平成27年12月11日知事会見記録

ID番号 N41195

平成27年12月11日10時30分から10時59分

 
広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。本日は、知事からの発表はございません。
 
幹事社
 本日は、記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はありませんので、各社から質問があればお願いします。
 
記者
 災害公営住宅の家賃の関係なのですが、算定を誤って過大に徴収していたということがわかりました。これに対する知事の受け止めについて教えてください。
 
知事
 大変残念なことであり、私からもおわびを申し上げたいと思います。災害公営住宅利用者の皆さんの生活を支えていくところが行政の務めなわけでありまして、そういう中で今回のようなミスが起きたというのはあってはならないことであります。早急に対応するよう、そして今後こういうことがないよう県土整備部長にも指示しているところです。
 
記者
 早急に対応するということですが、年内なのか、年度内なのか、そのめどはたっているのかお伺いします。
 
知事
 これは、できるだけ早くすべきことだと思います。
 
記者
 政府の方で、今平成29年4月からの消費税の税率の10%引き上げに伴って、軽減税率制度の導入が早ければ今日中にも、というような報道があります。これに関して、食料品、加工食品含めて1兆円等いろんな情報出ていますけれども、知事、これに対するご所見をお伺いしたいと思います。
 
知事
 今回の議論の中で、軽減税率導入、話がまとまらないのであれば、消費税10%自体を遅らせるべき、先送りすべきみたいな論もある中で、急転直下で決まったようでありますけれども、国民経済をしっかり把握しながら、どういう税体系がまず国民生活の観点から望ましいか、そして国民経済にとって望ましいのかということは、もう少しよくよく議論をした方が良いのだと思います。やはり消費が停滞して、日本経済全体が低迷しているというのが今の状況でありますので、そういう中で今回、何か今決まりつつある税のあり方が本当にそれで良いのかどうかというのは、もう少し検討する必要があると思っています。
 
記者
 そうすると、今のお話だと軽減税率導入以前に10%を再来年の4月からということ自体も議論すべきではないかという考え方でしょうか。
 
知事
 今政府与党の中で、国民生活に影響の大きい食料品については、消費税増税はこれ以上できない、やらない方が良いと。その背景には国民の消費が弱くなっている、それが日本経済全体の停滞的な状況にもつながっているという判断があるのでありましょうから、そういう消費税のあり方に慎重な姿勢を政府与党が持っているというのであれば、その辺はもう少し議論された方が良いのではないかと思います。
 
記者
 恐らく政府としては、報道等で見る限りだと、そういう意味で当然経済が伸びないといけないということで、新3本の矢だったり、一億総活躍社会だったり、今それぞれ都道府県でも取り組む地方創生というところが伸びることで、その停滞している経済を回復基調に乗せて、消費税は上げるという感覚なのかなと思うのですけれども、地方側の取り組みも同時に求められている中で実際に取り組んでいるところだと思うのです。そうすると、慎重なというか、ある程度状況はかなり見守らないと、今々すぐ、ではもうやめますとか、何か景気条項を取っ払って10%の税率引き上げは決めるということで選挙をやったと思うのですけれども、その辺り慎重なというか、状況はもうちょっと見る、推移を注意深く見守った上で結論はすぐすぐ決まったことというふうにしない方が良いという捉え方をすべきということでしょうか。
 
知事
 どれだけ日本経済が弱くなっているのかという議論がまだ足りないのではないかと思います。全面的な消費税10%増ができないような状況だという話は、今まで政府与党の方からはっきりした形で出てきたことはないわけですから、論理的には税を緩める方向の他に政府の歳出を増やして、ILC国際リニアコライダーなどもそうでしょうが、筋のいい公共的な投資を増やすことによって、国民経済、国民生活を引き上げるとか、いろんな手があるのだと思いますけれども、そうした総合的な経済、財政政策のあり方というものの中で、では消費税はどうすればいいかというのは決まってくるのだと思います。
 
記者
 ありがとうございます。もう一点お聞きします。来年の参院通常選挙に向けて、先月末に現職の主濱了さんが次期選挙に向けても意欲を示されました。知事選においても、達増知事を応援する勢力として主濱さんは参画されていましたけれども、これについて知事の受け止めというか、ご所見お伺いできればと思います。
 
