています。
一方、行政事務手続的にそもそも平時の法体制のもとで復興を進めていくがゆえの時間のかかり方というのは、沿岸の市町村長さんたちからも指摘されているところですけれども、そこは今からでも遅くないので、やはり国に対してより市町村や県がスムーズに事業を進められるような工夫や制度の改正といったものは求めていきたいと思います。
記者
ありがとうございます。あともう一つ、復興計画の柱の一つであるなりわいの再生について伺いたいと思いますけれども、復興がこれからどんどん進展していくと、復興需要が逆に縮小していくという課題を抱えることになります。市町村の間では、法人税収等がピークを既に超えているという市町村もあります。そういう中で、復興後を見据えた産業振興というものがとても重要になると思いますけれども、そのあたりどのような方針で臨むか、あるいは重点分野どのように考えているかお聞かせください。
知事
復興需要については、人手不足の深刻化ということの要因にもなっていたので、復興事業がだんだん穏やかになっていくことで沿岸地方における本来あるべき産業構造のバランスが取れて、そこでより着実に人手を確保できる、沿岸で人が働けるようになっていくという、そういう流れについては基本的に好ましいことだと思っています。
一方、岩手における復興需要というのは、全国的にはリーマンショック対策の財政出動の効果が低くなってくるに従って、全国的には岩手より早目に地方からの人口流出が増えたり、また並行して地方の経済が総体的に悪化したりとかというのを岩手において緩和する効果が復興需要にはあったと思うのですけれども、そもそもオールジャパンとして地方の経済が相対的に悪化しないような、地方の人口流出をとめるようなマクロ経済財政政策を国においてとれば、そういう復興需要で補うということは要らなくなるわけですから、そちらの方を求めていきたいと思います。
これに関しては、経済について地方は努力しないのかということではなくて、一人当たりの生産性を高めるという努力については、これは地方が行政と民間と、あらゆる主体が力を合わせて、一人当たり、より稼げるようになっていく、そういう意味でのいわば内需拡大型の経済構造改革を地方から進めていくということについては地方側が頑張らなければならないと思っていますので、県としてはそこに力を入れていきたいと思います。
記者
復興と絡めてお話を聞きたいのですけれども、今、全国で待機児童の問題がクローズアップされていまして、今、沿岸地域でも待機児童というのが復興に伴って発生していると。県としても施策はしていると思うのですけれども、新年度どういうふうに取り組んでいきたいかお聞かせください。
知事
それぞれ市町村も一生懸命どのくらい保育のキャパシティーが必要なのかというのを見定めながら、増やすべきキャパシティーを増やしていく努力をしていて、そこに県も支援をしているわけですけれども、復興中であるという特殊事情でありますとか、また全国的な傾向である保育士不足というさまざまな背景的な要因も念頭に置きつつ、県としても市町村と一緒にそれぞれの市町村における保育体制の整備ということにしっかり取り組んでいかなければならないと思っています。
記者
待機児童の問題なのですけれども、東京の問題がいろいろクローズアップされていると思うのですけれども、基本的には東京一極集中の弊害みたいな側面が大きいのかなとは思っていて、そういう意味でU・I・Jターンですか、みたいな人口減少にたえ得る移住政策みたいなのはどういうふうに考えていますか。
知事
大槌町で震災以降出生率が上がって、2.0を超えて、震災前よりも合計特殊出生率が高まっているということがあって、大槌町内さまざまお母さん方の子育て支援をするような取り組みが行われていて、伝統的な地域のコミュニティーの協力し合う、そういう伝統プラスNPOとか新しい仕組みを活用した工夫が相まって国際救援、看護師さんとして活躍していた方が大槌にやってきて、大槌でなら子供を産める、育てられると言ってくださって、実際定住して子育てをされているわけですけれども、そういった取り組みがやはり地方において必要なのだと思います。
記者
被災地でのなりわいの再生という文脈の中で、水産業、特にも水産加工業の振興というのは大変重要になってくると思います。施設は復旧したものの、売り先が戻ってこなくて、半分以下の売り上げというところがまだまだ随分たくさん残っています。いわゆるソフト面での支援、あるいは相互協力というのが重要になってくると思うのですが、そういった部分での継続的なサポートということに関して具体的にどのような施策をお持ちでしょうか。
知事
まず、販路回復という昔の販路を回復させるための営業活動のようなことはやはり粘り強くやっていく必要があると思っていますけれども、やはりそれだけではだめで、販路の新規開拓、それが必要だと思います。そこにはさまざまな新製品の開発や売り込みというのも大事になっていますので、県でも復興シーフードフェアなどやって、そういう新しい商品を展示して、バイヤーさんたちに見てもらうような場をつくっていますけれども、これは国のほうでもそういったことに力を入れていますし、県内の経済団体、銀行さん、金融機関さん初め、経済団体においてもさまざまな取り組みをしてもらっているので、そういうところが相乗効果を発揮しながら、新製品の開発やその売り込みというのを展開していきたいと思います。
記者
内陸の災害公営住宅についてですが、先日、意向調査の中間集計が出まして、入居したいと、内陸に入居を希望するのが290件と、回答者の2割くらいだったわけですが、この数字を受けて整備の必要性を含めて、知事はどのようにお考えなのでしょうか。
知事
返事をいただけていないところにもう一度回答を求めるようなフォローの作業を今担当のところでしているところでありまして、被災した方々の幸福追求の権利を保障していくために、基本はふるさとに戻り、ふるさとで生活していただくことが一番なわけですけれども、さまざまな事情によってそうではない、内陸での生活というのを選ぶ方の支援ということも、これは県としてもやらなければならないと思っていますので、そこは実態に合わせて、あとは技術的、専門的に計画的に取り組んでいけば良いというふうに思っています。
