平成27年7月27日知事会見記録

ID番号 N37378

平成27年7月27日16時04分から16時55分

広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。本日は知事からの発表はございません。
 
幹事社
 ミラノ出張お疲れさまでした。随分庁議が白熱したようでございますけれども、ぜひ引き続きよろしくお願いいたします。
 本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はございませんので、各社から質問があればよろしくお願いいたします。
 
記者
 先週末24日に東京でJR大船渡線について、沿岸自治体首長会議が開かれました。そこで、JRの方から大船渡線は鉄路による復旧を断念してBRTの存続案が提案されたということですけれども、まず知事の受け止めをお聞かせください。
 
知事
 JR東日本に対して基本的な考え方を地元の方からずっと求めてきていたのに対して、総合的に検討した結果、責任を持って対応できる持続可能な交通手段としてBRTがふさわしいという、そういう回答があったということで、この回答をベースにして関係市において検討というか、住民の皆さんと情報共有しながら、改めてまちづくりの中で、公共交通機関のあり方を含めたまちづくりの方向性を定めていくということで、市のまちづくりの方向性の中で県としても復興ということがあくまで基本でありますから、それぞれの市にとって良い復興というのがしっかりできていくように、県としても力を合わせていきたいと思います。
 
記者
 大船渡や高田では地元の皆さんとの懇談会が行われるようですけれども、県として具体的にどういうふうに関わっていくとかというお考えはあるのでしょうか。
 
知事
 まず、それぞれの市においてまちづくりを考え、決め、そして実行していくのに必要なJRの基本的な考え方をずっと求めていたのがようやく出てきたということですから、あとはこれをベースにそれぞれの市がまちづくりをやっていく、これは臨機応変にそれぞれの市が良いような形で県として関与していければと思っています。
 
記者
 今の話の関連なのですけれども、そうすると、基本的に県としては、JR東日本の基本的な考え方については、もう受け入れる方向ということでよろしいのでしょうか、基本的には地元自治体だと。
 
知事
 そこは地元市の住民の皆さんと情報共有し、そして将来のまちづくりのあり方というのを決める市の態度から離れた県としての判断というのはないわけでありまして、まずは住民の皆さんとともにその辺を固めていくということに県も一緒に取り組んでいくということです。
 
記者
 矢巾のいじめの件についてなのですけれども、学校が調査報告書をまとめまして、6件のいじめ認定をして、いじめが自殺の一因と考えられると結論付けましたけれども、まずこのことについて知事の受け止めをお願いします。
 
知事
 報告書の概要は、私も報告を受けました。このいじめの実態というのが明らかにされて、具体的にどういう暴力を振るわれていたとか、仲間外れにされるようなこととか、大変痛ましい、もし自分がその子供の立場だったらとか考えれば、あるいは親の立場だったらということを考えれば本当にもう胸が苦しくなるような、そういう内容が書かれていたと思います。そのような形で、学校としての調査委員会で一定の事実関係の究明と、それを報告の形でまとめるということはできたわけですので、あとは第三者委員会を立ち上げて、その中でさらなる検証をしていくのだなというふうに思います。
 
記者
 今回の報告書の中でも、学校の対応として、いじめという意識を持って指導に当たってこなかったと、いじめに対する危機意識が欠けていたというふうな記載もあります。その教職員の情報共有ですとか、生徒への指導が不十分であった、またいじめを防止する基本方針がありますけれども、それもきちんと機能していなかったと、そういう指摘がありますけれども、それについてどのようにお感じになっていますか。
 
知事
 報告書の中で、まさにもっとまず教員の意識改革が必要であることから始まって、教員同士、学校内での情報共有ができるような体制を確立しなければならないとかまとめられていて、それぞれそのとおりだと思います。ですから、そういうことが既に実現していれば、こういうことにはならなかったのだろうなというふうには思います。
 
記者
 今後こういったことが、同じようなことが起きないようにというところで、再発防止が大事になってくると思うのですけれども、県として今後どのように対応されていくのか、改めてお願いします。
 
