平成28年2月8日知事会見記録

ID番号 N42484

平成28年2月8日15時30分から16時15分

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。最初に、知事から発表があります。それでは、知事お願いいたします。

知事
 きょうの発表事項、まず第1に「平成28年度当初予算案について」、A4横の「平成28年度岩手県一般会計当初予算のポイント」、1ページ、平成28年度当初予算案(一般会計)の状況についてですけれども、平成28年度当初予算は「本格復興完遂予算」です。その意味は、被災地の安全、暮らし、なりわいを支える復興事業を着実に進め、本格復興を完遂するとともに、いわて国体・いわて大会を成功に導き、またいわて県民計画「第3期アクションプラン」、「ふるさと振興」にもしっかりと取り組むということを盛り込んだ予算であるという意味です。
 予算の基本的な考え方ですが、震災分については第2期復興実施計画に掲げる「参画」、「つながり」、「持続性」の視点を引き続き重視して編成しました。今般策定したいわて県民計画「第3期アクションプラン」を着実に進めるとともに、ふるさと振興については「岩手で働く」、「岩手で育てる」、「岩手で暮らす」などの取組を国の新たな交付金を活用しながら取り組んでまいります。
 また、「ILCの実現」、「国体・障害者スポーツ大会の成功」など復興を後押しする取り組みを推進するとともに、国の補正予算を踏まえた平成27年度2月補正予算と一体的にTPP対応を見据えた本県農林水産業の体質強化や地方創生などに取り組んでいくこととしています。
 予算の規模は1兆661億円。この予算規模は、平成27年度当初予算に比較して、約451億円、率にして4.1%の減となります。災害廃棄物処理分を除く予算額として、全体額、震災分ともに過去2番目のものであり、また1兆円を超えるのは5年連続となっています。
 具体的な歳入・歳出の状況については、2ページ目をご覧ください。まず、歳入の状況についてですが、復旧・復興のための財源については、これまでと同様、復興交付金や震災復興特別交付税など国費を最大限活用することとしています。なお、復興財源の見直しに伴う地方負担額の拡大については、新たに県債を発行し、対応しています。
 また、通常分においては、地方消費税の伸びによって県税収入の増加を見込んでいます。なお、県債については臨時財政対策債の減により減少となっています。
 次に、歳出の状況についてですが、震災分については、災害公営住宅等の整備などが進むことから、前年度と比較して、約482億円、率にして10.7%の減となります。通常分においては、療育センター整備事業などの普通建設事業の増加、また社会保障関係費等の補助費の伸びにより、前年度と比較して、約31億円、率にして0.5%の増となっています。
 次に、3ページ目、「本格復興完遂予算」における取組の概要についてです。まず、「『安全』の確保」については、本格復興の完遂に向け、引き続き、被災した河川、海岸等の公共土木施設や復興道路等の早期復旧・整備を推進します。また、宮古警察署の整備など警察施設を復旧し、治安基盤を確立します。
 「『暮らし』の再建」については、被災者の方々が一日も早く安定した生活に戻ることができるよう、災害公営住宅の早期整備を推進します。また、山田病院や高田病院など、被災した県立病院の再建など、質の高い保健・医療・福祉の提供体制の整備に取り組みます。
 「『なりわい』の再生」については、被災した漁港の復旧を完了させるほか、地域漁業の再生と資源回復に向けた支援や、県産農林水産物等の販路回復・拡大に向けた取り組みを推進します。また、被災した中小企業の再建や復興に向けた取り組みを支援し、若者や女性をはじめとした被災地で起業を行おうとする方々への支援を実施します。さらに、長期的な展望に立ち、津波復興祈念公園の整備やILCの実現に向けた取組の推進など、新しい三陸地域の創造を目指す「三陸創造プロジェクト」を進めてまいります。
