平成27年8月3日知事会見記録

ID番号 N37855

平成27年8月3日10時30分から11時04分

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。本日は知事からの発表はございません。
 
幹事社
 本日は、記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はありませんので、各社から質問があればお願いします。
 
記者
 今年度、簗川ダムの大規模事業の評価の中で、再々評価ということで今年度行われます。一部で事業の見直しを求める声もあって、先週、政策地域部でしたか、所管部署のところに要望がありましたけれども、知事改めてこの事業についてどのように捉えていらっしゃって、そういった見直しの声に対してはどのようにご認識があるか教えていただければと思います。
 
知事
 最近の動きの詳細については承知していないのですけれども、基本的に簗川の治水、防災対策ということで、その必要性があり、また貯水するのであれば、さまざまその水の活用ということもいろいろあるということで事業をするものでありまして、基本的に現地、また盛岡市などの関係市町、合意の上で進められるというふうに理解しています。
 
記者
 そうすると、今の動きはということでしたけれども、基本的にこの事業は妥当であると、そしてその大規模事業評価の専門委員会の評価についても事業の継続が望ましいという、これから出るわけですけれども、そういった答えを期待されているというふうに受け止めてよろしいでしょうか。
 
知事
 簗川は、北上川との合流地点付近、住宅地もかなり広がっているところで堤が破れて水があふれたりとか、かなり過去の洪水の例とかそういう危険性というのはありますので、やはりそこにはしっかり対策をしていかなければならないと思います。
 
記者
 評価委員会の審査の過程を見守っていくという、今としてはそういう認識ですか。
 
知事
 そういう必要性を踏まえて審査をお願いしているというところです。
 
記者
 先週の土曜日、TPPの閣僚会合がありましたが、今回合意には至らなかったということですが、知事としての所感をお聞かせ願えますか。
 
知事
 改めてその必要性について見直しながら、拙速に走ることなく、日本政府には対応してほしいと思います。前にも言いましたけれども、TPP交渉に日本が参加しようということを決めた辺りは、国内産業が六重苦、円高に始まる六重苦ということで、非常に調子が悪い中でTPPに活路を求めたというところがあったと思うのですけれども、その後円高は解消されて、輸出関係企業は収益を大幅に伸ばして、雇用環境もまた改善されていっているわけでありまして、そういった必要性がTPP交渉を始めたころとは変わっているということを改めて国内的にも検討されるべきだと思いますし、またニュージーランドが強硬だということが報道で漏れ伝わるのですけれども、そもそもニュージーランドとかシンガポールとかチリでしたか、特定の輸出品目に大幅依存しているか、あるいはシンガポールのように全てを輸入に頼っているような特殊な貿易構造を持つ中小国が、たまたま太平洋を挟んだそういう中小国がお互いその特殊性を補い合ってうまくやっていこうということで始まったのがTPPで、そこに途中からアメリカ、やがて日本という経済大国が入ってきて、あらゆる国際経済関係全てを包摂するようなルールづくりをやろうとしてきているわけですけれども、知的所有権などの新しいルールづくりは、それはそれで必要性を感じるのですけれども、一方で貿易関係については、やはり20世紀冷戦の時代にとにかく西側は自由貿易という、これはイデオロギー的にも自由貿易を突き詰めていかなければならないし、それによって西側経済というのを東側に対抗して最大限効率化していかなければならないという、そういうご時世とは今は違い、お互いの国内事情に配慮し合いながらうまく貿易をやっていくということができる時代に今はなっていると思うのです。そういう貿易に関する諸条件とか、中小国と経済大国のさまざまな事情の違い、また貿易関係とそうでない知的所有権など新しいルールの時代の流れの中での位置付けの違い等々、今のTPPの枠組み自体に内在している無理がたたって、今みたいな行き詰まりに至っているのではないかと思うので、そういうところも改めて考え直すべき時期に日本政府としてはあるのだと思うので、繰り返しますが、報道で漏れ伝わるところによると、かなりの譲歩を日本側として用意しているみたいなのですけれども、安易な譲歩はしないように、TPP全体の見直しというところから考え直すべきだと思います。
 
記者
 見直すべきだということでおっしゃられましたが、今後、一方で来月にはまた会合を開いて、そこではもしかしたら至るのではないかというような話も出ていますが、県としてはどのように日本政府の方に訴えていきたいというふうにお考えでしょうか。
 
