平成27年7月8日知事会見記録

ID番号 N36633

平成27年7月8日10時30分から11時13分

 
広聴広報課
 ただいまから記者会見を行います。最初に、知事から発表があります。それでは、知事お願いいたします。
 
知事
 発表事項の1番目は、「学校法人文化学園と岩手県との連携協定の締結について」です。今月16日、岩手県と学校法人文化学園とで連携協定を締結します。学校法人文化学園は、岩手県北地域のアパレル産業のPR、次代のアパレル産業を担う人材育成を目的に、平成25年度から開催しています「北いわて学生デザインファッションショー」に対して、同学園の文化ファッション大学院大学からご支援、ご協力をいただいておりまして、交流を進めてきました。
 連携協定は、これまでの関係をより強固、そして継続的なものにし、ファッションに関する双方の資源を有効に活用することで、一層の地域活性化を図ることを目的にしています。主な内容は、「地域産業の振興」、「人材の育成」、「教育及び学術研究」などの分野での連携です。この協定を元に、今年度はこれまでの県北地域のアパレル産業の情報発信を主体とした取り組みに加えて、北いわてのオリジナル製品の制作など、地域のブランド化の推進に取り組みます。
 岩手県の県北地域においては、久慈・二戸地域の縫製業者が中心になって「一般社団法人北いわてアパレル産業振興会」が設立されるなど、新しい動き、盛り上がりがあります。産学官の連携を強化して、一層の地域活性化を推進していきます。
 協定締結式は、今月16日13時15分から、東京都渋谷区、学校法人文化学園を会場に開催します。
 発表事項の2つ目は、「ミラノ国際博覧会への岩手県出展と知事の訪欧について」です。今イタリアで開催中のミラノ国際博覧会日本館におきまして、7月24日から27日までの4日間、岩手県は宮城県、石巻市、東北経済連合会とともに、「チーム東北」として出展し、東北と岩手の食や魅力を情報発信します。
 今回のミラノ博は、「食」をテーマに、約150の国と地域、国際機関の参加と、約2千万人の来場が見込まれる世界最大の情報発信イベントです。岩手県からは、「県産ひとめぼれ」や「前沢牛」、日本酒、伝統工芸品、そしてわんこそばや一関の餅文化のPR、さんさ踊りの出演などを予定しています。岩手の魅力を世界に向けて情報発信します。
 また、今回の出展に合わせて、私は7月21日から26日までヨーロッパを訪問します。24日のミラノ博オープニングイベントで、「チーム東北」各団体の代表者とともに東北と岩手をPRします。また、今後の経済交流や観光誘客などに向けて、現地の経済団体や旅行会社、メディア機関などを訪問し、岩手の食、県産品、観光などの魅力をまるごと売り込んでまいります。さらに、私が知事になる前から岩手県と交流があり、東日本大震災直後には復興に多大な支援をいただいたドイツのラインラント=プファルツ州政府、そしてその州のカイザースラウテルン市政府をそれぞれ訪問し、これまでの支援に対する感謝を伝えてまいります。今回の訪欧によって、岩手とヨーロッパとのさらなる相互交流を進めていきます。
 3番目の発表事項は、「企業ネットワークいわて2015in東京の開催について」です。
7月16日、ホテルグランドパレスにおいて、「企業ネットワークいわて2015in東京」を開催します。震災に支援をいただいた企業や首都圏の企業を対象に、東日本大震災津波からの本格復興を推進するための取り組みについて報告し、立地環境や産業振興施策を紹介します。
 当日は、震災支援への御礼、復興状況の報告、復興に欠くことのできない産業振興における各種支援制度などを紹介します。工場・事業所の新規立地など、岩手に対する投資を促進することで、被災地の一日も早い本格復興、そして復興の先にある地方創生の取り組みにつなげていきたいと思います。講演では、岩手県が進めようとする林業の高付加価値化に向けて、林業機械のトップメーカー、イワフジ工業の及川社長からお話をいただくこととしています。
 以上です。
 