知事
 県民的な盛り上がりといいますか、私の県民党スタンスにふさわしいような形の中で参院選に立候補という方がいれば、その方は私も応援していくというようなことはあり得ると思います。
 
記者
 ありがとうございます。それと、中央政界の方での今の野党結集ですね、今せんだって民主党と維新の党で統一会派の結成については合意が大筋でされたようですけれども、同じように知事選で協力というか、一緒に応援しようという勢力がまとまる動き、なかなか年内にどうなるか、参院選に向けてどうなるか見えませんけれども、知事は今どのようにご覧になっていますか。
 
知事
 ことしの知事選のときに、私の県民党的な姿勢に共鳴して結集してくれた政党が国政においても岩手で見せたような結集をやろうというのは良い話ではないかと思います。
 
記者
 どうでしょう、うまくいきそうでしょうか。どうご覧になりますか。
 
知事
 良い話は、やっぱり実現させた方が良いと思います。
 
記者
 税制大綱に盛り込まれた被災地支援の内容について伺いたいと思います。おおむねこれまでに続いていた減税措置が引き延ばされるというような内容が多いようですけれども、新たな措置として、津波浸水地域で私有地と公有地の交換に係る不動産登記の手数料、これを非課税とするという措置が盛り込まれたようです。おおむね沿岸部での面的整備、それからその集約を迅速化させるための取り組みかと思いますが、この点について知事の評価をお聞かせください。
 
知事
 当初5年で終わりみたいな形になっていたのがさらに延長されること、また津波浸水地域の土地の取得をやりやすくするための税制措置、それぞれ岩手県からも要望・提案していたことですので、それが実現したことは大変良いというふうに思います。さらに市町村と一緒に必要な要望・提案すべきことがあれば、さらにやっていきたいと思いますけれども、また今回の税制大綱が実現していくことも前提にしながら、それを活用した取り組みも市町村と調整して進めていきたいと思います。
 
記者
 もう一点伺います。きょう参院の方でまた閉会中の審査が震災・原発問題の特別委員会で開かれていますけれども、主な争点として復興大臣の政治資金問題などが取り上げられるようです。今この閉会中審査を行うような状況に至って、大臣のそういった政治活動の個人的な問題が取り上げられることについてのご意見をお聞かせください。
 
知事
 岩手と復興庁の行政のトップ同士の関係としては、市町村・県・国・行政が一体となって被災者・被災地に寄り添うという姿勢で取り組んでいこうということを確認し合いながら、そのように進めておりますので、私としては今現在高木大臣が復興庁のトップであるということを前提に一緒に仕事をしていくということであります。
 
記者
 震災復興の事業の検証についてお伺いします。宮城県が震災もうすぐ5年を迎えるのを前に、過去の大小、震災復興事業を検証するという意向を示されました。宮城に関わらず、岩手県はどういう検証をするのか、お考えをお聞かせください。
 
知事
 今やっている復興をより確かなものにしていくためには、年度ごとに岩手では計画に関して進捗状況等を評価し、そして変えるべきところは変えるということを年度ごとにやっていますし、また特に1期、2期、3期と復興期間を3つに分けて、1期から2期に移るとき、2期から3期に移るときには、それまでの復興のやり方を振り返りながら、新しい期別の実施計画を決めていくという作業をやっています。来年度で第2期本格復興期間が終わりますので、第2期について検証をしながら、第3期の計画を立てていくということになると思います。第1期から第2期に移るときには、若者・女性の参画というのをより強化した方が良いだろうということ、それは生活の復興というところをより重視しようという中でそういうことにも力を入れようと決めたわけですし、あとはハード的なことについてはロードマップの改定のたびに状況を確認して、そして遅れているところについては遅れを挽回するような手をその都度行うというやり方でやっています。
 一方、あと検証というのは、教訓を他の人たち、地域に生かしてもらうための検証という作業もあるのだと思いますけれども、岩手県ではまとまった作業としてはことしの国連防災世界会議に向けて、まず世界に発信できるような水準のまとめをやって、そして報告書をつくったところでありますし、またこれも年に何回か県内において、また県外において復興フォーラムを開きながら、教訓になるようなことを全国の皆さんや外国の皆さんとも共有しようというようなことをやっていますので、そういったことをこれからも進めていく形になると思います。
 