記者
実態に合わせた支援ということでしたけれども、今回、中間集計ではありますけれども、市町村でいうと盛岡を希望する方が半数以上という結果になっていました。そういう意味では、今後の検討材料の一つになるのだとは思うのですが、そういった建設場所ということについてはどのようにお考えでしょうか。
知事
これは、まず技術的、専門的な検討をきちっとやって、その上でそれでいいかという判断が私に求められると思いますので、まずは技術的、専門的な検討を進めてもらうということになります。
記者
今の件に関連して、特に今新年度ということもありますけれども、今年度どこまで進めたいか、あるいはこの件に関してはどういったスケジュール感でやっていきたいかお聞かせ願えますか。
知事
そこはよくよく沿岸市町村、関係の市町村と調整をしながら進めなければならないと思います。タイミングに関しても沿岸の方の住宅整備をちゃんとやってからという声もありますし、そういう沿岸市町村の声を尊重しながら進めていくということになると思います。
記者
というと、はっきりいつまでに何をというところは今はいかがですか。
知事
生身の人間の暮らしを再建するということが事の本質でありますから、つくればいいとか、かつ、また日にちありきでやっていくようなことではないと思っています。
記者
復興ではなくて、先ほど国体イヤーというお話がありましたけれども、今日でちょうど開催まで半年となりました。現状の準備に対する課題も含めた認識と今後どのように準備を加速させていくのか、お考えをお聞かせください。
知事
まず、着実に準備は進んでいると思います。おかげさまで県民的な盛り上がりも冬の国体でかなり関心も高まり、予想以上に競技会場に行って応援する県民の方々も大勢いらっしゃいましたし、そういう県民的な盛り上がりを大事にしながら、あとは準備の方をしっかり進めていけば大丈夫というふうに思っています。
記者
先日、安保法制が成立なりましたけれども、これまでも達増知事、いろいろご意見があったと思います。国民的な関心というのもだんだんと薄れているような感じもするのですが、これからどういうふうな議論であったり、いろいろな選挙でも争点になり得ると思うのですけれども、その辺りどういうふうに受け止めていらっしゃいますか。
知事
集団的自衛権の行使を解禁する部分が特に違憲であろうという指摘をほとんどの憲法学者がしていて、また多くの国民もその違憲性ということで法律に反対しているという実態は変わっていませんので、政府も自衛隊の実際の運用など法律ができたからといって、速攻で法律上できることをすぐ全部やれるようにするわけではなくて、体制整備を後回しにしている、先送りというのでしょうか、とりあえず手をつけないでいるというところでは、国民の民意というものを反映しているのかなとも思っているのですが、やはりやろうと思えば存立危機事態とかという曖昧な概念のもと、世界のどこででも自衛隊が戦えるというような状態にしておくということは、やはりいいことではありませんので、去年、法律が成立した段階でも説明不足だと、もっと議論しなければならないということが世論調査などでも指摘されていて、それは今でもそうだと思いますので、またそういう議論の末、今の法律のままでいいのかということもあると思いますから、やはり法律の廃止というものを視野に入れた国民的議論はしなければならないと思います。
記者
今の安保法の施行なんかも関連してくると思うのですけれども、昨今、衆参ダブル選挙の現実性、現実味を帯びてきているということも漏れ伝わってきていますけれども、参院選はあるにしても衆院選を今この時期に実施をすることの必要性などについて、知事はどのようにお考えでしょうか。
知事
まず、消費税増税に関して民意を問うということで選挙をするのはよくないというのは、この間の解散総選挙のときに私は言っていたのですけれども、消費税そのものの発足とか、あるいは消費税そのものを廃止するとかということであれば、それは別なのですが、既に存在する消費税体系の中で税率を何%にするのかというのは、極めてこれは技術的、専門的なことだと思っていまして、それでいちいち解散総選挙というのは、もう解散権の乱用と言っていいのではないかと思っています。そもそも議院内閣制の本家イギリスでも総理大臣の解散権というのはできるだけ限定的に行使するような、ほぼ任期満了を当然とするような運用が行われていて、日本国憲法の趣旨からいっても解散権というのは基本的に内閣不信任案が成立したとき、内閣不信任案に対して対抗して出されるというのが基本であって、そういう内閣全体の信が問われるような大きな民意を問わねばならぬときに行使されるものであります。消費税率をめぐって解散総選挙というのは、これはやり過ぎだと思います。あと実態として、2年ごとに既に衆院選挙が行われ、また最後の選挙から1年半ぐらいで解散というのはちょっと衆議院の解散のしすぎ、選挙のしすぎではないかと、これは感覚的にそう思いますね。
記者
今の関連で1点だけ教えてください。以前に記者会見の時に、国政選挙に対して行動を起こすことがあり得ると、言葉は違ったかもしれませんけれども、県民がそういう今の政治はよからぬというムードになった場合には行動を起こすこともあり得るというお話をされていたかと記憶しておりますけれども、仮に今の解散権の乱用になるであろうと、もし乱用された場合には行動を起こす可能性はあるのでしょうか。
知事
前回、解散総選挙になったときには、やはり消費税増税で解散すべきではないということを言い、あとは岩手選出の国会議員の人たちが8人いるという体制を壊したくないということでいろいろ立候補予定者の集会に出たり、またメッセージを送ったりとかもしましたので、そういうことはあり得ると思います。
広聴広報課
以上をもちまして記者会見を終わります。
次の定例記者会見は4月11日(月曜日)の予定です。
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