広聴広報課
 以上で知事からの発表を終わります。
 
幹事社
 それでは、ただいまの発表事項3件について、各社から質問があればよろしくお願いします。
 
記者
 ミラノ国際博覧会の出展ということで、2千万人以上が参加される、岩手の魅力をPRする絶好の機会だと思いますが、改めて知事としての抱負を聞かせてください。
 
知事
 岩手の「食」、「物産」、「観光」を広く海外にPRしていくに当たって、アジア、アメリカも大事なのですけれども、ヨーロッパも大事だと思っております。そして、イタリアというところは、スローフードという考え方が盛んなところで、岩手と大変食に対する歴史や、また感じ方が近いと思っておりまして、岩手の豊かな自然に育まれた食(材や)、伝統的な食べ方を大事にしながら丁寧に食文化として今に伝えている、そういう岩手の姿をイタリアのミラノから発信することで、イタリアの皆さん、そしてヨーロッパ、世界の皆さんに岩手の食の良さというものを深いところから伝えていくことができるということを期待しています。
 
記者
 学校法人文化学園との連携協定の締結についてなのですけれども、県北地域が続けてきた交流を強固なものに、あと継続的なものにするという目的があるということだったのですが、具体的には、現段階でもしあればということなのですが、どのような事業の展開が見込まれているのかでありますとか、また対象地域なのですけれども、県北地域というふうにおっしゃるのですけれども、県南、沿岸併せた全県的なものに発展するのかどうかというところについて教えてください。
 
知事
 今は「北いわてはアパレルの聖地だ。」という標語の元に、県北地域のアパレル産業、既に全国有数、世界に通用するようなクオリティーの高い製品をつくっているということ、しかしそれがあまり知られていないところもあるので、これをアピールしていきたいということと、またその産業に地域の若い人たちもどんどんアパレル産業に参入してもらえるように、服をつくるということもそうですけれども、デザインの段階、それでファッションショーなどもやって、今盛り上げているところであります。そういうアパレルという産業をデザインも含めたファッションとして広い形で地域振興の核にしていくというところに文化学園さんにも協力いただきたいということで、文化学園さんには日本最高水準、世界に通用するファッションのデザインの力があるとともに、ファッションの歴史とか、そしてアパレル産業との関係とか、そういう文化や産業としてのファッションについての研究の長い実績もありますので、そういうものも教えていただきながら、岩手県北のアパレル産業、ファッションというのをより振興していきたいと思います。
 
幹事社
 それでは、発表以外について、本日は記者クラブを代表しての幹事社質問の用意はありませんので、各社から質問があればお願いします。
 
記者
 先日、橋野高炉遺跡の世界遺産登録が決定しました。改めて知事の受け止めを聞かせてください。
 
知事
 大変良かったと思います。釜石市橋野を中心に地域の皆さんの、今まで遺跡・文化を守ってきた、そういう努力が実ったものだと思いますし、また日本政府をはじめ、日本全体の明治日本の産業(革命)遺産全体の世界遺産登録に向けて尽力してくださった関係者の皆さんのおかげだなというふうに思います。
 今回、釜石市の橋野が明治日本の産業革命遺産の中に含まれて世界遺産登録されたということで、いわば岩手なくして日本の近代化なしという、そういう歴史の今まであまり知られていなかった側面が世界に対して明らかになったという効果があると思っておりまして、改めて幕末岩手の先進性でありますとか、大島高任(おおしまたかとう)をはじめ岩手の先人がいかに先進的だったか、そして日本全体の近代化に大きな貢献を果たしたかということをまず岩手県民が知って、そして全国、世界にも発信していくというふうにしていければと思います。これは、平泉の価値を岩手県民がまず理解し、そして対外的にも発信していくということと同じだと思っていまして、平泉の場合、初代藤原清衡公から奥州藤原氏が平泉のまちをつくって、そこには人と人との共生や人と自然との共生という今も大事な理念がそこに込められていたというようなことを理解するところから始めていくと良いと思って今もやっているのですけれども、平泉授業とかもやっているのですけれども、橋野の方も大島高任は南部盛岡藩の藩士として「藩政改革書」というのを書いていて、明治維新の5年前で、日本全体として攘夷だ、開国だとか、国の方針がまだ定まらない中で、開国路線を前提にして、明治時代の日本の近代化路線を先取りしたような経済産業政策、それから義務教育のような社会政策、そうしたものを既に文章にして提案していたというところがあって、そういうところを学んで、そういう地域資源を生かしながらその時代にマッチした先進的な取り組みを県を挙げてやることで、日本全体に貢献しながら世界にも認められる岩手というのを今の時代にもつくっていくことができる、そういう今を生きる私たちの指針になるような形で橋野の世界遺産というものを振興していければと思います。
 