 次に、4ページをごらんください。希望郷いわての実現に向けた復興計画と軌を一にした「いわて県民計画」の着実な推進における主な取り組みです。今般策定した「第3期アクションプラン」に基づいて、まず「仕事」の分野では、自動車・半導体関連産業の一層の集積促進や競争力強化、地域資源を生かした食産業や観光産業などの振興に取り組みます。また、仮称ではありますが、あす設置予定の「いわてで働こう推進協議会」を中心に、働き方改革や若者・女性の県内就職を支援する取組を進めます。さらに、地域農業の核となる経営体の育成や、県産米新品種「銀河のしずく」、そして「いわて118号」のブランド化に向けた取り組みなど農林水産物の高付加価値化を図ります。
 次に、「暮らし」の分野では、医師の確保対策やドクターヘリのヘリポート整備を進めるなど、地域の保健医療体制の充実を図ってまいります。また、障がい児、障がい者の方々への支援の充実を図るため、県立療育センター、となん支援学校の整備を一体的に推進します。さらに、若者文化祭をはじめ、若者の主体的な活動を促進するための支援や女性の活躍支援に取り組みます。
 「学び・こころ」の分野では、児童生徒の学力向上や地域社会の未来を担うグローバル人材の育成に取り組みます。また、いじめ対策に取り組み、児童・生徒の健全育成を推進します。さらに、ラグビーワールドカップ2019日本大会の成功に向けて、釜石市と連携して準備を進め、大会機運の醸成を図ってまいります。
 「環境」の分野では、「岩手県地球温暖化対策実行計画」に基づいて県民総参加による地球温暖化対策を推進するため、普及啓発活動や再生可能エネルギー導入促進に向けた取組を支援していきます。
 「社会資本等」の分野では、一般国道107号梁川から口内など地域間の交流・連携を支える道路の整備や日常生活を支える安全な道づくりを進めます。
 さらに、復興のシンボルとなる「希望郷いわて国体・希望郷いわて大会」の成功に向け、市町村や関係団体、企業など県民の総力を結集し、オール岩手で取り組みます。また、スポーツの枠を超え、文化芸術イベントや民間事業と連動した新機軸の取組である「国体・大会プラス」などを展開し、大会のさらなる盛り上がりを図るほか、世界遺産サミットの開催など平泉世界遺産登録5周年事業に取り組みます。
 次に、5ページをごらんください。「岩手県ふるさと振興総合戦略」の展開における主な取り組みです。来年度は、昨年策定した総合戦略を実行に移していく年であり、「岩手で働く」、「岩手で育てる」、「岩手で暮らす」の3つの柱に沿った事業を展開し、ふるさと振興の取組を軌道に乗せていきます。
 まず、「岩手で働く」の柱では、やりがいや十分な所得が得られる仕事を創出するため、科学技術によるイノベーションの創出や農林水産物の輸出促進などを進めます。また、首都圏の移住相談窓口を拡充するなどU・Iターン対策を強化します。
 「岩手で育てる」の柱では、出会い、結婚、妊娠・出産、子育て等の各ライフステージに応じたきめ細かな支援を行うため、まず“いきいき岩手”結婚サポートセンター(i―サポ)の運営を通じ、結婚したいと願う方々の出会い、結婚を支援します。また、不妊治療費の助成を増額し、不妊に悩む方々を支援します。さらに、本年8月からは子育て家庭を支援するため、未就学児及び妊産婦に係る医療費助成の現物給付を実施します。
 こうした取組と合わせ、「岩手で暮らす」の柱では、文化・スポーツの振興やふるさとの未来を担う人づくりなど、岩手の魅力を高める取組を推進します。
 希望郷いわての実現に向け、これらの復興とふるさと振興の取組に全力で取り組んでまいります。
 発表事項の2つ目は、「平成28年度の組織・職員体制の概要」です。本格復興完遂や希望郷いわて国体・希望郷いわて大会の成功を最優先に職員定数を配置するとともに、いわて県民計画を推進するための体制強化を図りました。
