平成27年9月28日知事会見記録

ID番号 N38991

平成27年9月28日15時30分から15時57分

 
広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。最初に、知事から発表があります。それでは、知事お願いいたします。
 
知事
 10月2日に招集する県議会9月定例会で提案の平成27年度一般会計補正予算(第2号)の内容の発表です。
 補正予算の規模は386億円、補正後の現計予算額は1兆1,499億円になります。今回の予算編成の考え方としては、震災分は、復旧・復興の進捗に伴う経費や公的医療施設の再建に要する経費など、本格復興の邁進に必要となる予算を、通常分は、世界遺産の理解促進や地域医療の充実など早期に取り組むべき施策に要する経費、高等教育機関との連携推進や中山間地域の基盤整備など、地域資源を活かした施策の推進に要する経費などの予算を計上しています。
 補正予算の主な内容は、震災分では、被災した河川等の復旧や災害公営住宅の整備、公的医療施設の再建、しいたけ等の産地を再生するための生産環境の整備などに要する経費を盛り込んでいます。通常分では、「橋野鉄鉱山」の世界遺産登録を契機とした記念イベント、企画展等の開催や、重症心身障がい者等の支援を担う人材育成に要する経費、市町村の地方創生総合戦略の推進支援や、中山間地域における畦畔(けいはん)除去等の簡易な基盤整備に対する支援、またラグビーワールドカップ2019の開催準備、いじめ防止に向けた体制強化や啓発などに要する経費を盛り込んでいます。
 東日本大震災津波からの復旧・復興とふるさと振興に向け、今後も適切に対応してまいります。
 発表事項の2つ目は、希望郷いわて国体冬季大会の実施本部の設置等についてです。平成27年10月1日で希望郷いわて国体の開催までちょうど1年、そして希望郷いわて国体は冬季大会と本大会の全競技を県内で開催する「完全国体」でありまして、幕開けとなる冬季大会に関して、きょうは3点発表します。
 第1に、希望郷いわて国体冬季大会を円滑に運営するため、庁内各部局の職員で構成する「冬季大会実施本部」を平成27年10月1日に設置します。知事が本部長、副知事が副本部長、最大で273人の県職員による体制となります。また、約80人のボランティアのご協力をいただき、開始式、表彰式、記録本部の運営などを行います。
 2つ目は、10月1日、冬季大会に係る選手、監督、報道関係者等の宿泊申込み受付、宿泊施設の手配等を行う拠点として、「希望郷いわて国体配宿センター」を盛岡市内に開所します。
 3つ目、冬季大会の両競技会における開始式の一般観覧者の申込み受付を10月1日から開始します。1月27日に盛岡市の県営武道館で行うスケート・アイスホッケー競技会の開始式に360人、2月20日、八幡平市の総合運動公園体育館で行うスキー競技会の開始式に400人という募集人員になります。参加費は無料。全国から集うアスリートの皆さんに熱いエールを送っていただきたいと思います。
 以上です。
 
広聴広報課
 以上で知事からの発表を終わります。
 
幹事社
 それでは、ただいまの発表事項2件について各社から質問があればお願いします。
 
記者
 補正の方と冬季国体の方とどっちも関わるかと思うのですが、補正の方には拡張国体としての補正予算が組まれたりで、機運の醸成を1年切ったところで図っていきたいというふうな補正も組まれていますし、先日知事もわかやま国体の方に行かれたと思うのですけれども、そういったものを踏まえて、来年いわて国体に向けて、知事としての意気込みというか、どう今後1年間かけて盛り上げていく、冬季大会、半年、もうすぐですけれども、盛り上げていくかというところを教えていただければと思います。
 