記者
 それと、今後地元として、そして岩手県として、観光にどう結びつけていくかというのが大きな課題になってくると思います。その点については、知事どのようにお考えですか。
 
知事
 まず、そういう歴史的な意義、特に世界史的な意義があるから世界遺産になっているのですけれども、その辺をまず県民が理解して対外的にも発信できるようになるということが大事だと思います。そうすれば、そこはぜひ見ておきたいという、そういう人たち、あるいは教育上子供たちに見せたいという、そういう人たちがどんどん観光あるいは教育旅行に来てくれるというふうに思います。
 あとは、既に世界遺産になっている平泉との、両方見たいというそこをセットでアピールするとか、あとは橋野を開発した大島高任というのはどういうところに生まれ育ったのだということで盛岡の方にも来てもらうとか、そういうオール岩手としての観光アピールということが大事なのではないかと思います。
 
記者
 ありがとうございます。あともう一点、またこれ(橋野高炉遺跡の世界遺産登録)とは関係ないことなのですけれども、先日矢巾で矢幅駅から中学2年生が飛び降りて、自殺と見られる事案が発生しました。まだ詳細は、学校は調査中の段階であるのですが、まずこの事案についての知事の受け止めを聞かせてください。
 
知事
 大変痛ましいことで、亡くなった中学生の魂が安らぎを得られることを祈りたいと思います。
 今その中学生の通っていた学校と教育委員会とで事実関係の調査を行っているわけでありますけれども、県の教育委員会からも専門家を派遣して支援をしていますし、またさまざまな対応の助言もしているところです。そういった中から、必要な事実関係が明らかになって、あるべき対応がきちっとなされるように県も必要な対応をしていきたいと思います。
 
記者
 今スクールカウンセラーの配置だとか県教委の対応をお話しされていましたけれども、今後県として、県教委としての対応というのはどのような手順を踏んでいくものでしょうか。
 
知事
 まず、現場の学校、そして矢巾町教育委員会における対応というのがあるのですけれども、事態の重大性に鑑み、既に矢巾町において総合教育会議も開かれていると聞いていますし、その議論や対応を見ながら、県の方でも必要な対応を行っていくというような流れになると考えています。
 
記者
 まずは県議会の件で1点伺いますけれども、通常国会で今審議されている安全保障関連法案をめぐって、県議会では賛成多数をもって廃案を求める意見書が可決される見通しになっております。安保法案をめぐっては、各種世論調査などでは国民はなかなか納得しきっていないというような数字が出ておりますけれども、県議会はこの法案をめぐって、全国の都道府県議会でも異例の廃案に踏み込む意見書を発出するということの受け止めをお聞かせください。
 
知事
 議会の中の対応については、まだまださまざま調整や討論も行われると思いますので、そこには口を差し挟まないようにと思いますけれども、安全保障法案についてということであれば、個人的にはそもそも国際環境の変化といっても、それは冷戦時代、ソ連が北海道に上陸するとか、三海峡を封鎖するとか、そういう事態が本当に現実的な脅威としてあった時代に比べれば、今は大変平和な時代だと、平和な国際情勢だと思いますし、北朝鮮のミサイルや核開発という脅威に対しては、それにはそれなりに対応すればよく、中国との関係というのは軍事的な対応、日米安保体制のレベルアップというような今の安全保障法制の内容で対応するというよりも、まだ軍事問題化していないわけですから、外交を中心に対応していけばいいわけですし、また中東を中心としたテロに対する対応というのもそれにふさわしい日本なりの対応というのを工夫していけばいいのだと思うので、そもそも安保法案の必要性というのは私も感じていないところです。
 それに対して、集団的自衛権を認める内容だということで、憲法違反だという指摘が多くの専門家からもなされ、そして多くの国民が疑問視し、またさまざまなマスコミの調査等でも今国会での可決というものに、成立というものに反対する国民の方が多いという状況ですので、廃案というのが筋だと思います。
 
記者
 ありがとうございます。話題変えます。知事選の件で伺いたいと思いますけれども、過日、公明党の県本部が平野達男氏の支持を決めました。これにより国政主要政党の構図は、達増知事を野党の4党が支持または支援すると、片や平野氏の方は自民党、公明党の与党が支持、支援するという形に分かれました。なぜこのような形で結果的に与党、野党の対応がくっきり分かれてしまったというふうに分析されますか。
 