記者
 先ほどの税制大綱の被災地支援の部分の跡地の申請区域の非課税の関連で、今月初めに政府要望された際には登録免許税とあわせて不動産取得税も非課税とするようにということで県の方は要望されていたかと思うのですけれども、今回どうも報道されている限りではそこは、不動産取得税の分まで非課税になるというのはどうも盛り込まれていないようで、そうすると多少改善はされるのでしょうけれども、もともとの民有地の地権者の方にとってみれば負担感というものは完全に取り払われるわけではないと思うのですけれども、その辺りの評価はいかがでしょうか。
 
知事
 国会に法案として出た段階で、正式に政府として決めた格好になりますから、その前の閣議決定が正式に決まったことになるのかな。いずれそれについて市町村とすり合わせながら、さらなる要望、提案をどういうふうにやっていくかということを、決まったことと決まったことの活用の仕方と併せて調整していきたいと思います。
 
記者
 それから、先ほどの復興大臣の件なのですけれども、今のところは高木大臣が継続していくということを前提に進めていくということでしたけれども、ただ実際に先日の衆院の方での閉会中審査の特別委員会のやりとりなんか見ていても、ほとんど復興そのものの課題であるとか、今後の進め方という本質の議論がほとんど触れられる状態ではなくて、そこが国会で取り上げられる時間というのが限りなく短くなっている状況だと思うのです。そういう現状についてはどう捉えられますでしょうか。
 
知事
 日本国憲法で、内閣は連帯して国会に責任を負うということになっていますので、内閣と国会のやりとりの中で今そういうことになっているのだと思います。そこは、もう内閣と国会の間にお任せしたいと思います。
 
記者
 先日、安倍首相が来県された際に、復興支援道路の式典などで同じ場所で会われたと思うのです。その際、安倍首相とどのようなお話をされたのでしょうか。
 
知事
 その直前、高木復興大臣に面会して、要望・提案事項を伝えていろいろやりとりしていたこともあって、その概要についてかいつまんで紹介し、そういうふうに今復興庁を中心に政府と県の間でいろいろやりとりしながら復興に取り組んでいますというような状況を確認するようなやりとりをしました。
 
記者
 何か安倍首相から言われたことはあったのでしょうか。
 
知事
 正確な言葉はちょっと思い出せないのですけれども、その調子でやってほしい的なニュアンスのことを言われたというふうに記憶しています。
 
記者
 もう一点、知事は、ちょっと前の話なのですが、知事選の前に自民党さんを指して、ちょっと厳しい言葉で、ファシズム的なというような言葉も使われながら厳しく批判されたこともあると思うのです。あれからちょっと時間がたちましたけれども、自民党さんに、あるいは安倍首相に対するお考えに変化などはあったりするのでしょうか。
 
知事
 復興については、地元の声もきちっと聞いていただきながら、それが100%実現しているわけではないのですけれども、かなり配慮いただいているなという手応えを感じていますし、今復興関係で総理大臣とお会いする機会があったり、また年末、来年度予算に向けて、復興予算を中心にいろいろやりとりするような今の状況の中で、この復興への取組を中心に安倍内閣とは、国・県・市町村、行政が一体となって被災地、被災者に寄り添うというような、復興を強力に進めるという形で進んでいるなというふうに思っています。
 今聞かれれば、ああ、そういえば最近の自民党はそういうファシズム的な振る舞いについてはどうだったかなと、今聞かれて思い出そうとしたけれども、ぱっと思い浮かばないというような状況です。
そういえば、沖縄はちょっと気の毒だなということを思い出しまして、議会でも答弁しましたけれども、沖縄県民の皆さんの思いを尊重してほしいなということは今思い出しました。
 
記者
 改めてになりますけれども、知事の震災遺構への考え方と、今大槌町の旧町役場で、町の方で割れている、議会の方でもいろいろ難しい状況になっているかと思うのですけれども、これについて知事の所感をお聞かせください。
 