知事
 わかやま国体が始まりますと、次はいわて国体という格好になりますので、本当にいよいよだなという感じがしております。まして、冬季国体の方は100日ぐらいで本番が来るわけでありますので、いよいよ秒読みも最終段階に入ってきているなという感じがします。
 わかやま国体(総合)開会式に出席しまして、改めて国内最大のスポーツの祭典であり、また各都道府県持ち回りで開催することによって、各都道府県ごとに地域の力を高めていく機会でもあるなというのを改めて思いまして、わかやま国体も市町村ごとに競技会場を中心にさまざま飾りつけとか県産品の販売所を設けたりとか、また主な駅から会場への案内など、そういう交通機関関係のいろんな施設も、それから宿泊施設、ホテル、旅館等も国体、国体という感じで、県民一体となって国体を開催しているなという感じがしましたので、岩手も本番においてそういうふうになるように準備のラストスパートをかけていかなければならないなと思いました。
 あと、ちなみにフェンシングの会場と、それからテニスの会場を視察したのですけれども、入り口にゲートがあって、そのゲートを裏から見ると「来年は希望郷いわて国体で会いましょう」と書いてあって、「あっ、そんなことになっているのか」と改めて次がいわて国体だということが、私たち岩手県民にとってだけではなくて、全国の関係者の皆さんにとって次は岩手ということが今広がりつつあるということも改めて自覚しまして、しっかり準備しなければならないなと思いました。
 
記者
 補正予算にいじめ対策の啓発の予算も計上されておりますけれども、併せて条例の方も今定例会に提出されておりまして、それだと3本で、特に再調査委員会の条例の方が一番メーンなのかなと思うのですけれども、改めて今回の趣旨と狙いというところを教えていただけますでしょうか
 
知事
 国全体のいじめ防止の法律(いじめ防止対策推進法)が新しくできて、そして同時並行的に地方自治体における総合教育会議の設置ということも決まって、いじめ問題についても改めて県であれば県民的に取り組んでいかなければならないなというふうに思います。そういう体制を整備していくことと、そして県民の皆さんに県民みんなでいじめを防止していくのだという、そういう思いを新たにしていただくためにも、今回の条例と、そして予算についてよろしくお願いしたいと思います。
 
幹事社
 それでは、発表事項以外について、本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はありませんので、各社から質問があればお願いします。
 
記者
 10月1日からいろいろ新しいことが始まりますが、国の方でもマイナンバー制度ということで、国民一人一人に番号が付与させることになり、1月から実際にそのナンバーを使ったものが始まるということなのですけれども、知事として今マイナンバー制度についてどのように認識されているかということと、あと少々アンケートを見るとなかなか周知が進んでいないようなのですけれども、実際にスタートするに当たってまだ周知不足というところで課題も多いと思うのですが、知事のご認識をお聞かせいただければと思います。
 
知事
 セキュリティー上の問題ということが懸念としてマスコミ的にも話題になっていますし、岩手に限らず国民全体としてそこが心配なのだと思います。それで、市町村において国からの助言を踏まえて安全対策についても対応を進めているというふうに聞いておりますけれども、一方、市町村においてはセキュリティーに関する専門的な知識を持つ職員の不足でありますとか、安全対策に要する経費の負担が大きいことが課題としてあるというふうに認識しております。県としては、安全基準を明確に示すことや、安全対策に要する経費に係る財政支援等、必要な措置についてこれまで全国知事会を通じるなどして国に要請を行っておりまして、今後も国の支援を要請していきたいというふうに思います。
 
記者
 ありがとうございます。それで、もともとはというか、社会保障と税制に関してのマイナンバーだったのですけれども、年度当初に年金での情報漏えいと、今知事がおっしゃったような懸念されるべきことが起きて、実際税制に限ってだけの制度としてスタートするのですけれども、この制度設計等の問題とか、あるいはスタートするのに周知が不足しているということで、ご指摘のあったような懸念がますます拡大されるのではないかと思うのですが、そういったものに関して知事としてはどのように捉えて、どうあるべきだとお考えでしょうか。
 
知事
 長期的には、国の政府と地方政府と社会保障政府という、そういう社会保障のお金を集め、それを適切に運用して、そして社会保障の事務をとっていく、そういう大きな3つの政府で21世紀の行政ニーズに応えていくのが良いという考え方がありまして、そういう大きな改革の枠組みと別に、既存の枠組みで対応しようとするところで市町村の負担も大きくなっているのかなというふうに思いますので、社会保障については財源の問題もあって、それで消費税をどうこうとかいう話にもなり、やはり、より根本的な社会保障改革というのを国全体で考えていかなければならないのだと思います。
 