 まず、本格復興完遂に向けては、復興事業等の進捗状況に応じて合計で441人の職員定数を配置するとともに、高田松原津波復興祈念公園内に国等の関係機関と連携を図りながら進めている震災津波伝承施設整備の本格化に伴い、復興局まちづくり再生課に特命課長を配置します。
 次に、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会の成功に向けては、国体・障がい者スポーツ大会局の現在の76人体制を維持するとともに、輸送・交通担当課長、宿泊・衛生担当課長などを配置し、体制を強化します。
 次に、いわて県民計画の推進に向けては、世界的な競争下にあるものづくり産業に関する企業誘致、産業集積、人材育成等の施策を一体的に行うため、ものづくり自動車産業振興課と企業立地推進課を統合し、ものづくり自動車産業振興室を設置します。
 その他ラグビーワールドカップ2019の開催準備業務や児童虐待相談体制の強化を図るため、職員を増員します。
 次に、職員体制について、平成28年度当初における知事部局の職員数は、本年度より10人程度多い4,450人程度となる見込みです。マンパワーの確保に向けて、引き続き任期付職員の採用や全国の都道府県等に対する職員の派遣要請等を進めているところであり、本格復興完遂年を支える体制構築を図っていきます。
 発表事項の3番目は、「いわて県民計画第3期アクションプランの策定について」です。いわて県民計画に掲げる希望郷いわてを実現するために、平成30年度までの今後4年間に重点的、優先的に取り組む施策や目標などを盛り込んだ、いわて県民計画「第3期アクションプラン」を策定しました。このプランは、「岩手県東日本大震災津波復興計画」と軌を一に進め、昨年10月に策定した「岩手県ふるさと振興総合戦略」を包含するものであり、今後これらの2つの計画と一体的に推進していきます。
 政策編では、政策推進目標として第2期プランで掲げた「人口」、「県民所得」、「雇用環境」、「地域医療」、「再生可能エネルギー」、「防災」に新たに「こころと体の健康」を加えて7つの具体の目標を掲げました。また、第3期アクションプランの計画期間がいわて県民計画の最終期間であることを踏まえながら、7つの政策に基づく42の政策項目について取り組みを進めます。
 地域編では、広域振興圏の目指す将来像の実現に向けて取り組む重要施策を盛り込み、被災地域の復興支援に向けた取り組みやふるさと振興に向けた取り組みを推進します。
 行政経営編では、県政運営の基本姿勢について4つの基本方針ごとに具体的な推進項目を掲げており、特に第3期においては経営感覚を持って重要な課題に財源や人的資源を配分し、効果的、効率的に取り組み、成果を上げる行政経営の視点を重視して、計画全体の目標達成に向けた取り組みを推進します。今後このアクションプランを着実に推進し、いわて県民計画に掲げる希望郷いわての実現を目指してまいります。
 発表事項、最後の4つ目は、「岩手県国土強靱化地域計画の策定について」です。国土強靱化基本法に基づく地域計画として、今般、「岩手県国土強靱化地域計画」を策定しました。この計画は、いかなる大規模自然災害が発生しても致命的な被害を負わない強さと速やかに回復するしなやかさを持った安全、安心な地域社会の構築に向け、岩手の強靱化に関する施策を総合的かつ計画的に進めるための指針となる地域計画であり、平成28年度から平成32年度までの5年間を計画期間としています。
 計画の策定に当たっては、ハード、ソフトの双方から、また東日本大震災津波の経験等も踏まえ、あらゆる視点から検討を行い、計画期間において優先して取り組む34の施策を重点施策として選定、位置付けています。今後当計画に基づく取り組みを着実に進めてまいります。
 以上です。