知事
 ただ、今回は、合意しないと決めたわけだから、これは一つ、いかにTPPに構造的な問題があるか、ということを世界に明らかにしたことだと思いますので、政府としては改めて基本のところから考え直すべきであり、その中で日本の国民の不利になるような妥結を急ぐことがあってはならない。特に農業関係で、復興の途上にある東北の農業というのも大きく影響を受けるわけですから、その大きく影響を受けることがあってはならないわけですから、そうならないように改めて慎重なアプローチを政府には求めたいと思います。そういう趣旨は、先週も全国知事会議で決議をしたところでありまして、それに基づいて高橋北海道知事、北海道・東北知事会議の会長さんでもあるのですけれども、ハワイに行ってもらって、くぎを刺してもらった格好になっています。
 
記者
 政府の方に要望とか、行かれることは何か予定されていることはありますか。
 
知事
 今回何か拙速な妥協で合意をしてしまったら、これは上京しなければならないかとも思っていたのですけれども、そうならなかったので、今はしばらく見守りたいと思います。
 
記者
 今の関連なのですが、TPPの見解に関して、知事はかねて、各国あるいは地域の事情に配慮した貿易秩序がつくられる結論なら良いがという前置きしていたと思うのですけれども、今回の一連の交渉の経過を見ていて、先ほどTPPの枠組みは行き詰まっているというお話がありましたけれども、このTPPを推進するというのはそもそもやっぱり無理があるという印象を強めたというような今の発言と受け止められるのですけれども、その辺りどうでしょうか、以前の考えと比べて。
 
知事
 貿易交渉としては、特殊な貿易構造を持つ幾つかの中小国がお互いの特殊性を補い合うためにスタートさせたTPPという、その路線でやっていけば良く、そこにはアメリカや日本は参加する必要はないと思うのです。アメリカや日本が考えるべきは、知的所有権など新しい国際経済ルールをつくっていくということで、それは農業をはじめとする貿易の問題とは切り離して相談していけば、それぞれがうまくいくのだと思います。
 
記者
 ありがとうございます。ということは、先ほど見直すべきではないかとおっしゃったのは、参加国の構成を見直すという話もある、あるいは対象となる品目とか分野を見直すという話もあり、あるいは全体を、そもそもTPPという枠組みを白紙に戻すという話もあると思うのですけれども、知事、どれが一番妥当だと思いますか。
 
知事
 TPPをスタートさせた中小国は、そこでまとまるのではないかと思うので、それはそれでまとめてもらえば良いと思うのです。アメリカ、日本が中心になって進めるのは、貿易交渉とは別の新しい国際経済課題に対応したルールづくりということを進めていけば良いのだと思います。
 
記者
 連日猛暑が続いていますが、それに併せて雨が少ないみたいな状態もありますけれども、この辺の今回のこの夏の気候に関して知事が懸念されていること、さらにはそれに対して何らか対応を考えていることなどがあれば教えていただきたいと思います。
 
知事
 雨が足りないということで、農業関係で、そこはまず一つ心配です。それから、異常な猛暑ということで、熱中症になる方が出てくるという、そういう健康被害が心配です。農業関係については、県の担当の方でも、これは昔から水が足りないときの農家の知恵というのはいろいろあって、そういった指導を今どんどんやっているところではあるのですけれども、恵みの雨が降ってくれるようにとそこは望んでいるところであります。
 熱中症関係については、まずこれもいろいろマスコミからも、エアコンも活用し、水分もとってというような注意がどんどん喚起されているので、県民の皆さんもそういうふうに気を付けて過ごしていただきたいと思いますし、また夏休みのシーズンで、けさの庁議でも私から言ったのですけれども、休みはしっかりとるようにと。これは、県内の各企業、団体等のそういう職場においても、普段の年以上に夏季休暇の取得の徹底等を図っていただいて、きちっと休みながら仕事をしていただければというふうに思います。
 
記者
 先週末31日の日にJR山田線について、積み残されていた課題について、各沿線自治体と県と、あとJR、三鉄さんで協定を結んだということなのですけれども、今後JR山田線復旧に向けて本格的な工事というのも目に見えた形で進むかなとも期待されるのですが、知事の所感について、今後復旧についてどうお考えでしょうか。
 
知事
 積み残されていたといいますか、まず大枠で合意をし、やがて技術的、専門的なところをどんどん詰めていくという、その作業がしっかり前に進んでいるということだと思います。三陸鉄道のさまざまな技術的な事情、そしてJR側の技術的な事情、それぞれすり合わせて、いろいろ駅舎のあり方とか、復旧の進め方とか、一通りの論点について合意ができましたので、あとは着工式はもう済んでいますので、どんどん工事が進んでいくことを期待します。
 
