平成27年9月7日知事会見記録

ID番号 N38545

平成27年9月7日10時30分から11時19分

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。最初に、知事から発表があります。それでは、知事お願いいたします。
 
知事
 まず、「いわて復興人」ポスターと動画による情報発信についてです。震災の記憶の風化ということが言われる中で、復興に邁進(まいしん)する岩手県について、改めて理解いただき、また関心を高めていただくために、ひたむきに復興に取り組む県内外の方々を「いわて復興人」として取り上げたポスターと動画を制作しました。ポスターは、このバックボードにあるとおり、6種類制作をして、東日本大震災(津波)から4年半の節目となります9月11日(金)から2週間、都営地下鉄全線で中吊広告を行います。ポスターは、このほか県外事務所、市町村、関係機関、支援団体に配布して貼り出していただくとともに、復興関連のイベントで貼り出します。
 動画は、ポスターと連動した内容で3種類制作しました。9月11日(金)から3週にわたって県ホームページ特設サイト、そしてユーチューブでも毎週金曜日に1本ずつ公開をしていきます。1回目の9月11日(金)は、ことし4月に復旧した机浜番屋群(つくえはまばんやぐん)とサッパ船乗船の体験に携わるNPO法人体験村・たのはたネットワークの動画を公開します。
 発表事項の2つ目は、いわて国体・いわて大会開催1年前(冬季大会100日前)イベント、「希望郷いわてスポーツフェスタ2」の開催についてです。希望郷いわて国体本大会と希望郷いわて大会の開催まであと1年、そして冬季大会の開催まであと約100日という節目を迎えることから、さらなる機運醸成を図るために、「希望郷いわてスポーツフェスタ2」を開催します。9月19日土曜日、10時から県営武道館と県営スケート場で開催します。ことしのわかやま国体・大会に出場する岩手県選手団の激励を目的とした結団壮行式、わんこダンスコンテスト決勝大会、デモンストレーションスポーツ体験会などを行います。これまで選手団結団式は、国体と全国障害者スポーツ大会それぞれ別に実施してきましたけれども、今回は合同で行います。また、希望郷いわて国体冬季大会の候補選手も参加します。参加費は無料、誰でも参加・観覧できますので、多くの県民の皆さんにぜひ足を運んでいただきたいと思います。
 また、この時期に各市町村でもさまざまなイベントが開催されますので、全県で希望郷いわて国体・希望郷いわて大会を盛り上げていきたいと思います。
 以上です。
 
広聴広報課
 以上で知事からの発表を終わります。
 
幹事社
 それでは、ただいまの発表事項2件について、各社から質問があればお願いします。
 
記者
 国体に関連してなのですけれども、間もなくわかやま国体が始まるということで、岩手国体の1年前の国体ということで、知事は県選手団にどのような活躍を期待されますでしょうか。
 
知事
 それぞれ競技団体ごとに競技力強化もことしに入ってかなり力も入っていますし、希望郷いわて国体・大会本番さながらの全国的な活躍をしてほしいなというふうに思っています。
 
幹事社
 それでは、発表事項以外について、本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はありませんので、冒頭幹事社から2点お伺いします。
  正式な任期に関してはこの先になると思いますが、実質的な3期目のスタートに当たって県政運営に向けた知事の抱負をお聞かせください。
 
知事
 3期目に当たっては、無投票当選という形ではあったのですけれども、希望マニフェストという形で政策の方向性も示しながら、県民の皆さんに訴え、またある程度、知事選があったかのように岩手各地を回っての運動もしまして、達増県政3期目、希望マニフェストの実現ということに対して、県民の皆さんの間に広い、そして強い支持があるという実感を持っていますので、この県民の皆さんの広い、強い負託を受けて3期目達増県政をスタートさせるというふうに、そういう思いで取り組んでいきたいと思います。
 
幹事社
 続きまして、きのう県議選の投開票が行われましたが、その結果を受けての所感を聞かせてください。
 
知事
 まず、投票率が低かったというのは、私も知事選があるかのごとく運動して、県議選の方も盛り上げようと思ったのですけれども、今までで一番低い投票率というのは残念だったと思います。私の無投票当選ということにつながる、支持してくださる勢力の結集に尽力いただいた現職の方で何人か落選されているのは残念ですけれども、一方、新人、元職で当選された方々もいらっしゃって、その辺りは悲喜こもごもという気持ちでいます。知事選に続いて県議会議員選挙も終わって、これから4年間の岩手県政を推進していく大きな体制ができたわけでありますので、知事、議会、それぞれの役割をしっかり果たしながら、また復興、そしてふるさと振興という大きなテーマについては連携もしながら県民の皆様の期待にしっかり応えていきたいというふうに思います。
 