知事
 今回の報告書にも再発防止という観点からもそのような意識改革とか、体制の確立とかということが述べられているわけですけれども、今後第三者委員会によって、それぞれの専門家によってさらに検証していただくことで、今回の報告書のそのまま尊重すべきところはそのまま尊重、もしさらに深掘りする必要があるところがあれば深掘りしていただけるのではないかなというふうに思います。
 そして、その第三者委員会の設置に当たっては、県はさまざま助言でありますとか、あるいは委員選びのお手伝いとかはもうする体制にありますので、しっかり関与していきたいと思います。
 
記者
 具体的なこういったことを言っていきたいという対応策みたいなものがもしあればお願いします。
 
知事
 当該学校における対応策については、今言ったとおりでありますけれども、この事例については岩手全体、さらには全国においても再発防止の観点から参考にされるべきことでありましょうから、今回の報告書の内容については、県の教育委員会もまだ概要しか受け取っていないというふうに聞いていますけれども、いずれそれこそ情報の共有を県全体で図り、あるいは文部科学省も初動から今回の件についてはいじめ防止法の法律の執行という観点から文科省も早い段階から今回関与していますので、そういういじめ防止法(いじめ防止対策推進法)の観点から全国的にも情報共有が必要ということであれば、文科省の方においてもそういうことをすると思うので、その辺、県としても文科省の動きも参考にしながら対応していきたいと思います。
 
記者
 矢巾のいじめ問題に関連してなのですけれども、先ほど知事おっしゃったように今度の報告書の精査を待って県としての対応を考えるというお話がありましたが、具体的に、例えば2011年の大津のいじめ問題の際には、教育委員会と県の各関係部局が連携していじめ対策の本部員会議とか、そういったものを立ち上げたという経緯はありましたが、そういった全国的な事例を参考にしながら同様の取り組みについても考えるというようなことはお考えでいらっしゃいますか。
 
知事
 教育委員会において、さまざまな検討は行われていると思いますけれども、このことについては岩手県のそれぞれの学校の中あるいは学校を中心としたPTAとか、そういった広がりの中でどう対応していくかということについては、まず知事としては県教育委員会とその辺はよくよく相談しながら決めていきたいというふうに思います。
 
記者
 今のお話の関連なのですけれども、たびたび言われておりますが、新しい制度、法律のもとで制度をつくって、今回の中学校でも対策会議など設置されていても、では実効性というのについて、かなり疑問視する指摘がこれまであの事案発生以降あるのですけれども、今回の学校に限った話ではなくて、全県的に実効性のあるものにする、一義的には教育委員会の取り組みだと思うのですけれども、県としてその辺りに形骸化しないような取り組みに県として今後関わっていこうとお考えでしょうか。
 
知事
 先週県内の児童、生徒向けに知事と教育委員長の方から出したメッセージは、直接には児童・生徒向けですけれども、先生たちの目に触れますし、また親御さんにも読んでいただきたいと思いますし、まずは今回の矢巾の中学校の報告書の今後の対応のまず一番最初に意識改革というのが出てくるのですけれども、この前の総合教育会議でも本来であればいじめ防止法(いじめ防止対策推進法)がなくてもこういうことはあってはならないのだと、そのための先生たちの意識や、また学校、教室運営の力量というのはあるはずだと、だからそこを本当にしっかりやってほしいという意見も出ていたと記憶しますが、まずそこを基本的なスタートにしながら何か制度的に今後必要になる部分があるとすれば、今後さまざま教育委員会の方にも検討してもらって対応すべきところを対応していくということになると思います。
 
記者
 TPP問題でお尋ねしたいのですが、TPPの交渉が始まりまして、いずれいつ決着するかわからないのですけれども、今県としてこのTPPがある程度見えてきて合意に至った場合に向けた対応ですね、対策なり、どういった準備を今しているか、もしくはどういうことを検討しているか、あと具体的にどの分野が知事としては岩手県の農林水産業に一番影響あるか、その辺りをお聞かせください。
 