記者
 別の地域の選挙なのですけれども、選挙関係できのうですが、震災の影響で延期された仙台市議会議員選挙の投開票がありまして、5つある選挙区で、いずれも野党勢力がトップの得票で当選するなど、あと自民党で一部退潮傾向にあるなど、いわゆる安保法制の影響を自民党の方がもろに受けたのではないかという指摘もあります。被災3県の延期された選挙の皮切りに当たる選挙だったということで、今後ご自身の選挙もありますけれども、こういう傾向がどのように影響するかというのをどう受け止められますでしょうか。
 
知事
 安保法制については、戦後最長の国会の延長、そこに11本の法案を束にしてかけてやっているという、そういう一方で、ほとんどの専門家が反対し、また憲法違反であるという指摘をし、多くの国民が当初疑念を持っているという段階だったのが、反対の度合いが固まり、また時間がたつにつれて反対の割合も増えていっているという状況で、そういう中でさまざまな反対の声の上げ方についても、国会前のデモでありますとか、インターネットを活用した主張でありますとか、60年安保と比較されるような論もあるのですけれども、やっぱり21世紀も15年たちまして、そういう60年安保とはまた違う形で、国民がそれぞれ意思表示をするような感じでそれが高まっているなと思います。それは、当然地方選挙の投票行動においても、ここでやっぱり意見を発信したい、民意を表したいという、そういう思いで投票する人たちは出てくるのだと思うので、今おっしゃったような、ちょっと私は具体的な数字とかそういう結果は承知していないのですけれども、そこで今の国政、与党側の退潮、反対側の躍進ということがあれば、それは当然安保法制をめぐる今の日本の流れというものが出ているのだと思います。
 
記者
 選挙の件が出たので、知事選のこともお尋ねしたいと思います。9月6日が投票日なのですけれども、ほぼ1カ月となりました。改めて知事として知事選をどのように戦っていきたいか、教えていただいてよろしいでしょうか。
 
知事
 本格復興邁進(まいしん)年のちょうど年度の真ん中に差しかかっていくときでもありますので、まさに正念場を迎えている復興のあり方について、これまでの経緯、そしてこれからやっていかなければならないこと、県民的な理解を広く深く得られるようにということで、選挙がその機会になればと思います。そして、そこにふるさと振興、いわゆる地方創生のことも入ってくるわけでありまして、既に県としては5年間で、5年後には岩手からの人口流出をゼロにするというようなふるさと振興基本戦略と、また人口ビジョンをパブリックコメントにも供したところなわけでありますけれども、そういったふるさと振興に関する選挙ですから、今後4年間にどういうことをやっていくのかということに対する理解も広く深くしていきたいなというふうに思っています。
 
記者
 ありがとうございます。今くしくも知事がおっしゃったように、広く深くというところなのですけれども、どうも震災以降、選挙に対する関心度というと投票率ということで表れるわけですけれども、思うに任せず低いところがあって、それは県政だけではなくて、県内の市町村の選挙でも多々あると思うのです。今も特に盛岡でいうと、すぐお盆の終わり切らないうちに市長選と市議選が始まって、その間に知事選も始まるわけです。さらに月内には県議選も告示されるのですけれども、どうも有権者の方のお話を聞いていると、どの選挙に誰が出るかというのがまだわからなくて、その辺りは我々が努力して伝えていって、選挙があって、一票を投じてほしいというメッセージを伝えることもさることながら、選挙に出る方たちにも今知事がおっしゃったような今後4年間、あるいはその10年後、あるいはさらにもっと先の岩手がどうあるべきかということを占う大事な選挙だということを伝えていただければという気持ちがすごくあるのです。そういう中で、知事が今おっしゃったことに尽きるかもしれませんが、改めて投票率を上げる努力というのを政治に関わる方たちにはやってほしいと思うのですが、知事としてはさらにどんなことが発信できるか、ご自身への支持ということだけではなく、選挙自体への一票を投じる大切さみたいなものを何か訴えるお考えがあれば教えていただければなと思うのです。
 
知事
 日本の公職選挙法の大原則の一つが事前運動の禁止ということで、候補者本人というか、候補予定者本人ほど、事前にあまり選挙、選挙と言ってはならないというところもあって難しいのですけれども、私としては選挙そのものもさることながら、岩手が今直面している課題についての理解を深めるということが大事だと思っていますので、現職として県のさまざまな広報を使ってそういうものは発信していきますし、また個人的にもブログやツイッターを活用して、そういうものを発信していきたいというふうに思います。
 
記者
 ありがとうございます。あともう一点、今までもるるお話に出てきているとは思うのですけれども、改めて知事ご自身としては、この4年間の任期での一番自分がなし遂げられたと評価している点というのはどこにあって、あとさらにやり残しというか、今後も引き続き頑張っていかなければいけない部分というのはどこにあるか、もう一度教えていただいてもよろしいでしょうか。
 