幹事社
 ありがとうございます。各社から質問あればお願いします。
 
記者
 今の県議選の関係で改めてお伺いしたいのですけれども、今回知事選が無投票になったということもあって、達増知事を支援する議員の方、あるいはある程度批判的な姿勢を示している方々それぞれの勢力図がどうなるのかというところも一つ見どころというか、争点だったと思うのですけれども、大体改選前からかなり勢力的に競っている状態があって、改選後も今のところ言われているのは拮抗している状況は変わらないのではないかという、現職の方、ある程度落選、入れ替えがあったにせよ、人数的な割合というのはそれほど変わらないのではないかという見方が大勢なのですけれども、議会での支持基盤の強化ということ、希望郷いわてを実現する会というものを立ち上げてその支持拡大をしていこうというところで知事自身も県議選、かなり県内走り回ったと思うのですけれども、そういうところを踏まえると今回の結果というのは、いかが受け止められますでしょうか。
 
知事
 いわゆる勢力図というようなことについては、そこは注意深く見ていかれるのがよろしいのではないかというふうに思います。大きな変化は、まず4年前、東日本大震災(津波)直後、復興というのが大きなテーマの中で私が当選すると同時に議会においては民主党が過半数近くを占め、無所属の皆さんと合わせると過半数を超えたような形で2期目達増県政というのはスタートしているのですけれども、3年前の国政における民主党の分裂、そして安倍政権の誕生といったこの3年前の国政の変動の中で、岩手においては四分五裂と言われるような政治勢力の分散化という大きな変化が3年前にあって、そしてその3年前から2年前の参議院議員選挙にかけて四分五裂の中から平野達男氏を旗頭にして反達増で固まっていこうという形が2年前からできてきたと。一方で、私が県民党的スタンスで勝手連的な体制で3期目の選挙戦に臨みたいという話を去年11月にする中で、平野達男氏を旗頭という潜在的にあった水面下の動きがことしにかけて顕在化してきて、そこでいわゆる達増派、反達増派みたいなことが言われるようになったと思うのですけれども、それはあくまで平野達男氏を旗頭とする反達増勢力とそうでない側との構図であって、大体その構図のまま今回の県議選に突入はしているのですけれども、ただ県議選での争点として既に達増か平野かという争点はもうなくなっていたわけで、県議候補者の皆さんの新聞折り込みの公約、政策など見ていても、反達増というのを唱えて選挙戦を戦っている方というのはほとんどいなかったのではないかと思います。新聞なども読んでいましたけれども、私が気がついたのは、何か総決起集会的なところで達増批判をお一人やっていらっしゃいましたけれども、その人は落選していたりもしていて、構造としては達増対平野の構造が残った形での選挙戦になったのだけれども、でも既にそれは争点ではないというある種奇妙な形の県議会議員選挙になったのだと思います。
 今何か県議会が再編されるに当たって、会派というものを9月議会までにそれぞれ整理して議会に臨まれるのだと思うのですけれども、その会派がどうできていくかというのは恐らく達増対平野という枠組みはもう存在しないわけでありますし、県民の皆さんが期待しているのは復興とかふるさと振興とか、そういう重要なテーマ、あるいは県議会というのは国に対する意見書も出すことができますので、国政との関係とか、そういった大きなテーマで議会の方の会派の形というのもできてくるのではないかと思います。ですから、選挙、投票が終わった今の段階の形というのは、まだ新しい構造というのが見えてきてない段階にあると思っております。そして、一方私が知事選があったかのごとく17日間回って歩いて、平野達男氏が立候補断念するに当たって、事前調査でダブルスコアとか、トリプルスコアとか、そういう話が取り沙汰されているのですけれども、この17日間回って歩いた実感からすると、きのう達増知事を信任するか、不信任するかというような投票がもしあったとすれば、それは倍とか3倍とかいう差以上に、四、五倍ぐらいの差がついて、達増知事信任というふうに県民の皆さんは思っているのではないかなというような、そういう手応えを受けました。当初平野支持というスタンスをしていた県議候補、当選した県議候補を応援している人からも、「達増さん、良かったね」、「達増さん、頑張って」というふうに言われたりしましたし、無投票になった八幡平選挙区に無投票当選が決まった後、希望郷いわてを実現する会の団体車で入って広報活動をしたのですけれども、あそこは平野支持のスタンスだった県議さん2人が無投票当選が決まっているのですが、道行く人たちから「達増さん、おめでとう」、「達増さん、良かったね、頑張ってください」というように希望マニフェストのチラシを配っても大変良い反応が得られましたし、そういう意味で達増対平野という対立軸は既に終わっている話であって、その中で達増支持でいた皆さんはそのままそれは達増という存在は今でもあるし、希望マニフェストは存在していますので、そこを支持するというスタンスは変わらないのでしょうけれども、平野氏を旗頭にして反達増でいくと言っていた皆さんがそのまま反達増なのかどうかというのは、これはよくよくこの後見てみないと、あるいは聞いてみないとわからないことだと思います。少なくともそれらの皆さんの背景にいる県民の皆さんからは、かなり強い達増支持、達増信任の気持ちというのはあちこち回っていて感じられました。
 