知事
 まず、基本的にはTPPがあろうがなかろうが、岩手の農産品の競争力を高めるべきところは競争力を高めて、担い手の強化とか、産地の強化とか、そしてより高く売れるような工夫というのは、これはTPPがあろうがなかろうが、やっていこうということで、万が一、TPPで何か日本に不利なことが決まったとしても、それによって岩手の農業が消滅してしまうことがないようにという手は打っているわけであります。
 一方、不利になるような形で妥結してはならぬと、国会の農林水産委員会でもそういう附帯決議があるはずだと。また、最後の妥結に向かう動きの中で、とんでもない譲歩などされては困るわけですけれども、そういった情報の開示も極力するようにと、国民的な議論の中で、やはり国民が納得した上で結論は出されなければならないはずでありまして、そこを逸脱するような形での交渉権限が政府に与えられているわけではないはずなので、そこは改めて国の方にも訴えていきたいと思います。
 
記者
 特に影響を受けやすいであろう分野についてはいかがでしょうか。
 
知事
 不利になるようなところがあってはならないわけですよ、基本的に。だから、あたかも今の段階でそういう不利になるところがあっても良いということを前提にした議論は好ましくないと考えています。
 他方、TPPがあってもなくても岩手の弱いところは強くし、強いところは伸ばしていくような手は打っているというところです。
 
記者
 知事選に絡んだお話をお伺いしたいのですけれども、今回の平野さんとの一騎打ちの構図が高まってきている中で、与野党対決ですとか、あと県民党対決とか、いろいろ見方が出てきている中で、かつては平野さんも小沢先生と一緒に民主党でやっていたということもあって、同門対決というような見方もありますけれども、まずこの同門対決というような見方について、率直な知事の今の感じられるところを聞かせてください。
 
知事
 同門であれば対決にはなってないはずなので、対決に至っているということはもう同門ではなくなっているというふうに認識していますけれどもね。同門であればこんなことにはならないと思っています。
 
記者
 それで、知事は県民党という立場を昨年の11月からとられているわけですけれども、県民党という立場になって、それよりももう少し前からなのかもしれないのですけれども、小沢先生と公の場で一緒になられる機会も少し減ってきているように、私個人の感想かもしれないのですけれども、ちょっと感じられまして、会見とか、そういう場で発言される機会も少し減ってきたのかなとも思うのですけれども、県民党という立場になられて、かつては小沢先生に総理大臣になっていただきたいとか、そういうこともおっしゃっていたわけですけれども、今の知事と小沢先生との距離というのは、県民党になってかつてと少し変わってきているのか、その辺をちょっとお聞きしたいのですけれども。
 
知事
 人間と人間の距離とか、人間と人間の関係というのは、なかなかそう簡単に説明のつくことではないと思うのですけれども、今私は殊さらに近い、近いとか、この間会った、会ったということを機会あるごとに言うような、そういう関係ではないと。というと距離が開いた、開いたと書くのだろうな。
 だから、なかなか一概では言えないのだけれども、一概では言えないというと、何かもはやかつてのような近さではないことを言外に示したとかと書くのだろうな。
 だから、結論的にはどう書いても、それは書く人の自由だからいいのですけれども、いずれ聞かれなければそういうことを言ってないというのは事実として民主党が政権を失うような、ああいうバラバラになっていく過程から今に至る中で、いずれ私は知事として、またこの岩手に生まれ、育ち、岩手に大変お世話になった者として、世の中がさまざま揺れ動き、日本も大きく変化する中で、岩手が何か日本全体から遅れをとるようなことがあってはならないし、また岩手が、日本全体が変な方向に行くときにそこに引きずられていくこともあってはならないと思っているし、やっぱり岩手は岩手という主体性を持ちながら、そのとき与えられている力と環境をフルに活用して、ベストの道を岩手として切り開いていくために、今なすべきことをやるということで今回の知事選にも立候補の意思表明をしておりますし、その私の志にふさわしい陣立てをつくる、そういうセッティングはして、自民党、公明党も含めて私と一緒にやりませんかという呼びかけはしたし、してよかったと思っているし、そういうオール岩手の広がりの中で復興を完成させ、また希望が持てるふるさと振興というのをしていきたいということです。
 