知事
 県知事選挙の対応においては、今、達増県政で進めている復興、そして今、達増県政でやろうとしているふるさと振興、これを推進していくのか、それともやめさせるのかという中で、それをやめさせようという、これは県民的な支持は得られない方向性だと思うのですけれども、そういう方向性を選ぶ国政政党が、国政においてはまさに国民的な理解を得られない安全保障法案を成立させようという国政与党が、岩手県においてはそういう対応をしようとしているということで、根は同じなのだと思います。
 一方で、国政において、今の国民の多数意見を代表するような方向性を示している国政野党が、岩手県知事選挙においては達増県政での復興をさらに進めよう、達増県政で今準備しているふるさと振興を進めようということを選んでいる。そこにはやはり根が同じというつながりがあるのだと思います。
 
記者
 ありがとうございます。今回の知事選は、達増知事あるいは平野氏、それぞれの候補が無所属で臨むということと、また地方選挙ということを考えますと、必ずしも政党選挙とは言えないということもあるかもしれません。また、有権者の投票行動も、政党ではなく、本来は人物本位、政策本位で選ばれるというのが筋論だとは思いますが、そうはいっても政党の動向というのは当然有権者の投票行動にも一定の影響を与えるであろうということだと思います。そういう意味で、当事者が、要するに候補者が好むと好まざるとに関わらず、与党系か野党系かというような見方が一つの有権者の判断材料になるということもあるかもしれませんけれども、その辺りどう受け止めますか。
 
知事
 そこは相互作用だと思います。私は、「県民党」というスタンスで知事選に臨もうとしているわけでありますけれども、政党は政党で、政党としての理念を実現していくためにも知事選に関与していくという中で、それぞれ支持を決めて動いているわけで、そして一般有権者、県民の皆さんの政治参加の仕方の中でも、政党活動をベースにしながら県知事選にも参画していこうという人たちは、そういう政党アプローチの中で参画しようとするのでありましょうし、また今回は政党よりも人物本位あるいは政策本位という人たちはそうするのだと思いますけれども、政党が国政、与野党がきれいに分かれた形で県知事選に参加することによって、そういう政党政治をベースに知事選の結果も、というようなそういう流れもできてくるかもしれませんけれども、逆に今岩手が直面している復興という課題にどう取り組むのか、そしてふるさと振興にどう取り組むのかということで、それによって岩手県民の政党支持の状況も変化する。つまり、わかりやすく言えば、達増県政での復興の推進、達増県政でのふるさと振興というのは今後4年間も続けるべきなのだけれども、自分が支持する自民党、公明党はそれを支持しないということで、自民党、公明党とは行動をともにしないという変化が岩手県内に起きるかもしれず、また全国においても今の安全保障法案との関係で、今までは自民、公明(を支持して)やっていたけれども、こういうことであれば、むしろ達増県政の支持、そして安全保障法案への反対の方が正しいと思うので、そういう自民、公明支持はやめるというような、政党が参加することで政党の影響力が岩手県知事選に及ぶということもあれば、逆に岩手県知事選の論理が今の政党のありようや力関係に影響を及ぼし、変化を起こすということもあり得るということだと思います。
 
記者
 私も知事選のことについてお尋ねします。盛岡市長選が知事選の告示の最中に戦われることになる予定です。前にもお尋ねしたと思いますが、改めて教えていただきたいのは、どちらかの候補と何か連動するようなご予定があるかというのをまず教えてください。
 
知事
 私にとっては知事選の方が大事ですし、岩手の復興、そしてふるさと振興の推進という、そういう流れに市長候補の皆さんがどう関与してくるかということが私にとっての問題意識でありますので、やはりいずれの候補にも私がやろうとしていることに賛同いただいて、協力を得たいというふうに思います。
 
記者
 そうすると、どちらが市長になられても、今言ったように知事が改めて3選を果たした暁には、今の県政の路線、あるいは復興なり、ふるさと振興の路線をともに一緒に協力してやっていただきたいという、そういうお考えだと捉えていいでしょうか。
 