記者
 もう一点いいですか。それから今県議会の会派のことに触れられましたけれども、今回知事選が無投票になったことの背景に野党結集というものが一つ要素としてあったと思うのですけれども、その構図がすぐ県議会に反映されるかどうかというのはなかなかわからないですが、ある程度県議会でも今四分五裂の状況をわかりやすくするためにもというのは従前からおっしゃっていると思うのですが、県議会でもある程度野党勢力の結集というものはしていった方が良いというふうにお考えでしょうか。
 
知事
 県民の皆さんは、そういうのを期待していると思います。
 
記者
 知事ご自身はいかがですか。
 
知事
 会派の構成はもう高度に議員の皆さん、議会の中の自立的な自治の動きですから、知事からああすべき、こうすべきというのは言うべきではないと思っています。
 
記者
 引き続き選挙の話でお願いします。今知事の受け止めをお聞きしましたけれども、私としては今回の結果は確かに平野ショックである程度影響を受けた人もおりますけれども、希望郷いわてを実現する会の共同代表の3人のうち、お二人が落ちているということで、私の受け止めとしては双方勢力、それぞれの2つの大きい勢力でいえば痛み分けだったのではないかなというふうに思っています。
 それで、選挙の結果についても、これは私の私見としてですね、衆院選に例えて、知事選を小選挙区の一つの岩手選挙区という大きい選挙区で受け止めて、あとそれぞれの選挙区の県議選を比例というふうに例えると、知事がおっしゃったように知事に対する支持は平野さんが抜けたことでさらに大きくなったというか、まとまったというか、あるいはもともとあったのかと私は思うのですけれども、それに対して県議選に関しては、当然達増さんは支持しているけれども、ある程度同じ支持勢力よりはバランスをとって対抗する勢力の方が当選しても良いのではないかということで、よく国政で言う振り子が振れるという言い方がありますけれども、そういった形になったのではないかなと私自身は思うのです。私の考えに対して、知事はどのようにお考えになりますか。
 
知事
 むしろ私への支持とか、これは選挙戦があればはっきり数字で出るのですけれども、そっちの方が比例的に数字が出てくるものであって、県議会議員さん方々の方が国で言うと小選挙区で当選する議員さんに近いものがあり、というのは平野支持スタンスでいて、今マスコミ的には反達増とか、達増派じゃない的に位置付けられているような方々の選挙の様子も結構近くで見たりもできたわけですけれども、応援している県民の皆さんが達増討つべし、達増のあれはやめさせるべしとか言いながら応援している様子というのはまず見かけないわけでありまして、そういう民意としてはあまり反達増ではないのに、選ばれた方がもし反達増を強く唱えるとすれば、それは国政の方で安保法案に反対している国民の方が多いのに、そういう人から選ばれた議員が安保法案推進を強力に言っていたりするような、そういう民意と選ばれる代表のずれみたいな現象は、むしろ県議さんの方に出てくるかもしれないというふうに思います。ただ、そこはまだわからないですからね、達増対平野という枠組みの中でそれぞれの立場で選挙戦を戦ってこられていたので、またその最中にあまり達増討つべしとか、あの政策はやめさせるべしみたいな話もない中で当選した当初平野支持スタンスの皆さんがこれからどういうふうにしていくかというのは、やはり注意深くご覧になった方が良いのではないかと思います。
 