記者
 知事選に関連してお尋ねしたいのですが、安全保障関連法案、参院で審議入りしました。知事選挙もしくは県議選挙並びにその審議期間中と重なると思われるのですが、知事としては安全保障関連法案の審議がご自身の選挙にどのようなメリット、デメリットですとか、いろんな見方があると思うのですが、どのような影響を受けるかということと、選挙戦に向けて、これまで会合でもご自身はいろいろと法案について批判的なお言葉を述べていらっしゃるのですけれども、選挙戦に入ってからはどのような形で触れようとお考えか、その2つをお聞かせください。
 
知事
 私としては、「復興」と「ふるさと振興」というのを大きな二本柱として選挙戦に臨もうと思っておりますので、国政がどうあろうと、そこは基本的には関係ないのでありますけれども、もともとさっき言ったように県民党的なそういう全ての政党にも開かれたようなお膳立てを去年の11月15日にしたわけでありまして、自民党さんとしても岩手はまだ非常時だと、復興はまだ正念場、半分も終わっていない、こういうところで現職を交代させるのは非現実的なので、達増県民党に乗ろうという自民党の選択もあったにもかかわらず、国政与党なのだから、やはり国政与党として別の候補を当選させて、今現職達増知事がやっている復興や希望郷いわて路線は終わらせなければならないという、ある意味国政の枠組みを前提にした発想で対立候補を立てて戦うという選択を自民党はしたわけでありますが、その同じ自民党が、国政においてはもう憲法違反だということでほとんどの専門家が反対し、また多くの国民も反対している。この間は「疑念」とかという言葉を使ったのですけれども、その後政府がいろんな機会に説明を工夫すればするほど疑念は反対に固まって、その反対も数が増えてきている現状でありますので、ですからそういう今の岩手で県民的には広い大きな支持を得ている今の復興路線、そして希望郷いわて路線というものをやめさせようということ、そういう県民的支持が得られないようなこともしようとする人たちが国政においても広い国民の支持を得られないようなことをしようとしている。それは当然、岩手県知事選挙のときにその2つ、県の中でのことと国政でのことは相乗効果で相まって、より大きな方向性というのをつくっていくのではないかと思います。
 
記者
 選挙戦においては、どのような形で触れるおつもりでしょうか。
 
知事
 選挙になる前に政府が法案撤回を決意し、せっかく9月末までですか、延長している国会があるのであれば、復興の見直しというのは、予算、財源の見直しはしたのですけれども、もっと他にもあるはずなのですよ、今のままでいいのかとか、5年目を迎えた、猛暑で仮設住宅の中の人たちはどういう暮らしをしているのかというのを国会で取り上げてもいいはずですよ。そういうことを国会で取り上げたりとか、それから市町村から言われているのは津波浸水地域、そこの土地について買えるところは市が買い上げているのだけれども、虫食い状態で、まとまった開発ができない、そこを何とか法律でもっと柔軟な土地の取得ができるようにしてほしいという議員立法でやったような制度の変更というのを法律的に求められている局面でもあります。そういう議論を国会で、本当はきょうも何か参議院の本会議で議論していたみたいですけれども、ああいうことではなくて、まず復興を成功させることについて、国会も全力を尽くしてほしいと思います。
 
幹事社
 知事選の関係なのですが、26日に当社の新聞に載せさせていただいたのですけれども、県内33市町村長の知事選にどう対応するかということと、達増県政をどう評価するかということを載せさせていただいたのですけれども、ちなみに前段の首長の平野氏、達増知事、どちらを支持するかという問いに、一番多かったのはどちらも支持しないと、選挙戦を通じてはというのが33分の13で一番多かったのですけれども、名前を挙げて支持をすると、どちらを支持するかという意味では、平野氏が9人に対して達増知事が2人ということでした。
 一方で、達増県政の評価という意味では33人のうち18人がプラスの評価、「評価する」、「まあ評価する」と。反対にマイナスの評価というのが「余り評価しない」で2人だけだったということで、評価はプラス評価が大きく上回ったと。この結果をどう受け止められましたでしょうか。
 