広聴広報課
 以上で知事からの発表を終わります。

幹事社
 それでは、ただいまの発表事項4件について各社から質問があればお願いいたします。

記者
 予算案について、まず5年連続の1兆円超となったわけですけれども、全体額に対する受け止めと、あと、また震災復興分が2年連続で4,000億円を超えるわけですけれども、復興分についての思い、2点お聞かせください。

知事
 必要に迫られてそのくらいの大きな額になっているのですけれども、これで壊れたものを直し、新しくつくるということを中心に、復興に必要な事業を力強く進めていくことができる県の計画での本格復興期間というのをやり抜くことができるというふうに思っております。

記者
 特に復興予算の部分で、ハードの整備の方は事業進捗に伴って、予算はピークを過ぎた事業もありますけれども、逆に被災者支援の方で本年度よりも増額されている事業もあります。特に力を入れたい部分、2016年度において力を入れたい部分についてお願いします。

知事
 これは、復興というのは究極的には1人1復興であって、被災者イコール復興者の一人ひとりが今どういう状況にあるかを踏まえながら、きめ細かにやっていかなければなりませんので、そういったきめ細かさと、一方でハードについては、事業量の確保ということをしっかりやっていかなければならないという、その辺に配慮しながら予算を調整しました。

記者
 ちょっと何点かあるのですが、今の話にも関連するのですけれども、震災から5年たつことで、市町村間の復興の進みぐあいですとか、あるいは被災者の方一人ひとりの復興の度合いというのがさまざま差が広がってきている中で、今回特に気を付けた点、繰り返しになるかもしれないのですけれども、そこを改めてお伺いしたいのですけれども。

知事
 あと一方では、県として責任を持ってきちっとやっていかなければならない県立病院の再建でありますとか、あとは警察関係の施設でありますとか、そういったところをしっかりやる、防潮堤等の防災施設に加えて、そこをしっかり確保したというふうに思います。

記者
 それから、今年度から発生する地方負担分が約25億円で、そのうち24億円を県債発行で財源を賄うということなのですけれども、改めてこの規模感といいますか、初めて導入される地方負担について、この程度の額だということについての所感を伺いたいのですけれども。

知事
 1円でもお金というのは貴重なものでありますから、額の大きさ云々ということもさることながら、去年の今ごろは引き続き国費で、ということを要望していた部分について、地元負担が拡大し、それに対し県民の皆さんからはちゃんと財源が確保できるのかという心配もあったわけでありますけれども、県債という手段ではありますが、きちんと財源を確保して復興が遅れることのないよう、このことを理由として復興が遅れることのないようにできたことは良かったと思っています。

記者
 ただ、今気になっていたのが、県債発行24億円程度発行、その一方で県税収入の増収見込みが前年度と比べると24億程度増収が見込まれていると今回あるのですけれども、単純に数字を差し引きすれば、せっかく増えた県税収入増収分が、地方負担分の負担の県債発行額、いわゆる借金ですね、相殺されてしまうのではないかという見方をちょっとしたのですけれども、その点について知事どのようにお考えになられますか。

知事
 去年の今ごろ、まさに地方負担を拡大しないようにということを言っていたわけでありまして、税収が増えた分というのは他にいろいろ使い道があるわけですから、そういった当初の思いからすれば、地方負担拡大分は大変になったなというふうに思います。

記者
 その点も踏まえて、県財政の健全化というところでいくと、今回6年連続でプライマリーバランスは黒字ということですけれども、かなり歳出を削減する部分というのは努力もされていると思うのですけれども、改めてどの点に留意して歳出削減の努力というのを今回されましたでしょうか。

知事
 プライマリーバランスの黒字は維持をしつつ、必要な予算は確保するという中で、基金の取り崩しというのは結構取り崩す格好になっていて、そういった中で財政規律を維持しながらも所要の予算額を確保するということに苦心したところです。

記者
 今基金の取り崩しというお話もありましたけれども、歳出の削減もかなりぎりぎりにされていて、基金というのも当然無尽蔵ではないわけで、必ず補填しなければどんどん減っていく。そうすると県税収入、自己財源的な部分をどう増やしていくのかというのも一つあると思うのですけれども、県税収入をどう増やしていくかというところについてはいかがお考えでしょうか。

知事
 まずは、復興については、これはやらなければならないことですので、必要な事業をしっかり推進していくということがありますし、またふるさと振興関係も軌道に乗せていくためにはやはり手を抜けないところでもありますので、ただそれぞれ復興が進み、そしてふるさと振興が軌道に乗っていきますと、県としての税収基盤も充実してくると、県民生活や県民経済が充実してくるということでありますので、そういう意味で今は、まずやらなければならないことをしっかりやるということで取り組んでいかなければと思っています。