記者
 ありがとうございました。わかりました。あともう一点、今もお話にあった安保法に関するものなのですけれども、政策的な差異というのはふるさと振興、地方創生に関しては各陣営が言っていたと思っていて、あまり違いがなかったように思うのですが、強いて挙げるとすれば安保法案に対する是非のところで分かれたのかなと。むしろ安保法案に反対という人は声を大きく上げましたけれども、政権与党側にいる方はそこをあまり争点にしないように県政課題に努めて絞って訴えていたように思いますが、安保法案による勝敗がついたというふうに、全部ではないですけれども、ある程度選挙結果に反映されたというふうに知事は受け止めていらっしゃるということでよろしいですか。
 
知事
 その所属する政党が国政では今議会中に安保法案を決めるというふうな姿勢でいても、御社アンケートでは、今議会では可決すべきでないというスタンスでいる候補者の方々というのも結構いたようでありますので、それもそういう意味では、さすが岩手県議会として選挙前に廃案の意見書を提出しているので、おおむね今回の選挙戦全体を見ても賛成ではなくて、反対という調子が顕著だったのではないかなと思います。
 
記者
 ありがとうございます。あともう一点だけ、間もなく自民党の総裁選がありますけれども、今のところちょっと出たいという人もいたようですが、安倍晋三さんが再選されるような動きのようですけれども、改めて所感を、結果はこれからですけれども、無競争になりそうだというのを踏まえて所感いただければと思います。
 
知事
 これも自民党という団体の自治に関わることでありますので、ああすべき、こうすべきというのはないのですけれども、ただ一般論としてここ数年政府与党による全体主義的、ファシズム的な動きとか、それを思わせる個々の議員の発言、行動とか、そういうのが社会的にも話題になっていたと思うので、何かそういう全体主義的、ファシズム的な流れで無投票当選みたいにはならない方がいいなと、そのくらいを懸念しています。
 
記者
 3期目の当選おめでとうございます。
 
知事
 ありがとうございます。
 
記者
 引き続きよろしくお願いします。今の県議選の関係を伺いたいのですけれども、個別の政党の結果を見ると一つ特筆すべきはやはり共産党が初めて3議席に伸ばしたということがあったと思います。知事はこの9日間ですか、県議選、県内いろいろ回られたと思うのですけれども、今回のこの県議選の情勢に安保の問題がどの程度反映されたと結果を見て考えますか。かなり影響したと受け止めるか、それとも思っていたほど影響しなかったのではないかと、どちらでしょうか。
 
知事
 一定の影響はあったと思います。県民の皆さんの間にもやはり一定の関心はあったと思いますね。私も街頭演説していて、県政の話だけして安保法案に触れないでいたりしますと、駆け寄ってきて「平和をお願いします」とか、「戦争させないようにしてください」とか言ってくる方がいましたし、やっぱり一定の関心が県民の中にあり、それは選挙結果にも一定の影響はしていると思います。
 
記者
 ありがとうございます。それから、知事選の方なのですけれども、知事は県民党をずっと貫いたというような受け止めでいらっしゃるのだと思いますけれども、結果的に構図が、平野氏が撤退したということはありましたけれども、政権与党が平野氏サイドに回ったということで、総体的に達増知事のカラーが、野党カラーが強まったのではないかというような印象を持つ県民は多いと思います。県議選の結果を踏まえて、改めて政党との関わり方をどう考えるかお聞かせください。
 