知事
 これは、市長候補に限らず全ての県民に対して、県民党スタンス、そして勝手連的手法で私と一緒にやりましょうということを呼びかけていますので、その扉を特定候補に対して閉じているということはありません。
 
記者
 先ほどおっしゃいましたけれども、知事選も大事だと、私もそれは異なる意見ではありません。ただ、県庁所在地である県都の顔として盛岡市長選というのが、前回無競争でしたので選挙で争われて有権者の信を問うというのはやはり大事なことだと捉えております。そういった中で、今現在で見ていると、知事を支持している方が新人の方により多くいらっしゃるなというふうに取材をしているとお見受けするので、先ほどのようなことを聞きましたし、あるいは有権者の目線からいうと、ほぼ同時に近い場で行われている選挙で、どっち系なのかということも判断材料としては大きいなと思うので、そういった意味で選択肢を示すという意味では、今のは知事のお考えだと思いますけれども、有権者に判断材料を与えるという意味では、ある程度どちら系統なのかなというのを示すのもまた必要ではないかと、私はそう考えているのですけれども、いかがでしょうか。
 
知事
 そういう考えもあるかもしれませんけれども、また盛岡市民の皆さんの中には盛岡市長選の方が大事だという考えを持つ人がいても良いとは思いますけれども、私にとっては岩手県知事選の方が大事でありますので、そちらを最優先にした対応をとらせていただきたいと思います。
 
記者
 ありがとうございます。あともう一点、今回盛岡市長の話だけになりましたけれども、平野達男さんの方の支持を表明している首長さんがおりますけれども、改めて達増知事の方から県内の首長さんに、県民党ということですけれども、何か結集を呼びかけるような働きかけというのは、この選挙の前哨戦、あるいは選挙戦を含めて何かお考えというのはあるでしょうか。
 
知事
 勝手連的な形でのものが良いと思っておりまして、現職知事から現職の市町村長さんに対して自分を支持せよということを強制的にやり始めれば、私が常に批判する全体主義、ファシズムになってしまいますから、それは良くないと思っておりまして、あくまで民主主義の発展に寄与するような形、自由な政治参加を尊ぶような形で動いていただければと思います。
 
記者
 ありがとうございます。済みません、もう一点だけよろしいでしょうか。この前の日曜日に群馬県知事選がありまして、現職が3選を果たしました。それで、現職は2期8年の公約を持って、それを翻して今回選挙に出て、新人と一騎打ちをして当選されました。投票率が31%と低投票率だったのですけれども。対抗する新人の勢力からも2期8年に対する批判というのが今も出ているのですけれども、知事として2期8年にこだわらなかったということに対する意義というか、正当性というのですか、その辺の捉え方を改めてもう一度お聞きしてよろしいでしょうか。
 
知事
 東日本大震災津波とそこからの復興にこだわらなければならないと思っておりまして、そのためには、今、達増県政の元でやっている復興を続けていかなければならないというふうに思っていますので、そこはどこまで復興ということにこだわるかということかと思います。
 
記者
 2期8年という、それは1期目の公約だったわけですけれども、そこが重要な問題、あるいは批判される類いのものではないと、そういうふうに受け止めていらっしゃるということでしょうか。
 
知事
 1期目の選挙の途中に東日本大震災が発生していれば、任期に関する公約はその時点でおろしていたと思います。
 
記者
 先般安倍総理大臣に近い自民党国会議員が文化芸術懇話会なる会議を開いて、その中でマスコミに圧力をかけて懲らしめなければならない云々というふうな発言をして、それが大きな波紋を呼んでいますけれども、同じ政治家のお一人として、政治家からこのような発言が出たということに対する所感と、自民党という国政与党からそのような発言が出たという、それについてのご所感をお聞きしたいと思います。
 
知事
 まさに全体主義、ファシズムの方向に向かう言動でありまして、日本においてはあってはならない言動だと思います。私は、今まで8年間、県議会の中でもいろいろマスコミに対してこれは訂正を申し入れるべきではないかとか、抗議をすべきではないかとか言われてもそうしなかったことがありますし、極力報道というのは、極力というか、報道というのは自由でなければならないと思っていますし、特に権力の座にある者ほど報道の自由というのは尊重しなければならないと思います。ですから、権力の側にいる国会議員は、憲法の定める全国民の代表ですから、憲法が全国民の代表と定めている国会議員、憲法が国権の最高機関と定めている国会の議員がそういうことを言ったら、もうそれは今の憲法を尊重しようと思えば、国会議員をやめるくらいの重い、そういうあってはならない言動をしたなというふうに思います。
 