記者
 ありがとうございます。もう一点、別件なのですけれども、今中央政界の方で共産党さんが民主党に投げかけている国民連合政府構想というのがあって、今なかなか交渉中というか、先週末あたりでちょっと慎重な審議になっているようですけれども、前回の会見のときに安保の関連法制の件で私が質問したときに知事が、まず野党の結集ということに関しては政権交代の実現可能性の深さで支持率が違ってくるということだったのですけれども、こういった国民連合政府というような構想みたいなものが中央政界で行われていることに関して、知事どのように受け止めていらっしゃいますか。
 
知事
 基本的にばらばらであるよりも結集していく方が良いと思っているので、そういう議論が活発に行われるのは良いことだと思います。
 
記者
 今の時点だと、共産党と民主党と、あと維新の党ですか、あとはほかにも社民党さんとか生活の党と山本太郎となかまたちさんとかがいらっしゃるわけですけれども、この国民連合政府なるもの自体が発展していったほうがいいとお考えですか。それとも、いろんなものを模索して、先ほどおっしゃったようなばらばらより結集したほうがいいというものを模索して展開して発展していけばいいと、そういう受けとめというか、捉え方でしょうか。どうでしょうか。
 
知事
 今出ている話は、さまざまな世論調査などによると、安全保障関連法については反対している国民のほうが多いし、少なくとも今国会でやるべきではなかったというのが専門家のほとんど、そして国民の多数の意見なので、それを実現するために、いわば国会の政党ごとの議席数、政党間の議席割合ですか、それと国民の民意との間にねじれが生じているからそれを直そうということで、極めて自然な考え方だと思います。
 今の共産党さんからの提案は、安保関連法の廃案の1点に絞ってという話なのでしょうけれども、国民の多数意見ということの中には、経済・社会の格差をなくす、貧困をなくすとか、そういう中でまず地方から日本の経済・社会を強くしていって、そしてそういった基本的な日本の力強さをベースにしながら諸外国とも渡り合っていく日本という、一つの政策体系もつくっていくことができるのではないかと思うので、せっかくだからそういう方向にまで発展すればいいのではないかと思います。
 
記者
 今の話の続きなのですけれども、今の段階では安保関連法の廃止を一つまず来年の参院選に向けて下地をつくりたいということなのだと思うのですけれども、選挙協力にとどまるのかどうかというのは今後の協議次第ですが、安保では一つになれるかもしれないのですけれども、その他の例えば消費税の問題であるとか、経済政策であるとか、その辺はかなり各政党、考え方が違う人たちが今そういう協議をしようとしているわけで、かなり政策的に隔たりがある部分が大きいというところもあると思うのですけれども、その辺りについていかがでしょうか。
 
知事
 まず、安保関連法に反対する人たちの考え方、発言とか意見とか、そういうのを、主にツイッターですけれども、あるいは新聞、テレビ等の報道で見ていますと、ピケティを読んでいるとか、ピケティを読みたいと思っている、あるいは読んだ方が良いと思っているとか、そういう世界の最先端の経済社会政策に関心を持っていたりとか、あとはいろいろTPPに反対したりとか、共通点はあるのだと思うのです。また、およそ国会に議員として全国民の代表として参加する議員であったり、またそういう議員の集団、政党をつくったりしているのであれば、やはり自分たちが目指す方向に向けて多数を形成して政権をとるというのは、当然目指すべきことだと思うので、世の中の一部の人しか支持しないようなことを私たちは主張したいのだというのであれば、その人たちは国会議員でいるよりも評論家とかそっちの方で活躍した方が良いのではないかと思います。自分たちの主張する方向で日本の半分以上の人たちの支持を得ようと思うのが当然だと思うので、そういう方向に向かって、TPPについて反対だ、賛成だとかということで分かれるとしても、なぜTPPに賛成かというと、例えばそれで製造業が強くなるからというのであれば、別にTPPに参加しなくても製造業を強くする方法は他にいっぱいあって、現に今、円安誘導で製造業がすごい利益を上げたり、あと製造業の主要輸出国は今中国になっているのだから中国への輸出を増やす方法を考えたり、ということで、表面的に政策が一致しないようであっても、突き詰めていけば反対している人たちは農業をしっかり守っていかなければということでありましょうから、農業を守りながら製造業を強くするやり方というのはいろいろ考えつくわけで、またそういう創造的な、建設的な仕事を国会議員の人たちとか政党関係者はしていかなければならないのだと思います。
 