知事
 県民党的スタンス、勝手連的な手法というのは最初からそのつもりでありましたので、特定政党にだけ依拠するのでなく、県民党的な広がりの中で選挙に臨みたいというふうに考えていて、それで幾つかの政党が支持や支援を表明してくれたわけでありますけれども、そういった結集の中で、いわゆるダブルスコアだとか、トリプルスコアだとかという、そういう県民の支持の度合いについても圧倒的な差が出ていると。実は一番私を広く支持してくれているのは無党派というグループではないかなと思っていまして、与野党対決とか言われたりもしましたけれども、与党と野党の他に無党派という、与党より、野党より恐らく多い、人数的に多い、そういう県民の塊があって、そこにかなり支持していただいているということがあると思うのです。私の支持・支援を明言せず、当初平野支持で、平野氏が断念した後、旗頭がいなくなった人たちに対し、私の方から他の党と同様に私を支持・支援せよとは私の方からは言うべきではないと思っていて、そういうのはあくまでそれぞれの政党の団体としての自治・自立に基づいて決定されるべきものだと思うのでですね。ただ、私は全体主義、ファシズムはよくないと思うので、全てのそういう組織、団体が私を支持しなければだめとは全然思ってないわけでありまして、県民党というのは必ずしもそういう全ての県民が私を支持しなければならないという意味ではなく、大きな支持の広がりがあれば良いというくらいに感じていますので、そういう中では国政野党の皆さんに支持をいただいたということは、それはあるのですけれども、それが県民党ということと違うことになっているというふうには思いません。
 
記者
 ありがとうございます。県民党と違うことになっていないというお話、今あったと。それから、特定政党に依拠しない対応をしたと。一方では、先ほど野党結集を県民が望んでいるのではないかというお話もありました。そういう意味では、達増知事の今後の当面のスタンスとしては、安倍政権あるいは安保法案に対抗しなければいけないということで、野党側に軸足を置く、あるいは少なくとも安倍政権とは一線を画すスタンスで発言とか行動していくということなのでしょうか。
 
知事
 1つは、安倍政権と一線を画すとかという表現ですけれども、選挙中にも知事が国と全面対決するのは良くないとか言っていた人がいるようですけれども、行政の長とか、あるいは公に携わっている人に全面対決なんていうのは存在しないのであって、いざというときには助け合うのは当然だし、いざとではなくても、お互い納得できる部分については協力し合うのが当然だし、そういう意味で、要は中身の問題なのだと思います。ある組織に属しているがゆえに敵同士だ、みたいな発想はとても危険な発想だと僕は思っていて、ただ中身については、日本を全体主義ファシズム化しようということについては、これは火を噴くように反対して戦っていかなければならないとは思うのですけれども、それを捉えている組織に属しているから敵だとか、そういう見方は逆にヘイトスピーチ的に、こっちの方から逆にそういうファシズム的なものをこっちの方がそうなっていく危険性もありますし、公に責任を持つ者はその責任が大きければ大きいほどそういうレッテルで対立の図式とかをつくっては絶対いけないのであって、中身で私からすれば岩手県民のためによくなるようなことをさまざまな主体、それは国の政府であったり、外国の地方政府であることもあるし、県内の企業や団体であることもあるし、そこはそういう友敵関係というのは一切考えないで、ただそれぞれの考え方の違いというのはあるので、そこは調整していかなければならない。ただ、それは調整の対象であって、友敵の判断基準ではないということです。だから、安倍政権というものもそういうものとして対応していきます。
 
記者
 ありがとうございます。あと先ほど県議選の情勢に対して安保の問題が一定程度影響しただろうというお話ありました。本来ならば、安保に関心が高いということであれば投票率に当然反映されても良かったのかなという考え方もあると思うのですが、ここまで投票率が下がった要因は、県内を回られて何だったと受け止められていますか。
 
知事
 県議選がスタートしたころに、いま一つ有権者の皆さんのエンジンがかかるのが遅いなという感じはしました。選挙カーで回って歩いていても、「えっ、何」という感じで、「あっ、選挙だな」とか「県議選だな」と、ぴんと来ない人が多かったなという感じがしていまして、だからそこは理由はいろんな理由があるのだと思うのですけれども、やはり選挙区の盛り上がりというのが弱かったなと思いますね。
 
記者
 いろんな要因があるということですけれども、1つには平野氏が出馬断念して知事選が無投票になったという影響はあると考えられますか。
 
知事
 それはあると思います。過去の県議会選挙は知事選と連動しながら盛り上がっていたところがあって、私はそういう意味でも知事選があたかも続いているかのような運動をすることで盛り上げに一役買いたいとは思っていたのですけれども、でも突き詰めればというか、突き詰めなくても知事選は初日に終わってしまっていたので、そこはなかなか思ったようには盛り上げられなかったなと思います。
 