知事
 東日本大震災(津波)からの復興ということが最大の課題なわけですけれども、市町村、また民間の企業や団体、さらには個人、それから有識者の方々であったり、あるいは復興の現場で頑張る人であったり、そういった人たちと一体になりながら全力で復興を進めてきたというところ、そこをよりどころにしながら、さらに次の4年間頑張っていきたいし、また頑張れるだけの過去の4年間があるというふうに思っています。
 また、復興は、地元の底力を引き出していくのに加えて、さまざまなつながりの力をいただいていくことも大事で、全国的な発信や、また全国的なネットワークづくり、そして海外に対する発信やネットワークづくりも、そこはかなりやってこられたと思うので、そうしたネットワークをまた今後の4年間にも活用していきたい。また、活用できるだけのネットワークを広げることができたというふうに思っています。
 
記者
 今選挙の話がありましたので続けてお聞きしますけれども、県議選に関してなのですが、一連の地方選挙の投票率下落の背景というのは、魅力的な選択肢があるかどうか、周りが盛り上げるかどうかというのもあるのですけれども、やはり主役である候補者が魅力的な候補者がそろえばこそ、そして建設的な論戦が交わされればこそ投票率は維持されるという側面もあると思うのですけれども、今回来る28日告示の県議選は、立候補予定者が現時点で62人ということで、戦後最少になっております。6つの選挙区が無競争という状況になっているのですけれども、こういうなかなかなり手がない、挑戦者が少ないという状況をどのように受け止めて、あるいは背景をどう分析されますでしょうか。
 
知事
 今までと比べると、総じて政党の力が弱くなってきているのかなと。強くなっている党もありますが、総じて全体としては弱くなっているので、候補者が立たなくなってきているということが一つあると思います。では、そういう政党と全く関係ないような形で立候補ということが増えていく要素があれば、それを補っていくのでしょうけれども、選挙に必要なお金とか手間暇とか、選挙の規模が大きくなるほど、なかなか組織的な基盤というか、背景というか、なしには立候補というのは難しいのが今の日本の選挙制度でありますので、今みたいな傾向が続いていくと、立候補者がどんどん減っていくというのは民主主義の危機だと思いますので、選挙の仕組み自体を変えていかなければならないということを検討しなければならないかもしれません。
 
記者
 ありがとうございます。知事がおっしゃったとおり、民主主義の危機だというのは、そのとおり、やはり有権者が選挙権を行使してこそ民主主義の根幹が守られるということだと思いますけれども、そうすると政党の力が弱くなっていて、それを補う要素がなかなかないと。要するに今の社会情勢の中で選挙制度が多分制度疲労を起こしているということなのでしょうけれども、特に国政もさることながら、地方選挙のなり手が少ないという中で、では地方の選挙、例えばどういうふうなところを改善すればもう少し候補者が出やすい環境になると考えますか。
 
知事
 よく指摘されているのは、供託金の問題とか、選挙に関する、今の法律上は選挙カーによる連呼というのが基本になっていて、それを補うものとして証紙を張ったチラシを配る。これは、チラシに証紙を張るというのはかなりの人手を要することでもありますので、デジタルの時代でありますから、その辺をもうちょっとお金も人手も少なくても立候補でき、また選挙運動できるような工夫というのはさまざまできるのだと思います。
 
記者
 この間、各社世論調査がありまして、安倍政権の支持率が軒並み急落していますけれども、その件についてはどういうふうにご覧になっていますでしょうか。
 
知事
 安全保障関連法案のごり押しぶりということが反発されているのだと思います。内容的に反対が増えている一方で、先に進むほど衆議院の方でも野党の反対を押し切った採決になってしまいましたし、そういったことで支持率が低下しているというのは、かなりそこは民意を読むことができるのではないかと思うので、新国立競技場を白紙撤回したように安保法案についても白紙撤回をされた方がいいのではないかと思います。
 
記者
 こういった安倍政権の支持率低下ということが今度のご自身の知事選挙に何かリンクするといいますか、影響を与えるというふうにお考えでしょうか。
 
知事
 支持率低下ということ自体はあまり関係ないと思っているのですけれども、ただ民意に反するようなことをごり押ししようとするその同じ政党が、岩手において今進んでいる復興のあり方、また希望郷いわて路線というものをやめさせる、止めるということをごり押ししようとしているということと重なることによって、国政もあれではだめだな、県政もそうやられては困るということが相乗効果を発揮して、そういう方への支持がどんどん低下していくというような関係はあるかもしれません。
 
広聴広報課
以上をもちまして、記者会見を終わります。

次の定例記者会見は8月17日(月曜日)の予定です。

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