記者
 今ふるさと振興の話で、今回さまざま事業がついていますけれども、当然全国各地で地方創生というのが言われていて、各自治体で移住支援であるとか、働き方の工夫であるとか、もうそれぞれ取り組みが全国各地で活発になると思うのです。その中で、例えば今回の事業の中で岩手らしさを出した部分ですとか、独自性を出した部分なんていうのはどのような工夫されましたでしょうか。

知事
 岩手らしさというのは、自然環境でありますとか、そこから得られる農林水産物、食、そして歴史や伝統というのが岩手の魅力として基本的にありますので、その中で大きく2つ。1つは、東京一極集中イコール地方からの人口流出を止めるための雇用の確保というのを軸にした産業関係の施策でありますとか、生産性向上に関わる人材育成関係でありますとか、そういったことが1つの柱ですし、もう一つは少子化や出生率の低下の背景にある全国的な生きにくさを岩手において生きやすさに変えていくためのライフステージに応じた施策ということでありまして、事業の内容として他の都道府県と同じようなものもあるかもしれないのですけれども、そこは理念とか政策の組み合わせの仕方、また背景となる自然や歴史文化といった中で岩手らしさというものが出てくるというふうに思っています。

記者
 今質問があった部分で、ちょっと繰り返しになるところもあると思うのですけれども、地方負担分が25億円出たことについては、負担分をそもそも求めない中で25億円という数字が出てきたこと、まずこの額についての受け止めは率直に言っていかがですか。

知事
 さっきも、お金というのは1円でも大切ですし、県の借金を増やすということは、1円であっても増やすことというのはちゅうちょされることなわけですから、それが25億くらいの数字になるということについては、やぶさかではないの反対、それについてはじくじたるものがあると思います。

記者
 というと、やっぱりもう少し配慮してもらいたかったなという心境はあったのでしょうか。

知事
 それは、当然そのとおりです。

記者
 先ほどもちょっと質問が出て重複になりますが、基金の取り崩しについて伺います。実際に主要3基金が多分20年前から比べて4分の1以下ぐらいまで今減ってきてしまって、震災前ぐらいからもう一回ちょっと積み始めていたのに、またここ2年ぐらい崩す方が大きくなってしまっているという状況があると思うのですが、率直にこの基金を取り崩すことについてまずどういう思い、考えがあるかお聞かせ願えますか。

知事
 基金は、あればあったにこしたことはないのですけれども、一方で本格復興完遂というミッションと、そしてふるさと振興を軌道に乗せるというミッションから必要な財源は確保しなければならないということもあり、その兼ね合いの中で今回こういう判断をしたということです。

記者
 財政的にそういう独自でやらなければいけない復興であるとか、ふるさと振興など使いたい分のお金というものと、どうしても必要な社会保障費の増大とかで、やはり取り崩さなければなかなか首が回らないという、そういう財政状況があるというのは率直にどうでしょうか。あるのでしょうか。

知事
 取り崩しているということは、やはりそれだけ必要に迫られ感が強いということであります。

記者
 今の財政再建の関係なのですけれども、今必要に迫られ感があって取り崩しているということでしたけれども、要するに今が勝負どころだというところだと思うのですけれども、とはいえども377億円まで減ってしまったということで、これから中期財政見通しでは28年度末で枯渇するという見通しを示しておりましたので、それよりは選択と集中等で何とか健闘しているという見方もできると思うのですが、そうはいっても長続きしないという中で、先ほど入りを増やすというような話もありましたけれども、出を減らすというところも一体で取り組んでいかなければいけないのではないかと思いますけれども、今後その財政再建についての考え方はどうでしょうか。

知事
 今回の予算編成に当たっても、古い事業はやめてしまって、新規の事業にスクラップ・アンド・ビルドで立て直したりとか、それからインフラ関係の公共事業でも基本的に一定割合減らす方向で調整をしたりとかもしていますし、そういう意味では歳出削減の努力というのは今回の予算でもしているし、これからもやっていかなければならないと思います。