記者
 安保法制に関連してなのですが、今回の県議選でも地方選で安保法制を争点にするのは筋違いだというようなことを国政の与党の党首さんがおっしゃっていましたけれども、こういう見方についてはどういうふうに思われますか。
 
知事
 県議会は国政に対して意見書を提出できると法律上はっきり決まっていますし、憲法からいってもそうなのだと思います。知事は知事で、やはり必要に応じて国政に対していろいろ意見は言っていかなければならないと思います。必要もないのに知事や県議会議員あるいはその候補者が国政についてばかりあげつらって、地元に目を向けないのは良くないという考えはあり得るのだと思うのですが、ただ必要性については、事の重大さをどれだけ重く認識するかだと思うのですけれども、今、国会で起きていることがちょっと日本の歴史を変えるくらい重大なこと、日本の歴史が変わってしまえば地方のありようだってガラガラッと変わってしまうわけで、地方から声を出していかないと日本全体がまずいことになるのではないかという問題意識を多くの人が持ってもいいような状況だと思いますし、また実際にさっき言ったように県政の話だけしていると平和や戦争のことを言ってくる一般の方々もいて、県民の中に潜在的にやはり今回は安保法制問題を地方選挙の中で取り上げても良いという、そういう思いは県民の中にまずあったと思います。
 
記者
 これも県議選のときのお話ですが、国政と県政でねじれが生じるのは良くないというふうなことを国政与党の関係者の方がおっしゃっていまして、要は政権とのパイプがないのはまずいのではないかというふうなことですけれども、それについてはどういうふうにお考えでしょうか。
 
知事
 その論理を突き詰めれば、世界全体一つの政党の支配の下に置かれるべきだということにつながるファシズム、全体主義的な発想だと思います。さまざま考え方の違いというのは、まず水平的に地域によって、都道府県によって考え方の違いはあっていいわけですので、ここの首長さんは何党に近い、ここの首長さんはまた別の党に近い、そういう考え方だ、という考え方の違いは、これはまずそれを認めなければ、およそ民主主義の議論というのは成り立たないと思いますし、垂直的にも国の政府の考え方、地方政府の考え方、これは都道府県の首長の考え方、市町村の首長の考え方、さらには町内会長さんとかまで入れてもいいと思うのですけれども、そこにも違いがあり得るというのを認めなければ、およそ民主主義というのは成り立たず、その違いというのは調整の対象であって、その違いをねじれと呼んで、何かあってはならないものみたいにすると、それは世界全体一つの政党の支配の下にということになってしまうと思いますよ。
 
記者
 今のご意見も伺うと、達増さんと今の国政与党の溝を埋めるのはなかなか難しいなというふうに感じるのですけれども、そこら辺はうまくやっていかれるという自信はおありでしょうか。
 
知事
 僕は日本政府が、国民イコール岩手県民でもあるのですけれども、民意に寄り添いさえすればそんなに大きな違いはなくなってくると思っていて、安保法案だって多くの国民が反対しているのだし、TPPだってそうだと思いますし、また復興の進め方については地方負担のあり方についてはまさに調整の対象として違いがあって、それはそれなりに調整はしているわけですけれども、そういうふうにうまくやっている、決裂とか、そういうふうにはなっていないわけで、民主主義の原理原則に従ってお互いやっている限り、入り口の部分とかで考え方が違っていても、それはそうそう悪いようにはならないと私は思っています。少なくとも私の方は民主主義の原理原則から外れないようにやるという覚悟がありますので、ひょっとして国の側が民主主義の原理原則から外れていいとか思い始めたら、それは対立は決定的になりますけれどもね。
 
記者
 県議会議員選挙の話なのですが、今回女性の当選者が7人とこれまでで最も多い現状、併せて上位での当選者も出ているという、この現状について知事としてはどのようにお考えでしょうか。
 
知事
 良いことだと思います。私も衆議院議員時代に政党の岩手1区の総支部長をやっていたとき、積極的に女性県議会議員を誕生させるということでお二人誕生させたことがあったのですけれども、そういう努力は皆さんやられるべきだし、またそういう期待に応えて女性の皆さんにはどんどん立候補していただければいいというふうに思います。
 