知事
 まず、平野氏を支持すると名乗り、はっきり名前を出しているのが9人というのは、今いわゆる一強多弱という戦後の日本の政治の歴史の中でも珍しいくらいに今の政権、内閣に力が集中しているときに、そっちの方の候補者に名前を挙げるという数としては少ない方だと思います。ちなみに、8年前に、私の最初の知事選のときに次点になった自民党が推した候補は、現職市町村長さんたちからたくさん推薦をもらっていましたけれども、そっちの数の方が多かったと思います。
 だから、形式的には今自民党政権というのは戦後政治史上まれに見る力を誇る体制ではあるのだけれども、やはり県民の民意とか、国民の民意とかに離れたことをしていると支持の度合いも弱まってしまうのかなと思います。
 
幹事社
 ありがとうございます。達増県政の評価の中で、平野氏を支持すると挙げた首長の中にもプラス評価をする首長もあったのですけれども、この33人の首長のうち18人がプラス評価、2人がマイナス評価、どちらとも言えないが13人ということで、プラス評価は過半数になったと、これについてはどう受け止められましたか。
 
知事
 県民の皆さんからも高い評価をいただいておりますので、大体それと同じような形で評価をいただいているのかなと思います。
 
幹事社
 ありがとうございます。これから知事が掲げる県民党にそういう態度を必ずしも明らかにしていない首長あるいは一強多弱、内閣に力が集中している中でそういう支持動向しているという首長もあるという中で、県民党への首長の呼びかけ、参加の呼びかけの仕方というのは、これからどういうふうになりますでしょうか。
 
知事
 8年前の選挙のときも自民党が推す候補だからということで、もう自動的に所属や立場で自民党系の支持を決めるということがやっぱり日本の政治には、8年前はかなりそういうところがあったし、今回もそういうところがあると思いますので、所属や立場で決めるということが存在する中ではなかなか純粋に復興の成功とか、希望郷いわて路線の継続とかといったことによって選んでもらうということは難しいでしょうから、そういう呼びかけは今は考えていません。
 
幹事社
 ありがとうございます。ちょっと話題をかえます。せっかくミラノにいらしたので、ミラノ出張の成果とか手応えみたいなものをお聞かせいただけますか。
 
知事
 ミラノの前段階として、岩手県が、これいろんな数え方があるのですけれども、20年前ぐらいからお付き合いを始め、16年前からは地方政府間の正式な関係を始めているドイツ、ラインラント・プファルツ州を訪問しまして、私が知事になってから行ったことはなかったのですが、先方の副大臣級の人が東日本大震災後、寄附してくださり、そして山田の保育園がそれで再建されるという、それで盛岡で私に会って、山田を訪問してくれたり、副大臣の方がですね、そういうこともありましたので、まずその御礼と、そして友好関係を今後も続けるということの確認でラインラント・プファルツ州に行き、先方とそういうお互いの意向を確認することができて良かったと思っております。
 ミラノ万博の方は、岩手県からは私、知事本人が行って挨拶をすることができたほか、わんこそばや、もちつきのステージ発表もありましたし、それから前沢牛を使った料理の紹介とか、それから岩手の地酒の紹介とか、かなり岩手をアピールすることができたと思います。万博というステージは世界で1カ所、5年に1度行われる大変大きなステージで、5年前の上海万博ではさまざま、その後南部鉄瓶の中国での売り上げが伸びるとか、また岩手と雲南省との関係の発展につながっていくとかさまざまありましたので、今回のミラノ万博も、岩手県がイタリアで本格に何か仕事をしたのは歴史上初めてではないかと思いますし、食というテーマでイタリアはヨーロッパの中心、国連食糧農業機関の本部があるのがローマですし、だから世界における食の中心でもあるイタリアで、その最大の都市、経済の中心ミラノで岩手としてのアピールもたくさんできたのですが、チーム東北という枠組みで行ったおかげで復興庁の支援ももらいましたし、テイスト・オブ・トウホクというイタリア語で発信するツイッターも今設置されていて、かなりそこで岩手についても発信できていますし、またイタリア人の料理、食、また日本文化の専門家の人たちとの交流もしてきましたので、そういう人たちの中から岩手に来てくれる人を実現したりして、さらに関係を発展させていきたいと思います。
 