記者
 そうすると、知事ご自身のお考えだと、選挙協力という大分緩い連携にとどまらずにもう少し踏み込んだ、ある程度かたい連携というものを目指すべきだというふうにお考えでしょうか。
 
知事
 選挙協力がより効果的になるのは、より広範な分野で合意ができて、政権をきちっと運営できるという能力と可能性を示すことができれば、より選挙に有利になるわけだから、選挙のためだけと言っていると、それはちょっと弱いのではないかなと思います。
 
記者
 先ほど安保の関連の中で、政党間の議席の割合と民意との間にねじれが生じているというお話しをされていました。前にも知事に選挙制度の関係で伺ったことがありますけれども、完璧に民意を反映する制度というのはそもそもないのは存じているのですけれども、特に知事は小選挙区制度を支持されていたかと思いますけれども、今回安保の問題で小選挙区の課題が1つ出たのかなと思っていまして、やはり小選挙区制度というのは死に票が非常に多いという中で、接戦だとしても1票でも勝った人が当選をすると、小選挙区で1人だけが選ばれるということの結果が今回のあの安保の国会の運営にもその課題が現れたのかなと思いますけれども、今回見ていて選挙制度をどう受け止められていますか。
 
知事
 今のような国会の議席のバランスになっている根本的理由は、制度の問題というよりは今の多数派に対抗して立候補する側がさっき言ったような集団的自衛権を行使することには反対であったり、同時に格差・貧困問題にはしっかり取り組んでいかなければならないというような、はっきりそういう今の多数とは違う政策をやるのだという候補者をそろえ切れなかったから今のような議席数になっているのだと思うのです。だから、極端な例を言うと、対抗馬が全然立たなければ、幾ら国民が今の政権のやり方ではない政策を求めていたとしても、今の政権側がパーフェクトで勝ってしまうわけですから、今の民意と国会の議席のずれというのは、制度がもたらしたものというよりは対抗馬がきちっと立っていなかったということだと思います。
 
記者
 ありがとうございます。あと、先ほど自民党以外の勢力は、当然政権を目指すべきであるというお話しをされました。あと、野党共闘というのは結局選挙対策ではなくて政権を運営する能力を示すことが必要であるという話でしたけれども、振り返って、例えば細川政権の8党派連立のときみたいに、例えば野党が共闘して戦ったとしても、結果的にさっき出た政策の不具合のところで政権運営がもたついて、すぐ空中分解してしまうという前例もあったと思うのですけれども、今の国政のありようから見て、オリーブの木みたいな形で政権をとるというのが現実的なのか、それともやっぱり二大政党に収れんしていくべきだというふうに考えますか。
 
知事
 少なくとも日本のかじ取りをできる集団は、日本に2つ以上あった方が良いのです。1つしかないと、そこが大失敗したときとか、あるいは大失敗に向かって進んでいるとき、それを誰も止められなくなるし、直せなくなってしまう。だから、日本国の安全と繁栄というのをより確かなものにしていこうとすれば、常にオルタナティブ、選択肢、代替手段があった方が良いわけで、そういう意味で2つは欲しいと。3つも4つもあるなら、それはそれで、その3つ、4つの間で争えばいいのだと思いますけれども、今は一つもないのではないかというところが問題になっている。だから、少なくとも2つはそういう国のかじ取りができる勢力を日本の政治につくっていきましょうというのが今の日本の課題だと思います。
 
広聴広報課
以上をもちまして記者会見を終わります。
 
次の定例記者会見は10月2日(金曜日)の予定です。

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