記者
 今回一連の騒動が、今度の知事選では自民党が達増さんに対立する候補を支援するということなのですが、今度の知事選にそれが何らかの影響を及ぼすというふうにお考えでしょうか。
 
知事
 自民党岩手県連の中からも、知事は国政与党と同じ党の人が良いとか、あるいは国政与党に近い人がいいとか、そういう全体主義的、ファシズム的な発言があったりしたと記憶しています。ですから、今回の知事選の一つのテーマとして、そういう今国政で見られるような全体主義的、ファシズム的なものを岩手にも及ぼしていいのか、それとも国政政権が何党であれ、岩手は岩手、岩手の有権者が自由に選んだ知事の元で岩手県政を進めていけばいいのだという、そういう民主主義や自由の発展の方向で岩手が次の4年間に入っていくかという、これも一つの争点になるのだと思います。
 
記者
 先ほどの安保関連の県議会での意見書の関係で改めて確認なのですけれども、意見書の議決自体はこれからですし、廃案が筋とおっしゃった知事のお考えも十分理解するのですが、改めてこういうものが、請願がまず採択をされたということ、その結果によって意見書もほぼ賛成多数で可決の見込みであるということを踏まえて、岩手からこういうものが発信されるということの意義についてどのようにお考えになられますでしょうか。
 
知事
 知事として議会がやっている作業に介入はしないということを前提に発言しますけれども、私もさっき言ったように、今の安全保障法案というのは廃案が適当だと思っていますので、そういう意見が岩手県から発信されるということは、岩手県は歴史上、日本がおかしくなってきたときに、今の日本とは違う日本があるのではないか、別の日本があるのではないかということを発信してきた歴史があって、さかのぼればアテルイと田村麻呂の戦いもそうだと思いますし、戊辰戦争もそうだと思いますし、そして新渡戸稲造さんがアメリカとの戦争を止めようと思って頑張ったのもそうだと思うのですけれども、岩手は全国の中でも特にそういう今の日本はおかしい、よりよい別の日本があるはずだというメッセージを発信してきた歴史があるので、今回もそういう岩手の名誉ある日本の中における役割を果たしていくような格好になるのではないかと思います。
 
記者
 ありがとうございます。それから、別件で、知事選に伴って今のところ参院補選が10月に予定されておりますけれども、そこで及川県議が出馬の意向というものを示されたのですけれども、そのことについての受け止めを一言いただければと思います。
 
知事
 2年前に平野達男参議院議員が民主党を離党しさえすれば、自民推薦で参院選に出られるというようなことをしたことを思い出しています。普通、候補者というのは政党の側がまず発表するものであって、政党の方で特に何も決めていないときに候補者の側からそういう意向を含めて発表するというのは異例なことで、それで思い出すのは、2年前、平野達男参議院議員は自民党推薦にはならなかったなということを思い出しております。
 
記者
 知事選の関係でなのですけれども、先月小沢一郎先生がいらっしゃったとき、与野党対決という構図になっているという質問に対して、そうだろうというような発言をされているのですけれども、同じ日ですか、知事がマニフェストに対する会見とかを開いた場で、20年前のさながらそういう勢力図というような戦い方をする勢力は成功しないだろうとか、そういうような発言もされて、ちょっと支援を受ける生活の党の代表である小沢先生との間で認識の違いがあるようにも受け取れたのですけれども、小沢先生のそういう発言に対してどういうふうに感じていらっしゃいますでしょうか。
 
知事
 党派を超えて政策本位、岩手の場合は特に復興ということのために、自分の党の党勢拡大ということだけにこだわらないで、党派を超えた連携の中で県民党的なスタンスに参加していこうというのは、新しいタイプの政党の動きだと思います。私があのとき20年前と変わらないようなという話をしたのは、そういう復興をしっかり見詰めることをせず、党勢拡大の論理から行動を決めていくような、ですから自民党を念頭に置いてそういうのは県民的な支持は得られないだろうと申し上げました。
 
広聴広報課
以上をもちまして、記者会見を終わります。

次の定例記者会見は7月27日(月曜日)の予定です。

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