幹事社
 ありがとうございます。国内人口減少の中で、当然市場が小さくなるという中で、例えば県産品、これから販路拡大にとっては海外に打って出るというのは一つ重要な要素なのかなと思いますけれども、今回欧州の方へ行ってみて、欧州市場の可能性をどう感じたかとか、あるいはもう少しこういうのに取り組まなければいけないなと、課題意識とか、ヒントとか得たことは何かありますでしょうか。
 
知事
 日本酒をイタリアで普及させることを熱心にやっているイタリアの人と会って、岩手のお酒も大分褒めてもらいました。岩手のお酒は、イタリアということは、ヨーロッパ全体にも通用する、そして世界全体にも通用するなんていうことを改めて思いましたし、そういった日本酒と併せていただく岩手の食文化というものも世界に通用すると思います。
 あとバルサミコ酢の会社の社長さんとも話をする中で、日本のみそ、しょうゆの伝統的なお店のご主人と同じような感覚で、もう何十年も守り続けた伝統のバルサミコ酢をつくっていますと。そういう歴史、伝統、またクオリティの高さに誇りを持って生産し、またビジネスをしている。日本産であることとか、岩手産であることという形式を満たすだけではだめで、やはり高いクオリティ、そしてそれの裏付けになるような豊かな伝統とか、文化とか、そういったものをしっかり持っていないとそう簡単には通用しないなとも思いましたので。ですから、せっかく岩手にはそういう歴史や伝統ある食があるので、ただともすればそれは経済効率性とか、そういう中でよりイージーな路線に道を譲ってしまうこともあるので、(そこは)うまくまさに岩手の持つスローフード的な要素をしっかり守るというのも消費者に愛され、高い値段で売れる、イタリアにも通用する、外国にも通用するという形でしっかり稼げるような軌道に乗って、そして持続可能になっていくような工夫をしていかなければならないなというふうに思いました。
 
記者
 先ほどの県政評価の関連なのですけれども、ご発言の中で県民からも高い評価をいただいているというふうにおっしゃったのですけれども、その根拠というか、どういうことをよりどころにしているのでしょうか。
 
知事
 そうですね、1つは去年の末に某地元紙が行った中で六十何%かの県民が達増県政を評価するとしている、評価しないが20%ちょっとでしたか。というものでありますし、それです。
 
記者
 国立競技場建設計画の白紙撤回について、先般首相が表明されました。この件に関して、知事はどのような受け止めをされているか、特にも復興の予算をめぐっては来年度から地方負担の導入の拡大ということがかなり議論された中で、こういった国立競技場のことに関して、かなりの投入額になったので、見直すということでいいのだとは思うのですが、改めて受け止め、どのようにお考えになるか教えていただきたいと思います。
 
知事
 猪瀬知事の頃に東京オリンピックというのはなるべく既存の施設を使うので、お金がかからない、そういうところがメリットだということを言っていたと思います。そういうのも踏まえて、ブエノスアイレスで東京が2020に選ばれたのではないでしょうか。そういう意味では、新国立競技場に当初1,300億円をめどにデザイン公募がされたというところからもちょっと高過ぎるのではないかと、世界のあらゆる競技場よりも高い値段なわけですので、ロンドンとか北京とかがどっちがどっちかは正確に思い出せませんが、600とか、900億円単位で1,000億を超えた競技場というのは世界に存在していないと。であれば、その辺を目安にして考えるべきだと思うので、2,000、3,000億円単位のものではないようにするというのは良いことだと思っています。
 一時政府として正式に決めたりしていたのですよね、6月の終わりごろでしたか、当時の二千五、六百億円案でいきます、もう決定しましたと言っていて、それを白紙撤回という展開だったわけですから、その浮いたお金といいますか、国としてそこにかけて良いと思っていたお金があるのであれば、それは釜石の方とか、釜石のラグビー競技場の整備の方とか、あとはそもそもそういう復興関係の予算とか、そういう方にも回してほしいと思います。
 
記者
 そうすると、ちょうど時期的には復興の来年度以降の予算の交渉時期と重なっていたので、もしこれの見直しが早まっていれば、あるいはというような期待みたいなものは知事としては、今となっては今さらながらですけれども、そういうお考えというのはありますか。
 