知事
 私は、発災直後から震災遺構という論点を立てることはいかがなものかとずっと思ってきて、そういう趣旨の発言をしていまして、まちづくりということを中心にした復興全体の中で、それぞれ地域あるいは市町村、また県という規模で取り組む場合もあるのですけれども、その中で例えば県であれば陸前高田市内に、国と、あと市と協力しながら、大きい追悼伝承祈念公園をつくらなければならないというような考えで取り組んできましたし、またジオパークとの関係で幾つかの遺構について、そういうジオパークの中に位置付けようというような取り組みもしてきました。恐らくそれぞれの市町村や、それぞれの地域において、いわゆる震災遺構と呼ばれるような施設は、全然千差万別、意味合いが違うのだと思うのです。それがそれぞれのまちづくりや復興の取り組みの中でどういうふうになっていくかというのは、やはり地元の皆さん、被災者イコール復興者の皆さんの考えをベースに決められていくべきことかなというふうに思っています。だから、一度政府が震災遺構については各市町村1件ずつ補助するみたいなことを政府において決めたときもやっぱり違和感があって、そういうものではないだろうと今でも思っています。
 
記者
 参議院選挙の先ほどの話にちょっと戻りたいのですけれども、先ほど知事は私の県民党のスタンスにふさわしいような中で参院選に立候補する方がいればとおっしゃいましたけれども、例えばことしの8月の盛岡市長選挙のときは、民主、生活が推薦した新人候補が現職の対立候補として出たと。知事ともかつて交流がある方でもあったと。さらに、構図としては社民も共産党も候補者を立てないということで、知事選と構図も、同じではないですが、似ていたという中でも、知事は関与されなかったというふうに記憶していますけれども、参院選の対応の仕方として、先ほど言った県民党にふさわしいスタンスというのは、具体的にではどのような条件がそろえば応援する可能性があるか教えてください。
 
知事
 条件の問題ではなく、全体として岩手を代表するにふさわしい人が県民的な広がりの中で選ばれていき、そして岩手の人らしい発言を議会の方でやってくださるというような流れが見えてくれば、それは知事としても応援すべきことかなというふうに考えています。
 
記者
 ありがとうございます。あと、この参議院選挙にも関わるのですけれども、11月の下旬辺りから自民党内で来年の参院選挙に併せて衆院解散総選挙を行ったらどうかという議論が随分出ております。これは、野党がまとまらないうちに、歩調が合わないうちに、あるいは消費増税をやる前にやった方が風向きが良いとか、いろんな判断もあろうかと思いますけれども、衆院解散総選挙に関しては去年の12月にやったばかりということでもあります。解散の話というのは政局の駆け引きに使われるというのは常套手段であると思うのですけれども、それにしても1年もたたないうちにそのような議論が出てくるということを知事はどのように受け止められていますか。
 
知事
 日本国憲法の解釈として、総理大臣の都合で勝手に解散をするということは許されないのだと思います。国民にとって何か重大な選択を迫られているような、そういう状況、あくまで国民本位に考えて、国民主権を担保する、実体的に担保する手段として内閣が、しかもあれは総理の権限ではなく内閣の権限ですから、内閣として国会に責任を果たすということを通じ、国民全体に責任ある内閣の判断として解散ということはあり得ると思いますけれども、イギリスでも解散権というのは濫用しないような、あれは制度なのか、運用なのか、いずれ急な解散というのがもうないようになっていますし、国民的なテーマがない中での解散総選挙というのは、日本の政治を混乱させたり、弱くしたりするような形で悪影響を及ぼす良くないことだと思います。
 
記者
 ありがとうございます。総理個人の判断による解散権の濫用は許されないという見解でしたけれども、もし例えばそのようなことがあったとすれば、では参議院の知事ご自身の対応の判断には影響を及ぼすものでしょうか。
 
知事
 そのときになってみないとわからないのですけれども、政府与党があからさまに国民に反する、憲法に反するようなことをするのであれば、それはそういうことをしてはいけないという人たちと力を合わせる局面はあり得ると思います。
 
広聴広報課
以上をもちまして、記者会見を終わります。

 

次の定例記者会見は12月21日(月曜日)の予定です。

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