記者
 ありがとうございます。それから、今回の予算について、「本格復興完遂予算」というふうに命名されました。これは、意図するところというのは本格復興期間3カ年の最終年であるということで、計画期間を完遂するという意味なのか、それとももう少し大きな意味で、ことしで復興そのものをある程度仕上げたいという、要するに本格復興期間というそれにとらわれたものではなくて、もう少し大きな意味なのでしょうか、どのような意図でつけましたでしょうか。

知事
 県が事業主体となって整備をしている防災関係施設、そして災害公営住宅、あと大きいところでは県立病院といったところについては、平成28年度でその主なところを大体めどをつけるというような意気込みで新年度をやっていきたいという、そういう思いであります。

記者
 今の関連なのですが、知事、かねがね量の確保と質の向上というふうにおっしゃっています。沿岸被災地の間で地域差もあるかと思うのですけれども、全体としてはまだ復興の実感が乏しいというのが少なからず本音だろうというふうに思います。本格復興完遂予算を執行した年度末には、ロードマップ的な計画上の進捗ではなくて、被災者の実感としてこのように復興を進めたいというような何か思いはありますでしょうか。

知事
 さっき述べましたような県が事業主体となっているような、復興の中で骨格になるような社会インフラについては、完成させていきたいというふうに思っています。一方、県の本格復興期間が始まるころから、市町村のまちづくり、面的整備も始まったわけですけれども、そちらは市町村によってはもう終わっているところもあるし、県の本格復興期間とそろって新年度中には大体終わるというところもあれば、さらにその先までかかるというところもあって、さらにその先までかかるというところについては、住宅関係が主に残る格好になり、プラスあと広くまちづくりなので、そこは残るとまだ復興全体としては終わった感じがしないという意識は残ると思います。

記者
 ありがとうございます。知事おっしゃったとおり、恐らく28年度はハードが随分進むことになると思いますけれども、そうして要するに住宅再建、生活再建が進んでくるといろいろな価値観に基づいたまた営みが発生してきて、またそれに基づいていろいろな複雑な課題も出てくるのだろうと。その辺り県としてはどのようにそういう課題に対応していきたいというふうに考えていますか。

知事
 基本的には市町村、特に県の本格復興期間が終わった後もまだ本格的な復興まちづくりなどが続く市町村にしっかり寄り添いながら、新しい課題、また前からある課題の変化にきちっと県もついていって、寄り添ってついていって、一緒に解決していくというふうにしていきたいと思います。

記者
 ふるさと振興総合戦略に関連して、今回の予算案でも数多くの事業が総合戦略に関連してということでついていますけれども、これまで既存の事業とかも盛り込まれていて、かなり総花的な取り組みになっているのではないかと思うのですが、先ほど知事、軌道に乗せていくというお話しされていましたが、果たしてどれほどまで軌道に乗せるというところに実効性があるのか、そこら辺の考えをお聞かせください。

知事
 私が今考えていますのは、沿岸の市町村で過去3年間に20歳から24歳の年齢層の人口が20%増えたということがあって、いくつかの市、久慈市と釜石市ですね、久慈市と釜石市に至っては震災前よりも20歳から24歳の年齢層の人口が増えているということがあります。これは、復興事業の中で、まず雇用の確保ということで仕事ができるということをしっかり確保してきたことが功を奏していると思いますし、またその仕事についても水産加工場のカイゼン方式での新しい新工場の工夫でありますとか、そういう震災前よりも先を行くような働く場というのが沿岸の方に今どんどんできていると。プラス、沿岸の高校生も含む若い人たちと私もしょっちゅう会って話もしているのですが、震災をきっかけにふるさとへの思いが非常に強くなっているなと思いますし、また復興事業に参画していくやりがい、生きがいというものも強く感じているなと思いまして、そういう雇用の確保プラス生産性の向上による雇用の条件、労働の環境の向上ということと、ふるさと意識の高まり、そして新しい事業にみんなで参画しているのだというやりがい、生きがい、こういうのをオール岩手で進めていくことで、今までにないような効果を出していくことができるのではないかなと思っておりまして、そういう沿岸で起きていることを全県に押し広げるような形で進めていけば良いのではないかと思っています。