知事
 ただ、論理的には1,000億とか、その辺を基準にして検討されるべきなので、二、三千億という政府の決断を肯定し、それを前提にしたそういう正規の交渉というのはあり得なかったと思います。
 
記者
 ありがとうございます。あともう一点ですね、前回も県都盛岡の市長選もほぼ同じ時期にあるという質問をさせていただきまして、そのときには質問しなかったのですが、改めて今現職の谷藤裕明氏の3期12年というものをどのように評価されるか、知事の立場から教えていただければと思います。
 
知事
 さっきのアンケートを彷彿とさせますけれども、「答えられない」という回答がありましたよね。答えられないというのも何か殺風景な感じではあるのですが、ただどうなのでしょうね、谷藤市長が盛岡市長として、そして岩手県市長会会長として東日本大震災発災直後から示したリーダーシップには大変県も助けられましたし、そして来年の国体・障害者スポーツ大会の準備に当たっても大いに協力していただいています。そして、そうした評価については、その折々お礼を述べたり、対外的にも示したりしてきたとは思っておりますので、今あえてそれについては答えなくて良いと思います。
 
記者
 それで、今くしくも知事おっしゃったように盛岡市、一自治体の市ではありますけれども、私も申し上げたように県都の市長である、あるいは同時に県市長会の会長でもあるわけです。そういった意味では、当然岩手県を対外的に売り込んだり、PRするのは知事でもありますけれども、市民に、住民に一番身近な現場としての市町村の県内のリーダーでもあるということで、お互い協力するのが非常に望ましいなと思っているのです。そういう中にあっては、やはり知事として逆に現職ということではなくて、どういうリーダーが県都盛岡の市長にふさわしいかというお考えがあるかというのをもしよろしければお聞かせいただければと思います。
 
知事
 そこは盛岡市民の皆さんに決めていただくのがいいと思います。
 
記者
 知事も一市民として投票するのかなと思うのですけれども、いかがでしょうか。
 
知事
 そこはみずから立候補したり、立候補者の周りで運動したりとかという役回りではない形で、そこは参加しようと思っています。
 
記者
 先ほど知事選の話で、安全保障関連法案の関係のお話が出ましたけれども、その流れで、衆院通過以降、各社世論調査で政権支持率がどんどん低下していて、支持と不支持が逆転したということも各紙報じられていますけれども、それについての率直な所感、お考えというのを伺えますでしょうか。
 
知事
 やっぱりもともと国際環境が変化したというところからおかしかったわけで、去年の閣議決定からして、私もいかがなものかと言っていましたし、でも閣議決定だからと思っていたら、それに基づいて内容的に問題も多く、疑義も多い法案を、しかも11本束にしてそれを1通常国会で成立させるみたいな、そのためには戦後最長の会期延長をするとか、戦後日本政治史にないような暴挙と言われてもしようがないようなことをしており、であるからまた有識者、そして国民、どんどん反対が増え、また、まちに出てそういう反対運動する人とか、それから大学人、また各大学ごとにそういう反対表明をする、そういう活動がどんどん広がっていくとか、そうなっているのだと思います。これは、放っておくとますますそうやって国民が割れていくことは良くないですからね、時の政府には国民を一つにまとめ、束ねていくという大事な役割があるわけですから、ほとんどの有識者が反対し、多くの国民が反対するようなことは、それこそいち早く白紙撤回をすべきであって、白紙撤回しない限り、先に行くほど事態は悪化すると思います。
 
記者
 先週建設業協会の宇部貞宏(うべ ていこう)会長が亡くなられました。東日本大震災や岩手・宮城内陸地震で復旧に当たって先頭に立って尽力された方だと思いますけれども、知事の所感をお願いします。
 
知事
 大変残念に思います。東日本大震災、さらにはその前の岩手・宮城内陸地震のときから自分自身も現場に立って、そして組織的な対応もまとめていただいて、復旧から復興へと尽力してもらいましたので、亡くなられたことは大変に残念に思います。
 
広聴広報課
以上をもちまして、記者会見を終わります。

次の定例記者会見は8月3日(月曜日)の予定です。

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