記者
 県議会に与える影響もあればお願いします。
 
知事
 少ないことでさまざま弊害があるので、増えていくということは、基本的にそういう弊害が少なくなっていくことではないかなと思います。
 
記者
 前段の話に戻ってしまうかもしれないのですけれども、勢力図がどうなっていくのか注意深く見ていった方が良いと先ほどおっしゃっていましたが、そのとおりだと思うのですけれども、少なくとも今回希望郷いわてを実現する会に所属されていた方がたしか20人だったと思うのですけれども、少なくともその方々全員の当選はならなかったというのは事実としてあるわけです。そこの要因というのは、今の時点でどのようにお考えでいらっしゃいますか。
 
知事
 同じ選挙区で競争して、両方はとれなかったということが結構ありまして、やはり政党というものと違って、選挙戦の最中もなかなか希望郷いわてを実現する会というものが県民の皆さんに、政党の下でやるほど、比較すれば共産党さんが共産党という旗の下で選挙運動をするのに比べると、各党に属し、またあるいは無所属でいる方々が同じ希望郷いわてを実現する会の下で選挙戦を戦うというのは、やはりわかりやすさの点でいま一つだったなというふうには思います。
 
記者
 今後の政党とのスタンスのところで伺うのですが、昨年の衆院選はどこの政党の候補者の応援にも行かずに終わって、今回県議選ではさまざま各党の応援に行かれたと。来年になると、少なくとも参院選は間違いなく予定されているわけで、国政選挙でのスタンス、県民党でのスタンスというのは、今後どのようにお考えでいらっしゃいますか。
 
知事
 達増対平野という構図の中で、希望郷いわてを実現する会に入っていただいた皆さんとはやはり特別な関係ができたと思いますし、また政党として支持、支援を決めてくださった民主、それから岩手に議員さんはいないのですけれども、維新、そして共産、社民、生活、これらの5つの政党ともやはり特別な関係ができたと思っています。それ以外に無所属の方々とのさまざまなやりとりもあり、あとは私として常に意識しなければならないなと思っているのは、県民の皆さんの中で支持政党なしという、そういう無党派のこれがそれぞれの党よりも、一番支持率の高い政党よりも無党派の率が高いという、その方々のことも念頭に置かなければと思っていますので、そういう中からどこか1つの国政政党あるいは政治集団に、県民党、広く県民的な支持もそこに集まってきて、県民的な期待感もそこに集まってくるとしたら、私はそこと連携する可能性はあります。
 
幹事社
 そろそろ時間になりますので、最後の1人でも大丈夫ですか。よろしいですか。
 
記者
 選挙のことではないのですけれども、改めて3期目というところに関して。2期目は震災発生直後からの4年間で、震災復興に丸々尽力されたと思うのですけれども、改めてその4年間の復興を何ができて、(何が)できなかったというような総括が、今ないと思うのですけれども、それをする考えはありますか。
 
知事
 数え方にもよるのですけれども、県だけで300ぐらいの事業を進めていて、それぞれに遅れが出ているところもあれば、進んでいるところもあり、それら全体を一言でどう言うかというのは常に悩ましいところで、三、四十ページのレポートの形でお示しすることもあれば、100ページぐらいの年に1度のレポートで、より詳細にお示しするところもあるのですけれども、ただ言えるのは8年間の県の復興計画という大きな流れから大きく逸脱することなく着実に進んでいるということは言えると思います。大きな逸脱の危険が出てくるような資材不足の傾向、人手不足の傾向、市町村内あるいは地域の中での調整の遅れ、そういったことに対しても早目早目に手を打ちながら、それが全体をひっくり返してしまうような遅れにならぬよう調整をやっていくことができていると思いますし、またさまざま生活面の改善のようなことを女性の目線でアドバイスをいただいたり、議論していただいたりして、新機軸の生活支援を取り入れていくとか、若者目線の意見もいただきながら、新しい事業を加えていくとか、そういう形で何とか県の専門性をフルに活用しながら県民の皆さんの底力も引き出して岩手の復興というのは、まずしっかりと前進しているというふうに言えると思います。
 
記者
 それはわかるのですけれども、改めて4年間をレポートにするなり、そういう考えは今のところないのですか。
 
知事
 それはひとつ意見として参考にしたいと思います。
 
広聴広報課
以上をもちまして、記者会見を終わります。 
 

次の定例記者会見は9月17日(木曜日)の予定です。

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