幹事社
 それでは、発表事項以外について、本日は記者クラブからの質問ありませんので、各社から個別にあればお願いいたします。

記者
 台湾の今回の台南市の南部地震ですけれども、これを受けてどういう感想か1つと、それから実際岩手が震災を受けたときに200億ぐらいですか、義援金をいただいているわけですが、支援策などを検討していれば教えていただきたいと思うのですが。

知事
 大変強い地震で、大きな被害も出ていて、亡くなられた方々のご冥福をお祈りしますし、また被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げたいと思います。県としても、まず私から正式にお見舞いを発出したいと思っていますし、また、きょう県庁1階県民室に募金箱を置きました。東日本大震災のときに大変お世話になった台湾の皆さんが、今やはり地震という自然災害で大変な状況にあるということで、既に県民の皆さんの中にも何かしたい、助けたいという気持ちが広がっているなという、そういう手応えも感じていますので、そうした動きが良い形になっていくように県としても取り組んでいきたいと思います。

記者
 県庁1階へのあれですが、何か具体的な策、支援策というのはまだ検討中ということでしょうか。

知事
 まず、早い段階、お金がやっぱり大事だと思いますので、募金箱をきょうから置いたほか、県としてのお見舞い金を送ることについても検討したいと思います。

記者
 復興関連事業に関連して、岩泉町の方で県発注事業の工事の関係で違法派遣があったのではないかということで取り沙汰されておりますけれども、その件に関して今のところ県として確認されている事実関係と、それについての所感と、あと今後の対応、何か今のところお考えであれば教えていただきたいと思います。

知事
 今担当部局で調査中ということで、特に当該企業に対しては社員名簿のような、そういった情報をきょう締め切りで提出を求めているところです。問題になっているのは、労働者派遣法ということなので、それを所管する国の労働局と一緒に情報共有を図りながら対応しているところです。

記者
 一部で、県の方もある程度そういう実態があったということを把握していたのではないかということで、その下請企業となった方から指摘があるようなのですけれども、その辺りに関しての調査ですとか確認というのは今のところされてはおりませんでしょうか。

知事
 報道にあったようなラインによるやりとりということについては、今のところそういうことがあったという報告は受けていません。

記者
 それは、確認をした上でなかったということ(でしょうか)。

知事
 そうですね。関係の職員に聞いたところ、そういうことはなかったという報告を受けています。

記者
 労働局とも連携してということでしたけれども、今後の対応、連携して企業に対して何か具体的な対応をされるということは、今のところはまだでしょうか。検討されているというところでしょうか。

知事
 労働者派遣法違反かどうかということについては、県の方で提出を求めた情報から違反が明らかになれば、それは労働局の方に伝え、労働局において取り締まるという格好になると思いますし、また違法行為ということがあったということになれば、そういう違法行為があった場合の会社との県の関係を規則に従って対応していくということになります。

記者
 それから、復興事業の関係でこういう法令違反なんかが今のところ疑われる状況だと思うのですけれども、こういう事態が起きているということに関しての所感はいかがでしょうか。

知事
 まず、一般論でありますけれども、復興事業というのは大勢の命が失われた大災害からの、また岩手だけでも何万人の人が関わる、そういう復興という、何万人という人たちの生活を再建していく復興という大事な事業でありまして、そもそも公契約において不正というのは許されるものではないのですけれども、そういう事業の趣旨や、また額の大きさということからも、より丁寧に契約、そして仕事をしてほしいというふうに思います。

記者
 昨日北朝鮮が人工衛星と称するものを発射しましたが、これについての受け止めをお聞かせください。

知事
 地域の平和と安全を脅かす行為であり、私としても強く異議を申し上げたいというふうに思います。強く非難をしたいというふうに思います。

広聴広報課
 以上をもちまして、記者会見を終わります。
 

 

次の定例記者会見は2月18日(木曜日)の予定です。

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